Wind Back Number

wind1 

bP〜100 (2002/01/22〜2002/6/15)

 

wind2 bP01〜200(2002/07/11〜2003/03/02)
wind3 bQ01〜300(2003/03/08〜2004/02/07)
wind4 bR01〜400(2004/02/08〜2004/11/27)

wind5 bS01〜500(2004/11/30〜2005/08/16)
wind6 bT01〜600(2005/08/17〜2006/02/18)
wind7 bU01〜700(2006/02/19〜2007/02/05)
wind8  bV01〜  (2007/02/06〜  ) 

100 (2002/6/15) 祝 決勝T進出

99 (2002/6/15) 続 東京が消える日


98(2002/6/12) 男のスポーツ,女のスポーツ その2

97(2002/6/9) 男のスポーツ,女のスポーツ


96(2002/6/5) アメリカが普通の国になった日

95(2002/6/1) なぜ,俊輔は代表に選ばれなかったのか


94 (2002/5/31) 東京が消える日

93 (2002/5/28) 福岡ダイエーホークスの最近の動き

92 (2002/5/23) 勝者の満足,敗者の不満

91(2002/5/22) 非日常世界の誘惑


90 (2002/5/18) 「勝敗の美学」の説明  その2

89 (2002/5/18) 「勝敗の美学」の説明  その1 中村敏雄氏著書「スポーツの風土」から

88 (2002/5/18) 西宮球場解体

87 (2002/5/15) スポーツのゲーム的側面,社会的側面

86 (2002/5/12) 明治時代,サッカーは贅沢だった

85 (2002/5/6) 引き分けと勝利至上主義と勝敗の美学

84 (2002/5/5) サッカーバブルの終焉 2

83 (2002/5/5) サッカーバブルの終焉 1

82 (2002/4/29) スポーツの普及 いくつかの仮説

81 (2002/4/28)ヨーロッパとアメリカのスポーツ


80 (2002/4/27) プロ野球ビジネスのジレンマ

79 (2002/4/25) ハマスタの正体

78 (2002/4/24) ギガキャッツ,プロ化断念

77 (2002/4/23) 新横浜市長と都市経営とプロ野球と


76 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 3

75 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 2

74 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 1

73 (2002/4/21) 日本ハム・ファイターズ札幌歓迎ムード

72 (2002/4/21) ヨーロッパ・サッカーの大リーグ化 2

71 (2002/4/21) ヨーロッパ・サッカーの大リーグ化 1

70 (2002/4/20) 大リーグはビジネスじゃない

69 (2002/4/18) プロ野球は商売なり


68 (2002/4/15) 日本ハムファイターズ札幌移転 最近の動き

67 (2002/4/14) セカンドキャリア JリーグとNPB


66 (2002/4/13) 歴史を紡ぐ者

65 (2002/4/13) プロ野球キャリアを生かせ

64 (2002/4/12) 高校野球よ,プロ野球差別をするな

63 (2002/4/12) 神様,仏様,稲尾様 ホークスが福岡に,ファイターズが札幌に

62 (2002/4/9) 社会人野球とプロ野球の選手異動

61 (2002/4/7) 株式会社読売巨人軍


60 (2002/04/06) 日本ハムファイターズ札幌移転 5

59 (2002/4/5) セカンド・キャリア

58 (2002/04/05) セカンド・チャンス MLBの場合

57 (2002/3/27) セカンド・チャンス

56 (2002/3/26) ファイターズとギガキャッツとポラリスと

55 (2002/03/24) スポーツと動物虐待とギャンブルと

54 (2002/3/23) 日本ハムファイターズ札幌移転 4

53 (2002/3/22) 日本ハムファイターズ札幌移転 3

52 (2002/3/21) 日本ハムファイターズ札幌移転 2

51 (2002/3/20) 日本ハムファイターズ札幌移転を検討


50 (2002/3/17) ドラフト制

49 (2002/3/16) ギガキャッツとトップスと

48 (2002/3/15) リーグ戦の考察 その2

47 (2002/3/14) プロスポーツの種類 その2

46 (2002/03/13) プロスポーツの種類

45 (2002/3/6) リーグ戦の考察

44 (2002/3/5) ポーツマスが川口を獲得したわけ

43 (2002/03/03) アイク生原氏と横浜の関わり その1

42 (2002/2/28) メディア化したスポーツ

41 (2002/2/26) プロとアマチュアの歴史

40 (2002/2/25) 二人のアイク

39 (2002/2/24) 一年中とシーズン制

38 (2002/2/23) ダイエー球団は救われたか 5

37 (2002/2/22) ダイエー球団は救われたか 4

36 (2002.2.21) 一年中プロ野球

35 (2002/2/21) メディアとスポーツとの関わり バドミントンとJリーグ

34 (2002/2/21) 続々 ダイエー球団は救われたか

33 (2002/2/20) 続 ダイエー球団は救われたか

32 (2002/2/20) ダイエー球団は救われたか

31 (2002/2/19) スピードアップ

30 (2002/2/18) 千葉マリン,結局人工芝

29 (2002/2/17) 交流戦

28 (2002/2/16) 野球における投手の意味

27 (2002/2/15) テーマは「ボール」 週べ2.25から抜粋

26(2002/2/14) プロ野球はリーグ戦

25(2002/2/13)  ファーストフードとテーブル席

24(2002/2/13) クリケットについて

23 (2002/2/12) 長時間享受 2

22 (2002/2/11) 長時間享受 1

21 (2002/2/10) メディア主導によるルール改正

20 (2002/2/9) 社会の一員

19 (2002/2/9) 140億円と30億円

18 (2002/2/8) バスケットボールクラブ運営会社

17 (2002/2/7)  いすゞ野球部の活動休止

16 (2002/2/6) ソフトボールとルール改正

15 (2002/2/5) ナベツネのプロ野球論に対する反論3 

14 (2002/2/4) ナベツネのプロ野球論に対する反論2

13 (2002/2/3) ナベツネのプロ野球論に対する反論

12 (2002/2/2) 高いフェンスとお弁当の関係

11 (2002/2/1) 野球ほど,観客席にボールが飛んでくる競技はない

bP0 (2002/01/31) 選手と観客の同じ所,違うところ

bX (2002/01/30) 選手と観客の分化

bW (2002/01/29) プロ野球協約36条の6存続

bV (2002/01/28) TBSベイスターズ誕生

bU (2002/01/27) 時事ネタ 世界ドラフトとナベツネ

bT (2002/01/26) 選手の一極集中

bS (2002/01/25) 国境を越えるトッププレーヤー

bR (2002/01/24) アメリカの市民だけが,トップ・プレーヤーのプレーを直に観ることが許されるのか

bQ (2002/01/23) 選手と観客は,クルマの両輪

bP (2002/01/22) 選手は,観客がいて初めてプロフェッショナル

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100 (2002/6/15) 祝 決勝T進出

ワールドカップ・サッカーも一次リーグが終わり今日から決勝トーナメントが始まります。開催国の日本と韓国はなんとともに決勝トーナメントに進出です。どちらも2勝1分けの無敗のまま,一次リーググループ1位で進出です。まずは,日本と韓国におめでとう,そしてありがとうのことばをつづります。

それに対し,今大会は優勝候補のフランス,アルゼンチン,ポルトガルが早々と一次リーグで敗退し,イタリアも辛うじての決勝トーナメント進出です。順当だったのはスペインとブラジル,波があったのがドイツ。スター軍団を誇る有力国が敗退又は苦戦している理由に,クラブ戦の疲労や韓国/日本の高温多湿の気候があると言われています。ワールドカップの直前まで,ヨーロッパでは国内リーグとチャンピンズ・リーグが行われ,代表選手はクラブ戦に忙殺され,代表としての調整と休養が不十分だったこと。今大会が梅雨を考慮して前回のフランス大会のときより1週間試合日程が早いことも調整と休養が不十分だった原因に挙げられています。これに,慣れない梅雨時の高温多湿の気候は選手を疲労させ,プレーに精彩を欠く結果となったと言われています。

もともとワールドカップは,ヨーロッパ・サッカーのシーズンオフに開かれる大会で,ヨーロッパ・サッカーの都合にあわせ梅雨時の日本と韓国で開催することになったものです。ですから,高温多湿の気候やクラブ戦の過密日程を理由に挙げられては困ります。

FIFAのご都合主義,金儲け主義も今大会は問題として浮かび上がりました。放映権で金儲けをたくらんだFIFAは,放映権をFIFAと関連のあるISLとキルヒに仲介させ各国から巨額の放映権料を巻き上げようとしましたが,そのISLとキルヒは本大会が始まる前に両者とも破産してしまいました。また,入場券の販売についてもFIFAは関連会社のイギリスのバイロム社一社にまかせたため,入場券が試合当日までに届かないとか,完売なのに入場券が余っているといった不手際が目立ちます。これは,放映権ビジネスの繁盛を背景にFIFAが金権化体質になったこと,これにクラブ側とFIFAとの確執がからんでいます。

とりあえず,18日のトルコ戦が楽しみです。でもこれも平日の3時半からですから,困った。

今回で,windも100になりました。区切りがいいので,ショート・コラム「wind」をひとまず終わりにします。だんだん文書量が長くなって「ショート」じゃなくなってきてしまったのも理由です。
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99 (2002/6/15) 続 東京が消える日

日本ハム球団の札幌(北海道)移転が決まりそうです。札幌に「準フランチャイズ構想」を持っていた西武球団が渋々承知したみたいです。「準フランチャイズ構想」というのは,プロ野球協約上の保護地域とはまったく関係のない話ですから,西武球団は反対する権利はなにもないわけですから当然の結果だと思います。6月18日のパ・リーグ理事会で承認後,7月の実行委員会,オーナー会議で所定の手続きを経て正式に決まるそうです。さらに記事によれば「日本ハムは移転への布石として03年に札幌で11試合を予定し,移転する04年には逆に東京ドームで5カード,計15試合の開催を計画。03年に札幌で20試合を予定していた西武は開催を大幅に縮小するとみられる」とのことです。

フランチャイズの移転とは,つまり地域権の及ぶ保護地域をそれまでの東京都から北海道に変更するというものです。そして,東京都を保護地域とする球団が二つになります。それが,「ヤクルト球団」と「よみうり」球団です。2003年まで北海道は,保護地域になっていません。ですから,日本ハム球団や西武球団が札幌で何試合しようと問題はありません。しかし,2004年になれば,北海道は日本ハム球団の保護地域となり他球団が勝手に試合を行うことができなくなります。逆に,2004年から日本ハム球団は,東京都内で,勝手に試合を行うことはできません。

ヤクルト球団と読売巨人軍(2002年7月「よみうり」から変更)の許可が必要になります。ヤクルト球団も読売巨人軍もセ・リーグの球団です。パ・リーグは,東京の保護地域を失うことになります。そして,東京はパ・リーグの球団を失うことになります。

bX4の復習になりますが,東京を保護地域とする「よみうり」球団は,7月から「読売巨人軍」になります。「よみうり」球団というのは正式には”株式会社よみうり”といい東京読売巨人軍以外に新聞社も経営していました。これが7月から”株式会社読売巨人軍”として独立したプロ球団として生まれ変わります。(予断ですがこのとき所有者の変更も伴うはずだけど,プロ野球の協約上正しい手続きはされるのでしょうか?)この「読売巨人軍」,東京読売巨人軍から「読売巨人軍」に変更なったことに伴い,ビジター用ユニホームの「TOKYO」を「YOMIURI」に変更するとのことです。このときの「読売巨人軍」新社長の答えが「巨人は東京だけじゃなく,全国にファンがいる。新会社にあたり,東京を取って読売にすることにした。」というものでした。

東京に残った球団のうちのひとつ,「読売巨人軍」は,東京を捨てようとしています。「読売巨人軍」にとって東京都という保護地域は必要ないそうです。「読売巨人軍」にとって東京は必要ありません。「読売巨人軍」は,全国的な人気を背景に,保護地域を無視(もちろん地域権を保有する球団の許可が必要としますが)して,福岡,大阪,札幌(札幌は2004年から許可が必要)の各ドームで試合を主催します。この試合の目的は親会社である読売新聞の販売拡張です。「読売巨人軍」の放映権は,グループ企業の日本テレビのために協約上,放映権は地域権から除外されています。もちろん,除外されているのは「読売巨人軍」の放映権だけというわけではなく,全球団の放映権ですが。

結局,東京に残された形になるのが東京音頭の「ヤクルト球団」です。
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98(2002/6/12) 男のスポーツ,女のスポーツ その2

97の補足から始めることにします。イギリスもアメリカと同じようにファースト・レディの国ですが,内実はちょっと違っているようです。イギリスの女性観というのは,女性は弱者で守るものという男性の優越感の裏返しであり,男尊女卑と紙一重です。現に,イギリスでは男性オンリーのクラブが今でも存在しています。ですから,スポーツにおいても,男はフットボール,女性は,ラウンダーズということになったものと思われます。ベースボールの祖先が女性のスポーツであったという話は,佐山和夫氏の「野球はなぜ人を夢中にさせるのか」(河出書房新社)を参照されたい。

次に,サッカーがアメリカで女性のスポーツとして見られている理由を説明します。サッカーは,手を使わないことにしたため,ルール上も,運用上も,密集でのプレーを避けるようになります。つまり,サッカーはスポーツとして確立するにともない,ノンコンタクト・ゲーム化の方向に向かっているのです。これが,サッカーの普及を促す結果となっています。女性サッカーの普及がそれです。アメリカでは,サッカーが男性のスポーツであるという既成概念がありませんから,近年サッカーは女性に人気を博しています。これに対し,イギリスでは,サッカーは男性のものであるという既成概念が強く,サッカーの本場にも関わらず,女性サッカーの普及は遅れています。このようなことは,柔道でも起こっています。柔道がジュードーとして国際化すると海外では,女性柔道が盛んになりましたが,日本の女性柔道は,海外からの逆輸入という形で普及しました。
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97(2002/6/9) 男のスポーツ,女のスポーツ

イギリスではベースボールは,女っぽいスポーツと思われているし,アメリカではサッカーは女のスポーツと思われています。ここで女性差別を論じるつもりはありませんが,ちょっと男のスポーツと女のスポーツということで見てみたいと思います。

フットボールというのはイギリスの民衆のまつりとして行われていたマス・フットボールが起源ですが,これは日本のケンカ御輿のように身体と身体のぶつかりあいですから,当然男たちの遊びでした。それが,パブリック・スクールのフットボールに進化してもパブリック・スクールは男子校ですからやっぱり男のスポーツには変わりありませんでした。ラグビーやサッカーは男のスポーツとして確立していったのです。フットボールは身体と身体のぶつかり合うコンタクト(接触)ゲームであり,暴力性と残虐性が内在したゲームなので当然の結果でした。近代スポーツとして完成後のサッカーは,イギリスの労働者階級の心を捉え,男のスポーツとして定着していきます。

一方,ベースボールは,19世紀中葉タウンボールを改良してできたゲームです。そしてこのタウンボールはイギリスのラウンダーズという遊びから発展したものです。ラウンダーズはイギリスでは子供や女性の遊びでした。ラウンダーズがノンコンタクト(非接触)・ゲームだったことが大きいと思われます。女性は身体のぶつかり合うフットボールではなく,接触プレーの少ないラウンダーズを通常嗜んだと思われます。

アメリカでこのラウンダーズの流れを汲むタウンボールが盛んだったのは,アメリカ開拓民にとって生活には家族の協力が不可欠であり,女性は大切なパートナーだったことが関係していると思われます。フロンティアの開拓には,男女の分業化などといっている暇はなく,家族全員協力して生活していかなければいけなかったのではないでしょうか。このため,男だけの荒々しいフットボールより,老若男女誰でも楽しめるラウンダーズ=タウンボールが好まれたと思われます。

ところが,19世紀中葉になるとアメリカでも都市が発展し,男女の分業化が都市部で起こります。カートライトが作った消防団も男だけの組織でした。この男性組織の健康促進を図るため考え出されたのがベースボールでした。ベースボールは,当初から男のスポーツとして考案されたのです。とはいっても女性の地位も強かったですから,無視するわけにもいかず,女性は当初からスペクテイターという立場にいました。つまり,最初からベースボールは観客を前提にしていたのです。プレーヤーは男性ですが,女性は観客としてゲームに参加したのです。

つづく。
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96(2002/6/5) アメリカが普通の国になった日

「ワールドカップサッカーでアメリカが強豪ポルトガルに勝った。

いま,世界中がワールカップで熱狂しているというのに,アメリカという国は,自国のプロリーグに熱狂している。サッカーは女性のスポーツとみなされる国である。そんなアメリカがポルトガルに勝った。アメリカはもともと移民の国だ。移民の母国はたいがいサッカーが盛んだ(とにかくアメリカよりは盛んだ)。その移民を中心に近年アメリカでもサッカーが盛んになっている。

サッカーが強いアメリカ。アメリカが普通の国になってしまう。つまらない。

世界中で野球を国技としているのはアメリカのほかは,日本とキューバ。キューバ以外の中南米の国も野球が盛んだけどアメリカやキューバの影響が大きい。韓国や台湾の野球は日本やアメリカの影響を受けている。アメリカ以外の国で野球が独自の発展を遂げた国は日本とキューバだけかも。野球をアメリカや日本,キューバでは国技だけど,世界で見たら単なるローカルスポーツだよね。アメリカの隣国カナダでもあの惨状だからね(モントリオール・エキスポズ)。

アメリカと日本とキューバ,共通しているのはへんてこりんな国という点かな。小さな親切,大きなお世話の国アメリカ。日本常識は,世界の非常識という日本。21世紀でも社会主義国をやっている国キューバ。へんてこりんな国だから野球盛んなのか。へんてこりんな国でしか野球は人気がでないのか。

へんてこりんな国なのにサッカーが強くなってしまう。へんてこりんな国が普通の国になってしまう。つまらいない。」
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95(2002/6/1) なぜ,俊輔は代表に選ばれなかったのか

サッカー・ワールドカップの日本代表に横浜F・マリノスの中村俊輔選手が選ばれませんでした。落選の理由はいろいろいわれているとおり,確かに監督の好みや中盤の選手層の厚さもあると思います。その中で一番の理由はフィジカル・コンタクトに弱いという点だと思います。

欧米のスポーツ,特にフットボールは,人間の持っている暴力性や残酷性をルールとペナルティによって従わせようというものです。ところが,完全にはこの暴力性と残酷性は否定されたわけではなく,従わせようという意思も弱い。フットボールがボールを使った集団格闘技といわれる所以あり,手を使わないサッカーにしてもこの傾向は顕著のようです。

ヨーロッパ・サッカーは,身体と身体のぶつかり合いの中で,いかにボールや自らの肉体をコントロールするかが課題であり,この課題を克服したものだけが,生き残れる世界ではないのでしょうか。中村俊輔にはこの点での逞しさが足りないようにトルシエ監督には見えたのかもしれません。私が,セリエAにいった中田ヒデをみて驚いたのはこの逞しさを身につけていたことです。ぶつかっても倒れない,常にボールをコントロールし続ける姿に驚いたことを覚えています。

フットボールがまだ民衆の祭であった19世紀初めまで,フットボールは,まさに人間の暴力性と残酷性の発露の場であり,日常の不満を忙殺させる場でした。19世紀も30年代を過ぎるとこの民衆のフットボールは,時の支配勢力であるブルジョアジーによって奪われパブリック・スクールで近代的スポーツとして確立していきます。民衆が再びフットボールを手にするのは19世紀半ば過ぎサッカーが誕生してからということになります。19世紀後半にはプロのサッカーも生まれ,民衆(労働者階級)のスポーツとして定着します。

近代スポーツは「する人」と「見る人」を分離します。民衆のフットボールであったころ「する人」と「見る人」の区別は曖昧で,飛び入りの参加も自由でした。これが近代スポーツのサッカーになると選手は11人と決められ,選手も専門化するに及んで「する人」と「見る人」は完全に分離されてしまいます。こうなると玉木正之氏によれば「見るだけの人」の欲求不満が募り,観客席での組織的なパフォーマンスが生まれるということになります。これが,アメリカではチア・リーダーであり,日本では応援団ということになります。

観客席での応援パフォーマンスといえば,サッカーではサポーターということになります。フットボールは本来,人間の持っている暴力性や残酷性をルールやペナルティによって克服しようとするものであり,本来的に暴力性や残酷性を内在しています。通常,「見る人」にとってこの暴力性や残酷性は,「応援」というパフォーマンスによって転化・消化されます。ところが,一部暴力そのものによって消化しようとする人達が近年現れてきました。それがフーリガンです。

昨日からサッカー・ワールドカップが始まりました。狩猟民族だったヨーロッパ人が作ったスポーツ,サッカーの持っている暴力性とそれを克服しようとする逞しさを見たいと思っています。この点が中村俊輔にも求められているのかも知れません。
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94 (2002/5/31) 東京が消える日

日本のプロ野球の中で唯一,会社法人ではなかったのが読売ジャイアンツで,読売ジャイアンツの正体は,株式会社よみうりのプロ野球興行組織である東京読売巨人軍でした。この東京読売巨人軍が,7月1日付けで株式会社読売巨人軍として独立することになりました。これについては61でも既に取り上げているところですが,この組織変更に伴い,ビジター用ユニホームから「TOKYO」の文字が消え「YOMIURI」となることが5月28日発表されました。大正力の正の遺産が消えようとしています。

フィラデルフィアやニューヨークといった巨大都市の影に隠れ,観客動員に悩んでいたボルチモア・オリオールズは,近年マーケットを地元メリーランド州以外の近隣諸州やワシントンDCに広げ,「脱ローカル化=広域市場狙い」という方針をとっています。このオリオールズ,88年にはユニホームからボルチモアの名前を一旦外してしまいました。ただし,92年には復活したそうですが。

大リーグでは,フランチャイズ制が敷かれ,球団は都市名を名乗っているのが普通ですが,この大リーグも,人件費高騰のため,マーケットの広域圏化が進んでいます。これに合わせ球団名も州名を名乗る球団が増加しています。90年代にエキスパンションで誕生した4球団の内3球団(コロラド,フロリダ,アリゾナ)は州名を名乗っていますし,残りの1球団もタンパベイという広域圏の地域名を名乗っています。

広域圏化の流れは,ローカル放映権とも密接な関係があります。大リーグの場合,全国放送の放映権は機構側が握っていますが,ローカル放送については個々の球団の収入になります。80年代以降,ケーブルテレビによる有料放送が普及し,このローカル放送の放映権料が球団の貴重に収入源となり,このローカル放映権市場の違いが,球団の財政格差,引いては成績・人気の格差に繋がっています。

話を,ジャイアンツの話に戻すと,朝日新聞の記事によれば,約50年続けた「東京」をなぜ捨てるかの問いに,堀川新社長は「巨人の前身は大日本野球倶楽部。日本は企業野球が出発になっている。しかも巨人は東京だけじゃなく,全国にファンがいる。新会社にあたり,東京を取って読売にすることにした。」と述べています。戦後,ジャイアンツは,親会社である読売新聞の全国紙化,日本テレビの全国ネット化により,マーケットを全国に広げました。ジャイアンツは,大リーグで今起きている広域圏化の波を,1950,60年代に既に経験し,全国区の球団になっています。日本では,全国放送の放映権も,個々の球団に属しているためです。

そして,ジャイアンツは,オリオールズがとった方法と同じように,通称としてですが,球団名を東京や読売ではなく,「巨人」を名乗っています。確かにこの論理でいえば,東京の文字を消しても可笑しくはありません。ただし,替わりの文字が「読売」ではなく「巨人」であればですが。全国にいるファンは「読売」ファンではなく「巨人」ファンなのですから。

今回の動きを「地域密着の道に逆行」と新聞では取り上げています。地域密着でいう地域とは,実は入場料収入に対するマーケットのことです。入場料収入やローカル放映権収入といった地域市場に依存している場合には,「地域密着」ということばが使えますが,全国放送の番組や全国紙の広告媒体として存在し全国をマーケットとしている球団には地域密着ということばは必要ありません。

とはいっても,今回の東京から読売への変更は,全国区云々より,読売至上主義者のナベツネさんの意向でしょう。ナベツネさんは実は,巨人を名乗っているのも気にくわないみたいですからね。ナベツネさんの権威の源泉は,読売新聞にあります。ナベツネさんは,読売の名が有名になればなるほど,自分の権威も上がると思っているみたいです。
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93(2002/5/28) 福岡ダイエーホークスの最近の動き

5月14日,15日日本プロ野球(NPB)初の台湾公式戦が台北の天母棒球場で行われ,観客席は立ち見が出るなど超満員となり,試合(14日)もホークスが松中のサヨナラホームランで決まるなど「台湾のファンが酔いしれた」そうです。ところがホークスの対戦相手だったオリックスの石毛監督は「選手に体調崩されては困る」と台湾での公式戦に不満を述べたという記事が新聞で伝えられました。

台湾での公式戦は,アジアからの来客を念頭においた高塚猛(こうつか・たけし)球団社長のアイデアによるものといわれています。この点だけをみれば,単なる一球団だけの話にとどまってしまいますが,プロ野球全体からみれば,NPBのアジア進出の一里塚とみることができ,台湾公式戦は大変重要な役割を持っています。石毛監督には,NPB全体を見る視点が欠けていたということになります。とはいっても,今回の台湾公式戦にリーグやNPBのサポートはなかったようであり,NPBにはアジア進出などという考えは微塵もないのかもしませんが。

20日になると,福岡市内のホテルで,高塚社長(55)のオーナー代行(球団社長兼任)就任の記者会見が開かれました。高塚新オーナー代行は「(球団は)中内ファミリーが私物化しているのではなく,企業として経営している。中内正の下で働くのが私の信念。取って代わってオーナーになるつもりは毛頭ない」と,オーナーとの一蓮托生を強調したそうです。とはいっても高塚オーナー代行の地位は着実に高まっています。

23日には,ダイエー本社の高木邦夫社長は,「福岡ダイエーホークスの中内正オーナー(42)が保有する40%の球団株式を本社へ無償提供することを再度,要請する意向を示し」ました。また,球団の身売りについては,「優勝セールができれば,お客様が増えるし大事にしたい。保有する60%の球団株式を売却する気は毛頭ございません」と「改めて明確に否定」しました。

こうみると中内オーナー追放の動きは,依然消えたわけではありません。ダイエー本社の赤字と創業者一族としての責任問題という構図は,まったく変わっていません。その中で台湾公式戦の成功とオーナー代行就任と,高塚球団オーナー代行(社長)はその影響力を増していることだけは事実です。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/apr/o20020419_100.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/may/o20020514_40.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/may/o20020520_50.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/may/o20020523_60.htm
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92 (2002/5/23) 勝者の満足,敗者の不満

プロ野球には,勝者がいれば,敗者がいます。NPB全12球団が1日試合をすれば,勝者は6球団,敗者も同じ6球団あります。勝者と敗者を分ける確率は5割です。これが優勝となると,リーグ戦の優勝者が各1球団,日本シリーズの覇者となると1球団だけです。そして,他のすべての球団が敗者となります。プロ野球というのは敗者の存在を前提に組み立てられているシステムです。(関連コラム45)

プロ野球もスポーツですから,各球団は勝利を目指し,優勝を目標にリーグ戦を戦い抜きます。しかし,すべての球団が勝者となるわけではありません。どんなに大金を投資して戦力を集めても,常に優勝できるとは限りません。試合レベルでも,勝者は半分だけであり,リーグ戦レベルになると優勝者のイスはひとつだけなのです。ところが,観客やファンは,球団に勝利を追い求めます。勝利がプロ野球の満足感を高めるからです。

勝利は,観客に満足を与えます。このため,通常,勝利は観客を増やす働きを持っています。逆に,敗戦は,観客に不満足感を与え,通常,観客を球場から遠ざける働きを持っています。しかし,プロ野球において,勝利と敗戦は裏腹であり,敗戦なくして勝利は存在しません。お金を出して試合を見に来た観客のうち,勝者を応援していた観客は満足を得てますが,敗者を応援していた観客は不満を抱えて家に帰ることになります。つまり,プロ野球というシステムは,勝敗だけでは,観客に100%の満足を当たえることが出来ない構造になっています。

この勝利の満足度は,勝利が続くに従って漸減していきます。勝って当たり前では,観客の満足度は低下し,勝つと思って見に来たのに負けたら,不満は倍増します。敗戦があるから勝利の満足度が高まるのです。

勝利は観客を惹きつけます。このため,プロ野球は,勝利を目指し,優勝を目指し,リーグ戦を戦います。しかし,プロ野球は敗者の存在を前提にしています。日本のプロ野球は,すべての球団で入場者が年間100万人を超え,全体では,2000万人を超える観客が集まります。勝利だけがプロ野球の魅力ではないはずです。勝利以外の魅力を引き出すこともプロ野球ビジネスの大きな仕事といっていいかもしれません。
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91(2002/5/22) 非日常世界の誘惑

スポーツは遊びです。そして,その多くは民衆の遊びを起源としています。そして,その多くは,お祭りと関係がありました。昔は,お祭りという形を通して遊びを体現してきたといえます。

お祭りというのは,祭りの日だけは,日常を忘れ,気を晴らそうという非日常の世界です。そこには日常的な金銭感覚は通じません。お祭りには,リオのカーニバルのように1年間の稼ぎをすべてつぎ込むという非日常的な行為が平気で行われます。非日常の世界であるお祭りでは,日常的な金銭感覚は鈍ってしまい,どうしても予算オーバー気味になります。そして,黒字が出たら,それはパーっと使ってしまう,ことになります。

近代スポーツも,この祭りの流れを汲んでいます。いまや,サッカーのワールドカップや近代オリンピックは,地球全体のお祭りになっています。オリンピックは,ロス五輪の成功以前は,儲からないものとされていました。また,サッカーワールドカップの放送権は,最近まで,サッカーの普及を名目に無料放送が前提とされ,公共放送に優先的に与えれていました。

プロ・スポーツというのは,スポーツというお祭りに人が集まるのを利用した商売です。見に来る観客は非日常の世界ですが,経営者にしたらそれは日常的な世界です。ところが,プロ・スポーツ経営者は,常に,非日常の世界に心を奪われる危険性にさらされています。経営者も時として,商売を度外視して,お祭りを楽しみたくなってしまうのです。

もちろん,非日常的な世界にいる観客は,商売とは考えず,プロスポーツというお祭りの最大の見せ場である優勝を要求します。優勝を味わえるのはお祭りの覇者だけに与えられる特権と栄誉です。この特権と栄誉を経営者も欲しくなるのです。こうして,経営者も観客に負けず劣らず,優勝したくなってしまいます。どんなことがあっても優勝したくなってしまうのです。

優勝するためには,優秀な選手を獲得する。金に糸目を付けず,戦力を補強する。当然,選手の人件費が増えます。商売としての採算は無視され,人件費が増えようがかまわず,補強は続けられます。そして,最後に収入が,人件費の増大に耐えきれず,プロスポーツという商売は,行き詰まりをみせます。プロスポーツはこういった危険性を常に持っているのです。

プロスポーツもまた,遊びですが,プロスポーツ・ビジネスはその遊びの場を提供するものです。しかし,プロスポーツ・ビジネスそれ自体が遊びと化してしまう虞を常にはらんでいます。
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90 (2002/5/18) 「勝敗の美学」の説明  その2

引き続き中村敏雄氏著書「スポーツの風土」からの引用です。

中村敏雄氏は,欧米の格闘技や格闘観のなかには,日本と違い,「人間が『自らの暴力の強大さ残酷さに苦し』み,それを『ルールによって一定の法則に従わせ』ようと悩み,努力してきた歴史がきざみこまれているとしても,しかもなお,暴力の発現が完全に否定されておらず,またその意思もお日本人にくらべれば弱いと言うことができ,それは・・・端的にはいまだピストルなどの銃砲の所持が広く認められている欧米の生活慣習のなかなどに見いだせる」としています。

さらに「日本でその形態を整え,また発展してきた勝負事のなかには,記述の「中押し」のような勝敗の決め方を持つものが少なからずあり,勝敗の行方が明確でないもの,あるいははっきりと勝敗を決め世ようとはしないものも少なくない。古くは蹴鞠がそうであり,歌合わせや香合わせなどにも,一応の判定基準はあるものの,今日のように勝敗の決定が明快ではない。」としています。

ところで「『中押し』とは,単純に考えれば,勝敗を争っている途中で,敗北を自己決定することであり,一方による戦闘行為の放棄を意味している。それが相手に対して礼を失しない程度のタイミングと作法を持ち,僅差の勝敗であってもなおそれを早く予測したものであればあるほど,謙虚さと表現と受けとめられるところにきわめて日本的な特徴がある。」

つまり,「日本の伝統的な勝負事における勝敗の争い方は,近代の欧米における・・・ような,徹底的でしかもときには暴力的でさえあるような争い方をするのではなく,勝者による敗者に対する優越を徹底的にはっきさせようとはしない,少なくとも敗者の側から戦闘行為の放棄があるかもしれないということを含みこみ,それを互いに認めあったなかで行われるものであるという特徴をもっているということである」としています。

さらに「視点を変えて言えば,このような配慮を持ち込むことによって,日本の勝負ごとは,競技者がとげとげしく不安定な相互関係に陥ることがなく,安定した秩序と温かい人間関係を保持しながら勝敗を争うことができると考えられてきたのであろうということである。さらにいえば,日本における競争は,勝者が敗者を支配したり,敗者が屈辱的な状態に追いこまれたりするような政治的意味を持たないということの確認の上で行われるものであり,したがってそこでは『勝敗』に対するむき出しの戦闘行為の表現が制限されると同時に,いわば安心して『勝敗の美学』の創造に専心できるという結果を生む。このような心理的状態のもとでは『敗者の美学』さえも生まれ,それが賞讃されるということもありうる。このように考えると,『中押し』ということが,少なくとも主観的に安定していると考えられていた社会のなかで,しかも上流・有閑階級の人々との間で,いいかえれば,むき出しの戦闘行為の表出を制限し合うことを了解し合った人々との間で,つくられた「遊び」の空間の作法として定着していったものであろうと推察することが可能である」としています。

そして以上の叙述には『中押し』の説明としては中村氏自身飛躍が少なからずあるとして,日本人がこのように「飼い慣らされた」思想信条の持ち主になった背景としてそれなりの歴史と風土があり,とくに儒学と刀狩りと検地がその主要な導力であったとしています。詳細は,中村敏雄氏の著書「スポーツの風土」(大修館書店)をお読みください。
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89 (2002/5/18) 「勝敗の美学」の説明 中村敏雄氏著書「スポーツの風土」から その1

bW5で述べた勝敗の美学について。勝敗の美学というのは平和な同質社会での競争観だと思います。処世術といってもいいかも知れない。勝敗の美学とはもちろん中村敏雄氏が著書「スポーツの風土」で述べたもので,囲碁の「中押し」勝ちを例に説明しています。中押し勝ちとは,一方が勝負の途中で他方の強さを認め,試合を放棄することにより得られる勝利を言います。勝負事であれば最後の最後まで徹底的に勝敗を争うべきはずですが,勝負の途中で勝負を放棄するという囲碁というのは徹底的に勝敗を争う意思が支配していないのではないかと中村氏は疑問を呈し,このような中押しという勝負の決め方が,囲碁だけでなく将棋その他の日本の伝統的な勝負事に多く見られることを指摘しています。

その上で「相手のミス・プレーにつけ込んで勝利を手中にすることが双方の求めている勝負であるとは受けとれないという考え方のあることを読みとることができ,下品な勝負,奥ゆかしさのない勝負を避けようという「勝敗の美学」の創造とでもいえるような伝統の存在を感じとることができる」としています。さらにこの「勝敗の美学」観のもとでは勝敗の争う方は「美的で淡泊であろうとする傾向が強い」とし,格闘技の相撲や柔道とレスリングやボクシングの違いを比較しています。前者は「一本勝負」(柔道)ことになっていますが,後者は「3分3ラウンド」(レスリング)であり,プロボクシングのチャンピョン戦になると15ラウンド闘うのが原則で,このように欧米のスポーツには日本的な意味の「勝敗の美学」よりも「徹底的に闘うことの美学」の方が重視されているとしています。つづく。
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88 (2002/5/18) 西宮球場解体

私が西宮球場を訪れたのは1度だけです。1984年10月18日か19日の阪急と広島の日本シリーズでした。出張の帰りに,立ち寄ったものです。当時は平日でも昼間に試合をしていました。最初国鉄の西宮駅に降りたのですが,駅前の殺風景には驚きました。関西は私鉄社会とは聞いていましたがあそこまでとは驚いた記憶があります。そのあととぼとぼと歩いて阪急西宮駅まで行くとすぐそこに西宮球場がありました。もちろん外野席に向かったのですが,スタンドの外に競輪のバンクが置いてあった見てショックでした。西宮球場ってやっぱり競輪をやっているんだ,ということを実感したのです。組み立て式のバンクなど見たことがなかったので興味が湧き覗き込んでしまいました。西宮球場は,競輪をやっているから不人気なんだということを聞いていたので,日本シリーズと競輪のバンクという取り合わせに妙に納得したものです。

阪急対広島の日本シリーズは,関東では見ることができない対戦カードですし,この組み合わせなら,当日でも簡単に入場できると思い,出張の帰りに立ち寄ることにしたのです。このため試合の途中からということになりましたが,球場に入っても,日本シリーズなのに観客の入りはちょっと寂しかったように記憶しています。試合内容はまったく覚えていません。ただ,外野席の屋根が競輪用と一目でわかる形状でついていたのが印象的でした。

西宮球場の解体が決まりました。競輪が今年の3月に廃止されたのが痛かったようです。大阪球場,平和台球場に続きプロ野球の歴史と記憶がまた消えていきます。
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87 (2002/5/15) スポーツのゲーム的側面,社会的側面

すべてのスポーツに共通することだが,スポーツは勝利を目指し,身体的技能を駆使して相争われる「ゲームあるいはレースついてのスポーツ」の側面(スポーツのゲーム的側面)と,そのゲームを遂行し,成り立たせている人間やその集団的仕組みである「共同体としてのスポーツ」の側面(スポーツの社会的側面)の二面に分けて考えることが必要である。スポーツの文化とは,したがってスポーツのゲームに関わる側面と,スポーツの社会的側面に関わるものと考える。

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以上,青弓社編集部編「こんなスポーツ中継は,いらない!」の中の「甲子園中継の断罪」(小椋博著)の引用です。スポーツをゲーム的側面と社会的側面に分けて考えることは,今後スポーツを理解する上で大いに役に立つのではないかと思いましたのでここで紹介させて頂きました。

スポーツのゲーム的側面は社会や文化に対し中立的(ニュートラル)だと考えられます。ルールと身体が支配するグラウンドは,非言語的世界であり,異文化・異言語の人々であっても簡単なルールさえ分かれば,ゲームとしてのスポーツを理解することは容易といえます。あの相撲でさえ世界選手権がありますし,大相撲には,アメリカ人・モンゴル人・ロシア人など外国人力士があふれています。ふつうスポーツが面白いとか楽しいとかいうのはこのゲームとしてのスポーツに魅了されてという人が大半でしょう。ところがスポーツが普及発展するためにはそのスポーツを取り巻く社会に受け入れられるか必要があります。社会が受け入れ(社会的受容)てくれなければ,スポーツはスポーツを行うための場所や時間を確保することは難しく,普及発展どころか消滅へと向かいます。このため,スポーツを普及発展させるためには,そのスポーツに社会性を身に付かせる必要があります。そのスポーツが,いかに社会に貢献できるものか,社会的に意義があるのかということです。

野球をゲーム的側面でみれば,野球はノンコンタクト・ゲーム(非接触型)で個人競技に近い団体競技という特徴をもっています。また,野球にとって,武士道や教育的意義は,野球が社会に受け入れてもらうためのツール(道具),ロジック(理論)として捉えることができます。
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86 (2002/5/12) 明治時代,サッカーは贅沢だった

ゴム工業が発達する以前,フットボール用のボールは,牛や豚の膀胱製の中空ボールを皮で被ったものでした。膀胱製ボールは,割れやすく貴重なものでした。このため練習用ボールには,革袋に布や羽毛を詰めたものが使用されていました。内袋が膀胱製のためボールは楕円球をしており,円球ではありませんでした。現在のラグビー・ボールとは大きさ,形状とも異なりますが,フットボール用のボールは楕円球が使われていました。ただし,サッカー系のフットボールは,小さめのボールを使用し,ラグビー校のボールより球形に近いものを使用していました。

ゴム製のボールは1862年イギリスの「リチャード・リンドンという人物が膀胱の代わりにゴム製の内袋を使った」(「フットボールの文化史」山本浩著,1998)こととされています。これにより球形のボールが容易に作ることが可能となり,フットボールのサッカーとラグビーへの分化(1863年サッカー誕生,1871年ラグビー誕生)に拍車がかかる一因となったと思われます。

しかしながら,膀胱製からゴム製への移行時期については,不明な点があります。膀胱製ボールについて著書「スポーツルール学への序章」(1995)で述べている中村敏雄氏は同書の中で「ボールの中袋が,いつ,どこで膀胱からゴム製品に変わったのかは,少なくとも今のところ筆者としては依然として不明のままで,詳しいことはわかっていない」としています。また,同書の中でアイルランドの「獣医のJ・Bダンロップがわが子のための空気入りタイヤを自作するのは1888年であり,このときにもまだチューブは製造されておらず,それから3年後の1891年12月アメリカもマサチューセッツ州で,J・ネイスミスが最初の試合をしたバスケットボールで使ったサッカーボールの中袋がゴム製の中袋であったとしたら,この1890年を挟む3年間に膀胱はゴム製品に変わったということなるが,果たしてこの推定は妥当であろうか。ゴム製中袋の最初の使用をつきとめることは,なかなか手強い問題なのである。」と述べています。

ところで,サッカーが日本に伝わったのは,比較的早く,明治6年(1873年)東京築地の海軍兵学校の教官イギリス海軍将校のアーチフォールド・ダグラス少佐とその部下によって伝えられたされています。しかし,その後の広がりはゆったりしたもので,日本人だけによる最初のチームは明治32年(1899年),日本人同士による最初の試合は明治40年(1907年)とされています。またプロチームの誕生となると1993年のJリーグの誕生まで待たねばなりません。これに対しベースボールは明治5年(1872年)日本に伝わったとされており,サッカーと伝来時期はほとんど変わらないことになります。ところが,明治11年(1878年)には日本人だけのチーム新橋アスレチック倶楽部ができ,19世紀中には日本各地に広がって行きました。1920年には日本初のプロ球団「日本運動協会」が生まれ,1936年にプロ・リーグが誕生しています。

この日本で,世界で一番普及しているサッカーではなく,なぜ世界的にはローカル・スポーツに過ぎないベースボールが野球のほうが盛んになったのかという疑問が残ります。この疑問に対する答えのひとつとしてサッカーボールの作成技術の後れが指摘されています。サッカーよりもベースボールが日本で明治期盛んになった理由として,東大名誉教授でJリーグ理事の浅見俊男氏は「明治期のサッカーボールの値段が野球のボールより高かったこと」をあげています。明治期のサッカーボールは「当時、サッカーボールは貴重品で、コルクに綿をまき、球状にしたものを動物の皮で包んで作ったといいます(神戸ウイングスタジアム大内達也総支配人)」。

明治期,膀胱製ボールでもゴム製ボールでもない詰め物製のボールを使用されていたことがわかりますが,それでもサッカーボールは非常に貴重品だったということです。また,詰め物製ボールは中空ではありませんから,弾みにくいのはもちろん,蹴っても遠くには飛びません。蹴って走り回るには相当の体力が必要だったのではないかと思われます。また,雨が降ると革製のボールは水を吸って「不愉快になるほど」重くなり,これも,サッカーの普及を遅らせた原因のひとつだといえます。明治期,サッカーボールは日本人にとって,貴重品のうえ非常に扱いにくいものであったということです。これがサッカーの普及を遅らせ,その後の野球人気との差に繋がったものと浅見俊男氏は分析しています。
http://www.sankei.co.jp/databox/Wcup/html/0202/0224side008.html

スポーツルール学への序章 中村敏雄 大修館書店
サッカーの社会学 高橋義雄 NHKブックス
新サッカーへの招待 大住良之 岩波書店
フットボールの文化史 山本浩 ちくま書房
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85 (2002/5/6) 引き分けと勝利至上主義と勝敗の美学

イギリス生まれの代表的スポーツ,サッカー,ラグビー,ホッケーには引き分けという制度があります。これに対しアメリカ生まれのベースボール,バスケットボール,バレーボール,アメリカンフットボールには引き分けがありません。イギリス生まれのスポーツに引き分けという制度があったのは,イギリスのスポーツが上流階級の社交の場として生まれた経緯から,勝敗よりもフェアに堂々と全力でプレーすることを重視していたからと思われます。これに対しアメリカのスポーツには引き分けがなく試合を延長してでも決着をつけようとします。これはアメリカの社会が競争社会で,スポーツにおいても勝利至上主義が求められたからといえます。そして,我が国では,相手のミスにつけ込んだ勝利は良しとせず,下品な勝負,奥ゆかしさのない勝負を避けようという「勝敗の美学」が存在することがあげられます。「勝敗の美学」が存在する中での争いは「美的で淡泊」になりやすくなります。(以上参考文献 「スポーツの風土」中村敏雄著,大修館書店)

ルール上も勝利至上主義をとるベースボールが,我が国で引き分けが存在するのはこの「勝敗の美学」観によるものではないでしょうか。ここまでに両者頑張ってきたわけだから引き分けでもいいではないかという「美的で淡泊」な勝敗観によるもののように思われます。

ところで,ベースボールおける勝率1位というリーグ戦の勝者を決めるルールは1884年ナショナル・リーグが採用し,19世紀末に既に確立したものです。引き分けがないわけですから勝率1位の球団が最多勝利者なのは当然です。勝率は,リーグ戦での順位争いを分かりやすくファンに明示するために考えられたものと思われます。引き分けがないから勝率1位=最多勝=優勝者なのですが,引き分けが存在するNPBでは,勝率1位が必ずしも最多勝とはなりません。引き分けのないベースボールに引き分け制度持ち込んだこと,そしてそれにも拘わらず,大リーグと同じようにリーグ戦の順位に勝率制を採用したことにNPBの順位制度の矛盾が内在しているといえます。

話は変わりますが,Jリーグ発足時,サッカーの引き分け制が日本に受け入れられにくいということでサドンデス延長戦,PK戦による勝敗の決着をJリーグは採用しました。ここでスポーツの母国文化との逆転現象がベースボールとサッカーで起きてしまいました。本来引き分けの存在を前提としているイギリス生まれのサッカーでは,引き分け制度を否定され,引き分けのないはずのアメリカ生まれのベースボールでは引き分けが存在するというスポーツ文化を否定した行動がとられました。Jリーグの引き分け否定と「勝敗の美学」観との間に矛盾がないか,ですが,サッカーは,得点が少なく引き分けが多かったこと,延長戦もないことも多く,「勝敗の美学」を損ねるということで矛盾はなかったのだと思います。

最後に,アメリカのスポーツが勝利至上主義といいましたが,アメリカ生まれのスポーツの中でも最もアメリカ的といえるベースボールとアメリカンフットボールは,勝利至上主義だからこそ,プロセスを細分化することにより結果である勝利のためのプロセスを明示化したスポーツになったのだと私は考えます。
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84 (2002/5/5) サッカーバブルの終焉 2

選手契約の自由化は,クラブ間競争やリーグ間競争に市場原理をもたらし,トップ・プレーヤーの希少性から選手年俸の高騰をもたらしました。この選手年俸の高騰は,アメリカや日本と同様に,トップ・プレーヤーだけではなく,選手全般の年俸高騰をもたらし,収益に占める人件費の割合を増大させました。この人件費の増加を補ったのが,高騰した放映権料でした。

右肩上がりの放映権料の増加は,各クラブに選手への過剰投資をもたらしました。下位リーグのクラブが上位リーグに上がることにより,また,上位リーグのクラブがチャンピオンズ・リーグで勝ち進むことにより,将来の放映権料の増加が期待できるようになりました。このため,各クラブは有力選手の確保に走りました。財源は将来の放映権料です。ところが,実際はこの高騰した放映権料の恩恵を預かれるのは,ごく一部の有力クラブに限られていました。あのプレミア・リーグでさえ,20クラブ中3分の2のクラブが赤字で,大半のクラブが収益の半分以上が人件費で消えていきます。

メディア間競争の激化はメディアに,キラーコンテンツの確保に走らせ,独占契約という形で放映権料の高騰をもたらしました。独占契約というのは,リーグやクラブに高額な放映権料をもたらしましたが,逆に,放映権料それも1メディアに対する過度の依存状態に陥りました。独占契約といってもアメリカでは複数のメディアによる独占契約です。これはリスクの分散とという意味があります。ITVデジタルに依存したイギリス・サッカーリーグ,キルヒ・メディアに依存したドイツ・サッカーリーグはその危険性を証明しています。

http://obata.misc.hit-u.ac.jp/~hayakawa/modern/modern009.htm
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83 (2002/5/5) サッカーバブルの終焉 1

独メディア最大手キルヒ・グループの中核会社キルヒ・メディアは4月8日経営破綻しましたが,2002年・2006年W杯についてはスイス子会社に権利が移され被害は免れそうです。2002年W杯については既に放映権料は支払われているようです。F1については運営会社(SLEC)を複数の自動車メーカーに売却の方針。F1についてはキルヒ・グループが100年分の放映権を獲得しましたが,これに反発した複数の自動車メーカーがF1とは別の自動車レースを2008年から立ち上げる計画を立てています。また,キルヒ・メディアはドイツ・サッカー・リーグ(DFL)とは2004年まで契約があるが5月15日支払期限の放映権料について一旦暫定合意していますが残金(93億円)の支払いが困難な場合は,放映差し止めの可能性あるとのことです。キルヒグループの有料テレビ会社キルヒ・ペイTVについてはあのマードックが食指を動かしています。

ITVデジタル放送が打ち切られました。3月に経営破綻し管財人の管理下にあったITVデジタルは,結局再建策が見つからず5月1日放送がうち切られた。これで世界で最も普及しているといわれるイギリスにおいても地上波デジタルは苦戦を強いられることになりました。結局,イギリス・サッカーリーグに支払われる予定の340億円は未払いのままです。もともと,経営状態の悪いイギリス・サッカーリーグのクラブにとって深刻な影響が予想されます。

ヨーロッパにおけるサッカー・バブルとその終焉は,デジタル革命によるメディア間競争とボフマン判決によるFA革命にって引き起こされました。90年代後半衛星,ケーブル,地上波のデジタル化とそれに伴うマルチ・チャンネル化によりメディア間競争が激化します。ところが,キラーコンテンツが不足しサッカーのメディア・バリューが高まり,放映権料も,高騰していきました。

また,1998年12月のボフマン判決以後,EU国籍を持つ選手は移籍の自由を獲得しました。この結果,クラブ側は,複数年契約を結ぶようになり,また,EU内の外国人枠がなくなったことから,有力クラブが資金力に言わせて有力選手を抱え込む傾向がでてきました。いわば,欧州版フリーエージェント革命であり,選手年俸の高騰を意味していました。

メディア間競争の激化とキラーコンテンツの不足は,サッカーの放映権料の高騰をもたらしました。選手の能力と人気にチームの成績と人気は依存しており,トップ・プレーヤーの希少性も相俟って,選手の契約自由化は選手年俸の高騰をもたらしました。90年代後半,ヨーロッパサッカー界ではこの放映権料バブルとフリーエージェント革命が同時進行し,そして今,その限界点が見えてきたといえます。ただし,これは一時的なことかもしれませんが。

サッカーバブル終焉の予感   
http://www.ninomiyasports.com/nsports/soccer/juku/bn/j011130.html
英国の地上波デジタル放送「ITVデジタル」が経営破たん
http://www.dentsu.co.jp/books/dhou/2002/h4360-020408/index2.html#25
欧州のメディアバブル崩壊・サッカー放映権が重荷に
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20020406df1i004606.html
英ITVデジタルが放送打ち切り サッカークラブ連鎖倒産か
http://www.mainichi.co.jp/digital/housou/200205/01-1.html
デジタル革命の行方
http://www.nhk.or.jp/bunken/news-jp/syppt0204a-l1.html
地上波テレビのデジタル化 早期移行は可能?
http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200204/02/9.html
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82 (2002/4/29) スポーツの普及 いくつかの仮説

近代スポーツの多くはイギリスとアメリカで生まれました。イギリス生まれの代表はクリケット,サッカー,ラグビー ,アメリカ生まれの代表はベースボール,バスケットボール,バレーボール,アメリカンフットボールです。これらはチームゲームですが,このチームゲームで最初に生まれたのがイギリスではクリケット,アメリカではベースボールです。この二つは親戚筋にあたり,どちらもボールを棒で打つゲームです。そして,日本のチームゲームで最初に広がったのがベースボール(野球)でした。

スポーツにはルールがあります。ルールが守られて初めてスポーツとなります。近代スポーツとして先発のクリケットとベースボールはノンコンタクト・ゲームです。これに対し後発の近代スポーツサッカー,ラグビー,アメフトといったフットボールはコンタクト・ゲームです。ここからノンコンタクト・ゲームの方がコンタクト・ゲームよりルールが守りやすかったということが想像できます。コンタクトプレーが多いとケンカになりやすく,ルール化が難しかったのではないでしょうか。このことは,フットボールの中でも,最も接触(コンタクト)プレーが少ないサッカーが世界的に普及した理由でもあると思います。そこで「接触プレーの少ないスポーツから普及する」という仮説が成り立つと思います。

また,接触プレーが多いとルールも複雑化し,その国々の風土,社会の影響を受けやすいのかも知れないという仮説も成り立つと思います。手を使うフットボールがイギリスのラグビー・フットボール(このほか労働者階級のリーグラグビーがある),オーストラリアではオージー・フットボール,アメリカではアメリカン・フットボールというようにその国独自のフットボールが生まれています。
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81 (2002/4/28)ヨーロッパとアメリカのスポーツ

欧州と米国のスポーツの違いとして,米国は大衆社会を背景としたスペクテイター・スポーツが発達し,欧州では階級社会を背景としたパトロナイズド・スポーツが発達したという見方ができると思います。スペクテイター・スポーツというのは,観客から入場料を取って成り立つスポーツです。これに対し,パトロナイズド・スポーツは上流階級がスポーツのパトロンになって,それを下層階級が観戦するというものです。この違いが明確なのがモータースポーツです。

モータースポーツで,欧州で人気なのはもちろんF1ですが,米国でのそれはカートレースです。F1は町中を走るなど,コースは複雑で変化に富んでいて,観戦者(スペクテイター)がレースをすべて観ることはできません。カートレースはF1とは異なり,楕円形の円周を回り続けるだけです。走りは単調ですが観戦には適しています。F1とカート・レースの違いは,競馬場についてもいえます。

米国では,入場料によって成り立っていましたから,入場者が観やすいようにレース場が出来ていると思われます。これに対し,F1など欧州のレースは,レーサーやチームには貴族や大金持ちがパトロンとしてついていたため,観戦収入だけに頼らなくてもよく,競技優先でレース場が出来ていたと思われます。こういう欧州のスポーツ環境の中で,サッカーは下層階級のスポーツとして,スペクテイター・スポーツとして発展した特異なスポーツではないのかと私は思ったりしています。
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80 (2002/4/27) プロ野球ビジネスのジレンマ

プロ野球ビジネスと言ってもサッカーなど他のプロスポーツにもあてはまることだと思います。

プロ野球というのは選手に報酬を支払って試合を行い観客から入場料をとることによって成り立つビジネスです。ただビジネスが目的なのではなく,プロ野球の普及発展が目的であり,ビジネスはそのための手段ということになります。スポーツ・ビジネスの世界では,あくまでもスポーツが目的でビジネスが手段だと思っています。ただ最近,スポーツ・ビジネスが巨大化していくにしたがって,ビジネスそのものを目的にする人達も増えていると思います。今回のキルヒ・メディアの経営破綻などその典型でしょう。

つまり,プロ野球の普及発展がプロ野球ビジネスの目的であり,スポーツ・ビジネスの目的はスポーツの普及発展にあります。ところが,これがスポーツ・ビジネスのもつジレンマでもあります。スポーツ,それもプロスポーツである以上,勝ちたいしスター選手を観てみたいわけです。とすると,選手の獲得(スカウティング)にビジネス以外の論理が働くことがあります。スポーツがビジネスを上回ったとき,経営は悪化します。実際,サッカーのスペイン・リーグでこの状況が生まれています。

スペインのサッカー・クラブは一応,法律で非営利組織とされシーズン席を購入したファンが会員となり,クラブ運営にも参加できるようになっています。また,クラブの会長選に投票することもできます。クラブの会長はクラブの負債に責任を負いません。会員であるファンも負債など気にしません。そこで,大抵の場合,一番優秀な選手の獲得を公約した候補に投票します。その結果,スペインのトップ・クラブのほとんどが数十億円の負債を抱えているそうです。

このようにプロ野球ビジネスをはじめとするスポーツ・ビジネスは常にビジネス上のジレンマを抱えています。
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79 (2002/4/25) ハマスタの正体

横浜市は出資せず,市民が出資して建てたのが横浜スタジアムです。市民社会の手本みたいに言われますが,私は,これには反対でした。といっても反対運動したわけでもありませんが。私は,横浜市が市営球場をつくり安価に市民にプロ野球を提供するべきだと考えていました。市民の出資を募ったら,市民への責任として,横浜スタジアムは,赤字を出すわけにはいきません。お金を儲けようとしますから,自然と球場の使用料は高く設定されます。それを危惧しました。

横浜スタジアムは,市民の善意による出資により資本金20億円を集め,対価は45年間の無料オーナーズ・シート。国有地に建っているため地代はプロ野球興業時のみ。つまり,ベイスターズが資本金と地代を払っていることになります。また,ベイスターズ(当時ホエールズ)が横浜スタジアムと行った契約は,20年契約で入場料収入の29%,シーズン席の収入の30%と販売経費を球団から球場へ払い,球場内広告に対して5000万円,物品販売協力金として350万円を球場から球団へ支払うというもの,でした。

ところが1978年の初年度で横浜スタジアムは広告収入5億3300万円(川崎球場6000万円),販売収入9億2000万円(川崎球場1億円)を稼ぎ出しました。1993年では,球場収入13億9200万円,広告収入13億9300万円,販売収入15億6500万円で,経常利益は13億9600億円,資産は現金・預金・有価証券で64億3800万円という超有料企業です。

横浜ベイスターズは,資本金をオーナーズ・シートという美麗句で負担させられ,しかも広告収入と販売収入は微々たるものです。これに対し,横浜スタジアムは,資本金はただで手に入れ,地代は払わなくていい,広告収入と販売収入をほぼ独占し,高額な入場料収入を得ています。
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78 (2002/4/24) ギガキャッツ,プロ化断念

中田新横浜市長は横浜熱闘倶楽部という横浜にあるプロ球団をサポートする組織の会長も兼ねています(サポートといってもあんまり金銭的な支援はありませんが)。その熱闘倶楽部で横浜ギガキャッツを支援してほしいという話を56で行いました。横浜ギガキャッツとは,日本男子バスケットボールのいすゞ自動車が休部することになり,横浜ギガキャッツとしてプロ化するという話でした。ところが,22日スポンサーとして期待された学校法人が撤退したため,結局,プロ球団化は断念,スーパーリーグには参加せず,クラブチームとして出直すそうです。スポンサー撤退の背景を,小浜前監督は「一番の問題は、スーパーリーグが参加者に一銭も還元するシステムにはなっていないこと」と指摘しています。日本バスケットボールの日本リーグ連盟(JBL)の危機意識の薄さが問題となっています。

ただ,このギガキャッツ・プロ化の話に,横浜市という行政が何かしたのか,という憂いがあります。せっかく横浜をホームタウンとしてプロ球団化を目指したのに,その横浜市が何もすることができなかったのは残念なことだと思います。77を含め,都市経営における経営資源としてプロ球団を見ていく必要があると考えています。これを中田新市長に期待します。
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77 (2002/4/23) 新横浜市長と都市経営とプロ野球と 

今日は,4月8日就任した37歳の新横浜市長のお話です。中田宏新市長は横浜熱闘倶楽部会長も兼ねており,19日横浜スタジアムを訪れ横浜ベイスターズを激励しました。森監督に「シーズンはまだ始まったばかりだし,ここから巻き返してくれることを心から信じています。ぜひ4年前のように日本一になって,一緒にパレードしましょう」と激励したそうです。そのときの神奈川新聞の記事によると中田新市長は筋金入りのベイスターズ・ファンで「私が野球少年で遠藤投手コーチがエースだったころからずっと応援しています」ということです。新市長は中学時代野球部に所属し,横浜が日本一になった1998年には球団発祥の地,山口県下関市での祝賀パレードに「市民代表」で参加したそうです。中田新市長,野球少年でかつベイスターズ・ファンということが判明し,まずはよかった。でも,単なるファンじゃダメなんですけどね。都市経営を唱えるのなら,次の話に耳を傾ける必要があると思います。

今日,読み終わった「スポーツの今日(いま)を刻む」(杉山茂・岡崎満義+スポーツデザイン研究所編 創文企画)は,メールマガジン「スポーツアドバンテージ」のコラムをまとめて出版したものです。その序文で,メルマガの主催者のひとり岡崎満義さんが横浜ベイスターズの大堀隆球団社長の話が忘れられないといいます。その話とは「98年にベイスターズがセ・リーグで優勝し,日本シリーズも制したとき,同時期に神奈川ゆめ国体も開かれていたんです。どちらが地域=横浜市の活性化に力があったか。私はベイスターズだと思う。地下街に佐々木の大魔神神社できたくらいですから。国体には何年にもわたって何千何百億円ものお金が使われたはずです。それにくらべて,せめてベイスターズには横浜球場の使用料を安くしてもらいたいと希望するのですが,それができない。市に言わせると,もし安くしたら必ず市民から,たかが一私企業のための利益をはかり,結局は税金を使うことになるようなことは許せない,と抗議の電話が殺到するだろう,というのです」ちなみに,横浜スタジアムの使用料は1試合2000万円だそうです。
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76 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 3

神戸新聞の記事を読むとキルヒメディアは地元ドイツ・サッカーリーグと2000年から4年間で1700億円という巨額の独占契約を結んでいました。ドイツのサッカー・クラブはこの巨額の放送権料に依存しており,このためドイツ政府は公的資金の導入も考慮しているということですが,巨額の年俸を血税で賄うのかという反対の意見も強く,政治問題化しそうだという話です。

そもそも,放映権ビジネスの破綻がヨーロッパ,しかもサッカーで起きたことに注目する必要があります。ヨーロッパは,1960年代から民放が発達した米国や日本と異なり,民放を自由に見られるようになったのはここ10数年の話です。それまでは公共放送が中心でした。ですからメディア間の競争は,有料衛星放送が出現した90年代以降の話です。

そして,サッカーにおいて放映権料が重要になってくるのも90年代に入ってからです。ワールドカップの放映権料が高騰したのは2002年の韓国/日本ワールドカップからであり,それも,実際に開催する前にその放映権を獲得した2社が経営破綻を迎えてしまいました。ISL・キルヒともにFIFAと関係のある会社です。

ヨーロッパ・サッカーにおける高額の放映権料は,90年代以降の話です。70年代80年代から進んでいた米国の放映権ビジネスと異なり,ヨーロッパにおける放映権ビジネスは,サッカーの側にしても,メディアの側にしても歴史が浅く,経験が乏しいといえます。今回の放映権ビジネスの破綻は,そこに原因があると思います。
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75 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 2

放映権ビジネスのエポックメーキングは1992年先述のマードック率いるBスカイBによるプレミア・リーグ独占契約と,1984年のピーター・ユベロスによるロサンゼルス・オリンピックの成功があります。ロス五輪では,テレビの独占放映権を米国のABCに2億5500万ドルで売却し,テレビの放映権高額化の始まりとなりました。

オリンピックの放映権料に比べ,ワールドカップの放映権料はサッカーの普及を名目に低く抑えられていました。例えば,94年のワールドカップ,米国大会の放映権料は,92年のバルセロナ・オリンピックの8分の1でした。そこでFIFA自身が,オリンピックを上回る世界最大のイベントとなったワールドカップを自分たちの金儲けの手段として考えるようになりました。

1996年,独のキルヒメディアは,2002年ワールカップの国際放映権をスイスのスポリスとともに13億スイスフラン(約1200億円)で購入した。これは,前回のフランス大会で公共放送連合が直接獲得した額の5倍を上回るものでした。さらにキルヒはスポリスとともに2006年のワールドカップ大会の放映権も合わせて合計28億スイスフランで購入しています。

スイスのポラリスの親会社ISLの破綻は記憶に新しいところですが,このISLとともにワールドカップの放映権を獲得したキルヒが今度は経営危機に直面しています。キルヒメディアは独の新興メディア会社で,ライバルの独ベルテルスマンに対抗し,ワールドカップの放映権を獲得したといわれています。そして,その裏には2006年ワールドカップのドイツ開催があるとも言われています。

キルヒメディアの経営破綻は,ワールドカップが直接の理由ではなく,F1に100年分の投資をするなど巨額の投資が裏目にでて,資金繰りが苦しくなったものです。昨年からの世界的な景気後退も響いるとのことです。

参考及び引用
 朝日新聞 2002/4/9朝刊 記事
朝日新聞 2002/4/10? 広瀬一郎氏寄稿「過ビジネス化したスポーツ」

ISL経営破綻についてはスポーツナビのこちらへ
http://www.sportsnavi.com/topics/Article/ZZZG5JNJMQC.html

YAHOO キルヒ トピック
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/kirch/
神戸新聞 記事
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/020410ja11650.html
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74 (2002/4/21)放映権ビジネスの破綻 1
下線部2002/5/5補筆

いま,2002(韓国/日本),2006(ドイツ)大会のワールドカップ放映権を獲得した独キルヒ・グループが経営危機を迎え過熱した放映権ビジネスの破綻が言われています。しかし,放映権ビジネスの破綻という話なら,3月のITV経営破綻の話が先になります。

イギリスの「ITVデジタル」は,4年前に有料の地上波デジタル放送を開始する際,イギリス,プレミア・リーグの下部リーグ「サッカー・リーグ(FL)」を最大の売り物にしました。2001年にこのイギリス・サッカーリーグと放映独占契約を570億円で結びました。ところが,300万世帯をあてにした契約は,実際には半数にも達せず,今年の3月末経営破綻が表面化しました。これにより,ITVの再建策がうまく運ばなければ,この放映権料をあてに選手と契約していた各クラブは,経営危機を迎えることになります。未払い額は340億円と言われています。

ITVが下部リーグのサッカー・リーグと破格の放映権契約を行ったのは,プレミア・リーグと独占放映権契約を結ぶライバルのBスカイBに対抗するためでした。そもそも,プレミア・リーグは,衛星放送の息の根を止めるため,ITVがイングランド主要クラブに働きかけて出来たものです。ただし,入札の結果,ITVは破れ,マードックのBスカイBが独占契約権を獲得したものだったからです。そして,BスカイBは大成功を収めます。

※ ITVデジタル社は,2001年「オンデジタル社」が社名変更したものです。オンデジタル社は98年末イギリス民放ITVの親会社であるカールトンがグラナダと対等出資で設立した地上波デジタルの会社です。ITVとITVデジタルとは直接には関係ありません。

一方,サッカーリーグとしても,いくらプレミア・リーグがBスカイBと巨額の契約をしても,その恩恵を受けることはできす,プレミア・リーグに所属するクラブとの格差が広がり,プレミア・リーグへの昇格も難しくなってくるばかりです。さらに,プレミア・リーグへの巨額の放映権料は,選手年俸の高騰を招き,下部リーグのクラブ経営を直撃しています。このため下部リーグであるサッカーリーグとしても巨額の放映権料が必要だったのです。

ここでイギリスにおける放映権ビジネスの勝ち組と負け組がハッキリしてきました。勝ち組はBスカイBとプレミア・リーグ,負け組はITVとサッカー・リーグです。小さな町の小さなクラブは放映権ビジネスの世界から忘れられようとしています。そのあがきが日本人マネーを狙ったポーツマスの川口獲得です。
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73 (2002/4/21) 日本ハム・ファイターズ札幌歓迎ムード

前号で次回は放映権ビジネスの破綻の話と言いましたが,ちょっとその前に,日ハムの話をします。次の話はbU0で紹介した西武の堤オーナーの話です。

「3月30日西武の堤オーナーが札幌で『1球団に地域権を与えるのがいいのか。いろいろなチームが主催試合をやれば各地域の人が見られる。札幌全体のことを考えたらそちらの方がいい』と語った。日本ハムの計画について『まだ正式な話が来ていないが、来れば(話し合いに)応じる。でも決めるのは札幌ドームだから』と語り,札幌市側がフランチャイズ球団を望んでいることに『少数意見だと思ってる』とはねつけたそうです。」

4月18日の朝日新聞の記事によれば,北海道のニュースサイト運営会社「ブレーン・ニュース・ネットワーク」が今月上旬,サイト上で日本ハムファイターズの札幌移転に関しアンケートを行ったそうです。その結果は,フランチャイズ化を望むという答えが「51.1%」,フリーマーケット案が「17.6%」,西武の準フランチャイズ化が「3.8%」となっており,堤オーナーが言っていた日ハムのフランチャイズ化を望む意見を『少数意見だと思ってる』というという考えは覆されたことになります。

北海道は巨人ファンが大半と言うことですが,その巨人ファンも歓迎しているそうです。やっぱり地元チームを持つということは,札幌のような地方都市にとっては都市のアイデンティティを明確にすることができるわけで,受け入れられる下地が十分にあると思います。

ただし,堤オーナーの恫喝が効いてか,肝心の札幌ドーム社長を兼ねる桂札幌市長は黙りを決め込んでいます。北海道観光に隠然たる影響力を持つ西武の堤オーナーに対し,表だって行動しないことにしたようです。記事によれば球界の関係者から「市は動かない方が賢明」という忠告を受けているそうです。
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72 (2002/4/21) ヨーロッパ・サッカーの大リーグ化 2

イギリスでは90年代前半,メディア王ルパード・マードックの有料衛星放送「BスカイB」がプレミア・リーグの独占放映権を得て大成功を収め,放映権ビジネスが過熱化し,放映権料が巨額化していきます。このため,サッカークラブにおける放映権収入の割合が増大し,各クラブは放映権料を増やすため有力選手の獲得に動き,選手の年俸や移籍金が高騰していきました。

イギリスのプレミア・リーグはリーグで全体での放映権契約です。このためプレミア・リーグにあがれない下位のサッカー・リーグのクラブにはその放映権料の恩恵はありません。大陸のサッカー・クラブは放映権契約がクラブの個別契約のため,有力クラブは,有力選手を世界中から獲得し,巨額な放映権料を獲得するようになります。放映権は,クラブ間の格差が広げ,サッカーの大リーグ化が進んでいくことになります。

プレミア・リーグで成功したマードックは,ヨーロッパ・サッカー全体の大リーグ化を図り,ヨーロッパの有力クラブだけによるサッカー・リーグを企図しますが,ヨーロッパ全クラブの代表であるUEFAの反対にあい挫折します。しかし,メジャー化の動きは現在も続いています。イタリアのACミラン・インテル・ユベントス,スペインのレアル・バルセロナ,イングランドのマンU・リバプール,フランスのパリサンジェルマン・マルセイユ,ドイツのバイエルンミュンヘン・ボルシアドルトムント,オランダのPSV・アヤックス,ポルトガルのFCポルトといったヨーロッパを代表とする有力クラブがG14という組織を作りヨーロッパ・リーグの創設を目論んでいます。

スコットランド,オランダ,ポルトガル,ベルギー,スウェーデン,ノルウェー,スウェーデンといった小さな国の小さなリーグの大きなクラブが集まり,国境を越えたリーグを作ろうという動きがあります。それがアトランティック・リーグ構想です。イギリス・イタリア・スペイン・ドイツ・フランス以外の国内リーグの規模は小さく,大きな放映権料は望めません。このため,小さな国の有力チームがテレビ局から競争力を維持するだけの放映権料を得るために考え出されたものです。

巨額の放映権料を集めた一部のクラブは,有力選手を次々と獲得し,さらに人気を集めさらなる放映権料とグッズを売り上げていきます。このように,今,ヨーロッパ・サッカー界は放映権ビジネスとともに,米国型のスポーツ・ビジネスとエンターテイメント化の波が押し寄せています。

以上参考文献「サッカー株式会社」(クレイグ・マクギル著 川邊雅之訳 文藝春秋)

次回は,この放映権ビジネスの破綻の話です。
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71 (2002/4/21) ヨーロッパ・サッカーの大リーグ化 1

「大リーグは,ビジネスではない」といわれても,実際大リーグはスポーツ・ビジネスであり,スポーツ・エンターテイメントです。大リーグ以外のNFL・NBA・NHL・MLSも,もちろんスポーツビジネスであり,スポーツ・エンターテイメントです。この米国のスポーツ・ビジネス,スポーツ・エンターテイメント化の波が近年ヨーロッパ・サッカー界を襲っています。

そもそも大リーグは1869年にはプロ球団が誕生し,1871年にはプロ・リーグが,1876年には最初の大リーグ・ナショナル・リーグが誕生しています。サッカー史上最初のプロ・リーグがイングランドのフットボール・リーグ(FL)は,1888年の結成にあたって,この世界最古の大リーグ・ナショナル・リーグを手本としました。このようにヨーロッパのプロ・サッカーは当初から米国の影響は受けていました。しかしながら,ヨーロッパのプロ・サッカーはパブや工場・教会といった地域のクラブを母体に発展してきたため,スポーツ・ビジネスとしての側面は遅れていました。

ヨーロッパでは,小さな町にもサッカー・クラブがあり,小さな国にもサッカー・リーグがあります。サッカー・リーグには大小を問わず国内のすべてのクラブが参加し,レベル別にリーグ戦を行い,レベル間の異動を入れ替え制にして行ってきました。さらに国内すべてのクラブが一同に参加するカップ戦(トーナメント戦)やヨーロッパ全体の選手権も行われています。ヨーロッパ・サッカーは,大リーグと違いクラブ(球団)のレベルが固定していません。とはいっても,実力はクラブの収入つまり入場料に比例しますから,都市の規模によってだいたい固定しているのが現状です。

ところがこんなヨーロッパ・サッカー界が大きく変えたが,放映権ビジネスの登場です。ヨーロッパでテレビ番組を自由に見られるようになったのは,衛星放送が普及したここ十数年の話にすぎません。それまでヨーロッパでは,米国や日本と違い民放はあまり発達していなかったため,サッカーの放映権料といってもたいしたものではありませんでした。ところが,1990年前後に衛星放送が普及しマルチチャンネル化していくと,プロ・サッカーが,有料衛星放送のキラー・コンテンツとして注目されるようになります。
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70 (2002/4/20) 大リーグはビジネスじゃない

前回,プロ野球は商売なりと書きましたが,実は大リーグはビジネスではないそうです。去年からの大リーグの球団削減問題でご存じの方の多いもと思いますが,ちょっと驚きですね。

以下,「誤解だらけの大リーグ神話」(読売新聞運動部 中公新書ラクレ)をもとに経緯をまとめてみたいと思います

1916年,大リーグが対抗組織であるフェデラル・リーグを吸収した際,譲渡金に不満を持ったボルチモア球団のオーナーが「大リーグが球団を買い占めて野球事業独占のために共謀行為をしている」と損害賠償を訴えた。1922年,連邦最高裁は「野球は州内行事であって,州間に影響を与えるものではない。公開試合で利益を得ているが,それは一般的な意味の商業または取引とはいえず,生産活動でもない」として,大リーグの商業性を否定し,独禁法の適用除外とする判決が下されました。ということで今でも大リーグはビジネスではなく,独禁法の適用除外とされています。では,他のプロ・スポーツも独禁法の適用外なのかといえば,そうではなく,唯一大リーグだけが適用除外になっています。

とはいっても,大リーグの適用除外は「不合理・非論理的であり,矛盾をはらむ」(1957年最高裁),「もはやプロスポーツの中で,大リーグのみ州間通商にあたらないことにすることは出来ない」(1969年全国労働関係局),「プロ野球は,ビジネスであり州を超える通商に従事している」(1972年最高裁)と批判にさらされ,特に選手の身分を拘束してきた保留制度については,労働法の保護を背景に選手会がねばり強い交渉を行い1976年にはFA制度が発足しました。

FA制度が導入される選手の年俸が高騰し,これに対抗するため1993年オーナー側は,サラリーキャップ制の導入を選手会に提示します。選手会はこれを拒否し1994年8月ストライキに突入しました。独禁法の適用除外のため選手会は,訴訟という手段がとれず,ストライキという手段をとるしかありませんでした。これが最悪の結果をまねき,結局シーズンはうち切られ,ワールドシリーズも中止になってしまいました。

こうした経緯から,労使問題に関する独禁法の適用除外廃止を求める法案が議会に提出され,1998年クリントン大統領が署名し,選手の契約と雇用については,大リーグは独禁法の適用除外の特例が認められないことになりました。これにより選手会は訴訟権を手に入れたことになります(ただし,独禁法訴訟とストライキは併用することはできません)。とは言っても依然としてマイナー選手契約,フランチャイズ制度,テレビ放映権制度は,独禁法の適用除外になっています。

しかし,2001年11月大リーグのセリグ・コミッショナーが,2球団の削減案を提案すると,この削減案に対抗するため議会は,球団の移転や縮小に関することも独禁法の適用除外の特例を廃止する法案を提出しました。もしこの法案をブッシュ大統領が署名した場合,「ベースボールビジネスに関わるすべての者が経済的に打撃を受ければ,たとえ売り子でさえ,ベースボールに訴訟を起こすことが可能になるのだ。」(「メジャー,俺たちの誇り」(古内義明著 実業之日本社)
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69 (2002/4/18) プロ野球は商売なり

野球は商売じゃないと豊田さんはいいました。しかし,プロ野球は,選手に1億円以上の年俸を支払い,観客に,2000円3000円という高い入場料を払って見に来てもらう,りっぱな商売です。球団(福岡ダイエー・ホークス)は,年間300万人の観客を動員し,球団(横浜ベイスターズ)の買収には140億円を要するほどです。プロ野球は,1年や2年で潰れてしまっては困るのです。ファンは,ずっとずっとプロ野球を応援したいはずです。

大リーグのGMにとって,一番大きな仕事がスカウティングといわれています。実際,プロ野球は,優勝を争うことを商売としていますから,いかに強いチームを作るかが商売の勘所ということになります。優秀な選手をいかに揃えるかというスカウティングこそプロ野球という商売の中心と言うことになります。しかし,このスカウティングという業務はたぶんにギャンブル性があります。もし,ギャンブルに失敗したら,球団は下位に低迷します。このスカウティングという業務は単なるスカウトの仕事ではなく,球団トップの仕事です。もし,スカウティングに失敗したら,球団トップこそ責任を負わなければなりません。

横浜ベイスターズは,ここ数年ドラフトやFAで苦戦を強いられています。吉井,江藤,山崎と立て続けにFAの獲得に失敗し,佐々木・谷繁のバッテリーは逆に球団を去っていきました。選手部門の責任者が野口取締役,元内野手です。ここ数年のスカウティングの失敗が2002のベイスターズ不振の原因ということができます。野口取締役は責任をとるべきです。元横浜の駒田さんがスポナビで横浜不振の原因に補強の失敗を挙げています。http://www.sportsnavi.com/baseball/probaseball/komada/index020417.html

次は,「大リーグはビジネスじゃない」の巻です。
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68 (2002/4/15) 日本ハムファイターズ札幌移転 最近の動き

4月8日,小嶋武士球団社長が保護地域変更の要望書をコミッショナー事務局と実行委員会議長である豊蔵一セ・リーグ会長に提出しました。保護地域の変更は,パ・リーグ理事会で意見の統一が図られ,その後実行委員会で検討するという日程になります。

4月10日にそのパ・リーグの理事会が開かれましたが,西武が理事会よりも先にコミッショナーに要望書を提出したことに強く反発し,結局,移転承認は持ち越された。そこで,パ・リーグの小池会長は,「小嶋球団社長に対し日本ハム・大社義規オーナーと西武・堤義明オーナーの直接会談を要望、最終決着はトップ会談に委ねられることになり」そうです。10日の理事会では,従来通り,日本ハムは保護地域の変更を主張し,西武は札幌フリーマーケット論を展開。また,日本ハムは札幌ドームから専用球場の内諾を得ていることを明らかにしました。ただし,8日の要望書には札幌ドームの専用球場承諾書の添付はなかったそうです。

これら球団の動きに対し,東京のファイターズファンは「東京にファイターズを残す会」を作り,55000人を目標に署名活動を行いその第一弾として972人分の署名を球団に提出しました。

今日はコラムではなく新聞記事のまとめでした。

140411 日刊 http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020411-17.html
140411 スポニチ http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/04/11/09.html
140410 スポニチ http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/04/10/14.html
140409 報知 http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/apr/o20020409_60.htm
140410 報知 http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/apr/o20020410_130.htm

(2002/4/16)追加
※ 日本ハムは,東京というマーケットに限界を感じた覚悟を決めての移転劇だと思います。それに対し西武は球団を会社の道具として位置づけており,プロ野球的には西武のほうが身勝手と言えす。

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67 (2002/4/14) セカンドキャリア JリーグとNPB

4月5日の59でセカンドキャリア(引退後の第2の人生)について取り上げましたが,そもそもこのセカンドキャリアということばは昨年,Jリーグでセカンド・キャリア支援の話がでていたところから使わせて頂きました。Jリーグも10年を迎え引退後の選手の処遇が問題になってきたということだと思います。Jリーグでは,今年に入って正式に理事会でセカンドキャリア支援の決定(3月19日)し,2002年度のシーズンから本格的に支援を開始するとのことです。スポーツアドバンテージ社のMLよると(3月20日の日経記事)予算は3000万円,事務局にセカンドキャリアサポートセンターを設置し,専任の職員2人とカウンセラーを置くそうです。現役選手を対象に,職業体験研修をしたり,引退選手には就職情報の提供を行うそうです。

NPBには,Jリーグのようなセカンドキャリア・サポートセンター等というものは存在しません。森哲志さんの「不屈のプレイボール」を読むと,結構球団が親会社を通じて,紹介したりしているみたいですが,NPBに支援態勢があるわけではありません。その紹介がなければ,セカンドキャリアは自分で切り開いたか,誰かに個人的に世話してもらうしかありません。プロの世界ですから引退後のことまで面倒見る必要がないといえばそれまでですが,そうも行かないのが日本の現状でしょう。NPBが早急にやってほしいことは,セカンドキャリアの支援態勢を作るとともに,プロ野球キャリアが生かせる場所を創り出すことです。

(2002/4/16追加)
※セカンドキャリアを生かせる場所とは,もちろん,65で述べた「プロ野球選手やOBが高校野球や大学野球へのコーチ・サポート体制」のことです。プロ野球を魅力あるものにするためにも,プロ野球の経験が社会的に生かせる場所が必要なのです。

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66(2002/4/13) 歴史を紡ぐ者

プロ野球OBを大切にしよう。プロ野球OBはプロ野球の財産です。プロ野球が築き上げてきた歴史であり誇りなのです。プロ野球は何をやって来たのかと問われたとき,輝かしい過去の選手たちの歴史と記録と栄光が蘇ります。西武ライオンズには西鉄ライオンズの歴史は継承されていません。西鉄ライオンズの歴史は,福岡市民とライオンズファンの記憶の中にだけ継承されています。

福岡ダイエーホークスの人気は西鉄ライオンズの歴史を抜きに考えることはできません。もう二度とプロ野球を手放したくないと言う気持ちが福岡のホークスを支えているのでなないでしょうか。福岡ダイエーホークスは,南海ホークスと西鉄ライオンズの二つの歴史を継承する役目を背負っています。逆にいえば,二つの球団の歴史は,福岡ダイエーホークスにとって貴重な財産になるはずです。

最近,オリックス・ブルーウェーブが阪急ブレーブス時代の歴史を継承するようになりました。

(2002/4/16追加)

※1 球探の九時星さんの情報によると,オリックス・ブルーウェーブは昨年(2001)はファンブックで宝塚協会の時代にまで遡って記述されていたそうですが,今年(2002)からできたHPの球団ヒストリーは1988の球団譲渡から歴史が始まっています。これに対し,西武の「ライオンズの記録」では1978年ライオンズ球団誕生から始まっています。昨年まで監督をしていた東尾氏は紛れもなく福岡のライオンズの選手と思うんですが。

※2 肖像権の問題で選手会と機構側が対立していますが,従来から機構側は選手の肖像権は球団側にあるとしています。とすれば西鉄ライオンズの選手の肖像権は西鉄ライオンズにあったわけで,そのライオンズの権利を福岡野球株式会社を経由して承継している西武ライオンズにあるのではないか思います。ただし,西武がその権利を主張していない(利用していない)わけですからどうなのかなと思います。肖像権については,今後まとめたいと思っています。
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65(2002/4/13) プロ野球キャリアを生かせ

アマチュア野球,特に学生野球がプロ野球の指導を拒絶しているのとんでもないことです。プロ野球経験者が自分の子どもを指導できないというとんでもないことがこの日本では起こっているのです。この違いがNPBになかなか二世スターが生まれない原因ではないでしょうか。つまり,バリー・ボンズと長島一茂との違いです。

日本の野球界では,貴重なプロ野球の経験が使われずにいます。野球の発展に寄与できるはずの貴重な体験が埋もれているのです。勿体ないことです。これから野球が国際化していく中で,これでは日本の野球は取り残されてしまいます。プロ野球キャリアが使い捨てられているのです。プロ野球キャリアを生かし,野球技術の普及・発展を計っていく必要があります。

それには,プロ野球選手やOBが高校野球や大学野球へのコーチ・サポート体制を確立するべきです。このためにはまず,ライセンス制度を確立し,野球指導者としての地位を確立する必要があります。プロ野球キャリアの上に,スポーツ医学,スポーツ心理学,トレーニング法,栄養学などの学び,プロ野球キャリアを野球指導者へと変身させる必要があります。次にアマチュア規定に障害がない少年野球・中学野球からサポート体制を確立させていく必要があります。

(2002/4/16追加)
※プロ野球キャリアを利用したものマスターズ・リーグがあります。マスターズ・リーグは,NPBとは独立したリーグです。NPBは,プロ野球キャリアを生かそうとしないため,NPBとは関係のない独立組織になっています。このため,NPBを永久追放になった池永氏も選手として出場することができました。マスターズ・リーグ成立の背景になったのが,有料放送のスカイパーフェクトTVと札幌,東京,名古屋,大阪,福岡の5大ドーム球場です。スカパーがスポンサーとなり,ドーム球場を舞台を提供しました。どちらもプロ野球のシーズンオフ対策です。それから忘れてならないのが団塊世代という巨大な野球市場です。
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64(2002/4/12) 高校野球よ,プロ野球差別をするな

学生野球は教育だといいます。この二文字のためプロ野球は差別され,学生野球の権益は守られてきました。野球は,第一次大戦後の大正デモクラシーの時代に大衆文化として花が開きます。この野球文化を後押ししたのが新聞社と鉄道会社でした。野球・新聞社・鉄道というトライアングルが完成したのが高校野球の甲子園大会です。高校野球(当時中等野球)の利権が確立したのです。

大正デモクラシーの時期は,都市人口が急速に増大した時期であり,この都市人口が新聞社と鉄道会社の発展の礎となりました。この時代,地方から多くの人口が都市に流入しますが,彼らの多くは,いつかは故郷に錦を飾るというものでした。都市はまだ一時の場所だったのです。甲子園大会は,都市に仮住まいしている人たちに地方の故郷を思い出させてくれる望郷マシンとして人気を不動にしました。これが戦後,都市への定住が進むと故郷疑似体験マシンとして機能するようなります。故郷疑似体験マシンなだけに,高校野球は,(嘘でも)純粋でなければならいのです。

教育という言葉を牙城に自分たちの利益を守りたい高校野球と新聞社。甲子園大会は野球人気に寄与しているかもしれませんが,野球そのものの発展に障害になってるのも事実です。甲子園に出場するだけでもエースの連投を強いられ,甲子園で優勝するためにはさらに4連投も強いられる過酷な日程です。甲子園大会は,多くの投手の肩を消耗させ,高校球児の肩と夢をつぶしていきます。

また,教育の二文字によりプロ野球経験者の指導を拒絶し,高校野球のレベルの発展を阻害しています。プロ野球選手の多くが高校野球の監督を夢見ているみたいですが,高校野球はそのプロ野球選手の夢を教育の名の下に拒否し続けています。高校野球のプロ野球排除は,野球技術の停滞だけでなく,プロ野球という職業を差別するという人権問題でもあります。その職業差別を率先しているのが教育を標榜してる高校野球と公共性ある新聞社なのです。
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63(2002/4/12) 神様,仏様,稲尾様 ホークスが福岡に,ファイターズが札幌に

稲尾氏の自伝「神様,仏様,稲尾様」(稲尾和久著 日本経済新聞社 2002.2.25第一刷 1600円税別)は淡々とつづられているのに驚きます。シーズン最多勝42勝,シーズン最多登板78試合,パ・リーグ最多登板イニング402三分の一どれをとっても今では想像も付かない数字です。それを淡々と書かれてはたまりません。これは稲尾氏の性格に依るかもしれませんが,稲尾氏のプロ野球キャリアに改めて敬服します。そして池永氏のプロ野球キャリアにも。

ところで,稲尾氏は,ライオンズが福岡を去ってから福岡への球団誘致活動を行って来たそうです。その中であった有力な話が二つほど有りました。ひとつはセ・リーグのエクスパンション構想でした。6球団を8球団に増やすという話で,福岡はともかくもう1球団がなかなか決まらず,最後に候補が挙がったのが札幌ということでした。その話の登場人物は歌手の松山千春,千代の富士の親方だった九重親方(元横綱北の富士),そして当時自民党の雄中川氏とその秘書鈴木宗男氏だったそうです。真駒内にドームを作るという話でした。この話は,中川氏の死によって立ち消えになったそうです。(しかし,凄いメンバーでした。)このため,セ・リーグの拡大話はつぶれたみたいです。もう一つが,川崎時代のロッテの移転話です。1984年稲尾氏がロッテの監督を引き受けたのはロッテの福岡移転をにらんだ人事だったからだそうです。結局,この移転話はまとまらなかったためそれが理由で監督を辞めた(正確には契約を更新しなかった)そうです。

結局,福岡への球団誘致という夢は,中内功元ダイエー社長兼会長の野望によりひょんな形で1988年ライバル球団だったホークスの移転により実現しました。また,北海道の真駒内ドームは札幌ドームとして2001年実現し,札幌球団は2004年(札幌)日本ハムファイターズの実現によってかなえられようとしています。ちなみに福岡移転を考えていたロッテは,ホークスが福岡に移転した1988年に千葉に移転しています。ロッテは千葉に根を下ろし,連敗してても応援し続けるロッテ・ファンは日本一のファンといわれるようになっています(朝日新聞4月11日夕刊)。おまけとして鈴木宗男氏はみなさんのご存じのとおり。
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62(2002/4/9) 社会人野球とプロ野球の選手異動

社会人野球は,戦後企業チームとして発展してきました。企業チームは,会社の福利厚生や宣伝目的に発展し,アマチュアといっても海外の目でみればプロとなんら変わりありません。社会人野球とプロ野球は戦前は出入りが自由でしたが,戦後日本社会人野球協会が設立すると,プロ野球側と社会人野球とは協定を結び,社会人野球とプロ野球との選手の交流を行ってきました。

ところが昭和36年の柳川事件を契機に社会人野球とプロ野球は,絶縁状態に陥ります。その後,40年代半ばには,社会人選手のプロ入りについては,ルールが生まれますが,プロ退団者の社会人野球入団は,平成9年まで認められませんでした。平成9年,1チーム2人という制限で,社会人野球への入団が可能になり,今年(平成14年)になると社会人野球からプロへの再入団も2年を過ぎれば可能となりました。

選手の異動に係る社会人野球とプロ野球の関係は,単なる縄張り争いに過ぎないことは明らかです。
http://www.jaba.or.jp/proamakeika.htm
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61(2002/4/7) 株式会社読売巨人軍

昨日の夜中NHKのBS放送で巨人のオーナー渡辺恒雄氏のインタビュー番組がありました。4月4日に創刊した「ぼーる通信」のチャット大会で,教えてもらって急遽見たのですが,内容は2月始めに渡辺オーナーが朝日新聞に投稿したものと同じでした。その中で,「Jリーグや大リーグのような社会主義的なことをやってるところはダメになる。プロ野球の球団は,野球協約で1億円以上の株式会社と決められていんだ。企業なのだから競争するのは当然。だから,日本のプロ野球は大丈夫。」という話をしていました。

確かに,野球協約第27条でそう決められていますが,当の巨人はといえば株式会社よみうりの一野球興行部門に過ぎないはずです。野球協約上は,「株式会社よみうり」そのものが「球団」ということになっています。ところが,この「株式会社よみうり」は,巨人(東京読売巨人軍)のほか,読売新聞の西部本社(九州),中部本社そして読売会館から成っています。巨人の利益で,西部本社と中部本社の赤字を補填していると言われています。このように「株式会社よみうり」は,どうみても球団とはいえません。つまり,巨人とは企業の一部門に過ぎないわけで,「プロ野球の球団は企業なのだから競争するのは当然」という論理は,何か自己矛盾しているように感じます。プロ野球を一人前の企業として扱ってこなかったのが,当の読売グループ・渡辺恒雄氏ではなかったのではないでしょうか。

ところで,今年の7月1日にも読売グループは持ち株会社化して巨人を株式会社読売巨人軍にして独立させるという記事が先日でていました。赤字の中部本社は支社にして読売本社に吸収するようです。新聞記事によれば,巨人の利益をグループ全体に還元する仕組みにすると書いてありました。連結決算が導入され,優良企業である巨人が重宝になったのでしょう。これで一応,巨人も球団=企業にはなることにはなります。 ただし,持ち株会社の100%子会社では独立企業としての認められるどうか怪しいですが。
20020403 朝日 読売新聞持ち株会社へhttp://iij.asahi.com/business/update/0403/011.html
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60(2002/04/06) 日本ハムファイターズ札幌移転 5

3月30日西武の堤オーナーが札幌で「1球団に地域権を与えるのがいいのか。いろいろなチームが主催試合をやれば各地域の人が見られる。札幌全体のことを考えたらそちらの方がいい」と語った。日本ハムの計画について「まだ正式な話が来ていないが、来れば(話し合いに)応じる。でも決めるのは札幌ドームだから」と語り,札幌市側がフランチャイズ球団を望んでいることに「少数意見だと思ってる」とはねつけたそうです。

また,桂札幌市長(札幌ドーム社長)は「経営者として長期的に考えればフランチャイズ球団はプラスになる」としながらも「いろいろな球団に数多くやってもらった方がいいのか。地域権は機構側で決めるし,円満に決めていただきたい」と述べたそうです。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/03/31/05.html
http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020331-09.htmlhttp://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/04/05/06.html

恫喝のほうが入りました。54で恫喝と歓迎のうち歓迎の方を予想しましたが,前者の恫喝の方でしたね。堤オーナーが言おうとしているのは『日本ハムの札幌移転計画といっても肝心の札幌ドームの話がでていない。決めるのは札幌市長ではなく,札幌ドームですよ』ということです。札幌ドームの社長は桂札幌市長であり,西武グループのコクドが所有している株式は3%に過ぎないみたいですが,その株式以上に西武グループの影響力は強いと思います。たぶん債務保証などをしているのではないでしょうか。これは全くの推測ですが。実際,横浜スタジアムの建設のときがそうでした。

日ハムの札幌移転計画を,札幌ドームという会社レベルの問題にしてしまえば,堤氏の思うつぼでしょう。450万道民を相手にするよりも,簡単です。北海道に利権を有する西武グループにとって,九州がホークス一色になったように北海道がファイターズ一色に染まることを恐れているのです。札幌フリーマーケット案の狙いはまさにそこにあると思います。札幌ドームの経営からすると日ハムにも試合をしてもらいたいが,人気になるのは西武ライオンズだけでいいと思っているはずです。しかし,30試合も札幌で行うと,選手の疲れがとれず,昔のジプシーロッテのように選手の負担が大きいと思います。また,西武は所沢を離れませんから,札幌フリーマーケット案では,札幌は自分たちのプロ野球チームを持つことができないことを意味しています。

西武グループは九州にも利権を持っているみたいで,現在高知にあるキャンプ場を九州の西武グループの地に移転させようとしています。
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59(2002/4/5) セカンド・キャリア

スポーツ選手というのは身体が資本であり,体力の衰えを技術でカバーするのにも限界があります。このため一般にスポーツ選手の選手寿命は短く,スポーツの現役選手としてのキャリアよりその後の人生のキャリアの方が長いの普通です。プロ野球選手でも,40歳まで現役でいられるのは稀で,多くの選手が20代で選手生命を終えています。プロの場合,技術的限界というものも加わりますからなおさらです。

日本ではついこの間まで,終身雇用制が普通で,いったん就職したら同じ会社に何十年に渡って働き続けるという社会でした。こういう社会では,プロ野球のように,セカンド・キャリアの方が長くなるという宿命をもった業界は,正業とはなかなか認められません。また,転職市場というものが小さく,セカンド・キャリアの選択肢も狭いものでした。ただし,経済成長期には社会全体のパイも増加していたため,セカンド・キャリアの機会も結構あったみたいです。

今は,終身雇用が崩れ,転職に対する偏見もなくなってきました。しかし,セカンド・キャリアの機会が増えたのかと言えば逆で,失業率5%と言う時代では,再就職もままなりません。せっかく社会人野球が1チーム2名までの元プロ選手の復帰を認められても,肝心の社会人チームが休部や廃部になってしまっては意味が薄れてしまいます。

プロ野球選手が描くセカンド・キャリアの第一人気は高校野球の監督かも知れません。ところが,元プロ野球選手が,高校野球の監督になるということは,不可能に近いのが現状です。高校野球の監督がプロ野球の元監督と対談しただけで罰せられたり,社会人野球に復帰した元プロ選手の指導を知らずに受けただけで罰せられるのが今の学生野球の規定です。プロ野球のキャリアを生かすことが日本の社会では難しいのです。多くの選手が,プロ野球のキャリアを拒否され,新たなセカンド・キャリアへの挑戦を強いられています。

このセカンド・キャリアを題材にした本がタイムリーに出版されました。森哲志さんの「不屈のプレイボール」(河出書房新社,2002年3月20日初版発行)です。サブタイトルは元プロ野球選手,球場去りし後の「負けない人生」です。首都大学のホームラン記録を持つ森山正義(元阪神)さんは,引退後団子屋を始め繁盛しているようですが,その団子作りを教えたのがあのボクサー輪島功一だということで驚きました。チャンピョン輪島の団子屋は有名ですからね。
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58 (2002/04/05) セカンド・チャンス MLBの場合

大リーグには,選手育成機構ともいえる巨大なマイナーリーグ組織があります。マイナーリーグは,7階層に分かれ,2000年には20リーグ・242チームが米国・カナダ・メキシコ・ドミニカ・ベネズエラの5ヶ国に点在するという巨大組織です。このマイナーリーグで,大リーガーを目指すのは,何も新人ばかりではなく,大リーグを挫折した選手もマイナー・リーグで虎視眈々と大リーグへの復帰を狙いっています。今季,大リーグのカージナルスと契約したブルーウェーブの田口外野手は,結局打撃不振でマイナー・リーグからの再挑戦ということになりました。

マイナーリーグは,大リーグの下部組織といえますが,この大リーグとは関係ない独立したプロ野球組織が独立リーグです。野茂が先日買収したパイオニアーズも独立リーグの球団です。独立リーグは米国とカナダに5リーグ45チームに上っています。レベル的にはトリプルAとダブルAの中間とされ,近年では大リーグへの再チャレンジの場として評価が上がっています。

マイナーリーグも独立リーグも大リーグとシーズンを同じにしています。そこで,シーズンオフに再チャレンジの場として存在するのが中南米で行われるウィンター・リーグです。ウィンター・リーグはメキシコ,ドミニカ,ベネズエラ,パナマ,プエルトリコのほか米国のアリゾナでも行われています。エキスポズを解雇された伊良部投手はプエルトリカン・リーグで再起を図りました。

以上,古内義明著の「メジャー,俺たちの誇り−選ばれし男の戦場−」実業之日本社(2002年3月25日初版発行)を参考にさせて頂きました。

このほか,韓国や台湾,そして日本もMLBを目指すセカンドチャンスの場となっています。
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57 (2002/3/27) セカンド・チャンス

団野村の率いる野茂,伊良部,鈴木の日本人大リーガーが米国独立リーグのエルマイラ・パイオニアーズを買収したそうです。報知新聞によれば「球団買収の目的は、日本人選手のために米球界に門戸を開くことにある。95年に日本プロ野球と決別して米国に渡った野茂だが、最近の日本球界では、野球を続けたくてもできない選手が増えていることを気にかけていた」ということです。

日本のプロ野球(NPB)には,毎年70・80名の選手が新たに入団し,同じ数だけの選手が球界を去っていきます。各球団には1球団70名という選手の保有制限があるため,入団者と同じ数だけ退団者がいることになります。NPBの選手数はおよそ800人ですから毎年約1割の選手が入れ替わり,また,プロ野球選手の寿命は平均して約10年ということができます。これはあくまでも平均ですから入団後2・3年でケガや故障で球界を去っていく人も多くいます。

日本の場合,アマチュア規定があって,ひとたびプロ野球の世界に入った人達はなかなかアマチュアの世界に戻ることができません。社会人野球では1チーム2名までならプロ野球出身の選手がプレーできるようになりました。現に横浜ベイスターズの大野選手と斎藤選手が社会人野球に復帰しています。また,今年から2年経過すればプロに再チャレンジすることができるようになりました。しかし,社会人野球の取り巻く環境は厳しく,社会人野球への復帰も厳しい環境にあります。

野球選手のピークは,スポーツ選手の中でも遅く,投手で24歳から30歳,野手で26歳から32歳といったところでしょう。野球は,一般的に,試合の運動量が少なく,接触プレーも少ないことから技巧的な度合いの大きいスポーツです。このため,40歳を超えてもプレーは可能です。ですから,プロ野球に入って一度ダメでも,再チャレンジするすれば,プロの世界で活躍することは可能なのです。若くしてケガや故障で断念した人もそれが直れば再チャレンジは可能です。球団の指導法や起用法が合わず,芽が出なかった選手も再チャレンジする機会さえあれば,活躍できるかもしれません。

3月15日,横浜ベイスターズは,控え捕手として前千葉ロッテの光山選手を獲得しました。光山捕手は,2001年千葉ロッテを自由契約になりましたが,現役続行を希望し,今年の初めからはメキシカン・リーグでプレーしていましたが,さらに米国の独立リーグでのプレーを考えていた矢先だったそうです。光山捕手,1965年生まれの37歳です。セカンドチャンス。やり直しのできる社会。日本でも今必要です。
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56 (2002/3/26) ファイターズとギガキャッツとポラリスと

今日は三つほど話題を。ひとつは,札幌ファイターズのお話しです。タイトルは「やっぱりでた,超日本的折衷案」24日(日)のB_wind 掲示板で次のように書き込みをしました。「札幌で日ハムが50試合,西武が20試合,所沢で西武が50試合,東京で日ハムが20試合という中途半端な超日本的折衷案もあります」 すると25日(月)巨人の渡辺オーナーが「東京・両国での横綱審議会終了後に『ホーム試合の半分以上をやればフランチャイズとして合法的。例えば日本ハムが(札幌で)60試合やって、あとのシーズン中に西武が20でも30でも持っていけば、うまく共存できる』と2球団共存プランを披露した」そうです。
http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020326-08.html

次に,横浜に4つ目のプロ球団が誕生するというお話しです。いすゞ自動車バスケットボール部が「横浜ギガキャッツ」として存続が濃厚になりました。チームの小浜監督は,会社の休部宣言からプロ球団化を目指しスポンサー探しに奔走していましたが,ようやくその目途がついたみたいです。いすゞ自動車もスポンサーとして支援する様です。小浜監督はゼネラル・マネージャーに就任するそうです。これで横浜のプロ球団は野球の横浜ベイスターズ,サッカーの横浜F・マリノスと横浜FCに続き4球団目となります。横浜にはプロチームの支援組織として横浜熱闘倶楽部(会長は横浜市長)というものがあり,既存の3球団を支援しています。この熱闘倶楽部に横浜ギガキャッツも早く入れてください。そして,既存3球団は,この新設プロ球団「横浜ギガキャッツ」を支援してほしいと思います。http://www.sponichi.co.jp/others/kiji/2002/03/26/06.html

最後の話題は,札幌とクラブチームの危機と堤さんのお話です。タイトルは「札幌ポラリス存続の危機」
雪印乳業アイスホッケー部の廃部後できたのがアイスホッケーの札幌ポラリスです。そのポラリスのスポンサーとしてその後も支援をしていた雪印乳業が支援打ち切りを発表し,ポラリスは存続の危機に直面しています。その札幌ポラリスの支援をコクドの堤さんが言い出しました。堤さんはご存じ,プロ野球西武ライオンズのオーナーです。プロ野球では日本ハムの誘致を図る札幌市と札幌の準本拠地化を主張していた西武は緊張状態にあります。因みに堤さんはアイスホッケーが好きですが,野球は好きではありません。これは有名なお話しです。
http://sports.yahoo.co.jp/headlines/mai/20020326/spo/21465600_mai_00002100.html
http://sports.yahoo.co.jp/headlines/jij/20020326/spo/20034900_jij_00020503.html
http://sports.nikkei.co.jp/flash_k.cfm?news_id=15619
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55 (2002/03/24) スポーツと動物虐待とギャンブルと

近代スポーツ誕生以前,スポーツがまだ気散じであった頃,庶民階級のスポーツといえば,動物を虐待したギャンブルでした。牛掛け,鶏当て,熊掛けといったゲームが賭博として行われていました。牛掛けとは,綱につながれた雄牛に訓練した犬を一頭ずつけしかけていくものでほとんどの犬が死に至ったそうです。鶏当てとはつながれた鶏に石を投げいかに早く殺すかを競う遊びです。熊掛けとは歯を削り目を潰した熊を短い鎖でつなぎ,数頭の犬と戦わせるものです。今の感覚で言えば紛れもない動物虐待ですが,この動物虐待がスポーツとして18世紀のイギリスで盛んに行われていました。もちろん,これらは賭博として行われていました。

なぜ,動物虐待なのかと言えば,動物の生きようとする力には嘘がないからです。賭博には嘘があってはいけません。さらに,松井良明氏の「近代スポーツの誕生」によれば「今日の観点から見れば「残酷」で「血なまぐさい」ものだったかもしれない。だが,この種の「残酷性」には,ある意味での「魅力」,強いていえば動物たちへの「尊敬の念」につながるような心性が含まれていたのである」ということになります。

また,賭博(ギャンブル)というものは,賭の中身が単純なものであっても,簡単にスリルを味わうことができるものです。ギャンブルは簡単に日常世界から非日常世界に入れるもので,余暇の乏しい庶民階級にとってこの上ないスポーツだったのです。しかし,産業革命を経て,19世紀にもなるとこれらの庶民階級のスポーツ,動物虐待ギャンブルは,動物愛護の名の下に消えていくことになります。上流階級の狩猟は近代スポーツとして今日まで生き残っているのに。
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54 (2002/3/23) 日本ハムファイターズ札幌移転 4

北海道に利権のある西武グループは,どうでるか。西武の堤オーナーと桂札幌市長との直接会談が予定されていますが,堤オーナーがどうでるかです。西武グループの主張を通すため恫喝がはいるのか,はたまた,ここではいい子になって日ハムの札幌移転を歓迎するのか,どうなるでしょうか。私は後者だと思うんですが。

それから,読売の渡辺オーナーは札幌ドームでの巨人戦を既得権として主張するはずです。もし,これが受け入れられない場合は,巨人は西武側につき,日ハムの札幌移転に猛反対するでしょう。ですから,日ハムは巨人戦は既得権として受け入れるはずです。

次に去られる東京のほうですが,東京の日ハムファンのために東京でも日ハム戦を数試合行う意向とのことです。この辺も,東京を保護地域とする巨人との取引になるのかなと思います。それから,東京にパ・リーグの球団がなくなってしまう関係からパ・リーグ持ち回り開催案がでています。これは案の定といったところですが,東京をパ・リーグのフリーマーケットか中央見本市にしようというものです。中央見本市案などは東京にホームタウンがなかったころのJリーグみたいなものです(国立競技場については今も同じだったかな)。

これで,パが札幌,所沢,千葉,大阪,神戸,福岡。セが東京G,東京S,横浜,名古屋,阪神,広島。北からだと札幌,所沢,東京G,東京S,千葉,横浜,名古屋,大阪,阪神,神戸,広島,福岡。これなら地域対抗戦としても結構面白いものになると思います。ところでヤクルトスワローズは早急に東京スワローズにして東京の地元ファンを吸収するようにしたほうがいいと思います。ホークスの観客動員をみればわかるようにプロ野球改革の流れは地方から来るかもしれません。ただし,ネックになるのはドーム球場の問題だと思いますが,逆にドーム球場が改革の流れを作っているともいえます。というのは,ドーム球場というのは採算性に問題があり,年間70試合を行い100万人を超える観客が見込めるプロ野球はドームにとって不可欠なコンテンツだということです。プロ野球のないドーム球場など存続はできないでしょう。

なお,東京ドーム競輪は地元住民が反対しているようです。
報知 パ・リーグ持ち回り開催案浮上
スポニチ 東京ドームで数試合 西武堤オーナー開幕戦の日見解発表
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53 (2002/3/22) 日本ハムファイターズ札幌移転 3

まず,新情報は西武はゆくゆくは所沢と札幌で半々ずつ試合をする計画だったそうです。二つの保護地域を持つことは許されないし,その保護地域内に専用球場を持たなければなりません。ただし,専用球場では,公式戦の50%以上試合をする球場と言うことですから,半々でもそれは可能ということになります。しかし,北海道は西武の保護地域ではありませんから,西武が日ハムに抗議しようが,問題はありません。ありもしない準フランチャイズなんか主張しても無意味です。

札幌の誘致話に対し,ヤクルトは断り,西武は準本拠地化をいい,日本ハムは地域移転で応えました。札幌ドームにしても,経営安定化のためには35試合の西武より,70試合の日ハムの方がいいに決まっています。札幌にとって所沢と札幌の二兎を追う西武より,札幌の地元資本の導入も考えている日ハムの方がいいに決まっています。西武の球団代表が「東京からパ・リーグのフランチャイズ球団がなくなるのは問題」と日ハムの札幌移転に反対を主張していますが,西武が進めている札幌準本拠地化はどうなんだと言いたいです。東京ドームの年間使用料が20億円でこれが日ハム財政を圧迫しているということでした。札幌ドームだとこれが半分以下になるそうです。これも移転の動機だそうです。

日刊スポーツ 日ハム,西武に報告 
スポニチアネックス 西武,日ハムに異議 ハム,どさん子補強
報知 日ハム,西武と直接会談へ サンスポ 西武,徹底抗戦
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52 (2002/3/21) 日本ハムファイターズ札幌移転 2

今回の誘致劇は,日本ハム本社サイド(大社啓二社長)と札幌市との間で進められていたようです。準本拠地化(準フランチャイズ化と新聞記事などでは言っていますが,フランチャイズとは地域独占興行権のことですから準フランチャイズなどということばはありえません)を狙っていた西武,競輪復活を画策し日ハムが邪魔な東京ドーム,それに東京の日ハムファンと札幌の西武ファンも寝耳に水だったようです。

西武は,所沢での観客動員が日ハム同様低迷しています。松坂効果で観客は増えましたが,ドーム化は失敗だったようです。西武ライオンズ球場は田園球場から遊園地の屋根付きイベント会場「西武ドーム」に変身してしまいました。また,西武の親会社であるコクドが札幌ドームの株主でもあり,富良野を初めとする北海道開発を図る西武グループにとって西武の札幌進出はグループ支援の役割も持っていました。このため,今回の日ハム札幌移転には猛反発している分けです。でも,準フランチャイズ化などというのは虫のよすぎる考えです。準本拠地化は二兎を追うものは一兎を得ずというものです。

東京ドームにしても,競輪復活の際には日ハムは邪魔になりますが,まだ競輪の復活が決まったわけでもないではないですから困惑しているはずです。でも,これは自業自得といっていいでしょう。東京ドームは,今年から天然芝に限りなく近いと言われる新人工芝「フィールドターフ」を導入しましたが,競輪をやるときはバンク部分は剥がして使用するそうです。この点は準備に怠りないようです。

それから,日ハムのファーム鎌ヶ谷はそのままだそうですが,資本関係では,一部地元資本(地元テレビ局が食指)も入れたいようです。全面譲渡は,あの36条の6のおかげか,今のところないようです。

下に,関連記事のリンクを貼り付けてあります。
2002/3/21の記事 スポニチアネックス レオ猛反発 低迷道内経済に光明 札幌西武ファンがっかり
日刊スポーツ 西武振られた 報知 西武激怒 渡辺オーナー後押し サンスポ 最北の球団誕生
2002/3/20の記事 Yahoo JAPAN Sports
球団と市ニーズ合致 札幌市誘致 日ハム札幌移転検討(毎日新聞) (読売新聞)
東京ドームと競輪 関連記事
http://www.zakzak.co.jp/spo/s-2000_01/s2000011806.html
http://www.zakzak.co.jp/spo/s-2001_12/s2001122708.html
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51 (2002/3/20) 日本ハムファイターズ札幌移転を検討

日本ハムファイターズが2004年札幌への本拠地移転を検討しているそうです。2001年に完成した札幌ドームは,野球とサッカーの兼用ドームですが,サッカーの方はJリーグのコンサドーレ札幌の本拠地として決まっていますが,野球の方は決まっていませんでした。このため,札幌市はヤクルト,西武,日本ハムを中心に誘致活動を行ってきました。ヤクルトは高い使用料(800万円)のため断念し,西武はコクドが札幌ドームの建設に絡んでいたことから準本拠地化を図ることになっていました。西武は2001年に開幕戦を含む5試合,2003年には20試合程度を計画しています。

これに対し日本ハムは,近年ドーム効果が薄れ観客低迷に悩んでおり,「昨年は最下位に低迷したこともあり、本拠地での1試合平均の観客動員数は1万9700人で、パ・リーグ4位。前年より2300人減らすなど低迷が続いている」状態です。そして,「首都圏に両リーグ6球団が競合していることが要因と判断し、首都圏外への本拠地移転を検討してきた」ということです。

また,日本ハムの本拠地東京ドームでは,競輪の復活が画策されており,競輪復活のためには,日本ハム戦が日程上邪魔と言われており,東京ドームからの追い出しも何回も噂されていました。東京ドーム競輪は,東京ドームの悲願であるとともに,石原東京都知事も都の収入増のための秘策でもあります。

さらに,日本ハム本社の大社啓二社長は父親の大社義規球団オーナーとは異なり,野球よりサッカーに関心があるといわれています。ただし,大社義規オーナー小嶋社長ラインはプロ野球への情熱は高いものがあります。このため,日本ハムは球団経営の実権が義規氏から息子の啓二氏に移ったとき,球団存続の危機と言われています。

札幌移転後は地域密着を図るみたいですが,札幌ファイターズになるかは不明です。「首都圏で6球団が競合している」ということですが,そのうち西武・横浜・千葉ロッテは郊外にあり,東京では日本ハム球団がパ・リーグ唯一の球団です。日本ハム球団が札幌に移転した場合,東京にはセ・リーグの2球団が残ることになり,逆にパ・リーグは東京の球団を失うことになります。そして,東京の日本ハムファイターズファンにとって球団が去るということは辛いことです。さらに,ドーム経営には,プロ野球は欠かせませんが,それがプロ野球にとってためになるかは疑問ですし,ドーム経営自体,大阪ドームや福岡ドームの例にように,プロ野球があっても採算上苦しいものです。しかしながら,札幌に球団が誕生する自体は,歓迎すべきことです。
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50 (2002/3/17) ドラフト制

ドラフト制については,職業選択の自由を奪うものであるとか,人権侵害だとか批判があります。これに対し,ドラフトはプロ野球への就職であり,職業選択の自由を奪うものではないという反論があります。

プロ野球というのは,選手の奪い合いを防ぐ意味でナショナル・リーグの頃から球団と選手の契約は同時にリーグ(機構)と選手との契約を兼ねる統一契約書による契約でした。これはつまりプロ野球の選手契約は,リーグ戦の興行を共同で運営するリーグ及び機構との契約でるという点です。ですから,ドラフトはプロ野球への就職という点では間違いありません。

プロ野球選手の契約が,プロ野球というリーグ戦興行共同体との契約ならば問題はありませんし,統一契約書というのは事実そうなっています。ところが,実際には選手は個々の球団と契約することになります。選手側からは球団を選ぶことができません。もし,個々の球団によって,報酬や施設,指導法などに格差があった場合,どうなるのでしょう。プロ野球への就職というからには,各球団の選手環境は同じか,同じ機会が与えられなければいけません。もし,異なるのであれば,異動する自由が保証されなければならないはずです。

ところが,読売ジャイアンツに入団した選手と他球団に入団した選手の報酬,出場機会,指導法,練習場,移動手段,マスコミの扱いは同じといえるでしょうか。日本のプロ野球は,各球団の環境の違いが大きすぎるのではないでしょうか。日本のプロ野球(NPB)は,長いこと親会社の宣伝機関として位置づけられていきたため,親会社の違いによって球団の環境も大きく異なってきました。さらに,巨人の所属の有無によるセ・パの格差,さらに巨人の他の11球団との格差。

この格差がある以上,NPBが共同体といえるのかどうか。共同体といえないのであれば,ドラフト制というものは成立しないのではないか。そして,NPBが不完全な共同体であるのであれば,ドラフト制も不完全でしかたがないのではないかと思います。NPBのドラフトには,古くはくじ引き,近年では逆指名・自由枠というものが持ち込まれドラフト本来の目的が損なわれています。これは,球団の親会社,リーグの違いによる財政格差がある以上仕方のないことだと思います。それよりも球団の財政格差を是正する施策の方が優先課題だと思うし,二軍に埋もれている選手を発掘する場も必要です。

FAの導入により選手の異動の道も拓けてきましたが,FAは一握りの選手に限られた権利であって,その取得には9年以上も必要になります。そしてFAは,日本人選手のメジャー流出のための手段になってしまっています。
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49 (2002/3/16) ギガキャッツとトップスと

2月7日いすゞ自動車の野球部とバスケットボール部が突然休部ということが発表され,ひと月が経ちました。野球部の方は,正式に休部になるみたいですが,バスケットボールのギガキャッツ(愛称)は,プロ球団を目指し,3月末を目途に複数のスポンサー企業を募っています。ただし,HPにはスポンサー募集は載っていません。

ギガキャッツは,昨年から導入されたホームタウン制により横浜市に本拠を置いています。このため3月9日の朝日新聞の記事によれば「アメリカン・フットボールのアサヒビールなど横浜周辺で活動する他競技のチームと企業の壁を超えて交流,地域密着型への土台作りをしてきた」そうです。「チーム存続を願うファンの署名集めがすでに始まっている」とのことでした。

今日検索したところ,でてきましたが3月17日が締め切りになっていました。http://www.people.or.jp/~shockwave/
調べるのが遅かったみたいです。その中でコクド(横浜を本拠とするアイスホッケー・チーム)のファンの方が協力してくれていることが紹介されていました。このように地域を主体にしたスポーツの連携が少しずつ生まれています。このコクドというチームは,日光バックスが経営危機に一度陥ったとき,資金集めに協力しています。

地域協力という点では,18で話した新潟のアルビレックスのほか,サッカー,バスケットボール,バレーボール,ハンドボールの地域チームが結集した例として広島トップスがあります。横浜もプロチームについては,横浜ベイスターズ,横浜F・マリノス,横浜FCをサポートする横浜熱闘倶楽部というものがあり,球団レベルでもベイスターズとF・マリノスでは協力をし始めています。ただし,いまのところ,Jリーグとプロ野球の協力だけです。今回のギガキャッツのプロ球団化を契機に横浜でも,スポーツの連携組織ができればと思います。
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48 (2002/3/15) リーグ戦の考察 その2

26や45でリーグ戦にふれ,リーグ戦の欠点として消化試合をあげましたが,もう一つ,リーグ戦には欠点があります。それは,リーグ戦に参加できるチーム数が限られてしまうという点です。例えば,1チーム1日1試合として,5日間で参加できるチーム数は6チームだけですが,トーナメントなら32チームも参加することができます。

通常,サッカーでは,レベル別にリーグを組みますが,リーグの上下でチームの入れ替えを行ったり,カップ戦というトーナメント方式の大会をリーグ戦とは別に開催し,リーグ戦の欠点を補っています。米国野球では,大リーグとマイナーリーグといった具合に,リーグはレベル別に固定化されていますが,各レベルごとに複数のリーグやディビジョンが存在し(リーグの複合化)あり,それをプレーオフで結びつける(リーグ間のリンク)ことにより,チームの多数化を可能にしています。

サッカーでも,野球(MLB)でも,各球団はレベル別にリーグを組んでいます。レベル毎にリーグを組むのは,レベルの均衡した球団同士の試合のほうが,レベルのかけ離れた球団間の試合よりも面白いからです。これは相撲でも同じです。相撲の場合は,レベル毎と行っても,総当たり戦ではなく,一部当たり戦ですが?これも,15日間という限られた期間内に参加者を増やす,ひとつの工夫と言えます。
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47 (2002/3/14) プロスポーツの種類 その2

企業スポンサーにとって,スポンサースポーツは広告宣伝の意味を持っており,観客や視聴者といった観戦者が,間接的にスポンサー企業の費用を負担することになります。スポンサースポーツは,スポンサー企業の広告宣伝のため,スポーツ自体を人々に観てもらうことによって成り立っています。つまり,観るという行為でみれば,スポンサースポーツも観戦スポーツも共通しているといえます。ギャンブルスポーツの場合,観るほかに賭けるという行為が含まれ他の二つとは異なる特徴を持っています。

同じ「観る」という共通点を持っているスポンサースポーツと観戦スポーツですが,両者の違いは無料か有料かの違いです。観戦スポーツでは観戦者がスポーツを観るために入場料を支払うことによって成り立っています。スポンサースポーツでは,主たる費用をスポンサー企業が負担し,入場料はあっても補完的なものにすぎません。ギャンブルスポーツはといえば,観戦者等がスポーツにおカネを賭けるものであり,観戦者などがスポーツの費用を負担することになります。この点では,ギャンブルスポーツは観戦スポーツと共通性を持っています。

観戦スポーツは,顧客である観戦者が,スポーツの対価として選手に入場料を支払います。これに対し,ギャンブルスポーツは,スポーツの対価というよりもギャンブルの対価として,選手に報酬が支払われます。ギャンブルスポーツでは,選手は,賞金という形で報酬を受け取ります。スポンサースポーツでも,選手は賞金という形で報酬を受け取ります。この点では,ギャンブルスポーツもスポンサースポーツも共通性を持っています。そして,スポーツの対価として入場料を支払うことが観戦スポーツの特徴ということができます。
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46 (2002/3/13) プロスポーツの種類 

スポーツは競技として普及発展していくに従い,技術的に高度化していきます。それにつれてトップの選手たちは専門化していきます。専門化した選手が,そのプレーの対価として報酬を得たとき,プロ・スポーツが生まれます。

プロスポーツにも,選手の報酬の獲得法により,幾つかの種類に分類することができます。ひとつは,スポンサースポーツといっていいもので,スポンサーが,選手への報酬を支払うものです。これには大会スポンサーと個人・チームスポンサーにわけることができます。スポンサーといっても昔は権力者や富豪でしたが,今は企業スポンサーのことをさします。スポンサースポーツの代表はゴルフだと思います。ゴルフでは,大会スポンサーと個人スポンサーが共存しています。プロ野球も,親会社の名前を名乗っており,スポンサースポーツの一種ということできます。

ふたつ目は,ギャンブルスポーツです。スポーツの偶発性を利用したギャンブルで,競輪・競馬・競艇などの公営スポーツがこれに該当します。サッカーのTOTOはギャンブルであり,この意味ではJリーグはギャンブルスポーツということができます。みっつ目が観客からの入場料等で選手の報酬を支払う観戦(スペクテイター)スポーツです。プロ野球やJリーグは,基本的にこの観戦スポーツです。
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45 (2002/3/6) リーグ戦の考察

勝負には勝者と敗者がいます。高校野球のようなトーナメントは,負けたらそれで終わりです。それが,例えフロックで負けたとしてもです。ところがリーグ戦は,1度負けても,次の試合で挽回することができます。リーグ戦は敗者に機会を与えてくれるシステムです。

リーグ戦は,勝ち続けたチームも負け続けたチームも試合数は同じです。プロのチームでいえば,リーグ戦は負けても試合を保証してくれる弱者救済のシステムということができます。

リーグ戦は,各チームが総当たりで試合をします。チームの半数は勝者で,半数は敗者となります。リーグ戦は,各チームが総当たりで試合を行い,優勝を争います。通常,最も勝ち点が多かったチームや勝率が高かったチームが優勝となります。最終的な勝者となれるのは1チームだけです。リーグ戦は敗者を前提にしたシステムです。

リーグ戦は,総当たりで試合を行いますから,各チームの勝敗の機会は均等で,チームの優劣が明確になります。リーグ戦は勝者と敗者がハッキリ分かるシステムです。このため,リーグ戦は,優勝争いからはずれた試合や優勝決定後の試合が消化試合となってしまうことです。

ではどうしたらよいか?それは,リーグ戦を勝者がハッキリ分からないようなシステムに変更することです。地区制や2リーグ制,そしてプレーオフがそれにあたります。大リーグで言えば,地区優勝は6チーム,リーグ優勝は2チーム,そして世界チャンピョンが1チームということになります。そして,「勝者がハッキリ分からないシステム」の最たるものが,地区優勝できなかったチームが世界チャンピョンになれる仕組み,ワイルド・カードです。
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44 (2002/3/5) ポーツマスが川口を獲得したわけ

「サッカーのイングランド1部リーグで川口能活が所属するポーツマスは2日、ウォルソールと対戦し、1―1で引き分けた。川口はベンチ入りしなかった。(共同)」

イングランド1部リーグに所属するポーツマスFCは2001年秋日本代表横浜FマリノスのGK川口能活を獲得しました。これは,ポーツマスの正GKが交通事故で急死したための補強とされています。当初,川口は正GKを確保しましたが,度重なる失点のため,いまはゲームに出られない状態が続いています。

イングランド1部リーグは,1部リーグといっても,その上にプレミア・リーグがあり,実質的には2部リーグです。bS1に書いたようにイギリスのサッカー組織は,アマチュアのフットボール協会(FA)とその下部組織であるプロのフットボール・リーグ(FL)からなってきましたが,90年代始めFAの直属のプロリーグとしてプレミア・リーグができました。この経緯については,諸説ありますが「サッカー株式会社(クレイグ・マクギル著)」によれば,イングランドの主要クラブが結託し,独占放送権による巨利を得ようとしたものです。

イギリスのサッカー界は,FAやFLが直接,放送会社と契約をするのではなく,プレミア・リーグが放送会社と独占契約を行っています。このため,この独占契約の恩恵を,FL1部リーグのポーツマスFCは受けることができません。プレミア・リーグのクラブの70%は98/99年シーズンに経常利益を上げたのに対し,FLのクラブの90%は赤字を記録しているということです。このため,ポーツマスは,セリエAのペルージャが中田を獲得したときと同じように,JAPANマネーを当てにして日本人選手川口を獲得しました。

例えば,イングランドのある監督は,「日本人と契約すれば20万枚のユニフォームが日本で売れるのは確実だ。契約が終わる頃には,リヴァウドを買えるくらいのお金がたまるだろう」と辛辣なコメントを出している。(「サッカー株式会社(クレイグ・マクギル著)」から)

ところが,川口がゴールを死守できず低迷したため,テレビ放送やグッズの売上が伸びず,今,川口は干された状態にいるみたいです。川口の失点が多かったのはポーツマスFCの守備陣がザルだったためみたいですが。
http://news.lycos.co.jp/topics/sports/kawaguchi.html?cat=6&d=02sankeispo020
http://news.lycos.co.jp/topics/sports/kawaguchi.html?cat=6&d=27sankeispo013

44の補足(2002/03/07)
ポーツマスが川口を獲得したわけポーツマスの会長が川口を日本に高値で買い戻させようとしています。Japanマネーのない川口は用無しということです。http://www.nikkansports.com/news/soccer/p-sc-tp0-020306-01.htmlhttp://sports.yahoo.co.jp/soccer/headlines/reu/20020306/spo/09340000_reu_10070115.html

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43 (2002/03/03) アイク生原氏と横浜の関わり その1

40で書いたアイク生原氏について奥様の生原喜美子さんが書かれた「ドジャースと結婚した男 夫・アイク生原の生涯」は,最近やっと読んだんですが,その中で横浜の話が数カ所ありました。まず,ひとつめは,ピーター・オマリー氏の3Aスポーケンでの修業時代,生原氏はそこではじめて働くことになったわけですが,そこでのピーター・オマリー氏の回想。あえて,引用させていただきたいと思います。

「私たちは,スポーケンにいた頃,私とアイクが日本のどこかに住み,プロ野球チームを運営する計画が実現するかどうか,話し合ったものだ。これは,私たちにとって練習問題でだった。なぜなら,私たちは横浜でチームを持って運営していくにはどうすればいいだろうと考えて話し合っていたからだ(当時,横浜にはプロ野球チームはなかった)。私たちは,よりよい球場を持たなくてはと考えた。それにはどうするか。まず,球場を修理しなくては。・・・(中略)・・・ もし,アメリカ人が日本で野球チームを持ったらどうするか。このことをアイクはどう考えるか。そこでは,どんな問題がおこるだろうか。そして,私たちは,それをどんなふうに解決していけばいいのだろうか・・・」
ピーターさんは,アイクの助言を聞きながら,シミュレーションしていたのです。しかし,この夢物語は実現することはありませんでした。(「ドジャースと結婚した男 夫・アイク生原の生涯」ベースボールマガジン社,生原喜美子著)

これは,ホエールズが横浜に移転する10年以上前の話ですが,プロ野球経営を考えるうえで貴重な話だと思いました。そして,日本プロ野球のMLBマイナー・リーグ化という話もでている今,ピーター氏とアイク生原氏の二人だっらどうしたか,ふと考えてしまいます。ピーター氏は健在ですから,可能性はあるかも?
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42 (2002/2/28) メディア化したスポーツ

2002年1月,横浜ベイスターズの株式譲渡問題は,TBSグループがマルハから株式を全面的に買収し,経営権を取得し決着しました。この買収劇は,平成不況を象徴であると同時に,日本球界初の放送メディアによる球団買収で注目されました。

元電通マンでスポーツナビの代表である広瀬一郎氏は,「スポーツは・・・,一般性や公共性を持ちやすい。そこからコンテンツとしての価値,メディア・ヴァリューが生まれてくる」と述べています。80年代以降,衛星放送やケーブルテレビの発達普及によって,メディアのマルチチャンネル化,有料化が進み,このスポーツの持っているメディア・ヴァリューに注目されるようになります。

プロスポーツにおいてもメディア収入の割合が,近年急拡大し,例えば,「大リーグと都市の物語」(宇佐見陽著)によれば,大リーグでは,球団収入に占めるメディア収入の割合が,1946年の3%から1990年には50%へと急増し,大リーグ全体を見ても1984年には入場料収入を上回るようになったそうです。サッカー・ジャーナリスト後藤健生氏よれば,イタリア・セリエAのユベントスの年間収入(1999−2000)は日本円で140億円に達し,その大半はペイパービュー・テレビからの放送権料とグッズの売上であり,入場料収入の割合は15%に過ぎないといいます。6年前までは60%を占めていたのにです。

さらに,近年では,TBSがベイスターズを買収したように,メディアが直接プロスポーツを所有するようになります。大リーグでは,タイム・ワーナーがアトランタ・ブレーブスを,FOXグループがロサンゼルス・ドジャースを,ウォルト・ディズニー(ABC放送を所有)社はアナハイム・エンゼルスをそれぞれ所有しています。このほか,スポーツジャーナリズム論の山梨学院大学教授はよれば「20%〜40%の権利支配で球団経営に関与しているメディアは多い」とし,「大リーグでは8,NBAは8,NFLは2,NHLにいたっては11チームもあるという」ことです。

そして,ついにはプロスポーツ側が逆にメディアを支配するようになります。読売新聞運動部の「誤解だらけの大リーグ神話」によると,1999年ヤンキースとニューヨークに隣接するニュージャージーに本拠を置くNFLのネッツと対等合併し「ヤンキーネッツ」という会社を設立しますが,その狙いは,テレビ市場への直接参入でした。事実,それまでヤンキースのローカル放映権を独占していた「ケーブルビジョン」に代わり,2002年から独自のケーブル局をスタートさせることになりました。
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41 (2002/2/26) プロとアマチュアの歴史

イギリスで生まれた近代スポーツの多くは,民衆の遊びを上流階級(ジェントルマン)が取り入れ,近代スポーツへと確立していきました。もとは民衆の遊びでしたから近代スポーツの確立とともに,スポーツの大衆化が進行していきます。これに対し,余暇としてスポーツを楽しむことができるジェントルマンたちは,アマチュアリズムというものを作りだしました。余暇の少ない大衆にとって,プロ化は避けられず,このプロを閉め出すことにより,ジェントルマンたちは自分たちの既得権を守ろうとしたのです。イギリス生まれのサッカーやラグビーはこのプロ・アマ対立の歴史を持っています。

サッカーは1863年のフットボール・アソシエーション(FA)の設立を起源としていますが,このFAは,純粋なアマチュア組織として発足し,当初プロ選手の登場を快く思っていませんでした。その後渋々プロ選手を受け入れますが,組織はアマチュアのFAとFAの下部組織としてのプロのフットボール・リーグ(FL:1888年結成)の二本立てになっています。

一方,ラグビーは,1871年サッカーに対抗してラグビー・フットボール・ユニオン(RFU)が設立されます。このRFUは,あくまでもプロを拒絶したため,プロ側は,1895年,RFUとは袂を分かちプロ・リーグ(後のラグビー・フットボール・リーグ)を結成します。このプロ・リーグは,観客増のためルール変更も行われ13人制のリーグ・ラグビーへと変化していきます。

ベースボールも,イギリス生まれのサッカーやラグビーと同じように「民衆の遊び→上流階級のスポーツ→近代スポーツの確立→スポーツの大衆化」というプロセスをたどって普及発展しましたが,大衆社会の米国では,結局アマチュアリズムは普及せず,サッカーやラグビーのようなアマチュアとプロとの深刻な対立は起こりませんでした。

ベースボールは,大衆化も早く,プロフェッショナルを受け入れる下地ができていたと考えられます。1869年には初めてのプロ野球チーム,シンシナチ・レッドストッキングズが誕生し,1871年には最初のプロ・リーグ「NAPBBP」が結成され,1876年には最古の大リーグ,ナショナル・リーグが誕生しています。
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40 (2002/2/25) 二人のアイク

ベースボール・マガジン社会長池田恒雄氏が2月9日亡くなられました。週刊ベースボール3.4号の「オレが許さん!」で豊田泰光さんが,恒雄会長の死を悼む言葉を寄せられていました。

私がプロ野球に興味を持ち始めたのは,巨人の九連覇と巨人の星の時代ですから,巨人全盛時代でした。ですから,ご多分に漏れず最初はプロ野球ファンというよりも巨人ファンでした。それが,プロ野球全体に興味を持つようになったのは,越智正典さんのミユキ野球教室と週刊ベースボールでした。週刊ベースボールは,私のプロ野球の原点でもあります。改めて,池田恒雄ベースボールマガジン社会長に深く感謝いたします。

日本テレビのアナウンサーだった越智正典さんが,アメリカのメジャー見聞録「野球王国光と影 この目で見た大リーグ」を出版されました。その中に「ドジャースの日本人職員」としてアイク生原氏を紹介しています。

アイク生原氏こと生原昭宏さんは,早稲田大学卒業後,社会人野球を経て当時東都の三部だった亜細亜大学の監督に迎えられ一部昇格を果たすと,大リーグ勉強の夢が芽生え,鈴木惣太郎さんの門をたたき,渡米されました。渡米後はドジャースのファームで下積みをつみ,やがてドジャースのオーナー補佐としてピーター・オマリー氏にとってなくてはならない人になりました。

越智さんは著書で,アイク生原氏について「・・・これからの日本野球をになうのはこのような男ではないか−野球に己のすべてを賭けられる男ではではないか−と思えてくる」と述べてきます。そのアイク生原氏も日本球界で活躍する場もなく,1992年10月26日55歳で亡くなられました。

その生原氏の生涯を奥様の生原喜美子さんが著しています。「ドジャースと結婚した男 夫・アイク生原の生涯」,生原氏が亡くなられてから5年後の1997年ベースボールマガジン社から出版されました。そのときの発行人が池田郁雄氏。池田恒雄会長の御子息で当時恒雄氏の後を受け社長を務めていました。愛称はアイクだったそうです。その郁雄氏も1998年11月24日58歳で亡くなられました。(ですから,恒雄会長の葬儀の喪主は三男の哲雄現社長でした。)

マーティ・キーナート氏は,1998年の著書「スター選手はなぜ亡命するのか」でコミッショナーについてもその地位にふさわしい能力と行動力を持った人物として池田郁雄氏を上げていました。その年に郁雄氏は亡くなられたことになります。

インターネットで池田郁雄氏の記事を検索してでてきた産経新聞の記事によれば,郁雄氏は,二十代半ばを米国で暮らし,ピーター・オマリー前ドジャース会長とは「二十五年来の,そして,最後の旅を共にした親友だった。」といいます。

ピーター・オマリー氏と池田郁雄氏は野球がオリンピック競技になるように尽力され,「野球のこと,オリンピックのこと…いろんなことを二人で,時を忘れて話したよ。いつものように『また会おう』と別れたのが七月九日だった」そうです。そして,オマリー氏の代理として,野球のオリンピック競技化のため世界中を飛び回っていたのがアイク生原氏でした。

産経新聞の記事は最後,次のような文書で結んでいます。「惜しまれる志半ばの死。スポーツ評論家のマーティー・キーナートさんは『それでもアイク(池田氏の愛称)は治ると信じて挑戦を続けていた』と遠くを見やった。」これはアイク生原氏にも共通した思いだとおもいます。

ここに,故人のご冥福を心からお祈りいたします。
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39 (2002/2/24) 一年中とシーズン制

週ベ3.4号でタイガースの特集をしていました。36で一年中プロ野球という話をしたように,日本では一年中プロ野球の話題が絶えません。シーズンの何ヶ月も前からプロ野球の話題で盛り上がります。そして,阪神タイガースという球団は,シーズン中よりもシーズン前の方が盛り上がったりします。今回も星野監督の就任でもう優勝が決まったかのような人気ですが,これは数年前,野村前監督が監督になったときもそうだったような気がします。タイガースファンは,この季節が長く続くことを願っているんじゃないかと思ったりします。まあ,弱小球団のファンというものはこんなもんではないでしょうか。(タイガースファンほかの皆様,ご免なさい。)

日本のプロ野球では,シーズン前であっても,人々は新聞やテレビを通じて,プロ野球しています。パンチ佐藤が週ベ(3.4号)のコラムで個人ノック,夜間練習,朝の散歩は春期キャンプで要らないと言っていますが,これらは自分を鍛えるためではなく,話題作りのためプロ野球しているからと言うことができます。アメリカ大リーグでは,キャンプは話題作りのために行うのではなく,シーズンに備えるために行います。プロ野球するのはシーズンに入ってからです。

パンチ佐藤と同じ週ベのコラムで,TBSアナウンサー豊田綾乃さんがオリンピックの取材先のソルトレークで,「しかし,オフシーズンの今,どのスポーツニュースも野球について触れていないのです。オリンピック一色というわけではないのですが。オリンピック情報,NBA,NHLなどまさにシーズンというスポーツばかり取り上げられていました。日本ではプロ野球もキャンプシーズンといえども,スポーツニュースから野球の話題が消えてしまうことはほとんどありません。日本の野球というスポーツに対する気持ちの強さを感じました。」と書いています。

これは,アメリカは「するスポーツ」にしろ,「見るスポーツ」にしろシーズン・スポーツ制を執っているのに対し,日本ではモノ・スポーツ制だからです。日本では小学生の頃から,野球選手は野球しか,サッカー選手はサッカーしかしません。プロ野球とJリーグのシーズンもダブっています。これはファンも同じです。プロ野球ファンはプロ野球だけ,Jリーグファンはサッカーだけ応援するという傾向があります。そして,Jリーグができたのはたかが10年前であり,何十年に渡ってプロスポーツ界はプロ野球が独占してきました。ですから「スポーツニュースから野球の話題が消えてしまうことは」ありえません。
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38(2002/2/23) ダイエー球団は救われたか 5

22日ダイエーの高木社長と球団の高塚社長が会談し,中内氏のオーナー職辞任,保有する球団株40%の無償提供は撤回されました。ダイエー本社にとっても3点セットの処分(地元金融機関による出資など)には,球団の活躍と地元福岡の協力が不可欠であり,300万人動員という球団としての成果と地元福岡の支援・声援をバックにした中内正オーナーをこの時点で排除するのは得策ではないと判断したものと思われます。

正オーナーは福岡に骨を埋める覚悟のようですが,正氏にしても福岡市民や県民にしても,そしてプロ野球全体でも,一人のとんでもない男にある意味感謝を忘れてはいけないと思います。その男とは中内功氏です。彼がバブル期にホークスを買収して福岡に球団を移転してこなかったら福岡の市民や県民は,ホークスを応援することはできなかったはずです。福岡ドームを建てなかったら,年間300万人動員という球団が生まれたでしょうか。今や福岡ドームは福岡のランドマークになっています。正氏にしてもホークスがなかったら,今の彼の居場所は存在したでしょうか。ホークスがあるから彼は今回救われたのです。

去年の暮れからプロ野球を震撼させた球団身売り騒動は,プロ野球ビジネスで成功例といえるベイスターズとホークスで起こりました。そしてその危機を救ったのは球団の経営力でした。決して36条の6ではないし,ナベツネ氏の支援によるものではありません。ホークスは300万人の動員力,ベイスターズは独立採算企業のノウハウでこの危機を乗り越えたのです。ホークスについてはまだ,完全に乗り越えたとはいえませんが,ホークスを応援する地元ファンの存在がある限り,期待が持てます。
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37(2002/2/22) ダイエー球団は救われたか 4

ダイエー本社の高木社長が福岡に訪れ,地元金融機関の福岡シティ銀行,西日本銀行,福岡銀行に福岡ドームとホテルへの出資を要請したそうです。ドームとホテルの証券化は断念した模様です。

また,ダイエー本社側は,「中内一族を一掃したい。けじめが必要」と言っているのに対し,中内オーナーは「ボクは中内のためにもダイエーのためにも(オーナーを)やってるわけじゃない。福岡のためだ。今のダイエーに株は譲れない。自分の人生観として一生続けていく」と言っています。中内氏が強気な背景には,いわゆる3点セットの黒字化があります。

ところが,日刊スポーツによれば,ダイエー本社が「(球団への)支援金をはじめ、福岡ドーム内の広告撤去、年間シートの削減など16億円以上を削減」するとのこと。こうなると福岡3点セットの経営状況も苦しくなってきます。3点セットの黒字化もダイエー本社のスポンサーシップによっていたわけで中内オーナーの立場も悪くなってしまいます。地元福岡はいつ身売りするか分からないダイエー本社よりも福岡に骨を埋めると言っている中内オーナーを支援していますが,福岡ドームの赤字体質を考えると大スポンサー無しには球団経営はかなり難しいのではと思います。

http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020222-06.html(日刊スポーツ)
http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/02/22/01.html(スポニチ)
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/feb/o20020221_10.htm(報知)

あれだけ中内オーナーを支援すると言っていた巨人の渡辺オーナーは今回は今のところ静かです。それから話が変わりますが朝日新聞にプロ野球論を寄稿しメジャーを批判した渡辺氏の命を受けてか読売新聞運動部が「誤解だらけの大リーグ神話」と言う本を2月中公新書から出しています。と言っても中身はまじめなものです。ボスがボスだけに逆に偏見で深読みしてしまいます。
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36 (2002.2.21) 一年中プロ野球

長時間享受というのは何も試合だけのお話しではありません。NPBやMLBは4月から10月までの7ヶ月間リーグ戦が続きます。ヨーロッパ・サッカーも8月から5月までの10ヶ月あまり試合が続きます。楽しいことは長く続けていたいということで,プロスポーツのリーグ戦はかなりの長丁場です。

Jリーグができる前,ボールゲームのプロスポーツといえば,プロ野球だけでした。プロ野球しか,ボールゲームの話題がないですから,スポーツ新聞では,シーズン・オフでもプロ野球の話題を追っかけていました。11月はドラフトの話題,12月は契約交渉,1月に入ると自主トレ,2月はキャンプ,3月はオープン戦,そして4月から10月までが本番のペナントレースと日本シリーズです。

NPBの選手は4月の本番までに3ヶ月も前からトレーニングしています。来日した外国人選手は,NPBの選手は練習のしすだとよくいいます。NPBのOBも,3ヶ月練習しなくても,ひと月もあれば準備ができるといっています。これは,ドジャース入団が決まった石井一久投手をみても分かるとおもいます。

昔,西鉄の稲尾投手は,「ファンによって投げさせられた」ということを述べていました。日本のプロ野球選手が1月からトレーニングを始めるのは,プロ野球ファンの要求に応えたものではないでしょうか。プロ野球ファンはプロ野球が待ちきれないのです。そしてシーズン前は,どの球団も優勝を狙えるわけですから,この時期はプロ野球ファンにとって,結構居心地のいい時期です。この居心地のいい時期は長い方がいいわけです。
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35(2002/2/21) メディアとスポーツとの関わり バドミントンとJリーグ

メディアとスポーツの関わりについて,昨日(20日)の朝日新聞に気になる記事が二つありました。ひとつはバドミントンのルール改正の話です。「バドミントンの「7点×5ゲーム制」が試験的に導入されている。通常は15点×3ゲーム制(女子シングルスは11点)だが、テレビ放映やスポンサーの獲得をめざす国際バドミントン連盟(IBF)が、試合時間が短縮できたり、CMが入れやすくなったりするとして新ルールを試している。」ということです。メディアの求めるものは,試合時間の短縮とCM時間,そして攻撃的であること。バレーボール,ソフトボールに続きメディアによるルール改正と言うことになるのでしょうか。関連コラムbP6bQ1

それから,Jリーグが「放送権(全国中継)を獲得した放送局が3社に増えて放送権料収入が01年年度予算の倍となる50億4千万円となったため,収入は26億増の105億8100万円。支出は105億7800万円で過去最大の予算規模となった」やっぱり,全国中継については,リーグ(機構)管理すべきであり,それも1社ではなく2〜3社による独占中継が世界的な基本になっています。
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34(2002/2/21) 続々 ダイエー球団は救われたか
下線部2002/2/22加筆

昨日(20日)の新聞では仮の話と言うことでしたが,今日(21日)の新聞では,早速ダイエー球団の中内正オーナーは,ダイエー本社の呼び出しを受け,「保有する球団株40%の提供と,オーナー職の辞任,グループ企業の全役職からの辞任を正式に要請された」ということです。「これに対し同オーナーは「はい、そうですか、というわけにはいかない。お断りした」と拒否。今後も球団経営にかかわっていく意思を明らかにした。」とのこと。
http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020221-04.html

中内正氏は,いわゆる3点セットの福岡ダイエーホークスはオーナー,福岡ドームとホテルを運営している福岡ドーム,とそれを所有している福岡ダイエー・リアル・エステートについては社長を務めています。ただし,ホークス株の60%はダイエー本社が所有しており,中内氏がオーナー職の辞任を拒否しても,解任される可能性は大きい。ホークス株40%の無償提供は,法的に強制力があるわけではありません。その場合は,その場合は単なる大株主として残るということです。ただし,それが借金の担保に入っている場合は,強制力があるそうです。

しかし,これよく考えてみると「中内正氏」から「ダイエー本社」への実際上の保有者の変更ではないでしょうか。今の球界の解釈であれば,実際上の保有者の変更は,野球協約31条に該当し,36条の6で加盟料30億円が発生することになるはずですが。

もとは,ダイエー本社を中内家が所有していたわけで,100%中内家がホークスの実際上の保有者で問題がなかったわけです。ところが,ダイエー本社が本社再建のため中内家外しを行った結果,ダイエー本社と中内家は関係なくなってしまった。そこで問題になるのが実際上の保有者は誰なのか?ダイエー本社か,中内正オーナーか?株式の所有であれば,それはダイエー本社ですが,経営権の実権で言えば,はいまのところ正オーナーにあります。後者の説をとれば,正氏がオーナー職を解任されると「中内正氏」から「ダイエー本社」への実際上の保有者の変更ということになります。
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33 (2002/2/20) 続 ダイエー球団は救われたか

ダイエーの続編です。2月20日の新聞によれば中内正オーナーは,球団株の無償提供の要請を否定するとともに,仮に要請を受けても「断らざるを得ない」と話したといいます。さらに「確かに自分は中内の名はあるが、本社の経営にはかかわっていない。経営責任と言われても戸惑う」と述べています。

しかし,中内正オーナーが所有する40%の球団株は,一昨年父親の功前オーナーから譲渡されたものであり,ダイエー本社の再建問題で中内功氏の私財提供という話が出ているのなら,本人が本社の経営に拘わっていなくても,正オーナーの球団株の提供は避けられないのではないかと思います。もとは功氏の私財であり,その私財の提供を求められている以上他人事ではないと思いますが。http://www.nikkansports.com/news/baseball/p-bb-tp0-020220-08.html

中内正オーナーは,福岡ドームの構造的な赤字体質を抱えながら,ホークスの観客動員は年間300万人を超え,プロ野球経営者としては一応成果を上げています。年も若く,これから期待できる経営者の一人ではありますが,巨人の渡辺オーナーに褒められて感激しているところをみるとちょっと怪しいですが。中内正オーナーについては1月にウェブ報知にインタビュー記事が載っています。http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20020106_110.htm(オーナーに聞く 上 )
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20020107_90.htm(オーナーに聞く 下 )
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jan/o20020126_30.htm(中内オーナー感激)
それから,福岡ドーム・ホテル・ホークス3点セットの経営状況についてはマーティ・キーナート氏がコラムで述べています。
http://journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp?w=106202
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32 (2002/2/20) ダイエー球団は救われたか

このショートコラム「wind」もいくつか書きためていたものがあります。そのひとつが,2月2日のナベツネ・プロ野球論に対する反論のひとつとして書いておいた「ダイエー球団は救われたか」というものです。

巨人の渡辺オーナーは,安易な球団買収を防止するため,プロ野球協約36条の6の加盟料30億円を残すといっています。これは,逆に言えば,お金を出せば,品位などに関係なく球団を買収できるということになります。消費者金融の会社もお金を支払えばオーナーになれるというわけです。他方,地方の地元企業が球団を買収しようとするときも,市民が資金を出し合って買収しようとするときにも,30億円の加盟料を支払わなければいけません。

また,渡辺オーナーは,30億円の加盟料について,ダイエー球団を債権者から守るためという理由も上げていますが,ダイエー球団が今度,売却する必要ができたとき,今度は返って売却の足かせになってしまいます。だいたい株式を譲渡しただけで,加盟料30億円が必要などということは,企業の継続性からいってナンセンスなことです。

ところが,2月19日のスポニチによればhttp://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2002/02/19/01.html
「福岡ダイエーホークスの中内正オーナー(42)がダイエーグループから“追放”されることが確実となった。18日、ダイエーとUFJ、三井住友、富士の主力3銀行が球団株式40%を所有する同オーナーに対し全株式を事実上無償で提供するよう要請したことが明らかになったもの。今後のダイエー本体の意向次第では球団身売りに発展する可能性は否定できない。」という。36条の6は,債権者からオーナーを守ってはくれない。
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31(2002/2/19) スピードアップ

今シーズンのストライクゾーンの拡大は,試合のスピードアップ化を図るためだと言います。巨人の渡辺オーナーによれば「野球規則通りに進行すれば,1時間は短縮できる。試合時間の短縮とTV完全放映は,野球離れ対策の妙薬となろう。」

野球ファンが単に試合のスピードアップを求めているわけではないことは,22・23の長時間享受で述べたとおりですが,そうかと言って,私は試合時間の短縮を否定しているわけではありません。平日のナイターになると試合開始が6時台だと開始時間になかなか間に合いません。終了時間も10時近くなると子供連れにはきついものがあります。観る方にとっては,7時開始の9時半終了というのがいちばん都合がいいと思います。実際はもっとゆっくりしたいですが。

テレビの側にしても,試合開始から試合終了まで放映するのが本来の姿であり,過去にもいろいろな工夫がされてきました。試合開始時間を早めたり,放映時間の1時間延長,リレーナイター(日本テレビの放映時間終了後試合終了までTVKで放映)などを行ってきましたが,今は30分の放映時間延長だけです。1時間の延長は,野球中継の後の番組のファンなどから苦情が出たためです。このように試合時間のスピードアップ化はテレビ局の要請でもあります。

ところが,横浜ベイスターズの球団所有を結果として争ったのがデジタルBSのBSフジ(ニッポン放送)とBS−i(TBS)でした。読売グループは,デジタルBSと同じ位置にある東経110度CS(CS日本)で巨人戦70試合の完全中継を行います。こうなるとテレビ局側も変わってきます。これらBSやCSのチャンネルは,NHKのBSを見ても分かるように放映時間を如何に埋めるかが問題になっています。つまり,放映時間についてはシビアではなく,かえって中継時間が長くなったほうが歓迎されたりします。
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30 (2002/2/18) 千葉マリン,結局人工芝

今日は,サイトの宣伝を兼ねて,横浜ドーム関連情報コーナー「横浜ベイパーク@高島ヤード」からのお話しです。まず,2月13日神奈川県野球協議会は,横浜ドーム建設実現のための約18万人分の署名を横浜市に提出しました。協議会の方は,開閉型の天然芝グラウンドを要望しています。私はこちらに署名をしました。実現する会は12月に44万人分の署名を提出済です。

天然芝への張り替えかと注目された千葉マリンスタジアムは結局,人工芝を張り替えるだけみたいです。今年の11月から工事を始めるみたいです。新しい人工芝は,今より弾力性があると言うことですが,フィールドターフなのかは不明です。ナゴヤドームは,塁間を茶色の人工芝に変え,17日にお披露目があったそうです。人工芝に模造土と言うところでしょうか。昔,セ・リーグの広報部長をしていた故八木一郎さんが人工芝を最初,模造芝と訳そうとしたそうです。結局,人工芝にしてよかったと後日談で週ベに書いていました。模造芝じゃ,これほど普及しなかったでしょうね。

東京ドームも新しい人工芝に張り替えるそうです。こちらは,ハイテク人工芝と言われるフィールドターフだそうです。でも,結局はフィールドターフの下もコンクリートであることには変わりはありません。松井選手のいう「人工芝は人工芝」ということです。

最後にここに来て横浜スタジアムの鶴岡社長が,横浜スタジアムを天然芝に張り替えてもいい,野球専用でもかまわないという発言をしています。天然芝にすると,ハマスタ名物の可動内野席が可動しなくなってしまいますからね。

注 千葉マリンスタジアムの新人工芝は一応ハイテク人工芝でフィリーズのヴェテランズ・スタジアムでも使用している
NeXturfだそうです。
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29 (2002/2/17) 交流戦

プロスポーツはリーグ戦が基本です。しかし,リーグ戦には欠点があります。それが消化試合です。その消化試合の解消策としてMLBではディビジョン制やポストシーズンというものがあります。巨人の渡辺恒雄オーナーは,「マイナーズの属するア・リーグ西地区はたったの4球団で,それではゲームがつまらない。そこで,97年から交流戦を始まったのだが,組み合わせはアットランダムで,勝敗の統計上の継続性,整合性,正当性は完全に失われた」と批判しています。

MLBは,NL中地区は6球団だし,地区の2位でもワールドシリーズに優勝できたりと不思議ですが,これも消化試合をなくすための工夫なわけです。結果は,10月の日米の盛り上がりの差を見比べれば一目瞭然でしょう。リーグ戦といっても,半年を越える長丁場になると中だるみでてきます。そこで,折り返しの時期にオールスターゲームを挟んだりしてきたわけですが,さらにもうひとつの工夫が交流戦(インターリーグ)です。

MLBの交流戦の組み合わせがアットランダムだということで批判していますが,それを言ったら相撲の取り組みの方がもっとおかしいでしょう。総当たりのようで総当たりではなく,取り組みが恣意的と言えば恣意的ですし。この相撲の横綱審議会の委員長は,渡辺オーナーだったはずです。「勝敗の統計上の継続性,整合性,正当性は完全に失われた」と言われていますが,統計上で言えば試合数の変更の方が問題で,「130試合」から「135試合」「140試合」に変更なった方が大問題です。MLBでは,交流戦を行っても162試合という試合数は変更がありませんでした。

渡辺オーナーは,最初交流戦に反対していたが,去年の11月人気回復案の1つとして交流戦開催へ前向きな発言し,その後,コミッショナー,パ・リーグ側が乗り気になると急にトーンダウン。「ペナントレースの勝敗にはカウントしないカップ戦開催を提案。メジャーで行われている交流試合については『賛成できない』」という。カップ戦ではサントリーカップと何等変わりません。
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28 (2002/2/16) 野球における投手の意味

ボールを投げるという行為は,肩や肘に負担がかかります。けれども,すべての投手が肩や肘を故障するわけではありません。筋力がその負担に耐えられば故障は起きません。つまり,負担<=筋力なら大丈夫だけれども,負担>筋力になっら故障が起こるということです。

ではどうしたら防げるか?それは負担を減らすか,筋力を上げるかのどちかということになります。球数を減らすことも負担を減らすことになりますが,立花氏は「投げなければ,ボールのキレもでないし,コントロールもつきません」と言っています。ようは,ある程度投げ込まないとうまくなれないということです。球数をある程度投げ込めるようにするには,ひとつは肩や肘に負担のかからない正しいフォームを身につけさせること。ひとつは筋力トレーニングにより,筋力アップを図ることです。言われてみれば単純なことです。

野球ははじめ打つゲームでした。初め投手の役目は,打者に打ちやすい球を投げることでした。ところが,投球技術や野球用具の発達によって,ルールも変更され,次第に野球は投げて打つゲームに変わっていきました。これは19世紀後半,野球がプロフェッショナル・スポーツとして普及発展していった時期にあたります。つまり,野球はプロスポーツとしての発展と引き替えに,投手の肩や肘の故障という問題を抱え込むことになったのです。
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27 (2002/2/15) テーマは「ボール」 週べ2.25から抜粋

海老沢泰久 EXTRA Innings
「ドラゴンズが今年から試合使用球・・・「ミズノ」のボールに変える。・・・それでもミズノのボールは飛ぶらしいのである。それは全球団「ミズノ」のボールを使用しているパ・リーグとジャイアンツだけしか使用していないセ・リーグの昨年の総ホームラン数をくらべれば非常に分かる。1021本と781本なのである。むろん,セ・リーグではジャイアンツが196本で群を抜いている。」

ドラゴンズの結果によっては「飛ぶボール」が実証される分けですね。では,ボールが飛ばなかった戦前のプロ野球は?

山崎 武 「べーすぼーる」クロニクル
「(1936年12月職業野球連盟誕生の秋)年度最後になった洲崎の21試合は全試合1点台。巨人とタイガースが3連戦で行った優勝決定戦は,日の短い12月に,それも午後2時試合開始だったが,3試合とも3時半にもならないうちに片が付いた。1時間15分,1時間26分,1時間12分プロ野球はスピードが見所というキーワードの一端が,「楽しい野球」の前奏となった。」

試合時間がなんと早いことか!今年(2002)からストライクゾーンを広げて,投手有利にして試合時間を短縮しようとしていますが,さあ,どーなるやら。ボールを投げるピッチャーは,ヒジに負担がかかり投球練習に限界があるのに,バッターはバッティングマシンによりいくらでも練習できるようになった,だから「打高投低」なんだという意見があります。

立花龍司のコンディショニング・セミナー 野球ヒジ
「では,このようなヒジの障害はどのようにすれば予防できるのでしょうか?主に次のようなことが考えられます。1 投球フォーム,2 筋力,3 球数,4 アップダウンです。この中でも,特にフォーム,筋力が重要だと思います。球数も大切ですが,正しいフォームで,十分な筋力,筋持久力があれば,問題ありません。やはり,投げなければ,ボールのキレもでないし,コントロールもつきませんから。・・・・・日本は筋力がないのに投げ込みすぎ,アメリカは筋力があるのに投げ込みが少な過ぎるということです。」
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26(2002/2/14) プロ野球はリーグ戦

プロ野球ビジネスで何が一番キーになるのは何かと聞かれたら,私は「リーグ戦」と答えます。リーグ戦は何もプロ野球だけの話ではなくプロサッカーでもプロバスケットボールの世界でも同じです。リーグ戦があるから,下位球団でも,あらかじめ試合数が確保され,計画的な選手への投資と安定した収入が可能になります。トーナメント戦では,大金を使って優秀な選手を集めても1回戦で負けてしまったら収入は途絶えすぐに解散です。

リーグ戦は,参加球団による総当たり制で,参加球団に公平に勝利と収入の機会を提供してくれます。参加球団と試合数が確定した最古のリーグは,1876年結成された米国のナショナル・リーグです。イギリスのプロサッカー・チームは,このナショナル・リーグを参考に1888年フットボール・リーグ(FL)というプロ・リーグを結成しています。

このリーグ戦の欠点は,消化試合ができてしまうということです。優勝争いからはずれたり,優勝が決まった後の試合は,リーグ戦としての興味が失われてしまいます。そこで,この消化試合をなくすため,メジャー・リーグではディビジョン制やポストシーズンというものが考えられて来たのです。サッカーでは,入れ替え制やチャンピョンズ・リーグへの出場権といったものです。
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25(2002/2/13)  ファーストフードとテーブル席

12をお読みいただいたヤクルトファンのきよし@川口市さんから掲示板に、「観戦しながら片手で食える食べ物」の情報提供がありました。どうもありがとうございました。それに,実際,クレープ作りに挑戦されたそうです。

「観戦しながら片手で食える食べ物」  ホットドッグ サンドイッチ 鉄火巻き ハンバーガー 中華ちまき
このうちサンドイッチと鉄火巻きはギャンブルに関係しています。

12で,フェンスと弁当の関係を話しましたが,その弁当の難点というのは,「両手がふさがる」「食べるとき下を向く」というものです。これをクリアしているのがサンドイッチ,ハンバーガー,鉄火巻き,ちまき,クレープ,それからおにぎり。「観戦しながら片手で食える食べ物」と言えば,ファーストフードということになりますが,牛丼やカップヌードルは,この2点をクリアできていません。では,どうするか。後者をクリアできませんが,前者をクリアできるのがテーブル席です。

今年,オリックス球団が神戸市の委託を受けGS神戸を運営管理することに伴い,「5人まで座れる国内初のテーブル席を「ファミリーゾーン」として設置、1塁側に19ボックスを設け、1ボックス8000円で売り出す。」そうです。去年はフェンスを低くしていますから,弁当の難点に対するオリックス球団の解答がこれだと思います。それから,テーブル席と合わせて,「ホットドッグ店、イタリアや中国料理の専門店」もオープンさせるとのことです。ホットドッグは分かりますが,イタリアンや中国料理に,どんな工夫がなされるのか,見物です。
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24(2002/2/13) クリケットについて

ニューヨーク在住のダイスポさんから,長時間享受に関するコラム22・23に関連してクリケットに関する情報提供がありました。テストマッチになるとクリケットは5日間もかけて行われるということです。ただし,ワールドカップは1日で決着をつけるそうです。野球は,ワールドシリーズも日本シリーズも4試合〜7試合行います。野球も,サッカーやアメリカンフットボールと比べたら,決着までに時間がかかると言う点では,クリケットと大差がありません。

それから,プロ野球の場合,シーズン中は毎日試合がありますが,クリケットが5日間連続して試合を続けるということを考えると,やっぱり野球はクリケットの親戚なんだなあと,思ったりします。つまり,クリケットと野球の違いは,5日間をひとつの試合としてみるのか,5日間の連戦と見るかの違いだけで,5日間毎日ゲームが続くことには違いはありません。

野球は1845年に考案されて,19世紀も後半になるとナショナルパスタイム(国技)の地位を築きますが,最初から野球が国技と呼ばれるようになったわけではありません。こ野球と国技の地位を争ったのが,このクリケットマサチューセッツ式タウンボールでした。
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23 (2002/2/12) 長時間享受2

愉しい時間,喜びの時間,感動した時間,感激した時間は,早く終わりたくない。長くその時間を味わっていたい。舞台やコンサート終了後のアンコールやスタンディングオベレーション,鳴り止まない拍手などは,この味わいを長く享受したいからではないでしょうか。この享受したいという時間は,時代や社会によって異なっています。

クリケットは,18世紀に近代スポーツとして確立しますが,クリケットは3日や4日かけて試合を行います。それは,当時の社会がクリケットの試合を3日や4日もかけて享受したかったからということができます。19世紀の米国では,3/4日もかかるクリケットよりも1日で片が付く野球のほうが受け入れられたとみることができます。これは,社会スピードの違いのほか,余暇時間の違いもあります。

つまり,試合時間が延びても観客が増えていると言うことは,観客がその長時間の試合の内容を享受していることを意味しています。家族4人で試合を観て,食事をして,3時間も楽しめればいうことはありません。平日は,終電や明日の仕事や学校のことが気になりますが。私は,せっかく,試合を見に来たのに投手戦で2時間もかからないで試合が終わったら何か物足りなさを感じます。

そもそも,野球は時間に制限されないゲームのはずです。時間を忘れて,至福の時間を享受したいものです。試合内容を犠牲にしたスピードアップは意味がありません。それよりも3時間を超える試合に耐えられる観戦環境を今のスタジアムが備えているかと言う問題があります。固い椅子,狭い観客席,観るのに邪魔なフェンス,汚く数の少ないトイレ,とても威張れた観戦環境とはいえません。それを我慢してじっと観戦しているファンの状況を球団やコミッショナーは知るべきです。

観客やファンが本当に求めているものは,スピードアップなのでしょうか?

なお,この長時間享受については中村敏雄氏が詳しく著書で述べています。
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22 (2002/2/11) 長時間享受 1

ソルトレーク冬季オリンピックが2月9日開幕しました。その開会式を観ていましたが,予定より時間がかかり,45分放送時間が延長されました。放送局としては大変だったみたいですが,アナウンサーは,「観客は逆に喜んでるのでは」と述べていました。

巨人の渡辺オーナーは先日のプロ野球論の中で3時間半になるプロ野球の試合の短縮化を主張していましたし,コミッショナーも試合のスピードアップを訴えていました。しかし,闇雲なスピードアップは,野球の持っている持ち味を殺してしまうことになります。

渡辺氏によれば,プロ野球の年間平均時間は1950年に1時間44分だったものが,60年代には2時間20分,83年に3時間を超え,88年以降3時間を超え続けています。しかし,試合時間が長くなったからと言って,観客が減ったと言うわけではありません。逆に,60年代年間1000万人達しなかった観客動員数が,1988年以降2000万人以上の観客を動員し続けています。
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21 (2002/2/10) メディア主導によるルール改正

オリンピック競技として採用されたスポーツは,メディア化したオリンピックにおいて,観戦スポーツとしてルール改正が求められています。巨額の放映料を支払うメディアは,テレビ的な見映え(スピード感,華麗さ,スター性,物語性)のほか,試合時間,CM時間の確保といったメディア側の都合に合わせるよう要求します。近年,メディア側の要請により,ルールが大きく変わった競技として,ラリーポイント制を採用したバレーボールがあげられます。バレーボールは,サイドアウト制からラリーポイント制に代わり,得点方法,試合展開そのものが変わってしまいました。

メディアからすれば,野球は,イニング制を採用しているためCM時間の確保という点ではいいのですが,試合時間が決まっていないのが問題となります。このため,日本では,試合の長時間化と相まって,試合の最初と最後を中継しない変な野球中継になってしまいました。サッカーは,試合時間が決まっていますが,ゲームの中断がないため,CM時間の確保が問題になっています。このため,テレビ局からクォーター制を採用するように注文がでたそうですが,これをFIFAが却下したという話しがあります。

プロ野球の長時間化の話しで言えば,攻守交代の迅速化も上げられますが,これにはCM時間の確保という点からすれば,問題がでてきます。CMより攻守交代が早すぎると,一死後からの中継というようにイニングの途中からの中継になってしまいます。これを避けるため,大リーグでは,CM時間中はカメラマンがタオルをカメラに掛けて,CM中であることを審判に知らせるということです。
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20 (2002/2/9) 社会の一員 

日本野球連盟は8日,社会人とプロとの交流試合12試合を承認しました。ベイスターズのファーム,湘南シーレックスは,2月28日横須賀球場で三菱ふそう川崎と対戦するということです。

この三菱ふそう川崎はいすゞ自動車と同じ社会人の神奈川地区に属する企業チームですが,3月10日から行われる社会人のシーズン初戦にあたる東京大会への出場を同日辞退しました。三菱自動車工業は,トレーラーなど大型車のタイヤ脱落事故を受けて,全国で無料の点検と部品交換を行うため人手不足になるからということです。湘南シーレックスとの交流戦はこうなると微妙でしょうか。時期的に大丈夫なのかもしれませんが。

横浜の瀬谷区で起きた事故の影響ということになりますが,一見プロ野球とは関係ない事故のようですが,実はどこかで繋がっているということでしょうか。プロ野球が社会の一員であることを考えさせられました。湘南シーレックスは,プロアマ交流の歴史を作ったチームであり,横浜球団の大堀社長がプロアマを含めた神奈川選手権とか神奈川リーグを提唱したこともあり,プロアマ交流についてはどうしても注目しています。

昨年は三菱重工横浜がクラブチーム化していますし,2月7日には,いすゞ自動車野球部の休止が発表されたばかりです。横浜ベイスターズの親会社であるマルハも経営危機に陥り,すったもんだの末,やっとTBSに株式が譲渡されたばかりです。プロ野球も社会の一員として,スポーツ社会の一員として,拘わって行かなくてはいけないことがたくさんありそうです。
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19 (2002/2/9) 140億円と30億円

今日は数字にまつわるお話です。

大リーグでフロリダ・マーリンズのオーナー,ジョン・ヘンリー氏が,ボストン・レッドソックスを既に買収済みですが,2月1日,そのフロリダ・マーリンズをモントリオール・エクスポズのオーナージェフリー・ロリア氏に売却。これに連動してモントリオール・エクスポズを大リーグ機構が管轄・運営するということが決まったそうです。これでドミノ買収は完了です。因みに,エクスポズは,大リーグ2球団削減案の対象とされる球団ですが,結局,2月5日今シーズンの削減は見送りになりましたが。

マーリンズの売却額は,1億5850万ドル(約212億3900万円)。エクスポズ売却額は約1億2000万ドル(約160億800万円)。横浜ベイスターズの売却額は,約140億円ですが,これは株式の70%の売却ですから,エクスポズの160億円,マーリンズの212億円と比べても,それほど遜色はありませんね。レッドソックスの売却額900億円には比べものになりませんが。日本の球団も大リーグの下位球団レベルぐらいの価値はあると言うことでしょうか。

とは言っても,米国大リーグ,ヤンキーズの今年の年俸は,なんと史上最高額の167億円(2月5日報道)。これは,エクスポズの売却額を上回る金額です。それから今朝(2月8日)の記事で,ヤクルトの石井一久投手が4年契約16億円でドジャースと契約という記事が載っていました。ドジャースはヤクルトにポスティングで15億円払うことになっていますから,石井投手獲得のためにドジャースは,31億円の金額を使ったことになります。

なんと,これはNPBの球団譲渡したときの加盟料30億円を上回る金額です。加盟に30億円かかれば,安易な球団買収を阻むことができるというのが,巨人の渡辺オーナーの主張ですが,ドジャースはたった1人の選手のために30億円を使っています。因みに,今回の大リーグのドミノ買収劇で,加盟料を支払ったという話は聞いていません。
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18 (2002/2/8) バスケットボールクラブ運営会社

昨日の続きです。バスケットボールは,今シーズンから,ホームタウン制を導入し,8チームによるスーパーリーグをスタートしました。いすゞのホームタウンは横浜でした。野球部の方は仕方がないという感じですが,バスケットボールの方は,「運営会社を作る」「1企業で1チームを持つ時代じゃない」という監督の談話が載っていました。バスケットボールの場合,新潟アルビレックス(略称「新潟」)という前例があります。

新潟は,今はスーパーリーグの下の日本リーグにいますが,2002年のシーズンからスーパーリーグに参加することになっています。アルビレックスという名前はJ2のプロサッカーチームと同じですが,一応,運営会社は別になっています。ところで,J2の方はアルビレックス新潟で,地域名とニックネームが逆になっています。それから,新潟にはスポンサーも複数ちゃんと付いています。

運営会社は異なりますが,両アルビレックスは,新潟の地で,スポーツと地域の振興を図ろうというもので,地域総合スポーツクラブの先駆けといてもいいと思います。横浜でもこれにならって,横浜のプロ球団であるベイスターズとマリノスは,新たに誕生するあろうこのスポーツ「クラブ」に,協力と支援をお願いしたいと思います。なお,このスポーツ「クラブ」に,バスケットボールだけでなく野球が含まれることを切に望みます。
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17 (2002/2/7)  いすゞ野球部の活動休止

社会人野球では,最盛期には200を超えた企業チームが今では100を割っているという状況にあります。プロに入れなかった高校球児の受け入れ先として企業チームは,非常に厳しいものになっているのが現状です。そこで,企業チームのクラブ化するなどクラブチームが注目されるようになりました。しかし,クラブチームの運営も難しく,クラブチームの解散も目立ちます。このような状況に対し,元横浜の駒田氏は,2月2日の神奈川新聞でプロの支援によるクラブチームの設立を提案しています。

また,今日(2月7日)の神奈川新聞に,社会人野球の神奈川野球協会の総会が開かれ,2002年度の事業計画などが決められ,総会に続いて01年度ベストナインのが発表されたという記事が載っていました。総会の開かれた場所は川崎市川崎区にあるいすゞ自動車の研修センター。今季から木製バットを使用し,都市対抗の県代表枠は3から2に減ったことが確認されました。都市対抗の代表枠が減ったのは,企業チームの減少を受けたものです。いすゞ自動車の岩渕秀和投手などがベストナインに選ばれ,同協会の会長が「選ばれた選手は,これを門出として今年も頑張ってほしい」と述べていました。

そして,同じ日朝日新聞の夕刊に,いすゞ自動車は本社の業績不振を理由にバスケットボール部と野球部の休部を発表したという記事が載っていました。野球部は,日本選手権後の10月をもって活動を休止するということでした。「何じゃこれ」です。
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16 (2002/2/6) ソフトボールとルール改正

今年(2002年)から,女子ソフトボールの国際ルールが改正になるそうです。バッテリー間を約1b広げ,外野フェンスを約6b拡張するというもので,ボールも黄色の蛍光色。この改正は,ご多分に漏れず,シドニー・オリンピックで観戦したサマランチ前IOC委員長の意向を反映しているそうです。つまり,ソフトボールの試合が投手戦が中心で,試合は本塁打で決まるというように単調な試合が多く,テレビ映えしなかったということでしょう。

バッテリー間の延長や外野の拡張は,野球でも見られた競技技術の高度化による要求と観戦スポーツとしての要求によるものです。競技技術の高度化によって,選手のボールコントロール力が高くなると,競技が返って単調化する場合があります。今回の女子ソフトボールがそれです。投手技術の進歩が打撃技術を上回り,ソフトボールが投高打低のゲームになってしまっていた,というわけです。これを投打のバランスのいいゲームに変えようと言うのが今回のルール改正ということができます。野球で言えば,今シーズンからのストライクゾーンの拡大が上げられます。野球は,ソフトボールと逆で打高投低を是正することを目的としています。
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15 (2002/2/5) ナベツネのプロ野球論に対する反論3 

フランチャイズの規模によってプロ野球の成績が決まるということは,球団の経済力によって成績が決まるということです。球団に経済力があれば,優秀な選手を集めいい成績をあげることができます。ところで,球団の経済力はなにも,プロ野球の市場だけから生まれるのではなく,親会社などの外部の力により生じる場合もあります。

読売ジャイアンツは,親会社でマスコミの読売新聞の力を利用して,優秀な選手を獲得し,優勝を独占し,観客とファンを独占してきました。また,読売ジャイアンツは,日本ではフランチャイズに含まれない放送権市場も独占しています。プロ野球市場において,独占主義的,非市場経済的な行動をとっているのが何を隠そう読売ジャイアンツなのです。その球団のオーナーが,大リーグを社会主義とか非市場経済とか批判するとは筋違いなお話です。やっぱり,彼は球界の我が儘ピエロですね。
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14 (2002/2/4) ナベツネのプロ野球論に対する反論2

プロ野球は,リーグ戦を営む共同企業体ということができます。ですから,各球団の無用な競争を避けるためフランチャイズ制というものがあります。これは地域独占権のことで,特定の地域内の興行を特定の球団が独占する権利のことです。日本のプロ野球では,首都圏と関西圏に球団が集中し,このフランチャイズは厳密には崩れています。しかし,一応,都道府県単位でフランチャイズが与えられています。

メジャーでは,ローカル放送の権利はフランチャイズに含まれています。このため,大都市にある球団と地方の小都市にある球団との間に,財政的な格差が生まれ,それが球団の戦力格差,成績の格差に繋がっています。このため,このフランチャイズの地域格差を埋めるため,財政的に豊かな球団が,財政的に苦しい球団に収入を分配する制度があります。この制度のことを巨人の渡辺オーナーが社会主義的,非市場経済的と「批判」しています。

しかし,フランチャイズの規模が,球団によって異なり,フランチャイズの規模で球団の成績が決まるのであれば,それは共同企業体であるプロ野球にとって由々しき問題です。フランチャイズの規模が球団によって異なっている以上,球団間の成績格差是正のためにも,収入の再分配制度は必要不可欠なのです。
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13 (2002/2/3) ナベツネのプロ野球論に対する反論

2月2日(土)の朝日の朝刊で読売ジャイアンツの渡辺恒雄オーナーがプロ野球論を載せていました。その中で,米国メジャーについて社会主義的,非市場経済的な収入分配制度があると批判していました。これは,彼の持論ですが,彼は,プロ球団のオーナーなのに,プロ野球をはじめとする,プロ・スポーツの持っている特殊性をまったく理解していないことがよく分かります。

まず,野球は,ひとつのチームだけでは試合が成立しません。試合を行うためには最低2チーム必要です。さらに,リーグ戦を行うためには3チーム以上が必要になってきます。企業で言えば,プロ野球は1企業では試合という商品を生産することができません。2つの企業が共同して初めて試合という商品が生産可能になります。さらに,3つの以上の企業が共同して「リーグ戦」興行という商品を生み出すことになります。

プロ野球とは共同企業体なのであって,リーグ内の各球団の関係でいえば社会主義的,非市場経済的になるのは自然なことなのです。
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12 (2002/2/2) 高いフェンスとお弁当の関係

日本の球場にはグラウンドと観客席とを高いフェンスが覆っています。この高いフェンスが観客と選手との距離を遠くしています。なお,高いフェンスが設けられた理由には,ファウル・ボールの危険性から守るというほかに,観客がグラウンドになだれ込んで来るのを防ぐという目的があります。選手と観客は近い存在でなければないのですが,あくまでも選手と観客は立場を異にしています。観客も,観客としての立場を理解し,観客として行動しなければいけません。観客は選手ではないのです。このことをわきまえてこそプロ野球ファンなのです。

ファウル・ボールの危険性で言えば,日本の弁当はお箸を使うため,弁当を食べるとき両手がふさがっていて危険という話があります。これには,食習慣の違いがあって,アメリカでは食事をしてから球場に来るとか,お弁当というものは日本独特のものだとというものがあります。欧米の弁当と言ったらランチボックスにサンドイッチやハンバーガーなどの軽食が入っているものが主流で,ひとつの箱にフルコースの料理が入っている日本の弁当にあたるようなものはないということが某テレビで料理研究家のカーリー西条さん?が言っていたのを記憶しています。

代表的なお弁当に幕の内弁当がありますが,これは芝居の幕と幕の間に食べるお弁当のことを言います。相撲の枡席では,お弁当が付き物です。お花見にもお弁当が欠かせません。このように,芝居や相撲,花見といった日本の昔からの娯楽にお弁当は付き物でした。プロ野球と弁当という関係を一考してみる必要があると思います。何かそこに新たな発見があるかも知れません。
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11 (2002/2/1) 野球ほど,観客席にボールが飛んでくる競技はない

野球ほど,観客席にボールが飛んでくる競技はありません。考えてみれば,野球の元になったタウンボールは,ファウルゾーンなどはなく四方八方すべてフェアゾーンであったわけですから,考えてみれば当然と言えば当然です。ボールが飛んでくるところに観客席ができたわけですから,観客席にボールが飛んでくるのは当然なことなのです。このファウルが,野球における選手と観客の境界を曖昧なものにしています。

競技としての技術レベルが上がるに従って,専門家である選手と素人である観客との間は乖離していき,観客の選手疑似体験は,リアリティーなものからヴァーチャルなものへと変化してききます。野球は,元来,選手と観客との外見上の境界が曖昧で,その曖昧さが観客の選手疑似体験をリアリティなものにする働きがあります。ところが,日本の野球場は,グラウンドと観客席の間に,わざわざ高いフェンスを張り巡らし,この選手と観客の境界における曖昧性を排除してしまっています。
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bP0 (2002/01/31) 選手と観客の同じ所,違うところ

野球では,選手は観客どう違うのでしょうか。3時間の野球の試合のうち,選手のプレー時間は25分程度で後の2時間半はプレーを休んでいる状態だといいます。野球は,9人制の対戦ゲームですが,攻撃側のとき,選手は1人ずつ打席に立ちます。塁上の選手を除いた残りの選手は,打者が打つのを待っているわけです。プロ野球ですと25人の選手がベンチ入りします。しかし,全部の選手が試合にでられるわけではありません。選手だからといってプレーをしているわけでもありません。選手も試合を観ていると言う点では,観客とあまり変わらないと思います。

では,観客は選手とどう違うのでしょうか。観客は監督のマネをして采配を振るうことができます。野球の華であるホームランは,外野の観客席に飛んできます。内野席にはファウル・ボールが飛んできます。ファウル・ボールを,まるで選手と同じように捕ることができます。観客も選手と同じようにプレーに参加することができます。
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bX (2002/01/30) 選手と観客の分化

野球の起源であるタウンボールも,サッカーやラグビーの起源であるマス・フットボールもどちらも民衆のお祭りでした。そこにはラインというものがなく,自然の空間そのものが競技場でした。誰もが参加でき,そこには選手と見物人を明確に区別するものはありませんでした。タウンボールもマス・フットボールも地元のお祭りであり,よそ者との戦いではありませんでした。

それが,野球やサッカー・ラグビーといった近代スポーツへと確立していく過程で,閉ざされた空間,選手と観客という関係,対抗戦といった特徴を獲得していきました。サッカーやラグビーは,競技場所をラインで完全に区切ったため,選手と観客は完全に分離されてしまいました。ところが野球で設けられたラインとは,ファウル・ラインだけです。ファウル・ラインは,場外であっても無限に延長されています。野球は,閉ざされた空間ではなく,無限の空間なのです。 選手と観客は完全には分離されておらず,選手と観客の未分化の状態が近代スポーツとして確立した今でも温存されています。
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bW (2002/01/29) プロ野球協約36条の6存続

球団譲渡における加盟料30億円は,結局そのまま存続されることになりました。ロッテ,日本ハム,オリックス,近鉄が存続に反対したが,ダイエーと西武,セの6球団が存続に賛成したとのことです。今の大不況下で,30億円の加盟料を払う企業があるとは考えられず,この加盟料30億円というのは,1リーグ制への時限爆弾です。仕掛け人は西武の堤さんみたいです。

しかし,今回の一連の騒動で,さらに,球界への影響力を高めたのがナベツネ氏です。TBSがベイスターズのオーナーになれたのは,ナベツネさんのおかげですし,ダイエーは巨人(西部読売)が応援するといわれて感激しています。中日・阪神・広島の3球団は,既得権が守られたわけですし,コミッショナーもナベツネ氏の言うことを聞かないとどうなるか教えられたわけですから。ナベツネさんは,球界の我が儘ピエロである。
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bV (2002/01/28) TBSベイスターズ誕生

横浜の株譲渡問題は,1月26日(土)に,TBSでようやく決着しました。今回,TBSは,ニッポン放送の代打のように思われていましたが,マルハとはニッポン放送と並んで,当初から交渉が行われていたそうです。ニッポン放送(BSフジ)の場合もBSデジタルのコンテンツとして期待していましたが,TBSの場合もBS−iが資本に参加するなどBSデジタルのコンテンツ狙いでした。

横浜ベイスターズとしても,これからのメディア戦略としてメディア事業部や(株)ベイスターズソフトを作るなど積極的に進めてきていましたが,やはり,1球団だけでは限界があるためメディア企業との連携を模索していたと思います。今回のオーナー会社の変更は,親会社であったマルハの経営危機という問題がありましたが,むしろ積極的にベイスターズのメディア戦略の一環として捉えたほうがいいと思います。TBSは,横浜ベイスターズにとって,オーナーであり,スポンサーであり,パートナーであり,クライアントである。
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bU (2002/01/27) 時事ネタ 世界ドラフトとナベツネ

たまには,時事ネタでいきます。

世界ドラフト
ドラフトは独占体でなければ成立しません。競争相手がいたら,何にもならないわけですから。世界ドラフトというのは,MLBが世界のプロ野球産業の支配力を持っていることを前提としています。世界ドラフトとは,アメリカ中心主義そのものです。

ナベツネ
ナベツネの権力の源泉は読売新聞です。読売新聞がなければナベツネはただの人です。彼は,このことをよく知っていますから,彼の行動原理は読売新聞至上主義です。プロ野球より,日本テレビより,読売新聞が優先されます。30億円の加盟権料や交流試合,ダイエイー支援,池永支援全部そうです。彼に,球界改革を期待する人がいますが,それは無理というものです。
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bT (2002/01/26) 選手の一極集中

サッカーのヨーロッパ一極集中は,さらにメディア主導によるメジャーリーグ化の動きがあり,それに対抗するヨーロッパサッカー連盟は,各国リーグの上にチャンピョンズ・リーグを作りました。今ヨーロッパでは,1シーズンに国内リーグと欧州リーグという2つのリーグ戦が同時進行で行われていきます。ですからヨーロッパの大きなクラブでは2チーム体制をしいています。ヨーロッパ・サッカーの将来はどうなるかわかりませんが,サッカーも一極集中がますます進んでいく可能性があります。

そのため,自国の国民は,ワールドカップの予選やその間に行われる各大陸の選手権大会の予選などでしか自国の英雄とチームを観ることはできません。しかし,サッカーの場合は,そういった形で彼らを観ることは可能なのです。それを真似して野球でもMLBが主導してワールドカップ大会を開くと言うことですが,野球では国内リーグさえない国がたくさんあります。

近年の野球の国際化は,日本やキューバなど一部の国を除いて,メジャー主導の国際化であり,海外を選手の供給基地として,新たなメディア市場として捉え,押し進められてきたものです。さらに,それまで自国内で自律的に発展してきた日本やキューバにおいても,メジャーに呑み込まれようとしています。
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bS (2002/01/25) 国境を越えるトッププレーヤー

プロスポーツのトップ・プレーヤーはトップリーグを目指して国境を越えます。ところが,観客は国境を越えることはできません。すると,選手と観客の関係は希薄になり,プロスポーツの自律的発展は阻害されます。このようなトップ・プレーヤーの一極集中は,アメリカ・プロスポーツの特徴であり,アメリカのプロスポーツ界には魅力があり,日本のプロ野球には魅力がなくなっているということを表しているともいえます。しかし,だからといってそれが許されるのかというのは別問題です。

このトッププレーヤーの一極集中は,アメリカン・スポーツだけでなく,サッカーの世界でも起きようとしています。トッププレーヤーのヨーロッパ集中です。スペイン・リーグやイングランドのプレミア・リーグ,イタリアのセリエAは,世界各国の代表選手で占められ,ワールドカップよりもハイレベルの試合をしていると言われています。もはや,ブラジルの国民は,自国のトッププレーヤーのプレーを,国内のリーグでは観ることはできません。
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bR (2002/01/24) アメリカの市民だけが,トップ・プレーヤーのプレーを直に観ることが許されるのか

アメリカの市民だけが,トップ・プレーヤーのプレーを直に観ることが許されるのでしょうか。他の国の人々は,四角い箱を通してでしか,彼らのプレーを観ることができなくなるのでしょうか。メジャ・リーグというのは,都市対抗戦です。ヤンキーズもブレーブスも,単なる一地方のチームに過ぎません。マリナーズもそうです。

マリナーズは,シアトルのチームであり,決して日本のチームではありません。筆頭オーナーが日本人であっても,イチローと佐々木と長谷川がいてもです。マリナーズは,シアトルのチームとして,ワールドシリーズの優勝を目指して,戦います。もう一度,問います。アメリカの市民だけが,トップ・プレーヤーのプレーを直に観ることが許されるのでしょうか。
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bQ (2002/01/23) 選手と観客は,クルマの両輪

選手と観客はプロ野球にとってもクルマの両輪です。どちらが欠けてもプロ野球というクルマは動くことができません。観客は選手の「競技技術の自律的発展」という要請に応えてきたでしょうか?イチローや野茂に対し正当な評価をしてきたか?どうでしょうか。では,選手は「より愉しく,より面白く」という観客の要請に応えてきたでしょうか?選手は誰のためにプレーをしているのか知っているのでしょうか?

選手と観客という両輪の進む方向が違う,車輪の大きさが違う,ブレーキの利きが違う,回転数も違う。それが,今の日本のプロ野球界ではないのでしょうか。この両輪を本来結びつける球団と球場はでは,どうなっているのでしょうか。ハードである球場を車体に例えると本来,ボールパークというスポーツカーであるべきものが,ドームというダンプカーになっているということができます。球団は,本来F1ドライバーであるはずが,素人による無免許運転の状態になっています。
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bP (2002/01/22) 選手は,観客がいて初めてプロフェッショナル

プロフェッショナルという言葉には,「専門家」という意味と「金銭を報酬として受ける人」という意味の二つ意味があります。つまり,プロフェッショナルとは「専門的技術の対価として報酬を得る人」を意味していると思います。ここで考えておかなければいけないのは,プロフェッショナルとは本人だけでは成立しないということです。如何に高度な専門的技術をもっていたとしても,それに価値を認め対価としての報酬を支払う人がいなければ,プロフェッショナルは成立しません。

これをプロ・スポーツの世界で説明すると,高度な専門的な技術をもった選手(プレーヤー)と,その価値を認め報酬を支払う観客(スペクテイター)がいて初めて,プロ・スポーツというものが成立できるということになります。いくら高度な専門的技術持っていても,観客が報酬を支払う意思がなければプロにはなれないのです。

選手と観客は,プロ・スポーツ発展の両輪といっていいでしょう。プロ・スポーツの発展は,競技技術の自律的発展という選手側の要請と,より愉しく,より面白くという観客側の要請に応えるものです。そして,この選手と観客を結びつける装置がソフトとしての球団とハードとしての球場なのです。
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