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| bargeとは、船、艀、遊覧船の意。私が初めて訪れたbargemusicは、イーストリバーに浮かぶ小さな船で行われた室内楽のコンサートであった。1997年夏、ロウ・マンハッタンの大学寮にいる私を、バーバラやケイは度々連れ出してくれた。ケイはクラシック音楽のファンで、私の音楽好きを知るや、1996年4月渡米早々の私を、メトロポリタン・ミュージアムの中のThe
Temple of Dendur(デンデュアー寺院)での男声コーラス、CHANTICLEERに誘ってくれたのに始まり、数多くの音楽会に連れ出してくれた。このBARGEMUSICもその一つで、二人でブルックリンまで地下鉄に乗り、ブルックリン・ブリッジの袂、ちょうど私の寮の対岸に停泊する船の音楽会に参加した。この船は、翌日私の寮の窓から見えることを発見し、数日後には、ブリッジを歩いて渡って、船を確認してみたりもした。 船の中は、こじんまりしたワンルームで、、簡易いすが50席は並んでいただろうか。舳先の部分が一段高くなり、ステージがしつらえてある。バックは大窓で、そこからは、今は悲しいWTCの二つのタワーが、暮れゆく空を背景に、美しい姿を見せていた。入場料は、確か23ドル、部屋の後ろにクッキー、コーヒーなどが用意されていた。 プログラムは、モツアルトのバイオリン・ソナタK.301、ショスタコービッチのチェロ・ソナタOp.40、メンデルスゾーンのピアノ3重奏Op49。ショスタコービッチを弾いたチェリストは、20歳、ジュリアードの学生ということだったが、その演奏は、聞き入る人の心を掴んで離さない。水の上に浮かぶ船が会場だから、時折、床も波の動きと共に揺れて、心身共に音楽に揺さぶられる感じとなる。 たまたま、その青年の両親が隣に座っておられたので、休憩時間には、ケイも偉大な音楽家になられるでしょうと、賛辞を述べていた。そして、私は、ひょっとして、アメリカには、或いは世界中には、こんな演奏家がワンサ(?)といるのでは?と思っただけで、いたく圧倒されていた。 ケイはその後2回ほど、娘のキャサリンとこのbargeを訪れ、その都度、プログラムを送ってくれた。 |
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