10代の終りの頃、夏の旅行で仲間20人位と北軽井沢の大きな貸し別荘に行きました。
軽井沢の賑わいとは違い、北軽井沢は本当に避暑地と言う感じで、その別荘も森の中にありました。

  2日目の夜、肝試しでもやろう!と言うことになったのですが・・・・・。

 肝試しといっても周囲の森を一人づつ周って来るだけなのですが、これが結構怖いのです。昼間の暑さとは違い、夜になると上着が必要なほど肌寒く、森の静けさと寒さで、怖さも倍増されていました。

 暫くギャーギャー騒ぎながら続けていたのですが、森のあまりの暗さに事故が起こっても困るので引き上げることにしました。
帰り道、私は先頭を数人と月明かりの中、くだらない事を話しながらダラダラ歩いていました。

別荘まであと50メートル位に来た時、右の小道からサッと何かが曲がってきました。

「何だ?」

それはすごいスピードであっという間に私たちの前方に出て、3m位のところを宙に浮きぼんやりと光っています。

「あぁ〜?」

良く見るとそれは白いワイシャツを着た男の後姿で、上半身だけしか見えません。
腕をすごい勢いで前後させながら走っています。

「ゲッ!!」

あっという間に走り去り、見えなくなってしまいました。
ほかの者は気づいていなかったので、膝がガクガクしていたのですが黙って歩き続けました。

どうして走っていたのか理由は分かりませんが、何となく、未だにあの男は森の中を走り続けている気がしてなりません。

何だか切ない気持ちになってしまいました。