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 東京都大田区の桜並木が美しい住宅街に築80年の家があり、その改修工事です。京都在住の息子さんから『実家のコトで相談に乗って欲しい』とご紹介頂きました。起伏の多い町並みの丁度谷の部分にあるその家の床下は常に湿気を含んで、家の足元は随分傷んでいました。増築を重ねた建物の屋根は谷が入り組んで雨漏りもあるとのこと。 足元を改良すること、屋根を掛けなおしてシンプルにすること、水周りを整える事がこの工事の目的です。


Before

 桜並木から少し入ったところにある築80年の建物です。元々は賃貸住宅として建てられたもので、決して『いい建物』とは言えませんが、歴史が刻み込まれた内部は懐かしい臭いがします。
 増築された洋室部分。出窓が可愛らしいですが、この増築が思いがけず家を傷める原因になっていました。
玄関。元々の建物と増築された部分との屋根が複雑に重なり合っています。
増築された切妻屋根と、奥に入母屋屋根が見えいます。
木製の出窓
屋根の上。大きな谷があり、瓦もずれています。
 棟。ここから雨漏りしているらしく、お父さんがモルタルを詰めています。
 古民家の調査を良くやっている友達に言わせると、『100年以上引越していない家の荷物は半端じゃない』そうですが、こちらも引越してないのでやはり荷物が多いです。
お料理上手なお母さんの台所。食器や調理道具、調味料などが所狭しと並んでいます。日当たりが悪く、寒いのが不満な点。
和室もタンスやロッカー、衣料品で溢れています。
じめじめとした床下では束も傷んでいます。
 洋室を増築した際に床下を塞いでしまったことが、湿気を溜め込む原因になってしまったようです。洋室の束はとろけてなくなっています。ご家族で床を切って、束を付け足したこともあるそう。
こちらは小屋裏です。土塗壁
 小屋組みはしっかりしているようですが、複雑な屋根は雨漏りの心配があるので、この小屋組みを使って新しく屋根を掛けなおすことに。
途中経過
 工事開始です。内部の壁や欄間などはそのまま利用ですから、内部が濡れないように上にもう一つ屋根を掛けての作業となりました。
竹小舞が見えています。
 屋根の下は案外広いです。元もとの小屋組みの上に棟と母屋を設けて、単純な切妻屋根とします。
天井もそのまま利用します。
 洋室の床を取ったところ。やはり束が無くなっています。水分と温度と材木、シロアリが好む環境です。
 洋室と廊下の間も傷みが激しかった部分です。
『廊下がふわふわするのよ』とおっしゃっていたのはこれが原因です
 湿気が上がってこないように、土間コンクリートを打ちました。通気口を取って、床下に空気が流れるようにしました。
廊下との間も補強しています。

After

 外観は板張りです。物置に隠れていた窓も再利用、玄関と向こうに洋室の窓が見えています。
 屋根もシンプルな形になり、雨漏りの心配はなくなりました。ガルバリウム鋼板。
 増築部分のキッチン。IKEAで購入しました。組み立てを大工さんにお願いしたのですがシンクの穴開けからやらねばならず、難しかったようです。。。ありがとうございました。値段を聞いたら『そんなにお手頃なの??』とビックリしてしまうくらい、キレイなキッチンです。 コンロの隣の壁には調味料棚をつくりました。勝手口は洗面所にあったものを再利用しています。
窓の下枠を大きめにしてもらい、物が置けるようにしました。
 正面には梅の木です。これなら気持ちよくお料理できそうですね。2月にはいい香りがしそうです。
 和室を二つ繋げて、リビングにしました。板張りにして、畳の部屋がなくなってしまったので、施主さんのご要望でタタミ収納を大工さんに作ってもらいました。ゴロリを横になるもよし、テーブルと並べて椅子代わりにするもよし、収納にもなります。ナイスアイデアでした。
沢山の荷物で見えなかった縁側からの光もあり、広くなったような印象です。
 キッチンから縁側を見る。雪見障子なので近隣の目線を気にせず、庭の緑を楽しむ事ができます。
反対側から見る
 元々キッチンがあった場所は納戸になりました。今では元々あったタンスやロッカーが神業的な配置で置かれていて、『全部開けられるのよ!』というのがお母さんの自慢になっています。
 元々キッチン前にあった出窓はそのまま残しました。キッチンに付いていた吊戸はキッチンに付けられなかったのでこちらにやってきています。
洋室は床を張り替えて、木製の枠を塗りなおしました。
リビングから縁側を見る。古い建具、柱などすべてそのままです。
施主ご夫妻。
 『古民家再生』というとお金が掛かって、一部の特殊な人がやるもの、と思われがちですがそうではなく、少し工夫して思い出を残す事ではないでしょうか。ごく普通の庶民の家も、こんな風に素敵に生まれ変わります、という好例になったのではないでしょうか。

 大阪からの監理ということで施主さんや工務店さんには色々とご苦労をお掛けしました。ありがとうございました。




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