植物が有機物を吸収する/収量が2-3倍に高まる炭素肥料、17種全元素施肥栽培という考え方

第4章 このホームページに関連する基礎的な事柄


最終訂正西暦2014年01月04日:開設西暦2014年01月04日

第4章 このホームページに関連する基礎的な事柄

この第4章では、当ホームページに関連する基礎的な事柄の幾つかを記します。このほぼ全ての事柄は「常識」に属する事柄です。

しかし、たとえ常識的な事柄ではあっても、日ごろ接する分野と掛け離れている場合には咄嗟に思い浮かばないこともあります。

そのような時の便宜のために、ほとんど誰にとっても争いのない事柄の幾つかのものを、この第4章に取り上げます。


1.植物の必須構成元素とその凡その割合

植物には膨大な種類があり、その外観や性質や存在量は俄かに正確に把握することは困難です。

しかし、凡その理解として、植物の必須元素は、次の17元素と考えられ、また、大雑把な含有率は、其々の後の数字と考えられています。

炭素C45%、酸素O45、水素H6、窒素N1.5、カリウムK1、カルシウムCa0.5、マグネシウムMg0.2、リンP0.2、硫黄S0.1、塩素Cl100ppm、ホウ素B20、鉄Fe100、マンガンMn50、亜鉛Zn20、銅Cu6、モリブデンMo0.1、ニッケルNi0.1。

なお、植物の必須構成元素は、今後の研究で追加される可能性があります。ただし、その時は、より微量な割合を占める元素となるものと思われます。このホームページでは、微量の元素ではなくCOHという大量に含まれる元素に関係する事柄のため、COHNPK以外の必須構成元素に触れることはありません。しかし、「必須構成元素」である以上、植物の成長には欠かせない元素であることに変わりはありません。養液栽培のように高い生産性を誇る最新の栽培形態では、必須構成元素の全てについて最適な濃度を維持しています。なお、植物の必須元素を16種類としている文献も多数あります。21世紀になってから、Niが追加されて、17種類となったようです。

ここで、COHの3元素は光合成によって獲得できる元素であり、格別な施肥は行われていません。この図から、NPKおよびそれ以下の必須構成元素の割合が極めて少ないことが判ります。

大雑把にいえば、COH:NPK:残り=96:2.7:1.3となります。通常の土耕では、NPKの3つの肥料要素だけで栽培をしているものも多数あります。


2.原形質(細胞)の成分の割合

植物や動物のような生物では、水が大きな割合を占めていることはよく知られています。

生物の体内ではさまざまな化学反応が進行しており、その数は数え上げることができません。約930万種以上とも言われる有機化合物が生物の体内で合成されています。その時の反応剤は、殆んどの場合、水に溶けて反応しています。水に溶けていない繊維素のような物質でも、水に溶けている小さな有機化合物が徐々に付加されて巨大で、水に溶けない繊維素となっています。このため、植物は水の豊富な組織となっています。

原形質の成分の割合を見ても、約70%もの重量が水によって占められています。

原形質の成分の割合を見ることで、どのような構造の有機物がどの程度存在しているのかが類推できます。

原形質の固形分は約30%で、固形分の成分の概略の内訳はタンパク質16.5%、脂質6%、炭水化物3.5%、核酸1.3%、無機塩類0.5%、その他2.2%と言われています。

タンパク質は、約20種類のアミノ酸がいろいろな順番で多数結合することで構築される生体組織であり、その結合部分は「ペプチド結合(−CO−NH−)」と言われています。強いアルカリ性が作用した時にペプチド結合が切断され、元のアミノ酸を通り越して有機酸まで分解することが知られています。

脂質は、グリセリンと脂肪酸とが結合したもので、グリセリンと脂肪酸だけからなる単純脂質と脂肪酸の一つがリン酸化合物となっているリン脂質(生体膜)やステロイド、カロテノイドのような複合脂質があります。特に、細胞を構成するさまざまな機能組織は、生体膜によって機能が区画されており、細胞全体に渡って作用を及ぼす場合には、生体膜の存在が邪魔をします。このため、生体膜を的確に破壊することが重要です。

炭水化物は、単糖類、二糖類、多糖類などがあり、特に多糖類は、「―C−O−C−」というように炭素と酸素とが結合したものです。この炭素と酸素の結合を切断することで小さな有機化合物へ分解することが判っており、デンプン、セルロース等を分解してバイオエタノールとする研究が進められています。

核酸は、生命の遺伝情報をつかさどる物質です。核酸を分解することでウイルスの機能を消滅させることができます。量的には少ない物質ですが、これを的確に分解することは、糞尿や汚染物の殺菌という観点から重要な事柄です。


3.光合成

植物が光合成を行っていることは、誰もが知っています。

光合成は、植物の葉緑体において、光、炭酸ガスおよび水からブドウ糖(炭水化物)と酸素を生成する反応です。

その量的な関係をもっとも簡単な化学反応式で示すと次のようになります。

  6CO2 + 6H2O + 光(686kcal)= C6H12O6 + 6O2

光合成については、まだ完全に解明されたとは考えられてはいません。しかし、適切な状態に保たれた植物に水、炭酸ガスおよび光を与えると、酸素を生成し、また植物が成長します。

専門的な分野では、光合成をもっと複雑な多段階の反応式で示していますが、当ホームページでは、一番簡単な反応式を利用しています。

また、上記の化学反応式における光エネルギーを「686kcal」以外の値としている文献もありますが、当ホームページではその違いを問題としていません。

また、光合成の最初の過程では、C3化合物が生成し、植物自身の体内にあるC3化合物と結合して、C6化合物(ブドウ糖)を生成すると解明されていますが、当ホームページでは光合成の細かなプロセスは関係しないために、省略しています。

地球上に生息している多種多様な植物の殆んどが「独立栄養植物」とされており、炭酸ガス、水、および、NPK以下14種類の必須元素を無機物として与えるだけで、自らが光合成により有機物を生成し、繁茂できるものです。例外的に、従属栄養植物のように、他の植物から有機物を得て繁茂する植物もあります。しかし、ヒトの食糧となっている植物の殆んどは独立栄養植物であり、産業上価値のある植物はほぼ全てが独立影響植物と考えられます。

植物が、他の生命体の有機物を獲得する事例は従属栄養植物と食虫植物に見られますが、これら従属栄養植物や食虫植物が社会に貢献することはなく、単に、学術上において記載されているだけです。


4.植物と光合成

植物が光合成を行うことは誰もが知っています。地球上にはいろいろな種類の植物が存在しています。その種類はあまりにも多すぎて、一人の人間でその全てを直接見た人はいません。

その多様な種類の植物は、葉緑体で光合成と言う単一の化学反応によってブドウ糖を生成し、そのブドウ糖を元手にして多様な種類の形態に繁茂します。

それぞれの植物は、成長の過程で、其々の植物が必要とする必須元素を土壌等の周囲の環境から獲得します。一般的には、その必須元素はNPK〜Mo,Niの前記の14種の元素とされており、植物の種類によっては、ケイ素Siを必須の元素に加えなければならないものもあります。

多種多様な植物が無数に存在していても、それらの生命活動の源となる物質は、ブドウ糖(炭水化物)であり、植物は光合成によってブドウ糖を得ています。ブドウ糖は、明確な化学構造を持つ一つの化合物です。

なお、光合成の生成物である「ブドウ糖・C6H12O6」を、「炭水化物」としている文献もあります。当ホームページでは、状況に応じて、ブドウ糖・炭水化物の双方を使っています。なお、専門的な見方をすれば、光合成の第1段階の生成物は「C3化合物」である、という別の見方もあります。

現在の植物に対する理解では、多種多様な植物の何れもが、光合成という一つの化学反応によって、光・炭酸ガス・水からブドウ糖・酸素を生成し、酸素は大気へ放出し、ブドウ糖を活力源としてそれぞれ多様な植物に成長している、とされています。

光合成の生成物はブドウ糖です。ブドウ糖は1つの化学構造を持つ化合物です。この単一化合物を原料として、それぞれの遺伝子の指令によって、トマト・ダイコン・稲・チューリップ・桜等というように多様な植物体を形成しています。植物の種類によっては、「ビタミンCが豊富なダイコン」「ビタミンAが多いニンジン」「デンプンが多い馬鈴薯」「砂糖が多いサトウキビ」というように、ほとんど「同一」とは思えないような別物のような生命体を形成しています。

しかし、間違いなく、ブドウ糖という単一の化学物質を用いて形成された植物の姿です。

耕作者は、多様な作物を栽培しています。現在、其々の作物の必須元素の割合が調査され、適切な施肥設計、肥培管理がなされています。それによれば、作物毎に、NPKの施肥量が異なっているため、7-7-7とか8-10-8とかいうように、肥料のNPK含有率が異なる肥料が沢山生産され、必要に応じて、適切なNPKの配合割合の肥料が選択されています。

作物に応じて肥料の種類を変えることは可能であっても、作物自身の光合成の生成物はブドウ糖以外に変更することはできません。

哺乳動物であれば、乳幼児の時は母乳で育ち、その後、いろいろな食物を食べます。肉や魚を食べない人、豚を食べない人、牛を食べない人、穀物を中心に食べる人等様々な食物を選択して食べています。食べる食糧の違いによって脂肪が多く太った人、痩せた人等の違いが生まれます。

しかし、植物の主たる活力源は自らの光合成によるブドウ糖であり、これは大多数の植物において共通しています。

ブドウ糖と言うたった一つの有機化合物から、多様な植物が生まれるのは大変不思議に見えます。もっと言えば、生態系の全ての有機物の出発点は炭酸ガスであり、光合成で生成するブドウ糖といえます。

なお、植物は光合成で生成したブドウ糖を大別すると2つの用途に使用します。その一つの用途は、自己の植物体を成長させるための物質として使用する用途です。自己の成長に使用されるブドウ糖は、基本的に自己の植物体内に残留しています。勿論、代謝の過程で酸化され、炭酸ガス・水となって植物体を去るものもあります。もう一つの用途は、代謝の過程で必要とされるエネルギーを生み出す用途です。全ての生命体の共通しているエネルギーがATP(アデノシン―3−リン酸)といわれる化学物質です。ATPが、一つのリン酸基を失い、ADP(アデノシン―2−リン酸)へ転換する時に約7〜10kcal/molのエネルギーを生み出し、代謝の過程において必要とされるエネルギーを生み出し、さまざまな生体物質が生成されています。

ブドウ糖C6H12O6の1モルから38モルのATPが生成されるといわれています。ここで、「ATPが生成される」ということは、「ADPが転換してATPが生成される」と言う意味です。生物体の中では「ATP⇔ADP」の交換が頻繁になされています。

ブドウ糖からタンパク質・脂質・炭水化物・核酸等の成分を含む植物体を成長させるためには、無数の化学反応によって膨大な種類の化学物質を生成しなければならず、其々の過程において物質収支、エネルギー収支を満足する物質とエネルギーが必要となります。


このホームページでは、「植物が有機物を吸収する」と言う現象に拘って、記述しています。

「植物が有機物を吸収して、自己の成長に利用する」のであれば、自己が生成したブドウ糖だけを原資にして成長するという形態とは明らかに異なります。

もし、吸収した有機物が適切に利用できるのであれば、自己の光合成で生成したブドウ糖をあまり消費することなく成長ができることになります。

ブドウ糖という単一の有機化合物から出発しているのが従来の見方であり、もし、「有機物を吸収して成長に付加する」のであれば、成長の起点となる原料物質がブドウ糖の他に、吸収した有機物が含まれてきます。



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