植物が有機物を吸収する/収量が2-3倍に高まる炭素肥料、17種全元素施肥栽培という考え方

第23章 全元素施肥栽培とは(NPK慣行農法に炭素肥料を加えた栽培)


開始:西暦2014年01月20日

第23章 全元素施肥栽培とは(NPK慣行農法に炭素肥料を加えた栽培)


1.耕地の生産性が2〜3倍に飛躍している

今の世界の中心的な農業は、無機栄養説に基づくNPK化学肥料を利用した慣行農法です。これは、1840年にリービッヒが提唱した無機栄養説を、1906年にハーバーがアンモニアの合成に成功したことから実現した栽培の形態です。

しかし、その生産性を遥かに凌駕する新しい栽培の形態が1980年に出現しました。

NPK慣行農法に比べて1.9〜3.5倍の生産性を示しており、この生産性の高さが農産物全般に適用できるものであれば、社会の様相が激変します。しかし、それは好ましい変化です。


2.現行のNPK慣行農法は100年前に完成し、現在に至る

現在のNPK慣行農法は、アンモニアの合成によってリービッヒが提唱した無機栄養説に適う無機肥料が希望通りに施肥できるようになったものです。約100年前に完成し、以後、世界の農業の中心を担っています。日本では、約50年後の1960年代に広域に普及し、中国では1980年以降に普及し、インドやアフリカでは100年を経過した今日に至ってもまだこの慣行農法は普及していません。NPK慣行農法は「無機栄養説」に立脚し、植物の17種の必須元素のうち、COHの有機3元素を除くNPK等14元素を的確に施肥で補う栽培の取組です。肥料は化学肥料が多用されています。無機栄養説に従って充当される無機養分は、植物の乾燥重量の約4%を占めています。植物の96%を占める有機物の部分は、植物自身の光合成によって形成するしかありません。人為的に植物に対して有機物を供給することはできません。それが科学的に検証された自然の有りようです。


3.植物の成長は自然の摂理に従う

植物のより旺盛な成長は誰もが願うことです。しかし、より旺盛な成長を遂げるには、自然の摂理に適う具体的な手当が必要です。努力や熱心や日々の精進というような心理的な要素は無関係です。今の成長を規制しているリービッヒの最少律に適う要因の改善が必須です。しかし、科学的に適正な配慮がなされた栽培ではNPK等無機14元素が不足することはありません。


4.現在の制限要因は無機養分ではなく、光合成です

今の耕地の生産性を制限している要因は、日光と炭酸ガスと水分とによる光合成です。日光は夜間に消え、CO2濃度は0.4%と低く、思うような光合成速度を引き出せません。因みに、人工照明と高濃度炭酸ガスとで最適条件を作ると、その生産性は露地栽培の40倍にも達します。植物の種子が持つ成長能力や無機養分の補給技術は、今の露地の成長の40倍の成長に対しても対応できる水準にあります。不足しているのは光合成でした。ただ、光合成に対して、NPK等無機14元素の過剰施肥は無力です。従って、最早、為す術がありません。太陽の数、太陽の運行速度、大気のCO2濃度、気温等の自然条件は勝手に変更できません。

そうであれば、光合成の不足を補うために光合成産物である有機物を「吸収」によって与えてはどうだろうか?昔から、多くの人が考え、そして、科学的な検証によって悉く否定された考えです。


5.有機物は植物に吸収されていた

しかし、ある種の有機金属化合物は植物に吸収されていました。930万種類以上も存在する有機化合物は、全て、この有機金属化合物を窓口にして、植物の成長に付加できます。「有機物の吸収」によって疑似的に光合成を補うことができます。


6.JP1359005号の飛躍

1980年に提案されたJP1359005号の栽培の収量の飛躍は異常です。家畜糞尿を生石灰によって殺菌分解した時、その生成物には「有機酸カルシウム」が多量に含まれていることが確かめられています。この有機酸カルシウムは広義には「有機金属化合物」とも言い換えることができます。この有機金属が、大方の有機物とは異なり、土壌で生分解を受けない性質があります。生分解を受けない「有機金属」という物質は、あたかも「無機物」のような挙動を示して土壌水の流れに従って移動します。それは、NPK等の肥料として施肥された無機養分と同様の動きです。その中で、ある種の有機金属は、多量に植物に移行していました。即ち、有機酸カルシウムは植物に吸収されていました。


7.有機物が施肥対象となると、2つの面で占める割合が高い

有機物が施肥対象になると、今まで植物体の4%の無機分だけが施肥対象だったものが、96%が追加され、100%が施肥対象部分になります。施肥によって成長できる部分が格段に増えます。このことを細かく見ると次の2つの視点で大きな変化があります。

第1に供給側の視点であり、肥料元素がNPK以下無機14元素の施肥であったものが、COHの3元素が加わり、「4⇒100」と、約25倍の施肥量の増大となります。

第2に植物側の視点であり、無機14元素の施肥の吸収による植物体の増量は全体の4%であったものが、COHの3元素が加わり、植物体の全身(100%)が施肥によって増大できる部分となります。

このため、吸収による植物体の増大量が極めて大きくなる可能性が生まれます。そして、現実に、1.9〜3.5倍の成長量が記録されています。

新しい全元素施肥の考え方は、肥料の量が圧倒的に増大し、そして、収穫量が飛躍的に高まります。


8.生分解を否定する物質(有機金属)を利用した栽培概念はない

今までの自然界の理解は、「有機物はやがて分解されて炭酸ガスと水になり、有機物に含まれている無機分が外部へ放出される」という見方でした。カビのような分解者に分解されない有機物を想定した栽培はありません。

1)有機物の易分解成分を分解して、難分解成分にした穏やかな効き目の資材(=堆肥や腐植)

2)分解者が特殊な菌類である分解方法(いろいろな菌類の名前がある)

3)有機資材を巧みに用いて栽培の成果を上げる栽培手法

4)NPK等無機化学肥料による慣行農法

現在行われている多様な栽培の取組において、「有機物を分解者に分解させない」という考え方の取組は一つもありません。


9.有機物を植物へ届ける有機金属化合物

ある種の有機金属化合物は、「@分解者に分解されず」、「A水に適度に溶解し」、「B分子量が小さく」、「C電荷を帯びない成分の割合が高く」、「D植物の根の細胞膜を透過しやすく」、「E植物と人体に悪い影響を及ぼすことなく」、「F植物体内で植物の代謝によって消耗される」という性質を持ち、結果として、植物の外部の有機物を植物の内部へ導き、植物の成長をより旺盛にするものでした。それが、偶然、「家畜糞尿に生石灰を添加して殺菌分解した時」に多量に生成していました。即ち、低位有機酸カルシウムが生成していました。カルシウムは植物の必須元素でもあり、毒性が問題になることはありません。また、カルシウムの有機金属化合物には、腎臓結石の主成分でもある「シュウ酸カルシウム」があり、人体とは無縁の化合物ではありません。

植物が有機物を吸収し、そして、無視し得ないほどに植物の成長が促進される現象は、従来の概念にはないことです。


10.いままで不可能とされた有機物の植物へのリサイクルができた

無機栄養説が農業の基盤となっていることは、植物が有機物を吸収しないことを意味します。植物の成長は、植物が体内の有機物を増大させることです。その有機物を増大させるための所作が、専ら、自己の光合成と代謝です。植物の成長において、外部の有機物に依存していません。長期間にわたり、現代科学の粋を集めて調査した結果、太古からの膨大な植物群は無機栄養説で繁茂していることが確かめられています。植物は、自己の成長に外部の有機物を利用していません。

処が、有機物を「ある種の有機金属化合物」へ転換することで、吸収によって植物体内へ移行できるようになり、そして、その有機分を植物の代謝に与えて当該植物の成長を促進させることができます。

無機栄養説が突破されたことになります。

即ち、有機物を植物へリサイクルできる経路が見出されたことになります。

そして、地球上の膨大な天然の有機物のほとんどがこの有機金属化合物を経由して植物へリサイクルできることになりました。

このことから、地球上の膨大な天然の有機物が食物への転換が可能となり、また、耕地の生産性が飛躍的に高まることを意味します。


11.世界の穀物の生産性

栽培の取組から見れば、現行のNPK慣行農法は約100年前に完成しています。しかし、その普及には膨大な時間を要し、1世紀を経た今日でも旧来の生産性の低い農業を続けている地域が多数あります。

この図は、前図の約半分の期間について示し、そして、約50年前からの世界の各地の穀物の生産性(茶色の矢印)を追加したものです。

赤い矢印がNPK慣行農法の上限と思われる収量の水準を示しています。この水準は1900年代の初期のハーバーのアンモニアの合成によって達成された水準です。しかし、現実には茶色の矢印で示される穀物の生産性の推移のように世界各地では1960年代になっても十分な肥料が利用されていません。21世紀になっても世界平均で見れば本来到達すべき収量の水準の半分でしかありません。中国や日本はほぼ上限の水準に達しています。

穀物の生産性とJP1359005号の蔬菜類の生産性とは品目が異なることから、同じグラフで比較することは適切ではありません。しかし、慣行農法に対して飛躍的に高い生産性を示す従来とは異なる栽培の取組があるとすれば、世界的に見て、作物の生産性を高める余地は極めて大きいと言えます。


12.施肥による作用とその効果との関係が明瞭

全元素施肥栽培においては、収量が高まり、同時に、食味が向上しているとされています。しかし、それは誰もがそのように願う事柄です。現実の栽培ではそのように希望が満たされることはほとんどありません。

全元素施肥栽培からすると、NPK慣行農法では無機栄養説に立脚したNPK以下14元素の施肥に止まるために、施肥による手当では収量が法外に増えたり、食味が改善されることはほとんど期待できないと推測されます。

他方、全元素施肥栽培ではCOHを含む有機物が吸収によって多量に供給されることから、作物がより旺盛に成長すると共に光合成産物であるブドウ糖の減少が少なく、作物体内の糖度が高い状態が維持され、美味しい状態となります。更に、有機物を供給する有機金属の金属分が作物体内のシュウ酸のように毒々しいエグミとなる成分と結合して難溶性金属塩となってエグミを軽減するように作用し、エグミの軽減による美味しさの向上につながっているものと推測されます。

収量の増加に付随して作物が美味しくなることは、従来から知られており、豊作の年の作物は格別に美味しいとされています。


13.炭素肥料の原料の普遍

無機栄養説に従う栽培では、NPK化学肥料が主体でした。そして、窒素肥料Nは、巨大な工場で想像を絶する過酷な条件の下で空中窒素をアンモニアとして固定しています。この化学操作は、部外者にとっては絶対に踏み込めない世界です。そこで生産される窒素肥料は万人に身近なものであっても、大多数の人は、単なる消費者にすぎません。リン酸肥料の原料は海鳥の糞が堆積して生成したリン鉱石であり、世界的にも局在しています。そして、日本から見れば、海外が産地です。カリ肥料の原料は、海水が干上がった時に生まれる岩塩層の一部分にできるカリ鉱石です。巨大な大陸の一部分に見られる鉱石です。窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料の3大肥料は何れも生産場所が局在しており、市井の人は単に販売されている肥料を購入して使用するだけです。

他方、このホームページで「炭素肥料」として述べているものは、有機物であればよく、極めて普遍的な物質が原料になります。周囲で有り余っている有機物としては、家畜糞尿、雑草、枝、食品残渣など多様なものがあります。収集のしやすさと発生量から言えば家畜糞尿が便利な原料です。枝は拾い集めることが面倒であり、食品残渣は発生源が限定され、量も少ないでしょう。紙は古紙に利用されるため、案外少ないと言えます。これまでのNPK化学肥料は世界的にも生産場所が局在し、圧倒的大多数の人は購入するしか術がない肥料でした。しかし、作物の収量を飛躍的に高める「炭素肥料」は、多くの場合、消費地の近隣で生産されることになります。日本でいえば、鉄道の駅の数よりも多い場所で生産されることになるでしょう。何故ならば、炭素肥料の原料は汚物であったり、廃棄物であったり、雑草などのようなものであり、広域にわたる物流を形成することは、迷惑なものだからです。


14.新しい全元素施肥栽培を総括すると

1) 今までの植物学や農業は無機栄養説に立脚し、NPK以下14元素の施肥だけを想定した栽培でした。

2) 処が、ある種の有機金属化合物は植物が吸収していました。有機物が肥料になっていました。

3) 今まで、100%の有機物は肥料要素にできないとされていたものが、100%の有機物を肥料にできる経路が生まれました。

4) そして、この炭素肥料の施肥で、作物は旺盛に繁茂し、2~3倍の増収になっています。

5) 更に、収穫物の糖度が高まり、エグミも軽減され、美味しさが増進されている事例が多々あります。

6) 「美味しいものが、大量に生産され、むしろ、安く生産されている」という世情と逆行する事態になっています。

7) そこで、仔細に検討すると、「無機栄養説」という表現からして従来の栽培には必然的に欠陥があったかもしれません。作物の生育は、質量保存則、エネルギー保存則などの自然の摂理に従い、そして、リービッヒの最少律によって成長が規制されます。無機栄養説に従い、無機養分の加減だけで対処しても、他の自然の要因には無力な時があります。そして、先進国は、無機栄養説に適う施肥設計と肥培管理は完璧な水準に達しています。

8) 光合成の不足を「有機物の吸収」で補うしか、最早、栽培の飛躍の要素は残されていません。しかし、この170年間、科学的な調査の結果、植物は有機物を吸収していないことが解明されています。

9) 処が、分解者による生分解作用を受けないある種の有機金属化合物であれば、有機物を植物体内へ供給することができました。

10) 基本的に、有機物は分解者によって生分解されて水と炭酸ガスになるものと考えられていました。処が、この生分解過程を受けないようにすることで、植物に有機物を供給する炭素肥料(有機金属)が生まれました。

11) 炭素肥料による耕地の生産性の向上は、生育中の作物が、自らの光合成による有機物と吸収による外部からの有機物の双方を用いて成長することであり、いままでの植物の成長の形態とは異質なものです。しかし、結果として、収量が増し、食味が改善されるのであれば、構いません。

12) 炭素肥料という新しい肥料要素を加えることで、全元素施肥栽培が可能となりました。ただ、現実には、従来のNPK化学肥料による慣行農法に炭素肥料(ある種の有機金属)を加えた栽培にすぎず、慣行農法に肥料が一つ増えただけのものです。従って、今まで通りの栽培の形態で、炭素肥料を加えるだけで、耕地の生産性が2‐3倍に高まることが期待されます。この収量の幅は、作物の形状によるもので、稲のように実り過ぎると倒伏して収量を減じるものがあるために、注意を要する部分があるからです。単純に、繁茂させるだけでよい『茶』のような品目では、倒伏の恐れもなく、収量を高めることができます。

13) 何れにしても、17種の必須元素の全てに目配りをした栽培が可能となり、耕地の生産性は飛躍的に高まります。

14) 特筆すべきは、炭素肥料は原料が地場に多量に存在するために、地場で生産することになる肥料です。

15) そして、この新しい「有機物を植物へリサイクルする=炭素肥料があった=COHが肥料要素になった=有機金属化合物が炭素肥料になる」ということは、ほとんどの人が台所で簡単に確かめることができる事柄です。

16) さらに、全元素施肥による食味の向上は、これまで地域間格差があった収穫物の食味の違いが、全ての地域の食味が向上することで、格差が少なくなるものと推測され、無駄な食材の長大な物流を解消できるものと思われます。



 



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