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劇場版 「遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」について
<作品の概要>
2016年春に劇場公開され、2016年秋に4DX版として再度公開された、オリジナルストーリーによる遊戯王アニメーション。時系列的に闘いの儀の後日譚であるだけでなく、内容的にもコミックスの設定に沿った(従ってアニメとは異なる)、「原作の続編」。
(あらすじ)
<感想>
春の公開時は見送ったもののその後かなり原作テイストらしいという情報を仕入れ、4DX版での再上映を観てきたオールドファンの感想です。
全体的にイメージ通りの遊戯王だったので安心して観ることができました。
盛り沢山の内容で理解できなかったところも多いのですが、それでも充分楽しめたし、気に入った映画は大抵ディスクで再視聴するようになってきているので、むしろ内容は濃いにこしたことがない、という気持ちです。
ストーリーについては、まず海馬社長の計画の成否が作品にアテムが登場するかどうかという観客の興味と対応しているのが上手いですね。
社長の再戦へのこだわりは意外に思えたのですが、考えてみると原作でも義父への復讐にとらわれていたりしたし、どうもある種の事柄となると合理性を発揮できない性格は以前からのようです(アニメでは薄められているけれど、原作は結構ダークでオカルトでクレイジーだった、ということを想い出しました)。
それでいてやることの規模は桁外れなので、本人(と多分スタッフ)は大まじめでも傍目には面白く、そこまでやるかというレベルまで突っ走っても悲壮にならないという。呆れはしますが社長があそこまでやらなかったら、もっと軽くて特別感のない作品になっていただろうと思います。
あとは他人に迷惑をかけない限り自分の価値観に従って好きにやればいいと思うので、あの強烈に目的に向かって進む姿も悪くないなと。年寄になって欲求や執着というものの大切さを痛感するようになったので、なおさらです。
遊戯達の進路も語られましたが、遊戯が将来はゲーム(ネットワークゲームとかではないローテクのもの?)制作をやりたいと言っているのがいいなと思いました。ゲームで遊んでいた子供が長じて制作側になり、そうやって世の中が循環していく、というところが。
コミックは童実野高校を舞台に学園物的にスタートして最後はエジプトの砂漠の真ん中だったのが、今作は卒業シーンまで描いていて、真の完結編にもなっていますね。
ディーヴァ達プラナ関連では、どうやって次元を移動させるかとかなぜアテムが帰還すると不都合なのかとか結構基本的なところが理解できていないままですが・・・
彼らはカルトというか、お互いを批判できない均質な集団が極端に走って問題を起こす見本なのでしょうか。同情すべき点も多く
それほど残酷でもなく選良意識もなさそうで、要するに敵役らしくないので(どうかすると海馬Co.のほうが悪の組織みたいだったり)、その分ちょっと対立の構図が弱くなっていたかも。成功しているかはともかく、何らかの同時代的な問題をとりあげてメッセージを送ってくるところが嬉しいです。別に全ての映画が分かりやすい感動作でなくてもいい。
ちなみに多数の次元が存在するという設定からは、現実の遊戯王原作とその派生作品の存在を連想してしまいました。
扱いが難しかったであろうファラオは、原作設定を破たんさせない程度に登場して美味しいところを持っていったので、これには皆納得したのでは。やたら厳かに扱われるより普通にデュエルするところが見たかった気もするのですが、それこそ過去の亡霊になってしまうのかなあ。
ところで海馬が最後のデュエルでディーヴァに追い詰められた時にアテムを呼べと言い出すのは、自分が「オベリスクの巨神兵」の召喚に成功した経験に基づく発言なのでしょうか。アテムはモンスターではありませんけれど(ちなみに神でもない・・・はず)。
ラストは明示を避けてはいるものの、スタッフはこの手の続編は今作で最後というつもりで海馬を送り出しているのでしょう。
何にせよファンはこれまでも創造主の次元とは異なるところにそれぞれのキャラクターを住まわせてきたわけで、それはこれからも変わらないのだと思います。
デュエルに関しては、ルールそのものはアニメ遊戯王デュエルモンスターズ終了時点とほぼ同じで、最近のオフィシャルカードゲーム(OCG)環境を知らなくてもいいようにできていました。むしろ困ったのは情報量の多さと展開の速さ。新カードが多く、しかも大抵が複数効果持ちでテキストが複雑。少し予習していった位ではついていけなかったです(制作側も細部を理解させることを放棄している?)。
凝ったデザインのモンスターをゆっくり見せないのは勿体ないけれど、迫力はあったので大画面を生かした演出としては妥当かもしれません。これまでの作品と比較するから違和感があるので、こういうものとして(説明されなかったとはいえきちんとOCGルールに照らしてデュエル構成されていたようなので)余計な心配をせずに雰囲気で見ればいいのかな。
リニューアルされたお馴染みのモンスターが出てくるのが嬉しかったです。「真究極竜」が三回攻撃可能になったのは原作の「究極竜」の効果の復活ですね。遊戯がマジシャンをデッキに残しているのでガール達も拝めたし。
「方界」モンスターの共通点は戦闘を行った相手モンスターを攻撃不能にして効果を無効にし、戦闘後にさらに高レベルのモンスターカードをサーチできる、といったところでしょうか。序盤にモンスターを召喚して波に乗ると止めるのが大変なようです。
海馬と遊戯の一戦が一番オーソドックスで面白かった。最後の勝敗が気になりますが。映像的には「ブラックマジシャン」の攻撃は成立して、カウンターの数値が100で止まってから、ディーヴァがやってきたように見え、しかしLPが100残る理由が見当たらない。ストーリー上はアテムはパズル内にはいなかったけれど最後に登場するので、「死者蘇生」が無効になってもまだ手はあるかもとかつい余計な憶測を。
はじめ遊戯を問題にしていなかった海馬が、この対戦の後ではきちんと実力を評価して態度を改めてくるのが恰好よかったです。
映像面については本当に美しく、統一感もあって素晴らしかったです。
4DX版の感想は・・・スモークは少なめで、水かけはoffだったので不明、座席はよく揺れましたが、予め酔い止めを飲んでいたせいか大丈夫でした。
デュエルシーンにはよく合って、海馬Co.の体感型ゲームをプレイしている気分が味わえます。
あとはディスクで。滅多にない企画だと思うので気長に時間をかけて楽しませてもらおうかと。
