植物が有機物を吸収する/収量が2-3倍に高まる炭素肥料、17種全元素施肥栽培という考え方

第21章 炭素肥料の製造方法


西暦2014年01月14日

第21章 炭素肥料(有機金属化合物)の製法


1.炭素肥料の位置付け

このホームページでは、植物に対して有機物を供給する物質を便宜上「炭素肥料」と称しています。

「炭素肥料」という呼称は、一般には存在しません。

ただ、一般的には作物に対して「窒素」を供給する物質を「窒素肥料」と称しています。リンやカリウムについても同じように「リン酸肥料」「カリ肥料」というように使用しています。このため、植物に対して「有機物を与えることができる資材」をこのホームページの中では「炭素肥料」としています。

有機物には、炭素(C)、酸素(O)および水素(H)の3つの元素が含まれていると想定しています。

植物の必須元素は、上の図表のように17元素とされていて、その凡その割合も図表には示しています。

これまでの栽培は「無機栄養説」に立脚していたために、無機14元素を肥料による供給成分と考えていました。無機養分の14元素は、元素の種類としては多いものの、その割合は図表で示したように小さな割合です。概ね、植物の乾燥重量の4%が無機14元素が占める割合と見られています。

図表の緑で示された部分が「COH有機3元素」が占める割合を模式的に示しています。乾燥重量の約96%です。

炭素肥料は、この緑の部分を植物に供給する資材です。

この緑の部分は、従来では植物自身の光合成によって生成される部分です。ただ、植物の光合成は、光のない夜間には停止し、原料の一つである炭酸ガスの濃度も約400ppmと低く、思うような速度で進行しない過程です。

植物は、小さな種子から大きな成長体に育ちます。その過程で増加する植物体の有機物(緑の部分)は、全て自己の光合成によって生成した有機炭素によって形成されています。

少なくとも、無機栄養説ではそのように考えられ、綿密な科学的な調査においても、自然界に繁茂する膨大な種類と量の植物は無機栄養説に従っていると解明されています。

このホームページでは、無機栄養説に従って繁茂している植物であっても、ある種の有機金属化合物であれば外界から吸収し、その有機分を自己の代謝に取り入れることから、植物に吸収される有機金属化合物を炭素肥料としています。

上の図表の無機14元素は、割合は少なくても必須養分元素である以上、植物の成長にとっては無くてはならないものです。その意味では、必須養分元素は、どれをとっても重要な役割を担う物質です。

ただ、割合の少ない必須元素は、植物の要求に適う適正な量を供給したとしても、その供給量による植物の成長の増加量は少ないと言えます。


2.炭素肥料とは

炭素肥料は、植物にCOHを含む有機物を供給する有機化合物です。

もっと具体的に言えば、有機金属化合物です。有機化合物には数千万種類の化学種が存在しているとされています。また、有機化合物のデータを収集している「バイルシュタイン・アブストラクト」によれば、約930万種類の有機化合物が収録されています。

この930万種類以上とされる有機化合物のうち、植物に吸収される性質を持つ有機化合物がどの程度存在するか判りません。一般的には、植物の成長は「無機栄養説」に従っていると理解されている以上、植物に吸収される性質を持つ有機化合物は「ゼロ」か、限りなくゼロに近いものと思われます。

このような膨大な種類の有機化合物が植物に対してどのような影響を与えるかは、土壌に存在する有機化合物を調査し、その種類と濃度を調べた上で、栽培条件を整えて調査しています。しかし、数多の科学的な調査の結果、土壌の有機化合物は植物の成長に寄与していないことが確認されています。

ただ、このホームページで炭素肥料として提案するある種の有機金属化合物は、一般の土壌には存在していない可能性があります。従って、まだ調査されたことがない有機化合物かもしれません。

有機金属化合物とは、有機物と金属とが結合した化合物です。

身近な例では、「尿路結石」の主成分が『シュウ酸カルシウム』という有機金属化合物です。大人の体内に存在している物質です。

また、半導体の製造プロセスでは、「MOCVD」というように利用されている化学物質です。これは、「メチルシラン」のように気化しやすい有機金属化合物を用いて、基盤に特定の金属の層を形成するときに利用されます。「有機金属CVD」というプロセスです。「CVD」は、化学物質の蒸気を用いて特定成分を析出させる手法です。

有機金属とは、誰もが比較的身近な事柄で出没する化合物ですが、案外、疎遠です。

しかし、ある種の有機金属化合物が肥料に利用できる、と知れば、化学者は目に見える有機物や頭をよぎる有機物について、簡単に炭素肥料となる反応プロセスを瞬時に、幾通りも描くことができます。

従って、最初に炭素肥料に望ましい有機金属がどのようなものであるかを示すことが大切と言えます。

炭素肥料に必要な属性は次の通りです。

 1)植物に吸収される有機物

   イ.水に溶けやすい

   ロ.電荷を持たない

   ハ.分子量が小さい

   ニ.土壌での分解者の生分解作用を受けない

 2)より植物に吸収されやすい物質

   イ.吸収された植物体内で別の化学種になる

 3)作物を介在して人体に害を及ぼさない物質

   イ.今の必須元素なら好ましい

   ロ.有害物質は除外する


3.炭素肥料の合成又は入手

ここでは、炭素肥料が通常の知識を有する人であれば誰でも自ら合成できることを理解できるように記します。

これまで、生態系や植物や作物に関して、膨大な調査が行われて「無機栄養説」という認識が確立しています。

しかし、家庭の台所で「無機栄養説」を突破する手掛かりを具体的に目にすることができます。

【台所で酢酸カルシウムを作る】

例えば、「酢酸カルシウム」が最も簡単で、最も重要な有機金属化合物です。

この有機金属は、通常の家庭の台所で誰もが合成できる物質です。

「食酢」と「消石灰」とを適量混合すると酢酸カルシウムが生成します。

その化学反応式は次の通りです。

  2CH3COOH + Ca(OH)2 = Ca(CH3COO)2 + 2H2O

   2×60        74       158          36

消石灰は、100gの水に約0.16g溶解します。即ち、消石灰はあまり溶解しません。しかし、酢酸カルシウムは水に溶けやすい性質があります。従って、食酢を利用する限りでは、固体の消石灰が食酢によって溶けるような反応となります。そして、この液体の中に酢酸カルシウムが生成しています。

食酢の濃度、消石灰の純度の表示を見て、適切な量を混合すれば、液体の中に酢酸カルシウムが生成します。そして、その液体を風通しの良い場所で乾燥すると、酢酸カルシウムが白い結晶として析出します。

この方法は、中学を卒業したレベルの人、即ち、通常の社会人であればできることです。

食酢は一般家庭にあるものです。また、消石灰は学校のグランドの白線に利用している白い粉です。ホームセンターにもあります。

【薬品を利用して酢酸カルシウムを作る】

化学を学んだ人であれば、薬品としての酢酸や消石灰を利用することもできるでしょう。台所の1gの目盛の秤で十分正しく炭素肥料を製造することができます。

ただし、これは、あくまでも炭素肥料(有機金属化合物)が身近な処で生成できることを示したものであって、このような方法が必須であることを意味していません。化学薬品を使用するため、高校で化学を学んだ人であれば、だれでもできるでしょう。

薬局には30%の酢酸が販売されています。また、薬局には純度の高い消石灰が販売されています。同じ石灰でも生石灰CaOは、ゴロゴロした塊で使いにくく、純度も低く、使用する上で注意が必要なため、ここでは推奨しません。消石灰は生石灰に比べて製造工程が長く、このため高価ではあっても、使いやすく、安全性も高く、便利な薬品です。

【酢酸カルシウムを購入する】

酢酸カルシウムであれば、販売されているものを購入することもできるでしょう。

1s程度の重量であれば、誰でも購入できるでしょう。

また、家畜糞尿や腐敗性廃棄物を生石灰CaOによって分解した生成物を農業資材として販売しているものを利用することもできます。酢酸カルシウムや生石灰処理資材は入手しにくい場合があります。しかし、2010年頃の日本の社会情勢であれば、1週間以内に、自分で簡単に生成できるのが炭素肥料です。

【産業に利用する規模で生産する:その1:高純度薬品で作る】

このような有機金属化合物を合成するには、純度の高い化学薬品を利用することで簡単に大量に製造できます。目的とする有機金属化合物の種類が決定されたならば、簡単に製造できます。

因みに、酢酸カルシウムの有機分は酢酸であり、金属分はアルカリ土類金属のカルシウムです。カルシウムは、「石灰岩」として地球に大量に存在している物質です。また、酢酸は、エタノールを参加した時に精製するモノカルボン酸です。さまざまなバイオマスから「バイオエタノール」を生産して、自動車の燃料とする試みが多数公表されています。

ブラジルでは、サトウキビから生産されるバイオエタノールの価格が1リットル35円程度まで下がり、発熱量で換算すると「ガソリン1リットル50円」に相当するレベルにあります。即ち、世界的な先端技術ではエタノールは安価に生産できる物質となっています。

エタノールは、メタノール、蟻酸、ホルムアルデヒドというようなC1化合物の危険性がすくない安全な物質であり、その酸化物である酢酸も比較的安全な物質で、取り扱いが容易です。

これは、産業として行うため、企業となるでしょう。

【産業に利用する規模で生産する:その2:家畜糞尿や腐敗性廃棄物の生石灰分解】

JP1359005号のように、家畜糞尿や雑草、食品残渣のような腐敗性の有機物に生石灰CaOを添加して有機金属を生成することもできます。この場合には、腐ると悪臭を放つ廃棄物の処理も同時に達成される利点があります。

家畜糞尿や食品残渣は何れ適切な方法によって環境を害することのない状態にしなければならない物質です。生石灰による分解処理は、その適切な処理方法でもあり、そのついでに、栽培に有益な物質が生成するのは好ましいことです。この場合、家畜糞尿や雑草のような原料に含まれている多様な有機物から多様な有機金属化合物が生成されます。従って、上記の純度の高い化学薬品を使用した場合に比べ、さまざまな有機金属化合物が含まれているのが特徴です。また、家畜糞尿や雑草のような原料には、有機物以外にも無機物が含まれており、この無機物の中には植物が必要とする無機養分も含まれる場合があります。ただ、微量の無機養分に着目した分解処理ではないので、通常は、無機養分は無視されています。

なお、前記の高純度の化学薬品を用いる有機金属化合物の生成では、無機養分が多量に存在することは稀かもしれません。例えば、エタノールを生成する過程では、無機分は分離されているために、極めて低いレベルになっています。

このホームページの切っ掛けは、JP1359005号の処理残渣による栽培データであり、その意味では、種種雑多な有機金属化合物が混在しているものを利用した事例です。

一般的なフローシートは、第2章に示しました。

これも、産業として行うため、企業もしくは組合のようなものとなるでしょう。


4.誰でも簡単に製造できる炭素肥料

炭素肥料は、植物にCOHを含む有機物を供給する有機化合物です。従来、植物の成長は無機栄養説に従って無機養分を吸収し、有機物は吸収しないと考えられてきました。自然界の圧倒的多数の植物は無機栄養説に従って繁茂しています。

しかし、ある種の有機金属化合物とすることで、有機物を植物へ送り込むことができます。しかも、その有機金属化合物は一般の家庭の台所で生成することができます。

「今の耕地の生産性が、2〜3倍に高まる」、「美味しくなる」、「周囲に無駄に溢れているバイオマスが食糧に転換できる」という驚くべき変化が、一般の家庭で簡単に体験することができます。

このようにして調製された炭素肥料を用いて、1カ月ほど栽培を観察すると、植物の成長に顕著な差があることが判るでしょう。




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