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生活とマイカー

クリスのセカンドハウス


 
 ピークスキルは、人口2万のこじんまりした市であるが、土地は結構だだっ広い。高台にあるダイアンの家からハドソンリバー沿いのピークスキル駅まで、歩けば30分はかかる。郵便局に行くにも、市役所に行くにも、みんなその位はかかる。ところが驚いたことに、市内には、バスや電車といった公共の交通機関は何もない。ピークスキルから他の大きな町へ行くバスはあるのだが、市内を走るバスは、黄色いスクールバスだけである。マイカーあっての生活である。

 車のない私は、いつでも誰かの車にピックアップされて移動するばかりであった。実は、日本で国際免許をとって持っていったのだが、なにせ右側通行の左ハンドルである。初めのうちは、人の車の助手席に乗っているだけでも緊張した。特に左折するときは不安になる。信号も勝手が違う。走るスピードも猛烈に速い。というわけで、不便でも車の運転はしないと固く心に決めた。

 ニューヨーク州では、16歳になると、運転免許が取れる。高校に、古い中古車に乗って通学してくる生徒もいる。わがダイアンも、16歳で免許を取り、以来40年間運転を続けているわけで、確かに運転技術は素晴らしい。5月末、ヴァージニアにある長男クリスのセカンドハウスに向かった折、ハイウェイを片道6時間、殆どノンストップ、猛スピードで飛ばしたのには驚いた。助手席の私は、賞賛、いや恐怖にただただ打ちひしがれて(?)、運転もしないのにぐったりと疲れてしまったのである。

 利便を追求した広大な車社会である。ガソリンは安く、道は広い。夥しい数の車とそのスピード。地球温暖化、二酸化炭素削減と、世界の意識は変わりつつあるが、消費社会アメリカの意識は変わるのだろうか。