■地震により倒壊を免れた建物でも、その後の余震により倒壊したり、落下物などによって人命にかかわる二次的災害がおこる可能性があります。次のような状況のものは大変危険ですので、近づかないようにしましょう。
□建物の構造別に注意点を紹介していますが、次のような状況のものは構造にかかわらず危険です。
①建物の形は残っているが1階などの低層部分がつぶれてしまっているものや、一部が壊れ大きく傾き、今にも倒壊しそうなもの。
②基礎や杭が著しく破損しているもの。
③隣接する建物が傾いていて、今にもこちら側に倒れてきそうなもの。
④建物の背後に斜面やがけがあり、亀裂があったり水が湧き出たりしているもの。敷地が崩壊しそうなもの。
⑤外壁面全体にわたって大きな亀裂やはく落、破壊が見られるもの。(構造体が大きなダメージを受けていることが予想されます。)
⑥そのほか、瓦・窓ガラス・外壁の仕上げ材・看板・屋根や壁に設置された設備機器などが、破損し傾いていたり、留めてあるボルトなどが破断している場合は落下の危険性があります。
【木造建物(在来工法)】
- ○地盤が沈下している。地面に亀裂がある。
- ○基礎の壊れている部分がある。
- ○基礎の被害はそれほどでもないが、土台とずれてしまっている。
- ○建物が著しく傾斜(傾斜角1/20:例えば柱の長さが3mの場合、上と下で位置が15cmずれている)している。また、傾斜は1/20より小さいものでも、建具がはずれたり、ガラスが割れ落ちている場合は、変形が大きかったことが予測され、今後傾斜が進む可能性があります。
- ○被害の程度は上記ほどではないが、土台などが腐っていたり、シロアリの被害が確認できるもの。
【鉄骨造建物】
- ○不同沈下(建物をささえる地盤が一様に沈下するのではなく、部分的に沈下している状態)により、建物全体の傾斜が1/300を超える。(1/100を超えるとかなり危険…階の高さを3.5mとすると上下のずれ巾3.5cm)
- ○部分的に傾斜している場合でも、上の階の階数が多い場合は傾斜が1/200を超えるとかなり危険です。
- ○鉄骨の柱や梁などで、変形してしまっているもの(四角い柱の面が外側に出っ張っていたり内側にくぼんでいる。H型の梁の板の部分が波うつように曲がっているなど)が複数ある。
- ○壁の筋交いが大きく曲がっていたり、切れてしまっている箇所が多く見られる。(半数以上だとかなり危険)
- ○柱と梁の接合部が壊れてしまっている箇所が複数ある。
- ○柱脚部分のプレートやアンカーボルトが変形していたり、位置がずれてしまっていたり、柱脚を支えているコンクリートが壊れてしまっている箇所が複数ある。
- ○柱や梁が錆びていて、孔があいてしまっているものが複数ある。
【鉄筋コンクリート造建物】
- ○基礎・杭・地盤が破壊され、建物全体の沈下量が20cmを超えている。(1mを超えるとかなり危険)
- ○不同沈下により、建物全体の傾斜が1/60を超えている。(1/30を超えるとかなり危険…階の高さを3.5mとすると上下のずれ巾約12cm)
- ○露出した鉄筋が曲がり、内部のコンクリーが崩れ落ちている柱がある。
- ○上記ほどではないが鉄筋がかなり見えている柱が複数ある。
- ○大きなひび割れが生じ、向こう側が透けて見え、中の鉄筋も大きく曲がっている壁がある。
- ○比較的大きなひび割れ(2mm程度)が複数ある場合も要注意です。
2011年3月の東日本大震災による被災地においては、各県などに登録されている「被災建築物応急危険度判定士」によって、延べ90,000棟以上の建物が調査されたようです。
「判定士」は被災建物を調査し、判定の結果に基づき「危険」や「要注意」などのステッカーを建物の目立つところに貼っていきます。
これは被災後、本格的復旧までの間、建物の危険性を情報提供することにより、人命に係わる二次的災害を防止することを目的としています。つまり、あくまでも応急の判断ですので、復旧にあたってはより詳しい調査、点検を行った上で修復する必要があります。
■浸水被害に遭った建物を復旧するときは、以下のことに注意しましょう。
- ○汚物などが混じった水にさらされているので、感染症予防のため、屋内外の浸水した部分や家具など(特に食器や冷蔵庫など)は消毒薬や消石灰(しょうせっかい)で消毒しましょう。消毒薬は薬局やホームセンターで手に入れることができます。用途に合わせた薬剤を選び十分に注意して使用して下さい。(消石灰・・・グラウンドのライン引きの粉)
- ○床下浸水の場合は、床をめくり、泥やごみを除去・清掃し、十分に乾燥させたあと消石灰などの消毒剤を散布し床仕上げを復旧して下さい。乾燥が十分でないと、土台や根太・柱脚にカビが生えたり、腐ったりしてくる場合があります。
- ○床上浸水の場合は、復旧のためにはかなりの手間・時間・費用がかかることが予想されます。
- ○床や壁の浸水した部分は、仕上げ材を一度はがし、内部の状況を確認した方がよいでしょう。
- ○壁や床の仕上げ材として使われている合板は水につかると材の膨張によって接着剤の部分が剥離する可能性があります。壁仕上げに使われる石膏ボードも水につかるともろくなります。上に貼ってあるクロスもはがれてきます。
- ○外壁の断熱材として使われているグラスウールなどは吸水性が高いため、一度水を含むとなかなか乾燥しません。
- ○これらの仕上げ材・断熱材は交換する必要があります。
- ○壁の部分も床下と同じで、木材の腐朽防止のため十分な乾燥と清掃・消毒が必要です。
- ○浸水した部分のコンセントは使用しない方がよいでしょう。濡れている場合や、ゴミや泥が詰まっていると漏電や火災の危険性があります。
- ○浸水した電気設備機器(エアコンなど)について、使用中に浸水した場合は基盤などのショートにより故障し、恐らく使えないと思います。電源が入っていなかったものについては、清掃し十分に乾燥させれば使えるかもしれませんが、素人の方が取り扱うのは危険がありますので、電気屋さんなどに点検してもらった上で使用して下さい。
・注意点は木造の建物を想定していますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物についても、ほぼ同じです。
・土台や柱が腐ってくるというようなことがないだけで、ほかの点は同じです。
・同じ木造建物でも柱に集成材(角材や板を接着剤で集成したもの)が使用されているものは、使われている接着剤の性能によっては、水に浸かった部分が今後劣化する可能性がないとはいえないので、工務店やメーカーに確認をした方がよいと思います。
・軽量鉄骨プレハブ・ユニット工法に使われている鉄骨材は肉厚が薄く、錆びによる影響を受けやすいと思います。こちらもメーカーなどに対処法の確認をした方がよいと思います。
※また、公的支援金などの支給を受けるときのために、補修工事や解体工事をする前には、建物の被災状況や周りの状況が分かるように、写真を(いろんな角度から)撮っておいた方が受給がスムーズにいくようです。


