| ルルルル、、、、ルルルル、、、、、 『おい、テメーこの前、痛い目にあったのわすれたのかぁ!』 またあのマゾ亭主から電話がかかってきた きょうは勇気をふるって立ち向かおう 「どちらにおかけですか?こちらは墨田区役所、年金課でございますが、、、」 『バカいってんジャネェ〜! 本多このヤロー!!こんどはケツの穴から糸、とうして鼻毛で刺繍して泣いてやるからな!』 想像しただけで身の毛もよがるようなおどしだった、、、 「わかりました、すいません、、、すべて正直におこたえします、、、 じつはですねぇ、、、、」 わたしは、わたしが珍 馬七であること 本多宣伝係長がNASAから帰ってきてふとんをかぶって寝てること 奥さん、蒲田トシコさんの奇妙な電話番号の覚え方 『凛』のいくよさんと将来を誓いあったこと 最近、水虫で悩んでることなどなどをふるえる声で説明した ただ土屋課長と蒲田さんのことだけは恐ろしすぎてとうとう いえなかった、、、 わたしとマゾ亭主はともに大声で泣きあって電話を切った 2000-8-27-(日曜日) |
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| 『あら、バナナくんじゃない?』 駅の自動改札にはさまれてモタモタしてると反対側から出て来た女性に声を かけられた 『あらー、何年ぶりかしら!』 こんなお金持ち風の上品な女性に、、、 「ア〜〜、もしかして、ユリちゃん、、、??」 『そ〜、お久し振りねぇ、お元気ィ?なつかしいわぁ!』 なんと高校時代のわたしのカノジョだった白川百合子さんだった わたしも長い人生2、3度はカノジョがいたこともある、、、 百合子さんとは," 害虫にも三分の魂を考える会 "で知り合った ひと夏、週に一度のデートを目黒の " 寄生虫博物館 "ですごし、その夏の終わりに 彼女は、お父さんの転勤でジンバブエへいってしまった たとえ、一時でもわたしにカノジョができて、しかもそのコが広尾の有名ミッション・ スクールに通ってるお嬢様だったことで学校中の話題になった 『これ、わたしのムスメのミキミ、ご挨拶して・・・ こちら、マミィのハイ・スクールの頃のボーイ・フレンドでバナナさんよ』 『コンニチワ……』 「はじめまして、、、バナナです」 見上げてしまった、、、2mちかくありそうな背の高い浅黒い若い女の子が 立っていた、、、 クリクリした瞳が浅黒い膚によく似合い、まるでルイ・アームストロングが トランペットを吹いている顔のようだ、、、 その瞳でまじまじとながめられた こういう事をいうと叱られそうだがこういう人は表情が読めない時がある、、、 『ワタシ………ミ…キミで………す ハメジマ…シタ』 『ねっ、ミキミ、バナナくんに似てるでしょう、うふふ』 百合子さんはそう言うが、わたしには、共通点のかけらさえ見えない 『もしかしたら、バナナくんの子供かもよぉ』 どうしてプラスチック・ラブだったわたしたちに、、、 百合子さんは今、ボランティアで " ツエツエバエを保護する運動 "を国連をつうじて やってるらしい むすめのミキミちゃんはやはり広尾の有名ミッション・スクールに通ってるとのこと 連絡先を教えてくれたので、わたしも名刺を渡しておいた ここのところのクレーム・ブームでわたしの仕事は3倍にふえた 社長はいつテレビでやり玉にあげられるかヒヤヒヤしてるがクレーム処理班に 人員増強の気配はない 疲れて会社から帰ろうとした時、玄関の前にミキミちゃんが立っていた 『パ…パパ………ミ…キミ…………キタ……………………』 |
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| 2000-8-28(月曜日) | |||||||||||
| この不思議なミキミちゃんは ずっとわたしにくっついて来た 言語不明瞭なため会話はほとんど噛み合わない おまけに馴れ馴れしく腕を組んでくる 何色にしても若い女のコに腕を組まれるのは名誉なことだが エイリアンのFBIに連行される地球人に見えるにちがいない、、、 すこしトロイのか、ミキミちゃんはよく頭をぶつける 2m 近いからしょうがないのだろうが学習能力がないようだ ときどき、ゴン、ゴンという音を聞きながらとりあえず喫茶店にはいる ことにした 『ミ…キミ……コーヒー人……・・・ バッ…クス スター……ダイキス……………ワァー…イ』 「そーおぉ、よかったねぇ、、、、ところで、どうしておじさんのとこ 来たの? なにか用ぉ? おかあさんに何かたのまれたの?」 『ミ…キミ……… パパ………ダ…ダ…ダイキス……… アッホー…アッホー…ウッホ…ウホ …』 そういいながらアイス・コーヒーをいっきに3杯のんだ そして 『ミ…キミ……オヒマ…イラッシャル…ダイキス……パパ 』 わたしはにはよく理解できないがわたしをパパだと思ってるらしい 鳥のヒナがはじめて目にしたものを親だと思い込む話は聞いたことが あるが、これはいったい、、、 ミキミちゃんはうれしそうに頭を左右にふっている 3時間がたった、、、 あいかわらず会話らしことはできないまま、彼女はまだ頭を振り子のように ふっている、、、 これからどうしよう、、、、 2000-8-29(火曜日) |
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| みなさんには黙っていましたが、先日、わたしは今までのフロアーから一階の 保安室裏にデスクを移動させられました 辞令が出た日のことです 入り口に保安係の岡さんの机、つい立てがあって、その奥の薄暗い一角に ネズミ色の変色した机、そこがわたしの仕事場です 備品はダイヤル式の直通電話だけ、、、 クレーム処理にかかって来た電話は他の誰もとらずにすむということです 社内でのわたしへの用事は岡さんにとりついでもらいます もともと、期待されてる社員でもないし、文句のいえないわたしは 順調にリストラへの階段を一歩づつ確実にのぼっているようです 保安係の岡さんはもう70才ちかくの人ですがいつも怒鳴っています 水をまいたあとをよけて通らないと怒鳴る 女子社員を○○ちゃん、と呼ぶと怒鳴る 大きな声で話すと大声で怒鳴る 今日は犬のウンチが落ちてたとそこいら中で怒鳴ってました 社員は陰で " 真ヒルの保安官 "と呼んでいます 真ヒルの保安官も、奥さんから電話がかかってくると、ビクビク震えながら 答えています、、、 人にはいろんな事情があるんですね、、、、 わたしがここへ来てから岡さんは、驚く程優しく接してくれます よほどわたしに同情してくれてるのでしょう、、、 わたしがこっそり持ち込んだアイ・ブックにも目をつぶってくれてます このアイ・ブックは、 " 春のお客さまキャンペーン " で出したものですが 初期不良で返品になり、あわてて新品を送り返した時にあまった物です 全員、クレーム関係のことは関わりたくないのか、アイブックが保証で 修理が終わった頃にはこの件の事は忘れてるようでした わたしがこのひと月、毎日更新できるのはこういう訳なんです、、、 幸い、わたしに会いにくる人はひとりもいませんから |
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| 2000-8-30(水曜日) | |||||||||||
| 『珍さ〜ん、お客さんだよぉ〜』 真ヒルの保安官、岡さんの後ろにミキミちゃんが立っていた おととい、喫茶店から急にいなくなったので心配してさんざん捜しまわり、 一時間後に家へ電話したらちゃんと戻っていた、、、 『ミ…キミ……キレイ…カオ…キタ………』 ミキミちゃんの分厚いクチビルは真っ赤に3倍にはれていた おまけに、ほっぺたは不二家のペコちゃんも真っ青なほどまんまるのピンク色だ しかし、それらを目立たなくしていたのは頭のてっぺんにとまってる黄色い バカでかいキラキラ光るチョウチョだった 『ミ…キミ… オカ……イ……モノ… バン…ザイ… ハナ…ゲ…モリ… パパ……オカネ… 』 「なに?なに?大きく息を吸ってちゃんとはなしてごらん」 『はぁ〜 オ…カ…ネ…はぁ〜 はぁ〜 ハ…ナ…ゲ…@~%"\*』 岡さんが驚いて飛びあがったはずみでお茶をこぼし、熱いお茶で飛び跳ねて壁で 頭を打ち、濡れた床にすべって顔から倒れたまま動かなくなった、、、 「なに?ミキミちゃん、お金払ってこなかったの?」 『ミ…キミ… オカ…ネ… ナ…イ………』 まだ、4時だったが、わたしはこっそりミキミちゃんを連れて表参道のチョウチョの お店にあやまりに行く事にした、、、 「あのぅ、すみません、、、ちょっと、、、」と入っていくと 店員が深々とおじぎをして、 『ようこそいらっしゃいました こちらへどうぞ』 と、一番奥の部屋まで案内された そこは鏡だけが置いてあるだだっぴろい部屋だった、、、 どうしよう、、、もうばれてる、、、 こんな高級そうなお店、返しただけで許してくれるだろうか、、、、 わたしの足はさっきから小刻みに震えている 当のミキミちゃんは鏡に向かってポーズをとってあそんでいる そこへドレスシャツを着た中年の男性が腰をふりながら入って来た、、、 『いらっしゃーいませませ、 まぁー。よーくお似合いですわ、王女様ぁ』 2000-8-31(木曜日) |
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| ミキミちゃんは王女様だった 百合子さんに聞いたところミキミちゃんのお父さんは、アフリカの奥地の 小さな部族の酋長だったらしいが、そこから金山が発見されて建国し 王様になったらしい ミキミちゃんに聞くと王様は 『キ…トウシ……ビョ…キ ナ…オス…イタイ 』 ということだった、、、 なにはともあれ、チョウチョのお店の " マーネェジャー " という方に お紅茶とナントカというぐちょぐちょしたお菓子をいただいて帰った 支払いは本国から送られてくるそうだ " マーネェジャー " は帰るまでずっとミキミちゃんをほめっぱなしだった ミキミちゃんは渋谷で消防車に着いて行ったままもどってこなかった、、、 岡さんのおでこの真ん中には富士山が6合目までそびえたっていたが 岡さんはちっとも痛くないという きっとお家で特殊なトレーニングでもしてるのだろう、、、 本多宣伝係長は駅前の噴水で夏の終わりを楽しんでいた |
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| 2000-9-1(金曜日) | |||||||||||
| 『もしもし、うち、保安係の岡の家内のナナコいいますねんけど、 珍はんどすやろか?』 岡さんの奥さんから電話がかかってきた 『なんやこの度は、えらい目にあわはりまして、災難どしたなぁ、 いえ、ウチのが、おでこの真ん中にえろうリッパなタンコブを作って来たもんやから、 聞いたんですけど、珍はん、30人のヤクザはんにからまれたんですってなぁ、 若いおんなの人もご一緒やったとか・・・ ウチのは、恥ずかしがってよういわんかったんですのよ、お助けした事・・・ でもやっと、 " こんな事は人にいうもんじゃない!" って・・・ それで、うちも納得したんですワァ、それまで恥ずかしい話、シャツについてた 口紅・・・こう、カァーっと来てたんですけどなァ、 " アンタ、もし浮気やったらうちの商品みんなアンタの仏壇になるでぇ" って・・・ いや、うち仏具屋ですよってに・・・いやぁ〜ハズカシぃ・・・ まぁ、御無事でなにより、ほなぁ、またよろしゅう 』 そーいえば昨日、昼休みに岡さん、キャバレー" カメハメハ " の話してたっけ、、、 2000-9-2(土曜日) |
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| 無情商店街をぶらついていたら、メリーゴーランド・レコード店の親子漫才師が 手を振りながら寄ってきた 名物親子は昔からおかしな夢を追っている 当人達はいたって真面目なんだが、行動のおかしさからこの界隈ではそう呼ばれているのだ サーカス団結成、宝くじを当選させる機械の特許出願、無情商店街ブラジル総移転 計画、糸電話ケーブル株式会社、アンパンマン虎の穴、、、 数えあげたらきりがない、みんなこの親子が本気で考えたことだ 『バナちゃん、今度、今度、今度ね・・・・』 と息子が息をきらしながら、 『今度、今度・・・そうなんだよ』 まだ、何もいってない、、、 『あっ、そうだ!今度ね、父ちゃんと劇団つくるんだぁ!』 たしか息子は今年、35、、、、 『いったっけ、いったけ?今度ね、父ちゃんと・・なんだよ、でね、バナちゃん 踊って!おんなのコがね、オッパイのおおきなオンナのコがね、行方不明!』 そりゃ、大変だ、、、 『やっぱりね、今度ね・・・父ちゃ〜ん、何だっヶ?』 かいつまんでいうと、わたしに仲間になれと言う事のようだ、、、 『やっぱし、今度ね、ディスコで、今度ね、お祭り〜!』 そういうとホウキに跨がって、手綱を引いて走り去っていった 馬は親子、2頭立てだった、、、 2000-9-3(日曜日) |
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| 『バナちゃ〜ん、!ここ、ここ!! 』 公園のベンチのまわりをメリーゴーランドが回っていた 先頭は笑気ガスを吸った馬、、、 その後を金歯をキラキラ光らせて笑いながらヨロヨロと ついていく老馬、、、 そして最後尾に茶色いたてがみを振り乱して、踊りながら走る牝馬がいた 『バナちゃん、バナちゃん・・・今度ね、今度ね・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・そーだ、も、一回走ろう!』 会社帰りのわたしは,タマピッチで呼び出された 『バナちゃん、今度ね、オッパイの先生、・・・あれっ? ちがった、先生のオッパイ!・・・あれれぇ〜?・・・どっかちがう・・・ あっ、そーだ! 今度ね・・・・先生がオッパイしてくれるの!・・・・ ちがう、ちがう!・・・・どこがちがうんだろう????、、、今度ね、、、、 次が・・・・・あ〜、わかったぁ〜!!・・・・今度ね・・・・今度ね・・・ 父ちゃん、たすけてっ!!』 父ちゃんは相変わらずニコニコしてる 『バナちゃんも一緒にオケイコしよ!、、、思い出したぁ! このオッパイが先生!!・・・そーだぁ・・・今度こそ分かったぞぅ!』 オッパイのおおきなミルクル先生の指導は深夜まで続いた フラダンスとコサックダンスが融合したような素敵なダンスだった、、、 2000-9-4(月曜日) |
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| 駅前無情商店街の一番奥のあたり 外国の方が大勢で接待係をやってらっしゃるキャバレー " カメハメハ " の前で 4〜5人の南方系の女性が、お客さんを店内勧誘営業業務をしてらっしゃった、、、 『ハイハイ、社っ長サン、今日モゲンキ!儲カル、使ウ、オンナ、キレイ! アナタ、モテモテ、明日モ元気!』 一番前で胸元からオシリを出してるのは、昨夜のミルクル先生だった、、、 |
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| 2000-9-5(火曜日) | |||||||||||
| 本多宣伝係長が窓から飛び下りた ピンクのテーブルクロスを首に巻き 『40=J`%”52ポン$`0うg)ウRQ#B〜〜〜!!』 と叫びながら、、、 保安室のタタミのうえで3時間、イビキをかいて寝たあとまた 『()0(GH#&DG#ckじゅ8う3¥¥ー〜〜〜』 と叫びながら飛び去っていった、、、 飛び下りたのが二階で良かったのか悪かったのか、、、 2000-9-6(水曜日) |
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| ルルルル・・・・ ルルルルル・・・・・ 『もしもし、岡の家内のナナコですけど・・・ バナナはん、あんた、あのハナシ・・・ウソやおまへんか? ガッチャン・・・』 わたしの背筋に冷ややかなものが走った、、、、 2000-9-7(木曜日) |
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| 保安係の岡さんが眼帯に三角巾、 ちょっと、足をひきずりながら出勤してきた、、、 『いや〜、ネコの散歩の途中で転んじゃって・・・』 富士山のとなりにチョモランマが威張ってそびえたっていた 2000-9-8(金曜日) |
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