![]()

三沢光晴がリングの上で死んだ。死因は頸椎離断。バックドロップを受けて頭部を痛打し、帰らぬ人となった。46歳だった。まさか三沢がそんなことになろうなんて、誰も思わなかった。破天荒なイメージのプロレスラ―にあって、三沢は珍しく社会性(常識)のある男だった。日本のみならずアメリカマット界でも「約束を必ず守る男だ」と信用されていた、師匠ジャイアント馬場のように……。プロレスの世界は、会社の収益を別事業(なんとかハイセル)に回したり、後輩レスラーが家族の保険を解約してまで差し出したお金を「おれ個人の借金ではない」といって踏み倒したりするような男ばかりである。そんな無責任な連中がごろごろいる中、三沢は責任感が人一倍強かった。欠場したいのだけれど、おれが出ないわけにはいかない。そんな社長ゆえの責任感が今回の惨事を招いた気がしてならない。馬場さんよ、あなたの時代はよかった。インターネットもなければ、Jリーグも、カラオケBOXも、携帯電話もなかった。馬場や鶴田がNWAのベルトを賭けてハリー・レイスやリック・フレアーと戦い、世界最強タッグがありチャンピオン・カーニバルがあった。プロレスは楽しかった。日本テレビは巨人戦とプロレス中継を目玉のコンテンツとして、ばりばり稼いでいた。今は巨人戦ですらキラーコンテンツではない。大活躍の坂本隼人ですら、知名度は低い。30年前にこれだけの活躍をしたら若者のヒーローだったはずなのに……。三沢率いるノアは地上波のOA(深夜枠)も打ち切られた。プロレス中継というコンテンツそのものが巨人戦同様、時代のメインストリームから外れてしまったのだ。私は古い人間なのでプロレスが好きだ。まわりが夢中になっているK−1だのダイナマイトだのハッスルだのにはほとんど興味がないし、プロレスの枠を飛び出して行った前田や高田や佐山には露ほどのシンパシーもない。最後に、ミッキ・ローク主演の『ザ・レスラー』という映画を、三沢光晴とすべてのプロレスファンに捧げたい。合掌。(2009.07)
#13 朝青龍、復活!!
場所前は最低でも10勝しないと即引退とさんざん騒がれていたが、横綱朝青龍(28)がよもや優勝するとは誰が予想しただろう。しかも、14戦全勝で千秋楽を迎え、結びの一番で13勝1敗の横綱白鵬(23)に敗れて14勝1敗同士の優勝決定戦にもつれ込むという願ってもないオイシイ展開である。 本割の一番で朝青龍は立ち合いをわざと失敗し、白鵬を受けるカタチで負けてみせた。これで白鵬はすっかり油断してしまった。そして、優勝決定戦で朝青龍は鋭い立ち合いから低く飛び込んで頭をつけ、左上手と右前みつを取って自分のカタチにした。こうなると白鵬は自分の相撲を取らせてもらえない。結局、朝青龍が白鵬を危なげなく寄り切って、5場所ぶり23回目の優勝を手にした。セレモニーのあとの優勝者インタビューでは「朝青龍、また帰ってきました」といって満員の館内を沸かせていたが、その前にも見せ場があった。麻生太郎首相自らが総理大臣杯を朝青龍に授与したのだ。しかも、「内閣総理大臣杯」の「杯」を読み飛ばして、「内閣総理大臣・朝青龍殿」といっちゃった。総理大臣はおめーだろ。かつて、小泉純一郎氏が貴乃花を相手に「足が痛いのによくがんばった。感動した!」という名言を残したが、我らが麻生太郎総理は、「横綱は強くなくちゃね!」などとのたまい、朝青龍の苦笑を買っていた。小泉元首相と同じくらい強烈な印象を残したかも!? 朝青龍が土俵に上がると、場内の空気がガラッと変わる。白鵬にその力はまだない。ここまでの存在感があるのは、プロレスラーでいうと馬場と猪木。武藤敬司には人を振り向かせる力があるが、馬場や猪木の領域には達していない。全盛期の長州力でも気持にムラがあった。永田や棚橋では望むべくもない。そうした観点からすると、朝青龍という男は真のスターだ。さらにうと、馬場や猪木ではなく力道山である。親分肌で、気分屋で、ファンに優しく、そして強い。その力道山が大相撲では小結までしか出世できなかったことを考えると、朝青龍はドエライ横綱なのかもしれない。だって、23回も優勝してるんだよ。(2009.02)
#12 懲りない朝青龍
先場所優勝を飾った大関・琴欧州(25)の綱獲りに注目が集まった大相撲・七月名古屋場所。全勝か14勝をあげれば綱に手が届くと思われた今場所だが、蓋をあけてみれば琴欧州は初日に前頭筆頭・安美錦(押し出し)、3日目は小結・豊ノ島(掬い投げ)に土をつけられ、7日目には前頭二枚目・朝赤龍(上手出し投げ)に敗れた。中日前に3敗目を喫してしまう。綱獲りは絶望。心臓が強くないと横綱にはなれないのだ。一方、圧倒的な強さを見せ賜杯を手にした横綱・白鵬(23)。192センチ、156キロという恵まれた体躯とモンゴル相撲の横綱を父に持つ育ちのよさ。何より、強い精神力。しばらくは白鵬の時代が続くに違いない。今場所、日本人力士でひとり気を吐いたのは大関・琴光喜(32)。ただ、若手だとばかり思っていた琴光喜も今年32歳。今年が綱獲りのラストチャンスになりそうだ。こうなったら、誰でもいいから日本人横綱を待望したい。そして、モンゴルのあの男は、またも週刊誌をにぎわしてくれた。横綱・朝青龍(27)は初日の豊ノ島戦に敗れた「ひじが痛い」といって6日目から休場。場所前には、ボスボス給料を上げてくれボスと息巻いていた男が、ちょっとひじが痛くて休場。これじゃあ、給料は上げられねぇな。ぼうず!なんでもモンゴル場所の計画が頓挫しそうになったので気が気じゃなかったという報道もあった。モンゴル場所ではがっつり稼ぐつもりだったらしいのだ。そんなに大金がほしければ早々に大相撲を引退して、総合格闘技の世界へ移籍すればいい。曙(39)との横綱対決をはじめ、桜庭和志戦、田村潔戦などアリーナを満杯にできるカードはたくさんある。ヌルヌル男・秋山成勲戦なんてのも是非見てみたい一戦だ。それで秋山に勝ち、そのリベンジのため清原が球界から格闘技界入りなんて展開なら尚、面白い! いっそのこと、亀田ブラザーズもボクシング界からさっさと足を洗って、総合格闘技に世界に入るといい。金子賢だって戦ってるんだから元ボクシングの世界チャンプや野球選手が総合格闘技のリングに上がったっておかしくない。亀田の初戦は柴田勝頼あたりに任せたい。ガチに狂犬対決ね。(2008.08)
#11 問題児・朝青龍!
Copyright (C) 2008 HIROMU HOMMA. All Rights Reserved.