植物が有機物を吸収する/収量が2-3倍に高まる炭素肥料、17種全元素施肥栽培という考え方

第13章 新しい植物の姿


西暦2014年01月04日

第13章 新しい植物の姿

この第13章では、炭素肥料による新しい植物の成長の姿を概観します。

このホームページで取り扱う植物は、陸上植物であって、独立栄養植物といわれるものです。私たちの食糧になっている植物の大多数が独立栄養植物であり、昆布やワカメのような海藻を除けば、ほとんどが陸上植物です。


1.これまでの植物の姿

植物は、葉緑体で光合成を行い、光、炭酸ガスと水から炭水化物(ブドウ糖)と酸素とを生成し、酸素は大気に放出し、炭水化物(ブドウ糖)と根から吸収する無機養分と水を利用して自己の植物体を大きく成長させています。

陸上にはさまざまな植物が繁茂しています。風土が異なれば、また異なった植物が地上に繁茂しています。しかし、何れの独立栄養植物であっても、光合成で生成する物質はブドウ糖と酸素であって、全ての植物に共通しています。ブドウ糖の化学式は「C6H12O6」であり、炭水化物とも言われます。この化学式をもっと簡単にすると「CH2O」であり、炭素と水とを併せた成分に見えます。

即ち、ダイコン、ナス、リンゴ、バナナ、ホウレン草、桜というように外見だけを見れば、ほとんど共通性が認められない生命体であっても、その生命活動の原因となる光合成で獲得する物質は「ブドウ糖」という同一の化合物です。

勿論、同じミカンであっても、「美味しいミカン」もあれば「酸っぱいミカン」もあり、成長した姿は千差万別であることには違いありません。

この植物の様子を見ると、第1番目に光合成によってブドウ糖が生成し、第2番目に代謝において、自己の生成したブドウ糖と根から吸収した無機養分とを利用して自己の組織を成長させています。

どのような形状に成長するかはそれぞれの遺伝情報に基づいて、ダイコンはダイコンの姿に、ニンジンはニンジンの姿に生長します。

同じニンジンでも、日蔭のニンジンは育ちが悪く、日向のニンジンは育ちが良くなります。

しかし、ブドウ糖を唯一の原料として成長している点では、無機栄養説の下で育っている植物すべてが同じです。


2.多様性を持つ有機物のリサイクル

このホームページでは、有機物を植物へリサイクルする新しい見方を提案しています。

植物は、結果として大きな植物体に育つことから、「植物をそっくり肥料として付加すれば、育ちが良くなる」と考えて、『有機栄養説』というものの見方もありました。1840年にリービッヒによって科学的な考え方を農業に導入してから今日まで、農業は無機栄養説に立脚しています。農業によって食糧を生産することは極めて重要なことから、その生産性を高めるために膨大な調査、研究が重ねられています。そして、その科学的な調査の結果では、何れも、「無機栄養説」が自然界を正しく表現していて、そして、数多の栽培においても無機栄養説に従っていることが確認されています。植物が成長すると、その成長体には多量の有機物が含まれていることから、「有機栄養説」は大変便利で有益な考え方に見えますが、「単なる願望で、加持祈祷の類」というのが科学的な調査の結論です。

ところが、このホームページでは「有機物を植物へリサイクルする=炭素肥料」という新しい考えを提案しています。これは従来の一般的な考えとは完全に対立し、従来から幾度となく否定されている『単なる、願望であり、単純な勘違い』と思われる事柄です。

しかし、有機物をある種の有機金属化合物へ転換してから施肥することで、有機物のリサイクルが可能となりました。

先の図に従って、このホームページで提案する有機物のリサイクルを図示します。

代謝の過程に、根から「有機金属」が供給されます。これが炭素肥料です。有機金属は、有機物を緑、金属を青色で示し、斑の矢印がその経路です。代謝の過程では、有機物と無機養分以外に炭素肥料からの青色の金属が供給されます。

このホームページでは、有機金属の金属成分をカルシウムCaとしています。カルシウムは、植物の必須の無機養分に含まれている成分です。従って、図では茶色の無機養分として示される部分にカルシウムは存在しています。このため、有機金属の金属成分としてのカルシウムが「毒」になるような成分ではありません。即ち、この有機金属の金属分が「カドミウムCd」や「水銀Hg」であれば危険極まりないことですが、その恐れがありません。

しかし、代謝の過程に大量の有機金属が供給されるために、植物体としてはカルシウムが豊富になります。このことが、エグミ成分の一つである「シュウ酸」とカルシウムとが結合し、難溶性のシュウ酸カルシウムを形成し、植物を外敵から守っていた毒々しい味が軽減されます。

また、植物は、本来、自己が生成したブドウ糖だけを元手に成長していたものが、根から有機金属が供給され、ブドウ糖とは元素の比率が異なる有機物で成長しなければなりません。化学工場ではたった一つの化学反応工程であっても、異物が導入されると致命的な混乱に陥る例が多数あります。しかし、植物の体内の代謝は自由奔放に、臨機応変に対応しているといえます。植物・動物を問わず、生体内における多種多様な反応過程において、エネルギーを供給しているのが「ATP(アデノシン―3−リン酸)」です。ATPがADP(アデノシン―2−リン酸)へ転換する時に約7kcalのエネルギーが生成し、遺伝子が命じる反応部位が必要なだけ活性化され、所望の反応が進行します。

この有機金属(金属としてカルシウム)によって植物に有機物をリサイクルする現象は、細かく見れば、古くから生じていました。

ただ、その現象について科学的に十分な解明がなされていなかっただけです。

そして、有機金属が植物に供給されたことで、格別な不都合は生じていません。

有機物が植物へリサイクルされることで、植物の代謝と、植物の成長体に従来とは異なる多様性が生まれる可能性があります。

この時に生じる変化について、代謝の過程を調査した事例はほとんど知られていません。

しかし、最終的な生成物である収穫物に関しては、知られています。

即ち、これまでの事例では、「収量の増加」、「糖度の向上」、「エグミの軽減」、「連作障害の抑制」、「老木の若返り」、「日照の少ない日陰の樹木の開花」、「活着率の向上」、「桜の開花の度合の向上」、「苔の旺盛な成長」というように多様な効果があり、経済的な観点から栽培されている作物であれば、ほとんどの事例において使用した方が優れた結果となっています。

即ち、「有機物のリサイクル=炭素肥料」という考え方で栽培すると、いままでとは違った植物の成長の形態となります。

これまで、数多の科学的な調査において、全て無機栄養説が支持されてきました。

それだけに、「有機物のリサイクル=炭素肥料」が現実のものとなれば、これまで考えていた様々な事柄とは違った現実が生まれてしまいます。


3.植物の光合成と代謝とを区別して推測した場合の一つの見方

このホームページでは、JP1359005号で提案された技術によって、訳もなく都合の良い現象が生じていることを、ある程度理解しやすい見方があれば、より多くの人が、安直に取り組みやすいと考えて、背後にある自然の摂理を検討し、「有機物のリサイクル=炭素肥料」が生じている、という見方で概観することが理解しやすい一つの見方と考えています。

しかし、「有機物のリサイクル」という見方は、1840年代にリービッヒが無機栄養説を提唱してから今日まで、科学的な調査において常に支持されている自然観です。

ここでは、植物の成長の姿を、「光合成」と「代謝」との2つの過程に区分して、概観します。


【無機栄養説に従う植物の成長】

従来の植物の成長の様子は、上記第1項に示しました。

それを、次のように光合成と代謝とを区分して図示しました。

独立栄養植物は、ほぼ例外なく光合成によってブドウ糖を生成し、その自己が生成したブドウ糖を利用して自己の組織を成長させています。自己の組織を成長させる過程を「代謝」といいます。光合成も代謝もCOH以外の必須養分元素が関与して進行しています。植物にとって、光合成と代謝とは一体不可分な過程です。しかし、光合成は、全ての独立栄養植物に共通しており、代謝は、種が異なれば相違があります。

この代謝は、自己組織を成長させる過程です。自己組織が成長すれば、その原料であるブドウ糖が減少します。

代謝では、ブドウ糖を2つの用途に使い分けています。図では、上の経路である「組織部材への加工・転換」と表示した用途と、下の経路である「ATP(加工エネルギー)」と表示した用途との2つです。

植物の組織を作る有機物の炭素を取り出して、その源をたどれば、全部が自己の光合成で炭酸ガスから生成された有機炭素になります。

しかし、光合成で固定された炭素が全て植物体内に残留している訳ではありません。植物体内には膨大な種類の有機化合物が存在しています。光合成で生成する有機物はブドウ糖です(ここでは、C3有機物が生成している、という説明はしません。簡単に、ブドウ糖が生成する、としています。)。ブドウ糖からタンパク質、核酸、脂質、繊維素等膨大な種類の化合物を生成するには、エネルギーが必要となります。植物が必要とする物質は、ブドウ糖からATPを生成し、ATPのエネルギーを利用して合成しています。ブドウ糖からATPを生成する過程の効率が約55%といわれており、45%程度のエネルギーが損失となります。しかし、ATPは7kcal/モル程度の段階で、代謝の様々な過程でのエネルギーを過不足なく供給できるため、地球生態系の全生命体に共通した生化学における共通のエネルギー通貨となっています。ATPの生成に消費されるブドウ糖は、炭酸ガスと水とになって分解され、植物組織には残留していません。

植物の光合成と代謝とが次のような構図となっていることは従来から知られています。

この図では、ブドウ糖を「ブドウ糖濃度」として表示しています。

天候が良くて光合成が活発な年は、作物の成長が良好で、豊作になります。そして、豊作の年には作物は美味しいとされています。

それを、下の図では、光合成産物のブドウ糖を「ブドウ糖濃度」と表示しています。代謝において、ブドウ糖は反応剤であり、成長が旺盛な場合には、反応剤の濃度が高いことが予想されます。光合成が活発であれば、結果として、ブドウ糖濃度が高くなり、生育条件が悪く、低成長の栽培環境ではブドウ糖濃度が低くなるものと予想されます。

ワイン用のブドウでは、豊作の年のワインが高額になり、不作の年のワインは安価になります。


【有機物のリサイクルに従う植物の成長】

次に、有機物を植物にリサイクルした時の植物の様子を概観します。大まかには、前記第2項に図示しました。

この場合も、光合成と代謝とを区分して概観します。

同様に、前の図に書き加えます。

光合成によってブドウ糖が生成し、同じように「ブドウ糖濃度」として示しています。

植物が自己の組織を増やして成長する時には、上記の図と同様に「組織部材への加工・転換」と「ATP(加工エネルギー)」との2つの経路によってブドウ糖が消費されるのは同じです。しかし、有機物がリサイクルされる時には、光合成に依存しない有機物が植物体内に供給されます。その根からの吸収による有機物の吸収(有機金属の吸収)によって植物は、ブドウ糖の消費量以上の生長をすることができます。或いは、ブドウ糖の消費が少なく成長することができます。有機金属によって植物に補給される有機分が、代謝のどの過程に関与するかは判然としません。何故なら、家畜糞尿に生石灰CaOを添加、混合して生成する有機酸カルシウム塩はいろいろな有機酸を含んでいるために、それぞれの代謝における影響を追跡することは不可能です。

従って、このホームページでは、「収量が増えて、糖度が上昇し、エグミが軽減されている」という現実に生じている変化を勘案し、仔細は別として、根から吸収された有機物が代謝に付加され、植物の生長を促進させると共にブドウ糖の消耗が軽減され、植物体のブドウ糖濃度が高い状態に維持されている、と推測しています。

このように、有機物のリサイクルによって、自己の光合成で生成した有機物以外の有機物が体内に侵入する事態は、従来の植物の成長では想定していないために、全く新しい見方をしなければなりません。



   ←前の章   この章の文頭↑   次の章→  トップ(目次)



ゲストブックにログイン ゲストブックは非公開です。