舞う声

 

数年前、今までの体験の中で一番怖い目に会いました。真昼間、オフィス街での体験です。

 

 夏も盛り、そろそろお盆休みに入ろうかとしている頃。いつもの様に芝浦にあるお客さんの所へ挨拶に行きました。

ビルの5階ワンフロア全てその会社が占めており、エレベーターを降りて20畳ほどのエレベーターホールがあります。

入り口はその日なぜか防火壁で閉じられていました。更に数日分の新聞が落ちています。

「あれ?移転でもしたのかな?」良く見ると壁に夏季休業のお知らせが。

「随分早く休みになっているな・・・・羨ましい・・・・」

一応誰か居ないかと壁越しに「すみませーん」と声をかけてみました。

しかし何の反応もありません。

「暑い想いをして来たのにとんだ無駄足だった!」

「次に行くか・・・」と思った矢先

アァアァアァアァアァアァ〜ハアハッアハーイイーッヒッヒヒヒッーハーヴゥゥーヴゥゥーヴゥヒィヴゥヒィーイイーッヒッヒヒヒッーハーアァアァァアアアァーイイーッヒッヒヒヒッヴゥゥーヴゥゥーヴゥヒィヴゥアアァ〜アァ〜ヒッヒヒッーハーアアァ〜    

 いきなりグルグルとエレベーターホール中に響き渡る叫び声が!

「エッ!?」

 複数人の男女の声が混ざり合い、渦を巻くように響いています!

「ウワッ!」

 私は思わず耳を塞ぎ、しゃがみこんでしまいました。恐る恐る頭上を見上げても何もありません。しかしその声が周囲をグルグル回っているのは確かです!

 急いでエレベーターのボタンを押しに行きました。幸いな事に同じ階に止まったままです。

正に飛び乗ったと言う表現がぴったりで、慌てて一階のボタンを押しました。

閉まるまでが、こんなにも遅く感じたのは初めてです。

その叫び声はエレベーターの中でも響いていたのですが、どうやらその階に留まっているようで、階を下るごとに段々遠ざかって行きました。

 一階に着くと、エレベーターから飛び降りました。

ビルのガードマンが不審そうに私を見ていましたが、走って外に出ました。

車に戻り、タバコに火をつけ暫く体の震えが収まるのを待ちました。

冷静になって思い返してみると「ひょっとして新手の防犯グッズ?」とも思いましたが、幾らなんでもそんな物はないですよね?

もし、あったとしたら相当効果があると思いますよ!

 その後、上司に「最近、○○○に行ってないだろ!ちゃんと行けよ!」と何度も言われましたが、あれ以来行っていません。

二度と行く気はありません!

 何だか分からないけど、本当に怖かった体験です。






工事現場半透明招き声終電坂の途中舞う声