8P/登場した人々/9P/10P
『たのも〜 たのも〜 たのも〜
元気の出せる秘薬 たのもぉ〜』

親子漫才師の父ちゃんがバナナ堂漢方製剤の店先で杖を振り回している
3回まわして腰をふり、また3回まわして腰をゆする、、、

何の儀式だろう、、、

『かっかっかっ、今がカンジンちょ〜の助ぇ〜 たのもぉ〜』

父ちゃんは次にズボンをヒザまでおろした
そして持ってた紙を巻き物をひろげるごとく顔の前に差し出し
『これが目にはいらぬかぁ〜 この店に至急の用がごじゃる〜』
紙は超ピンクのチラシだった、、、

5分後、ずっと閉ざされてた薬局の裏口がほんのわずか開き
父ちゃんはずり落ちたズボンを引きずりながら、店内に消えていった

あそこには特別の秘密があるらしい、、、
2000-10-28(土曜日)
メリーゴーランド・レコード店の前に救急車がとまっていた
うつぶせに寝かされた父ちゃんが運び出されて来た、、、
父ちゃんは天を仰ぎながら、ヨダレをこぼしていた

『どうぢゃん・・ボグにないじょで びるぐるぜんぜいのドゴ いぐがらだぁ・・・』
バカ息子がタンカのあとを泣きながらついて行った


夕方親子は戻り、いつもどうり店先でかくれんぼをしていた
父ちゃんの頬が夕日に照らされ、ピンク色に輝いていた


          2000-10-29(日曜日)
通勤電車の中で『凛』のいくよさんを見た
外人のハンサムな男性と腕を組んでいた、、、

もう恋はしない、、、心に誓った、、、


          2000+10-30(月曜日)
今日も1日何も手につかなかった、、、


          2000+10-31(火曜日ハロウィン)
枯れ葉が1枚、窓からヒラヒラと舞い込んできた
気がつくと11月、、、
制服のように同じ服を着つづけるわたし、、、

この時期になるとよく行く取り引き先の会社がある
と、いっても営業ではなくお届けものをするだけなのだが
時々,初対面の人がいて、初対面にもかかわらず
『あぁ、陳さんですね』
と挨拶される、、、そして必ず、
『ふふふ、、、』
と下から上までうなづきながら眺められるのだ、、、

最近ではもう気にならない、、、
挨拶されるだけ、うちの会社よりましなのだから、、、


          2000-11-1(水曜日)
スーパーマンになりたい!
マントをはおって、筋骨隆々、、、
子供の頃から、いぢめられるたびにそう思って想像した

そして今日わたしは、大活躍した
6畳のタタミの間で深夜ひとり、、、


           2000-11-2(木曜日)
『バナちゃん、バナちゃん、ココ撮ってぇ〜!!』
せっかくの旗日、またもやバカ息子に奪われてしまった

『バナちゃん、オシリ!オシリぃ〜!
おしりがプリンプリンで独立戦争〜!』

バカ息子の目が1点に集中して血走っている

『バナちゃん、バナちゃん・・・オシリってど〜してオリンピックでないのぉ?
バトンでタッチでゴール1着ぅ〜!!』

火をまわす女が踊った、、、バカ息子もフレームの外で舞いあがった、、、

女はゆっちゃん
和式トイレダンスがなまめかしく、スタイリッシュ
アッキンも8mmビデオをもって来て大撮影会になった

ゆっちゃんが火の舞をオドル
息子が舞う
アッキンはまた、はなぢを吹いた

一同はユラユラゆれながら右へ左へゆっちゃんについていく、、、

ドボン  ドボン  ドボン
3秒おきに冷たい多摩川へと落ちていった、、、


火遊びはオネショの原因と身をもって悟った
2000-11-3(金曜日)
-わたしの悩みごと-

よく悩むんです、、、
さぁお風呂に入ろうと思った時、しばらくすると便意をもよおしそうな気配
さぁて、、、
お風呂に入ったらお尻きれい
うんちをしたらお尻バっちい、、、
バっちいお尻、お風呂できれい
うんちはまだ来ない、、、


結局、どちらもできません、、、


           2000-11-4(土曜日)
ぶんちゃんから電話があった
お友達が「おんなのこ」を紹介してくれるらしい

なぜか、浮かないぶんちゃん、、、

『だってよぉ、オトコマエらしいんだもん・・・』


           2000-11-5(日曜日)
配送班の松っちゃんがお休みで、かわりに配達に行かされた
会社のライトバンには近づきたくなかったし、都内を走る勇気もない、、、
両手にダンボールの箱をぶらさげ、目黒まで行った

プリンセス・エデンというホテルの2階にあるエステチック・サロンが
配達先だった、、、

『いらっしゃいませ こちらへどうぞ』
白衣のおネエさんが出て来た
『お荷物、お預かりします』
わたしは商品を置きにきただけだと言おうとするが腕をつかまれどんどん奥へ
連れ込まれる、、、

『ハイ、こちらに着替えて横になってください』
熱いタオルで顔をふさがれうむを言わさず服をぬがされた

『今日は脱毛フルコースですね、動くと痛いですからジっとしていて下さいね』
あばれるわたしを押さえ付けるのは女子プロレスラーのような助手だった

『最近は男性の中にも毛を嫌がる人が多いですよねぇ』
、、、、、

わたしがどういう姿で外に出て来たか詳細は語りたくない、、、


            2000-11-6(月曜日)
わたしは会社でなるべく小さくなっている事にしている

にもかかわらず、保安室の岡さんが観光バスガイドよろしく
みんなをかわりバンコに連れて来る、、、

1日中、会社のなかで女子社員のヒソヒソ話しがこだましていた、、、

『ネェ ネェ 見たぁ?   ズルむけバナナぁ・・・』


            2000-11-7(火曜日)
本多宣伝係長にお昼ご飯にさそわれた
何となく嫌な予感がしたが断わり文句が出てこなかったのでしぶしぶついていった

本多宣伝係長は一点を見つめながらヒタヒタと歩いて行く、、
3歩ほど後ろからわたしはついて歩く、、、

3歩あるくと本多宣伝係長は振り返り、また進み出す、、、
50mを100歩で歩くとすると33,3回振り返る

結局、会社の回りを3周して昼休みは終了した


『今日はアケロンズキフスキー星雲から追っ手がつけて来る・・ やめる!』
らしい、、、


2000-11-8(水曜日)
『おじさん・・・』

『おじさん・・・』
ドーナッツ屋さんで女子校生に声をかけられた
最近の子は恐いのでわたしは聞こえないふりをした

『おじさん・・   おじさん・・・』
女子高生はわたしの目の前に来た
わたしはなんとか災難から逃れるために、ありとあらゆる言い訳を用意するので
頭の中が混乱してきた、、、

『ねぇ、これ何て読むの?』
女子高生は雑誌のページを指差して差し出した
急に忘れてた呼吸を取り戻したわたしは、まだ震える手で雑誌を受け取った

「あっ、これはね、、 だいたん って読むの」
『それじゃ、ないよ!そのつぎ!!』
「、、、、????、、、羅漢像、、、?、、、らかん?、、、」
『ふ〜ん どーいうイミ?』
「、、、、、え〜、、、、、」
わたしの手は再び汗ばんできた、、、、殴られる、、、、

『まっ いいかぁ・・・  おじさんヒマ?』

顔から血の毛が引いて来た、、、、
きっと、ここでハナの下をのばしてトンでもない目にあわされるんだ、、
常識で考えてもわたしなんかが声をかけられる訳がない、、、

『うちの学校、変な宿題でるんだぁ・・・ 手伝って!』

何ともおとぎ話のような経験をしてしまった、、、
かえり道、わたしは足長おじさんになった気がしてひとりで幸せな気分になった
2000-11-9(木曜日)
プルルルル、、、プルルル、、、

『おじさん? あたし、マツミちゃん! きのうのぉ!』
一時間の間にすっかり気を許してしまったわたしは、聞かれるがまま
電話番号を教えてしまったのだ、、、
やはり、そういう事だった、、、
どうせならもっとお金持ちを選んでくれれば良かったのに、、、

『ちゃんと宿題、間にあったよ アリガト!』
半信半疑のわたしの頭の中には、血祭りにあわされた不幸な中年男性が出入りしていた

『でね、お礼のクッキー買ったんだけど・・・
おじさんち どこ?』

ガチャン!!
わたしは思わずふるえる手で電話を切った、、、
血祭りの中年とワイドショーに出てるスケベおやじが、ふたりで手をつないで
歩きはじめたから、、、

それでも夜中まで電話の前でもう一度かかってくるのをじっと待った、、、、


             2000-11-10(金曜日)
『バナちゃん! バナちゃん!!
お帽子ぃ!お帽子かっっっ買ったよ〜
でね、でね・・・ だからお帽子ぃ〜』

コーフンして顔を真っ赤にしたバカ息子が飛び込んできた

『あのね、お帽子に・・・う〜 う〜んと・・・
オッパイつけて・・・ ちがう・・・ オッパイはずして
まる「す」をいれて、おそろいペアルックぅ〜』


『だから・・・父ちゃんの分とぉ・・ アッキン・・・ あと・・
あと・・・ いっぱ〜い作ろ〜  
そんでもって、おぎにり持って、電車のって・・・
Tシャツとぉ ながいTシャツとぉ・・ Tシャツも作ろうよぉ!!』

両手いっぱい買って来た、、、

『バナちゃん、明日までぇ!!』
不思議なもんで神様はバカ息子に裁縫の才能だけお与えになった、、、


             2000-11-11(土曜日)
『アンジェラちゃんは、ちゃんと あったかにしてますかぁ〜? 』

『もしもし・・ お・じ・さんっ!   マ・ツ・ミ・でぇ〜す
今日はとっても気分がイイから 歌をうたいまぁ〜す
♪じゅうごぉ じゅうろ〜くぅ じゅうひ〜ちとぉ〜
わたし〜の じんせ〜い くぅ〜らかぁ〜ったぁ〜

ねぇねぇ、 知ってるでしょ?  おじさん・・
・・・おじさ〜ん 聞いてるぅ〜?
あたし、ひとりっこなんだぁ・・・

まだね、クッキーあるけど おなかすかしたゴマちゃんが欲しいっていうから
あげるね・・・
ボリボリボリ・・・ 
ゴマちゃん、 よろこんでまぁ〜す!

おじさん・・・
あたし・・・    パパもママもいないの・・・

ふたりはデート中でしたぁ〜Pプー プー プー プー  』


留守電はそこで切れていた、、、


              2000-11-12(日曜日)
ドーナッツ屋さんをのぞいてみた

2時間と14分48秒、、、
コーヒーはすっかり冷たくなった、、、

トボトボと歩いて帰るかえりみち
メリーゴーランド・レコード店からアコーディオンの音がもれていた
ドとミとファとシがぬけたドレミのうた、、、


              2000-11-13(月曜日)
AM6:00
アッキンと新宿で待ち合わせをした
親子漫才師の『おまつり』用ビデオを撮るために歌舞伎町へ行った

コマ劇場の前でおにいさんが舌をならしながら近づいてきた
『チッ チッ チッ チッ チッ !』

アッキンのおねぇちゃんが用意しておいてくれたハンケチが
アッキンの首からヒモでくくってぶらさがってる、、、

こわいおにいさんはハンケチを掴むと鼻をかんだ、、、
『ぶ〜ゥ ぶ〜ゥ ぶ〜ゥ』


ふたりでハンケチのお葬式をして、人生を語りながら駅へとむかった、、、
「はかないね、、、」
「うん・・・・」


             2000-11-14(火曜日)

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