
●彼注)とモスクワ放送交響楽団のショスタコーヴィチ交響曲全集 第1弾
社会体制の大いなる変革は、ロシアの演奏家たちにも少なからぬ影響をあたえた。変革以前と比べ、後にはあまり活動しなくなったような演奏家もいれば、逆に、変革後に急速に目立ってきた演奏家もいる。そのような状況の背後には、恐らく、他国からみていたのでは容易にわからないような、複雑に錯綜した状況があるのだろう。
そうした中にあって、ウラディーミル・フェドセーエフ(1932年生まれ)と、彼が率いるモスクワ放送交響楽団は、変革以前から旺盛な活動を行っていたけれど、その様子は今日になっても変わることがないといえるだろう。いや、このところの数年、キャニオン クラシックスとの関係が密接さを増し、我が国に相次いでレコーディングが紹介されているため、彼らの活動の勢いは、以前よりもさらに活発といえるのかもしれない。それもこれも、指揮者フェドセーエフの、たくましくて、安定感が良く、しかも、全体をバランス良く見渡すことのできる中味の濃い音楽性と、モスクワ放送交響楽団の、どのような要求に対しても幅広い対応力を示すことのできる優れたキャパシティとから生まれてきている結果なのだろう。
そのフェドセーエフ指揮によるクラシックにショスタコーヴィチの交響曲全集をレコーディングすることになった。ここにおける交響曲第1番と交響曲第15番とを収録した盤は、その第1弾に当たる。目下、活動期に入っている彼らによる大部の全集なので、その果敢なチャレンジ精神には、多くの音楽ファンの注目を集めることであろう。加えて、この全集は、全15曲の交響曲だけではなく、ショスタコーヴィチの、日頃はあまり知られていないような管弦楽作品も適宜拾っていくという独自のコンセプトも持っている。その意味においても、今回のフェドセーエフとモスクワ放送交響楽団のコンビによる全集は、たいそう興味深い。
CD制作の都合上、本編を書いている段階では、筆者もまだ演奏内容は耳にしていない。だから、残念ながら演奏について触れることはできないけれど、これまでのフェドセーエフとモスクワ放送交響楽団の活動から判断して、さらに、今回の意欲的な企画からいっても、その出来ばえには大いに期待できるだろう。筆者もそれらを実際に聞くことができるのを、楽しみにしながら待っているところである。
著:吉井亜彦、発行者:発行者:ポニーキャニオン(キャニオン クラシックス)、CD番号:PCCL00351、ウラディーミル・フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団
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注)当然、ウラディーミル・フェドセーエフのこと