NO.2 嗚呼すばらしき世界TV化(中国・鎮江)

さて、船の中での約束通りに鎮江に来てしまった。ここには船で出会ったハンさん達が住んでいるはずである。船の中で彼らは船旅をテーマにした番組を撮影していて、多分「出会った旅人」みたいなコーナーで私は紹介されるはずである。そのオンエアーの確認も兼ねての滞在である。実は
「もしかしたら、すごく短いかも・・・カットになるかも」
そんなこともいっていたような気もするが、「我々は朋友だ」と主張すると、弱い口調でOKを出してくれたというやりとりもあった。そこで、万が一にもカットされないように押しかけて行くことになったのだ。

ちなみに私が撮られたのは、着替えと、馬鹿笑いと、へたくそな歌を歌っているところである。さて、彼はどのシーンを選ぶのだろうか・・・。今ごろはどうしようもない映像を前に頭を抱えていることだろう。

そんなわけで駅につくなり彼の携帯に電話すると、速攻で駆けつけてくれた。彼は一瞬「マジで?」という表情をしたが、「マジだ」という我々の表情を感じとってくれたようでとても喜んでくれ、いきなりその日の食事会に我々を招いてくれた。

今夜は番組関係者と、レストランのオーナーとの食事会だったらしいのだが、思いもよらぬ日本人の訪問に場はかなり熱くなった。英語と中国語が飛び交っていた。旅の目的や家族についても聞かれ、まさしく中国式の人付き合いを感じたのであった。そして、私は教育学部らしく熱く語ったのである。

『日本では教育について勉強をしている。今回は中国の子供達とたくさんコミュニケーションをとり、できれば学校も見に行きたいと思っている。その中で子供の姿を観察して、教育について考えたい』・・・なんてね。

すると、番組関係者サイドが騒ぎ出した。そして、数分後ハンさんは言った。「よし、明日小学校に連れていくよ」
マジです。小学校行き決定。

翌日の午後、ハンさんが迎えにきてくれ本当に小学校に行くことになった。もちろんカメラも同行である。『船で出会った旅人は中国の学校を訪ねることになった』という番組の流れに変化しつつあった。さて、困ったのは私だ。小学校に行くのはいいが、どうやら授業を受け持つことになってしまったのである。しかし折角なので、面白いことをやりたい。すると担任の先生からは「日本語を子供達に教えてください」とのリクエストがあったので、今回は日本語講座になった。それも私のたどたどしい中国語で強引に進めることに・・・。

教室の前に来ると、4年生と書いてあるらしかった。まずは初めが肝心。私は胸元に忍ばせてあるマギーの耳を握り締めた。

KAWA「ニーハオー」
児童「ニーハオ」
KAWA「声が小さい!!ニーハオー!!!」
児童「ニーハオー!!!!」
KAWA「おお、びっくりして耳が大きくなっちゃった」←耳を出す
児童「・・・。」
どうやらハイレベルすぎたらしい・・・。マギー残念!!
続いて、私は「おはようございます」などの言葉を教えていく。
KAWA「早上好!!!・・・おはよう!!!」
児童「おはーようー!!」
子供達は実に元気がいい。なんだか教育実習を思い出した。そして、一通りあいさつを教えると、次に私は黒板に絵を書いてクイズを出した。もう怒涛の勢いである。言葉ができない以上ノリで勝負だ。
「これ、知ってる人?」・・・(ドラえもん)

その時である、一斉に子供達は立ち上がって大騒ぎした。みんなが知っているのだ。というか私の絵をどらえもんと認識したのだ。これはまた別の意味で嬉しい。教室中が子供達の歓喜の声でいっぱいになった。たまらず担任の先生が、声をかける。するとしばらくして静かになった。

「どうやら子供達は、ドラえもんの描き方を教えてほしいそうです」

なるほど。ちょっと驚いたが、さすがはドラえもん。子供達の心をがっちり掴むことに成功したようだ。そして、ドラえもんの絵描き講座が始まった。目から始まって少しずつ進めていく。5回くらいに分けて完成。すると完成と同時に子供達は自分の絵を頭の上に掲げた。こうして先生はチェックをしているのだろう。私達も一つ一つ子供達の絵をチェックしてまわった。みんな上手に描けて満足そうであった。

ドラえもんが無事に完成すると今度は日本の歌を教えるということになった。そこで担任の先生がリクエストした曲のフレーズは・・・。
「スキスキスキスキースキッスキー あいしてる〜」・・・。一休さんのテーマでした。

そんなこんなで、無事に私達の授業は終わった。その後幼稚園も見学させてもらい、番組様様だ。子供もハンさん達もとても喜んでくれたが、やはり一番は自分達であった。いい経験をさせてもらった。

帰りに見た鬼ごっこでは、ある女の子が体の大きな男の子の後ろにくっついて、影から鬼の姿を見ていた。思わずドキッとしてしまうようなドラマが学校にはあふれていた。

その後、私達は数日間に渡ってTV局の人たちにお世話になった。宿代も経費から出してもらったのである。

最後の日、私達はある通りに座ってスケッチをした。中国を象徴するかのような田舎の通りである。すると、そのスケッチも撮影され、鎮江に滞在した感想もインタビューされた。

どうやら番組は、ある学生達が日本からやってきて鎮江で数日過ごし、次の町へ旅立っていくという内容になったらしかった。私達は最後電車に乗るまでカメラを向けられていたため、カメラを通してしかお礼を言うことはできなかったが、またいつかこの町を訪れたい。そんな風に思ってやまないのである。

さて、オンエアーは5月。無事に放送されたら、番組をコピーして送ってくれるそうである。届いたらHPにアップして超自慢したいと思う。
 
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