ある年の3月1日でした。
それは護岸の下が流れにえぐられた小場所でした。
イクラを付けた仕掛けを流芯の脇に流すと虹のように光る大物の魚体が
えぐれの下からゆらりと出てきたのです。
その時、私はとんでもないことにまき込まれたような気分になりました。
まず、こんな場所でこんな大物。そしてこの大物を獲れるか獲れないか、
それは天国と地獄以上の開きがあるということ。
そしてこのような幸運者に数多くの釣り人の中から選ばれてしまったこと
等々が頭のなかを過ぎりました。
一度仕掛けを切られたものの、イクラの魔力の力でモノにすることができました。
下顎がすこししゃくれて完全に天然化した体長60cmの化物でした。
その夜、釣友を集めて祝杯をあげたのは言うまでもありません!
新聞記事にもなりましたが、私にとってはもうこれ以上の大物をつり上げる事は
ないでしょう…。
現在剥製とカラー魚拓で想い出の魚として生きています。
仲間の間でもなぜそのような場所にこんな化物が居たのか暫くの間謎でした。
それから2,3年後になって解ったのですが、私の釣ったすぐ上に昔の養魚場が
あったのです。その中の1カ所の水槽に水が流れ込みいつの間にか砂が溜まり
水槽自体自然化してその中で取り残された虹鱒が成長していたのです。
誰かが金網越しに釣ろうとしたのか、仕掛けなども絡みついていました。
私が仕留めたヤツは何処をどうやって逃げたか解りませんが、
その小場所にいたのです。ラッキーな1匹でした。