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日本と米国の企業改革法の違い
1. 企業改革法を理解するうえで

 SOX法(Sarbanes-Oxley Act of 2002)を理解するために、米国の会計監督委員会(PCAOB : Public Company Accouting Oversight Boad)のホームページから条文を手に入れてみましょう。一方、日本版企業改革法の整備はこれからなのですが、金融庁の企業会計審議会が2005年7月13日に公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」や経済産業省の企業行動の開示・評価に関する研究会が同時に公表した「コーポレートガバナンス及びリスク管理内部統制に関する開示・評価の枠組について-構築及び開示のための指針-」(案)が参考になります。SOX法では内部統制の指針は明示されていないため米国の企業は当初どこまでIT統制すればよいのか混乱しました。暗中模索の中、辿り着いたIT統制のフレームワークがIT Governance InstituteのCOBITです。SOX法準拠を保証したものではありませんが、広く支持されています。米国での経験から日本では立法に先立って内部統制基準の検討がなされています。
 SOXコンプライアンスのためにCOBITを活用した経験から、大切なのは「成熟度 3 : プロセスが定義され、プロシジャー化されているレベルをクリアすることではなく、企業自身が成熟度を認識し体力に見合ったPDCAによる改善活動を継続的に行うことが重要」だと感じています。また、法律とは最低限守らなければならないルールであり、決して完璧なものではありません。法律を守れば何をしても良いと解釈するのは法の精神に反することになります。法律には例外規定も定められていますから正直でありさえすれば無理をせずに(過度な投資をすることなく)自ずとSOX法にコンプライすることになると考えられます。それでは、米国の法律をみてみましょう。

2. SOX法の要約

 11のタイトル(表題)から構成され、それを要約しました。尚、誤訳や漏れもあることをご承知願います。この法律が、米国で株式を公開している企業(本社所在地が米国以外にも適用)のSOXコンプライアンスのためのIT投資を助長しました。日本版SOX法で各企業がどのようなIT投資をするかは、上記の草案が鍵となることでしょう。
 
No. TITLE(表題) 要 約 お よ び 簡 単 な 解 説 SEC(項)
1 会計監督委員会 投資家保護を目的として、株式公開企業会計監督委員会(PCAOB)は監査法人を監督する。監督する上での基準を監査法人に示すこと。委員会は非営利団体として設立・運営されること。運営資金は監査法人と株式公開企業が負担すること。監査法人はPCAOBに登録義務が課せられている。日本の監査法人は登録義務の適用除外条項を活用し、日本の公認会計士法との衝突(守秘義務)などの様々な問題を回避した模様。 101-09
2 監査人の独立 監査法人は監査業務とそれ以外のサービス(例えば、SOXコンプライアンスのためのコンサル・会計システムの開発・内部監査業務など)を同一企業に同時に提供しないこと。監査人が5年を超えて同一企業の監査をする際は、監査法人は監査人をローテーションすること。当該企業の監査をした人が1年を経ずに当該企業のCEO・コントローラ・CFO・CAOあるいは同等の職位に就任してはいけない。いずれも癒着の原因を排除することを目的としています。 201-09
3 企業の責任 CEO・CFOおよび同等の職務にあるものは財務報告書(年次・四半期)をレビューし、誤った報告の排除・内部統制の確立と維持及びその評価と有効性や弱点、更には不正の有無を報告すること。 ここがIT投資とも関連する一番重要な条文だと思います。 301-08
4 改善された
財務ディスクロジャ
経営者は自社から個人的なローンをしないこと。また、最高経営機関は内部統制の確立・維持するための管理責任や調査と有効性について定めることとし、監査人の内部統制の評価を尊重して、その指摘事項に対処すること。更には、財務責任者に対する倫理規定を定め、定期的に改訂すること。投資家保護のために財務状況や企業運営の変化を判り易い平易な言葉でリアルタイムに公表すること。 401-09
5 証券アナリストの
利益相反
証券アナリストを様々な外圧から保護し、リサーチ結果を公正な立場で公表できるようにすること。証券アナリストの独立性を法で保護する趣旨。 原文がややこしくて、少し手抜きしました。スミマセン。 501
6 SECの財源と権限 2003年度のSEC財源を776,000,000ドルとし、人員整理・情報化投資・200人程度の監査有資格者の増員などをすること。 601-04
7 調査および報告 監査法人・格付会社・法律に違反したもの(会計士・会計事務所・投資銀行・投資アドバイザ・プローカー・ディーラー・弁護士・その他証券従事者)の調査・報告。 701-05
8 企業犯罪の
責任
意図的に捜査妨害をしたものは罰金刑、20年以下の懲役刑になる。
監査証跡の5年保存に違反すると罰金刑、10年以下の懲役刑になる。
不正を暴くために証拠を提供しようとする社員の行動を妨害から保護すること。
801-07
9 ホワイトカラーの
罰則強化
企業犯罪を企てたりしただけでも犯罪を犯したものと同罪となる。
CEO及びCFOが公表した財務ステートメントの誤りを知り、それを見過ごしたら100万ドル以下の罰金、10年以下の懲役刑になる。故意に行った場合は500万ドル以下の罰金、20年以下の懲役刑になる。
901-06
10 事業税の返還 法人税の還付に際してはCEOが署名すること。 意図がよく判らない。 1001
11 会社ぐるみの犯罪
および説明義務
告発者に対して報復した場合は罰金、10年以下の懲役刑になる。 1101-06

3. 推薦図書

 ・ Harvard Business Review 2005年10月号 


SOXコンプライアンスシリーズ

1. 日本と米国の企業改革法の違い
2. SOXコンプライアンスの進め方

3. 日本企業の米国SOX事例に関するレポート (NTTデータ経営研究所の記事へリンク)
4. 日本版SOX法が1年延期され、最短2009年3月期? (ITproの記事へリンク)


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