オオクワガタ大型個体作出計画オオクワガタを大きく育てるポイントなど

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国産オオクワガタの幼虫飼育について、大きなオオクワガタを羽化させるための菌糸ビン飼育におけるポイント、種親選択、割り出し時期、添加剤、温度管理などの考察(2001年版)

オオクワガタ大型固体作出を目的に累代繁殖飼育を続けてきて、そのデータを基にポイントをまとめてみました。あくまでも個人的な飼育方法ですので、「こんな事やってるんだ」くらいに思っててくださいね。
     75ミリオーバーの大型個体をコンスタントに作出したい80ミリのオオクワガタを自分で羽化させたいオオクワガタの累代飼育を始めてから、ずっと思っていました。当初、菌糸ビンは大変高価なものだったので、醗酵マット飼育がメインでした。しかし、結果は64ミリが最高でどうしても70ミリの壁を越えることは出来ませんでした。菌糸ビンも価格が下がりだした頃から徐々にマット飼育から菌糸ビン飼育へと切り替えていきました。エサ交換の度に、17gだ!19gだ!と驚きの連続でしたが菌糸ビン飼育の初年度は69ミリどまりで、またしても70ミリに届かず。それからは、菌糸ビン飼育に関する本を買い込んでは読み漁り自分なりに解釈、アレンジ、などして挑戦・実験を繰り返しました。しかし、どうしても75ミリオーバーが出ない、そんな時、ある雑誌に「確かに大型になる血統というのはありますね」という記事を見つけ、なるほどと思いました。いろんな産地の特徴を比べ、大型の個体が多い事や大顎の太さとどっしりとした体型が気に入り、佐賀県産オオクワガタを早速購入しました。筑後川流域で採集されたWILDのF1幼虫を5頭菌糸ビンで飼育し(当時、WF1幼虫はべらぼうに高かったです)羽化した成虫のサイズは♂75ミリ、74ミリ♀51ミリ、49ミリ、48ミリで、とうとう75ミリオーバーを作出できました。それにしても、♀の51ミリには驚きました。その後、♂75×♀51(A系統)・♂74×♀49(B系統)の2系統で累代繁殖をはじめそして、2001年とうとう79ミリ(B系統)を羽化させることが出来ました。

狙って出したい特大型

*** 種親の選定と採卵 ***
大型の個体が羽化してくる血統というのは、確かに存在すると思います。毎年幾つかのペアで累代繁殖していますが、75ミリオーバーが羽化してくる種親と、そうでないものとがはっきり分れます。

一般に、オオクワガタは♂の形が遺伝すると言われています。美形ではなく大きさを求めるのですから、♂親は縦長で大顎の湾曲が緩くすらっと伸びている個体を選びます。♀は48ミリ以上で出来る限り大きいもの、お尻が丸くて厚みのある個体がいいです。
♂よりも♀の種親を重要視しています。大きな♀は大きな卵を産みますし、卵が大きければ孵化する幼虫も大きいからです。

幼虫は、♀が初めて産卵した年のものより、2年目に産卵したものの方が大きくなる傾向があるようです。2年目に採卵する場合、必ずかぶと虫等の蛹を与えます。始めのうちは可哀相でなかなかできませんでしたが、慣れればなんとか。

産卵木は、天然のカワラ材がベスト。79ミリもこれを使いました。クヌギの産卵木を使用する時は、加水時に栄養を添加してやります。

幼虫を割り出す時、天然のカワラ材なら2令、クヌギの産卵木なら初令幼虫を選び
1本目の菌糸ビンへ投入します。
*** 幼虫を太らせる ***
菌糸ビンに栄養を添加

大きい成虫にする為には、幼虫の体重を増やさないといけません。種親が大型血統であれば、市販の菌糸ビンに入れておくだけでそこそこ大きくなりますがもうちょっと伸ばすには、プラスαが必要です。そこで、菌糸ビンに栄養を添加します。

◇特製菌糸ビン

菌糸ブロックに添加剤を混ぜて自作します。味の素、麦芽粉、小麦粉、フスマ、プロティンなどが一般的ですが、入れ過ぎるとかえってマイナスです。
  麦芽粉・・・1ブロックに対し20ccを入れ良く混ぜる
  味の素・・・1ブロックに対し10gを少量の水に溶かす
  熱帯魚用の液体ビタミン剤・・・味の素水に適量を混ぜて加える
  バター・・・入れないほうがいいかも(笑)

幼虫時の体重が同じでも、特製菌糸ビンで育ったものの方が少し大きな成虫になります。
しかし、拒食症で縮んだり、最悪の場合死亡したりしますので、危険です。
*** 飼育方法 ***
1本目は高温飼育(28℃)で2ヶ月半
2本目も特製菌糸ビン
素質の無いものはやめる

幼虫飼育に使用する菌糸ビンは、1本目と2本目に特製菌糸ビンを使います。
2本目に特製菌糸ビンを使用するとかなり危険ですので、普通の菌糸ビンでもいいです。

◇飼育温度と期間
  1本目・・・28〜32℃で高温飼育、2ヵ月半
  2本目・・・23〜25℃、3ヶ月
  3本目・・・23〜25℃で1ヶ月間、15〜18℃で1ヶ月間、23℃前後で1ヶ月間、計3ヶ月
  4本目・・・このビンで蛹化、羽化させるのがベスト
  7月中旬に割り出して1本目に投入すると具合がいいです。
  期間は目安ですので、菌糸の状態をみて適時交換します。


1本目、幼虫の若令期に高めの飼育温度で活動を活発にし、高栄養のエサをあたえ
3令中期までに出来るだけ大型にする。2ヶ月〜3ヶ月飼育して、
2本目に交換する時の体重が17g未満のものは、ほとんどが大型になる素質がないと
思いますので、2本目は普通の菌糸ビンにするかマット飼育に切り替えます。
*** 無事に羽化させる ***
一度15℃に
前蛹〜羽化時期は低温で

充分成熟したら、15℃に下げて一度「冬」を体感させます。
これは、一度「冬」を体感させることにより幼虫の体内時計に刺激
を与え、スムーズに蛹化・羽化させてやるためだそうです。
大型の幼虫によくおこる蛹化不全、いつまでたっても蛹にならない
通称”セミ幼虫”などの症状は、一年中快適な温度帯で飼育されて
いる幼虫の体内時計が狂ってしまい、蛹化するタイミングがつかめなく
なっているらしいから、だそうです。

前蛹〜羽化までの期間は、高温を避け、23℃くらいで飼育します。
この期間に温度が高すぎると、横幅が広く、大顎が太い湾曲の強い個体になりやすく
ディンプルも出やすくまります。

◇注意する事

必要以上に、動かさない、覗かない、乾燥させない、蒸らさない、音をたてないetc... 

あとは・・・祈ってください。

採卵&幼虫飼育を考える

*** 採卵 ***
採卵の時期
4月 ペアリング開始
5月 産卵木セット
6月 産卵木保管
7月 幼虫割り出し
7月 1本目菌糸ビンへ投入
種親が決定したら、次は採卵です。その前に、幼虫を産卵木から割り出して1本目の菌糸ビンに投入する時期についてですが、7月に1本目の菌糸ビンに投入すると、室温で28℃という温度になります。これから逆算して、ペアリング開始を4月にし、5月に産卵木をセット、6月から♀を取り出し保管し1ヶ月後の7月割り出すとちょうど良いです。
4月ペアリング開始
ペアリングの様子 ペアリング前に、♀を充分成熟させます。前年羽化し、一冬冬眠越冬させたもの、2年目の♀なら高タンパクゼリーか蛹を与え[エネルギー充填120%]にしておきます。最初は♂のみ単独飼育し、♂が環境に慣れてから♂の飼育ケース(写真は小ケース)に♀を入れ、2週間〜1ヶ月同居させます。交尾が確認できなくても、エサ皿の下で仲良くしていればたぶんOKです。エサは樹液ゼリーと高タンパクゼリーを与えます。温度は室温でかまいませんが、活性が低くエサを食べてないようなら、加温して25〜28℃にします。
5月産卵木のセット
産卵木 産卵木はカワラ材がベストですが、しいたけのホダ木をカットした市販のものでもかまいません。ホダ木を使用する場合はコナラよりクヌギの方が若干良いようです。多少芯があっても固めで雑菌の混入していない肉質の良いものを選んでください。カワラ材はそのまま加水しますが、ホダ木を使用するときは少し栄養を添加します。
衣装ケースで産卵木の加水 衣装ケースに産卵木を入れ、その上にもう一つ乗せます。上のケースに水を入れます(産卵木が浮いてこない様に、重しにする)
バケツに添加剤 バケツに水、味の素、麦芽を入れよく混ぜます(添加物は10%くらい)
添加剤を産卵木に追加 産卵木の入っているケース(下のほう)にバケツの水を入れいっぱいになるまで水を足します。産卵木が水を吸うと水位が下がるので、そのつど水だけを足してやります。
産卵木の日陰干し 5時間後取り出し、6時間ほど陰干しします。使用した添加物入りの水は捨てずにとっておきましょう。
産卵木にドリルで穴あけ 皮を剥き、直径2cmほどの穴をあけます。
飼育ケースに皮むき産卵木を2本セット 飼育ケースにマットを2〜3センチ敷き、2本並べて入れます。埋め込みマットが乾燥している場合は、産卵木を加水した時に使った添加物入りの水で加湿すると良いです。
3本目の産卵木をセット 横向きに並べた産卵木の一方に立てかけるようにして、3本目を置きます。
埋め込みマットで埋め込み 産卵木をマットで埋め込んで出来上がり。3本目の端は少し出しておきます(♀の産卵の手がかりになります)
交尾済みオオクワガタ♀を入れる 交尾済みの♀を入れます。エサは樹液ゼリーと高タンパクゼリーを入れます。あれば、カブトムシ等の蛹を入れておくと良いでしょう。
飼育ケースに蓋をする 新聞紙を挟んで蓋をします。
採卵の期間と温度
♀を入れてから約1ヶ月間、25〜28度で産卵させます。1ヶ月たったら♀を取り出し、乾燥させないようにして、あと1ヶ月ほど保管しておきます。1ヶ月後(♀を入れてから2ヶ月)幼虫の割出しです。
2度目の採卵
取り出したメスは一週間ほど栄養補給させ、(高タンパクゼリー、かぶと虫の蛹等を与える)新しい産卵セットケースにいれます。2回のセットで40〜50の幼虫がとれれば成功です。
注意する事
必要以上に、動かさない、覗かない、乾燥させない、蒸らさない、音をたてないetc...
その他
産卵終了後の♀はたっぷりと栄養補給させ休養させます。来年もまた頑張ってもらいましょう・・・
*** 幼虫飼育 ***
7月中旬割り出し・幼虫の回収
幼虫の割り出し、産卵木から さあいよいよ幼虫の割り出しです。前に「なるべく初令で投入した方が大きくなる」と書きましたが、ここ2年くらいのデータをみてみると2令で割り出して菌糸ビンに投入した方が良いようです。
菌糸ビン各種 割り出しの2週間くらい前に特製菌糸ビンを作っておきます。28℃で保管し、菌糸を充分回らせておいてください。ビンの大きさはいろいろありますが、ウチでは600cc(写真手前)のものを使っています。これは、幼虫がビンの中をあまり動き回らないようにして、強制的に居食いさせるためです。成功すれば80〜90日で25gオーバーの幼虫が出てきます。失敗の場合は60日くらいで菌糸を食い荒らして交換しないといけません。
9月下旬2本目に交換・・・(1本目投入から2ヶ月半経過)
幼虫の体重測定 1本目に2令幼虫を投入してから、80日。飼育温度は28〜30℃。2本目に交換します。♂で22gオーバーなら成功です。写真は佐賀産F3。
菌糸ビン各種 2本目の菌糸ビンも特製菌糸ビンを使います。この場合死亡率が高くなります。♂は2L、♀は1Lのビンに入れ換えます。飼育温度は23℃、この期間に25℃以上の温度が続くと蛹化してしまう事があるので注意してください。
12月下旬3本目に交換・・・(1本目投入から5ヶ月半経過)
幼虫の体重測定 2本目に幼虫を投入してから約3ヶ月、3本目に交換します。1本目であまり大きくなっていなくても2本目で伸びる個体もあります。28〜30gオーバーが出れば成功。この時点で20g前半以下の個体で、体色が黄色く皮が堅くなっているものは、3本目で蛹化してしまう可能性大。稀に3本目で伸びる個体もある。写真は31g
菌糸ビンに幼虫を入れる 3本目は普通の菌糸ビンを使います。自分で手詰めしたものよりも、堅詰めの機械詰めのポリ容器のものがいいです。菌糸は同じものにしてください。♂は2L、♀は1Lに入れ換え。飼育温度は23℃。
2月下旬4本目に交換・・・(1本目から7ヶ月半経過)
菌糸ビン内のオオクワガタ蛹 4本目も普通の菌糸ビンを使います。この頃には♀と小型(70ミリ以下)の♂は前蛹、蛹化または羽化しているものもあるので交換前に良く観察して、交換するかそのままにしておくか考えて、交換するのなら慎重に行ってください。
菌糸ビン交換 ♂は2L、♀は1Lに入れ換え。♂25g、♀13g未満の幼虫は25〜28℃に温度をあげて蛹化を促してやります。♂25g、♀13g以上の大型幼虫は23℃。
3月下旬低温飼育・・・(1本目から8ヶ月半経過)
温室内の菌糸ビン 4本目に交換してから1ヶ月し、幼虫が落ち着いてきたら温度を下げて一度冬を体感させてやります。この時期に冬というのも変な感じですが、室温で13〜20℃くらいにはなってきているはずですので温室からだして風通しの良い暗くて静かな所に置いておきます。心配ならサーモを18℃にセットしてそのまま温室の中でもかまいません。この時幼虫がすでに前蛹、蛹化の状態なら温度は23〜25℃で飼育してください。
4月下旬・・・(1本目から9ヶ月半経過)
温室内の菌糸ビン 4本目に交換してから2ヶ月、低温体感飼育をしてから1ヶ月、温度を少しずつ上げていきます。そのまま室温で置いておいてもいいですが、菌糸の劣化前に羽化させたいので温度を調整した方がいいでしょう。まずは20℃にして、1週間後23℃、その1週間後に25℃にします。
5月下旬・・・(1本目から10ヶ月半経過)
菌糸ビン 4本目に交換してから3ヶ月、♀はほとんどこの時点で蛹化、羽化していると思います。♂も前蛹、蛹化していると思いますがその気配の無い幼虫もいます。蛹化の気配の無い幼虫は5本目に交換して、交換の刺激で蛹化を促します。
6月中旬・・・(1本目から11ヶ月経過)
菌糸ビン ほとんどの幼虫が蛹化、羽化しているはずですが、菌糸ビンの側面に蛹室が見えていない場合幼虫が菌糸ビンの中でどういう状態でいるのかわからないので、慎重に掘っていきます。5本目に交換したら温度を25〜28℃にして蛹化を促します。この時期から室温が上がってきますから、今度はガラスビンが良いでしょう。
7月・・・あれから1年
菌糸ビン内の幼虫 それでも蛹化しない幼虫は温度を23℃にしてじっくり育てましょう。菌糸ビンは3ヶ月くらいで劣化してきますので、様子を見ながら羽化まで順次交換します。
幼虫飼育について
ここに書いた菌糸ビンの交換時期等はあくまでも一つの目安です。幼虫の成長や菌糸の食べ具合などで交換時期は様々です。ウチの場合、平均♀8ヶ月、♂10ヶ月で羽化するようです。

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