| No.16 |
ダイニング・ルームで出会った人々 |
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ハーバードの生活は、朝のダイニングルームから始まる。寮費は、朝、昼、晩の食事込みであるから、外出時以外、食事は、このダイニングルームでとることになる。バイキング形式で、たくさんの種類から、好きなものを選んで、好きなだけ食べることが出来る。品数も多く、デザートに至るまで、至れり尽くせりの豪華なものである。しかし、慣れとは恐ろしいもので、初めは満足げであった人達も(私を含めて)、味に文句を言い出す人(私も含めて)も出てきて、週末ともなれば、韓国料理を食べに行こうなどと話がまとまり、みんな大挙して街に繰り出すことにもなる。 さて、このカークランド寮のダイニングルームには、世界中の国の人達が、一堂に会しているといった感があった。アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、スウェーデン、ノルウェイ、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、トルコ、台湾、韓国、インド、メキシコ、アルゼンチン、カリブ海の島々などなど・・・、まだまだ書ききれないたくさんの国々からの人達と、食事をしながら、話をする。他愛ない話から始まって、それぞれの国の宗教、政治、教育問題にも話が及ぶ。英語という共通語の有り難さを知った。 ハーバード・スクエアの周辺には、学生の集まるレストランやビアホールがたくさんあり、勉強が一段落した週末の夜は、寮生達でごった返す。あちこちで、ストリート・ミュージシャンが音楽を奏で、まるでお祭りのような賑やかさである。ドイツ人のベティーナやアルゼンチンから来たビビアーナと一緒に飲んだマルガリータや、ジョン・ハーバード亭のビールの味が懐かしい。 ベティーナは、28歳、ハンブルグ大学で、経済学を学び、PhD(ドクター)を目指す学生であったが、このサマースクールでは、専門外の数学と、ミクロ経済学を勉強していた。何故か気が合い、歳の差を超えて、人生を語り合い、意気投合した。その後、10月には、ハンブルグの家を訪ね、1週間滞在し、2人でベルリンへ一泊旅行をしたり、12月には、今度はベティーナが、ニューヨークの私のステイ先を訪れたりと、その後も交遊が続き、今も文通が続いている。今年のサマースクールに一緒に参加しようと、やっきになって誘ってくるのだが、私には、ハーバードは一生に一度の思い出で十分なのである。 6月22日から始まった夢のようなハーバードの学生生活は、8月16日に終わり、翌17日、ひょんなことで、10日間のブラジル旅行に出発することになった。サンパウロ、リベイランプレト、オーロプレトの各地を訪れ、思いがけない貴重な体験をした後、ニューヨーク州ピークスキルのバーバラ宅に帰り着いたのは、夏休みも後数日を残すばかりの8月26日であった。 |
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