第1回日本バイオリン製作研究会展示会に行ってきた。池袋、自由学園で開催である。五月二十九日の方に行ってきた。三十日と二十九日ではミニコンサートでの演奏曲目が違うのだ。とにかく、滅多にない体験であった。

 Vn63台、Va7台、Vc7台と書いてあったが、Vaは7台もあったか?。Vnの方は数えていないが可成りあった。余はそれを殆ど弾いた。Vaはありったけ弾いた。

 まずVa評から。どれも素晴らしかった。これと言って文句はない。あの中のどれでもいいから一台ほしい。金を払ってもいいという楽器たちであった。全部40センチ越えの大ビオラしかなかったので、38センチ位のもあったらよかったのに。

 では問題のヴァイオリン。はっきり言ってピンキリでした。プロの楽器に引けをとらないものは全体の一割もなかった。どれも外見は結構よくできている(特にスクロールは何故か上手だ)のだが、手にとったり、構えてみたりすると、やはりアマチュアであることは否めない、といったところが多数発見される。まず、セッティングが結構いい加減。駒があってない。殆どの楽器の弦高が低すぎる。駒の足が合ってないのもあった。曲がっている駒を使っているのもあった。ペグが止まらないのもあった。次に、やはり作りが甘い。コーナーエッジがあっていない。光を反射させてみると表板がでこぼこ。指板がいびつ。ニスが垂れてる。etc・etc。一番笑ったのが、外見は至って普通のヴァイオリンなのだが、持った瞬間手にズシっとくるVnである。早速弾いてみると、まるでミュートを被しているみたいな響きだった。恐らく、一番板の薄いところでも5ミリ以上あるのであろう。生涯二度と出会うことのない楽器だった。色物では表板が桐とか、その他のパーツも聞いたことのないような材木で出来ているヴァイオリンがあった。ネックも楓でなく、変な材なのでペグが回りにくくて困った。音もひと味変わっていておもしろかった。

 この展示会にはミニコンサートなるものがあって、プロの演奏家が出品者のVnを弾くというものだ。14時、15時、16時の三回に分けて、全部で22本のVnを弾いた。曲目はチャイコ、メンデルスゾーン、ブルッフのコンチェルトの一楽章を、それぞれ5分くらいにまとめたものだった。だから、一回のミニコンサートで大体40分近くかかるのだ!。客は出展作品を見るよりも演奏を聴いている時間の方が長いというわけだ!。余は二時を少し回ったところで行ったが、それでもこの3つVn協奏曲をそれぞれ最低でも6回ずつ聞いたのだ!。余とかはVnの微妙な音色の違いとかを楽しむことが出来るからまだいいものの(それでもちょっと苦痛だった)普通の人間が聞いたら拷問である。来年はもっと短い曲を沢山やるべきだ。そうでなければ、マニアの会合で終わってしまう。しかし、プロというのはすごいもので、糞みたいな楽器でもそれらしく鳴らしてしまうのだ。もちろん、いい楽器の時は、なお素晴らしい演奏・響きとなる。

 楽器屋とかで引き比べをしても、たいしてその違いが分からないことが多々あるが、ここの楽器たちほど差があると、その優劣は明白である。非の打ち所のないものがあれば、さっき挙げたようにベンツVnもある。作りがいい加減な楽器は音もいい加減だ。

 ちょっとしたハプニングがあった。ごく普通の中年が突如よろめいて、展示してあったVn5・6台を薙ぎ倒すといったものだ。幸いどれも壊れたりはしなかったらしい。OLDイタリーの展示会でやったら切腹間違いなし。

2003.6.10

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