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横田めぐみさん「夫」は拉致韓国人 DNA鑑定で判明
2006年04月11日15時55分
北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの夫とされる人物が韓国人の拉致被害者である可能性が指摘されていた問題で、日本政府は11日、めぐみさんの娘、キ
ム・ヘギョンさんと韓国の拉致被害者である金英南(キム・ヨンナム)氏が父子関係にある可能性が高いとするDNA鑑定の結果をまとめた。政府は今後、北朝
鮮側にこうした結果を伝え、改めて被害者の帰国や真相の究明などを求める方針だ。
日本政府は2月、韓国側の協力を得て77〜78年に北朝鮮に拉致されたとみられる男性5人の家
族から血液、毛髪などを採取。キム・ヘギョンさんのDNA
情報と符合するか、二つの大学に鑑定を依頼していた。この結果、両大学の鑑定結果は金英南氏の可能性が高いことで一致したという。
この鑑定結果を受け、政府関係者は、来日中の北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官らと改
めて日朝協議を行う可能性がある、と指摘した。政府は北朝鮮側に直接鑑定結果を説明し、拉致問題での厳しい国内世論を伝えることで、北朝鮮側の前向きな対
応を促したい考えだ。
めぐみさんの夫とされる人物については、「キム・チョルジュン」と名乗る男性が04年11月に
日朝実務者協議のため平壌を訪れた日本政府
の代表団メンバーと面会。めぐみさんの遺骨とされるものを代表団に提供したが、日本側の鑑定で遺骨は別人のものだったとの結果が出た。この男性と金英南氏
が同一人物であるかどうかの確認も、できていない。
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DNA鑑定で横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんの父親である可能性が高いと判明した金英南
(キム・ヨンナム)さん(44)は78年、
友人と海水浴にいった韓国南部の島で行方不明になった。北朝鮮に拉致されたことが工作員の自供でわかって以来、母親は我が子の帰りを待ち続けている。
「生きているのなら、会いたい。どれだけ北で苦労をしたことか」。韓国全羅北道(チョル・ラ・
プク・ト)・全州(チョン・ジュ)市に住む英南さんの母、崔桂月(チェ・ゲウォル)さん(78)はしわの刻まれた顔でつぶやいた。
78年8月。高校1年生だった英南さんは、友人数人と当時住んでいた全羅北道・群山(クン・サ
ン)市から沖合の仙遊島(ソニュド)に海水浴に出かけ、ある夜、こつぜんと姿を消した。
警察に届け、付近を徹底的に捜索したが、結局、見つからずじまい。「遺体」も上がらなかった。
水死したとあきらめ、服や愛用品も「火葬」した。
97年、情報機関の国家安全企画部(現・国家情報院)は、スパイ容疑で逮捕した北朝鮮工作員の
供述から英南さんが北朝鮮に拉致されていたことが判明したと発表。数年前に同様の情報を知らされてはいたが、改めて生存の可能性が浮上した。
77〜78年、英南さんを含め3件、5人の高校生が連れ去られた。
北朝鮮工作員に韓国事情を教育する「教官」として働かされていたと聞かされたが、詳しいことは
何もわからなかった。いつしか忘れ去られつつあった英南さんに改めて注目が集まったのは、めぐみさんの夫と同一人物である可能性が高いと指摘された昨年に
なってからだ。
日本政府の担当者が2月16日、崔さんを訪ね、血液と毛髪を採取。DNA鑑定でめぐみさんの
娘、キム・ヘギョンさんと親子である可能性があるとされた。活発だった英南さんの面影と、めぐみさんの夫の姿が重なり合わない。
韓国だけでなく、日本にも拉致被害者がいることを最近、知った。突然、子どもを奪われた悲しさ
と悔しさ、不条理さは、横田滋さん夫妻ら日本の被害者家族も自分たちも同じだろうと思う。
◇
〈横田めぐみさん拉致問題〉 77年11月15日夕、新潟市立寄居中1年だった横田めぐみさん
(当時13)がバドミントンの部活動後に帰宅中、行方を絶った。97年2月、めぐみさんは北朝鮮に拉致された疑いがあることが、報道と国会質問で発覚し
た。
北朝鮮は否定していたが、02年9月17日の日朝首脳会談の際に拉致を認め謝罪したうえで、め
ぐみさんを含む8人は「死亡した」と伝え、娘キム・ヘギョンさん(18)の存在を伝えた。
北朝鮮側は02年9月に訪朝した政府調査団に対し、めぐみさんは「入院した後自殺した」と述べ
た。しかし死亡時期をめぐって説明が転々と
したうえ、04年11月に日朝実務者協議のため訪朝した政府代表団に対し、死亡確認書などの書類についても捏造(ねつぞう)したことを認めた。
このとき、夫のキム・チョルジュンと名乗る男性が「横田めぐみさんの遺骨」とされる骨を日本側に渡したが、日本政府は鑑定の結果「別人のDNAが検出さ
れた」として別人と断定。北朝鮮側はこれに反論し、遺骨の返還を求めている。
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