第26章 炭素肥料(全元素施肥栽培)の最も簡単な証明
開始:西暦2014年01月27日
第26章 炭素肥料(全元素施肥栽培)の最も簡単な証明
このホームページで紹介している「有機物の植物へのリサイクル」「炭素肥料」「全元素施肥栽培」という新しい栽培の取組について、簡単に理解する術を記します。このホームページでは、「不思議に具合の良いこと」が発現したJP1359005号の栽培を例にして、「有機物の植物へのリサイクル」が生じていることを記載しています。その後の栽培の形態については触れていません。
この章では、このホームページで紹介している「有機物の植物へのリサイクル」「炭素肥料」「全元素施肥栽培」が近年の栽培では急速に利用されていることを以下の「第4項目」を中心にして概観します。主旨は次の通りです。ネットで直ぐに確認できます。

1.これまでの定説「無機栄養説」
作物(植物も)が生育する時には、外部から14種の無機養分を吸収し、有機物は自己の光合成で合成している、という見方が無機栄養説です。100年以上も科学の粋を集めて調査した結果も自然界の植物の繁茂は無機栄養説に従っていました。地表には膨大な有機物が溢れています。しかし、植物は他の有機物を利用して繁茂することはありません。それが、「利用できないため」か、「利用していないだけ」か、は判りません。しかし、膨大な科学的な調査でも、植物が外部の有機物を利用して旺盛に成長することは確認できませんでした。無機栄養説は、太古の昔から地球上に繁茂する膨大な植物の成長の仕方を支配している原理でした。
2.炭素肥料(全元素施肥栽培)は完璧に否定され続けている
他方、このホームページで提唱する、炭素肥料を利用した栽培(全元素施肥栽培)では、無機養分ばかりでなくCOHの有機3元素も施肥によって植物へ供給する栽培です。
これは、明らかに従来の定説である「無機栄養説」に反する考え方です。
これまで、農業の生産性向上のために無機物・有機物の分け隔てなく、栽培に効果的な物質を調査しています。これまでの調査の目的は「無機栄養説か有機栄養説か」を判別する目的ではありません。その結果が、何れも「無機栄養説が正しい」というものでした。従って、このホームページで提案する「植物へ有機物を供給し、そして、より旺盛な繁茂を促す」ということは、これまでの科学的な調査において完璧に否定され続けているものの見方です。
しかし、このホームページでは、「炭素肥料があった」「植物へ有機物を供給できる」「全元素施肥栽培で収量が2‐3倍に高まる」としています。
従来の常識とは真っ向から対立する見方です。
3.炭素肥料は「有機金属化合物」
炭素肥料は、ある種の有機金属化合物です。簡単には「酢酸カルシウム」です。卵の殻に酢をかけると、台所でも合成できる化合物です。JP1359005号では、特異な化学操作ではあっても「家畜糞尿に生石灰を混合する」ことで多様な有機酸カルシウムが生成されています。その主要な生成物は酢酸カルシウムです。糞尿中の多様な有機酸がカルシウム塩として固定され、また、タンパク質や核酸が骨格窒素を取り除かれるために分解し、残余の炭素骨格が有機酸となり、低分子の有機酸カルシウムが生成しています。糞尿の有機酸がアルカリである石灰と中和反応で結合して有機酸カルシウムとなるのは簡単に理解できます。そして、強いアルカリ性のためにタンパク質や核酸が加水分解して骨格窒素分をアンモニアとして揮発させます。タンパク質や核酸が多数の小さな分子量の有機酸となり、それが有機酸Ca塩となります。
有機金属化合物は、聞き慣れない物質かもしれません。しかし、簡単です。尿路結石の主成分は「シュウ酸カルシウム」です。シュウ酸(COOH)2は、化学では「酸」の標準物質であり、調理では「エグミ成分」です。ホウレン草に含まれているために、湯がいて灰汁抜きをしてから食べます。
有機酸カルシウムは、生分解を受けない化合物です。

4.葉面散布剤・有機液肥や融雪剤として利用されている
近年では、葉面散布剤や有機液肥の主要な成分として「酢酸カルシウム」「クエン酸カルシウム」などの有機金属化合物が利用されています。
植物の乾燥重量に占めるカルシウムの割合は約0.5%であり、通常の栽培ではカルシウムが欠乏することは稀です。ただ、土壌の酸性化を中和するために石灰が散布されています。しかし、カルシウムが欠乏することはほとんどありません。また、日本では積雪地帯が多いので「融雪剤」としても利用されています。取分け、酢酸カルシウムは塩化カルシウムに比べて錆を発生させにくいために、価格が4‐5倍と高価でも利用されています。
葉面散布剤として用いる場合には、高純度の化合物から使用しやすい濃度に調製するのが一般的です。このため、高純度の有機金属化合物を合成するためには、高純度の有機酸を利用します。即ち、JP1359005号のように家畜糞尿に生石灰を加えるような製法ではありません。例えば、酢酸と石灰(石灰石、消石灰、生石灰、貝殻等)とを混合して純度の高い酢酸カルシウムを得るのが一般的です。金属としては、カルシウムばかりでなく、マグネシウムも利用できます。しかし、カルシウムは価格面や入手の経路の簡便さで優れています。
このように、有機金属化合物は作物にカルシウムを与える資材として利用されています。しかし、有機酸カルシウムを施肥した時に、作物が「カルシウムだけ」を吸収するものではありません。有機酸カルシウムを吸収します。即ち、有機物が作物に吸収されています。
従って、このホームページで推奨する「ある種の有機金属化合物を炭素肥料と考えて施肥する」という所作は、現在のある種の栽培では既にいろいろ実践されている事柄です。
このホームページでは、炭素肥料(ある種の有機金属)による具合の良い現象の切っ掛けとなったJP1359005号の実施例に基づいて、その原因を検討しています。そのために、いろいろな視点で検討しています。しかし、もっと簡単な事例で見れば、「現在販売されている肥料にも、利用されている」ことが判ります。これが一番簡単な炭素肥料の証明です。
ただ、この炭素肥料の現象は、数百年前から実際にフランス/ブルゴーニュ地方の栽培で利用されていたことが判ります。ただし、この数百年間、「炭素肥料」「有機物にリサイクル」という意識はなく、栽培がおこなわれているように見受けられます。しかし、その僅か18000uから産出される農産物の一つの形態である「ワイン(ブドウ酒)」は、世界で最も有名な銘柄で多くの人が見聞しているものです。
5.定説「無機栄養説」が突破されていた
農業における「無機栄養説」は、あまりにも偉大な定説です。ほとんどの人が「無機栄養説」を否定することはありません。ほぼ、無条件に受け入れられている栽培の考え方です。勿論、食虫植物や従属栄養植物の事例は誰もが承知しています。そうであっても、「有機物の吸収」という現象が、作物の栽培に何の利益ももたらしていないことは誰もが知っています。
その無機栄養説は突破されていたと言えます。
ドイツ語のフリーウキペディアの「植物栄養」の欄によれば、植物栄養についての知見は1840年、リービッヒによって「農芸化学のブレイクスルーがもたらされた」、としています。リービッヒは「無機栄養説」を提唱し、そして、「リービッヒの最少律」を提唱しました。そして、その以後の記述は何もなく、最早、進展は有り得ない、と見られています。
しかし、植物が有機物を吸収して旺盛に繁茂していることから、無機栄養説は突破されたと言えます。
6.無機栄養説の突破で、大きな可能性が広がる
「無機栄養説」や「有機物のリサイクル」は、ともすれば観念的な事柄で、現実の所作には全く影響がない、と誰もが考えます。
ハーバーのアンモニア合成からほぼ100年間、農業や植物の成長についてはほぼ停滞しています。ドイツ語のウキペディアによれば、1840年から170年間にわたって停滞が続いていることになります。これは、現存するほぼ全ての人が知りうる限りの人々の活動範囲において「停滞」が保たれていたことにもなります。誰一人として「ブレイクスルー」を体験したことがないために、誰にとっても無縁なことだったといえます。
しかし、「植物が有機物を吸収して旺盛に繁茂している」ことは明らかになりました。それが「ある種の有機金属」であることも明らかになりました。そして、現実に、この現象を意識せずに普遍的な栽培に利用していることも明らかになりました。
有機物が作物へリサイクルされることは、偉大な出来事です。
無機栄養説である限り、植物の繁茂は、自己の光合成だけに委ねられます。
ところが、「植物が有機物を吸収できる」ことになれば、周囲に溢れる膨大な量の有機物(バイオマス)を、未来に成長する植物の成長に移し替えることができます。
無機栄養説であれば、今の有機物は朽ち果てるだけの命運であり、未来の植物の成長には「炭酸ガスと水」という形態でしか関与できません。
「植物が有機物を吸収する」「有機物のリサイクルができる」ということは、膨大な生命活動の名残の有機物が、有機物の形態で植物の成長に付加されることです。
従って、この有機物のリサイクルを利用すれば、未来の植物の繁茂は極めて旺盛なものとなります。


植物や動物の生体組織には有機物の部分と無機養分の部分があります。無機養分の部分は環境からその元素を取り入れなければなりません。しかし、有機物の部分は植物の光合成で生まれた有機物がいろいろな有機物に形を変えて、いろいろな生命体を移動しています。この有機物を植物の成長に付加できれば便利です。しかし、無機栄養説の下では有機物のリサイクルはできません。それは、自然の現実が有機物のリサイクルを行っていないためです。
多くの人が、「@有機物の原料の特異性」「A有機物を分解する分解者の特異性」「B有機物資材の活用の術の特異性」を掲げて、有機物を栽培に活用することの優位性を述べています。しかし、膨大で、しかも、高度に科学的な調査によれば、@〜Bのさまざまな尽力はさて置き、植物が吸収している物質は「無機養分」であって、有機物は成長に寄与していない、とするものでした。これは1840年の時点でリービッヒが「有機栄養は、単なるぶっかけ」と看破していたことを追認するだけのものでした。
概して有機物資材は「施用しても、障害を与えない」ことが確認されただけのものが散見されます。少なくとも、「より優れている効果が確認された」と誰からも認定されている事例はありません。化学肥料の成分含量だけは極めて厳格なものであり、信頼があります。
有機物を未来の植物の繁茂に付加することは、ある意味で、夢物語でした。
ところが、有機物を有機金属化合物へ転換してから植物へ施肥すると、有機金属化合物は植物に吸収されていました。
膨大な種類と膨大な量の有機物は、この有機金属化合物へ転換すれば、未来の植物の組織に付加できることが判りました。
「家畜糞尿の有機物」「雑草の有機物」「食品加工残渣の有機物」「木や紙の有機物」等幅広い有機物は、分け隔てなく、炭素肥料の有機物へ転換すれば作物の有機物へ導入できます。
今まで、朽果てるしかなかった有機物が、「作物」という極めて価値の高いものへ直接転換できる経路が拓かれました。
有機物のリサイクルは、おそらく、この社会の営みの中で最も大規模に実施されるべきリサイクルといえます。
そして、この有機物のリサイクルは、その所作が判れば誰でもリサイクルのいずれかの過程に直接参加することになります。
「美味しい作物を食べる人」「炭素肥料の原料となる有機物を提供する人」「栽培する人」「作物を保存する人」「広大な余剰地で再生可能エネルギーを活用する人」
ほぼ全員が、有機物のリサイクル=炭素肥料に日々繋がって生活することになります。それが、美味しいものを安く得ることだからです。

有機物のリサイクルが現実のものとなれば、無機栄養説の下の状況が一変することが判るでしょう。
有機物は、ある種の有機金属(炭素肥料)とすれば、ほぼ間違いなく未来の植物(作物)の成長に付加できます。分解者による分解作用を受けません。糞尿や雑草の有機物のように、これまで全く利用できない有機物であっても炭素肥料にすれば、有機物としての特性をいつまでも保持し、圃場で作物の成長に付加できます。
単に有機物のリサイクルができるというのではなく、
★ 有機物を安定的に固定し、極めて長期間にわたり保存できる【固定・保存】
★ いろいろな植物(作物)の成長に付加できる【成長の増進】
★ 耕地の生産性は、従来の光合成による生産性を維持した上で、有機物のリサイクルが付加される【耕地の生産性】
★ (この章では触れない)糖度の上昇とエグミの軽減【食味の向上】
★ 原料と耕地は世界中どこにでもある【生産・消費・原料…あらゆる面で普遍性が高い】

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