- Q1:建築設計事務所では工事を請け負わないのですか?
- 私たちのような独立した専業の建築士事務所では、基本的には工事そのものの請負は行いません。設計・監理とそれに付随する業務を行っています。ただし大部分の工務店やゼネコンは建築士事務所の登録をしていますので、設計・施工の業務を一貫して行っているところが多いようです。
- お客様から報酬をいただいて建築工事を行おうとする者は建設業の許可が必要です。(ただし、新築などの場合では、請負額が1500万円(税込)未満または用途が木造住宅で述べ面積が150㎡未満であるとき、リフォームなどの場合では、請負額が500万円未満であるときは、建設業の許可がなくても業務を行うことができます。)
- Q2: 設計事務所の業務に「監理」というのがありますが、現場監督とはちがうのですか?
建築で使われる言葉に「工事管理」と「工事監理」があります。「管理」の方は主に現場監督さんがやる仕事で、工事を請け負った側の立場で、工事の方法・品質・工程・予算・安全などについて現場の管理を行います。一方「監理」の方はお施主様の立場で、建築の専門家ではないお施主様に代わって、工事が設計図どおりに行われているかをチェックすることです。第三者がいることにより、より適正な工事が行われます。
- Q3: 建築確認申請とは何ですか?
- 建物を新築・増築・改築・移転する場合は、工事着工前に図面や構造計算書をその地域の行政機関に提出し、建築基準法や関係法令に適合しているかの審査を受ける必要があります。また、工事完了時には工事完了届を提出し、役所の完了検査を受ける必要があります。これらの届けを出さずに建築をしたり、虚偽の内容の届けを出したりした場合は、設計者だけではなくお施主様も罰金や懲役刑などのペナルティーを科せられます。
- 建築確認申請の申請者はお施主様になりますが、建築士の資格を持っているものは申請の代理者として申請業務を代行することができます。
- Q4: 耐震補強工事をすると建物の耐用年数はのびますか?
耐震補強工事は、耐震性の低い建物を筋交い(すじかい)などで補強することによって、100年に一度の確率でおこる可能性がある大地震に見舞われたときに、倒壊しないようにすることが目的の工事です。耐震診断をすることによって建物の弱点が分りますが、その弱点をなくすための工事といえます。ある程度の耐震性があると診断された建物の場合は補強ヶ所は少なくてすみますが、耐震性がかなり低いと診断された建物は大規模な補強工事が必要になってきます。- 建物の耐用年数として一般に言われているのは木造住宅などの場合で25~30年、固定資産税算出の根拠となる法定耐用年数は20~22年です。あまりにも短いですね。でもこれは高度経済成長期の経済活動(建物の建て替え)の促進や一定の基準を定めるためだけの数値だと思います。実際に築後30年以上、50年以上経っている住宅はざらにあります。大多数の人は、新しくきれいな家に住みたいと思うのが普通だと思います(私もその一人です)が、その気持ちを住宅の新築や購入に結び付けるためのセールストークのひとつとして耐用年数が使われてきたように思います。実際、日本の場合、平均30年で建て替えられているようです。(欧米では50~80年)
- 木造住宅の主要な構造材は杉や桧、松などの木材ですが、木材はその使い方(一部の柱や梁などに過大な荷重を長期にわたってかけないようにするなど)やメンテナンスを適切に行うことによって、一般の住宅に使われるような材料であれば、100年程度の耐久性はあると言われています。(長期優良住宅の基準では100年以上の耐久性を想定しています。)適切なメンテナンスとは、屋根や外壁などが破損していないか、そこからの雨漏りがないか、水廻りの機器や配管などから水漏れがないか、土台や柱脚が腐っていないか、シロアリの被害はないか、基礎のコンクリートに大きなひび割れはないか、表面が剥離していないかなどについて定期的にチェックし、問題が見つかった場合は、補修するなどの対策をとることです。(地盤が部分的に沈下し、基礎コンクリートに大きなひびわれができたり、柱や床が大きく傾いてきたりしている場合は、建物ではなく地盤そのものに問題があると思われるので、補修ではなく建て替えが必要と考えられます。)
- さて、耐震性と耐用年数についてですが、例えば、耐震性は高くないものの、適切な骨組みや仕上げ材で造られ、適切なメンテナンスをし、健全に保たれている建物で、100年の寿命をもつ建物があるとします。この建物が建築後30年の時点で100年に一度の大地震にあったとき、耐震補強をした場合は一部は破損するかもしれませんが、なんとか倒壊は免れ、破損部分を補修することで、その後の寿命を全うすることができます。補強をしなかった場合は倒壊し、30年で寿命を終えます。地震はいつ襲ってくるかわかりません。明日おこるかもしれないし、70年後におこるかもしれないし、おこらないかもしれません。あるお客様がおっしゃっていました-「耐震補強は保険みたいなものだね。」
- Q5:建物はどれくらいの地震に耐えられますか?
建築物(建物や工作物)は荷重や外力(自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧・水圧、地震など)に対して安全でなければならないと建築基準法に定められています。構造計算によって安全性を確認したり、決められた技術的基準に従い設計・施工されなければならないと規定されています。建物の構造種別(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・他)や建物の面積や高さによって、構造計算の検討項目はやや違っていますが、いずれにしても、想定される荷重や外力によって、建物が壊れたり倒壊したりしてはいけないと規定されています。- 1981年(昭和56年)6月から施行された建築基準法の耐震基準(新耐震設計法)では、耐震計算のための地震力が大地震と中地震の2段階に設定されています。
- ①:建物の耐用年数の間に数回遭遇する程度の中地震(稀に起きる地震=震度5弱程度)では損傷しない=無被害であることが求められています。
- ②:建物の耐用年数の間に一度程度遭遇するかもしれない大地震(極めて稀に起きる地震=震度6強程度)では部分的に損傷を受けたとしても、倒壊・崩壊にまで至らないことが求められています。
- この1981年施行の新耐震基準により、耐震性が大きく向上したと言われています。しかし、これ以前の基準で建てられた建物は耐震性が低いままであり、阪神淡路大震災の教訓から1995年12月に耐震改修促進法が制定され、古い耐震基準で建てられた建物を補強する場合などには、補助金を交付する制度などが設けられています。
- 東日本大震災や阪神淡路大震災の最大震度は震度6強と発表されており、大津波の被害に遭った建物、地面が液状化したところ、傾斜地を盛り土して造成した宅地の建物など以外の新耐震基準で建てられた建物は、倒壊にまでは至っていないと思われます。
- この新耐震基準は2000年6月に改正され、木造の建物ではそれまで明確に規定されておらず、その仕様が設計者や施工者に任されていた柱頭柱脚・筋交いの接合部や耐力壁の配置などの具体的な仕様が明確に規定されました。
- つまり、2000年6月以降に適切な設計・監理の元に建てられた建物は、現行の耐震基準に適合しており、ひとます安心と言えますが、1981年6月~2000年5月に建てられた建物は新耐震基準であるとはいえ、耐力壁のバランスや接合部金物に関して不備がある可能性があるため、念のため耐震診断を受けた方がよいと思います。
- また、建築確認申請をしなかった場合、役所の完了検査を受けていない場合、まともな設計図がない場合などは、建築年にかかわらず耐震性が低い可能性があります。
- Q6:相談は無料とのことですが、どこまでの相談が無料なのですか。なにか線引きはあるのですか?
- 無料でさせていただけるのは、メールを介しての相談と回答や、事務所にお越しいただいての相談(一般的な内容)などです。
- 例えば、リフォームをお考えの場合、基本設計をするにはオーナー様のお宅の調査をさせていただき、現況の図面を作成する必要があります。
- また、もし増築などが必要になる場合などは、その敷地の法的な規制などもチェックしなければなりません。
- それらの下調べをした上ではじめてリフォームプランの作成にかかります。
- このような基本設計をするための資料作成や情報収集の作業も、申し訳ありませんが有料となります。
- てっとり早くいえば、ちょっと家を見てもらって、なにかプラン考えて下さいというご要望があり、図面を作成するための作業に着手した時点から料金が発生すると考えていただければよいと思います。
- 私ども設計事務所は設計図を作成し、その設計図に基づいてきちんと工事がされているかを監理するのが仕事ですので、ハウスメーカーや工務店などのように最終的な工事の代金を頂くのではなく、図面の作成やその他の関連する業務について料金を頂いています。
- メールでは、オーナー様の個々の具体的な疑問や質問については、詳細が分からないので十分な回答はできないかもしれませんが、できる範囲でお答えはさせていただきます。
- お気軽にご相談下さい。→
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- Q7:木造3階建ての住宅について、どのように思われますか。費用、構造等メリット、デメリットお教えください。
結論からいえば、よほど敷地に余裕がない場合を除いては、木造3階建てにするメリットはないと思います。- 木造2階建ての場合は、耐震性などの構造安全性を確認するとき簡易な方法でチェックできますが、3階建てになると鉄骨造や鉄筋コンクリート造と同様、詳細な構造計算をしなければなりません。この費用がおよそ15万~25万円程度かかります。
- また、公的機関による構造計算書のチェックを受けるために、通常の確認申請手数料に加えて十数万円追加で支払わなくてはならない場合もあります。
- 構造計算に沿って柱や梁の大きさを決めるわけですが、一般的な天然のスギやマツなどの材料を使おうとすると、2階建ての建物に比べて二回りほど大きな材を使わなければならなくなります。これがいやなときは集成材(板を接着剤で貼り合わせ、柱や梁の形にしたもの)を使用します。→いずれにしてもコスト増。
- 耐震性は壁や床の強度に左右されるので、外壁や床板、屋根板などは、耐震性を高めるため筋交いに加え厚さ9mm程度の合板を張らなければならなくなります。
- お施主様の好みや考え方によりますが、私の場合、できるだけ天然の素材を使いたいと考えていますし、木片やスライスした薄板を接着剤で貼り合わせた合板は、年間を通して湿気の多い北陸では、年数が経ってくると腐るなど劣化して本来の強度は確保できなくなるのではないかと思っています。
- (できるだけ合板は使いたくないのですが、既存住宅の耐震補強では、耐震性の数値を上げやすいため、壁の補強は筋交い+合板の仕様とする場合が多いです。)
- 間取りに関しても耐震壁をバランスよく配置しなければならないため、2階建てのときよりも制約が増えると思います。(窓の位置や大きさも同様)
- 以上のような点が通常の2階建てと違うところだと思います。
- ちなみに3階建ての住宅は10年以上前に一度設計させてもらったきりでその後設計していませんが、その時の工事金額は設計料込で約58万円/坪でした。


