毎日の症例の中からこれは貴重な体験と感じたものを 飼主様、紹介獣医師の許可を得て掲載しています。詳細はいずれレポートとして報告致しますのでここでは学術的に整理せずその時感じた内容を掲載していますのでその後検討して評価を替えているかもしれません 超速報ですのでそんなこともあるのだと見て下さい。清書したものではないのでお許しください。 という事で転用はご遠慮ください。安藤 

2013.2
最近の興味が症例から診断技術になってきたので症例報告が無くなりましたが仕事をしていないわけではありません。2012年は不整脈以外の心不全では70症例を確定診断しましたので毎回新しい発見と驚きがありますのでまたご報告します。2012年は、循環器学会では肺高血圧症がトレンドでしたが私もその様な状況とは関係なく肺動脈圧をルーチンに測定していましたのでその結果を兵庫県の研究会で報告しました。TRを伴わないもしくは軽度な場合の肺動脈圧を測定して心不全全般の評価に使用する為に行いました。肺動脈圧の流入波形から加速時間を求めて大動脈圧を推測する方法です。肺動脈の変化は、治療や病態変化で敏感に変化するので役立っています。2011年は不整脈の簡易診断法を提唱し近畿学会で報告しました。なかなか簡単で明瞭と自分なりには良い挑戦だと思っています。異論が出ればより良い基準が出来るのでいいなと思っています。本当は実験的検査も行いたいのですが設備が無くて日常検査の範囲で評価していますが常に鎮静や麻酔下での評価が難しく項目によっては敏感すぎて2013年は鎮静処置と心機能を調べないといけないと思っていますがアカデミックな先生がして下さると助かります。情報お持ちの方は教えて下さい
7月第2週の症例
今日は高齢犬の急性心不全例ですが
7月第1週の症例
特に珍しい症例もないので、今週も経過報告にします。6ケ月令♀の仔犬ですが,3ケ月令で発作が顕著になり 呼吸不全 チアノーゼ、イビキが激しく、検査の結果 ASにARも伴っていますが 安静時LVOTmax1.25m/secでした。軽度なMR、TRがあり、E波A波の波形から拡張不全が顕著でした。今日の検査ではASは体全体の成長に伴い若干の狭窄と後部拡張が残るもののARは無く 拡張部での若干の乱流程度であった。拡張能は大幅に改善されMR、TRも消失していた。運動耐性はすこぶる改善し、呼吸も正常であったが 興奮時のチアノーゼは残っています。 軽度とはいえASは突然死のリスクも高いので投薬は継続し経過観察することにしました。この様に若い個体では、投薬による改善か、成長による改善かの判断が難しい。仔犬の時に流出路障害による失神発作がみられた症例が成長と共に消失することがあります。短絡等を見落としていたのかと考えることもありますが、若令期では若干の狭窄は加療によって血行動態を改善しておけばその後成長により、ある程度の回復があるのかも知れないと今日のところは考えておこう。

6月第4週の症例
今週も経過報告ですが、驚くことにファローの四徴症の症例ですが投薬を開始し3週間が経過しましたが、症状は大変よく改善しています。院内での運動耐性は正常です。以前の様に失神することもなく他の犬と遊ぶこともできます。時折呼吸が激しくなる程走る事もありますがすぐに安定します。日常生活では大きな問題が無いまでになりましたがやはり何が起こるか分からない屋外での活動は許可できません どの程度で発作が起こるか調査も必要ですが、実施しません。現在根治療法を考えての内科療法中ですが手術が本当に必要か少し疑問もあります。 そして何よりこの時期を利用してこの様な血行動態での処方について検討することが出来、結果一つの処方が出来ました。やるな心臓内科医

6月第2週の症例
5月に報告した10歳♂の症例ですが一か月検診にこられたので経過を確認しました。経過はすこぶる順調で呼吸、運動性も改善し その後発作も無くなりました。前回上室性頻拍が409bpm 15:52があり 最大心拍も282bpmで250bpm以上の頻拍が多発し長期化していたものが今回、上室性頻拍321bpm 16:38であったが個々のPACは5秒以下の短期間でした。250bpm前後の頻拍も3回ありました。投薬で脱落やポーズは152%増加しましたが最大で3866msであり問題ないのでこのままの処方で治療を継続することにしました。午後4時から6時か一番危険な時間帯なので過度に興奮させない工夫と午後の投薬を3時のおやつ時間に投与するように指導しています。以前からどの程度の頻拍で発作が起こるのかを知りたいと思っています。この様な高心拍では有効な心拍出量が維持できないため5-6秒以上継続した場合には発作が起こるものと思います。この点が検査で重要なポイントとなると考え症例を集めています。次回の学会には整理して発表できるといいな

6月第1週の症例
ファローの四徴症(心室中隔欠損、大動脈騎乗、肺動脈狭窄、右心室肥大)
心電図的には完全右脚ブロック症例
1歳4カ月♀
他院にて内科的にコントロールされていた珍しい症例です。当然心エコー検査が確定診断法であり病態把握には必須ですが
心電図からも病勢を観察することが出来ます
室内での安静な生活では酸素室がいらない程度にコントロールできますが 運動、興奮時では呼吸困難、チアノーゼが明瞭です。
できるものなら散歩等の外出が出来る通常の生活をめざして、外科手術に持ち込めるように準備するのが今回の役目です。

5月第4週の症例
三尖弁異形成(エプスタイン型)
心電図的には徐脈頻脈症候群例
4歳♀
1日に数回発作がある症例です。この様に失神発作がある場合には必ずホルター心電図検査が必要です。発作の原因を把握しなければ治療が出来ません。ルーチンな心電図検査ではT度房室ブロック、U度房室ブロック(モビッツ型)、洞性不整脈、心室性期外収縮、補助収縮等を認め 徐脈性の失神発作かと思われました。事実 脈の脱落は最高4333msで500回/日あります。しかし ホルター検査では失神はHR300bpmを超える上室性期外収縮 17000個/日によるもので心室性期外収縮も471個/日(2連は36個)も散見されています。
三尖弁異形成もあまり多いものでは有りませんが経験した3例とも同一犬種で心臓以外にも奇形を伴っていました。病態を精密に検査したのは2例です。心エコー検査でも微妙に収縮がずれる様子が見られます。従って心不全も進行していました。内科的なコントロールを目指して治療しています。一般状態は改善されつつあります。

5月第3週の症例
左脚ブロック
15歳♂
最近 中国で講習会をさせていただいています。しかし 現状に則した物という事でルーチン検査の定番心電図検査を次回から行うことにしていましたので症例を整理していました。時に完全房室ブロックに陥ることもありましたが基本的には左脚ブロックです。高齢にありましたので定期検査に加えて今回は精密検査を行いました。まずは改めて10年来治療し続けた患者さまに敬意を表します。左脚ブロックは、基礎心疾患を持っていることが多く致死的ですのでできれば初期から生活改善、薬物コントロールが必要であろうと思います。 一般的に心拍数は維持され血圧も良好に推移します。安静に生活さえすれば特別な処置は不要かもしれませんが、普通の犬と同じように加齢に伴い心臓の変化が生じます房室弁の変性、心室中隔をはじめとする心筋の変性、左室容量負荷、弁の逸脱、収縮力低下、特に心室中隔と左心室自由壁の同調性の不一致がこれを増幅させているので基本的な心不全ケアーが必要です。

5月第2週の症例
上室性頻拍
10歳♂
時折失神発作がある。高血圧症NIBP176/115(123) SPO298 肺高血圧も疑われる。心不全症状もあり投薬開始 2/1ホルター心電図検査にて総心拍数96797/日 最小32、最大282、平均65bpm 上室性頻拍409bpm 処方後経過観察し本日3回目のホルター心電図検査にて上室性頻拍の若干の改善があったが大きな改善は見られないが臨床兆候は明らかに改善して発作もみられなくなった。同様に脱落も増加した。3回であるが心室性期外収縮もみられた。臨床家としてはここでしばらく経過観察とする。薬の再評価は1カ月単位なので飼い主が感じる以上予見が無い限りこのペースである。 ホルター心電図検査はきちんと基礎データが取れていれば後は簡単であるが不整脈の分類は検者の能力によるので時間をかけて十分検討したい 今年は心電図検査法の講習会が始まるので特に気になるので心電図を中心に気になる症例を挙げていきたい。

5月第1週の症例
三尖弁閉鎖症(Tricuspid atresia)9歳7か月♂
心電図的には洞調律、不完全右脚ブロック症例
循環器を専門にしていると言いながら未だ体験していない代表的な病態が2つありました。そのひとつが三尖弁閉鎖症です。当然先天性であり体験することは無いであろうと思っていました。ところが人ではリュウマチなどの合併症として散見されるそうですが病名から想像すればそんな状態なら即死だろうと思っていました。この症例もショック状態で来院されました。低血圧、循環障害のため抗ショック治療を行い循環血液量を増加させながら、酸素、血圧、利尿をコントロールしましたが高血圧では呼吸困難が悪化、血管拡張で低血圧では心停止、呼吸停止、微妙に血圧を調整しながらコントロールNIBP166/53(83)に努めましたが12時間後に死亡しました。心エコーで確認した奇妙な病態は三尖弁の中隔尖、壁側尖は粘液腫様変性して2つの栓子と共に癒着閉鎖し 僅かに角尖周辺のみが開口していました。左心壁、心室中隔は肥厚して左室流出路を弁下で狭窄させていました。胸腔内、心膜腔内は綺麗でした。フィラリヤ症の既往歴がありました。

4月は狂犬病予防で忙しく ルーチンな血液検査に追われたので今週の症例はお休みします。