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大人のJAZZ Vol.42
「スイング〜モダンの名門ビッグ・バンド、
カウント・ベイシー

 ジャズ界でビッグ・バンド(BIG BAND)の全盛時代は1930年代スイング・ジャズ時代だった。
 1929年(昭和4年)の株価の大暴落に端を発した大恐慌で不景気に喘いでいた頃、アメリカ(America)の音楽シーンはスイート・ミュージックが主流だった。甘美なメロディーやハーモニーが荒んだ心を癒してくれたからだろう。今で言うところの癒し系の音楽だったわけだ。
 でもフランクリン・ルーズベルト大統領になり、ニューディール政策を打ち出すと、徐々に景気は上向き、活力が生まれ始めた。世相が明るくなると音楽も活気溢れる楽しい音楽が受け入れられるようになった。その音楽がスイング・ジャズだった。
 当時はダンスの伴奏用音楽で、バンド名でダンス・ホールをいっぱいにし、バンドが自分のラジオ番組を持つほどの人気を博していた。この頃の音楽シーンはスイング・ジャズイコール・ポピュラーといえて、ジャズ界のスターはそのままアメリカン・ミュージックのスターだったわけだ。人気スターは白人中心で、アーティ・ショートミー・ドーシーといったところは映画スター並の人気を誇っていた。
 また、当時はジャズ・バンドダンス・バンドの区別ははっきりとしていなかった。この差が生まれてきたのは、新しいサウンドを求めるあまり、単なるダンスの伴奏用音楽から鑑賞用音楽の正確を強めていったためだ。この変化の要因はスター・プレーヤーの名人芸的なソロの存在が大きいが、各バンドが雇っていたお抱え歌手も無視できない。フランク・シナトラドリス・デイなどバンドのお抱え歌手時代に人気が出て、一本立ちした歌手たちだ。
 鑑賞用音楽としての性格を強めるにしたがって、バンドの力量やスタイルが問われるようになった。玉石混合の観のあったビッグ・バンド界は淘汰され、実力あるバンドが生き残ることになった。ジャズ・バンドダンス・バンドスイート・バンドといった感じに別れ、演奏場所や活動範囲も住み分けられるようになった。
 この頃に人気を高めてきたのが、カウント・ベイシーデューク・エリントンだった。スイング全盛の頃には白人バンドが主流だったが、激しいスイング感やアドリブの妙味に優れた黒人バンドが人気を高めたのは頷ける現象だった。
 スイング・ジャズの人気は1940年代まで続くわけだが、世相は徐々に第二次世界大戦に向かっていた。ビッグ・バンドは徐々に経営が悪化、またバンド・メンバーが徴兵に取られることもあって、大人数のバンドの存続は困難になり、バンド・メンバーによるスモール・コンボの演奏で急場を凌いだり解散するバンドも現われ始めた。
 日本(Japan)では「歌は世に連れ、世は歌に連れ」というが、アメリカ(America)では1930年〜1940年代の世相を偏見と差別の意味も含めて、「スイングは好景気をもたらしたが、ジャズは世相を暗くした」と言われたものだが、正しく音楽と世相が連動していた時代といえるだろう。
 カウント・ベイシー楽団は、まさにそんな時代に生まれ、人気を博したビッグ・バンドだ。
 1935年(昭和10年)ベニー・モーテン楽団が分列し、それがベイシー楽団の母体となったのが始まりだ。以後、スイング・ブームに乗って人気を博していくわけだが、1950年(昭和25年)に一度バンドを解散したことがある。理由は経済的なことからで、解散後はコンボ編成で暫く活動した。1952年(昭和27年)にビッグ・バンドを再編し、現在まで精力的な活動が続いている。
 このコンボ編成の時代を境に「オールド・ベイシー・バンド」と「ニュー・ベイシー・バンド」に区別される。「オールド・ベイシー・バンド」は譜面に強いメンバーが少なかったため、ベッド・アレンジやリフを多用し、名人芸のアドリブ・ソロをフューチャしたところに特徴があり、カンザス・シティ・スタイルの代表のように言われた。バック・クレイトンレスター・ヤングなどスイング時代の名手が顔を揃えていたのも特徴だ。
 かたや、「ニュー・ベイシー・バンド」はアーニー・ウィルキンスニール・ヘフティクレイシー・ジョーンズといった名アレンジャーを得て、アンサンブルの妙味とモダンなスイング感を聴かせるバンドに変身していた。同時にジャズ界はモダン・ジャズ(modern jazz)の時代になっていたため、スイング・スタイルからモダンなスタイルにイメージ・チェンジも達成。フランク・ウェスフランク・フォスターなどモダン・スタイルのスター・プレーヤーが去来した。
 現在、ベイシーは既に他界しているが、バンドはそのまま存続している。ビッグ・バンドはコソボ編成のジャズ・グループと違って、リーダーが他界しても、そのアレンジやバンドのスタイル・キャラクターは残り、スター・プレイヤーも残っているわけだからバンドの継続が可能なわけだ。
 とはいえ、バンド・リーダーが他界するとその人気や実力が低下するのは致し方のないところで、デューク・エリントングレン・ミラーカウント・ベイシーも一時はかつての輝きを失っていた。
 しかし、最近のベイシーエリントンの楽団は人気実力とも充実。過去の栄光におごねることなく、実力に裏付けされた華々しい活躍を続けている。

ジャズライター 藤嶋 要吾


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UPDATE:
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/6718/jazz/artist/countbasie.html


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