
古材文化の会に相談のあった物件です。千葉にお住まいの主婦の方から、『佐渡にある実家を何とかしたい』と相談があり、大阪で単身赴任中のご主人と一緒に事務所におみえになりました。 実際に見に行ってみると佐渡の伝統的なつくりのとても立派なお宅でした。壊してしまうのは勿体無い、改修して老後を過ごす家にしよう!という事になりました。
| イベントをおこないました(2008年6月7日・8日) |
| 2003年8月 | 施主のOさんより古材文化の会に相談のメールがある。 『奈良の家』でもご紹介しましたが、古材文化の会の『利用相談部会』には伝統建築の保存や活用に対する相談に応じています。 Oさん(奥様)からのメールには 『今は千葉に住んでいますが、両親の残した古屋が佐渡にあります。立派な梁や柱を見ていると壊すのは勿体無いけど最低限の修理にも1000万以上かかるので悩んでいます。』とありました。 |
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| 2004年3月 | 施主のOさんと、大阪に単身赴任中のご主人が古屋の写真を持って事務所にみえる。 写真を見せて頂くと、関西あたりにはない作りの立派な建物でした。『オマエ』と呼ばれる天井の高い空間は佐渡ではどの家にもあるそうです。残すにしても壊すにしても、一度建物を見て貰いたいとの事でしたので、古材文化の会から増田と、構造設計の井手さんが佐渡に渡ることになりました。 |
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外観 平屋で50坪を超える大きな家です。瓦の葺替えが必要なこと、最低限生活できるように水周りを整えることが条件です。現在は土間の台所におくどさん、五右衛門風呂があります。 |
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内観 オマエ(オエ)と呼ばれるこの地方特有のハレの間。佐渡の古い家はこの部屋が必ずあるようです。天井が高く、構造材もとても美しいです。写真で見ただけでも『壊すのは勿体無い』という思いがしました。 |
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| 5月初旬 | 増田・井手さんが佐渡へ行き、実際に家を見る。@ 5月の佐渡は空気が爽やかで、とても気持ちがいいそうです。 実際に建物を見て、増田は『壊してしまっては勿体無い』という思いを強めました。一部雨漏りから腐れがある部分もありましたが、構造はしっかりしていて井手さんからも『大丈夫』とお墨付きを頂きました。海に近い砂地の硬い地盤で、白蟻の被害も心配しなくて良さそうです。 調査の結果を施主に伝え、今後どうするかはOさんに委ねることに。 佐渡の風景@ 原黒の家〜現況〜 |
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| 5月下旬 | “佐渡の家を残したい” と施主から申し入れがある ご先祖様から預かった家を簡単に壊してしまってはいけない、という思いを強くされたOさんから増田に設計監理の依頼がありました。Oさんの心配はこれだけの工事をどの程度の金額でやれるのか、という事。予算は1000万。とにかく予算をタイトに、設計に取り掛かることになりました。 古材文化の会の『利用相談部会』では若手の育成のために部会員と準部会員がペアを組んで物件を担当します。 『学生時代の友人が佐渡で伝統建築を保存・活用する活動をしています』という大屋さんの熱意と人脈で、古材文化の会事務局員の大屋さんに パートナーを担当して頂くことになりました。 |
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| 6月初旬 | 財団法人 国際技能振興財団 佐渡支局の平原さんと連絡を取る 大屋さんの友人で、佐渡で活動されている平原さんを紹介して頂きました。右も左もわからない佐渡での工事では力強い助っ人になって頂けそうです。 NPO法人佐渡文化財研究所 |
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| 6月25日 | 大阪にて設計契約 建物は佐渡、奥様は千葉在住、ご主人と設計者が大阪、古材文化の会の大屋さんが京都と、かなりの『遠距離設計』(?)が始まりました!! 増田にとっても初めてのことです。FAXやメール、電話や郵送を駆使しての打合せを重ねていきます。 |
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| 7月30日〜8月2日 | 佐渡の家の調査をするため現地へA 二日間に渡り建物の実測調査を行いました。夏の佐渡は思いのほか暑く、体力を消耗しながらもちゃっかり一周廻って観光もさせて頂きました。初対面の平原さん、平原さんが紹介してくださった大工さん、施主のOさん夫妻、Oさんのお友達の絵描きの方など大勢集まって 佐渡の夜は賑やかに更けていきました。 佐渡の風景A 実測 川上工務店の仕事 |
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| 10月9日 | 京都 古材文化の会 事務局にて打合せ 施主のOさん夫妻、大屋さん、増田と所員の渡辺で打合せ。この時点ではまだ施主さんの要望は『ふんわり』していますので、いくつかプランを作って、どこが気に入ったか、気に入らないかをじっくりお聞きします。 その後施主さんのご招待で上賀茂神社の『観月の夕べコンサート』へ。月と風と、木々のざわめきと素敵な音楽。風情のある夜になりました。 観月の夕べコンサート |
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| プランをつくる Oさんの希望で大屋さん、増田、渡辺の三者それぞれでプランを作ることになりました。色んなプランが出てきて、とても面白いです。いいトコを集めて、もっと良いプランにしよう、とFAXや郵送で図面やイメージ図のやりとりが続きます。 |
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| 11月13〜16日 | 増田 佐渡へ行くB 大阪の増田にとって佐渡の四季は経験がありません。家の建っている環境を知るためにもそれぞれの季節を知りたい、という事で秋を経験しに行ってきました。5月は快晴、8月は酷暑、今回は少しの雨と曇りと晴れ間。不思議と私達太平洋側に住む人間が思い描くような荒海と遭遇していません。 プランが進行中の中、工務店と話し合い、そしてもう一度佐渡の家をじっくりと見てきました。前回の佐渡行きで平原さんが紹介してくださった川上工務店の川上さんとじっくり話をすることが出来ました。川上さんも平原さんも佐渡を活性化させることにとても熱心で、今回のO邸の件にも積極的に関わってくださるようです。 佐渡の風景B |
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| 2005年1月21日 | 大阪の事務所で打合せ Oさん夫妻が事務所にみえて打合せ。ご要望が次々と出てきて、プランがどんどん変わっていきます。古民家の改修は制約が沢山あるのが不自由であり、そこが面白いです。 |
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| 2月20日 | 増田 佐渡へ行くC 最後の季節、冬の佐渡を見てきました。この時は新潟からのフェリーが出るか出ないか?の悪天候で、吹雪でした。旅行者には雪は珍しく、興味深いものですが地元の人にとっては鬱陶しいものでしょうね。新潟というと何メートルも雪が積もって。。。というイメージですが佐渡はそこまでは積もりません。この時は土間の天井を破って、小屋裏を覗いてみました。蚕を飼っていたらしい場所が見つかり、封じられた窓も見つけました。またプランに新たなアイデアが浮かびそうです。 小屋裏 |
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| 3月25日 | 佐渡の川上さんが大阪へ お友達と来阪されるついでがあって、増田の事務所と、『岬町の家』の見学会に来て下さることになりました。初めての工務店さんと仕事をするのに実際にお互いの仕事を見ることは意思の疎通をする上でとても近道になります。 が、悪天候でフェリーが止まってしまい(残念)、事務所はまた次の機会にして、見学会の会場にお越しくださいました。 でも何故か増田とではなく、施工者の山本さんと話しこまれる佐渡の川上さん。 同業者の方からのほうが忌憚のないお話が聞けたかもしれませんね。遠いところありがとうございました。 |
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| 4月15日 | Oさん夫妻が事務所にみえる Oさんが吉野山のお花見に関西にお越しになったので、事務所にもお立ち寄り頂きました。この頃にはプランもほぼ固まっていましたので、実施設計を始めつつありました。この時の打合せに、増田は『工事費を安くすることばかりに気を取られて、これからご夫婦が数十年快適に暮らすように・・・という配慮が少し足りなかったかな〜』と反省。 せめて浴室や洗面台、キッチンくらいは一緒に見て決めましょう、と提案し、後日大阪か東京でショールーム巡りをすることになりました。 |
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| 5月13〜16日 | 三人で佐渡へ行くD 増田、渡辺、大屋さんの三人で建物を最終調査。実施設計図面と不整合がないか細かいところもチェックします。この時は川上さんのお父さんにも現場にお越し頂きました。棟梁は、この家について『この建具は昭和の初期に流行したものです』 『屋根の瓦は最初からB級品で曲がってました。でも下地が良かったので雨漏りしなかったのでしょう』 『この家は80年前に建てたときに、古材を使っていますね』などとても丁寧に説明して下さいました。 こういったお話が聞けるのは、古家の工事ならではのものです。 増田にとっても嬉しい出会いになりました。 佐渡の風景C 建具・瓦 |
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| 6月6日 | 大阪でショールーム巡り 大阪勤務だったご主人が北海道に転勤されることになり、ますます遠距離に。 お引越しの準備で奥様が大阪にみえたので、ショールームをまわりました。 キッチン、トイレ、洗面化粧台などを選びました。 女性の方はこの辺が一番楽しいところですが、予算のこともあり『実現するかどうかわからないけど、とりあえずね』と呪文のように唱えての見積もりとなりました。 その後、ご主人と大屋さんも合流して、大阪にあるトルコ料理屋さんに行きました。 |
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| 6月11〜13日 | 工務店と最終打ち合わせ 設備も決まり、、照明器具や電気の配線など、すべての図面が出揃いました。いよいよ、佐渡の川上さんに見積もりをお願いします。 5月の調査で新たに 修復が必要な壁や屋根内部の状態が分かったので、その箇所を川上さんと一緒に確認し、見積もりに入ってもらいます。 Oさんの要望がほぼ全て取り入れた図面は、当初の目標金額を超えてしまうな、という予想はありましたが、これが思わぬ展開に。。。 佐渡の風景D |
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| 7月31日 | 見積書 佐渡にてE 佐渡にOさん、増田が集まって、川上工務店からの見積書を頂きました。 当初、Oさんに提示された金額が1000万。増田の予想では1500万。 増田としては、1500万の見積もりから話し合いをして、要らないものを削ったり数量チェックをしたりして1300万程度にできればOさんも許容できるのではないか、と予想していました。 ですがそれを大幅に上回る『2600万』という金額が提示されました。 Oさんも増田もショックを受けてしばらく設計をストップする事になりました。 この読み違いの原因は。。。地域性の違いを把握しきれていなかったのです。大阪は皆が熾烈な競争をして、金額を抑えあっています。 佐渡では全ての物資を新潟から船で運び、産廃も全て島外に運び出しています。そして、決定的な理由は佐渡の工務店は競争をしていません。親戚であるとか五人組(隣組)であるとかで施工者が決まります。 |
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| 8月 | 再検討 Oさんから今ある建物を半分くらいの大きさにしてコテージ程度にすればどうかと提案がありましたが、それでは壁の少ない建物になり弱くなってしまいます。『大阪から大工も設備屋も連れていく!!』と思ったりもしましたが、やはり地元でやって貰わないといけないなと考え直しました。金額を落とす方法はないかと増田と渡辺で川上さんの見積もりを見ながら違ったプランを作り始めました。 |
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| 9月 | 減額案 7月に見積もりに出したプランからすると思い切って縮小したプランを提示しました。増田の試算では1600万程度に出来るプランです。しかし、Oさんはこのプランを見て溜め込んでおられた不満が爆発しました。どうしてプロなのにあんな金額になる事が最初から予想できなかったのか、無理やり詰め込んだようなこんなプランは受け入れられない、とお叱りを受けました。 それからもメールやFAXのやりとりを繰り返し、お互いの想いは佐渡の家を残すこと、と確認することが出来ました。 Oさんの奥様も 『言いたいことを言ってすっきりしました』 と言ってくださり、前向きに検討しなおす事になりました。 |
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| 10月 | 川上さんに連絡 長い間連絡もせず失礼をしてしまった川上さんに報告です。『もう一度一からやり直すことになりました。金額がとても厳しいですが工事して頂けますか?』と率直に伺いました。この工事では大幅な黒字は望めません。 ですが、川上さんと、お父さん(棟梁)は『快く前向きに対応します』ととても嬉しいお返事を下さいました。紆余曲折がありましたが、気持ちを新たにやり直すことになりました。 |
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| 12月2日 | 大阪にて打合せ 五ヶ月ぶりにOさんの奥様が来阪。事務所で打合せをしました。メールでのやりとりと違って、スケッチをかいたり相談しながらプランを出来るのが 嬉しい限りです。 その後、具体的なプランに取り掛かりますがなかなか思うようにいきません。 Oさんから『佐渡の家については悩むことが多く、最近ではいっそ投げ出したい気持のほうが強いです』とメールが来ました。年末年始は家のことを忘れたいのでしばらくプランはストップしてくださいとの事。 |
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| 2006年2月 | Oさんが考えたプラン しばらくの間休憩していた計画がOさんからのご連絡で動き始めました。そんな中、Oさんの奥様がご自分で考えられたプランが届きました。減額案としては良好なプランです。 |
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| 春 | 工務店に任せてしまおうか。。。 Oさんはご自身で考えられたプランを佐渡の川上さんと、別の工務店に見積もりに出されました。工務店に任せてしまえば増田への設計監理料と旅費が不要になります。設計監理を外れて貰おうか、Oさんは随分悩まれたようです。 工務店の方はよく『設計料の分を工事費に回せばいいものが出来ますよ』と言いますが、専門知識のない施主さんは工務店と対等に交渉するのが難しくなってしまいます。 二社からの見積もりを見て、Oさんも『やはり増田にも関わって欲しい』と言って下さいました。Oさんのプランを元にして、少し詳しい図面を書くことになりました。 |
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| 7月30日 | 増田 佐渡へF 川上さんと一緒に実際の建物とOさんの図面と見比べます。細かい工事のやり方などを相談しながら再度、見積もりをお願いしました。この段階で目標金額は1550万。 この後、川上さんから届いた見積書では雨戸をどうするかによって目標におさまるかどうか。。。というギリギリの金額が提示されました。 雨戸の枠だけを取り付けて、雨戸自体は家が出来上がってから追加することになり、なんとか金額もクリアできました。 |
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| 9月15日 | 佐渡にて工事契約G 施主のOさん、川上工務店の川上さん、増田の三者で工事契約を交わしました。 最初にご相談を頂いてから三年以上が経っていました。とても長い時間が掛かりましたが、ようやく工事着工までこぎつけました。後は施主さんとそのご家族が満足できる家が完成するまで、増田は月に1〜2度、大阪から佐渡へ通い続けます。 |
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いよいよ工事が始まります。写真を交えて工事の進歩状況をお伝えしていきます。
| 10月17〜18日 | 解体工事H | |
| 11月2日 | 解体後I | |
| 2007年1月24日 | 床組 壁 | |
| 1月29日 | 外壁 屋根 | |
| 2月17日〜18日 | 断熱材 床J 佐渡の風景E | |
| 3月10日〜11日 | 内装工事K | |
| 4月6日〜9日 | 壁塗り珍道中L | |
| 4月27日〜30日 | 完成間近M | |
| 6月 | 竣工 | |