平成16年7月14日
鹿児島県弁護士会
会 長 永山一秀
会長声明
司法制度改革審議会は、平成13年6月、弁護士報酬敗訴者負担制度を導入すべきであるとの意見を表明し、以後、司法制度改革推進本部の司法アクセス検討会において、この制度の導入の当否について審議がなされてきた。
これに対して、日本弁護士連合会及び当会は、敗訴者負担制度は、経済的・社会的弱者による裁判の利用を萎縮させ、司法アクセスを促進させるという司法改革の理念に反するとして、この制度の導入に強く反対してきた。
しかるに、司法アクセス検討会の最終段階において突然に、弁護士報酬の各自負担を原則的に維持しつつも、双方の当事者に訴訟代理人がついて共同の申立がなされた場合に限って敗訴者負担にするという「合意制」の考え方が示された。これをもとに政府は、訴訟上の合意による敗訴者負担制度の導入を図るべく、本年3月2日、「民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案」を国会に上程した。当該法案は、第159回国会においては審議入りしなかったものの、閉会中(継続)審査が決定されたため、今後の国会において審議が行われる見込みである。
しかしながら、敗訴者負担制度の弊害は、「合意制」によっても何ら解消されない。「合意」による敗訴者負担が認められるならば、裁判外での私的契約や約款などに「敗訴者負担条項」が記載されることによって、実質的に敗訴者負担制度が広がっていくことが懸念される。このような状況に至った場合、消費者、労働者、中小零細業者など契約上弱い立場にある者は、敗訴者負担を恐れて訴訟の提起のみならず応訴をも躊躇する可能性が強い。即ち、敗訴者負担制度の導入は、たとえ「合意制」であってもなお司法アクセスを阻害する危険が高いというべきである。
したがって、当会は、敗訴者負担制度の導入を内容とする前記法案につき、これを廃案とすること及び仮に導入するとしても以下の立法上の措置を講ずることを強く要求するものである。
1 消費者訴訟、労働訴訟及び一方が優越的地位にある事業者間の訴訟においては、「合意制」を適用しないこと。
2 消費者契約、労働契約(労働協約、就業規則を含む)及び一方が優越的地位にある事業者間の契約においては、敗訴者負担の定めを無効とすること。
以上