伊勢の伝統工芸



今回もまた新聞記事に誘われて出かけてしまいました。
なんだか古い建物のように見えますが古いものではありません。
開催された場所は皇学館大学の記念館。

皇學館はお聞きになったことがあるのではないかと思います。
学校としては戦前からありましたが占領軍によって廃学されました。
そして昭和37年に文学部国文学科・国史学科をもつ大学として開校しました。
その後国史、神学、神道学科といった特異な学科が設けられています。
日本の文化・伝統のこころを次代につなぎ、発展 させることを目的としているようです。
そのためか、このような記念館になったのではないかと思います。

神社の宮司を目標とされる方も育てられているようで、
寒中に宇治橋下流で五十鈴川に入り禊をする姿が毎年のように報道されます。




萱葺神棚。

何代も続く職人によって受け継がれております。
神宮とともに営々と続いてきたのではと思います。
いまでは株式会社や有限会社形態になっています。
「おかげ横丁」にも出展されていると思います。
神宮自体にも木工所をもっておりが、今はどのようになっているかは分かりません。
今でも外から眺められ、銀杏の大木が紅葉の季節にはきれいに色づきます。




神鏡雲形台と御火鑚具(みひきりぐ)。

神鏡は神霊として神前にかけて祀る鏡のことだそうで、
また三種の神器の一つである八咫の鏡のことを指と言われるそうです。

日本神道では太陽神である天照大神を最上の神として崇め祀っていますので、
太陽を象徴する鏡を御神体とし、神社に祀るとされているそうです。

鏡には変なものが移ってしまいましたので消しています。
鏡らしくなくなってしまいました。

神事をはじめ、宮中で使用するすべての火は忌火(いみび)と呼ばれる清浄な火が使用され、
忌火は木と木を擦りあわせ火をおこします。これが御火鑚具です。
これは、静岡県の登呂遺跡から発掘されたものと同じ形式で、
ヒノキの板にヤマビワ製の心棒を摩擦して発火させるものだそうです。




神官が履く浅沓(あさぐつ)。

木型の上に和紙を何枚も張って「ふのり」で固めて木型からはずし、杉の内板と桐の外板を取り付けて、
塗りの工程で漆を使い地塗、砥石で研ぐ、乾燥、この繰り返しを二十回以上続け黒漆で上塗りをして仕上げる。
最後に、紙製とは思えない強度があるため、足の当たりを和らげるクッションとして、
「込」「甲当」と呼ばれるものを白平絹で作って取り付けてられます。
約一か月くらいの時間をかけるそうです。

現在ではプラスチック製ゴム底の普及品もあるそうですが、歩くときの音が異なるそうです。

冠とか手に持つ笏(しゃく)の展示はありませんでしたので、この地では作られていないのかも?




和釘。
 
飛鳥時代から使い始められたといわれ、法隆寺の金堂で使われた釘が一番古い釘とされているそうです。
今でも古い神社仏閣などの文化財の修理復元にはなくてはならないものだそうです。

一本一本手で叩いて作られ、焼き鍛えられることで表面に酸化被膜が形成され、
木材に打ち込まれた後も洋釘に比べ数段耐久性があるとされています。
また、軸が四角ので表面が大きいため食らいつきがいい理由の一つともいわれます。




白木箸。

伊勢の木箸は神宮御用材の桧材の残材をもとに、作り始められたとされているそうで、
形状は社殿の御屋根の千木をかたちどっています。
ちょっと写真が小さくて分かりにくいのですが、内削と外削があります。
内宮の千木は内削ぐ、外宮の千木は外削になっているためです。




和紙の材料となる植物です。

すく道具。

神宮御用紙の奉製を続けているところがあるそうです。




一刀彫。

伊勢には伊勢一刀彫神宮彫刻師がおり神宮御用達をはじめ全国各地の神社から依頼を受けるそうです。
このため作品は干支の彫り物、神鶏や招き猫などの縁起物が中心です。

古来より御神木とされる楠木で製作されることがほとんどとか。




木彫の大黒天と広目天色。

大黒様はおなじみですが、広目天は仏神で、持国天、増長天、多聞天と共に四天王の一尊に数えられています。
西方を護る守護神で、仏堂内では本尊の向かって左後方に安置されることが多いとされています。
神宮とのかかわりは分かりません。




玩具と竹笛。

玩具は伊勢玩具刳り物として多く作られたそうですが現在は数も減っているそうです。
しかし、まだまだ土産物店ではなくてはならないもののようです。

伊勢笛と呼ばれ、彩色や元結巻き、和紙巻きあるいは鳥居の絵などを加飾を施し、
伊勢の参宮土産としても作られています。




欅拭漆三足大鉢。




伊勢春慶塗。

江戸時代kら昭和30年代までは伊勢では日常盛んに使われていた漆器だったそうで,
全国へも出荷されていました。
プラスチック製品の登場で徐々に使われなくなっていたそうです。
しかし、ライフスタイルの見直しから、改めて伊勢春慶の良さが見直されてきているそうです。




蒔絵。




木葉天目茶碗と青白亜鉛結晶釉。

いずれも陶磁器を作るときの技法で、自然の木葉を釉薬に溶け込ませたり、
釉薬の表面に大きな結晶が析出した釉薬を結晶釉というそうですが詳しくは分かりません。
私がです。




籐工芸品。

写真の左側に見えるのは乳母車です。
我が家にもまだ残っています。




中央に見えるのは階段箪笥。
昔の古い商家などによく見かけましたが、現在でも作られているとは思いませんでした。
全体が見られませんが左に側に見えるのは、伊勢箪笥と呼ばれるものです。




新しいものでは吹きガラス製品も見られました。




八角厨子。

厨子は仏像を安置するためのものですから、神宮とは全く関係なく、
現在もある工芸品というところだと思います。



このほかにも掛け軸、提灯、真珠加工品、値付などが展示されていましたが、
真珠加工品や根付はショーケースの中に納められ撮ることができませんでした。




「根付(ねつけ)」とはいかなるものか私は知りませんでしたが、
もともとは、江戸時代に煙草入れ、矢立て、印籠、などを紐で帯から吊るし持ち歩くときに、
用いた留め具の役割をさせたものだったそうですが、それが装飾性が重視されるようになり、
現在では、実用性は薄れ穴の空いた小型の精緻な彫刻として扱われているようです。

どれほどの規模かは分かりませんが日本の古い文化がまだ伊勢には、
受け継がれてきていることを感じさせられました。




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