社会階級を解説します。
下層階級 下の下(浮浪者)bagabondoy, vagabondage: hoboes: tramps: vagrants★★ 社会階級のあらまし ★★ klasoy de social
軍人は、その国の社会階級を忠実に反映しています。
≪次三男の軍隊≫
兵卒から叩き上げて将校になった者は、下層階級から中産階級に身分を移動して「立身出世」を遂げたことになります。
将校を含めて、軍人は次三男以下が多いのが特徴です。長男が家業を継ぐので、自分は家を出て、独立して身を立てようとする時、たまたま軍隊が気に入ったので職業軍人になったという人が多いのです。
≪パートタイム軍人≫
徴兵や応召の軍人は、パートタイム・臨時雇いですから、新兵教育や戦争が終わると、さっさと軍隊を辞めてしまいます。世の中に戻って、より魅力的な職業に就けるからです。護郷軍の邊境守備隊や正規軍の殖民地軍外人部隊に入隊する外國人や現地人の志願兵は5年の契約期間が終わると内地國籍を取得できるので、なかなか人氣があります。
≪道楽としての軍人生活≫
上流階級・地主階級の長男には、家業を継ぐまでの期間、冒険や鍛練を伴う規則正しい生活を経験する恰好の場として利用されます。特定の聯隊(護郷軍に多く見られ、大侯爵の近衛隊や大貴族の親衛隊・護衛隊など由緒ある部隊)が上流階級の子弟をうけいれる場になっており、一種の社交界の役割を果たします。人気のあるのは、首府駐屯の歩兵聯隊で、次に騎兵聯隊です。将校倶楽部の費用も給料だけでは足りません。親がかりの年金や遺産を持っていないと、やっていけません。
また正規軍の職業軍人は、次男の就職先として伝統的な人気があります。砲兵・工兵など技術色の濃い部隊は上流階級には全く人気がありませんが、中産階級・庶民階級の優秀な人材がコツコツと努力して立身出世をする場となっています。
貧乏人です。
【浮浪者】(下層の下の下)vagabondoy → top
最も多いのが「浮浪者」です。浮浪罪と言う軽犯罪に該当するので、常習犯罪者の仲間に入れられていますが、実際には人畜無害です。
《特徴》
一見して浮浪者と分かる汚れた服を着て、無口です。その立居振舞は最上流階級である貴族に共通したところがあります。両者とも向上心に缺け、新しい事物に無関心で、社會の動きとは没交渉、ひたすら自分の世界に閉じ籠って自由を追及し、他人には分らない樂しみに溺れるところがそっくり似ています。
《暮し向き》
都会では、食堂の残飯を貰ったり、ゴミ箱をあさったりして食物を確保します。着るものやなんかは、拾ったり、人に恵んでもらったりします。着たきりすずめです。
寝るところは、野原に放置してある土管の中や、森の枯葉の中、そこらから勝手に木切れを集めてきて雨風除けを作ったりして、野宿します。(→寫眞:気候の良い時は路上で寝る)
無宿者(ホームレス、ルンペン)です。
《経歴》
失職したり、わざと職に就かずに、フラフラ気楽に放浪しているうちに、もとの生活に戻れなくなってしまった人々です。家族はバラバラになって、みな独りです。。
時々、アルバイトをしたり、人に施しを受けたりして、お金を貯めます。そうなると、もう浮浪者とは云わずに、一つ格があがって、「細民」の仲間になります。そのうち、お金を使い果たしたり、あくせく仕事をするのがイヤになって、またもとの浮浪者に戻ってきたりします。
《旅行》
冬は、暖かい南に旅をします。歩くより、鉄道の貨車に乗って行くのが流行です。しかし意地悪な車掌と闘わねばなりません。時には金梃子で殴られてしまうこともあり、命懸けです。給水所や側線には、浮浪者の共同キャンプがあって、大勢の仲間が貨物列車の来るのを待っています。(→寫眞:南に向かう無宿者の群、転がって待機)
《災難》
南に到着しても、村や町の警官に浮浪罪で捕まってしまう惧れがあります。そうなると大変です。収容所に監禁され、強制労働場でこき使われます。労働にはノルマがあって、細かく成績がつけられ、食事や着るものに反映されます。ノルマが達成できないと、パンと水だけの食事に、裸同然で暮らさなければなりません。日常の挙措動作にも些細で厳格な規則があって、少しでも違反すると拷問じみた懲罰が待っています。成績が悪いと、収容期間が延長されます。ひどく成績が悪かったり反抗的だったりすると、一生涯そこに居なければならなくなります。
また行方不明になっても誰も気にしませんから、奴隷商人に捕まって、外国に売り飛ばされたり、騙されて気違い博士の実験材料になったりします。浮浪者を人間狩ゲームに使う秘密倶楽部もあるので、おおいに気をつけなければなりません。
《悪徳》
浮浪者の中には強いのもいて、武装して逆襲に出ることもあります。暴動が起きると略奪に加わったりします。
≪兵役≫
戸籍があっても浮浪の身なので、徴兵検査に出頭しない(そもそも実家に届く徴兵検査通知を受け取れない。実家も離散状態)者が多く、警官に捕まると、浮浪罪の他に徴兵忌避罪で監獄に送られる例が多くあります。
外地をフラフラしていると、外国軍隊の募兵官に騙されて外人部隊に入隊してしまう事もあります。
《他の階層は》
細民 ← 「寝るほど楽は無かりけり(自分の事)、馬鹿(細民の事)は起きて働く(あくせく働いたって無駄無駄、どうせ今に浮浪者になるよ)」
熟練労働者 ← 「大工(熟練労働者の事)殺すにや刃物は要らぬ、雨の三日も降れば良い(浮浪者を馬鹿にしているけれど、不景気になれば、すぐに没落して我々の仲間さ)」
中産階級 ← 「旦那がた(せいぜい愛想良くして施しを貰おう)」
上流階級 ← 「天上人(雲の上の人々:見た事も無い)」
《人称言語》
自称 「おれ」(男女共用)
目下 「てめー」
同位 「おめー」
目上 「あんた」
紳士 「旦那」
主人 「旦那さま」
笑い方 (笑わない)
失業者の有様
お巡りさんに見つかると、すぐに監獄に入れられてしまうような悪い事をして、ご飯を食べている連中です。浮浪者は働きませんが、こちらはセッセと働いて中流階級並みの収入を得る者すらあります。従って階層としては明確に世間の表舞台に現れてこず、あちこちの階級階層に紛れ込んで、ひっそり暮らしています。同業どうしは互いに仕事上の繋りがあるので、同業組合や秘密結社の形で、まっとうな世間からは隠れた暗黒街(urb nokta)を形成しています。
《特徴》
特徴が無いのが特徴です。世間に紛れ込んで暮らすので、紛れ込んだ先の階層の特徴を上手く真似て、堅気との区別がつきません。強いて云えば各々の職種によって伝統的な仕事着があるくらいです。泥棒は覆面をしますし、博徒は夜会服を着込みます。娼婦は服装にちょっとした符丁を加え、用心棒は武器を隠しやすいように大きな上着や外套を着込みます。
また紳士淑女が突如として口調を変化させ啖呵を切ったり、秘密結社や同業組合の符丁で合図を交わすので、初めて暗黒街の住人であることが分ったります。
紳士強盗 夜會のある屋敷から秘密の書類を強奪する二人組
《暮し向き》
これには様々な職種があって、儲けも危険の度合いに応じて変わってきます。見つかれば監獄に入れらますが、何度も罪を重ねているので刑は非常に重く、やっと出てくると世の中はすっかり変わってしまっている程です。
世間での暮らし方は、普通の堅気と住む所も着る物も同じで、区別はつきません。ただ夜中に起きて働きにいくとか(泥棒)、しょっちゅう盛場を歩いたり、電車に乗ったり(スリ)、真面目そうで名刺を何枚も使い分けたり(詐欺師)、人当りが良く妙に親切だったり(人攫、売淫)します。
《職業》
実入りが良くて安定しているのが、博徒です。公認の賭博(競馬)では飽き足りない物好な旦那衆のために、秘密の賭博場を開いて色々な仕掛けの博打を楽しんでもらいます。お客からショバ(場所)代、両替手数料を取る他、お客が外して損をした賭け銭を貰います。しかし賭場を開くには人数と大きな家が必要で、出費もかさみますから、親分を中心に一家を組んで共同生活をします。ご近所はもちろん、素人衆(世間一般の堅気の人々)には、ひたすら低姿勢です。
博徒の大親分
その次に安定しているのは、娼婦です。公認の女郎屋の他に私娼があって、これは警察の鑑札(免許)がおりないので、捕まると監獄行きです。個人で独立して商売する者と、婬売宿と契約して歩合を貰う者があります。なかには客から金品を盗んだり、用心棒と一緒に脅迫して法外な金を強請るツワモノもいます(枕捜、美人局)。これに関連して、売淫の客引を商売にする者(ポン引)、騙した娘を娼婦に仕立て婬売宿から手間賃を貰う者(女衒)があります。変わったところでは、内務省の検閲を通らない猥褻本や絵を製造密売し儲ける手もあります。また変態性欲の為の秘密倶楽部経営というのもあります。娼婦には大金持をお得意先にして自働車に乗り貴族並みの暮し向きをする高級なのから、別に仕事を持って片手間に売淫するものまで、さまざまな形があります
娼館街
私娼(此の様に友人として付合う形式を取れば鑑札無しでも營業が成立つ)
泥棒とスリは苦労のわりには不安定で実入りも、もひとつです。しかし熟練した者は職人気質で、盗みそのものを楽しむ傾向があります。子供の頃に万引、賽銭泥棒、置引から始め、少し体が大きくなるとカッパライ、空巣狙に進みます。手先が器用だとスリの道に入ります。
ちょっと休憩(掏摸見習)
泥棒廣場
舊時代のスリの親方と子分ども
ゆすり・たかり・嫌がらせ・押売などするうちに、強面(こわもて)は強盗になります。追剥から徒党を組んでの山賊・海賊と進むと、時には軍隊が討伐に出動してくるほどの大立者になります。これには叛乱分子も相当まじっていて、革命の英雄に祀り上げられる事もすくなくありません。
舊時代の強盗
密輸は海賊の得意とするところです。禁制品(麻薬・奴隷・武器)は高値に売れますが、それだけ官憲の監視も厳しく、同業どうしの闘争も激しいので、命がけです。
頭が良いと、食い逃げ・持逃げなどしているうちに、こうじて詐欺師となります。偽物販売・文書偽造・ねずみ講・架空会社など、大勢で巧妙な芝居(コンゲーム)を組んで大金を騙し取るようになると、一種の芸術と云えます。ある時、偽の陸軍主計が銀行から軍資金を引出してドロンしてしまった事件がありました。また聯隊に突然、検閲總監部の随時検閲(偽者)が入って、聯隊長以下大騒ぎをしているうちに、衛兵が倒され機密書類を強奪されるという事件もありました。さらに将校を装って下宿代を踏み倒し、おまけに下宿の娘をかどわかしたと云うのもあります。
贋金使いは、贋金を作る苦労の割には重罪なので、よほど趣味が合わないと、この道には踏み込めません。陸軍参謀本部の謀略班には、贋金つくりの名人が雇われていると云う、まことしやかな噂があります。仮想敵国に経済混乱を惹き起すためだそうです。
腕に覚えある者は、用心棒です。下手な客は追払い、仲間同士の喧嘩を仲裁し、頼まれて復讐を助けたり、逆にそれを防いだりします。暗殺請負を稼業とする凄腕も現れます。こうなると高い報酬を得て、余生は世間から隠れ裕福に暮らせますが、発覚すると極刑が待っているので命がけです。
ケチな硝子賣
《立身出世》
その道で一家を構えて親分になると、下っ端の上前をはねて悠々と暮らせるようになります。あるいは同業秘密結社の幹部になると、大きな仕事が出来るようになります。しかし足を洗って堅気に戻っても、内地の階級社会では金持ちの隠居として世間の目を引かないように静かに暮らさなければ、すぐに昔の仲間や敵が嗅ぎつけてきて、奇妙な事件を惹き起し、警察が首を突っ込んでくる危険があります。そのため外地で、ひっそりと暮らす者が殆どです。
《災難》
やはり警察に捕まることが最大の災難です。累犯者なので罪は重く、いったん監獄に入ると滅多なことでは出てこれません。監獄の中では過酷な刑罰が待っています。少しでも反抗しようものなら長い間、パンと水に裸で、足に鎖で重しを付けて暮らさなければなりません。成績をよくするためには想像を絶する重労働をこなさなければなりません。大犯罪結社の幹部となれば、監獄に暗殺者が送り込まれてくることもあります。
《悪徳》
貧乏人には手を出さない、必要以上の凶悪な仕事はしない、と云う掟がありますが、世の中が不景気になると、これを破る者も出ます。そうなると同業結社から破門されます。破門者はやがて徒党を組み公然と暴れまわり世間の風当りを強くするので、掟破りは内密に抹殺されてしまいます。
縄張争いを繰返して何十年もの長いあいだ暗闘を続けている困った同業犯罪結社もあります。
《兵役》
軍隊は常習犯罪者であろうとなかろうと、監獄に入ってさえなければ、前科にはお構いなしで徴兵します。そこで軍隊で覚えた特殊技術を犯罪に応用しようとする者がでます。特に獵兵部隊を除隊した泥棒は、大物を狙って、しかも捕まり難くなるという評判です。
《特徴》
浮浪者と変わりません。pr>
《暮し向き》
浮浪者に働く意欲が湧いてくると、先ず細民の仲間に入りますが、最初は割の良い仕事が回ってこないので、一時凌ぎに物乞などをして小銭を貯めます。少し余裕が出ると細民と同じく長屋住まいとなります。
《人称言語》
自称 男「わっち」「わし」「てまえ」 女「あたい」
目下 「おまえ」
同位 「あんた」
目上 男「あにい」 女「あにさん」
紳士 「旦那」
主人 「親分」
笑い方「えへへへ」

《職業》
乞食や拾い屋など、不安定な職に就いています。(→寫眞:階段に座って物乞をしている。)
《悪徳》
稼ぎが悪いと浮浪者に戻ってしまいますが、常習犯罪者に自ら転落する者もいます。
《特徴》
貧乏で子供の時の栄養が足りないので体格の劣る者が多く、言葉遣は方言丸出しで、よほど慣れないと何を云っているのか聞き取れません(ここで云う方言には首府の下町言葉も含みます。中流階級以上の使用する標準的な共通語以外をすべて方言と便宜上いっているので、地方の上流雅語や古語は含めません。念のため誤解のないように)。普段は幼児のごとく無邪気で、開けっぴろげです。大口を開けて笑い、大声で怒り、手放しで泣きます。しかし上位の階層の人々に面と向かうと、妙に馬鹿丁寧となるか、或いはよそよそしく振舞いがちです。
《暮し向き》
働いてはいるけれど、いつまでたっても、お金が貯まらない、その日暮らしの貧乏人です。
たいてい狭い長屋や泥小屋に住んでいます。田舎の家はたった一間しかないのが普通です。台所・食堂・居間を兼ねており、屋根裏を寝室にしています。トイレは裏庭の隅にあります。町ではたいてい長屋住いで、1階を区切って台所・居間兼食堂、2階を寝室に当てます。トイレは隣近所と共同です。独身者は木賃宿に相部屋で泊まっています。もっと貧乏になると、階段の下や、物置を借りて住みます。何家族もひとつの部屋でゴタマゼに暮らしていることもあります。
着る物は古着で、新しく服を作るということはありません。身なりにかまう余裕が無く、年中たいてい仕事着で通します。
木賃宿(蚤の曲芸師が宿泊すれど商賣道具が逃げてしまう)
《職業》
都会では、日雇人足、時間給の臨時工、大道商人(夜店、呼売、芸人)です。
(↓寫眞左より: 1屑鐵の露天商、2野菜袋を運ぶ人足、3氷菓の呼売商、4公設市場、5安売日の雑踏、6水上生活者(優雅な暮しぶりが羨ましがられている)、7運河に浮ぶ艀、8荷馬車、9工場のラッシュアワー)







超安値! 氷賣り
紡績女工
下町の市場街
前借をして、その借金を払うためだけに働いている可哀相な人々もいます。女郎、タコ部屋人足・前借奉公人などです。前借金は貧乏な親が生活費に使ってしまいました。食費・部屋代・衣装代などを僅かな給金から差し引かれるので、余程はたらかないと借金はかさむばかりです。病気でもすると誰も看病してくれず、薬も貰えず、ほんとうの重病になって、あっけなく死んでしまいます。あまりのツラサに逃げ出すと、追っ手に捕まって半死半生のリンチに遭います。なかには見せしめに殺されてしまうのもいます。うまく逃げ切ると目出度く浮浪者の仲間入です。
農村では、住込農夫として、農場に雇われます。
一日稼いで、50銭くらいで実入りが良いように見えますが、雨が降ると、日銭が入ってこず、途端に長屋の家賃が払えなくなったり、食うものにも事欠くようになります。景気が悪いと浮浪者になってしまったり、景気が回復すると、また長屋に戻ってきて働きに出たりします。貧乏暇なしで、一家総出で内職をして少しでも現金を稼ぎます。子供もロクに小学校にいかず親の手伝いをし、半端仕事に出ます。
↓農場手傳
選礦場
礦山雑夫
(↓寫眞左より: 1内職風景、2風船売の子供、3新聞売(実入が良いので人気商売)、4曲藝師の呼込演奏(一家中で巡回興行)



小学校尋常科(5年制6〜10歳)を卒業すると、すぐに親の仕事の見習に出ます。良い保証人がいると、丁稚・徒弟・女中奉公・大工場養成職工・事務所給仕など、多少は安定した勤め口に出られます。
《教育》
小學校尋常科だけを出ても、軍隊の下士官や役所の傭人にはなれません。仕事に必要な学力が不足していると見なされるからです。そこで男の子は小學校業余補習科(男子4年制夜間または農閑期)にかよいます。単位制で夜間や農閑期に開講するので、長い間かかって卒業します。すると小學校高等科卒業と同じと認められ、下士官や書記補になれます。
《立身出世》
陸軍と海軍海兵隊では、毎年約2,100名の聖歌手(10歳)を募集しています。孤児院の子供が優先採用されます。身分は宗務部雑卒(二等卒の給料)、部隊の従軍司祭に所属し、各中隊に一人づつ派遣されます。兵隊の礼拝日には部隊の全聖歌手が集って聖歌を合唱します。通常は午前中に従軍司祭が小學校尋常科から高等科程度の勉強を教えてくれ、午後は合唱と笛の練習をします。少年兵とは云っても部隊が戦時編成になると笛手として戦列に伍し、野戦の中隊や各級本部・司令部附に配属され、喇叭手・鼓手と共に行進や儀礼の鼓笛吹奏をし、また事務室の雑用をこなします。乗用自働車の運轉助手としても働きます。従って戰死傷の可能性も大です。聖歌手は13歳から鼓手となり、今度は喇叭手と共に信號音や命令譜を打ちます。17〜18歳で志願して正規の二等卒となり、職業軍人を目指し下士(下層階級の上)に進む者が大半です。優秀な者は准士官から中尉、大尉(中流階級の下)に出世します。このコース出身の将校は、戦場で沈着冷静な老練振りを発揮して敢闘する人が多く、上長も一目置く存在です。
聖歌手の合唱隊
海軍では年少兵を募集しています。将来の兵科・航海科の准士官・特務士官を養成する課程で、なかなか人気があります。
小學校尋常科で、よく勉強の出来る子は、校長の推薦で師範學校附属小學校高等科に寄宿給費生(衣食住無料のうえ小遣を呉れる)として入学できます。毎年約500名の狭き門です。そのまま一所懸命に勉強して師範學校本科の生徒になり、卒業して小學校の先生(訓導)に成ります。知識人(中産階級の中)として尊敬され、暮し向きも育った貧乏な環境からは格段に向上します。このコースをたどった先生は、真面目な優等生が多く融通が利きませんが、聖職者として自分の身を犠牲にして働く人が多く、大いに信頼できます。優秀者は高等師範學校(10人に1人くらい)ないし大學本科に進学して、専門職への道を歩みます。
職業軍人も小學校の先生も、退職後は恩給を貰い、つましく穏やかにくらします。
《災難》
運の悪い者は、悪い人買いに騙され、辺境の鉱山・鉄道建設などの飯場でコキ使われることがあります。怠けると監督が苛めますが、逃げるとリンチにあいます。親が借金して返せないと、そのかたに女の子は女郎に売飛ばされます。
世の中が不景気になると、途端に失業します。真っ先に臨時雇が解雇されるからです。蓄えが底をついて浮浪者の仲間入りをしたり、一家離散します。
農村に飢饉が襲うと、餓死者が出ます。
病気になると途端に失職し、薬代に蓄えを使い果たして、やはり一家離散します。
《悪徳》
逆にグレて、常習犯罪者に自ら転落する者もあります。それは、それなりに度胸と力が必要です。知恵のある者は暗黒街の顔役にのしあがります。
《兵役》
一家の若者が兵隊にとられると、主要な働き手が居なくなるので、たちまち家族が貧窮します。乏しい兵卒の給料をせっせと貯めて、実家に送金する者が多く、それでも食べていけず、家族のうち女の子を女郎に売り飛ばし、老人が日雇いに出て、食いつなぎます。悪くすると一家離散したりします。
徴兵や応召は、病気や不景気と共にもっとも恐れられています。徴兵忌避者や入隊後の逃亡者が多く出るのも、この階層の特徴です。
このような状態を最も心配しているのが陸軍省ですが、貧乏国なので家族手当を出す余裕がありません。部隊の司祭は、兵隊の出身教區の司祭と連絡を取って、家族がちゃんと生活しているかどうか、事情を掴むように努力しています。残された家族が生活に困るようなことがあれば、教區の司祭が領主から慈善金を引出して支給します。或いは兵役満期で働き手が帰ってくるまで、家族の誰かが領主の城で給金を取って働けるように取計います。
《他の階層は》
浮浪者 ← 怠け者
熟練労働者 ← せめて腕の良い職人になりたい。努力目標
技能者 ← 運が良ければ、なれるかもしれない。憧れの対象
知識人 ← 旦那がた。はいはい、云っててやれば機嫌が良い。
資産家 ← 大旦那。近づかない方が身のため。
地主 ← 殿様。雲の上の人々。
貴族 ← 神様。見た事も無い。
《人称言語》
自称 男「おれ」 女「あたい」
目下 「おまえ」
同位 「あんた」
目上 「あなた」
紳士 「旦那」
主人 「親方」「師匠」
笑い方「ぎゃははは」
働く子供
大道芸をする子供
《特徴》
元気が良く、気さくですが、難しい話は避けがちです。律義で辛抱強い反面、思い込みも強く、云い出すと何時までも同じ事を繰返します。曲った事は嫌いです。時々、世話焼きが過ぎる事もあります。立ち居振舞いは、一所懸命に良い子をしているうちに、それが身に染み付いてしまった小學生と云う感じです。親しくなると急に子供じみてきますが、底抜けに羽目を外す事は滅多にありません。普段の言葉遣いは方言丸出しで聞き取れない事が多いのですが、改まると努力して訛りの強い標準語を喋ります。(寫眞右:大根の収穫ー村の産業組合から市場に出荷)
《暮し向き》
小作人、腕のよい職人、年季の入った職工、商家の番頭さん、売れっ子の芸人、役所の雇員、軍隊の下士官などです。
勤め人や職工の場合は、週給です。(→寫眞:自慢の自轉車で通勤する職人)
たしょう余裕のある貧乏人です。住んでいる處は基本的には細民と同じ小さな小屋か長屋ですが、広めで、裏庭に専用トイレも附いています。町では地下室が附いていたり、前庭があったりすると家賃が高くなります。風呂は無く、熱いタオルで拭いたり、盥で行水します。時々は共同浴場に出掛けます。
着る物は、時々、新調します。晴れ着も一着くらいは持っていますが、物入りだと、質屋に入れてしまいます。
火夫
《教育》
小學校尋常科(5年制6〜10歳)から高等科(2年制12〜13歳)を卒業します。
《立身出世》
陸軍では毎年、約127,600人の小學校高等科卒業生から、工長候補生を募集します。獸醫學校蹄鐡工長候補生約30名、兵器學校工長候補生約20名です。候補生隊(4年制13〜16歳)に入営し、實業學校同程度の教育と技術下士訓練を受け、修了後は各部隊の三等工長(伍長相當)として配属されます。上等工長まで出世して除隊しますが、その技術をかわれて、軍需工場の技手(中産階級の下)として再就職できます。
小學校で勉強のできる子が、師範學校附属小學校に寄宿給費生として入学できるのは、前述の細民と同じです。(その後たどるコースも同じ)


《経歴》
子供は、小學校高等科を出ると、男の子は親の手伝・丁稚・徒弟奉公・見習職工に、女の子は女中奉公に出ます。一所懸命に働いて、腕を磨きます。(→寫眞右より:パン屋の小僧ー配達帰り、靴屋の徒弟ー職人や兄弟子の下働をしながら腕を磨く)
農村では小作人として、農場主から畑を借りて農作物を作ります。作物が高く売れるとセッセと貯金します。自分の農場を買って小さな農場主になることも夢ではありません。不作ですと、小作料が払えなくなって、夜逃げするものも出ます。
商家では手代、番頭にとりたてられます。独立して小さな店を開くこともありますが、しくじると戻ってきて、元の番頭をします。
職人は、全国の同業組合を巡歴して腕を磨きます。やがて親方になる試験を受けますが、なかなか難しく、職人のまま終わる人が大半です。また、せっかく親方になっても、不景気で、他の親方の所で職人をしたりします。
《社交》
仕事仲間で付き合うのが精一杯で、余暇を楽しむ余裕は無く、家族もほったらかしです。(寫眞右:市場の番頭と料理人ー仕込そっちのけでお喋り)
≪兵役≫
この階層は国民の内で最も数が多いので、兵卒・下士官の主な供給源です。義務教育のおかげで、ひたすら真面目な若者が多く、レミニアの兵隊さんが強いのも、この階層が軍隊の大半を占めているからです。優秀で上等兵に選抜されると、除隊後も職場で昇給したり、昇進したりします。女の子にも、大層もてます。除隊せず上等兵から下士志願をして職業軍人になる者は、努力を重ねて准士官に進級すると、社会階層があがって、中産階級の仲間入りをします。軍隊では、このような「立身出世」の道も用意されており、優秀な若者を定着させるよう陸軍省は努力しています。
《他の階層は》
浮浪者 ← ああなったらオシマイの見本。子供の実物教育にはもってこいのモデル。「ほれ勉強しないと、ああなるよ」と教える。
細民 ← 運の悪い人たち。
技能者 ← 一所懸命働けば手が届く。努力目標。
知識人 ← 運が良ければ、なれるかもしれない。憧れの対象。
資産家 ← 大金持ちの旦那がた。ああなるまでには、きっと悪い事をしたに違いない。
地主 ← 大旦那。ああなるまでには、きっと御先祖が悪い事をしたに違いない。
貴族 ← 殿様。近づかない方が身のため。
《人称言語》
自称 男「おれ」 女「あたし」
目下 「おまえ」
同位 「あんた」
目上 「あなた」
紳士 「旦那さま」
主人 「あなたさま」
笑い方「あっははは」
働く人々
幾つかの階層に分かれており、上層はメンバーが固定していますが、下層になるほど階層間の移動が激しくなります。移動手段は学歴や才覚、資産や縁戚關係など雑多な要素によって構成されており、実力と幸運が大きく影響します。今世紀に入って社会機構や産業の発達によって中産階級の人口は増大しつつあります。
【技能者】(中流の下)kapablar, technicians → top
《特徴》
熟練労働者の出身なので同じ性格ですが、より愛想が良く如才ありません。控え目で思いやり深いのですが、自分の間尺に会わない事柄には冷たいところがあります。仲間内や家庭での言葉遣いは方言丸出しですが、改まると訛の無い標準語を操ります。が、いたく感動したり危急時には訛が丸出しになります。

《暮し向き》
多少の蓄えがあります。
一戸建に住んでおり、町では裏庭・前庭があります。1階が台所、食堂兼居間、2階が寝室2、浴室(トイレ・洗面臺・風呂)という間取りです。地下室は倉庫、洗濯場で、時々はそこや屋根裏部屋を人に貸します。子供の家事手伝や見習・徒弟を住込ませる事もあります。(寫眞→ 郊外の小農場主の家)
着物は、体裁の良いものを年一回は新調します。古くなると古着屋に下取に出します。
《経歴》
自分の技術と能力を武器に収入を得る技能労働者です。
小農場主、小商人、書記、技手、職人親方などです。
勤め人の場合は、時給・日給・週給ではなく「月給」となります。軍隊の準士官もこの階層です。
必要な知識を身につけ(實業學校を卒業)、兵役に就き、自治に関与(同業組合員)します。
《教育》
下の階層から這い上がってきた一代目は小學校しか出ていない場合が多いのですが、息子以降の代になりますと生活に余裕が出て学費が払えるようになりますので、小學校尋常科(5年制6〜10歳)から實業學校(5年制11〜15歳)を卒業します。役所や事務所の雇員(書記、工手)資格が得られます。
《立身出世》
高等専門學校に進学したいけれど学資の無い子は、内務省水産講習所と海軍技手養成所(いづれも4年制、高等實業學校同程度)が、お奨めです。卒業後、前者は内務省の水産技手、後者は海軍技手(工廠)となって、判任官待遇(尉官相當)です。また内務省逓信官吏練習所(2年制)は少し出世の速度が落ちますが、郵便局の書記や電信技手として、やはり判任官待遇(尉官相當)となれます。すべて給費生で寄宿生活だから、衣食住無料のうえ給料(下士官程度)も呉れます。毎年の實業學校卒業生 25,100人に対し、水産80、海軍技手30、逓信官吏750と、狭き門ですから、よほど勉強しないと入所試験に合格しません。
實業學校に行くかわりに師範學校本科(8年制11〜18歳、高等學校同程度、寄宿給費生)に入る手もあります。卒業後のコースは小學校の先生(訓導)から教頭、校長先生となって退職、恩給生活となります。高等師範學校や大學本科に進学するための踏み台にする事もできます。しかし小學校尋常科卒業生 158,600人に対し入学試験合格者460名と狭き門であることに変わりはありません。
國教會と陸海軍宗務部には、高級聖職者の身の回りの世話をする小姓として「侍童」(8年制9〜16歳、毎年60名程度募集)制度があります。身分は判任官待遇(尉官)で、業余に司教の主催する私塾で教育を受けます。これに採用されるのは名誉な事であり、終了後は全員が奨学金を受け専門學校に進学して得業士となり、専門職業に就きます。応募するには家柄の良い事が必要で、この階層に零落している貴族士族の分家の、そのまた分家の分家あたりがツテをたぐって子弟を出します。
《社交》
同業組合や近所同士で付き合いますが、あまり社交をする時間もお金もないので、家族や親戚を大切にマイホーム主義の人が多いのが特徴です。
≪兵役≫
實業學校を卒業しているので、一年志願兵から予備将校になる資格がありますが、自弁費用を節約して兵卒になるものが多いのが特徴です。徴兵保険に加入して、自弁費用を作ってあげる親もありますが、戦争になると下級将校は戦死傷する率が多いので、それも考えた上で、徴兵保険にも加入せず、あえて兵卒だけで兵役を済ませようとする賢い者もいます。
《他の階層は》
浮浪者 ← 運の悪い連中。
細民 ← 腕の悪い連中。
熟練労働者 ← 才覚のある、よく働く連中。
知識人 ← 一所懸命勉強すれば手が届く。努力目標。
資産家 ← 運が良ければ、なれるかもしれない。憧れの対象。
地主 ← 地主になったのは、きっと御先祖が悪い事をしたからに違いない。
貴族 ← 殿様。近づかない方が身のため。
《人称言語》
自称 「わたし」
目下 「おまえ」
同位 「あんた」
目上 「あなた」
主人 「あなたさま」
笑い方「あははは」
なかなか歸れない書記
《特徴》
小奇麗な服を着て、櫛目の入った頭髪をし、さっぱりした顔付きです。身だしなみも能力のひとつと思い込んでいるので、衣服にはお金をつぎ込みます。清潔さに大きな価値を認め、風呂も毎日のように入らないと仕事に差し支えると考えています。どんなに暑くとも寒くとも決まった服装を崩そうとしません。肥満や病気すら品性を損なうものと考えられています(痩せ藥などが良く売れますし、無理をしがちです)。家族は主人の地位に相応しい行動をとらなければならず、品行方正である事を期待されています。揃うべきものは全て揃ったよい家庭を持つ事も社会的地位を保つためにはぜひ必要と考えています。そのため先ず外見を整えるのに熱心で、内実が追いつかない家庭も多々あります。
他人がどうなろうと知らないと云う冷たいところがあり、また他人に干渉されるのを嫌がります。他人が困っている時にも手助けをせず、自分の出世がかかっている時には逆に足を引っ張ることがあります。そのせいで人を当てにせず、常に自助努力を怠りません。また自分より上位の人には身もよも無く取り入る術を工夫します。それがこうじると自分の知識レベル以下の人と付き合うのは時間の無駄と思うようになります。自分より下位の人と親しくするのは、自分の勢力を保つ努力の一環と位置づけられていますので、いつでも自分の都合で関係を断ち切ってしまいます。
親が古くからの知識人である時は、子供は標準語しか知らず、方言や訛を聞き分けられません。親の仕事の都合で外国暮らしをしていた子供には、自国の言葉より外国語の方が得意と云うのもいます。正しく標準語を喋るかどうかが、階級を上下に区分する大きな境界線となっています。標準語のうちでも中學校生徒と高等學校生徒の言葉遣には歴然とした相違があり、前者は庶民の味が残っており、後者は貴族の香りがします。知識人は家柄には関係なく、ただ高等教育の機会に恵まれ高等専門職業に就いた者によって形成された階層なので、誰にでも分かりやすい機能性を重視した事務的合理的な喋り方が特徴となっています。放送局のアナウンサーの喋り方がこの方式です。さらに職業や地位により語彙や話法が微妙に違っていて、注意深く聴いていると職種の区別ができます。当人も身分が変化すると、それに相応しい喋り方に移っていきますし、その裏には常に体裁を繕おうとする、この階層独特の努力が隠れています。
普段の態度も職種により違っており、ただ共通なのは感情を隠す鄭重な言葉遣いと、決して定型を外さない挙措動作です。

《暮し向き》
お金には余裕があります。宝石を買ったり、株を持ったりできます。
體裁の良い広い家に住み、女中を雇います。1階には台所、食堂、客間、居間、2階には寝室、書斎、子供部屋、客用寝室、化粧室(洗面所、浴場、トイレ)、遊戯室、屋根裏には女中部屋、地下室には倉庫、使用人食堂・控室、洗濯場があります。手入れの行届いた前庭と広い裏庭があります。料理女中、子守、掃除・洗濯婦を雇うのが普通ですが、主人の職業によっては、馬丁や御者を厩舎に住み込ませたりします。また書生兼玄関番として親戚や郷里の恵まれない少年を住込ませる事もあります。
服は、年2回くらい新調します。 (寫眞→ 左:成功した農場主の家、 右:都会の住宅地)
《経歴》
自分の知識、技術、才覚を武器に収入を得る知識労働者です。
ありとあらゆる職種がありますが、主なものは、大規模・中規模の農場主、大商人、實業家、高級役人、会社役員、専門家(医師、弁護士、牧師、教師、技師など)、聯合同業組合幹部です。
勤め人の場合は、月給となり、位があがると年俸となります。軍隊の将校がこの階層です。
農場主の場合は、地主から土地を借りて、農場を経営します。少なくとも村や區の1/48の広い土地を経営します。
作物相場の変動や、豊作不作によって、収入は大きく左右されます。これに対処する農場主の才覚と努力しだいで、事業の浮沈が決まります。成功すると大金持となり、財産が増え、贅沢ができます。失敗すると借地代が払えなくなり夜逃げ一家離散となります。
借地の権利は簡単に他人に譲れますが、事業地の広さが法律で制限されています。
必要な専門知識を身につけ(高等専門學校を卒業して得業士)、兵役に就き(一年志願兵の後に豫備役少尉補)、自治に関与し(同業組合員)、「趣味」を嗜みます。
《教育》
学費に余裕の無い家の息子には、学費衣食住無料・有給(下士官程度)の神學校(8年制9〜16歳、中學校同程度、寄宿給費生)が人気です。卒業すると輔祭として、小村の教會を受け持ちます。
また實業學校を卒業して職に就いてから、学資を貯めて検定試験で専門學校に入る手もあります。
外地では居留民學校(中學校同程度)の学費が安いので、子弟の教育のためにワザワザ外地勤務を志願する親もある程です。
軍人の子弟は陸軍幼年學校(中學校同程度)に優先入学できます。殊に戦没軍人の息子は、学費・衣食住費が免除になります。毎年約130名の卒業生全員が士官學校に進み、職業軍人となります。
しかし大多数の家は息子を中學校(8年制9〜16歳)に入れます。そのまま専門學校・高等實業學校に進学し、得業士となって、専門職に就きます。
専門學校の副手をしながら更に大學本科にかよって學士となるものもあります。
《社交》
同業者どうしで倶楽部を結成し、それを中心に家族ぐるみで付き合いをする人が多く、案外に閉鎖的です。
≪兵役≫
一年志願兵となって、豫備役少尉補になります。正規軍では實力を発揮しやすい飛行隊や工兵・砲兵部隊を選ぶ者が多いのが特徴です。専門職従事者は、經理部、軍醫部、藥劑部、獸醫部、兵器部、法務部、宗務部など、軍隊でも専門職種に入ります。
《政治》
郡會市會縣會の議員に立候補できます。名望ある者は庶民院議員に立候補します。政黨に属していれば、その黨が政權を握った時に政務官・大臣として國政の中樞に關與できます。
《他の階層は》
浮浪者 ← 得体の知れないゴミのような連中。強制収容して市民教育を施し、マトモナ暮らしに戻すべきだ。
細民 ← 運の悪い惨めな人々。社会改良の対象。
熟練労働者 ← 元気の良い、頭の足りない人々。
技能者 ← 腕の良い、賢い人々。
資産家 ← 創意工夫して一所懸命働けば手が届く。努力目標。
地主 ← 運が良ければ、なれるかもしれない。憧れの対象。なかなか手ごわい。
貴族 ← 殿様。遊んでばかりいる能無しの閑人。
《人称言語》
自称 「わたくし」「ぼく」
目下・同位 「きみ」
目上 「あなた」
笑い方「ははは」
《特徴》
「成金」の世界は何事もお金に換算して初めてその価値を認める傾向があります。計算も素早く抜け目がありません。お金持ちになるまでは刻苦精励してきましたが、成功して急に贅沢な暮らしを始めたので、栄養過多となり肥満しています。服装は高価な割には野暮ったいか、軽薄すぎるかで、うまく釣り合いが取れません。より上の階層の生活習慣を真似ようと努力しますが、どこか間違って身に付けていて、それが揶揄の恰好の対象となります。
時々お里が丸出しになって、人前で好悪の感情を爆発させてしまいます。むしろ、それを支配の武器としている野暮な人もいます。
言葉遣いは今更なおせないので、出身階層のそれを踏襲します。息子・娘の代になると、学校教育のお陰で段々と上流らしくなってきます。孫の代には、ほとんど成金の家だとは分からなくなります。
《暮し向き》
上流階級そっくりの暮らしを真似ます。しかし趣味が悪いことが多く、落ちぶれた上流階級の子弟を雇って、行儀作法を習ったり、住込みアドバイザーになってもらったりします。
必要な物は総て購入して、時には必要以上に豪華な暮らしをしますが、品格はお金では買えません。(寫眞→ お金持の邸宅)
《経歴》
より下の階層から這い上がってきて、成功した大金持です。
しかし浮沈が激しく、金さえあれば新しくこの階級に仲間入りできますが、すぐに財産を失って下層の階級に転落する人々も多いのが特徴です。特に三代目あたりで、没落する率が多いのが不思議です。
出自が比較的新しく、より以上の階層地位は、金では購えないので、莫大な持参金をつけて準貴族・貴族の家に娘を嫁にやり、縁戚関係を結んで、実質的に貴族の仲間入りをします。また、貴族の次三男坊を婿に迎えることもします。
《教育》
高等學校(9年制9〜17歳、研究科1年制18歳)に息子を入れます。大學選科に進み、得業士となります。
《社交》
無理に体裁を繕って上流階級の社交界に出入りするので、地主階級や貴族階級からは「成上り者」(alvenoy)「成金」(monoy nova)と呼ばれます。衣食住すべてに亙って地主や貴族階級の物真似ばかりしているからです。
上流階級の倶楽部からは入会を断られるので、自分たちで倶楽部を新しく作ったりします。
≪兵役≫
もちろん上流階級を真似て、男子は一度は将校にしますが、護郷軍の伝統ある一流聯隊には、いくら金を積んでも、家柄と格式が足りないので入れません。二流どころの聯隊で我慢しなければなりません。家柄に余りこだわらず、実力を尊重する正規軍に入る者が多いのが特徴です。
《政治》
郡會特別市會縣會議員に立候補して資産家の利益を代表します。政黨に所属して庶民院議員に立候補し黨利黨略の為に働き、もし所属黨が政權を握れば功績により政務官・大臣になれます。
《他の階層は》
浮浪者 ← すぐに処理すべき害虫。
細民 ← 惨めな人々。
熟練労働者 ← 元気の良い人々。
技能者 ← 腕の良い、老練な人々。
知識人 ← 頭の良い連中。金と名誉を餌に、とことん使ってやろう。
地主 ← うまく取り入り、娘に莫大な持参金をつけて嫁にやっとけば、今に自分の物になる地位。努力目標。馬鹿にされても、ひたすら我慢。
貴族 ← 運が良ければ、なれるかもしれない。憧れの対象。
《人称言語》
自称 「わたくし」「てまえ」「わし」
目下・同位 「きみ」「あんた」「おまえ」「きさま」
目上 「あなたさま」
笑い方「わははは」
成金の享楽
《特徴》
地主階級共通の独特の生活習慣を保ち、ひと目でそれと分かります。幼少時から栄養状態が良く、運動も十分にしているので体格大で、社交訓練を受けているため動作・会話とも優雅です。ゆったりとした上等な衣服、いっけん質素に見えるが実は甚だ凝った食事、家ごとに一癖ある嗜好品、先祖代々の肖像画を飾った由緒ある屋敷で繰り広げられる悠々とした郷紳の田園生活は、時代が進んでも一向に変わろうとしません。「自動車」を「自働車」と綴り、手紙は必ず候文となり、カード遊びは何百年も昔からのルールをそのまま適用しています。保守を絵に描いたようなもので、自分の生活を乱し権益を侵す者が現れると、事の是非に拘わらず粘り強い戦闘態勢に入ってしまい当分はそこから出てきません。
言葉遣いは全寮制中等教育のおかげで、どんな地方にあっても、この階層に共通の古い型の標準語を操ります。すこし口篭もりがちで母音を長く延ばし、微妙な論点に就いては間接表現を多用し、危急に際しても取り乱さずユーモラスな警句を即興でつぶやきます。感情を生で表現することが決してなく、常に恬淡としているように見えます。そのように見えれば見えるほど、そのじつ内心は大いに動揺していることの徴(しるし)です。方言や訛りを聴き取れず、そのため標準語を喋らない下層階級の人々とは意思の疎通がはかれません。両者は時々まったく別の人種のように見えます。しかし中流階層を間に緩衝地帯として挟んでいるため、下層・上流とも互いに相手の醜い面を見る事がなく偏見も先入観もなく、あい対すると人間と人間の自然なつきあいとなって案外に仲が良いのが不思議です。
地主と貴族はあらゆる点で同類と看做してよいでしょう。貴族は基本的には地主階級であり、地主どもから頭領に担ぎあげられたに過ぎません。
《暮し向き》
広い庭園のある大きな古い屋敷に住んでいます。
部屋数も、地下室全部が台所・使用人食堂兼控室と食料貯蔵庫・酒蔵・洗濯場・ボイラー室になっており、1階の食堂は家族用の居間(普段の簡単な食事や内輪の休憩用)・正餐用の大広間(家族・友人・客人の全員が揃って格式ばったフルコースを食べる)・客用の喫煙喫茶室(食前食後に談話休憩する)・遊戯室(撞球臺や骨牌臺があり客をゲームでもてなす、喫煙喫茶室と続きの間になっている)に分かれており、寝室は家族用・客人用・使用人用(屋根裏や地下室)が幾つもあります。使用人用の寝室は大部屋から個室まであり、地位によって待遇が違っています。女中頭(家政婦)の寝室には広い居間と化粧室・浴室がついており、他の女中がそこで裁縫をしたり、お茶を飲んでお喋りをしたりするようになっています。家政管理用の部屋のあることが特徴で、主人の書斎の他に、差配人事務室、複数の応接室、金庫室、図書室、会議室などがあります。屋敷うちには厩舎・車庫(御者・馬丁・運転手)、門番小屋、庭師小屋、その他傭人のための長屋と蔵があります。
執事と女中頭(家政婦)が傭人を監督し、差配人は地所の管理をします。また御婦人付の小間使、子供付の家庭教師、そのた住込の客人扱いの人々もいます。(寫眞→ 地主屋敷: 右の円形の低い塔は物見櫓を兼ねた蔵、そのすぐ左は居宅。更に左が石造の頑丈な納屋と門塀。砦を兼ねた武家屋敷様式は、そうとう旧い家柄を偲ばせる)
着る物は、季節ごとに新調します。装飾にも凝った趣味の良い物を揃えます。
《旅行》
避暑・避寒に旅行して、家族ぐるみで風光明媚な地に長期滞在します。しかし外国旅行をするゆとりはありません。子女が學校を出るときに卒業旅行として、外国巡遊にだしてやるくらいです。
《経歴》
郷紳(sinyor)と呼ばれます。
昔は、領主の家臣で、農業を営むかたわら、お城勤めに出たり、戦争に出たりしました。
今も所属する領主から土地を借りる形となっているので、正確には地主とは云えませんが、国家によって永久借地権を保証されており、先祖代々、永年に亘って同じ土地を経営しており、非常に安定した身分です。
収入は自分の管理する土地を又貸しして得ます。貸し出す先は、農場主、工場主、商店主、会社などの事業者です。土地の利用の仕方は、法律で厳しく規制されており、例えば農村では幾つかの小工場しか工業が許されず、それ以外はすべて農場としなければならない、とされています。また必ず「供用地」と呼ばれる広い土地を地域民に無償提供して、市場や駅逓、学校などの公共用地とします。
土地を勝手に他人に譲ることは、法律で禁止されています。
地主の地位継承は、長子相続の形となっています。男子がいない場合は女性地主もあり得ます。
長子は父君存命中は、その補佐として地主代理を務めます。
次子以下は、十分な教育を受け、世間に出て独立します。実家から年金を受け、当初の暮し向きは裕福ですが、親等が隔たるにつれて年金額は減り、怠け者は、より下層の階級に転落します。
地主の必要条件として、「少なくとも村または區の1/12の土地を経営」し、「財産」「名望」を持ち、教養を身につけ(大學を卒業して得業士)、兵役に就き(一年志願兵の後に豫備役少尉補)或いは護郷軍の格式ある聯隊に入隊して青年時代を過ごし、自治に関与し(村會議員)、地元に貢献し(村助役、村長)、「社交」「遊戯」を嗜みます。
《教育》
領主ないし教會の小姓・侍童(9〜16歳)として城館に勤務し貴族の作法を身に着け、かたわら高等學院(有力貴族が主宰する由緒ある高等學校)生徒として教育を受けます。
大學選科に進み得業士となります。
勅許學校(由緒ある中學校)に入る者も少しあり、これはお城勤めをせずに、陸海軍の士官學校に進み職業軍人となります。
《社交》
地主階級だけでつくる閉鎖的な社交界で、舞踏会・晩餐会・狩猟などを楽しみます。冬の社交シーズンは、地方都市で行われ、首都に出ることはありません。
≪兵役≫
男子は一度は将校として軍隊に入ります。正規軍で職業軍人を目指す者もあれば、護郷軍の格式ある聯隊に籍を置き社交に明け暮れる者もあります。国防は男子の義務であることを一番自覚しているのが、この階層です。頑健かつ誠実な兵卒・下士は熟練労働者階層によって供給されていますが、将校の骨格はこの質実剛健で粘り強い地主階級によって支えられています。この二つの力が上手く組み合わさった時にレミニア陸軍の敢闘精神が遺憾無く発揮されます。
《政治》
小區の長として直接に庶民と接し市區町村會終身議員として地元政治に關與します。名望ある者は縣會議員・庶民院議員に立候補します。政黨に属していれば、その黨が政權を握った時に政務官・大臣として國政の中樞に關與できます。
《他の階層は》
浮浪者 ← キリギリスのような可哀相な人々。慈善の対象。
細民 ← 零落した可哀相な人々。慈善の対象。
熟練労働者 ← よく働く実直な人々。
技能者 ← 老練で忠実な人々。
知識人 ← 目新しい事の好きな連中。十分な報酬と名誉を与えると非常に役に立つことがある。
資産家 ← がさつな成上り者、成金。愛想が良ければよいほど油断がならない連中。
貴族 ← 運が良くて努力すれば、なれるかもしれない。努力目標。ときどき馬鹿殿様がいるので、國家存続のために、よく支えてやらねばならない。
《人称言語》
自称 「わたくし」 男「拙者」「吾輩」
目下・同位 「きみ」「貴君」「貴殿」
目上・主人 (姓に様を附す。職名ないし姓に殿・閣下・陛下など尊称を附す)
笑い方 「うーふふ」
【領主】estr, lord
村ごとに領主がいて、世襲(長子相続制)の貴族です。2村以上の領主になることは法律で禁じられています。どのような大貴族であっても領地は1村しかありません。互いに先祖伝来の入り組んだ臣従関係を結んでおり、臣下となった領主は主君となった領主に金品を貢ぐので、大貴族はその資金で体面を繕います。例えば私的傭兵である護郷軍を編成したり、地方の象徴となっている古城を維持し、貴族團(領主會議)を開催します。その最高位にあるのが聯合共和國首長(終身)であるレミニア大公爵です。
《特徴》
基本は地主階級と同じです。不思議な事に地主よりも粗野な部分があり、馬鹿殿じみた奇矯な振舞の見られるのは、御愛敬です。中には世の中が繪空事のように見えてしまうと云う悩みを持つ人もあり、長く續いた家系には頽廃の兆しも見られます。自分の愉しみに閉じこもって自由な生活を追及し、社會の動きに無關心で、新しい事物には食わず嫌い、本も新聞も讀まないところは最下層階級である浮浪者の言動と共通しています。もし城館を捨て直ちに放浪生活に入っても、何十年もそうしているように見える筈です。そうは云っても、どこかに凡人より秀でた點があって、それは勇猛さであったり、緻密さであったり、優美さであったりします。
《暮し向き》
爵位のある領主は首府に大きな屋敷を持っています。貴族院議員としての政務と、社交に使います。田舎の領地には、先祖伝来の館または城があります。騎士階級以下の爵位の無い領主も同様の目的のために、首府に大きな建物を區切ったフラットを借りています。
田舎の城館は古めかしく所々修繕の必要を認めますが未だ頑丈さでは引けを取らず、昔は濠を巡らせて、敵が攻めてくると、そこに立籠りました。
特徴としては、物見櫓の用を果たす塔があること、先祖伝来の物品を収蔵する寳物庫と圖書室(それぞれ専属の學藝員と司書つき)があること、武器庫と牢屋(尋問室・拷問室も附属)があることです。
客室は、領内の主だった臣下が全員宿泊できるだけの部屋數があります。また食堂も広間も、その他の部屋も臣下全員が集まるだけの廣さがあります。使用人も大勢おり、ちょうどホテルなみの規模です。(現代のホテルは、このような貴族の城館から發達してきた)
たとえば厨房(台所ではありません)には、料理長のもとに、料理人・パン焼職人・菓子職人・酒蔵番・給仕長・下働(給仕人・皿洗など)が主人一家・客人・使用人の毎日の食事のために忙しく働いています。
厩舎には何台もの馬車と馬が揃っており、車庫には自働車もあります。
大勢の庭師と門番、御者、馬丁、運転手などを収容する長屋があります。
請願巡査とその家族の家もあります。(費用一切を出すと、警察から住込みの専従巡査を派遣してくれる)
また護郷軍分駐所(傭兵による私設部隊で、軍管區に所属し、旧式兵器の所持を許可されている。領主と地主による出資で維持され、非常時の民間防衛、消防・防災、軍事訓練の他、有料の委託警備事業を行う)が城門の脇にあります。
衣服は季節ごとに様々な用途のものが新調されます。
《旅行》
避暑・避寒のため國内外を問わず長期滞在を伴う旅行を頻繁にします。
また冬の社交シーズンには、首府の別邸に滞在して、宮廷の社交界に出入りします。
《経歴》
世襲領主です。
主な収入は、領地の地主から徴収する地代です。
額は法律で保証されています。(才覺ある者は、更に商業活動によって蓄財し、あるいは政官界に出て国事に参与し、功労を積みます。)
領地を新たに取得したり、勝手に他人に譲ることは法律で禁止されています。
《教育》
大貴族の子弟は、貴族學院(貴族専用の高等學校)に入り、大學に進みます。
中小貴族の子弟は、勅許學校から士官學校に進み、職業軍人となります。長男や體格の劣るものは護郷軍の格式ある聯隊に籍を置き社交界に進出します。あるいは宮廷小姓兼貴族學院生徒となり、その後大學に進みます。
《爵位》
領主の地位継承は世襲です。そのため「襲爵委員會」という役所が政府に設けられており、ここが許可を出さないと、隠居や相続ができません。領主の地位と財産は、個人のものではなく、国家のものとされているのです。
爵位は長男が継ぎますが、子供に男子がいない場合は養子を迎えます。稀に長女が爵位を継ぐこともあります。
爵位継承候補者は、父君存命中には、官吏、軍人、実業人として活躍し、襲爵後は領地の経営に専念します。
次男以下は、十分な教育を受けて、陸海軍人、学者、聖職者、法律家、実業人など高級専門職として世に出ます。父君の遺産、実家からの年金を得ますので、暮し向きは本家より一段落ちますが、上流社会の一員として認められます。
貴族の必要条件として、「爵位」「領地」「財産」「名望」を持ち、「城館」「家の子郎党」を維持し(貴族團長)、旧領民を愛護し(慈善事業、公共団体への寄付)、教養を身につけ(大學を卒業して得業士)、兵役に就き(一年志願兵の後に豫備役少尉補、或は職業軍人)、政界に關與し(縣會終身議員、貴族院終身議員)、國家に貢献し(參與官、閣僚)、「社交」「美服美食」「スポーツ」を嗜みます。
叙爵(新しく貴族を設ける)は滅多に行われません。功績抜群の軍人が叙爵されることはあります。受爵者が貴族ではない場合は、先ず無称号の領主(土豪)となりますが、領地は辺境の国有新開拓地を分譲されます。既に準貴族であった場合は、爵位が一つ昇り、領地は旧のままです。例えば、無称号の領主は勲爵士となり、勲爵士は準騎士となります。
準騎士から王族まで、幾つかの格があります。
これを最下位から順に並べると、「土豪(無称号の領主、trib)、勲爵士(meritul)、準騎士(vickavalir)、騎士(kavalir)、準男爵(baronet)男爵(baron)、子爵(vickonte)、伯爵(konte)、侯爵(markiz)、公爵(duk)、大公爵(arkiduk)、太子(princ)、王(regh)、皇帝(emperor)」となります。皇帝と太子は、既に帝國が崩壊しているので実際にはおりません。「聯合共和國」が実質的な「帝國」の機能を果たしていますが、その首長は貴族が互選する終身「國家元首(prezident)」で、これは爵位ではありません。「王」は、外地属國の國王です。
昔は、下位の貴族を臣下とし、戦争になるとこれらを率いて出陣しました。その関係がいまだに残っています。互いに入り組んだ主従関係にあって、一般に爵位が上になるほど臣従する貴族の数が増えます。公爵ともなると、一地方の貴族が全員、臣下となります。
臣従する領主からは相応の金品が届けられるので、それを基金として、大貴族は城館を維持します。
しかし落ちぶれた貴族には誰も臣従しません。例えば、前王朝の王は亡命して、草深い田舎に唯一残った荘園に隠棲しており、「大公爵」の爵位を持っているにも拘わらず、誰もこれに臣従しようとはしません。
貴族は更に細かい階層に格付けされます。
1. 大貴族(上流の上の上)
昔は一国の支配者で、多くの貴族を従えていた大貴族。
大公爵(大公國の支配者)、公爵(公國の支配者)、侯爵(侯國の支配者、舊帝國皇帝の家系を継ぐ由緒ある貴族)、属國の王
2. 中貴族(上流の上の下)
由緒ある家柄で、大貴族に臣従して功績のあった中流貴族。
伯爵(地方知事)、子爵(代官)、男爵(軍司令官)
3. 準貴族(上流の中)
新しい家系の貴族(爵位は問わない)。古くからの下級貴族。
準男爵(財政寄与による叙爵)、騎士(武勲による叙爵)、準騎士(武勲による叙爵、由緒ある土豪)、勲爵士(国家に顕著な功績あった者)
4. 土豪(上流の下)
無称号の領主。
5. 貴族傍流家系にある者。
無称号、領地無し。本家から年金を受給する。親等が離れるほど年金額は少なくなるので、格は貴族の傍流でも実質的な暮し向きは更に下流の階級にあるのと同様です。
≪兵役≫
貴族階級にとって、軍隊は一種の子弟鍛練学校であり、また社交場でもあります。規律、礼儀作法、体力、統率力、飲酒・喫煙・賭博・性欲処理など美徳・悪徳がないまぜになった軍隊生活は、甘やかされて育った少年が頼もしい青年に脱皮するために必要な通過儀礼です。戦争も家柄の良い将校にとってはロマンに満ちた冒険に他なりません。(兵卒や中堅将校には奇矯で滑稽な振舞いと映りますが、本人たちは大真面目です。またそれが硬い一方の軍隊生活を洒脱なものに見せてしまう効果もあります)家柄と格式を入隊条件とする護郷軍の有名な聯隊の将校倶楽部で結ばれた戦友愛は、除隊後も様々な場面でその威力を発揮します。
《政治》
男爵以上は貴族院終身議員であり、國政に關與します。準男爵以下の領主は郡會特別市参事會の終身議員であり、また名望ある者は郡・特別市の領主議員の互選により縣會議員を務め地方政治に關與し、名望ある者は庶民院議員に立候補します。政黨に属していれば、その黨が政權を握った時に政務官・大臣として國政の中樞に關與できます。
《他の階層は》
浮浪者 ← 噂には聴くが、あまり見たことがない。慈善の対象。
細民 ← なんとか、ならないものか。慈善の対象。
熟練労働者 ← よく働く人々。
技能者 ← 腕の良い人々。
知識人 ← ガリ勉の浅はかな人々。
資産家 ← 成金の無礼者。品位は金では買えない。
地主 ← 昔からの忠実な家臣ども。よく機嫌を取っておかなければならない。
上位の爵位 ← 機会があれば昇爵するかもしれない。努力目標。
國家元首 ← いちどは成ってみたいけれど、なればなったでまた面倒そう。
《人称言語》
自称 男「餘」 女「わらわ」
目下 「そこもと」「そなた」
同位 「貴殿」
目上・主人 (職名ないし姓名に殿・閣下・陛下など尊称を附す)
笑い方(微笑を浮かべるが、あまり声を出して笑わない)
★★ 職業分類 ★★ statistik de okupaci
【下層(下)の下】実数不明 → top浮浪者