自党の意見以外は欺瞞的。敵の意見は正論でも反対。

被爆者提出『反核・反戦案』を反対事件

昭和57年(1982年)6月29日

カリフラワーに住む虫は、カリフラワーが全世界だと思っている。

〜ユダヤの格言〜

 日本共産党には、たとえ正論であっても敵の意見であれば反対するという特徴がある。この事件は、その性質をもっとも表すわかりやすい例だ。

 昭和57年当時、ソ連の水爆、中国の原爆の脅威があり、アメリカが小型の核開発を成功。「局地戦でも核を使う・使わない」との議論が起こり、世界中から批判を浴びていた。

 日本でも非核三原則を決めたが、原水禁、原水協が分裂・統一を繰り返すなど、揺れた時代だった。

 この年の6月議会で、故・高橋通夫市議が、議案16号「核兵器及び軍縮問題に関する意見書」を提出した。

 これには、恒久平和の必要性と国が実行すべき5つの要請が書かれ、それを日野市議会の決議として意見表明しようとの提案だった。

 同時に高橋市議は自らが「昭和20年8月6日に広島で被爆した被爆者である」ことも表明した。

 大筋では誰も文句のつけようのない内容だった。

 しかし、日本共産党は反対した。実はこの議会は夏井が市会議員になって2回目の議会だった。

 「彼らは反戦・反核を訴えている。平和の党というイメージを何十年とかけて作ってきた。なのになぜ反対するのか」

 夏井の頭にこのことが鮮烈に残った。

 この件に関して共産党・米沢輝男市議は、「この意見書はきわめて欺瞞的である。市民の目をあざむく内容だ」と答えた。

 夏井が質問しても、どこが欺瞞的なのか、どこがあざむいているのかの話はなかった。

 その後、夏井はこの「欺瞞的」という言葉に度々出会うことになる。他党の議員が、共産党の主張と同じ政策を述べると使う言葉だった。

 すなわち、反対する理由などなかったのである。

 夏井はここに共産党の本当の意味での「欺瞞的」な体質を見た。

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<夏井の目>

 これが私の議会でのはじめて質問です。対立する保守系議員の提案とはいえ、なぜ反核・反戦を訴える意見に反対するのか。しかも被爆経験のある議員の声をなぜ「欺瞞だ」とか、「ウソだ」と言えるのか。ここからさらに私の疑問への追究が深まりました。その結果、彼らは敵か味方かで世の中を見ている視点、「共産党の立場になっていないから反対」と考える発想、敵だから間違っている、だから同じ意見でも「欺瞞的」と攻撃するスタンスを知りました。しかし、それでは対立しか生まない。平和は対話運動です。相手の話を聞くことからしかはじまらない。そのことを学んで欲しいですね。

<スリーピングピッグという傲慢な思想>

 彼らがウソをつく理由にはもうひとつ、この考え方がある。物事の悪の根源は格差社会にあり、ひいては資本主義の構造の中に貧富を生む要因がある。だから革命が必要である。なのに一般の人々はその支配にどっぷり浸かり、深く眠りに付いている。「自分たちは前衛だ。目覚めたライオン」だ。スリーピングピッグは「ウソやデマをついてでも目覚めさせ、教育改造しなければならない」という思考法である。何度もいうがウソや傲慢の先に平和はない。正常な対話こそその鍵である。