+ 写真、とその周辺について。の小論

 今まで数えきれないほど、写真は私を裏切ってきた。
 写真に写っているものは私の目がとらえ、認識したものではない。
 自分の視覚をこえて見えないものも見えるように表現できるのが
 写真の特性といえる。

 人の目の感情的な性質に対してレンズという、感情を持たない
 目は全くと言っていいほど違う風景を見ている。
 人は期待や不安などの個人的な感情を伴って目の前を見る事は
 できないが、カメラ(レンズ)は感情抜きでものを見ることができる。

  例えば、自分にとって非常に魅力的な容姿の人が目の
 前にいるので写真に写す。

 特にその人の輝く瞳に目を奪われたとする。
 とても美しい人だったなぁ、と思い出に浸りながら、
 翌日現像した写真を見てみる。
 ところが写っているのは確かに瞳は綺麗にしても、全体の印象をい
  えば「美しい」という感じではなかった。
 逆もまた然り。

 人は目の前の風景を個人の感情という色眼鏡を通して見ている。
 同じものを見ても人により違う印象を受けるのもその為である。

 写真(レンズ)は色眼鏡を通さないので人の目とは違う。
 写真が可能にしたのは、今まで見えなかったものを新たに
 発見する事だ。
 新たな発見には驚きが伴い、その驚きは自分の想像していたもの
 実際(印画紙上)のものが違うという「裏切り」を経験する事に
 よる。
      
  つまり、人が思い込みで見ている世界から抜け出し新
 しい「ものの見方」を獲得する事である。
 それは人の先入観をこえて、目の前の現実の可能性を広げる
 きっかけとなる。       




★→02〉  写真とは、写真であること自体気...
★→03〉  複製によって存在する画像は、 完...