不定期連載
笹野的映画感想記
僕が見た映画の感想を書く場です。
上映中に限らず、過去に見た作品も機会があれば書こうかな、と思ってます。
第三十四回:「銀のエンゼル」
・銀のエンゼル(2004年 原案・監督:鈴井貴之 主演:小日向文世、佐藤めぐみ、山口もえ、大泉洋他)
半年ぶりの映画館鑑賞です^^;
北海道のある街で一件だけのコンビニを舞台にした、そこのオーナー家族と客達の群像劇です。
まず、オープニングが珠玉の出来!OP曲と映像のシンクロが凄く気持ちいいんですね。僕個人としてもGOING UNDER GROUNDは好きなバンドなのですが、彼らのPVとしても成立するんじゃないかな?と思わせる位。
ミスターこと鈴井さんの今までの映画は札幌を中心にした舞台設定だったのですが、今回は道外の人にも「ああ、北海道っぽい風景だな」と思わせるような風景が多いかなと。もちろんそれが観光ビデオのような扱い方であったら最悪だけど、主人公であるオーナー(小日向文世)の娘(佐藤めぐみ)の、今の自分の環境に対しての閉塞感と拘束感みたいなのがあの広大な風景で逆説的に描かれているように感じました。
若さ故にどこか大きな所で羽ばたいてみたい、出来ればこの町ではない大きな場所で、でもそれにはこの何処までも続くような広大な風景のこの町が自分を捕まえている巨大な檻のように感じてしまうのかも知れない。しかも、その檻には自分だけじゃなく、同居してる人達もいるわけで、その檻の中ではちょっとしたことでも大事として広まってしまう。そしてその気持ちのやり場のない不満は彼女からしてみれば人に流されてばかりの父親に向いてしまう。父親もそれをイヤが応にも意識するようになっているがそれらに対し一歩踏み出すことが出来ない。気が付けば自分の周りには色んな事が気付かずに廻っていて、自分は今まで何を見て過ごしていたのだろうと。それはかつての農業生活をまだ諦め切れてないことにもあるだろうし、一方で全てを妻に任せて目の前の出来事から逃げていたかも知れない。
これらの事はきっと、田舎とか都会とか実は関係なくどこにでもある「今」なのだと思う。一番小さくて大切な輪っかである家族を保つ術を見失っている今をこの映画は描きだしているのかなと。でも幸せってモノは全てを手に入れられるモノでもなく、その時に、どう折り合いをつけるか。何を持って前向きに諦めるか、なのかなと。それは舞台の中に出てくるあの「銀のエンゼル」が象徴してるのかも知れない。
暖かい映画です。最後ホロッときますよ。
第三十三回:「クリムゾン・リバー2黙示録の天使たち」
・クリムゾン・リバー2(2004年 監督:オリヴィエ・ダアン 脚本:リュック・ベッソン 主演:ジャン・レノ、ブノワ・マジメル等)
まず最初にこの映画の試写会のチケットを提供してくれたBACKさんに感謝(笑)
前作が結構いい感じの作品だったのですが(第五回にレビューしてますのでよければ参照を)正直続編が出るとは思ってませんでした。しかも今回は脚本がベッソンって事で前作のカソヴィッツ監督独特の重苦しい感じの世界観からどうなるのだろうと色々思いを巡らせながら見に行きました。
続編って難しいんですよね。勿論作る側もそうでしょうが見る方も前作を見に行った人はどういうスタンスで見るか難しかったりして。んでどうだったかと言うと…。
二つの見方が出来る映画だな、と。
“クリムゾン・リバー”の続編として見るか、或いは、“ベッソン脚本”の映画として見るか。それによって評価が変わる映画だなと言うのが見終わって最初に感じた正直な感想です。
あまり詳しくそこら辺説明しようとすると、ネタバレしてしまうことになるので、控えめに書けば、(近年の)ベッソン作品特有のエンタテイメント性が遺憾なく発揮されてて、本で言うなら読後感が良いと言うような感じの仕上がりになってるんですよね。前半の得体の知れない不気味さから後半の収束感にかけて綺麗な曲線になっていると言うか。ただ、それが「クリムゾン・リバー」という作品性に関していいのかなぁ?て気もしないでもないんですよね。見方を変えればアクション要素を取り入れる事でシリーズ化に向けて色々方向性に幅を持たせたのかな?とも感じますが。それにしてもキーワードとなるモノが淡々と消化されちゃうかな?と言う感じがちょっと拭えませんでした。
単純にこれが「クリムゾン・リバー」の続編じゃなかったら小気味よい作品として楽しめた様な気がします(ここら辺が前述したように難しい所なんですよね。続編モノって)。だから個人的には前作を見た事のない人には2からみて面白かったら1を改めてみるって言うのがオススメかな(笑)。そういやどうでもいい話ですが個人的にはこの作品が久し振りにベッソン作品を見る事になったんですよね。前は欠かさずチェックしてたのにね。単に映画館にいけなかったって言うのが理由ですが。
第三十二回:「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
・ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2004年 監督:ピーター・ジャクソン 主演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、
ショーン・アスティン、ヴィゴ・モーテンセン、リブ・タイラー等)
感動した…。
今作で描かれたのは、大きな物事を成し遂げる事、変える事の重さと意味だったと思う。
一作目の時点で旅の仲間達はばらばらに裂かれてしまう。それでも彼らは一つの目的のためにその歩みを止めようとしない。今作に至るまで、今作に至っても。
それは使命と言うだけの繋がりではないと思う。お互いが、お互いを信頼に値するという部分が使命以上の繋がりを持たせたのだろう。
前作もそうだったが、今作もサムとアラゴルンの存在が非常に印象深かった。
彼らはこれだけボロボロになりながらも何故此処までひたむきになれるのか?それが前述の部分だった様に思う。HPで恥ずかしながら拙文を書いている人間としてそれぞれの台詞の一句一句に胸を突き動かされたものなぁ。
ラストがまた素晴らしかった。
この物語は単なる成功話ではない。物事が大きく動き、変わる時、それは溢れんばかりの光を放つと共に切ない影を落とす事でもあるのだ。そしてそれは目を背けてはいけないと言う事も…。もしこの話が歓喜の中で終わっていたらここまで評価が原作の時点で高くなっていなかっただろう。
アカデミーでは11部門賞を取ったが、役者は誰も獲れなかった。でもそれで良かったような気がします。だって、誰がどうとかって問題じゃないもの。あの仲間達全員のものでしょ。
第三十一回:「river」&「バニラ・スカイ」&「ジョゼと虎と魚達」
・river(2003年 監督・脚本:鈴井貴之 出演:大泉洋、安田顕、音尾琢真、佐藤重幸、森崎博之他)
前回もそうでしたが、見に行ったのは上映開始間もなくの事だったのですが、つい忘れてしまいました(苦笑)。
話は、銃に弾を込める事を拒むポリシーが仇となり連続通り魔をみすみす逃がしてしまい自責の念に駆られる警察官(大泉)、その通り魔に結婚目前だったフィアンセを殺された男(安田)、かつて将来有望だったスキージャンプの選手だったが交通事故で夢も栄光も失った男(佐藤)、エリート会社員として幸せな家庭も築いているが昔のいじめの記憶が忘れられない男(音尾)。そんな男達は同窓会の場で再び出会い、そして互いの心の奥底を見せなくとも自分の記憶を消してしまいたいと漏らし合う。そんな男達に不思議な依頼が舞い込んでくる。そしてそれは不気味な陰謀が潜んでいた…。
この映画を一言で言えば「因果応報」と言う言葉が当てはまるのではないでしょうか。監督はそれを「川」と言うキーワードでくくって表現しています。川に戻る鮭は二つの意味を持つ。産まれた川に新たな命を託すため、そしてそれはイコールとして自らの死でもあるという。
映画は暗い水の中をもがくように人々が動いてゆく。安らぎを、平穏を、求めて。そんな心情を表すかのように、この映画の中では「明」は決して救いにはならない。むしろ追いつめるかのようにさえ感じます。
決して明るい映画ではありません。「業」と言う言葉も頭に浮かびます。でも、最後まで見ればちゃんと希望も見えてくる映画だと思います。鮭が新たな命を産み落とすように。
・バニラ・スカイ(2001年 監督・制作・脚本:キャメロン・クロウ 出演:トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス他)
こちらはDVDで見ました。
劇場公開時にはそれほど興味がなかったのですが、的場君にこのDVDを貰い、今回見てみました。
話的には放蕩息子を絵に描いたような出版社の社長がある女性と出会ってから目まぐるしい状況に追い込まれる。しかしその裏に隠れている真実は…。て感じなのですが、ちょっと説明に苦しむんですよね。詳しく語ろうとするとネタバレになってしまうし。
ただこれは言えます。面白かった!的場君には序盤の部分を乗り切れたら驚きと共に一気に面白くなると言うような主旨の事を言われていたのですがその通りだなぁと。トム・クルーズに特別に思い入れみたいなモノは無かったのですが、こういう作品をチョイスする部分とか(元々数年前の他国で上映された作品のリメイク)やっぱただ者ではないなぁって。ペネロペも美しく、こりゃトムも惚れるよなぁって(笑)それにしてもキャメロン・ディアスはよくこの役をOKしたなぁと。ある意味イメージ的には損な役割なんですけどね。
確かに評判であった難解な映画ではあると思うんです。でもちゃんと集中して見れば非常に良くできた映画だと思います。高度なエンタテイメント性を持った映画だと思いますね。
・ジョゼと虎と魚達(2003年 監督:犬堂一心 出演:妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里他)
2004年一発目の映画鑑賞はこの作品でした。
ちょっと軽い今時の大学生(妻夫木)と、足の不自由な女の子(池脇)がひょんなことから出会ってしまう、簡単に言えばそういう話です。
でもここに描かれているのは決して綺麗事だけのラブストーリーではありません。遊びでも本気であってもそれを問わず肉体関係=セックスも絡みますし、身障者との恋愛に対する(ある種の)世間の現実、何よりも愛してるだけでは決して成就できない事もあるという事をこの映画では描いていると思うのです。
セックスをしたからと言って必ず愛した事にはならない。互いを必要とする事イコール愛とは言い切れない。愛とは幸せだけで出来ているわけではない。ある意味残酷な映画かも知れません。でも主人公も少女もそれを真摯に受け止めていく事が救いになっているような気がするんですよね。
この映画で印象的だったのは主演の二人の演技でした。妻夫木聡って言うこの人の作品を今まで特別見た事がないのですね。でもこの映画を見て人気の秘密の一端がすこし判ったような気がします。普通の若者をしっかり演じつつも存在感が際だっているんですよ。それは何げに凄い事だと思うんです。役者の性というかどうしても主演でそういう役を演じると普通は非現実感みたいなモノが浮き出てしまう事があると思うのです。それを利点に出来る人も勿論いて、それもまた凄い事なのですが、登場人物にしっかりなりつつも、普通に埋没されずにちゃんと人を引きつけるナビゲートが出来る。それがこの人の強みなのではと。池脇千鶴もまた、非日常というものを削って身障者をリアルに演じ、それでいて主演としての役割を果たしている。この二人をキャストした慧眼に唸る想いをしました。それを間違うと変に現実離れした違和感を感じる作品になるか、或いはストーリーの日常感に役者が埋没してしまうと思いますから。
決して大ヒットではないけど、ロングヒットしている理由が判ったような気がします。こういう作品もいいと思います。
第三十回:「ラーゼフォン 多元変奏曲」
・ラーゼフォン 多元変奏曲(2003年 総監督:出渕裕 監督:京田知己 声の出演:下野紘、久川綾、坂本真綾、桑島法子他)
見に行ったのは結構早めだったんですが、ここに書くのを忘れてました(汗)。
基本的にはTV版の話をベースにはしていますが、登場人物が多少絞られていること、また、役割も若干違うこと、そして話そのものも(TV版とシンクロするところもありますが)、変わってきています。
僕はこの話の核となるのは主人公神名綾人(声:下野紘)と紫東遙(声:久川綾)のラブストーリーであると思ってますが、映画ではその部分をより強調したように感じました。その為、TV版では綾人の過去の記憶と深層心理とが融和して生まれたような存在として扱われていた美嶋玲香(声:坂本真綾)も映画では序盤で遙の中学時代の姿(美嶋遙(声:坂本真綾))として最初から描かれていますし(もっとも、玲香自体はちゃんと別の形で出てきますが)。そういう意味では単なるTV版の総集編とはしていないし、一つの独立した作品として楽しむことができると思います。ま、TV版を知らないと楽しみにくい部分もあるのは事実ですが。
ちょっと不思議だったのはTV比率で(4:3ってやつね。16:9じゃなく)映されていた事ですね。恐らくTV版の映像と合わせるためだと思いますが、エヴァでもそこはシネマスコープに直していたからどうにかならなかったかなというのはちょっとありましたね。でも、クオリティは高いし、話そのものも個人的にはTV版よりこっちの方が好きです。ちょっと自分の中ではエヴァよりランクが上に来ちゃったかなって。ああいう終わり方大好き(笑)。
音楽も新規の曲がまたいい感じで、エンディングの曲もすごく良かったっす。いい形でのシンクロ感があってグッときましたよ、うん。
第二十九回:「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
・ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2003年 監督:ピーター・ジャクソン 主演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リブ・タイラー等)
前作が物語の世界観及びキャラクターを知る為の案内、或いは入り口だとしたら、今作は本格的にこの世界に入り込んで歩んでいくものと言えるだろう。ただし、そこには必ずしも美しいだけの世界じゃない。そこには生きるための厳しい現実もある。だが、そのことをまっとうに描ききったところに監督及びスタッフの気持ちが見えてすがすがしいと思う。
冒険者達は身を守るために重い甲冑を身に纏い、生きるために簡素な飯を食い、そして武器をふるう。それらは勿論前作でも描かれてはいたが、前作がホビット族yエルフ族の住む世界が描かれた分だけファンタジックな部分での見方が強かったけど、今作は人間族の、それも過酷な環境の中で生きる姿が描かれていたりするので、前作との対比と相まってその世界のリアリティが増し、生きてくるのである。いわば、源流の土の匂いがする地に足の着いたファンタジーだと言えるだろう。自然が、風景が、雄弁に語っているのである。
キャラクター達もより魅力を増した。ガンダルフは知的で神々しさが増し、アラゴルンは大志のために懸命に闘い、生き、一方でアルウィンへの断ちがたい恋心に揺れ、闘いに赴かねばならない少年へ掛ける言葉が見つからず、不器用な表現で接する。レゴラスは華麗でありながらも今回は圧倒的な敵へ心の動揺を隠せず、ギムリは豪快ながらもユーモラスさをのぞかせる。そして主人公フロドは指輪にその身を蝕まれそうになりながらも、従者で友人のサム(今回の私的MVP!)に励まされる…。新登場のエント族やゴラムなども魅力たっぷりだ。改めて原作のパワーを感じる。
クライマックスの戦闘シーンはダイナミックだ。個人的にはジャクソン監督には三国志を撮らせてみても面白いのではないかと思う。監督が思い入れを持ってくれれば、であるが。
DVDを待つのもいいけど、やっぱりスクリーンで見るのをオススメします。って言うか映画って言うのはやっぱスクリーンで見るのが本筋だと思いますしね。