第2章 日本特許1359005号(JP1359005号)について 説明のつかない不思議で具合の良い現象が現実に展開されていることが、このホームページの切っ掛けです。 家畜糞尿が短時間に完全殺菌・脱臭され、その処理生成物を耕地に利用すると、数多の作物で収量が増えて、美味しいものが収穫され、更に、作物の売上の増加が糞尿の処理費用を上回ることから、このような具合の良い事態が安定的に継続して営まれています。 具合の良い現象が現実に生じているのだから、それを真似れば、誰もが何処でも具合の良い現実を再現できます。しかし、余りにも予想外のことなので真似る人も多くはありません。説明のつかない不思議な具合の良い現実を、自然の摂理に準じて理解できれば、誰もが具合の良い現実を取り入れることができます。誰が考えても具合の良いことを、誰が考えても納得できるものの見方があれば便利です。このホームページは、この不思議で具合の良い現実の背後に潜んでいる自然の摂理を見極めるために検討したものです。 このホームページの結論を先に示せば「ある種の有機物が作物に吸収され、作物の成長を促進している」というものです。 「植物が有機物を吸収する」と言う現象は、100年以上も前から科学的に調査・研究され、普通の植物は多数の有機化合物を吸収できることが確認されています。しかし、その吸収量は極めて少なく、更に、成長を阻害する例も数多く、有機物の吸収が植物の成長に大きく貢献している事例が皆無なことから、その存在を見捨てられていたといえます。
1.日本特許1359005号(願56−124647号、開58−27699号、公61−21720号) 1980年に日本特許庁へ出願され、その後の審査によって日本特許1359005号(廃棄物の処理方法および装置)として認められた特許発明があります。その出願明細書には大変具合の良いことが記述されています。勿論、日々出願される膨大な特許出願のほぼ全ての明細書には、大変具合の良いことばかりが多々記述されていることには違いありません。この特許の公報や書類については日本の誰もが直接接することができます。 その概要は次の通りです(正しくは、上記の特許の書類を参照してください)。 1)家畜糞尿と生石灰CaOとを10分ほど撹拌すると、糞尿が殺菌、脱臭される。 2)この反応生成物を床に広げて乾燥すると、固体粉末になる。 3)この固体粉末を土壌改良資材として10a当たり2トンを用いて栽培すると、いろいろな作物で収量が増え、1.9−3.5倍の収穫量になった。 
家畜糞尿にはいろいろな病原菌が含まれ、臭く、汚物感が漂う(汚物そのもの)ので、それが殺菌され、脱臭されるのであれば、公害防止の観点からして大変好ましいことです。この発明の名称は「廃棄物の処理方法および装置」とされ、廃棄物が適正に処理することが主たる目的であることが判ります。 更に、その処理物が土壌改良資材として活用できるのであれば、決して悪いことではありません。前記の表のように収穫量が1.9〜3.5倍というように大きな増加になるのであれば、誰にとっても望ましいことです。栽培の増益が、家畜糞尿の処理費用よりも大きいのであれば、家畜糞尿を河川や野山にこっそりと未処理で捨てるよりも、この方法によって殺菌処理することで価値が増します。犬や猫ですら自らの排泄物を足蹴にするよう代物が、殺菌された方が利益になるということは俄かに信じられない事柄です。この現象は30年以上も継続しているものです。 なお、家畜糞尿に含まれていた窒素分はこの石灰処理によって失われており、「窒素を補給する資材」としては、家畜糞尿のままか或いは堆肥化した方が優れており、肥料効果としては低下しているため緩効性肥料というものではなく、単なる「土壌改良資材」として利用することが推奨され、施肥設計から求められる栽培に必要な肥料成分量の全てを他の資材によって供給することが求められています。即ち、この反応生成物は、肥料効果が無いために、従来用いていた肥料を削減することはできない、とするものです。
2.JP1359005号に基づく技術の実績 この技術は、この30余年で幾つかの施設が建設され、そこで生産される処理生成物は「土壌改良資材」として、数千haの耕地で利用されています。 この土壌改良資材は、多くの場合、継続して連用されています。その実績は次の通りです。 1)提案されてから今日まで、ほぼ拡大を続け、数千haになっている。 2)水稲、蔬菜、果樹、花卉、樹木、芝等、経済的価値を持つ栽培の殆んどの品目で利用されている。 3)その効果は、収量の増加、食味の向上、連作障害抑制、老木の若返り、高山植物の着生など多様なものがある。 4)土壌改良資材として流通しているが、適用品目、適用土壌などを考慮せず、栽培している換金作物の全てに用いているように見える。 5)ほとんどの利用では、毎年連用している。「土壌改良が終了したから施用を止める」ということはない。 6)開花の衰えた桜の老木に施用し、樹勢が回復し、より旺盛な開花となり「若返り」と言われているが、従来そのようなものはない。全ての生命体は、その生存期間中の時の経過と共に常に死期に近付いており、「若返って、寿命が延びる」ということは疑わしい。桜の開花が旺盛になり、寿命が延びることに経済的な価値はないが、世界中で日本だけが例外的に、桜の開花に経済的な価値があるように見受けられる。花見に桜の開花は不可欠であり、三春の滝桜のように、桜の古木ほど日本では珍重されている。 7)処理の原料は、家畜糞尿の他に食品加工残渣が用いられており、多様な有機廃物が原料となっている。 8)耕地の産物が処理コストを上回る増益になるため、処理者・耕種農家双方に増益をもたらしている。なお、この石灰処理工程の費用については、結果的に土壌改良資材を利用する耕種農家が負担していることになり、処理者は、処理によって些少の利益が生まれている。 9)特筆すべきは、「収穫物が美味くなること」であり、それが最も重要な役割を演じているけれど、美味さの価値を客観的に計量する術が無い。 10)なお、NPK化学肥料は通常の慣行農法と同じ量が施用されており、それが削減されることはない。この土壌改良資材の施肥コストに比べれば、NPK化学肥料のコストは少額なため、NPK化学肥料の削減の如何は関心の対象になっていない。肥料や経費の削減よりも「良いものをたくさん生産して収入の増加を図る」という視点で努力を重ねているように見られる。 11)この土壌改良資材の施用量は、10a当たり1〜2トン程度であり、耕作者により幅がある。ただ、水稲は実り過ぎて倒伏し、稲穂が泥まみれになって収量が減少するので施用量を0.6トン程度に抑制し、過度に生育しすぎないようにしている。土壌改良という視点では理解できない使用にみえる。 12)水田・畑地・果樹園等いろいろな土質に対して、分け隔てなくこの土壌改良資材が利用されているのは納得できない。また、水稲・果菜類・根菜類・葉茎菜類・各種果樹・茶等ほぼ全部の換金作物の他、桜のような観賞用樹木にも用いられており、これらに共通する土壌改良効果というものは従来の土壌改良の概念では理解できない。本来の土壌改良は、作物の種に応じた最適な生息土壌を見極め、現状の土壌を調べ、その差を解消すべく、適切な土壌改良資材を選定して土壌改良を行うものであり、所望の土壌改良が達成されたならば、その後は、当面、土壌改良を要しない。品目を問わず、土壌も問わず、毎年同一の土壌改良資材を施用し続けるのは、適正な土壌改良とはいえない。 このように、JP1359005号の技術の利用は、まだ数千haの耕地に止まっていますが、漸増を続けており、この資材を利用する栽培を経験した耕作者は継続して利用を続けています。言い換えれば、従前の栽培手法に比べて「有益」になると考えているようです。 全体についていえば、「家畜糞尿が殺菌、脱臭され」、そして、処理生成物を利用する耕種農業では「処理コスト以上の価値の創造」となっているので、糞尿が殺菌、脱臭することで、むしろ、畜産・耕種農家の双方に利益がもたらされています。 言い換えれば、家畜糞尿を未処理で投棄するよりも、完璧に殺菌した方が利益を生み出していることになります。 これを「家畜糞尿の有効利用」ととらえれば、畜産・耕種農家ばかりでなく家畜の排せつ物によって有形無形の被害を受ける人にとっても良いことと言えます。 しかし、通常の常識では考えられないことです。池のような大きな水溜りに排泄物を大量に貯留し、大雨の時に水溜りの土手が決壊して流れ去る事例も海外では散見されます。 農業先進国として著名なフランスでは、国土の1/3にあたる広大な面積において、地下水が家畜糞尿に汚染されて飲用に適さないことが指摘されています。勿論、著名なミネラルウオーターを飲用することで実害はありません。しかし、原油が枯渇し、物流・移動手段が困難になった時、水の飲めない大地は死の大地になります。 デンマークのような酪農先進国では、家畜の排せつ物が過剰に環境に影響を及ぼさないようにするために、家畜の飼育数は施設の面積によって規定しています。これは、今の畜産では、家畜糞尿を完全に殺菌処理することが経営に大きな負担を与え、実質的に無理であり、草地における自然の自浄作用によって処理することです。家畜の飼育数を飼育施設の面積によって規制することは世界的にも先進国とされる国々で採用されている対応です。
3.日本の家畜糞尿の量と始末の現状 日本では、約9000万トンの家畜糞尿が発生しています。 この家畜糞尿にはさまざまな病原体が含まれており、また、臭気を伴うことから汚らしく、一定の飼育規模を超えると適正な処理が義務付けられています。勿論、少量だからといって家畜の糞尿が汚物ではない、というものではありません。 糞尿は量の多少にかかわらず糞尿であり、汚物です。家畜糞尿は産業廃棄物に規定され、堆肥化、メタンガス化、炭素化、液状堆肥化等のように、汚物を処理して価値のあるものへ転換することがなされています。 いろいろなものへ転換されているという現状は、処理に困っていて、いろいろと適切な処理を模索しているとも言い換えることができます。具合の良い処理と利用価値の高い用途が見出されているのであれば、産業廃棄物とか汚物という見方をされず、その特定の具合の良い処理に集約されるはずです。いくつもの処理方法が存在することは、具合の良い処理と利用先がないことの証左といえます。例えば、パルプ製造時に発生する「黒液」は、従来であればそのまま放流されていたものが、製紙工場による公害がひどすぎるために今日では、黒液を濃縮して回収ボイラで燃焼し、蒸解工程で使用する薬品を回収し、そして、汚水の放流を止めています。黒液の始末として燃焼が優れているために、黒液を他の方法で処理することはありません。黒液の100%が回収ボイラで燃焼されています。 巧みな処理技術が生まれた場合には、ほぼ全ての処理がその技術に集約されます。家畜糞尿もいろいろな処理が提案され、実施されているのは巧みな処理が存在していないと言う見方もできます。 年間発生量が約9000万トンなら、国民一人当たり毎日2kg程度の量になり、これは人間一人の1日の排泄物の量とほぼ等しい量です。しかし、人間の場合には、圧倒的に尿量が多く、糞の割合は低いです。他方、家畜糞尿では、糞の割合が高くなり、鶏に至っては、尿は排泄せず、全量が鶏糞です。このため、排泄物から水を取り除いた固形分で見れば、畜産施設からは膨大な量の排せつ物が発生していると言えます。 人間のし尿は適正に収集され、適正に処理されていますが、そのためには多額の費用を要しています。 畜産施設では、人が発生する排泄物よりも、桁違いと思えるほど、はるかに多い量の排せつ物が発生し、そして、畜産業と言う正業の範疇では、その適正な処理に要する費用を得る術がないのが実情です。 口蹄疫や鳥インフルエンザというような家畜伝染病が発生し、社会的な問題となり、飼育施設内の家畜を全て処分し、消石灰を混ぜて遺骸・糞便を地中に埋められています。 また、「病原性大腸菌O-157」というような家畜の糞に含まれる大腸菌が牛乳のような食品に広がり、給食のように多数の人が利用する食材を介して爆発的な被害を発生させることも時折見られます。ただ、家畜のように勝手気ままに移動する動物に起因する事案は、原因を特定することが困難です。 JP1359005号のように、反応器内に収容された家畜糞尿が生石灰CaOの混合によって10分程度の反応時間で殺菌、分解されるのであれば、前記の「消石灰を混ぜて遺骸・糞便を地中に埋める」こととほぼ等しいものとなります。即ち、JP1359005号の処理は、口蹄疫や鳥インフルエンザが発生した時の厳格な殺菌処理対応策を、日々行っているようなものです。 家畜糞尿を生石灰によって殺菌処理する場合のフロー図を次に示します。水の供給は、処理物(家畜糞尿等)の水分が低い時に利用される加湿水です。鶏のように「糞だけ」の家畜糞尿の処理の事例です。豚や牛は、糞尿を合わせると流動性が良い状態になり、更に、施設内の洗浄水で希釈されることから、通常は水の追加はありません。 
4.当ホームページとの関連 当ホームページは、日本の一部で行われている上記の「理由は判らないけれど猛烈に都合の良いこと」が、日本中、世界中の誰もが簡単に良さを理解し、効率の良い所作を導入することを願って、できるだけ理路整然と、誰もが簡単に理解できる自然の姿を模索した結果です。 従って、「耕地の生産性が2−3倍になる」「美味しくなる」「肉乳卵よりも糞尿に大きな価値がある」というような見方は、ものの見方を述べたものではなく、現実に存在していることを述べたにすぎません。ただ、「経済的な価値」については、その時の社会情勢で変わるものであり、あくまでも、今日(1980〜2010年頃)の日本の一般的な状況の下でのことです。 このことは現実に存在しているものである以上、その真似をすれば同様の効果を奏することができます。従って、このホームページで紹介する栽培の効果は、疑いもなく現実に存在しています。 ただ、家畜糞尿を完全に殺菌して圃場利用することが、家畜糞尿をそのまま捨てることよりも大きな価値を創造するという現実は一般的には信じ難いことです。本来であれば、未処理で費用をかけずに放置したい家畜糞尿に対して、多額の処理施設を設置して家畜糞尿を殺菌処理することは常識的には考えられません。 また、耕種農業においても、従来からの肥料の削減効果がない土壌改良資材を高額な費用を投じて使用することは考えられません。また、同一の土壌改良資材が幅広い作物の栽培に利用できると言うことも有り得ない話です。 このため、余ほど科学的に明快な解釈で、「家畜糞尿を生石灰CaOで殺菌処理すること」「その残渣を栽培に活用すること」が有益である旨表現しなければなりません。 なお、JP1359005号の技術について「家畜糞尿と生石灰CaOとを混ぜるだけ」と考えがちかもしれません。しかし、それだけでは驚異的な現象が出現しないため、敢てJP1359005号の特許発明という特異な所作を提案したといえます。 |