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 飛鳥時代の宮殿や史跡が多く発掘されている事で知られる明日香村は、「日本の心の故郷」とも紹介される人口6000人ほどの小さな村です。日本で唯一全域が古都保存法対象地域で、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる風景が広がっています。

 その明日香村で農家住宅を建てることになりました。施主はIT関連から農業に入った30歳の若いご夫婦。
村では漆喰と瓦屋根が義務付けられています。『じゃぁ竹小舞と土壁は皆でやろう!』と増田得意の(?)やり方で工事が始まりました。
ど。(そんなわけにはいきませんが) 土をつけるまでの1週間ほどしか見られないものです。
2008/7/28
 敷地を見せて頂いた時、そこはまだ原っぱでした。なだらかな勾配の目線の先には山の稜線と広い空とがありました。
 道路からのアプローチや敷地後ろの森との高低差など検討しながらGLを設定することになりました。
2008/8/1
 測量をして、ある程度のGL設定が出来たので実際に土を掘ってもらって、最終確認です。施主さんも農作業の合間に打合せに来て下さいました。
2008/8/20
 地盤面が確定。後ろのがけと、前の道路とに段差が出来るので擁壁の工事に掛かります。明日香村の岡寺の石積みを施工された村の建設会社が手掛けてくれることに。
2009/4/12 竹小舞が出来た一階から荒壁に取り掛かりはじめました
 施主さんのお友達のさらにお友達の皆さん。よくよくお話を伺ってみると古材文化の会会員の設計事務所の所員さんだったり、左官リーダー吉賀さんちの近所の方だったり、世間は狭いです。

 初めての左官、楽しんで頂けたようです。
 施主の子供さんのお友達とそのママさんたちもお手伝い。。。と言いますか泥遊びと言いますか^-^; 昔はこういった作業は村人総出でやってたそうで、子供は泥団子を投げ付けて荒壁を作っていたのだとか。チビっ子たちがこの経験を覚えていてくれると嬉しいですね。
 施主さん。作業が進むにつれてどんどん上達されて、最後は職人さんのようでした。こんなにも家造りを楽しんで貰えるのは本当に嬉しいことです。
息子さんも小さなマイコテで奮闘中。
 壁もついてだんだんと部屋の雰囲気が分かってきました。この調子でサクサクすすむ?かと思われたのですがここからが大変で。。。
2009/4/19 小屋裏の三角形、本当に苦労しました。。。勾配に沿ってて竹の長さが変わるので、あらかじめ寸法を取って竹を切揃えてから脚立に上がるのですが、そこは素人の仕事なので長すぎたり短すぎたり、本数が足りなかったり。また脚立を降りて竹を切って、上がっての繰り返しです。

 疲れてくると竹を落とす回数が増えてきて、一階まで取りに行くはめになったり。。。 この頃、『脚立から落ちる夢を見た』と言う人が続出(?)したのでした
施主さん 魔の三角形と格闘中。壁が小さい上に火打ちがあるので作業がしにくいのです。これをプロの職人さんはどれくらいで編まれるのでしょうか。。。
 左官リーダーの吉賀さん。本職は大工さんですが今回素人集団を仕切ってくださいました。

2009/5/4 竹小舞がようやく終わって荒壁も大詰めです。身軽な吉賀さんは狭い小屋裏も寝そべったり体を小さく隙間に入れたり、不思議な体勢できれいに塗って下さいました。本当にご苦労さまでした〜
息子さん。すっかり板についてきました!
奥様のお父さん。竹小舞からずーっと手伝って下さいました。
三世代 家族みんなで家をつくる、なかなかないです!
 こちらはお母さんのお弁当。シャケご飯とエビフライとおひたし、暖かい卵スープ。おいしいご飯を本当にありがとうございました!
 初日に来てくれた施主のお友達のお友達、井上さんが今日は一人で来てくれました。壁を塗ることがあったらまたお声掛けしますので遊びに来て下さいね〜 

 この日の帰りは橿原神宮前行きつけ(?)の居酒屋笑笑で一杯!
2009/5/31荒壁完成です。皆様お疲れ様でした!

 ここから先中塗りも施主施工で、という予定でしたが
・思った以上に作業量が多く、疲労がピークに
・吉賀さんに別件のお仕事が入って時間がとりにくくなった
・施主さんの農作業に支障が出つつある

 色んな要素があって、ここから先はプロの左官屋さんにお任せする事になりました。
小屋裏の荒壁も完成
 過酷な作業中も窓から見える明日香村の風景に随分癒されました。
2009/6/26 左官職人さんに入っていただいて急激に作業が進み始めました。外壁の中塗りが出来つつあります。
 屋根と壁の取り合い。屋根の形状が複雑なので屋根の下にも小さな三角形があります。左官やさんも苦労されたようでした。
 天井に杉板が張られました。大きな梁と、窓の外の軒裏と、木に囲まれた気持ちの良い子供部屋です。
2009/6/28 左官やさんの指導のもと、外壁に使う漆喰つくりをしました。施主さんと左官屋さんが麻スサを細かくしているところです。

 現在では、海藻糊を煮て麻スサを合わせ、石灰と練り合わせる昔ながらの手法で現場練りする事はまれだそうです。
 明日香村の家らしく、昔ながらの手法に挑戦です。
海藻を煮る
煮た海藻を網でこしているところ
スサと海藻に石灰を混ぜて練ります。力仕事でコツがいるのですが
施主さんは農民なのでこの作業がとても上手でした
2009/7/6 アルミサッシが入りました。床下に断熱材を入れて、床板を貼っていきます。
外観も随分出来てきまし
2009/7/8 大工さんが巾木を入れてくれたので、仕上げの中塗りが始まりました。 今回お願いした左官屋さん、職人さんの中でも特に手が早いようで。 荒壁を塗るのは初めての人で1日2・3枚、もの凄く慣れた人で10枚くらいなのですが、この方50枚くらい塗るらしいです!そして勿論キレイです。

 職人さんのなめらかなコテさばきに皆唖然として、見とれてしまいました。
 早くて見えません!! (ブレただけ?)
あのまま皆で続けていたら誰か倒れていたかも(苦笑) 

 素人が塗った荒壁ですからやりにくい部分も沢山あったと思うのですが快く引き受けてくださって本当にありがとうございました。
2009/7/12 外部の漆喰塗りも進んでいます。皆で塗った荒壁はザックリと田舎風でしたが、漆喰が塗られると上品な佇まいになりました。
 勾配屋根の下、母屋との取り合い。狭くて難しいところも本当にキレイに仕上げてくださいました。美しいです!
こちらは壁と屋根の取り合い
二階の部屋から下屋を見る。
2009/7/29 階段が出来てきました
2009/8/4 階段に手摺もついて完成です。工事も大詰めになると現場に行くたびに様子が変わっていきます。
 1階から吹き抜けを見上げる。リビングには藤井寺で知り合いの古屋が解体された時に譲ってもらった梁を使っています。上棟の前に設計者と施主が工務店の工場で磨いて古色の柿渋を塗りました。
 二階の梁は全て新材。子供部屋の梁にはブランコを下げる計画も
2009/8/19 建具も古いものを多用しています。昔の建具は細工が細かく、丈夫で雰囲気もとても良くなります。昔の建具は高さが173センチと低めなので、下に継足して178.8センチにしました。

 古屋の解体現場があっても梁や柱を頂くのは大変な作業ですが建具はすぐに持ち出せるので、古いものも割りと容易に手に入ります。
2009/8/23 この日は見学会を行いました。左官を手伝ってくださった方や以前の施主さんなどにお披露目です。
施主さんの最初の要望は
『桂離宮のようなコロンとした可愛らしい屋根』でした。

 ああでもない、こうでもないと思案してようやく生まれた寄棟の大屋根も、最初は明日香村の景観を管理している奈良県になかなか認めて貰えませんでした。施主と設計者が県庁に行ってようやく許可が出た外観ですが、出来上がってみると明日香の風景にしっくりとなじんでいると思います。
空と緑に白い漆喰が良く映えてキレイです。
 裏から見る。一階の窓には木製の格子をつけました。
サッシは全てアルミサッシですが、雨戸の戸袋を板で囲う事でこの建物の雰囲気に合うようにしています。
道路側から見る。コロンとした形になりました。
 玄関と大屋根 玄関の建具は施主さんのデザインです。玄関の土間は豆砂利洗い出し、左官やさんが仕上げてくださいました。
 玄関を入ったところ。左側が靴箱、正面がリビングへの入り口です。
靴箱の扉は簀戸(すど)と言って、簾(すだれ)状の建具です。夏場に紙障子と入れ替えるので夏障子とも呼ばれます。風通しのための建具ですから、靴箱や納戸には最適ですね。デザインも凝っていて見学の方からも大好評でした。この建具を使うために、大工さんに建具にあわせて靴箱を作って貰いました。
 リビングから玄関と和室の入り口を見る。建具の下の白いところが、高さを調節した部分です。この後、施主さんが古色で塗りなおして境目が分からないようになっています。
階段と浴室の入り口  靴箱と同じく簀戸を使っています。
寝室 こちらの襖は京都の古建具屋さんで探してきたものです。真ん中の障子部分が、左側のように簀戸に変えられるという優れもの。障子が2枚、簀戸が2枚セットになっています。
 古建具で探すと、オーダーで新調するよりずっとリーズナブルになります。デザインが凝ってるものも多く、見るだけでも楽しいです。
 入り口の扉は新調したものです。
子供室 将来は二部屋に区切れるようにしています。
反対側から見る 奥の窓は一階からの吹き抜けと繋がっています。
こちらの建具も古いもの。裏には施主さんと同い年の新聞紙が貼られていました。 キレイに落として再利用。見学にみえた方の『建具も喜んでるわ』というお言葉が嬉しかったです。


 




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