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折り紙を教える
墨絵をかく

  日本の高校では、アルバイトが禁止されているところが多いが、アメリカでは、アルバイトをしない高校生はいないというほど、高校生が働いて収入を得るということは、当たり前のことになっている。何故なら、一般に親は子どもに小遣いを与えないから、子どもたちは、自分の出費は自分で稼がなくてはいけない。放課後は塾なんてものはないから、色々な場所で色々な仕事に励む高校生を見ることになる。

 例えば、ピーターは、ピークスキル高校では学年末に成績優秀で表彰される優等生だが、ウィークデイの放課後は町から少し離れたモール(ショッピングセンター)の洋品店で働いている。いつもにこやかに立ち働いていて、私の顔を見ると、懐かしげに声を掛け、握手をしにやってくる。また、ピークスキルでは、高級とされているハドソン川沿いのレストラン、クリスタルベイに食事に行くと、
「ハーイ!アキラ」
と、顔見知りの女子高校生が、注文を取りに来る。きびきびと働く姿は、昼間の顔より引き締まって見える。

 この他、日曜日に図書館に行くと、カウンター業務から本棚の整備までこなしている高校生の姿が見られたり、放課後の学童保育でも、それぞれの役目を果たしている。3軒目のステイ先のローレンは高校2年生であったが、週2日はこの図書館業務をやり、また、子ども好きなことから、ベビーシッターなども好んでやっていたようである。

 この翌年(1997年)の夏休み、再び訪れたピークスキルでは、ホストティーチャー、ケイの、秋には高校3年になる娘キャサリーンが毎日サンドウィッチ屋さんでアルバイトをしていた。今日はチップが20ドルもあったと、嬉しそうに見せてくれたが、
「大学の学費の為に貯めておくのよ。」 
というケイの言葉に、当然というように返事をしている姿を見て、感心した。

 アメリカでは、18歳が成人である。高校を出て、家を離れ、大学の寮に入るときが、親離れ、子離れの自立の時なのである。授業料も、自分で払うことが常識のようだ。学資ローンの利用、奨学金の確保、そしてアルバイト。クリントン・スキャンダルで有名になったインターンシップ制度なども大いに利用されている。専門の分野で研修の出来る職場で、少額ながら報酬も得られる。1997年夏、マンハッタンにあるペース大学サマースクールでお世話になった美貌のプロフェッサー、タミラは、36歳だったが、
「もちろん、学資ローンはまだ払っているわ。」
と、いうことだった。自由、独立、額に汗して働く、というこの国の建国の精神が、今なお価値観として、人々の考えの基本になっているのだろう。

 子どもたちも、アルバイトを通して、お金の値打ち、コミュニケーション術を学ぶ。自立への何よりの勉強と思ったのだが。