【アクアの日常あるいは平穏な日々・ヴォガ・ロンガ】

晩秋の舟の市民マラソン「ヴォガ・ロンガ」。楽しく漕ぐことが第一の目的・・・

灯里「アリシアさーん。今年もヴォガ・ロンガのお知らせが来ましたよー」
アリシア「あらあら、もうそんな季節かしらね」
灯里「今年は特別イベントもあるそうです。若手ウンディーネ限定で、2人乗りのまったりゴンドラ競争」

晃「舟の市民マラソンで、どうしてそんなものをやるんだ?」
アリシア「今年は夏の客入りが悪くて、舟協会の収支が赤字なんだって。若い案内人の実力向上と、お客様をもてなすイベントの合体で、冬の観光客増につなげたいらしいわ」

灯里「2人が交代で操船して、水先案内の技術を競う6つのチェックポイントを回ります。お客様や市民が採点しますよ」
アリス「なんか合同練習と似てますし、でっかい燃えますね。私も参加しようかな」
藍華「後輩ちゃんには、まったり競争なんか無理よ。ムキになって勝とうとするでしょ?」

晃「藍華も人のことは言えんだろ。勝負より舟を楽しむくらいの心の余裕がないと、一人前にはなれないぞ」
アリシア「晃ちゃんと同意見。レースといっても若手の育成が先だと思うな」
アテナ「アリスちゃん、『急いては事を仕損じる』よ。水先案内に、勝者や敗者の区別もないわ」
灯里「あ、言い忘れました。優勝賞品はバーベキュー用特上松阪牛肉2人前だそうです」
3大妖精「にく・・・」

晃「藍華!あたしと組む以上、勝負より楽しむとかいうクズ人間の甘えは禁句だ!ていうか、死んでも勝て!」
藍華「晃さん・・・さすがにプリマの参加者はいないのでは?」
晃「見ろ、アリシアとアテナが名前書いてるぞ!奴らが松阪牛を食うのを、指をくわえて見過ごせるか!」

灯里「アリシアさん、若手育成が先だと・・・」
アリシア「灯里ちゃん、私も10代です。まだまだ修行の身、協会役員に文句は言わせません」
アリス「しかし、急いては事を仕損じると・・・」
アテナ「アリスちゃん、『勝てば官軍』よ。敗者には屈辱と空腹が、勝者には輝く栄光と特上の松阪牛があるの!」
3人娘(意味がわからねえー!)

3人娘が嫌な予感がした時には、事態は取り返しのつかない方向に動いていたのです・・・


<スタート・サン・マルコ広場前>

アナウンサー「今年のヴォガ・ロンガの目玉、若手ウンディーネによる2人乗りゴンドラまったり競争が今スタートしました。まずは優雅な・・・あっ、3艇が集団を抜け出しました!レース前半の漕者は・・・なんと、水の3大妖精!速くても優雅さがまったく崩れません!これは圧倒的な技術差です!・・・」


<第1チェックポイント・観光案内>

藍華「晃さん、トップを独走ですよ」
晃「はあ、はあ・・・当然だ。スタートの瞬発力とパワーで、晃様に勝てるウンディーネはいないからな」
藍華「確かにすごいんですが・・・水先案内にまったく必要ない技術では?」
晃「甘いぞ、藍華。例えプリマ昇格が最後だろうと、このレースに勝てば、人生勝ったも同然」
藍華「晃さん、相当引きずってますね・・・なんか人生薄っぺらくないですか?」
晃「黙れ、まだまだ引き離すぞ。おりゃあああああっ!」

役員「第1チェックポイントは観光案内です。観光客の方に、ヴォガ・ロンガの魅力を紹介してください。なお、お客様の評価ポイントが低いと、罰漕が課せられます」
観光客A「あたしたち、初めてのネオ・ヴェネツィアです。3大妖精の晃さんで超ラッキー!よろしくお願いしまーす」

晃「ぜはーっ、ぜはーっ」
藍華「晃さん、目が血走ってます。大丈夫ですか?」
晃「ぜはーっ、ぜはーっ・・・ちょっとタンマ・・・おえっ」
藍華「晃さん、みんな引いてる引いてる・・・」

晃「ぜーっ、ぜーっ・・・で、何すりゃいいんだ?」
役員「聞いてなかったんですか?ヴォガ・ロンガの魅力ですよ、魅力」
晃「ぜーっ、ぜーっ・・・決まってるだろ、肉っ!」
一同「・・・」
晃「松阪牛っ!いいか、3大妖精のあたしが参加するんだぞ。他に何があるって・・・あれ・・・お客様、いたの?」
観光客A「・・・もう、行こっか」
晃「・・・セーーーーフ!」
藍華「アウトだ、筋肉女っ!!」ドカッ

アナウンサー「姫屋1号艇、藍華選手が晃選手を海に蹴り落としましたっ!いきなり仲間割れか?」

姫屋艇、罰漕500メートル。


<第2チェックポイント・舟謳>

アナウンサー「レースはまもなく第2チェックポイント、審査は舟謳。曲名カードから選んで歌い、お客様がポイントをつけます・・・あっ、先頭はオレンジぷらねっと1号艇!続いてARIAカンパニーが入ってきました!」

アリス「でっかい楽勝です、アテナ先輩!得意な舟謳を選べるんですよ!」
アテナ「あ、ルーミス・エテルネ・・・『永遠に輝く星』がある」
アリス「アテナ先輩、それ歌ってくれるんですか?私うれしいっ!」
アテナ「じゃあこれ、お願いします」

役員「承知しました。『巨○の星』ですね」
アテナ「あ・・・カード間違えた」
アリス「よく見て選べよドジっ子!ていうか、なんで舟謳に混ざってるんだよ、役員!」

アテナ「重い〜ゴンド〜ラ、しれんの水路〜」
アリス(アテナ先輩、ゴンドラじゃなくてコンダラ!あと重くありません!)
アテナ「ゆくは〜プリマの〜、どざえ〜もん〜・・・だっけ?」
アリス「プリマ殺すな!適当に歌作るな!観客がどん引きしてます!」

灯里「ズンタカポコテン、ズンタカポーン」
観光客B「ARIAカンパニーの舟謳は癒されるなあ・・・こっちは10ポイント」
アリス「それ舟謳じゃないですから!でっかい得点禁止!あと選曲どうなってんだよ、役員!」
アテナ「・・・ダンチョネーっ!!」
アリス「ネオ八代亜紀も禁止!ダンチョネつけりゃ舟謳って問題じゃないだろ!」
アテナ「歌詞忘れたので終〜了〜」
アリス「うがあああっ!」

オレンジぷらねっと艇、罰漕500メートル。


<第3チェックポイント・操船技術>

灯里「アリシアさん、第3チェックポイントです。ここまでトップですよ!」
アリシア「審査は操船技術だわ・・・あら、1人で特設水路を回るみたい。灯里ちゃん、交代しましょう」
灯里「あれアリシアさん。漕いでくれないんですか?」
アリシア「私は陸で待つわ。折角のヴォガ・ロンガ、日頃の練習の成果が出せるといいわね、灯里ちゃん」
灯里「・・・任せてくださいっ!水無灯里、いきます!」

アナウンサー「最初の水路は、パリーナの間をジグザグに進むコースです・・・おおっ、灯里選手、シングルとは思えない腕前!易々と通過していきます!」
灯里(不思議なくらい不安はない・・・3人でいつもずっと合同練習してきたから)
アナウンサー「続きまして、岩場の激流下りになりまーす」
灯里「そんなのありーっ?これカヌーじゃありま・・・ひええええっ!ほわわわわっ!はひーーーーっ!」

アナウンサー「これも素晴らしい技術で、灯里選手クリア!」
灯里「こんなの練習してないし・・・全身びしょぬれだよ」
アナウンサー「続いての競技。ぶら下がってるパンを手を使わずに食べてください」
灯里「なんですか、その競技は!小学校の運動会じゃないんですよ!」
アナウンサー「揺れる海上で、確実に停船する技術です!がんばってください、灯里選手!」

灯里「仕方ないな・・・はむはむはむ・・・やだ、これジャムパンじゃない」
アナウンサー「水をしたたらせながら口元のジャムをなめる表情が、何だか色っぽい灯里選手!カメラマンの皆さんOKですか?ではクリア!」
灯里「やっぱり競技の目的違うじゃん!」
アナウンサー「続いての水路、人食いサメが追いかけてきます!逃げてください!」
灯里「きゃあああああっ!逆漕ぎ、逆漕ぎ!」
アナウンサー「おおっ、船首回頭して素晴らしいダッシュ!見事に安全地帯に逃げ込みました!」
灯里「はあ、はあ・・・この水路、ウンディーネの技術と関係ない気がします・・・」

アナウンサー「最後は○×クイズです。正解と思った水路を選んでください」
灯里「だから操船技術、関係ないだろ!役員呼んで来い、役員!」
アナウンサー「問題。ネオ・ヴェネツィアの初代総督は、カルボナーラ・ペスカトーレ公爵である。○か×か?」
灯里「ええっと・・・正解は○かな?・・・・あ、右の水路に○のカーテンが。こっちがゴールですね」
アナウンサー「ブッブー。んなアホな名前のわけないだろ。なお間違えると、カーテンの先は落差5メートルの滝です。ご愁傷様〜」
灯里「あ〜れ〜〜〜〜っ!」
ざぶーーーーん。

灯里「・・・」くしゅん
アリシア「灯里ちゃん、おかえりー。どう、楽しかった?」うふふ
灯里「・・・知ってて交代しましたね、アリシアさん?」

ARIAカンパニー艇、罰漕500メートル。


<第4チェックポイント・オーダーツアー>

アナウンサー「レースは早くも中盤戦、漕者が交代した3艇が、ほぼ同タイムで入ってきました。このチェックポイントの課題は、お客様の要望に応じたオーダーツアーのアレンジ。臨機応変な対応が要求される高度な課題です・・・」

灯里(3人の条件はほぼ同じ・・・でもアリスちゃん、最初で不利じゃないかな?)
観光客C「ウンディーネさん、宇宙船に乗るので30分しか時間がありません。でも教会をたくさん見たいんです!」

アリス「お客様、それではここから舟でカナル・グランデを東に抜け、パオロ教会に参りましょう。周辺の教会を眺めながらロレンツォ水路を南下してサン・ザッカリア教会、最後にサン・マルコ寺院で降りられれば、マルコポーロ国際宇宙港は目の前ですし、時間を最大限に使えますよ」
観光客C「それ!それでお願いします」
灯里(すごいアリスちゃん・・・地図も見ないですらすらと)

観光客D「私はネオ・ヴェネツィアは4回目なの。何か目新しい場所はないかしら」
藍華「ではお客様、市民自慢の美しい庭を、水路からゆっくりとご覧になってはいかがですか?この時期は庭木の紅葉がきれいですので、お勧めは高級住宅の多いスパントーレ水路ですね。じゃがバター屋さんの屋台を回る、市民ならではの娯楽も体験できますよ」
観光客D「あら、楽しそうね。それ、お願いしようかしら」
灯里(さすが藍華ちゃん、姫屋の娘・・・私にもいい人が来ますように!)

傷のある人「おらあ、小娘!親分が酒と肴をご所望だ!5分以内に、酒盛りに最高の場所に舟を出しやがれ!」
灯里「何であたしだけこうなるのー??」
藍華・アリス(・・・こいつぁ、えぐいぜ)

アリシア「大丈夫っ。私が行くわ」
灯里「アリシアさん・・・」
傷のある人「おらあ、何ボヤボヤしてやがる!親分は気が短けえんだ!早く案内しねえか!」
アリシア「お客様、この先の通りを左に上がり、甲冑小道を右に曲がってください」
傷のある人「おう。それから?」
アリシア「石像広場の角を左に入ると、姫屋の看板が見えます。受付でウンディーネの晃・E・フェラーリさんをご指名ください」うふふ

晃「ちょっと待て!何であたしの名前が出てくる!ていうか、最近その筋の客が多いのはアリシアが原因かよ!」
アリシア「あらあら晃ちゃん、これはワークシェアリングよ」うふふ
傷のある人「それはひょっとして・・・『紅薔薇の晃』!?あの、晃姉さんのことかい?」
晃「極妻みたいな通り名の呼び方をやめろ!あたしはネオ志麻姉さんじゃねえ!」

傷のある人「聞いたことあるぜ、伝説のレディース『紅薔薇』の頭・・・そのウンディーネなら、親分も満足するに違いねえ」
晃「人違いだあっ!あたしはカタギだ!レディースも関係ねえ!」
傷のある人「姫屋、だよな?今度ごひいきにさせてもらうぜ」
アリシア「はーい、まいどー」
晃「ひいきにしなくていいから!来なくていいから!」

アナウンサー「さすがはARIAカンパニー、難しい客を舟協会のマニュアル通りにいなして、見事クリア!」
晃「面倒な客をあたしに押し付けるのが、協会のマニュアルなのか?おいっ、答えろ!!」
藍華「晃さん、みんなもうスタートしてます!早く行きましょう!」


<第5チェックポイント・30分クッキング>

アナウンサー「第5チェックポイント、ここも3艇、並んで入ってきました。課題はレデントーレで必須の30分クッキング、しかもテーマはスイーツです!」
アリス「私が作ります。アテナ先輩、手出しは無用です」いいですね?
アテナ「はーい」

・・・。
アナウンサー「さあ、いよいよお楽しみの試食タイム。3艇のスイーツがお客様の前に出揃いました・・・まずは1位、姫屋艇の焼きプリンから!」
晃「さすが藍華、デザートまで作れるんだな」
藍華「えへへっ。実はプリン、得意なんですよ」
アテナ「藍華ちゃん、見てたけどすごいわね。あたし暇だったし、ちょっとお味薄そうだったから、一味足しといわ」
一同「・・・」

晃「なぜうちのに勝手に入れる!嫌がらせかよ!」
アテナ「だって、アリスちゃんを手伝おうとしたら、すごい剣幕で怒るんだもの・・・」
アリス「でっかい当たり前です。アテナ先輩、一瞬の隙を見て、なんか入れようとするんですから」

灯里「あの・・・アテナさん、何を入れたんですか?」
アテナ「カエルのケロたん」
一同「・・・」
アテナ「嘘だぴょん」
一同(・・・うわー、一瞬信じたー)
アテナ「お砂糖よ。大丈夫、ちゃんとびんに『S』ってあったわ」
アリシア「偉いわ、アテナちゃん・・・でも、ちょっと言いにくいんだけど、お塩も『S』じゃないかしら」

アテナ「・・・あ」
晃「『あ』、じゃねえ!確かめてないだろ!」
灯里「あ、晃さん、最近塩スイーツが人気だそうですよ!ぎりぎりセーフかも・・・」
アテナ「大丈夫よ、だってカラメルソースタイプだもの。ほら、ここに『S』・・・Soy Sauce・・・って、何?」
晃「醤油だろ!回収、回収!食うなあああっ!」

姫屋艇、罰漕1キロ。


<第6チェックポイント・接客技術>

藍華「ずいぶん遅れちゃいましたね・・・」
晃「あきらめるな。最終チェックポイントは、屋形船を1艘選んで、中にいる市民審査員を快くもてなせば高ポイント。シングルには敷居が高い難試験だ」
藍華「大丈夫でしょうか?」
晃「こう見えても座敷での礼儀礼節礼法なら、一通りの心得があるんだ。まずは他のウンディーネがいない船を探さないと・・・この船からのぞいてみるか」

アテナ「お帰りなさいませ、ご主人様」
アリス「ご主人様、お食事になさいますか、それともお風呂になさいますか?」
晃「お前ら・・・ななな、何の真似だっ!」
藍華「アテナさんと後輩ちゃん・・・なぜ2人ともメイド服なのーっ??」

藍華「あっ!暁が鼻血出してひっくり返ってる!こいつ、こういうのが趣味だったのか?」
アテナ「アリスちゃん、失神直前に10ポイント入ってるわ。先を急ぎましょう!」
アリス「でっかい合点です、アテナ先輩っ!」
晃「こら待ちやがれ、ニセメイド〜〜〜!」

晃「だめだ、暁の意識が戻らん・・・くそーアテナめ、あざとい手を弄しやがって。こっちも色仕掛けでいくしかない!」
藍華「晃さん、このシリーズは健全さがウリなんです!そっちのネタは自重してください!」
晃「隣の屋形船で一気に逆転する。いくぞ、藍華!」

アリシア「あ〜ら、アパさあ〜ん。お見限りね〜。アリシア、さみしかったな〜」う・ふ・ふ
晃「屋台船でしな作ってるんじゃねぇ、アリシアー!!!」
藍華「ステキ・・・チャイナドレスのアリシアさん・・・」(はあと)
アパ「ア、アリシアさんとやら・・・屋台船はそういう場所ではなかったと思うんじゃが・・・」
アリシア「あらあらア〜さん、敬語なんて嫌よ。アリシアって呼び捨てにしてくださらない?」う・ふ・ふ
どたーっ!

晃「おいっ、倒れるな藍華!うわっ、灯里ちゃんもショックで魂が抜けているぞ!」
アリシア「ねえ、あたし松阪牛って食べたことないの・・・一度でいいから食べてみたいな、ア〜さん」
アパ「ア、アリシアさんとやら・・・わしは何もしとらんし、その・・・」
アリシア「でも、お手つきはだ・め・よ。アリシアがんばるから、優勝させてくださる?」う・ふ・ふ?
アパ「う、うむうっ・・・ここは先にポイントをやるから、きちんと話をじゃな・・・」
晃「やめろっ、騙されるな!!」
どかっ!

晃「遅かった・・・10ポイント入ってやがる!おい、起きろ爺さん、点数訂正しろ!」
アリシア「ごめんね灯里ちゃん、起きてちょうだい。もうここに用はないわ。アテナちゃんを追いましょう」
灯里「は・・・はひ〜、アリシアさ〜ん」
晃「こら待てっ、アリシア!灯里ちゃん!」

藍華「う・・・私、なんか気を失って」
晃「藍華、こっちもやるしかない。隣の屋台船で、お色気カテナチオ大作戦だ!」
藍華「は、早まらないで、晃さんっ!!」

ウッディー「晃さんに藍華ちゃん、よくきたのだー」
ドカッ!バキッ!
藍華「なにいきなりタコ殴ってるんですか、晃さん!」
晃「ダメだコイツは!あたしの色仕掛けが効きそうにねえっ!」
藍華「礼儀礼節礼法はどこ行ったんですか?ウッディー、完全にのびてますよ!」
晃「アルを呼んでこい、アルを!あの純情君なら、あたしが3秒で悩殺してやる!」うがーーーっ!
藍華「やめて晃さん、私のアル君を汚さないで〜〜〜!」

いよいよレースは佳境に。勝つのは誰か?・・・ていうか、本当にこんな勝者でいいのか?


<ゴール・サン・マルコ広場前>

アナウンサー「こちらは記念レースのゴール地点、満員の観衆です。いよいよ先頭の舟が見えてきました。あ、あれは・・・!」
観客1「おお、メイドだ」
観客2「本当だ・・・なぜメイドが2人?」
アナウンサー「トップで最終コーナーに入ったのは、なぜかメイド服姿のアテナ・アリス選手です!そして次に見えたのは・・・こちらはチャイナドレスの2人、アリシア・灯里選手!」

観客3「猛スピードで、もう1艇来るぞ!」
観客4「黒タイツ?・・・あっ、ウサ耳だ!」
アナウンサー「3番手は、なんとバニーガール!姫屋の晃・藍華選手です!これは優勝候補の3艇が、ゴール前で熾烈なデッドヒートになりそうです!
 しかし、いつからまったりゴンドラ競争が、コスプレ大会になったのでしょうか?さっぱり理解できません!役員席は全員、蒼白です!どうやらこれはうれしい、じゃなかった、予定外のハプニングのようです!!・・・」

藍華「晃さん・・・先に、このウサギ服を着替えましょうよ」
晃「ダメだ、間に合わん!藍華がアルを連れてこないから、こうなったんだ!」
藍華「んなムチャな!」
アナウンサー「あと50メートル!コスプレ3大妖精が、全員舳先に立ちました!素晴らしい平衡感覚、素晴らしい光景です!生きててよかった!レースはわずかにオレンジぷらねっとがARIAカンパニーをリード、姫屋の追い上げは届くのか?」

観客5「かわいいメイドさん、がんばってー!」
アリス「アテナ先輩、メイド服が濡れてすごく重いです・・・」
アテナ「アリスちゃん、逃げ切れるわ。もう一漕ぎ、負けないで!」

観客6「チャイナのアリシアさん、すっごくきれいー!」
灯里「アリシアさん、このチャイナ服、足が動きにくくて漕ぎずらいんですけど・・・」
アリシア「灯里ちゃん、逆漕ぎなら無敵のはずよ!ゴールテープはあたしに任せて!」

観客7「わけわかんねーけど、なんかいいぞバニー!」
藍華「みんな見てます!恥ずかしいっ!藍華恥ずかしい格好禁止!もういやああ」
晃「泣き言は優勝してからにしろ、藍華!漕げっ、このペースなら追いつける!」

アナウンサー「あと5メートル、ついに姫屋が追いついた!これは100分の1秒の勝負だ!」
3大妖精「うおりゃあああああ!!」
アナウンサー「3艇、ほぼ同時にゴール!勝ったのはメイドかチャイナかバニーか?写真判定のようです!しかしファッション審査がないのが、誠に残念なレースです・・・」

アテナ「あたしのメイドキャップが最初に入ったわ!優勝よ、アリスちゃん!」
アリシア「あらあらアテナちゃん、私が伸ばした中国扇子が一瞬速いわ。残念ね、2着で。うふふ」
晃「甘いなアリシア、あたしのウサ耳を見ていなかったか?優勝と松阪牛はいただきだぜ!」

審判長「・・・えー、判定の結果、第6チェックポイントで悪質な不正行為と暴力行為があり、1〜3位は失格。第4位で入ったアトラさん・杏さんペアを繰り上げ優勝とします!おめでとう!」
アトラ・杏「わーい」
3大妖精「がーーーーん」
3人娘(ま、妥当な結果よね・・・)

・・・ネオ・ヴェネツィアのローカルTVで放映されたヴォガ・ロンガの生中継は、ゴール地点で最高視聴率96%を記録。さらに協会の「ゴール判定写真集」がメガヒットで赤字も解消、観光客も倍増したことから、3大妖精はお咎めなしとなったそうな・・・めでたし、めでたし。

(2008年9月)


●ぷに絵

晃「藍華、恥ずかしい思いをさせて済まなかったな」
藍華「晃さん・・・」

晃「この通りだ。謝る。」

藍華「・・・その謝り方、なんかムカつくんですけど?」

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