| 2003年度 |
フッ化物洗口 島根のフッ化物洗口の現状 水道水へのフッ化物添加と浄水器 |
| 2009年度 | 危ない?!フッ素で虫歯予防 |
| 環境問題 | |
フッ化物とはフッ素のことです。フッ素は自然界ではホタル石や氷晶石などの岩石の成分として存在します。虫歯対策としてのフッ素の使用は、斑状歯(まだらに着色した歯、脆く弱い歯になる)の研究から始まりました。斑状歯が多い地域では水道水に自然のフッ素が多く含まれていることがわかりましたが、斑状歯が多いだけでなく、虫歯が少ないこともわかりました。フッ素濃度が高い地域では薄め、フッ素が含まれていない地域ではフッ素を添加することで虫歯予防に適したフッ素濃度にすることをフロリデーションといい、世界の65カ国で行われていますが、人口の8割以上に普及しているのは3カ国、5割〜8割は5カ国です。日本でも米軍の施設で行われています。フッ素は水道水への添加以外にも、フッ素添加塩、フッ素錠剤などの全身使用、フッ素添加ハミガキ、歯へのフッ素塗布、フッ素溶液で口をすすぐフッ素洗口などの局所的使用が行われています。
2003年1月30日、文部科学省は厚生労働省の依頼を受け、都道府県教育委員会の学校保健主管課に4歳(幼児)〜14歳(中学生)を対象に、虫歯予防にフッ素化合物の使用を周知させるよう、「フッ化物洗口ガイドライン」を送付しました。フッ化物洗口は虫歯対策として「フッ素溶液を口に30秒〜1分含んで歯をすすぐ」もので、今国内で保育園、幼稚園、小学校、中学校などの30万人の子どもたちがおこなっています。フッ化ナトリウムが使用され、濃度は週5回実施で0.05%、週2回実施で0.1%、週1回実施で0.2%です。
「保護者に十分説明して同意を取るよう」指導されていますが、現状ではフッ化物洗口を推進する校医の説明会があるだけです。フッ化物を安全とするこのガイドラインには歯科医からも強い反対意見がありますが、保護者には知らされていません。フッ化物洗口の実施主体は保護者にフッ素使用に反対する立場からの情報も提示し、その危険性を十分知ったうえで、する・しないの選択ができるようにすべきです。また、フッ素使用の推進派は歯へのフッ素塗布やフッ素洗口などの歯への局所使用から始めて、最終的には水道水への添加を目指しています。
目次
フッ化物洗口ガイドライン
フッ化物洗口への賛否両論
フッ化物洗口ガイドライン
フッ化物洗口への賛否両論
1.はじめにフッ化物応用によるう蝕予防の有効性と安全性は、すでに国内外の多くの研究により示されており、口腔保健向上のためフッ化物の応用は、重要な役割を果たしている。2.対象者
わが国においては、世界保健機関(WHO)等の勧告に従って、歯科診療施設等で行うフッ化物歯面塗布法、学校等での公衆衛生的応用法や家庭で行う自己応用法であるフッ化物洗口法というフッ化物応用によるう蝕予防が行われてきた。特に、1970年代からフッ化物洗口を実施している学校施設での児童生徒のう蝕予防に顕著な効果の実績を示し、各自治体の歯科保健施策の一環として、その普及がなされてきた。
そのメカニズムに関しても、近年、臨床的う蝕の前駆状態である歯の表面の脱灰に対して、フッ化物イオンが再石灰化を促進する有用な手段であることが明らかになっており、う蝕予防におけるフッ化物の役割が改めて注目されている。
こうした中、平成11年に日本歯科医学会が「フッ化物応用についての総合的な見解」をまとめたことを受け、平成12年度から開始した厚生労働科学研究において、わが国におけるフッ化物の効果的な応用法と安全性の確保についての研究(「歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究」)が行われている。
さらに、第3次国民健康づくり運動である「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)においても歯科保健の「8020運動」がとりあげられ、2010年までの目標値が掲げられている。これらの目標値達成のための具体的方策として、フッ化物の利用が欠かせないことから、EBM(Evidence Based Medicine)の手法に基づいたフッ化物利用について、広く周知することは喫緊の課題となっている。
このような現状に照らし、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図ることは、「8020」の達成の可能性を飛躍的に高め、国民の口腔保健の向上に大きく寄与できると考えられ、上記の厚生労働科学研究の結果を踏まえ、最新の研究成果を盛り込んだフッ化物洗口について、その具体的な方法を指針の形として定め、歯科臨床や公衆衛生、地域における歯科保健医療関係者に広く周知することとした。フッ化物洗口法は、とくに、4歳児から14歳までの期間に実施することがう蝕予防対策として最も大きな効果をもたらすことが示されている。また、成人の歯頸部う蝕や根面う蝕の予防にも効果があることが示されている。3.フッ化物洗口の実施方法
1) 対象年齢
4歳から成人、老人まで広く適用される。特に、4歳(幼稚園児)から開始し、14歳(中学生)まで継続することが望ましい。その後の年齢においてもフッ化物は生涯にわたって歯に作用させることが効果的である。
2) う蝕の発生リスクの高い児(者)への対応
修復処置した歯のう蝕再発防止や歯列矯正装置装着児の口腔衛生管理など、う蝕の発生リスクの高まった人への利用も効果的である。フッ化物洗口法は、自らでケアするという点では自己応用法(セルフ・ケア)であるが、その高いう蝕予防効果や安全性、さらに高い費用便益率(Cost-Benefit Ratio)等、優れた公衆衛生的特性を示している。特に、地域単位で保育所・幼稚園や小・中学校で集団応用された場合は、公衆衛生特性の高い方法である。なお、集団応用の利点として、保健活動支援プログラムの一環として行うことで長期実施が確保される。4. 関連事項
1) 器材の準備、洗口剤の調製
施設での集団応用では、学校歯科医等の指導のもと、効果と安全性を確保して実施されなければならない。
家庭において実施する場合は、かかりつけ歯科医の指導・処方を受けた後、薬局にて洗口剤の交付を受け、用法・用量に従い洗口を行う。
2) 洗口練習
フッ化物洗口法の実施に際しては、事前に水で練習させ、飲み込まずに吐き出せさせることが可能になってから開始する。
3) 洗口の手順
洗口を実施する場合は、施設職員等の監督の下で行い、5〜10mlの洗口液で約30秒間洗口(ブクブクうがい)する。洗口中は、座って下を向いた姿勢で行い、口腔内のすべての歯にまんべんなく洗口液がゆきわたるように行う。吐き出した洗口液は、そのまま排水口に流してよい。
4) 洗口後の注意
洗口後30分間は、うがいや飲食物をとらないようにする。また、集団応用では、調整した洗口液(ポリタンクや分注ポンプ)の残りは、実施のたびに廃棄する。家庭用専用瓶では、一人あたり約1か月間の洗口ができる分量であり、冷暗所に保存する。1) フッ化物洗口法と他のフッ化物応用との組み合わせ5. 「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」
フッ化物洗口法と他の局所応用法を組み合わせて実施しても、フッ化物の過剰摂取になることはない。すなわちフッ化物洗口とフッ化物配合歯磨剤及びフッ化物歯面塗布を併用しても、特に問題はない。
2) 薬剤管理上の注意
集団応用の場合の薬剤管理は、歯科医師の指導のもと、歯科医師あるいは薬剤師が、薬剤の処方、調剤、計量を行い、施設において厳重に管理する。
家庭で実施する場合は、歯科医師の指示のもと、保護者が薬剤を管理する。
3) インフォームド・コンセント
フッ化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的方法、期待される効果、安全性について十分に説明した後、同意を得て行う。
4) フッ化物洗口の安全性
(1)フッ化物洗口液の誤飲あるいは口腔内残留量と安全性
本法は、飲用してう蝕予防効果を期待する全身応用ではないが、たとえ誤って全量飲み込んだ場合でもただちに健康被害が発生することはないと考えられている方法であり、急性中毒と慢性中毒試験成績の両面からも理論上の安全性が確保されている。
A 急性中毒
通常の方法であれば、急性中毒の心配はない。
B 慢性中毒
過量摂取によるフッ化物の慢性中毒には、歯と骨のフッ素症がある。歯のフッ素症は、顎骨の中で歯が形成される時期に、長期間継続して過量のフッ化物が摂取されたときに発現する。フッ化物洗口を開始する時期が4歳であっても、永久歯の歯冠部は、ほぼできあがっており、口腔内の残留量が微量であるため、歯のフッ素症は発現しない。骨のフッ素症は、8ppm以上の飲料水を20年以上飲み続けた場合に生じる症状であるので、フッ化物洗口のような微量な口腔内残留量の局所応用では発現することはない。
(2)有病者に対するフッ化物洗口
フッ化物洗口は、うがいが適切に行われる限り、身体が弱い人や障害をもっている人が特にフッ化物の影響を受けやすいということはない。腎疾患の人にも、う蝕予防として奨められる方法である。また、アレルギーの原因となることもない。骨折、ガン、神経系および遺伝系の疾患との関連などは、水道水フッ化物添加(Fluoridation)地域のデータを基にした疫学調査等によって否定されている。フッ化物応用に関する、より詳細な情報については、厚生労働科学研究「フッ化物応用に関する総合的研究」班が作成した 「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」を参照されたい。
フッ化物洗口推進派の意見
- フッ素は自然の中にひろく分布している元素で、地中、海や河川の水中、動植物などのすべてに微量に含まれ、わたしたちが日常口にしている水、海産物、肉、野菜、果物、お茶にも含まれている。
- むし歯は、歯垢中の細菌が作りだす酸によって歯の表面が溶かされてできるが、フッ素には歯質が酸に溶けにくくなるようにする作用と、歯垢中の細菌が酸を作りだすのを抑える作用があり、虫歯を防ぐ。
- フッ素は、洗口、歯への塗布、ハミガキへの添加などの歯への応用だけでなく、水道水への添加や、フッ素錠剤、フッ素添加食塩などの全身への応用で世界中で使われている。
- 砂糖を減らすなどの食生活の改善は難しいし、特に奥歯の噛みあわせ部分では歯磨きだけでは歯垢が取れない。1度虫歯になると、治療しても再発する。虫歯予防のためのフッ素の利用は、乳歯の生え始める6ヶ月から成人まで一生続けられるべきである。
- 児童の9割に虫歯があり、永久歯の虫歯は4〜15歳の時期に多発するので、医学的に安全で、簡単に集団で実施でき、長続きする学校でのフッ素洗口が望ましい。
- フッ素使用に反対する立場から上げられているデータは、統計的に見直してみると意味をなさない。
フッ化物洗口反対派の意見 フッ化物洗口の問題点を参考にしました。
もっと知りたい方は日本フッ素研究会のホームページ参照。
- フッ素には、急性毒性があり、流涎(よだれ)・悪心 → 嘔吐・腹痛・下痢 → 痙攣・不整脈 → 昏睡と進む。推進派は現行の使用では 急性毒性は起きないとしているが、安全とする基準2 mgF / kgの算定に問題がある。松本歯科大学の笠原らは10mgFを内服した60名中90%以上に不快症状があったとして最小中毒量を0.2mgF/kgとしている。この数値で見直すと特に6歳児のうがい時の飲み込み量は安全とはいえない。
- フッ素には水道水への添加でわかってきた長期摂取で生じる害があり、斑状歯、骨肉腫、咽頭癌、口腔癌、骨フッ素症、骨折や母親になったときのフッ素性ダウン症の恐れなどが指摘されている。日本人の好む海産物、お茶にはフッ素が比較的多く含まれており、日本人の総フッ素摂取量は決して少なくない。これにフッ化物洗口やフッ素添加歯磨きからのフッ素摂取が加わることで長期摂取による危険性は増す。
- WHOは6歳未満の子どものフッ化物洗口を禁忌としている
- 今日本の児童の虫歯は減少しており、12歳ではWHO(世界保健機関)とFDI(国際歯科連盟)が定めた12歳児の2000年目標値である3本を下回っている。フッ素使用の必要はない
- フッ素使用により虫歯が減ったとされるデータだが、フッ素使用時には虫歯予防の必要性や歯の手入れの仕方、ハミガキの勧めや食生活指導もされるので、フッ素使用によって虫歯が減少したとはいえない
- 虫歯の予防は個人の問題であり、そのためにフッ化物洗口をするか否かは、個人の判断・選択(自己決定)に委ねられている。希望制とは言うものの保護者は学校の施策へ事実上反対を唱えにくい。また、フッ化物洗口をしない児童が疎外感を感じたり、いじめにあったりしないよう、配慮する事も必要と思われる。