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第8回 健康被害原因調査委員会へ
健康被害原因についての考え方(委員への意見照会)
@何が原因か
A委員・・・農薬散布が一部の患者さんに健康被害を及ぼしている可能性がある。
B委員・・・多くの市民が、毎日、眼を中心とした症状を訴えたことは、空中散布と関係が
あったと考えざるを得ない。
C委員・・・農薬の空中散布が原因と推定される。(科学的証明は難しく断定は出来ないと思慮する。)
D委員・・・スミパインMCとなんらかのアレルゲンまたは刺激性を有する化学物質(特定できない)による複合要因
E委員・・・千人を超える健康被害の原因は特定できない。
F委員・・・松食い虫に対する駆除目的で散布された農薬による1次刺激性の健康被害であるとするのが妥当である。
しかしながら、原因薬物がスミパインと断定するにはいくつかの疑問点が残る。第一には、スミパインは、毎年
散布されているに関わらず、多数の健康被害者は、今年のみ発生していること、第二に体内に入ったスミパインは、
極微量と推定されるが、その程度では粘膜刺激症状が再現されないことなどである。
G委員・・・5月26日に実施された農薬空中散布
H委員・・・原因の特定は難しいが、農薬の空中散布が原因の可能性が高いと考える。
I 委員・・・農薬空中散布が原因である蓋然性が最も高い。
J委員・・・特定できない
K委員・・・健康被害の原因がスミパインMCの可能性が高いが断定できない
Aその理由は
A委員・・・○アレルギー性結膜炎とは異なる、何らかの化学物質等の一時刺激によると思われる臨床所見を呈した患者さんが
確かに存在していた。
○光化学スモッグの発生は否定的である。
○農薬以外に暴露された可能性のある化学物質が他にない。
○農薬の眼への安全性が証明されていない。(肉眼による前眼部の観察結果は眼科的に見て安全性の根拠にはならない)
実験方法に問題があれば、安全性を証明したことにはならない。
○統計学的に有意差は、証明されていないが、最初に健康被害を訴えた患者さんの発生時間が散布後であり、発生場所が
散布地域に近いという状況証拠
B委員・・・1)花粉や光化学物質が当日のみ増加していたとの観測データはなく、当日に限って症状が多くの人に出たことは、空中散布
以外には考えにくい。ただ、症状を訴えた人の中には、純粋なアレルギー性疾患および空中散布以外の原因にによる症状も
紛れ込んでいる可能性もあるが、それを差し引いても農薬空中散布を否定できるものではない。
2)眼に関しての住友化学の動物実験は、とても信頼できるものではなく、この結果で目にy対しての影響がないとは
到底言い難い。
C委員・・・健康被害が空中散布直後(時間)から発生し、その範囲(場所)も限定的であり、花粉症、光化学オキシダント等のほかの
要因は、消去されることから、総合的に判断すると因果関係が有ると考えるのが一般的である。
D委員・・・1)子どもでの疫学的解析から、症状に最も関連しているのがアレルギー素因であり、ついで
通学方法(自転車>徒歩>その他)で散布地からの距離との正の関連はなかった。
これからは、何らかのアレルギンまたは刺激性を有する化学物質の影響が考えられるが、今回の調査からは、
その物質名は特定できない。
2)スミパインMC(フェニトロチオン、助剤)は粘膜刺激性を有し、広範に飛散したと考えられるが、1kmを超えて
ppm単位での飛散は考えにくい。散布地から2km離れた学校の児童も高率な症状を訴えており、子どもでの
疫学解析から距離との関連がなかったことも考え合わせると強い関連があると考えにくい
(関連の強固性、特異性は否定的)。
しかし、スミパインMCと症状との関連の時間性は認められ関連の一致性と整合性は否定できない。
E委員・・・○アンケートや聞き取り調査の結果を見ると、被害発生の場所は広い範囲にわたっており、日時や症状の程度も様々である。
また、農薬(フェニトロチオン)の気中濃度を除いて科学的なデータはなく、千人を超える健康被害に関する包括的な因果関係の
検証や原因の特定は困難である。
○被害の発生と散布日が一致する点で関連性が疑われる農薬についていえば、散布日の13時40分以降6日までの測定では
気中濃度はいずれも検出限界の0.05μg/m3以下である。これは気中濃度評価値の10μg/m3を大きく下回るものであり
健康被害の原因になったとは考えられない。一方、散布中並びに約6時間後までは気中濃度が測定されていないため、濃度の
関与の可能性を否定するデータはない。しかし、農薬の形態が刺激性の少ないマイクロカプセル(MC)剤であること、
疫学的分析結果によると散布地域に近い学校での発症率が高い傾向が認められるものの有意差がなく、距離との関連も
みられないこと、さらに、他の地域においてもスミパインMCの空中散布が行われているにもかかわらず、公式な健康被害の
報告がない等の理由により、農薬の関与があったとしても限定的と考えられる。
○農薬以外の物質について、スギ花粉や光化学オキシダント等は、特定の測定ポイントにおけるデータのみであり、
それ以外ノアレルギー物質(例えばイネ科雑草)に関するデータは、全くない。児童の通学路等におけるこれらの物質の濃度は、
周辺環境によって大きく左右されると考えられ、被害者の中にこれらが原因で発症した人がいないと断定することはできない。
F委員・・・塩飽委員の疫学的調査結果から散布された農薬と健康被害発生状況には易学的な明らかな関連があると認められる。
G委員・・・(1)今回発生した眼症状、粘膜刺激症状や頭痛等の惹起要因としては、農薬の空中散布、花粉、黄砂、大気汚染物質、
化学物質等の放出を伴う工場・自動車の事故、周辺農地における一斉防除等が考えられるが、農薬の空中散布以外の
考えられる要因が、健康被害が発生した5月26日を境に大きく変動している事実がなく、且つ広範囲に散布薬剤が飛散して
いること、散布薬剤中のスミチオンには眼刺激性があること、これまでにも他所でも同様の健康被害が農薬の空中散布後に
発生していること(住友化学「スミパイン乳剤及びスミパインMC剤の技術レポート」31ページにおいても健康異常の訴えが
あることが記載されている)等を考えると農薬の散布以外に考えられない。
さらに、成人について実施されたアンケート調査結果によれば、飛散が無いと考えられる平田地域では殆ど健康被害が無く
(世帯ベース発生率0.2%)、明らかに飛散が確認されている出雲地域では被害発生が多い(同3.4%)ことからも
農薬空中散布が原因と考えられる。
(2)今回の農薬の空中散布(原因)と健康被害(結果)との仮説は疫学的因果関係を判断するために示されているアメリカ
公衆衛生極長諮問委員会の五つの基準を充たしており、農薬の空中散布によって健康被害が発生したと結論することは
疫学的に妥当である。
H委員・・・散布当日の5月26日に健康被害が急激に増えていることや、他の考えられる原因についての検討結果から原因として
農薬散布の可能性が最も高いと考えられる。
I委員・・・1)健康被害を起こす原因候補物質として上げられている花粉、黄砂、オキシダント等は、何れも否定的であること。
黄砂は、出雲市だけに限局した被害をもたらすとは考え難く、しかも5/26当日は殆ど観測されていない。オキシダントの
日内変動のグラフを見ると空散当日の朝早い時間帯には全く基準値以下であり候補から」除外できる。イネ科植物の花粉が
例年5月下旬から初夏の時期に増えると言われているがしかし、今回発生した眼・鼻・喉の症状はアレルギー性炎症の
症状とは一致しない。
また、花粉アレルギーであれば1〜2日という狭い発症ピークを示すことはあり得ない。以上のとおり、消去法から行っても
農薬空散以外の原因は考えられない。
2)住友化学の主張していたよりも微細な粒子が多数含まれており、周辺拡散はもとより、遠方まで飛散した可能性が高いこと。
「スミパインMCの平均粒径は、約20ミクロンであり、ヘリから散布した直下の区域に速やかに降下するので、遠くへ飛散する
ことはない。」と言われてきた。しかし、調査委員が要求した精密分析データによると10ミクロン以下の微粒子が、
さらに1ミクロン程度の超微細粒子も相当な割合で含まれていることが判明した。10ミクロン以下の微粒子は散布ノズルの
地上高(15mを想定)から地面に降下するまでに数時間要することから無風であっても滞空時間が長く(1〜数時間)、
横風があれば遠距離まで飛散する可能性が物理的シュミレーションによって明らかにされている。
3)最も発症率の高かった自転車通学の生徒ら通学時間帯と強い西風の吹き始めた時間帯とが一致すること。塩飽委員の
解析結果からも明らかだが、最も高い発症率を示したのは、自転車通学した中学生で5/26当日の午前8:00〜8:15近辺に
学校へ到着した群である。
つまり散布直後は微風であったため空気中に滞留し、周辺部に単純拡散していたスミパイン微粒子が午前8時少し前から
吹き始めた強い風に乗って東方へ数kmを飛散したと考えられ、このときの大気中を横切って自転車で移動した生徒らが
最も被爆量が多かったと考えられる。このことが発症率の高さと眼等の炎症反応の重症度に関連したと考えるのが
妥当である。
4)毎年、空散直後から数週間にわたって眼の痛みや喉の痛みを繰り返す人が居ること。この人たちの症状は、5/26空散後に
千数百人で生じた眼や喉の症状と同様である。しかも、これらの毎年反復健康被害者は、痛みの強い期間中に出雲市外へ
移動すると(原因から遠ざかると)症状が速やかに消退する。そして出雲市へ帰ってくると再発する。
この事実経緯は「医薬品の副作用を検討するときに用いるチャレンジ・テストと等価であり、農薬空散が原因であることを
実証するものである。
J委員・・・1)農薬
児童生徒が被害を訴えたのは5月26日以降であり、当日の朝に実施された農薬空中散布が疑われるが、当日の
13:40以降のフェニトロチオンの気中濃度はいずれも0.05μg/m3未満であり、環境省の気中濃度評価値10μg/m3に
比べると1/200以下であり、散布された農薬が原因とは考えられない。
午前8時前後の気中濃度のデータはないが、鳥取県で4年間(春、秋計8回)にわたって行われた飛散調査の結果(散布中、
散布直後の風下側50mの地点で最高5.14μg/m3200m地点で最高2.25μg/m3、1000m地点で最高1.09μg/m3)を
参考にすることが出来る。
平成20年度3月に開催された環境省の農薬飛散リスク評価手法等確立調査検討会の資料「フェニトロチオンのラットにおける
4週間反復吸入毒性試験」の最大無毒性量(眼科学的検査を含む)は4mg/m3であり、不確実係数を考慮すると
気中濃度評価値10μg/m3は、妥当であると思慮する。
2)マツ・イネ科花粉
児童・生徒の調査票による疫学的解析で、もっとも関連性が高かったのはアレルギー素因であり、空中散布区域からの
距離との間に有意な正の相関はなかったことから花粉アレルギーも原因のひとつとして考えられるが、当該地域における
花粉飛散量についてのデータがない。臨床所見によるとアレルギー性結膜炎とは明らかに異なる眼症状の患者がいたので
被害を訴えた児童生徒の中に何らかの化学物質等の一時刺激によると思われるものが存在する。
3)大気汚染物質
SOx、NOxなどは基準値以下であるが、オキシダントは、9:00〜17:00の間、環境基準値を超過している。
ただし、直前の5月22、23日にも環境基準値を超過している日もあったのでオキシダントうぃ原因とすることには無理がある。
4)疫学的解析結果から
児童生徒の調査票に基づく疫学的解析結果では、症状に最も関連しているのがアレルギー素因、ついでに通学方法であり、
散布地からの距離の正の関連はない。したがって、農薬散布との関連でいえば、@時間制は、肯定A関連の一致性と整合性は
否定できない。B関連の強固性と特異性は否定的。
K委員・・・(1)スミパインMCが原因であることを支持する要素
@5月26日の早朝に農薬散布が行われ多数の健康被害が発生している事実がある。医療機関への受診状況や
健康被害についてのアンケート結果が「アレルギーの既往」をのぞいても信憑性が高いことは、時d法、生徒への
インタビューからも明らかである。
Aアレルギーの既往のない児童、生徒に10%以上の健康被害が出ており、刺激物質による「一時的な眼などへの刺激」が
原因と推測される。
ただ健康被害についてのアンケート調査では「アレルギーの既往」の頻度が4%と極端に低く実態を反映していないことは、
一般的に言われている罹患率(十数%の頻度)やインタビューの結果からも明らかである。
疫学調査(多変量解析)の結果からアレルギーの既往と健康被害は、高い相関関係があり、「アレルギーの既往のない
児童生徒に10%以上の健康被害が出た」と言う結果は、実態を正確に反映していない可能性がある。
Bフェニトロチオンの「眼への刺激作用」については住友化学が1991年に作成した報告(GLP基準)
(第4回委員会資料2)がある。
ほぼ下記(2)のDとほぼ同様の実験系で、MEP原体+有機溶剤、界面活性剤(MEP組成は、50%)をウサギに
点眼した実験があり結膜浮腫、虹彩充血、角膜混濁などの有害事象が観察された。96時間後には反応が消失したが
医学的には「MEP原体(50%)+有機溶剤、界面活性剤は眼に有害と判断される。
ただ、MEP組成は。50%と今回の「低濃度の暴露」とはあまりにも違う。
C健康被害の症状は多岐にわたるが、学校、年齢の違いがあっても「症状の共通性」がある。かつ「眼に関する症状」が
多い傾向にあるが過去の健康被害の報告で示された症状と比較して矛盾がない。
(2)スミパインMCが原因とするには否定的な要素
@第4回の資料3では,1988年。1991年に行われた広島県内の大規模なアンケート調査結果が報告されている。
いずれも「健康被害率」と「散布地域から学校までの距離」には明らかな逆相関を認めている。しかし、今回は
第6回の資料2の疫学調査(多変量解析)の結果、散布地域からの距離と健康被害の頻度間の相関が認められない。
このことは、農薬散布が原因とする根拠を一部否定する事実である。
第5回資料4の疫学調査報告は「○○中学校を除いて相関関係がある」など科学的でないと考える。
Aフェニトロチオンの気中濃度が測定方法の検出感度が不十分だったとの指摘があるが、
どの地点での測定値も0.05μg/m3であることは事実である。
ただサンプリング時刻が散布後6時間も経過しており、散布中や散布直後の気中濃度ぼ3分の1から条件によっては
10分の1に低下している可能性がある。(環境省「19年度飛散リスク評価手法等確立調査検討会(第3回))
B第7回委員会の資料3の文献を見ると2001年「臨床環境医学」で報告された藤岡一俊らによる疫学調査では
「散布地域」での平均飛散量は420μg/m3を超える可能性が高く今回の0.05μg/m3以下での健康被害を
証明することにはならない。
Cフェニトロチオンの「眼への刺激作用」については第7回委員会の資料4で2003年に行った実験(GLP基準)の
報告がある。ラットにフェニトロチオンを4週間反復吸入暴露し、期中濃度が各々2,4,8mg/m3(2000、4000、
8000μm/m3)という高濃度の環境を維持する実験系である。結果はコリンエステラーゼ活性は低下したが、
雌雄ラットともに眼への有意な所見(有害事象)は認められていない。「種」の違いを考慮してもフェニトロチオンの
単体の眼への刺激性は低いことが実証された。
Dフェニトロチオンの「眼への刺激作用」については上記(1)のCとほぼ同様の実験系で住友化学が1981年に
作成した報告(第4回委員会の資料2と第7回委員会の別紙)がある。MEP原体をウサギに点眼した実験があり
「軽度の結膜充血が6例中3例に観察された」ことから「眼への軽度の刺激性がある。」ことが示された。
ただ、一般的には多くの化学物質の原液を点眼すれば「軽い結膜の充血」程度ではすまず、「フェニトロチオンは
眼への刺激性は少ない」と判断できる。
Bこれまでと同様に空中散布を行っていたのに、まぜ今年は1000人を超える健康被害が発生したのか
A委員・・・千人すべてが今回の原因物質による健康被害とは考えていない。散布前から症状を訴えていた農薬散布と無関係な患者さんも
含まれていた。
報道による精神的関与も否定できない。
気象条件、散布方法、製剤の品質等の条件が例年と異なっていなかったかどうかをこの委員会で検証していただきたかった。
(これらは専門外ですのでコメントできません)。
B委員・・・今回の一般の市民(児童・生徒以外)へのアンケート調査で、今年お外の前年度までどうであったかを聞く項目がなかったため
はっきりわからないが、何人かのドクターから、毎年空中散布後に身体の異常を訴える患者さんがいると聞いている。
前年度までも症状があったが、関連があると考えなかったか、多くの人が自分の周囲の人以外には話さず、埋もれていた
可能性がある。
★今回は眼の症状を訴えた人が多く、人命や後遺症への影響はなかったが、相手は人であり、軽ければいいとは
到底考えられない。空中散布が人家があり、人が生活しているところに降り注ぐ可能性がありながら朝の人(ましてや、園児、
児童生徒)の移動する時間帯に行われている事は、驚く以外にない。
空中散布を続けるのであれば、住友化学ではなく、公平な信頼できる第三者機関による正しい毒性評価(動物のみならず
人でも)を実施する必要があると考えられる。
その場合、@マイクロカプセルとAその中身(原体+添加物)の両者いずれに対しても評価が必要と考えられる。
C委員・・・これまでと同様と言うが、散布終了時間、気象状況等が異なる。
(今から思えば、委員会として現地調査の必要性を感じる)
D委員・・・スミパインMCはこれまでも散布されているが、前年度などの救急外来受診者数、学校HRでの健康チェックでは今年のような
発生は認められていない。したがって、スミパインMCに加えて何らかのアレルゲンまたは刺激性を有する化学物質
(特定できない)が関与したと考えられる。
E委員・・・今回千人を超える健康被害にはバイヤスによるものも含まれると推察されるが、上述したように多数の健康被害の原因は
不明である。
F委員・・・この点は、今回の調査で明らかにできない。
G委員・・・(1)これまでも、健康被害が発生していたが、今回のような軽度の健康被害まで拾い上げた調査が実施されていなかったため、
従来は見かけ上少なかった。例年健康被害の訴えはあったが、因果関係が分からないと言うことで行政は一切、
取り上げなかった。
しかし、今年度は養護教諭、眼科医、教委や行政等が積極的に調査し掘り起こしたために相対的に多くなった。
(2)農薬の飛散は気象状況に著しく依存する。散布薬液のうち直径10ミクロン未満のものは、無風では長時間(1時間〜数時間)に
わたって停留し、微風でも遠くまで漂流する。
当日の監視員の現場状況報告書に散布終了後、「北山がかすんで見えた」との報告があることから、学童の登校時においても、
散布薬剤が霞状態で広く出雲平野に拡がったため、多くの学童が被害を受けたと考えられる。
(3)ノズルから噴出される散布薬液の粒径は、吐出圧が高ければ小さくなる。平成17〜19年度までの大山・高松・長浜区域での
使用ヘリコプターの薬剤搭載能力は420リットル、平成20年度は300リットルである。前者同区域での散布(飛行)時間は
平均2時間9分、後者は、2時間26分で掲載能力ほどの違いはない。ほぼ同時間内に散布を終了するには、小型では吐出圧を
増やすために、単位時間当たりの散布量を増やし、その結果飛散しやすい小粒径の薬剤が増えた可能性がある。
H委員・・・あくまで「可能性」としての指摘であるが、平成17ねん〜19年の散布時の出雲地域の気象状況をアメダス、
ウインドプロファイラ、地上及び高層天気図等から総合的に調べると、平成20年の散布時の風速は他の年よりも強く、
風向きも西風となっていたと推定され、他の年に比べてより多くの農薬が人口の多い地域に飛散した可能性がある。
I委員・・・1)散布散布終了時刻の遅延:第2回資料6「松くい虫特別防除薬剤空中散布 平成17年度〜平成20年度比較表」を参照。
湖陵・出雲地区・(大山・高松・浜山・長浜区域)の平成20年度の散布終了時刻(7:46)は従来のうちでもっとも遅かった
平成19年度(7:24)に比べても22分も遅い。7:46と言えば強い西風(7:50−8:00の消防署屋上でも
平均風速=5.7m/s、瞬間最大風速=9.2m/s)が出てきた時間帯であり、この時間帯までは散布を続けていたのだから、
東方に向けて相当の濃度(実際にはヘリの動線も考慮せねばならず、シュミレーションは、複雑すぎて不可能)を保ちながら、
しかも4〜5kmの遠方まで飛散したと考えるのが妥当である。重要なことは、これが通学時間帯であったと言う点である。
2)風速・風向の違い:第3回資料のp3「出雲市消防本部での風向・風速のデータ(平成17年度〜平成20年度)」を参照。
平成19年度も今年と変わらない強風が記録されているが風向きは北であり、散布区域から南へ流されたため主に山間地に
飛散し、出雲平野の主要部分には飛散しなかったのであろう。平成20年度は概ね西風であったため。出雲平野の
地勢的特徴に則して概ね東方へ、しかもあまり拡散せずむしろ収束するように(気象台・吉原委員の証言)流れたと
考えるのが妥当である。
3)マイクロカプセルが壊れてフェニトロチオンが露出していた可能性:湖陵・出雲地区を担当した空散業者が、従来とは違って
アカギヘリコプターであったため、幾つかの点で従来との違いが示唆される。例えば農薬搭載タンク容量は、昨年までは
420gであったが、今年は300g(従来比=71.4%)であった。ノズルの性能は記載が無いので不明だが、タンクの
小容量とあいまって吐出圧が従来よりも高かった可能性もある。そのため機械的外力に弱いポリウレタン被膜が吐出圧時に
破れフェニトロチオンが露出した微小油滴となって空気中に分散・滞留した可能性がある。これを裏付ける事実として、
被爆後の比較的早朝に(眼を擦らなくとも)眼の痒み・痛みを発症した例が多いことが挙げられる。フェニトロチオン自体に
眼の刺激性があることは、今回の植村委員の文献追跡調査で住友化学が謝罪・訂正せざるを得なかった事実である。
J委員・・・不明
推測の域が出ないがあえて言うなら、なんらかの刺激性を有する化学物質が関与して症状が出た児童生徒が訴え、
これを受けて行われた市教委等による調査に対して、アレルギー症状を有する者が申し出た可能性がある。
K委員・・・(1)出雲消防本部(地上15m)の風向、風速は昨年、一昨年と特に変わらない。
(2)散布終了時間が今年は7:46AMと遅い。
(3)気温が高ければフェニトロチオンの気中濃度は高くなる。
(4)MCは乳剤に比べて落下率が高く、気中濃度は低くなる。(環境省「19年度農薬飛散リスク評価手法等
確立調査検討会(第3回)」
(5)スミチオンMCが紫外線などによって変性し、より刺激性の強い化学物質に変化したり、何らかの複合体が
形成された可能性も考えられるが、検証できていない。