Yahoo!オークション等では、ときどき「小為替での支払いもOK」とか商品説明に書いている出品者を見かけます。
また、落札後に落札者のほうから「少額なので小為替で……」などと言ってくる方がいます。
しかし、本当に少額の支払いに小為替は有利なのでしょうか?
答えは、“否”です。
小為替で支払う際の全手数料は、他の送金方法と比較しても格段安いものではありません。
しかも、いつ誰にいくら送金したという確実な記録が残らないため、トラブルの元です。
送るのにも換金するのにも手間がかかり、いいことなんかありません。
なぜ同人業界で広まったのか?
送金者の間違い
受取人の間違い
 | なぜ同人業界で広まったのか? |
同人誌を作ったり買ったりしている同人な人なら、小為替には馴染みが深いことでしょう。
今でこそ都会では大手の同人ショップでそれなりに同人誌を入手できますが、その昔は同人誌の入手方法は即売会以外だとオタク系の雑誌等に載っている個人通販ぐらいしか手がありませんでした。
今でも同人ショップがない地方の方だと似たような状況です。
そこで、支払いの主流となったのが小為替です。
- 宛名シール
同人誌通販のマナーとして、本の発送先の住所氏名を書いた宛名シールを送るという慣習があります。
小為替での支払いならば、為替とともに宛名シールが送れるので便利でした。
また、注文する本の種類や数量などを知らせるため、書状を同封する必要がありました。
今のように電子メールで注文を知らせるようなことは、一般的ではなかったのです。
また、同人誌即売会の参加申し込みについても同様で、申込用紙や返信用封筒と一緒に送ってもらえて便利でした。
このことが、小為替支払いが主流となった最大の原因と考えられるでしょう。
- 返金の可能性
本が売り切れとなった場合、あるいは同人誌即売会の申し込みで抽選漏れがあった場合、お金を返さなくてはなりません。
その際、銀行振込等で返金するのはかなりめんどうでお金がかかります。
本が売り切れならば、宛名シールを封筒に貼って為替をそのまま送り返せばいいし、即売会参加費については返信用封筒に入れて送り返すというお手軽さです。
小為替の指定受取人欄を「無記名で」とすることが多いのは、これが原因であると考えられます。
- 銀行振込の敬遠
同人活動をしている人たちの中には、未成年がかなりの数存在します。
少年たちにとって銀行は疎遠なものであり、売り手が銀行口座を持っていないこともあります。
また、昔は銀行間の提携も進んでおらず、振込手数料は割高で一般的ではなかったのです。
- 過去の習慣の盲目的な踏襲
しかし現在は、ネット通販の波が広がり、郵便振替口座を開設する売り手などもいて、小為替取引は少なくなりつつあります。
また、同人誌即売会のカリスマである「コミックマーケット」の支払方法もとっくに郵便振替口座に変わっています。
もはや小為替は、同人業界ですら必要としない人たちがいるのです。
にもかかわらず、いまだオークションで小為替を重宝がり支払いに利用しようという人たちは、過去の習慣を盲目的に踏襲しているとしか言いようがありません。
なぜ小為替送金が安いと思っているのか? なぜ小為替を無記名で送らせるのか? その根拠も由来も知らず利用している人たちがなんと多いことでしょう……。
 | 送金者の間違い |
同人誌関係者は、オークションで少額の物を落札したときに、往々にしてこう申し出ます。
「少額の落札につき、送金手数料を安くしたいので小為替でお願いします」。
アンタそれ間違ってるよ……。
- 小為替送金手数料は安くない
小為替を送る場合、送金手数料はいくらになるでしょうか?
為替を送る方法や金額によって異なりますが、最低の場合は70円です。
1,000円の小為替を郵便書簡で送る場合
小為替発行手数料[10円]+郵便書簡[60円]=合計[70円]
70円は一見安く見えますが、郵便振替口座への通常払込を窓口でするのと同額です。
通常払込を機械で処理すれば60円で、安さでは負けています。
銀行振込も都銀の同一銀行支店間ならば105円だし、ぱるるの電信振替手数料は130円(ATMの場合)。
しかも、郵便書簡で小為替を送れることを知らない人は90円使うことになり、リスクや手間を考えた場合小為替の送金手数料はけっして安くはないのです。
- めんどくさくて時間がかかる
ハッキリ言って、小為替を送るのは面倒です。
為替証書に受取人住所氏名を書き、さらに封筒に住所等書いて切手を貼って……。
それで到着するまでに数日かかります。
銀行振込の電信扱いやぱるるの電信振替ならば、ATMを操作するだけで即日送れます。
郵便振替口座への通常払込はやや時間がかかりますが、それでも小為替発送と1日程度しか変わらず、小為替を買って1晩寝かせるぐらいだったら時間的にはほとんど一緒です。
- 端数処理ができない
定額小為替の最小単位は50円です。
1円単位はありませんし、30円や60円の額面はありません。
たとえば520円の支払いをする場合、500円の小為替と20円切手を送るか、切り上げて500円と50円の小為替を送らねばなりません。
しかし、500円と50円の小為替を送るとなると為替発行手数料は20円で、30円の余分と合わせると送金にかかる費用は郵便書簡で送ったとしても110円となってしまいます。
切手との併用を拒む出品者もいるらしいし、どーします?
- リスクがデカい
小為替は、指定受取人欄さえきちんと書いておけば、郵便事故が起きても再発行すればいいので為替金は保全されます。
しかし、送金時に郵便事故が起こり得るということ自体が問題なのです。
事故った場合、再発行手続きができますが、新しい小為替が交付されるのは元の証書の発行日から6ヵ月後です。
その間換金はできず、自腹で新しい小為替を買い送らねばなりません。
先方への送金もかなり遅れてしまうことになります。
無記名で送ってしまった場合は論外で、その場合最悪は先方に届いたとしても「届かなかった」と言われすでに換金されてしまっていたなんていう詐欺が起こり得ます。
小為替だと、何月何日に誰にいくら送ったという記録が残らないので、詐欺られても立証がむずかしくなります。
「無記名で小為替を送れ」なんていうオークション出品者には、絶対に小為替を送ってはいけません。
- 使い回しはダメ
以前出品して受け取った無記名の小為替があったとしても、それを第三者への支払いに使ってはいけません。
換金期限が迫った小為替を送るのは論外ですし、明らかに支払い者が買ったものではない小為替を受け取った出品者は嫌な感じがします。
もちろん同じ同人系の人なら気にならないかもしれませんが、一般的には自分が振り出したのではない小為替を送ってきた人には不信感を覚えます。
 | 受取人の間違い |
少額の取引の場合、なるべく落札者さんの費用負担を安く押さえてあげたい、そんな思いで「郵便小為替でもOKですよ」なんて商品説明に書く出品者さんもいるよね。
アンタそれ間違ってるよ……。
- だったら一般振替口座作れ
落札者の負担を減らしたいということであれば、郵貯の一般振替口座を作りましょう。
だって小為替OKってことは、郵貯窓口が開いているときに郵便局へ行けるんですよね?
落札者も小為替を買いに行けるってことは、郵便振替や払込ができるってことです。
通常払込なら、手数料は60〜70円ですよ。
しかも、手続きは窓口に記入した用紙を出すだけで、いつ誰にいくら送ったという記録が残り確実です。
本当に落札者のためを思うのならば、一般振替口座を作るべきです。
- 使い回しがあるかも
落札者によっては、古い換金期限ギリギリの小為替を送ってくる場合があります。
小為替には換金期限、再発行期限があるので、その点扱いにくいものだということを認識すべきです。
また、すでに再発行されている不渡り小為替を掴まされる可能性もあります。
まあ、カラ振り出しの小為替は、犯罪の証拠が残りやすいから滅多にありませんけどね。
ただ、わずかなお金のために犯罪しちゃうおバカな厨房もいるので、可能性としては考慮すべきです。
どうしても小為替で、という落札者から受け取る場合は、落札日以降に自分で買った小為替を送るよう念押ししましょう。
- 小為替を流用する日はない
受け取った小為替を、いつか別の支払いに使おう……なんて考えちゃダメです。
価格が変動するオークションでは、その額面の小為替がいつ使えるかはわかりません。
そうこうしている間に換金期限が切れることがあります。
発行日から6ヵ月が経過した後も、1年間は再発行してもらえますが、面倒な作業になります。
同人等で無記名を指示するのは、返金の可能性があるからです。
- 無記名指示はダメ
指定受取人欄は、きちんと受取人の名前と住所を書くようにしてもらいましょう。
郵便事故のときに、噛みつかれないためです。
「無記名で」なんて落札者へ言ったら、「詐欺か?」って思われて信用なくすことがありますよ。
同人なら無記名が当たり前でも、一般社会では通用しません。
- 記入欄の指示
指定受取人を書いてもらう場合は、記入欄と記入内容を確実に指示しましょう。
記入欄や書くべき名前を間違う人がいるので、その点は念を押して指示するべきです。
「記入ミスをする人がいるから無記名で」なんて指示する人がいるらしいですが、落札者をバカにしてます。
また、「自分の家族が換金しにいくから」、「換金時に身分証を提示するのが面倒だから」などを無記名指示の理由にする人がいるようですが、自分の些細な都合のために落札者に金銭的リスクを負わせるのはどうかしてます。
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