
中気密・中断熱 (2011年10月8日 一部内容変更・追加)
最近思うというよりは、ずーっと前から思っていることです。
10年ほど前から、省エネとCO2削減のため、家を高気密・高断熱にしましょうということが言われています。
住宅エコポイントや各自治体の補助制度を受ける要件として、省エネ基準(次世代省エネ基準)に適合することが条件になっていたりします。
北海道や東北北部の地域では、冬の寒さの厳しさから、早くから高気密・高断熱という考え方が取り入れられ、その施工方法などもきちんと確立しており、設計者をはじめとして、恐らく一般の大工さんやその他の専門業者の人も、十分な知識のもとに施工をしているんじゃないかと思います。
でもその他の地域では、設計をする人、施工をする人ともに十分な知識を持っている人は少ないんじゃないかと思っています。
私自身も、フラット35Sなどで求められている省エネ措置の要件などについては理解しているつもりですが、本気で高気密・高断熱をやろうと思ったら、かなり丁寧な施工をしなければならず、職人さんが十分な知識を持っていない場合は、現場に付きっ切りで施工をチェックしなければならないことになり、これは大変です。
また、私の住む北陸は年間を通して湿度が高く、結露対策が大きな課題となっています。
気密性を保つならば徹底的にやらないと、屋内で発生した空気中の水蒸気は気密層が切れたところから壁の内側や天井裏・屋根裏に漏れていき、そこで結露することになります。
窓ガラスが結露したら拭き取ればよいですが、壁の内側ではそんなことできません。結果として構造体である柱や土台やその他の木材などに結露し、月日が経つとカビが生えたり腐ったりといったことになります。
また、そもそも木材は水分を含んでおり、新築時には十分に乾燥していない場合が多いため、そこから出る湿気を逃がす工夫も必要になってきます。(以前の建物は比較的隙間が多かったため、そこから湿気が逃げていました。)
そんなこんなで、ひと口に高気密・高断熱と言いますが、かなり丁寧で手間のかかる施工が必要になります。
図面やカタログ上で謳うことは簡単ですが、現場はそう簡単にはいきません。(設計者の立場として、図面に仕様などを描くことはできますが、十分な知識と経験を持っていないような職人さんに忠実に施工してもらおうと思ったら、その作業をしている時は終日現場に何日もつきっきりということになります。現場監督にならないといけません。。→お施主様から頂く設計・監理料の範囲の業務ではなくなります。
また、頑固な職人さんだったりして、こちらの要求を理解してもらえなかったりすると、トラブルになって、最悪の場合工事が進まなくなることも考えられます)
以前、高気密・高断熱を謳っている住宅展示場を見学したことがありますが、なんだか息苦しく感じました。(あくまでも私の感想ですが。)
家を高気密にしたことで表面化してきたのが、シックハウス症候群です。
建材などとして使われるビニール製品や接着剤に含まれる揮発性の有害物質が、気密性の高い屋内から外に出て行かないため、人の体に悪さしていろんな症状を引き起こしました。
これにより法律が改正され、建材などの揮発性物質の発散料に制限が設けられるようになりました。
併せて、人が長時間過ごす部屋には、24時間稼働する換気設備を設けなければならなくなりました。
いったい何やってんだろうという感じです。
せっかく密閉して熱の出入りを防いでいるのに、今度は換気のための穴をあけ、しかも電気エネルギーを使って強制的に空気を入れ替えなければならなくなりました。
50年くらい前に建てられた家に住んでいた方から、住宅の設計の依頼を受けた時、要望の一つとして今の家は非常に寒いので、寒くない家にしてほしいと言われました。
50年前と今とでは家の造り方や内装材料などが違うため、普通に建てても十分に暖かいだろうという思いがあり、また、一般の職人さんがはたして高気密・高断熱仕様を十分に理解して施工をしてくれるのかという不安もあったため、高断熱仕様とはせず、通常使われている断熱材と断熱サッシを使いました。また、高気密仕様にもなっていません。
住み始めた後で感想を聴いたら、少ない暖房でも十分に暖かいと言ってもらえたし、結露なども起こっていないようだったので、これでよかったんだと思っています。
(結露については、内装に自然素材やそれに近いものを使っているため、結露防止効果が出ているのかなと思います。)
高気密・高断熱仕様の家に住んでいる人がこの家に来たら、寒いと思うかもしれませんが、程度の問題だと思うし、寒いと思ったら暖房を強くするのではなく、衣服を1枚重ねて着ればいいのだと思います。
こんなふうに思っているので、高気密・高断熱仕様についてはやや懐疑的ですし、積極的にお客さんに薦めることはしていません。
PS・中気密・中断熱でいいと思っていますが、日射と通風に関係する、窓の位置や庇の出などについては、それなりに気をつけているつもりです。
2011年6月14日(10月8日一部内容変更)

オール電化住宅
3月11日に起こった大震災では、地震の規模や津波の高さなどが想定をはるかに超えていたため、これまで安全とされていたことや、被害があったとしても短時間で復旧可能と考えられていたことが間違いだったことが明らかになってしまいました。
皆さんも十分ご承知のことと思いますが、その一つに電力の供給の問題があります。
以前オール電化住宅システムのパンフレットを読んでいたら、都市の送電線は網の目のように張り巡らされているので、どこかで送電線が切れるような事故があったとしても、他から迂回して送電できるので、長期間にわたる停電の心配はないと書いてあったように思います。
これホントかなあと常々思っていました。世の中何がおこるかわかりません。今回のような大地震やテロ、そのほかの要因で電気がこなくなることはあり得るんじゃないかと、漠然とですが感じていました。
今回の地震で実際にそれが起こってしまいました。
私たちの暮らしは、オール電化でなくとも、家庭での生活や仕事をする上で、電気がなくてはまともに何もできない状態になってしまっています。
実際に被災された地域や計画停電の対象になっている地域にお住いの方は、大変お気の毒ですが身に染みて感じておられることと思います。
オール電化住宅の定番となっている夜間電力を利用した給湯機や蓄熱暖房機、火を使わず安全な電磁調理器具はすばらしい技術だと思っています。
しかし電気がなくては何の役にもたちません。(ガス給湯機も電気で制御していますから同じです。)
最悪の事態は起こるというこが分かってしまったわけで、これからはそれを念頭において生活していく必要があると思います。
今の社会では電気のない生活は考えられませんが、必要以上に電気や電気設備に頼らない生活を心がけねばならないと思います。・・・(「エコな暮らしとは」のページにも関連したことを書いています。)
非常用の避難グッズなどを用意しておくことは重要ですが、電気がストップした家で一定期間生活ができるよう、水や食料、懐中電灯、ラジオなどのほか、石油ストーブ(ファンヒターは電気がないと使えないのでダメ)、灯油、カセットコンロと燃料ボンベなどはストックしておいた方がよいと思います。
ちなみに私が理想として考える住宅に、100%自己完結型住宅があります。水やエネルギーをインフラから供給を受けるのではなく、自前でまかなうものです。排泄物やゴミなども循環できればベストです。
漠然と妄想しているにすぎませんが・・・。
2011年5月20日




