弁護士報酬の敗訴者負担制度導入に反対する声明
司法制度改革審議会 御中
私達は、欠陥住宅被害の予防と救済に取り組む弁護士、学者、建築士そして欠陥住宅の被害者らによる全国的団体です。今般の司法制度改革審議会中間報告は、弁護士報酬を原則的に敗訴者の負担とする制度を導入しようとするもので反対です。
反対理由の第一は、欠陥住宅訴訟は裁判官の恣意的判断によって判決の結論が左右される現実があるという点です。多くの裁判官は欠陥住宅被害に無理解ですし、欠陥住宅訴訟をどのように進行させるかのノウハウも未確立であるため、業者側勝訴の判決を書けば無難とばかりに被害者敗訴の判決を出し続けてきた現実があります。
こうした現状の中で、多くの欠陥住宅被害者は、裁判所に対する迅速な救済が期待できないとして泣き寝入りを余儀なくされてきましたし、それでも我慢がならない一部の被害者らは、欠陥立証のための私的鑑定費用や代理人弁護士への報酬という重い負担を抱えながら、まさに自らが敗訴判決という屍を積み重ねる覚悟で、必死の想いで訴訟提起を行い、重い裁判所の扉をこじ開けようとしています。こうした欠陥住宅訴訟の現実に加えて、更に、敗訴者の場合は相手方代理人の弁護士報酬をも負担しなければならないことになるとすれば、もはや被害者からの欠陥住宅訴訟は断念せざるを得ないことは必至です。
反対理由の第二は、欠陥住宅訴訟における証拠の偏在という視点です。
承知のとおり、欠陥住宅を作り出す業者らは、いかに消費者の目を盗んで手抜き施工をするかを工夫していますから、被害者が業者の手抜きの実態を暴くことは容易なことではありません。むしろ、欠陥住宅訴訟においては、本来ならば、設計をした建築士や建築施工をした業者らが全ての資料を持っている訳ですから、まずもって業者側が「設計図書や標準的仕様書どおりに施工した」事実を図面や写真などをもって立証することが先決です。にもかかわらず、業者らは手抜きの事実が発覚することを恐れて、写真はもとより自社の仕様書や下請の監理報告書等の書類を提出しょうとはしませんし、裁判所もまた「立証責任は欠陥を主張する被害者側にある」などとして被害者側に主張・立証責任を課している実態があります。
欠陥住宅訴訟において、こうした証拠偏在という厳然たる現実を前提としたうえでの審理を余儀なくされている被害者らは、当初から不公平な裁判遂行を余儀なくされているのであり、従ってまた、敗訴となる可能性が高い訴訟を敢えて闘い抜くという困難さがつきまとっているにもかかわらず、更に、敗訴した場合は相手方代理人の弁護士報酬を負担せよと言われることは、なんとも酷な話だからです。
弁護士報酬敗訴者負担の制度については、弁護士会や消費者団体等から様々な反対意見が出されているところであり、敢えて、これらの反対理由について触れませんが、私たちとしても同感するものばかりです。私たちとしては、欠陥住宅の被害者が泣き寝入りをすることなく、裁判所の迅速な被害救済を期待する立場から、弁護士報酬の一般的な敗訴者負担制度の導入に反対するものです。
2001年1月25日
欠陥住宅被害全国連絡協議会
代表幹事 上野 勝代
幹事長 弁護士 吉岡和弘
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