植物が有機物を吸収する/収量が2-3倍に高まる炭素肥料、17種全元素施肥栽培という考え方

第11章 食物連鎖のピラミッド


西暦2014年01月04日

第11章 食物連鎖のピラミッド

この第11章では、有機物の植物へのリサイクル=炭素肥料、という新しい現象が生態系のどのような位置付けにあるかを「食物連鎖のピラミッド」を例にして概観します。

食物連鎖のピラミッドは、小中学生の生徒が自然の生態系のあらましを学ぶ時に、その大枠を理解するための概念です。


1.一般的な生態系の食物連鎖のピラミッド

地球の生態系では、宇宙から流入するのは太陽光によるエネルギーだけであり、地球から宇宙に対しては、同量の赤外線エネルギーが放出されています。地球生態系は、太陽エネルギーを巧みに利用して形成されています。

地球生態系に存在するほとんどの生命体は、植物の光合成によって生命を維持しています。植物の葉緑体では、太陽エネルギー、炭酸ガスおよび水から光合成によってブドウ糖(炭水化物)と酸素を生成しています。そして、植物はこのブドウ糖を利用して自己の組織を成長させ、世代を繋いでいます。更に、動物は植物を餌として自己の体躯を成長させて、世代を繋いでいます。動物には、専ら植物を餌とする草食動物と、動物を餌とする肉食動物とがいて、植物と動物との双方を餌とする雑食性の動物がいます。ヒトは、このような体系の頂点に位置しています。植物の遺骸、動物の遺骸や排泄物はカビの餌となり、カビは遺骸や排泄物を無機物まで分解します。

このようなことから、植物を生産者、動物を消費者、そして、カビを分解者と表現することもあります。

現実には、このような単純な階層にはなっていません。もっと複雑で多様です。しかし、地球生態系の主体である生産者が植物であること、そして、光合成が地球生態系の全てを維持していること、エネルギーが太陽から流入し、有機物と共に生態系の全ての生命体に届けられ、その生命活動を維持している姿が良く理解できます。

ある生命体が増加するには、その下位に位置する生命体が増大しなければならないことも判ります。

しかし、太陽の大きさは変化せず、太陽からのエネルギーの飛来も変化がありません。このため植物による光合成の量は増大せず、徒に特定の生命体を増大させることは無理があります。

この図では、消費者の階層を「動物」と「ヒト」との2つの階層として示していますが、「一次消費者(動物プランクトン)」、「二次消費者(草食動物)」、「三次消費者(肉食動物)」および「ヒト」というようにより多い階層として示すこともあります。

一般的には、階層が一つ上昇すると、階層のエネルギーは「10%以下」になっていると見込まれています。勿論、これは厳密に計量できるものではありません。しかし、上位の階層が安定的に存在し続けるには、膨大な量の下の階層の存在が必要であることが良く理解できます。

ヒトは約50kgの体重で、豚肉と同じ熱量とすれば、1s約2500kcalです。従って、一人の熱量は125,000kcalです。もっと大きい人も、少ない人もいるでしょう。そして、毎日3000kcalの食材を調理して、2500kcal程度の食事をしています。3000kcalの植物の食材なら、その3倍の9000kcalの植物体と見込まれます。従って、1年間に約330万kcalの植物が餌として必要になります。それは、人間の熱量である12.5万kcalの約26倍の植物のエネルギーです。従って、食物連鎖のピラミッドの上の階層にある生命体を維持するには、下の階層が健全に大量に存在し続けていることが極めて重要です。

ただ、多くの場合には、犬や猫のように餌を見ると、脇目も振らず、一心不乱に満腹になるまで食べ続けている事例ばかりが目につきます。


2.耕地の存在

食物連鎖のピラミッドは、地球生態系の基本的な構造を的確に示しています。

ただ、陸地で目立つ存在は「耕地」です。

海や湖のようなものを除き、ヒトが関与する陸地の33%が農地となっています。一人当りの平均農地面積は約6400uと広大であり、一人当り約1000uの耕地の作物を食糧としていると見込まれています。広大な面積です。同じ陸地でも、山野や山岳地帯のようなほとんど人跡未踏な陸地は格別の意味もなく存在していますが、農地は重要な役割を担っています。この耕地を食物連鎖のピラミッドに追加したものが次の図です。

耕地で栽培される植物はヒトの食糧のためです。野生動物のためではありません。耕地から収穫される農産物は、ヒトにとって重要な食料です。食物連鎖のピラミッドでいえば、頂点にあるヒトが、中間の動物を除外し、生産者である植物を直接食料にしている構図です。生産者である植物のエネルギーが効率よくヒトに届けられます。今日のヒトの食糧の過半数は、耕地で生産される農産物が占めています。生態系の食物連鎖としては、異常な形態ですが、しかし、ヒトにとっては極めて合理的な形態です。この耕地の存在がなければ、今のように膨大な人口を維持することはできません。

上の図は私たちが関係する世界のエネルギーの大まかな量です。

太陽が生み出すエネルギーの「約40億分の1」が地球に飛来しています。

その0.1%のエネルギーが光合成によって化学エネルギーとして固定されています。

70億人のヒトの代謝エネルギーは光合成によって固定したエネルギーの1%程度にもなります。それは可食部だけのことで、根、葉、茎というように非食部を含めたら、ヒトの食糧のために全光合成の3%程度のエネルギーを占めている計算です。

地球上の全ての光合成を人間の食糧の生産のためだけに振り向けるだけで、ほぼ全てを消費されてしまいます。

食物連鎖のピラミッドの数多くの階層を重ねてヒトが食糧を得ていたのでは、地球上の70億人ものヒトが生息できません。

なお、この図から化石燃料として膨大なエネルギーが供給されていることが判ります。ヒトが本来必要なものは「餌・食料」だけです。その17倍ものエネルギーが枯渇系である化石燃料から供給されています。

石油は約40年、天然ガスは約60年、石炭は約130年で枯渇すると言われています。石油がなければ、飛行機や船による輸送ができないため、遠隔地に膨大な資源があったとしても、それは利用できません。従って、天然ガスや石炭、あるいは鉱物資源などで世界的な物流が形成できるのは最長でも50年程度と見込むのが適切と言えます。約47億年と言う地球の歴史で生み出された化石燃料を200〜300年間で消滅させることになります。その後の世界には枯渇系の燃料はほぼ永久に存在しません。


3.炭素肥料による有機物のリサイクルの位置付け

このホームページでは、「有機物を植物へリサイクルする」という新しい考え方を提案しています。

私たちの生活の上では、家畜糞尿とか雑草、あるいは、植物残渣というようなものは格別な需要がありません。むしろ、廃棄物とされている不用品です。

しかし、家畜糞尿や雑草といえども有機物が含まれ、そこには、エネルギーや有機物としてのCOHの元素が含まれています。

遺骸や排泄物のような不要になった有機物を、「有機金属化合物」へ転換することでカビによる生分解作用を受けない物質とすることができます。

そして、有機金属化合物は、植物が吸収して、その有機分を成長に利用することができます。JP1359005号の事例では、対照区に比べて1.9〜3.5倍の収穫量になっています。即ち、このような有機物のリサイクルの形態によって、耕地の生産性を2−3倍に高めることができます。

赤い太い線が、炭素肥料であり、有機物が植物へリサイクルされる経路です。

家畜糞尿や雑草に含まれているエネルギーや有機物が、作物のエネルギーや有機物へ転換されています。

図において、一番下に示した太陽、炭酸ガス、水による光合成によってもたらされる植物が獲得する化学エネルギーは、その時々に供給されるだけの量しかありません。

処が、炭素肥料は予め準備されているものです。余剰の有機物を大量に炭素肥料としておけば、何年でも長い期間にわたって保管することもできます。

有機物のリサイクルを利用すれば、耕地の生産性の半分程度は予め準備した炭素肥料によって手当てされることになります。

あたらしい有機物のリサイクルという考え方は、今までの生態系とは大きく違っていることが判ります。

有機物のリサイクルは、生態系の食物連鎖のピラミッドのきれいな形を崩すことになります。しかし、有機物のリサイクルを利用した栽培では、収穫物の糖度が高まり、エグミが軽減されるので、美味しい作物、といわれています。そうであれば、美味しさに魅かれて、多くのヒトが有機物のリサイクルを利用した食料を利用することになるでしょう。

いままでの耕地での食糧生産は、耕地がある地域が暖かくなって、栽培に適した気温になってから、栽培が開始され、作物が育ちます。

しかし、炭素肥料は、耕地とは無縁な場所で、気候に関係なく、また、昼夜に関係なく、余剰の有機物を利用して炭素肥料を生産し、将来の栽培に備えることができます。将来の収穫量の半分以上は炭素肥料を準備することで確保することになります。

有機物の植物へのリサイクルは、従来の生態系の概念を書き換えることになる。

次の図は、フードマイレージといわれる新しい指標を示した図表です。このホームページには何度も繰り返して引用しています。

日本人の平均で、一人の毎日の食生活で「19トン×km」の物流が形成されているとは信じ難い大きさです。僅か1.6kg程度の食材を12000kmの彼方から運搬していることになります。食料の過半数を占める農産品の生産性を高めることで、この無駄に大きなフードマイレージを低減できます。こと食生活に関しては物流のフードマイレージが限りなくゼロに近づくのが正常な姿と言えます。



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