Wind Back Number 

wind

301〜400(2004/02/08〜2004/11/27)

 

wind1 bP〜100(2002/01/22〜2002/06/15)
wind2 bP01〜200(2002/07/11〜2003/03/02)
wind3 bQ01〜300(2003/03/08〜2004/02/07)
wind5 bS01〜500(2004/11/30〜2005/08/16)
wind6 bT01〜600(2005/08/17〜2006/02/18)
wind7 bU01〜700(2006/02/19〜2007/02/05)
wind8  bV01〜  (2007/02/06〜  )

400(2004/11/27) カイシャ・フランチャイズと箱売り

399(2004/11/23) ソフトバンクのホークス

398(2004/11/22) NPB、ソフトバンクへの譲渡を大筋で了承

397(2004/11/21) コロニーのハゲタカ商法とダイエーの優勝セール

396(2004/11/20) ダイエー、ホークス売却方針を正式表明

395(2004/11/19) ダイエー、コロニー、そしてソフトバンク

394(2004/11/15) ハゲホークス商法と策に溺れたドン

393(2004/11/14) 高木前社長に感謝、そして、宮内議長の正体

392(2004/11/04) 「置きみやげ」

391(2004/11/02) 「公私混同」

390(2004/11/01) 「ロッテとの合併」

389(2004/10/31) 「ナベツネの野望」

388(2004/10/30) 「箱売りと外資規制」

387(2004/10/29) 「機密文書」

386(2004/10/28) 「重大な法令違反」

385(2004/10/22) 運命共同体

384(2004/10/18) ドンは野球が好きじゃなかった。

383(2004/10/09) 札幌、仙台、そして新潟

382(2004/10/09) 独立リーグ

381(2004/09/28) 楽天に落胆

380(2004/09/25) キメラ球団

379(2004/09/24) 火事場泥棒

378(2004/09/23) 敵前逃亡

377(2004/09/12) 新規参入

376(2004/09/12) 笑った話と雇用という言葉のミスマッチ

375(2004/09/12) ちょっと、振り返る

374(2004/09/12)  分かったことは、球団を手放したいのは近鉄だけ

373(2004/09/03) 今度こそ消えたかな?ロッテ・ホークスの線、

372(2004/09/02) 強気と弱気

371(2004/09/01) あららら

370(2004/08/31) あらら

369(2004/08/29) 「君たちの迷信が1つあるんだよ」

368(2004/08/25) 1リーグ制の意味

367(2004/08/18) ダイエーの球団売却話はひとまず消えた!!

366(2004/08/16) 不良債権

365(2004/08/13) 旧盆の13日の金曜日は「スト権確立とナベツネ退任」

364(2004/08/08) プロ野球は誰のもの

363(2004/08/06) 球界も再生機構を活用したら(やけ)!?

362(2004/08/04) 球界再編の鍵は、竹藪の中に

361(2004/08/01) 野球と銀行は、再編でモ〜大変です。

360(2004/07/31) 「はじめに1リーグ制ありき!!」の合併

359(2004/07/25) 大阪近鉄の40億円の赤字を考える

358(2004/07/24)竹中当選で、ダイエー合併話

357(2004/07/23)巨人のパ・リーグ移籍はあり得ない

356(2004/07/21)有志連合による新リーグ結成は契約違反

355(2004/07/20)有志連合による新リーグ結成は協約違反

354(2004/07/19)「社長がアホやから野球がでけへん」

353(2004/07/18) たかが選手

352(2004/07/12) もう一つの合併話

351(2004/07/10) 七夕の夜の笑劇場 第4幕

350(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第3幕

349(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第2幕

348(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第1幕

347(2004/07/03) 球界を私物化するナベツネ 1

346(2004/06/26) 協約上の合併の解釈

345(2004/06/26) 予言的中「5年以内に大きな変化」がおきた

344(2004/06/21) 当サイトは、日本プロ野球選手会の見解と提案を支持します。

343(2004/06/18) 罠にかかった牛くんと罠に飛び込んだカエルくん

342(2004/06/12) 今そこにある罠 36条の6

341(2004/06/10) 改正36条の6における経営権とはなにか

340(2004/06/09) 改正36条の6とは

339(2004/06/05) 久しぶりに36条の6について考える

338(2004/05/29) 神戸牛はいるけど大阪牛はいらないか? 2

337(2004/05/27) 神戸牛はいるけど大阪牛はいらないか?

336(2004/05/22) きっかけはフジテレビ

335(2004/05/18) NEWS WIND

334(2004/05/17) 白と橙色の巨人達の悩み

333(2004/05/05) 福岡ドーム・ホークス(四)

332(2004/05/01) 福岡ドーム・ホークス(三)

331(2004/04/29) 福岡ドーム・ホークス(二)

330(2004/04/25) 福岡ドーム・ホークス(一)

329(2004/04/25) 堤義明オーナーと一リーグ制

328(2004/04/18) リコーMLB開幕戦 新聞記事から

327(2004/04/17) パ・リーグ潰し

326(2004/04/17) リコーMLB開幕戦

325(2004/04/11) 近鉄球団名売却騒動

324(2004/04/11) 長嶋監督のキャンプ巡り

323(2004/04/10) アテネ五輪 出場権獲得

322(2004/04/03) 日本五輪代表監督就任

321(2004/03/29) 渡辺恒雄と堤義明の和合(二)

320(2004/03/28) 渡辺恒雄と堤義明の和合(一)

319(2004/03/27) 渡辺恒雄 対 堤義明

318(2004/03/27)  読売巨人軍終身名誉監督

317(2004/03/26) 長嶋監督倒れる 経過2

316(2004/03/26) 長嶋監督倒れる 経過1

315(2004/03/26) 長嶋監督倒れる でも「監督」ってドッチの

314(2004/03/11) 球団名とは

313(2004/03/10) プロ野球経営評論家(二)

312(2004/03/10) プロ野球経営評論家(一)

311(2004/03/07) プロ野球誕生70周年

310(2004/03/01) ユニホームの標識

309(2004/02/26) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(4)

308(2004/02/25) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(3)

307(2004/02/23) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(2)

306(2004/02/22) やったろう!関西 「NOMOベースボールクラブ」篇

305(2004/02/20) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(1) 

304(2004/02/19) やったろう!関西 「東大阪篇」

303(2004/02/11) 福岡ドーム、ホークス、補足

302(2004/02/11) 福岡ドーム、3月売却へ

301(2004/02/08) NPBの球団ネーミングライツ・ビジネス

400(2004/11/27) カイシャ・フランチャイズと箱売り

カイシャ・フランチャイズというのは、MBさんの造語ですが、NPBの球団経営の実態を一言で表したものです。通常のプロ野球用語で言うフランチャイズとは地域独占権のことですが、カイシャ・フランチャイズとは親会社が球団の権利を独占している状態を言い表しています。

NPBの意思決定は、球団経営者で構成される実行委員会ではなく、NPBを代表するコミッショナーでもない、オーナーという親会社の経営者で構成されるオーナー会議にあります。オーナーの本業は、親会社の経営者であり、プロ野球のオーナーは片手間に過ぎず、プロ野球の利益よりも親会社の利益が優先されます。さらに、オーナーは、親会社の経営には熟知していても、プロ野球経営には素人です。こんなオーナーたちがプロ野球を支配しています。

そもそも、NPBの系譜を作った正力松太郎は、「プロ野球はもうけなくてもよい」といいながら、球団自体の経営は赤字であっても「正力松太郎は巨人軍で立派に儲けている」というように、「巨人」誕生のときから、親会社の広告宣伝機関としてプロ野球を位置づけています。永年セ・リーグ会長を務めた鈴木竜二氏は、「もし、ほんとに、正力が、そのように考えて、職業野球を作ったのであれば、それはたいへんな誤りではなかったかと思う。採算を考えない、職業、あるいは企業は、あり得ないことだから・・・」と述べています。

これを裏付けているのが、1954年の法人税法通達「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について(法人 昭29.8.10)」です。これにより球団の赤字は、親会社の広告宣伝費として処理することができるようになっています。「親会社が、球団の当該事業年度において生じた欠損金(野球事業から生じた欠損金に限る。以下同じ。)を補てんするため支出した金銭は、球団の当該事業年度において生じた欠損金を限度として、当分のうち特に弊害のない限り、一の『広告宣伝費の性質を有するもの』として取り扱うものとすること」
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/houzin/2027/01.htm

球団単体では採算がとれない、球団は親会社の広告宣伝機関であるという位置づけから、NPBの球団は、親会社によるカイシャ・フランチャイズ状況となり、興行権を丸ごと親会社などに譲渡する箱売りが横行しています。盟主読売巨人軍は親会社の読売新聞に、西武ライオンズは西武鉄道(親会社はコクド)に、大阪近鉄は近畿日本鉄道に興行権を箱売りしています。阪神・中日も同様ではないでしょうか。興行権という球団経営の根幹的な部分を親会社や球場に箱売りし、単なるチーム運営会社すぎない球団が多いのが、NPBの球団経営の実態です。箱売りしていない球団も、一部の球団を除き、実態は似たり寄ったりだと思います。

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399(2004/11/23) ソフトバンクのホークス

今日はニュース三題。はじめは、

ソフトバンク、「球界参入」で社名変更検討

11月15日、ソフトバンクは、ダイエー傘下の「福岡ダイエーホークス」を買収する見通しになったのを受け、社名変更の検討を始めました。新設した専門チームで年内にも結論を出すそうで、ソフトバンクは通信、金融、出版など幅広い事業を手がけ、日本テレコム買収などで事業規模を急速に拡大しており、グループ全体のCI(コーポレートアイデンティティー)確立が必要と判断した、とのこと。

新社名は、新球団の名称と同一か、関連するものに変更する方向で検討する、ということですが、「オリエント・リース」が、球団買収と合わせ、「オリックス」に社名変更したのと同じことをしようというわけですね。以上日経記事から。
http://sports.nikkei.co.jp/news.cfm?i=2004111504520n0

福岡ドームの通年使用提案

11月17日には、ソフトバンクが、本拠地の福岡ドーム(福岡市)を野球のオフシーズンも含め年間を通して借りる契約を、ドームを保有するコロニーに提案していることが分かりました。
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/pa_league/news/1118-450.html

ソフトバンクは、コロニーが保有している福岡ドームの「興行権」を買い取るほか、長期的に球場使用の年間契約を結ぶというもので、これにより球場の入場券や物品販売、放映権などの収入が入るうえ、野球の試合がない日は第三者に貸し出し、使用料収入が得られるようになります。「あいまい」と指摘されている試合の観客動員数は、毎試合正確な人数を発表する、そうで、契約額については「福岡ドームの年間賃貸料は30億円を上回る額、球団譲渡と興行権の買収は200億円程度になる」とのこと。
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/news/20041119k0000m050111000c.html

ソフトバンク、ホークス球団買収で地元資本受け入れへ

「福岡ダイエーホークス」を買収する見通しとなったソフトバンクの孫正義社長は10日、福岡県の地元企業からホークスへの出資希望があれば受け入れる方針を明らかにしました。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt81/20041110AS1D1006V10112004.html
一方、地元福岡の有力企業12社が17日、出資も含めた球団支援策を検討する「福岡ホークスを支援する会」を設立しました。参加企業は九州電力や福岡銀行、西日本鉄道などでつくる「7社会」のほか、コカ・コーラウエストジャパン、福岡地所、NTT西日本など。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041117-00000085-kyodo-bus_all

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398(2004/11/22) NPB、ソフトバンクへの譲渡を大筋で了承

11月15日、NPBは、実行委員会でホークス球団のソフトバンクへの譲渡を大筋で了承しました。

今月中にダイエーが球団譲渡の申請を提出し、実行委は12月6日にソフトバンクに対してヒアリングを行い、財務状況などを審査し、12月20日の実行委を経て、早ければ同24日に開催予定のオーナー会議で正式承認される見通しです。来季参入に必要な参加資格の承認期限を今月30日から、来年1月末まで延期することを決定しています。

コロニーが保有する福岡ドームのチケット販売など興行権もソフトバンクが買い取る方向で話が進められていることが報告され、外国企業の球団保有を禁じている野球協約との関係から、実行委ではコロニーからすべての権利が譲渡されることの確約を条件に、承認期限の延期を了承した、ということです。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041115AS3K1502K15112004.html

以上、日経の記事からですが、これで課題となっていたソフトバンクの参入審査と外資企業への経営権の譲渡の疑いが一挙に解決することになります。

ソフトバンクの参入審査については、サンスポによれば、新規参入した楽天イーグルスの三木谷オーナーから「同じようなプロセスを踏むのがスジ」と指摘されたのを受けて、ソフトバンク側も11日、NPBの審査小委員会による審査を受け入れる方針を表明していました。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200411/bt2004111204.html

また、394で指摘したダイエーとコロニーの不可解な契約について、九州読売の記事によると、こうした契約内容について、球界関係者から、〈1〉実質的な球団経営権はコロニーが握っており、球団の自立運営を損なっている〈2〉これは野球協約31条の「球団の実際上の保有者の変更」に当たり、外資の球団保有を禁じた同28条に抵触するおそれもある――との指摘がされていました。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/daie/daie-news2/daie-2news041111a.htm

〈1〉の「実質的な球団経営権はコロニーが握っており、球団の自立運営を損なっている」という指摘ですが、興行権の箱売りが日常化しているNPBで「よく言うよ」ですね!!。

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397(2004/11/21) コロニーのハゲタカ商法とダイエーの優勝セール

ハゲタカ商法批判に対する反論

ソフトバンクは、福岡ダイエーホークスの球団買収に、興行権も含めて200億円の好条件をだしています。wind394でハゲホークス商法と書いたように、球団本体が50億円なのに対し、コロニーの持っている興行権が150億円で、コロニーだけが得しているようにみえます。

これに対し、共同通信の記事によれば、売却交渉の関係者は、人気球団ホークスの売却価格が興行権も含めて約200億円は「おおむね妥当」と指摘であり、球団本体が50億円にすぎないのは「興行権など約150億円分は(ダイエーが)すでにコロニーに売っているから仕方がない」と説明しています。「コロニーだけが得をした」との見方に対しは、同社幹部は「150億円を(ドーム利用期間の)30年で割れば年5億円。決して高値ではない」と反論しています。
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/pa_league/news/1117-447.html

興行権というのは球団の権利であり、そもそもはNPBにおける地域権の中に含まれる権利なんですけどね。ただ、コロニー側は、チケット販売権などであって興行権ではないと主張していますが。また、直接、ソフトバンクからコロニー側に150億円が支払われるのか、いったんダイエー側に支払われてダイエー側からコロニーに支払われるのかもよく分かりません。

なお、産業再生機構が球団売却を容認していることを、ソフトバンクの孫正義社長が18日、明らかにしています。

ダイエーは、優勝セールができるか

当初、ダイエーは、ソフトバンクに球団を売却した後も、球団株式の20%程度を保有して新球団に影響力を残し、優勝セールや応援セールなども引き続き実施したい考えでした。ところが、産業再生機構や主力取引銀行が継続保有に難色を示したことから、全株の売却となった、とのことです。

再生機構などは、球団株の一部だけを保有しても営業面でのプラス効果は限定的で、ダイエーが期待する優勝セールなどは球団側にその都度、名義料などを支払うことで十分可能との見方をしていた。ダイエーは、ソフトバンクとの間では来シーズン以降も一定期間は優勝セールなどを継続する方向で調整しているそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041111-00000053-kyodo-bus_all
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041109-00000018-mai-bus_all

これで、ダイエーは親会社からスポンサーに替ることになります。Jリーグでは、出資企業(親会社)とは別にユニフォーム・スポンサーがいます。親会社は、NPBのようにクラブ名を名乗りませんし、親会社だから即ユニフォームに親会社の名称を入れるということではありません。このため、親会社といえども、広告宣伝の直接のメリットはありません。

むしろ、ユニフォーム・スポンサーのほうが、直接的な宣伝効果があります。オリ近の合併でよく比較されたのが、横浜のマリノスとフリューゲルスの合併です。フリューゲルスの親会社は、合併時は全日空1社だったのですが、その前はゼネコンの佐藤工業も出資していました。ところが、Jリーグに出資しても、名前がほとんどでてこないので、メリットがないとして去っています(ご多分に漏れず、佐藤工業も、経営再建のためというのが大きな理由ですが)。ですから、株式を保有していなくても、スポンサー企業としてのほうが、メリットがあるかもしれません。
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396(2004/11/20) ダイエー、ホークス売却方針を正式表明

11月15日ダイエー本社が、ホークス売却方針を正式表明しました。以下、日経の記事を追っていきたいと思います。

産業再生機構に支援を要請しているダイエーは15日、「福岡ダイエーホークス」の全株をソフトバンクに売却する方針を正式に表明しました。本拠地の球場を所有する米投資ファンドからソフトバンクを推薦されたためとし、50億円という売却額も「妥当な金額」と説明しています。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041115AS1D1507U15112004.html

これに対し、村上誠一郎産業再生担当相は16日の閣議後の記者会見で、「一般論として資産査定中に、事業に重大な影響を与える行為が進むのは好ましくない。(ただ、支援決定前は当事者の判断を尊重せざるをえず)
経済合理性を十分確認した上で当事者が判断してほしい」との述べています。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041116AS1F1600416112004.html

ダイエーは米投資ファンドのコロニー・キャピタルとの間で、コロニーが球団の売却先を推薦できる契約を結んでおり、コロニーが10月末にソフトバンクを推薦しました。ダイエーは「契約にしたがい、日本プロ野球組織(NPB)に対し承認が受けられるよう対応していく」としています。

コロニーとの契約では、ダイエーがNPBに働きかけなかった場合は損害賠償義務を負うこととされ、ダイエーがNPBに働きかけても承認を得られなければ、ダイエーの球団に対する負担金は年間10億円から30億円弱に増えることになっています。そこで、ダイエーでは「コロニーの推薦したソフトバンクに売却することが最も
経済合理性がある」とみている、ということです。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041115AS1D1507U15112004.html

以上は、日経の記事をまとめたものですが、何が「経済合理性」なんでしょうか。今回のホークスの売却劇は、コロニー社主導で行われており、ただただ、ハゲタカ商法に感心するばかりです。
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395(2004/11/19) ダイエー、コロニー、そしてソフトバンク

10月13日経営再建中の総合スーパー、ダイエーは、民間スポンサー候補による自主再建計画を断念し、産業再生機構の活用を決定しました。これにより、ダイエーは再生機構が選定するスポンサーのもとで再建を目指すことになりました。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041013AS2F1301Q13102004.html

10月18日ソフトバンクの孫正義社長が、「福岡ダイエーホークス」を買収する方針を発表します。孫社長は「ダイエーのスポンサーとなる企業が売却を決断することが前提となる」としつつも、「ブランド力の向上のために是非実現したい」ということだった。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041018AS1D1808918102004.html

ただし、この時点では、再生機構はダイエーの資産査定を進めており、来年にはダイエーのスポンサー企業が決まる予定ということで、球団を保有するか売却するかはスポンサー企業の意向が反映される、とされていました。

「営業上のシナジーなどを配慮し、継続して保有したいと機構側に要請している」(10月22日 高木前社長に代わり新社長となった蓮見社長)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041022-00000306-reu-bus_all

「年末に向けて産業再生機構がダイエーの資産査定を終えることが先決。その後に再生機構とダイエーとの間で話し合いがある」(11月5日村上誠一郎産業再生担当相)
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041105AT1F0500A05112004.html

ところが、11月4日に、ダイエーが米投資ファンドのコロニー・キャピタルとの間で、コロニーが指定する企業に「福岡ダイエーホークス」を売却しなければならないという秘密契約を結んでいることが明らかになります。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041104NN003Y09804112004.html

このため、同日には、「ダイエーが保有しているホークス球団の株式の8割程度をソフトバンクに売却する方向で調整が始まっている」との一部報道され、ダイエー側がこれを否定する発表を行います。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041104AS3L0402J04112004.html

ところが、11月9日なると、ダイエーが「福岡ダイエーホークス」株式の過半数をソフトバンクに売却する方針を固めます。これは、ダイエーが再生機構に支援要請したことにともない、先行きを不安視したコロニーがダイエーに球団売却を要請したことによるもので、9日までにコロニー社が「ホークスのオーナー企業にはソフトバンクが最もふさわしい」とソフトバンクへの売却を推薦したことから球団の株式売却を決断した、ということです。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20041109AS2F0900809112004.html

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394(2004/11/15) ハゲホークス商法と策に溺れたドン

不可解な契約

ダイエー本社とコロニー・キャピタル社との間には複数の不可解な契約が結ばれていました。

その1
(1)チケット・物品の販売権、放映権、商品化権、キャラクター利用権などはFDREが保有(2)ホークスは30年、福岡ドームを本拠地として同期間は球団の譲渡、呼称変更の禁止(3)承諾なしにこれらを行った場合、チケット・物品販売権の1年分の対価32億1800万円を契約年数の残り年数分を支払うというもの。今シーズン中に球団譲渡をすれば約932億円の支払い義務が生じるとしていた。
http://gendai.net/contents.asp?c=031&id=16372
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040906_10.htm

その2
球団売却に関するコロニーとの秘密契約の中には、球団保有権のないコロニーが球団売却先を選べるほか、売却額が50億円という破格の安値に決められるなど、異例の条項がある。政府関係者によると、コロニーの指定先への球団売却が失敗すれば、ダイエーはペナルティーとして、興行権を持つコロニーからもらうチケット販売収入を、年間20億−30億円程度減額される仕組みになっているという。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20041114/mng_____kei_____001.shtml

球団やNPB側には契約の存在自体、知らされていない可能性が高い、ということですが、これらの内容は、既にコロニーとの契約を結ぼうとしたとき、新聞報道されていたものです。その一部は、既述のとおり、メジャー野球の経営学」(集英社新社)の著者大坪正則氏が、著書「プロ野球は崩壊する」(朝日新聞社)で指摘しているものです。

ハゲホークス商法

そもそも、ことの発端は、プロ野球協約の外資規制(外資による49%以上の球団株式保有の禁止)です。本来なら、福岡三事業であるドーム球場、ホテル、球団を一括して売却したかったのですが、この外資規制のため、ドーム球場とホテルの2事業の売却になりました。

球団のないドーム球場などただの箱です。当初は「ドームの買い手は球団の1割以上の株を取得するが、最大でも4割にとどめる。その一方で、ドームの買い手は実質的な売却先として、6割分の株を取得するスポンサー(国内企業)を指名する権利を得る。」というかたちでの球団売却を考えていましたが、それも、NPB側の承認を得られないということから、上のコロニーとダイエー本社の不可解な契約となったものです。

それにしても、興行権が150億円で、球団の譲渡額がたったの50億円とは、さすが、コロニー・キャピタル社のハゲホークス商法ですね。ダイエー本社側ははじめ、ホークス球団とドーム球場との使用契約を10年にしようとしたところ、コロニー社との実際の契約のとき、30年に延長させらており、このため、違約金が900億円という巨額の数字になってしまいました。

策に溺れたドン

昨年、球界のドンだった読売巨人軍の前オーナー渡辺恒雄氏は、ホークスが外資売却に猛反対し、ダイエー本社の継続保有を承諾させます。それが「確認書」といわれるものです。渡辺氏は、昨年から1リーグ制を画策していたようですから、ホークスが外資に売却されては困る訳です。そこで、ダイエー本社の継続保有を認めたわけです。

そこで、コロニー社は、ダイエー本社の継続保有を前提に、前述の契約を結びます。当面、ダイエー本社側は、この契約で、ダイエー本社側の負担は、10億から15億円で済むし、交流戦も始まれば、収支とんとんになるかもしれない。優勝セールを行えば、400億円の売り上げ増が期待できる。逆に球団を手放すことになったら、900億円の違約金が生じかねない訳ですから、ダイエー本社の高木前社長にしても、なかなか、ホークス売却を決断できなかったと思います。

この不可解な契約とダイエー本社の継続保有の意志を固めさせたのは、他でもない。渡辺恒雄氏の圧力ではなかったのでしょうか。「ナベツネ、策に溺れる」です。

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393(2004/11/14) 高木前社長に感謝、そして、宮内議長の正体判明

今年、球界の三悪人といったら、1リーグを画策した前読売巨人軍オーナー渡辺恒雄氏と前西武ライオンズ・オーナー堤義明氏、現オリックス・バファローズ・オーナー宮内義彦氏の名前が挙げられます。それでは、今年の球界三恩人(こんな言葉があるのかな?!)を挙げれば、一人は選手会長の古田さん、もう一人はライブドアの堀江社長、そして最後の一人がダイエー本社の高木前社長です。

7月7日のオーナー会議で三悪人のひとり、堤前オーナーが言った「もう一つの合併」とは、ダイエーとロッテとの合併でした。ダイエー本社が、産業再生機構を活用することになれば、球団を手放さざる得なくなるという読みが、三悪人側にあったようです。

今年の7月になるとダイエー本社の有利負債を抱えるUFJを筆頭に三井住友、みずほコーポレートの銀行側が、ダイエー本社の再建に再生機構の活用を決め、再三にわたって迫ります。竹中金融担当相や金融庁も、UFJを締め上げ、ダイエー本社の自主再建策は、問題の先送りだと再生機構の活用を迫っていました。

それでも千葉県に住んでいるダイエー本社の高木前社長は、再生機構入りを断固拒否し、自主再建策を貫きます。このため、もうひとつの合併話のタイムリミットだった9月8日のオーナー会議には千葉ロッテと福岡ダイエーの合併というもう一つの合併話は成立せず、ひとまず、1リーグ制という球界の危機の一つは去りました。ただし、ダイエー本社の再生機構入りはその後も考えられるため(実際に一月後の10月13日に再生機構の受け入れを表明)、そのときはオーナー会議が「機動的」に対応するという一文が付け加えられました。

この時点では三悪人のひとり読売巨人軍の渡辺オーナーは、1リーグ騒動が読売新聞の販売に悪影響が出るようになり、スカウトの不正支出問題を口実にオーナー職を辞任しています。(その後継となった滝鼻オーナー側が、楽天の球界入りを要請したとされ、この報道に対し、読売側が抗議しています。)

もう一人の西武ライオンズの堤オーナーも、コクドの西武鉄道株の過剰保有対策で四苦八苦していたときですから、それどころではなかったでしょう。堤氏による有価証券虚偽記載の発表は、ダイエー本社が再生機構の活用を発表した同じ10月13日でした。

9月8日の時点では、もう一つの合併話は頓挫しましたが、ことの発端であるオリックスと近鉄の合併は成立し、ライブドアの参入も拒否し、セ6パ5の11球団制の方針でした。これでは、1リーグ制への時限爆弾を抱えているようなものです。このため、選手会側はストライキを構え、経営者側と話し合いを行いますが、最後まで、(ライブドアだけでなく楽天の)新規参入を拒否していたのが、政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を務めるオリックスの宮内オーナーでした。

規制改革・民間開放推進会議では、官製市場の民間開放を主導しており、もちろん、民間による民間の規制、いわゆる民民規制も戒めています。ところが、その議長が、民間のプロ野球の世界では、新規参入を規制しようとしている訳ですから、規制改革・民間開放推進会議の主張の信頼性が損なわれてしまいます。このため、細田官房長官が出馬して、楽天が関西ではなく仙台を本拠地とすることで、ようやく決着したようです。

ダイエー本社の高木社長(当時)が、再生機構の活用を発表したのが10月13日です。2リーグ12球団の体制で行くことが決まり、ライブドアと楽天がパ・リーグへの新規参入を申請し審査が始まっていました。とにかく古田選手会長とホリエモンと高木前社長には、私からMVPを送りましょう。

最後に、オリックス証券のHPから無断転載です。

規制改革が標的にするのは、既得権を持つ者である。努力をしなくても大きな権益が守れる旨み。それが澱のように淀んで、日本経済の生産性を著しく低くしている。規制改革をリードする宮内義彦・オリックス会長は「規制改革で必ず新規産業が立ち上がってくる。」と強調する。
http://www.orix-sec.co.jp/brk_jour/mj_03.html

へコ!!?? (^^)/~~~up


392(2004/11/04) 「置きみやげ」

「オーナーあるいはオーナー代行が退任した場合は自由契約選手になるかどうかの選択権は井口選手本人にある。球団はいかなる意味でも井口選手の選択に異議を申し立てられない」

福岡ダイエー・ホークスの井口選手が、異例の自由契約でメジャーリーグに挑戦することになった。FAまであと2年あるのに、ポスティングではなく、自由契約というのは、昨年11月28日、当時のオーナー代行兼球団社長(9月30日に辞任)で、セクハラ容疑で逮捕された高塚猛容疑者と、井口選手との間で結ばれた契約に「中内―高塚体制が崩れた場合に自由契約を選べるという」と異例の条項があったから。

この条項は、弁護士を立てたうえで交わされており、法的に有効ということで、異例のFA前の自由契約となったという。そもそも、この条項が加わったのは、一昨年の契約でポスティングでメジャーリーグに移籍できることになっていたところ、村松選手のFAや小久保選手の無償トレードが重なり、メジャー行きを引き留めるために付けれたと言う。

ポスティングを認める契約自体も、FAの形骸化につなげるものであり、おかしなものだが、福岡ダイエーホークスには、この種の契約が多いと言われている。

ホークスが、ドラフトの逆指名や自由獲得枠で、有望選手を次々と獲得してきた背景には、FA前にメジャー行きを認めるこの種の契約条項があるからだと言われてきた。その一端を今回知らされたことになる。

村松・若田部・工藤といったスターをFAで放出するだけでなく、小久保や井口といった主力選手を無償で放出することは、プラス面でいえば、人件費の抑制という働きを持っている。今のところは、若手がどんどん育っており、いい意味での新陳代謝になっている。

安価な若手選手を育て、育てた選手をトレードにだし、移籍金を稼ぐという中小球団向けのビジネスモデルがある。ところが、ホークスの場合、FAや無償トレード、自由契約では、移籍金を稼ぐことができない。逆に、高塚容疑者自身の保身のために、小久保選手や井口選手が使われたことになる。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/nov/o20041103_20.htm

そうしたら、来季から「ソフトバンク・ホークス」という記事が飛びこんできた。

「経営再建中のダイエーが、球団買収を表明しているソフトバンク(孫正義社長=47)に対し、球団株式の大半を売却するプランを検討していることが3日、明らかになった。現在98%を保有する株式のうち78%を売却するというもの。本社の資産査定を実施している産業再生機構など各方面の理解が得られれば、来季からの参加期限となる今月30日までに、駆け込みで身売りが実現。楽天に続いて、IT関連企業の最大手が05年から球界へ参入することになる」
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/nov/o20041103_10.htm

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391(2004/11/02) 「公私混同」

高塚容疑者が頼った球界のドン・読売巨人軍前オーナー渡辺恒雄氏は、8月にスカウト不正事件で球界を去っている。中内正オーナーが保有するホークス球団の株式数は、40%から2%に減少し、中内正オーナーの実権はない。高塚容疑者は、球団の取締役も辞めており、オーナー代行という名前だけが残っていた。球団の会長と社長にはダイエー本社から送り込まれていた。

高塚容疑者に残されていたのは、実績だけだったが、その実績さえ、コロニー社幹部から「出たとこ勝負で経営戦略がない。1年以上前から数字は下がっている」と批判されていた。ホークスタウンの社長を解任された時点では、もう彼には何も残っていなかった。

ただ、彼のプロ野球ビジネスに残して実績は評価しておく必要がある。その評価についてはwindbR30bR31bR32bR33の福岡ドーム・ホークスにまとめてある。

福岡事業は、ダイエーの事業と言っても、独立性を持っており、ホークス球団は長い間、ダイエー福岡事業の球団としてダイエー本社とは一線を画していた。ダイエー福岡事業の中核となっていたのが福岡ドームである。このため、福岡事業の成功は、いかにドームに人を集めるかが鍵となる。

プロ野球ビジネスにおいて、球場は集金装置である。観客は、入場料を支払うだけでなく、ビールを飲み、弁当を食べ、応援グッズを買って応援し、お土産を買っていく。観客が増えれば、球場の広告収入も期待できる。

高塚容疑者がとった戦略は、集客装置としてホークス球団を位置づけ、福岡ドームを集金装置として位置づけたことにある。このため、球団が球場の犠牲になった面がある。それが、ロゴの使用料の無料化である。ロゴの使用料は、年間5億円期待できたが、それを無料化することによって、「勝ったら企画」などの協賛者が増え、それが集客につながった。

三位一体の経営のときは良かったが、球団と球場の資本が別になってしまったいまでは、球団の利益が損なわれているとも言える。ホークス球団が福岡ドーム(ホークスタウン))から受け取る興行権料の中に、球団のロゴ使用料が含まれていることになる。

高塚容疑者は、フロントの目標は観客動員で、勝つことが手段とした。野球は勝つときもあれば負けるときもある。「勝ったら嬉しい、負けたら悔しい」という気持ちを共有する「勝ったら企画」は、従来リーグ戦の1試合として埋没しがちであった1試合ごとの勝敗の価値を高めることができた。これはリーグ戦の消化試合の存在という欠陥を補完してくれる。http://www.geocities.jp/baseball_wind21/ballcom.html#4
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/ballcom.html#9

また、従来ONE to ONEでも顧客満足度でも、マーケティングの世界では常連客、ヘビーカスタマーをいかに増やすかが鍵とされたが、「500万福岡県民に1シーズンに1度は球場に来てもらう」という年1回でもくれば立派なお客さんという発想がとられた。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind3.htm#223
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind3.htm#226

高塚容疑者の経営方針は、いわば「公私混同の進め」で、口コミを重視した。「ドーム球場に来て、会話して、興奮し、盛り上がれば人が人を呼ぶ」という発想が、まさにそうである。高塚容疑者が、会社から「公私混同」で訴えられようとしているのはまさに皮肉である。
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390(2004/11/01) 「ロッテとの合併話」

ダイエー本社が反中内となり、福岡事業が外資に売却されようとしている。その中で、高塚容疑者が頼ったのが、渡辺氏であった。渡辺氏も、ホークス球団を1リーグ化の橋頭堡として捉え、ドームとホテルをコロニー社に売却後も、中内正氏と高塚容疑者が球団経営に携わることを願った。それが昨年10月末のオーナー会議での確認書であり、見返りとしての小久保の無償トレードであった。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind3.htm#263

この確認書で、注目すべき点は、NPBの承認なしに、ダイエー本社が勝手にホークス球団を売却しないこととされた点である。今考えると、1リーグ化のためにホークスを他球団と合併させようと考えているのに、ダイエー本社が勝手に球団を売却されてはかなわないので、この一文が入ったのだろう。

この時期、既に、ホークスの合併先として、ロッテとの話が進んでいたようだ。ただ、ロッテは、ダイエー本社が再生機構入りし、球団を手放さざるえなくなったとき、安価にホークス球団を手に入れようとしていたという。

ところが、ダイエー本社側は、確認書で、ドームとホテルを売却後も、引き続きホークス球団を保有するという点を逆手に取り、ホークス球団の保有継続を選択する。ホークス球団の優勝セールで、ダイエー本社の第二次再建計画の条件をクリア出来たことが大きい。

本業である総合スーパーとしての営業力が落ちているダイエー(本社)にとって、ホークス球団の優勝セールが再建に不可欠となっていた。このため、ダイエー本社は、ホークス球団の直轄支配を図った。これが、今年4月の高塚球団社長の解任であった。結局、確認書をたてに高塚容疑者側が反撃し、社長は辞任するが、オーナー代行として残るとされた。

その後、ホークス球団とロッテとの合併話がなかなか具体化しないため、第三の刺客、宮内オリックスが大阪近鉄球団との合併話へとすすみ、7月7日のオーナー会議での堤義明氏によるもう一つの合併話となる。このオーナー会議で、堤氏は中内正ホークス・オーナーに、合併話を進めるように迫った。このため、「本社の意向とは別にこの2人(高塚オーナー代行(当時)と中内正オーナー)が合併に動いていた。だが2人には本社の情報を取れるラインがなかったから堤さんも宮内さんもダイエー本社の流れを読み間違えた」(球界関係者)
http://www.zakzak.co.jp/spo/2004_09/s2004093013.html

高塚容疑者は10月3日、朝日新聞の取材に応じ、球団再編の動きが進んでいた7〜8月にロッテや西武と合併を話し合っていたことを明らかにしている。高塚容疑者よると、オリックスと近鉄の合併構想が表面化したあと、7月中旬ごろから西武やロッテと合併を話し合っていた、という。

「ダイエー本社はずっと球団を保有すると言っていて、それは信じるが、万一、球団が福岡を離れると、ホークスタウンは回復不可能な危機になる。最悪の場合を想定し、球団を九州に残すため、合併先を探るのも経営者の務めだ」。

合併相手にロッテを選んだのは「福岡は韓国に近く、相手としていいと思った」とし、「巨人をしのぐ球団をつくるため、西武と合併する可能性も探った」と明らかにした。さらに「中内正オーナーの立場の保全が大事と思っていたので、ロッテと西武には中内氏の処遇も確認してもらっていた」という。
http://www.asahi.com/special/baseballteam/OSK200410030006.html

9月29日オーナー会議。この日セ・パ交流戦実施や新規参入への審査機関設置などを正式承認された。この日午前、福岡ドームとシーホークホテルを運営する「ホークスタウン」は、同社社長を兼務していた高塚オーナー代行らを「重大な法令違反」を理由に解任した。翌日、30日にはオーナー代行を辞任した。

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389(2004/10/31) 「ナベツネの野望」

高塚容疑者自身、ダイエー・グループを一代で築いた中内功氏の招聘によるものであった。その後、ダイエー・グループの再建の責任をとり中内色が一掃されるに及んで、ダイエー本社と高塚容疑者は対立関係にあった。福岡三事業で成果を上げたにもかかわらず、ダイエーの再建のため、ドームとホテルは、外資のコロニー社に売却された。唯一残されたのが、ホークス球団で、これは、NPBの外資規制によるものであった。

ホークス球団のない福岡ドームの価値は大幅に低下する。このため、ドーム球場とホークス球団のセットでの売却を考えたが、それに対し、当時、プロ野球のドンとして健在であった読売巨人軍の渡辺恒雄オーナー(当時)は、これに猛反発し、もし、球団を外資企業に売却したら、野球協約違反で球団を解散させると迫った。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind3.htm#255

これが、1年前である。この当時、既に渡辺氏は1リーグ構想を持っていたという。これを察知した川島コミッショナー(当時)は、1リーグ構想の火消しに躍起になっていたという。川島前コミッショナーの辞任の背景には、この1リーグ構想を巡る暗闘があったと言われる。

渡辺氏は焦っていたと思う。渡辺氏は、健康上の理由から、オーナー職からの引退を考え後継者も決めていた。ところが、後継者として指名されていた堀川氏が倒れ、目算が狂っていた。1リーグ構想については、西武ライオンズの堤義明前オーナーへの配慮とか、巨人人気の低落へのてこ入れとして、松坂の西武や人気のダイエーとの目新しさを狙ったのいろいろ考えられるが、現在、私が一番考えているのが、正力松太郎越えではなかったのかと思う。

正力松太郎(大正力)は、○○の父というのが好きで、プロ野球の父と呼ばれた。2リーグ制も大正力が作った。渡辺氏は、読売の中で権力を高めていった。その読売を作ったのも、大正力である。渡辺氏は、大正力の作った枠の中での権力である。渡辺氏の権力欲からすれば、大正力の力を超えたいと思うのが当然だと思う。渡辺氏は、2002年読売新聞社の持ち株会社化をはかり、読売新聞グループ本社社長となった。渡辺氏は、大正力が作った読売を渡邉恒雄の読売に作り替えた。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind2.html#101
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind1.html#99
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/wind1.html#94

次は、プロ野球であった。大正力の作ったプロ野球を作り替えたかったのではないのか。渡辺恒雄が作ったプロ野球にしたかったのではないのかと思う。それが1リーグ構想ではなかったのかと思う。ただし、その最終結論は、別に1リーグ制でなくても、良かったのだと思う。渡辺恒雄のプロ野球ができれば、それが2リーグ制であってもかまわなかったのだと思う。

これは、私の妄想かもしれないが、そう感じるのである。そして、1リーグ制のターゲットが福岡ダイエーホークスであった。
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388(2004/10/30) 「箱売りと外資規制」

機密文書の焦点のひとつが、外資系企業(ホークスタウン=コロニー社)への興行権の譲渡は、実質的な経営権の譲渡であり、これが、野球協約の外資規制(外資による49%以上の球団株式保有の禁止)に違反するのでは、というもの。高塚容疑者がホークスタウンの社長を解任された日9月29日オーナー会議で調査を決定している。

興行の世界で、興行そのものを売ることを「箱売り」と言う。この箱売りは、プロ野球の世界では広く行われており、「プロ野球は崩壊する」で大坪氏は、巨人は親会社の読売新聞社に、近鉄は親会社の近畿日本鉄道に箱売りをしていると指摘している。また、ダイエー・ホークスは、ダイエー本社がコロニー社にドームを売却する前から、福岡ドームに箱売りをしていた。

それが今回問題になるのは、2004年の箱売り先が、ホークス球団と資本関係にない外資系となったホークスタウンだということ。親会社と子会社という関係なら、連結会計によりグループの損益は変わらない。ところが、資本関係のないホークスタウンへの箱売りは、ホークス球団の利益を損なうおそれが出てくると、大坪氏は指摘している。

「チケット収入が球団経営の根幹であるにもかかわらず、ダイエーは毎年、チケットの売却金額をドーム球場と交渉しなければならない。その一方で選手からの年俸上昇圧力は高まるばかりだ。選手への支払いを始めとするダイエーの経費増加は歯止めがかからない状況にある。支出が増え続ける中で、ドーム球場側のさじ加減で収入が制約される。これでは早晩、ダイエーの経営が行きづまることは目に見えている。また、球団の赤字をダイエー本体が気前良く補填できるはずもない。球団買収に興味を持つ企業もこのような条件のもとでは、ダイエーに興味を持つとは思えない。」

大坪氏は、系列会社以外に箱売りしているのは、ホークス球団以外にないとしてるが、過去に横浜ベイスターズは、チケットの販売を横浜スタジアムに委託していたことがる。ベイスターズの前社長である大堀氏が、社長就任時、球団経営の根幹の根幹であるチケット販売を第三者に委託していたことに驚き、すぐさま委託を解消している。

整理すると、興行権の譲渡が、即、経営権の譲渡になるわけではない。読売巨人軍は、興行権をグループの読売新聞社に譲渡している。次に、資本関係にない第三者への興行権の譲渡も過去には例があり、それが、経営権の譲渡としてオーナー会議で指摘されたことはなかった。

とすれば、そもそも、球団保有の外資規制に当たらないことになる。大坪氏は「外資の管理下にあるドーム球場がチケットを一括購入して、意のままに自由に使えるならば、球団株を保有することなく興行権を握るのと同じ意味になる。こんなことが許されるならば、いっそのこと野球協約から外資規制を削除する方が早い」としている。

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387(2004/10/29) 「機密文書」

この「重大な法令違反」について、セクハラ容疑のほか、テレビ局からの裏金などが取りざたされていたが、地元では機密文書の流出事件が原因との見方が広がっていた。

10月16日日刊ゲンダイの記事によれば、機密文書とは、福岡ダイエーホークスとホークスタウン(旧FDRE=福岡ダイエー・リアル・エステート)との契約文書で、9月6日にスポーツ報知がスクープしたもの。FDREを買収したコロニー社に実質的な経営権を譲り渡したと受け取れるもので、ポイントは3点。

(1)チケット・物品の販売権、放映権、商品化権、キャラクター利用権などはFDREが保有(2)ホークスは30年、福岡ドームを本拠地として同期間は球団の譲渡、呼称変更の禁止(3)承諾なしにこれらを行った場合、チケット・物品販売権の1年分の対価32億1800万円を契約年数の残り年数分を支払うというもの。今シーズン中に球団譲渡をすれば約932億円の支払い義務が生じるとしていた。
http://gendai.net/contents.asp?c=031&id=16372
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040906_10.htm

ダイエー本社の「高木社長が産業再生機構の活用に頑強に抵抗したのは、この裏契約のためではないか。再生機構入りすれば球団は売却される。高木氏は900億円を超える賠償金支払いに縛られていたんだろう」(地元財界人)
この契約書は、合意なしの公表を禁じる項目がある機密文書で、流出については「内部流出しか考えられず、コロニー側は高塚氏ら3役員に強い不信感を持ったという。情報管理責任を厳しく問い、流出した経緯の調査を強く求めたが、高塚氏は聞き入れなかったといいます」(関係者)

この記事は、スポーツ報知のスクープとされたが、「メジャー野球の経営学」(集英社新社)の著者大坪正則氏は、著書「プロ野球は崩壊する」(朝日新聞社)の中で新聞報道をまとめてみるとしたダイエー本社とコロニー社との間の契約内容を載せている。

それは、「ダイエー本体が引き続きダイエーを保有するが、ドーム球場を本拠地とする30年間の球場使用契約が結ばれ、たとえダイエーが新しいスポンサーに売却されても、本拠地を福岡ドームに置くことが明確になった。また、コロニーはダイエー主催試合の入場券を一括して買い上げ、ドーム球場、ホテル、ダイエーの一体化を継続する。放送権交渉もドーム球場が行い、放送権料の90%程度をダイエーに払い戻す」というもので、スクープとされた機密文書の内容とほとんど変わらない。

コロニー社への売却後も、引き続きホテルとドーム球場の経営を見ることになったダイエーホークスの高塚球団社長(当時)は記者会見で、(この契約により)「資本が異なっても三位一体は維持できる」と説明したという。これに対し、大坪氏は、5つの疑問を指摘している。

(1)権利処理の主体性 興行主はコロニー社で、ダイエー本社は冠スポンサーと言われても反論の余地がない。
(2)箱売りの妥当性 なぜ、本来の興行主であるダイエー球団は、最大の権利あるチケット販売を放棄するのだろうか。
(3)1試合5000万円の妥当性 妥当なのかどうか。
(4)外資規制 外資の管理下にあるドーム球場がチケットを一括購入して、意のままに自由に使えるならば、球団株を保有することなく興行権を握るのと同じ意味になる。これでは外資規制の意味がない。
(5)放送権 放送権の権利処理を第三者であるドーム球場に委ねることは、営業活動の放棄と言わざるを得ない。

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386(2004/10/28) 「重大な法令違反」

まあ、出るわ、出るわ、プロ野球経営者の不祥事が。

まず、高塚猛前ダイエーホークスオーナー代行、10月25日セクハラ容疑で福岡県警が逮捕。同容疑者は、9月29日にホークスタウン社長を「重大な法令違反」で解任され、同月30日にダイエーホークスのオーナー代行を辞任。4月に就任したダイヤモンド社の社長も今月7日に辞任していた。

新聞記事を追ってみよう。

福岡県警にはこの二人の告訴を含め、計十件近い被害相談が寄せられており、県警は社長の立場を悪用したセクハラ(性的嫌がらせ)が社内で常態化していたとみて調べている。一方、不透明な資金の流れについては、高塚容疑者の著書を年間約一万冊以上も経費で購入する「公私混同」や、業務に関係ない出張にも旅費が支払われるなど、億単位ともいわれる会計処理の「疑惑」が発覚。「限りなく黒に近いグレーの案件が五十―百件ある」(増井利夫ホークスタウン社長)という。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041026-00000016-nnp-kyu

高塚容疑者はダイエー福岡事業の「再建請負人」として招へいされ、99年4月にドーム球場やホテルの運営会社、福岡ドーム副社長に就任。球団とホテル、ドーム球場の「三位一体」運営などで、00年度に福岡事業は初の営業黒字を計上し、高塚容疑者の経営手腕が評価された。02年10月には福岡ドーム、球団社長に就任し、福岡事業の全権を握る。

しかし、03年11月にダイエーホークス主力の小久保裕紀選手の巨人への無償トレードをきっかけに、選手やファンから高塚容疑者のワンマン経営に対する不満や批判が噴出。ダイエー本社との確執も表面化し、今年4月、高塚容疑者の経済出版社ダイヤモンド社社長就任をきっかけにダイエーから社長辞任を迫られ、社長を退いてオーナー代行にとどまっていた。

一方で、福岡事業のうちドームと隣接のホテルをダイエーから買収した米投資会社コロニー・キャピタルは同月、買収したホテルやドームの運営会社、ホークスタウンの社長に、買収前と同じく高塚容疑者を起用した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/archive/news/2004/09/29/20040929k0000e020073000c.html

ところが、旧ダイエー福岡事業の再生に貢献した手法にこだわる高塚容疑者に対し、収益性を高めたいコロニー社幹部は「出たとこ勝負で経営戦略がない。1年以上前から数字は下がっている」と批判、9月末の「重大な法令違反」によるホークスタウン社長解任となった。解任の背景には経営手法をめぐる両者の根深い対立があるといわれ、地元福岡の財界では、その大半は解任の理由をこの「経営路線の違い」とみていただけに、「重大な法令違反って、一体何があったんだ」といぶかった、という。後任の新社長にはコロニー社駐日代表の増井利夫副会長が就任し、コロニー色が強まった。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/flash/KFullFlash20040929009.html
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/20040930/morning_news021.html

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385(2004/10/22) 運命共同体

特定球団の横暴ぶりに対し、プロ野球はひとつの「運命共同体」なのだから共存共栄を図っていかなければならない、という非難がおこる。今回の球界再編劇にしても同様のことが言われた。

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ことほどさように渡辺オーナーは、ことごとく近鉄や経営難の球団の行く手に立ちふさがってきたのだ。同オーナーの言うことに一理があるといえば、ある。しかしいまプロ野球を一緒にやっている仲間を運命共同体と考えて、何らかの対策や代案を出したかというと、何も出していない。私はこういう専横ぶりを、やはり「プラスワン」で批判した。渡辺オーナーはプロ野球界を運命共同体とは考えていないのだ。むしろ、「やっていけないところは潰れればいいんだ。それが自由競争というものだ」と考えているのだろう。
http://www.sportsnetwork.co.jp/adv/bn_3/vol204.html
********************************

ところで、私はこの「運命共同体」という言葉に違和感を感じる。上の話は、ビッグクラブとリーグ、又はビッグクラブ対中小クラブとの利害対立という構図の中での話であり、「運命共同体」という言葉は、リーグ運営上の論理として使われている。

リーグ運営というのは、プロスポーツにとって最重要事項だと私は思っている。リーグがなければ、ビッグクラブといえども、存続できないのだから。その意味では、運命共同体という言葉は、間違っていないとはいえる。

ところが、プロリーグの運営こそ、プロスポーツ・ビジネスの真髄であり、そのビジネスの世界に、運命共同体という運命論を持ち込むことに、私は違和感を感じるのだ。

私は、プロリーグをリーグ戦興行共同体と表現している。プロリーグは、構成する各球団(クラブ)が、単に運命で結びついている訳ではなく、リーグ戦を興行するという利害関係によって結合してるのである。プロリーグの運営は、運命論ではなく、ビジネスとしてリーグ戦興行共同体として運営されなければならないと思う。

なお、このビッグクラブとリーグの利害対立という構図は、なにも日本のプロ野球に限ったことではない。最近でも、米国では、ニューヨーク・ヤンキースが、フランスでは、オリンピック・マルセイユが、ドイツでは、バイエルン・ミュンヘンがリーグや中小クラブと利害対立を起こしている。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/ballcom.html#16

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384(2004/10/18) ドンは野球が好きじゃなかった。

プロ野球のドンといえば、前読売巨人軍オーナー渡辺恒雄氏と日本シリーズ後のオーナー辞任を表明した西武ライオンズオーナー堤義明氏の名前が思い浮かびます。このお二人、今回の1リーグ騒動の張本人でありますが、奇しくも、二人とも不祥事で球界から退くことになりました。

今年は読売史観プロ野球70年にあたり、NHKでは「プロ野球70年 みんな野球が好きだった あなたが選ぶ史上最強のドリームチーム」という企画をやっており、発表は10月31日に迫っています。http://www.nhk.or.jp/baseball/

ところが、プロ野球のドンと言われた、球界を牛耳っていた渡辺氏と堤氏は、実は野球は好きじゃなかったのであります。「プロ野球のドンは野球が好きじゃなかった」。

渡辺氏がスカウト活動違反行為事件で、読売巨人軍のオーナー職を辞任する直前の04.8.2AERAの25ページから、渡辺恒雄氏は「野球が好きじゃなかった」。渡辺氏の「たかが選手」発言を受けて、

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「あれを見て、ナベツネさんらしいと思いましたよ」そう話すのは、『渡邉恒雄 メディアと権力』の著者魚住昭氏だ。「渡辺さんは哲学青年で、もともと野球にはまったく縁がなかった人。小さい頃野球に夢中になった我々と違って、選手への憧れを持ったことがない。あれほど優れた古田選手の才能への畏敬の念があれば、あんな言葉は出てこないはずなんです」
 渡辺氏自身に言わせると、旧制の開成中学校まではガリ勉、東京高校時代は戦争中で野球どころではなかった。終戦の年に東大文学部哲学科に入学。共産党へ入り、<『共産党運動』というスポーツをやっていた>読売新聞社に入社して政治部へ配属されて以降は、<政治以外に興味はなかったから、野球を見る気もなかったし、見る暇もなかった>となる(『天運転職』)。
 渡辺氏がプロ野球とかかわったのは、78年の「江川事件」からだ。ドラフト制の隙をついた「空白の1日」を利用して江川卓氏の入団を実現させようと読売が動き、編集局総務だった渡辺氏が、巨人のエースだった小林繁氏に阪神へのトレードを受け入れるよう説得をまかされた。野球に無関心だった渡辺氏は小林氏の顔を知らず、同席した知人に向かって説得を続けた、という逸話が残っている。

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それでは、もう一人のドン、堤義明氏の「野球が好きじゃなかった」はどうだったのでしょうか。西武鉄道の持ち株虚偽報告事件で、西武鉄道グループの前役職の辞任を発表した翌日の東京新聞(10月14日)から

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「彼はもともとプロ野球に関心がなかった。オーナー会議にずっと出なかったのも情熱のない証し。観客動員も伸びず、ますます関心を薄めていった。身売り説、合併説が出てもおかしくない」とスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏。
 プロスポーツでは西武ライオンズのオーナー、アマでは全日本スキー連盟会長や日本アイスホッケー連盟会長、さらに日本オリンピック委員会(JOC)会長などを歴任した堤氏のスポーツとのかかわりは、早稲田大学時代にさかのぼる。
 「学生時代に父の康次郎氏(西武鉄道の創立者)に冬の軽井沢に人を集める方法を考えるよう言われアイススケート場を造った。当時、夏の軽井沢は繁盛していたが、冬は閑散としていた。康次郎氏は『売り上げより何人来たかの方が重要だ』と観光事業のイロハをその時に伝授した。本人もスキーはプロなみだ。ウインタースポーツには思い入れがある」と、経済評論家の針木康雄氏は指摘する。
 「経済団体の役職には興味がなかったが、スポーツ団体の役職には就いた。その方が、スキー場開発などの商売に結びつくから。目的がはっきりしている」
 谷口氏も「堤氏は自分のポジションをビジネスと結びつけていった。まず西武鉄道に強引にアイスホッケーのチームをつくった。岩倉組などから有能な選手を引き抜く西武らしいやり方だった。アイスホッケーの連盟を牛耳ることをとっかかりに、西武グループという背景、父親の代からの政治家とのかかわりで、さまざまな影響力があると周囲が期待、JOCのプリンスになっていった」と言う。
 針木氏は「アイスホッケーは、他の企業が撤退する中、コクドと西武鉄道とグループ内で二チーム持ち続けるほど熱を入れていた(昨年、コクドに統合)。それでもチーム減少が止まらず、アジアリーグを始めた。情熱を入れていただけにむなしさも感じているのではないか」と推測する。
 一方、野球については「チップを捕手が捕り、三振とされると『何でだ』と不思議がるほど知らなかった」と言う。

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プロ野球を愛さない二人が球界を牛耳っていたわけですから、プロ野球がこんな状態になるわけです。でも、その二人は、いま、球界を去ります。
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383(2004/10/09) 札幌、仙台、そして新潟 

二つのS(エス)

谷沢さんの描いた独立リーグは、NPBの加盟を断られたIT企業がNPBに対抗して独立リーグを創るというものでした。選手会のストライキの結果、05年から新規参入球団を迎えることになり、これに、IT企業のライブドアと楽天が仙台を本拠地として応募してきました。

いままで、頑(かたく)なに既得権を守り続けてきた、既存球団の牙城の一部が崩れました。しかし、既存球団は、したたかに、自分たちの権益を守ろうとしています。その刺客が楽天だと言われています。しかし、ストライキの結果、閉ざされたオーナーズ・クラブが少し、開放されたのは事実です。

ライブドアと楽天が仙台を本拠に、新規参入を申請したことにより、東北は活気づいています。プロ野球の潜在需要はまだまだ充分存在しています。サッカー不毛の地と言われた仙台、札幌、そして新潟でJクラブが観客を動員しているのは、プロスポーツの持っているステータスとシンボルという2つのS(エス)の力によるものです。この2つSの需要は、スポーツの如何を問いません。
http://www.geocities.jp/baseball_wind21/keieeiron1999.html#3-4

札幌では、仙台に先駆け、今年から日本ハムが北海道日本ハムファイターズとして、道内10企業・団体に26%の出資を仰ぎ、道民球団として再スタートを切りました。札幌ドームを専用球場に、主催65試合(うち50試合が札幌ドーム)の観客動員は161万6000人と前年比23%増。函館と旭川を含めた道内53試合でも127万9000人、1試合平均2万4132人を集めました。特に、9月21日の札幌ドーム最終戦では、4万3000人の観客がつめかけました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/fighters/news/20040929k0000e050079000c.html

Jリーグで一番の観客動員を誇るのがアルビレックス新潟です。アルビレックスは、プロスポーツのもっている二つSの力に着目したことが成功の秘訣だと思います。そのアルビレックス新潟の池田弘社長は、いま、バスケット・ボールのプロ・リーグ化を企図しています。J1のアルビレックス新潟とは別会社ですが、池田社長の個人会社が経営する新潟アルビレックスというバスケットボール・チームがあり、このチームと旧マツダ系のさいたまブロンコスの2チームを中核にプロバスケリーグを創ろうというものです。
http://www.albirex.com/info/news/0409.html#0916b

新潟アルビレックス

この池田社長が、新潟にもプロ野球チームを、とういうことで、08年からのプロ野球参入構想を発表しました。以下は、日刊スポーツの記事です。

サッカーのJ1アルビレックス新潟の池田弘社長(55)ら新潟県内有志で作る「新潟に県民(プロ野球)球団を創る会」設立準備委員会(藤橋公一代表)が5日、新潟市内で会見し2008年(平成20年)新規加入の新球団を設立する構想を発表した。建設予定の新潟県営野球場を本拠地とする。県内の個人、民間企業から出資金を募り、独立採算の県民球団として、日本プロ野球組織(NPB)に07年秋に加盟申請する計画だ。

県内の野球関係者や、有志で作る「新潟に県民(プロ野球)球団を創る会」発起人の1人として会見に参加したJ1新潟の池田社長は「新潟でもプロ野球チーム設立を願う声は強い。地元に愛される県民球団を作りたい」と構想を発表した。球団名は「新潟アルビレックス」(仮)で、県が08年完成予定で建設する計画の新潟県営野球場を本拠地とする。

運営資金は県民、県内企業から広く募る。新規加入のための資本金10億円は県内企業、個人から募り、保証金25億円は運営会社が社債を発行し、経営状況を完全公開する。ライブドア、楽天の仙台新球団設立が実現しなかった場合、出資社の1社として受け入れる可能性もあるが、基本は「県民球団」にこだわるスタンスだという。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-041006-0020.html

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382(2004/10/09) 独立リーグ

野球を愛する会

8月30日東京の渋谷公会堂で「野球を愛する会パネル・ディスカッション」が行われました。野球を愛する会の事務局長をしている川島容次郎さんが私費で公会堂を借り切り、川島さんの友人である谷沢健一さんが協力して開かれたものでした。

パネリストは、池井優先生、衣笠さん、玉木さん、産業経済研究所の広瀬一郎さん、元全日本監督の村上さん、そして谷沢さんでした。広瀬さんは、今回のビジネスの問題として捉えるべきだと問題提起したのですが、池井先生も玉木さんもいつもの話をするだけで広瀬さんの話に乗れていませんでした。

そこで谷沢さんの「プロ野球の今を撃つ」という冊子を売っていました。これは、球界再編に対する谷沢さんなりの意見が書かれているのですが、現在、谷沢さんは、西多摩野球倶楽部の監督、早稲田大学スポーツ科学部客員教授をされています。この冊子のプロフィールによれば、谷沢さんは、95年に西武の打撃コーチを辞任後、98年に早稲田大学に戻り、大学院修士課程を00年に終了しています。修士論文は、「21世紀の日本におけるプロ野球球団経営のあり方」です。

「プロ野球の今を撃つ」の最後に、谷沢さんの描く近未来の球界が描かれています。それが独立リーグでした。谷沢さんが社会人野球のクラブチームの監督になったのにはこういった想いがあったようです。

「200x年・・・旧世代に対する意地からか、若々しい企業心からか、あるいは成り行きからか、新興の企業家たちが、4チームの球団を設立し、独立リーグを設立する」

四国独立リーグ

それからちょうど一月後の9月30日、元オリックス監督の石毛宏典さんが、四国独立リーグを発表しました。

以下は日刊スポーツの記事です。

プロ野球オリックス元監督の石毛宏典氏(48)は30日、高松市内、東京都内で記者会見し、来年から四国で既存のプロ野球とは異なる独立リーグを発足させる計画を発表した。石毛氏は「プロを目指す若者にチャレンジする場を提供したい」と抱負を語った。

独立リーグは、石毛氏が代表を務める株式会社IBLJ(東京都)が運営。四国4県の県庁所在地に各1チームを置き、プロ野球OBが監督、コーチとなる。12月に高松市のほか東京都、札幌市、大阪市、名古屋市で17〜24歳を条件にトライアウト(選抜試験)を行い、1チーム22人を選手として採用。来年4月下旬から10月まで各チーム90試合のリーグ戦を行う。

既に四国コカ・コーラボトリングとJR四国の支援が決まっており、さらに複数のスポンサー企業を募るという。チーム名は各県民に公募。球場の日程交渉はこれから行うとしている。

石毛氏は「不況で企業スポーツが衰退している。アマの受け皿、プロの供給源になりたい」と話した。

http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040930-0031.html

東北独立リーグ


この四国独立リーグに呼応するかのように、東北独立リーグの構想が明らかになりました。これまた、日刊スポーツの記事です。

プロ野球新球団発足で盛り上がる仙台市で、球団誘致に取り組む市民団体「仙台市民球団企業組合」(鈴木悟理事長)は4日までに、既存のプロ野球とは異なる「東北インディペンデント(独立)リーグ」発足の構想を打ち出した。

地元の人材発掘と新球団を迎える基盤づくりが狙い。06年の実現を目指し、地元企業や野球関連団体との交渉に向け準備を進めている。

鈴木理事長によると、独立リーグは米国のメジャーリーグがモデルで、東北6県に基盤のある企業などが共同出資して運営する。東北リーグとして最低でも各県に1チームずつ置き、その下に県内リーグや地域リーグを順次置く予定という。

各チームは独立採算制とし、放映権料や観客収入で運営。選手は東北地方に住む16歳以上が条件で、地元の企業などで働きながら練習や試合に出る。監督やコーチはプロ野球OBに依頼する。

http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-041004-0044.html

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381(2004/09/28) 楽天に落胆

これは、インターネット商店街最大手の楽天が仙台を新球団の本拠にすると表明したことについて、大阪府の太田知事が落胆したと言う記事のタイトルで、語呂合わせがうまいので、今回拝借する。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040922-0029.html

楽天は8月の時点では、プロ野球参入を拒否していたが、最初のストライキが回避され、新規球団受入の声が高まった9月16日突如参入を表明した。当初は、楽天の三木谷社長の出身地神戸(兵庫県)を本拠地にしようとしたが、その後、近鉄買収も視野に入れた大阪、オリンピックスタジアムのある長野など各地に本拠地のアプローチを行い、結局、先にライブドアが名乗り上げていた仙台を本拠地にして、24日日本プロ野球組織に新球団の加盟申請を行った。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200409/bt2004092503.html

楽天は、今年になってグループ会社が、Jリーグのヴィッセル神戸を買収しており、当初は、神戸のヤフーBBを本拠にして、ヴィッセル神戸との相乗効果を狙ったが、兵庫県を保護地域とするオリックスや阪神の反発に合い断念。また、大阪についても、同様の反発にあっている。結局、オリックスが、関西以外に本拠地を置くのなら、楽天の新規参入を認めるということになり、仙台を本拠地として、加盟申請することになった。阪神も、楽天の仙台本拠を歓迎した。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040915_10.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040921_100.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040922_60.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040922_20.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20040923_10.htm
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/0924rakuten2_2.jpg

楽天の突如のプロ野球参入について、オリックスとのつながりが指摘される。楽天は、8月27日、オリックスグループから、カードローン会社のあおぞらカードを74億円で買収することで合意し、プロ野球参入を表明した9月16日買収が成立している。あおぞらカードは、あおぞら銀行とオリックスグループの合弁会社で、中高所得者層を対象とした低金利・大型限度額のカードローン事業を展開している。今回の買収で楽天は、楽天グループの2,800万会員の有料顧客層をターゲットにしたカードローン事業を展開していく、という。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/08/27/4413.html

楽天と読売との関係では、楽天がヴィッセル神戸を買収する前、東京ヴェルディ1969のユニホームスポンサーであった、という事実がある。なお、ヴェルディは、読売新聞社ではなく、日本テレビが所有している。
http://www.rakuten.co.jp/verdy/

また、三木谷社長自身も、「オリックスの宮内義彦さんや西武の堤義明さんとも親しくさせていただいている」「自ら各経営者に説明にいきたい」などと述べ、今回の1リーグ騒動三悪人である宮内・堤氏との親交を明らかにしている。三木谷社長は、興銀出身で米国でMBAを取得、帰国後企業のM&Aを担当し、財界とのつながりができる。その後、起業のために銀行を去り、電子商店街にたどり着いたという。

この点、ライブドアの堀江社長とは、対称的である。堀江社長は、東大在学中に、ネット業界に入った人物で、前読売巨人軍オーナー渡辺恒雄氏には、「僕の知らない人」と言われた。

23日の選手会と経営者側との合意事項により、新規参入希望球団の審査が速やかに行われることになるが、ライブドアは、6月近鉄買収に名乗りを上げた際、「僕の知らない人」を入れるわけにいかないと、球界のオーナー(当時)渡辺恒雄氏に門前払いされているのに対し、楽天は、宮内・堤氏との親交のほか、有力財界人とのつながりも明らかにされており、有力視されている。報知新聞の記事を辿ると、ライブドアと楽天の扱いの違いは明らかであり、新規参入球団は、楽天に決まったような書き方さえしている。

24日楽天が日本プロ野球組織に加盟申請した後、三木谷社長が「楽天野球団」(仮称)の経営諮問委員会に「16兆円の売上げを誇る“世界のトヨタ”の奥田硯会長、政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)の議員もつとめるウシオ電機・牛尾治朗会長ら、銀行、証券、航空業界など、日本経済界を代表する経営のプロを招へいした」という報道がなされた。最初、経営諮問委員会のメンバー云々という話だったので、新規参入球団の資格審査会のメンバーかと思ったら、なんと、楽天球団の球団経営諮問会議だった。

これでは、新規参入球団の資格審査をするメンバーよりも、1球団の経営諮問委員会のメンバーの方が、格上の「経営のプロ」であり、新規参入の資格審査時への影響はかなりあるのではないかと思う。

27日の実行委員会で、新規参入審査を行う実行委員会の審査小委員会のメンバーが決まった。実行委員会議長の豊蔵セ会長が委員長を務め、巨人、横浜、西武、ロッテの各球団代表で構成されるという。豊蔵セ会長も、各球団代表もオーナーにさえ頭が上がらない連中なのだから、オーナー連中より格上の財界人が経営諮問委員会のメンバーを務める楽天を外すことできるのかと疑問に思う。

また、地元仙台では、9月24日の日刊スポーツの記事によれば、「楽天は長野県を「準フランチャイズにする」と表明、神戸市にサッカーJリーグのヴィッセル神戸も所有しており、県内の関係者からは「本当に地元に密着できるのか」と疑問視する見方が出ている。」。

また、毎日新聞の24日のアンケートによれば、「仙台市の県営宮城球場を本拠地にプロ野球参入を目指す「ライブドア」と「楽天」について、どちらを支持するか市民50人にアンケートした。その結果、ライブドアを挙げた人が54%に達し、楽天の24%を大きく上回った。その多くが、いち早く仙台を選んだことに好感を示し、楽天に対しては「お金のためという感じ」という不信感も聞かれた。」
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/miyagi/archive/news/2004/09/25/20040925ddlk04050078000c.html
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380(2004/09/25) キメラ球団

オリックス・バファローズ。頭はオリックスで、身体はバファローズというキメラ球団が誕生する。オーナーと社長とGMは、オリックス、資本の80%もオリックス。主力選手は、バファローズ出身者が多くなるといわれている、専用球場も大阪ドーム。キメラとは、もともとギリシャ神話のなかに出てくる怪獣で、体全体がいくつかの種類の動物の体の一部分を融合させたものからできているものの名前である。

合併しても、ファンが1+1=2とはならない。統合という名の合併によって、大阪近鉄バファローズが消滅するだけでなく、オリックス・ブルーウェーブも消滅する。誕生するのは、キメラ球団オリックス・バファローズ。誰が応援するのだろうか。

大阪近鉄バファローズは、「いてまえ打線」に代表されるように大阪でも下町にあたる河内の球団である。オリックス・ブルーウェーブは、本拠地は神戸で、その前身の阪急は、高級住宅地の芦屋、ファン気質も異なるという。専用球場を大阪ドームとし、神戸のヤフーBBでも半分近い試合をしたいというが、キメラ球団は、神戸の球団なのか、大阪の球団なのか。3年後には、答えを出さなければならない。

ただ。分かっていることは、大阪・神戸(兵庫)の二つをフランチャイズとするが決死して”阪神”ではないということだ。

問題となるのが、大阪ドーム。巨額の赤字を出し、オリックスと近鉄の合併がなければ、とっくに、「再建」処理が動き出しているはずだった。近鉄本社が、球団の清算に急いだのは、この大阪ドーム(運営会社「大阪シティドーム」)の経営危機があったという。大阪市や府が、音頭をとり、大阪財界をあげてドーム球場を作ったが、ドーム運営は近鉄頼みだった。ところが、大阪ドームは、近鉄沿線には作られなかった。

近鉄本社が黒字ならいいのだが、不動産投資やレジャー投資の失敗で、本社自体が有利子負債1兆5千億円を抱え、経営再建の途上にある。近鉄球団の巨額の赤字が問題になっているのに、大阪ドームの再建案が具体化したら、近鉄球団は、大阪ドームと長期契約を強いられることになり兼ねなかった。年間11億円(警備費等を含む)のドーム使用料は、球団経営を圧迫する原因のひとつにもなっている。

これを逆手にとって、オリックスは、キメラ球団の興行権を20億円で大阪ドームに買うように求めた。興行権を大阪ドームに売れば、11億円のドーム使用料は負担しなくていいことになり、実質31億円の価値となる。結局、大阪ドームは、福岡ドームのような人材がいないため、これを拒否し、キメラ球団の興行権は、オリックスが持つことになったという。このオリックスが、キメラ球団のことなのか、オリックス本社のことなのか、不明である。

これまで、大阪ドームにおけるプロ野球興行は、近鉄グループが行っており、興行権を持っている福岡ドームと異なり、第三セクターである大阪ドームには、人材も経験もなかった。

巨額の赤字を出している大阪ドームにとって、試合数が今より半分になることは、経営問題をより深刻化させる。このままでは、大阪ドームは、破産に追い込まれ、大阪から球団が完全に消えてしまうかもしれない。その窮状を待って、オリックス・グループがハゲタカ・ファンドとして乗り込んでくるかもしれない。

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379(2004/09/24) 火事場泥棒

9月23日、選手会と経営者側の合意が成立し、今週末のストライキが中止となった。争点であったオリックス・近鉄の合併凍結は、結局、選手会側は認めざるを得なかったが、経営者側が来季12球団に戻すことを視野に入れ、新規参入の審査を速やかに進めるということで、合意に達した。

プロテクト枠の廃止はならなかった。合併(統合)球団の当事者であるオリックス・大阪近鉄両球団の選手たちは、球団選択の自由を求めたが、結局、オリックスの小泉球団社長の「それでは合併するメリットがない」と駄々をこねたためだ。大阪近鉄の礒部選手会長の「(合併の)メリットはオリックスだけ。強くするだけの合併なら他球団もするかも」の言葉は正論である。

この結果、合併新球団は、兵庫県と大阪府のダブル・フランチャイズとオリックス・大阪近鉄両球団の主力選手25人を獲得できるプロテクト枠を手にいれたことになる。残った選手の面倒と新規参入球団の面倒は、他球団が面倒をみてくれることになっている。

選手会と経営者側との合意事項によれば、新規参入が決まった場合、分配ドラフトへの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する、また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する、とされている。

既存球団は、戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する、というのは、MLBの球団拡張のとき行われた、エクスパンション・ドラフトと似たことを行おうというものらしい。

本来なら、大阪近鉄球団の選手たちが、球団売却で新規参入球団に、一括して移行すればそれですむはずだったのに、合併(統合)により1球団消滅、その後、球団の新規加盟という馬鹿げた段階を踏まなければならなくなってしまった。

このため、合併(統合)球団は、オリックス・大阪近鉄の主力選手を獲得できることになったのに対し、新規参入球団は、オリックス・大阪近鉄両球団の非主力選手と既存球団の非主力外選手でやっていかなければならない。既存球団は、オリックス・大阪近鉄両球団の非主力選手を保有しなければならず、新規参入球団のために、選手を放出しなければならなくなってしまった。

合併(統合)球団の出資比率は、オリックス80%、近鉄20%で、オリックス・バファローズを名乗るそうだ。オーナーと社長は、オリックスから出し、近鉄は3年後、出資を含めて、手を引くとのこと。3年間は毎年、赤字10億円分は近鉄が支払うという。

9月21日の朝日新聞によれば、オリックスの小泉隆司球団社長が、先週17日に行われた労働組合日本プロ野球選手会との協議・交渉委員会の途中、12球団側だけの協議の席で「新規参入球団がセに行けばいい。巨人がパに来てもいいんですか」などと発言していたことが、20日、明らかになった。

そのオリックス・小泉隆司球団社長は、今週22日の選手会との協議後「二つの申請を慎重に審査して良ければ、来季からパシフィックが6に戻っても、オリックスは大歓迎だ。申請から1カ月間と協約に書かれているので、誠意をもってやる。統合は予定通りやらせてもらう」と方針を180°転換した。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200409/bt2004092302.html

オリックスにとって、ダブル・フランチャイズと2球団の主力選手を確保し、交流戦が実現し、ドラフト改革、選手年俸の減額制度の緩和などが実現すれば、1リーグ制にならなくても、別にかまわないはずである。もっとも、決め手は、楽天の仙台進出の話ともいわれる。

24日の報道によれば、「既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する」とは、単に、既存球団が、分配ドラフトの権利を新規参入球団に譲るということらしい。前日とは、ニュアンスが異なる。これでは、新規参入球団は、オリックスによって主力が引き抜かれた残りの1軍半レベルの戦力ということになり、戦力の均衡どころではない。

それから、合併(統合)球団が、選手をプロテクトするとき、球団側は、選手と面談し、選手の希望を尊重するとことになっているらしいが、選手とファンを裏切り続けた、小泉(オリックス)・小林(大阪近鉄)両球団社長に、選手を尊重することができるとでもいうのだろうか。小泉社長は、「徒党を組むのはやめて欲しい」と、さっそく、選手に釘をさしている。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200409/bt2004092402.html
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378(2004/09/23) 敵前逃亡

9月17日根来コミッショナーが辞意を表明した。前日の労使協議のとき、(1)新規加入の審査委員会設置(2)プロ野球有識者会議の設置(3)加盟料は預かり金という妥結案を「進退を掛けて」提示したが、選手会にあっさり無視され、スト突入で、辞めると言い出した。その後、辞める理由を、妥結案が「経営権に踏み込んでしまった」という、意味不明の理由に変わった。

根来コミッショナーは、9月22日毎日新聞社のインタビューに、「コミッショナーは、野球協約を違反した場合に制裁をやりましょう、ということで置いている。裁判機能なんですよ。僕はあくまでも中立公正という立場なの。経営というのはあくまでもオーナー会議、実行委員会の専権事項なんですよ。」と答えている。
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/news/20040923k0000m050161000c.html

プロ野球協約第8条では、コミッショナーは、日本プロフェッショナル野球組織を代表し、これを管理統制し、コミッショナーが下す指令、裁定、裁決ならびに制裁は、最終決定であって、この組織に属するすべての団体と個人を拘束するとされている。さらに、同第9条では、コミッショナーは、野球最高の利益を確保するために、この組織に属する団体あるいは個人に指令を発することができる、とされている。

今回のオリックス・近鉄の合併問題に端を発するプロ野球の経営危機は、旧態依然としたプロ野球の経営構造そのものにあることは明白になっている。選手の年俸高騰にしても、経営者側が自ら導入したドラフトの逆指名制(現・自由獲得枠)とFA制度によるものであり、今回も、自ら経営改革に乗り出せない経営者側に対し、選手会側がぜいたく税の導入やドラフトの完全ウェーバー制など、逆提案する始末である。

その経営構造を、有識者会議を設けて改革していこうという提案はどうみても経営者側への越権行為とは言えない。むしろ、日本プロフェッショナル野球組織を代表し、野球最高の利益を確保するという義務があるコミッショナーにとって義務でもある。経営者側には、経営改革を怠ってきた責任がある。今回の選手会のストライキにしても根本的な問題はそこにある。

元スポーツナビ代表、現経済産業研究所上席研究員である広瀬一郎氏は、9月16日のスポーツナビで、−現在の状況に対応するためにコミッショナーに求められているのは、「法律家」としての専門性でもなければ、「調停役」の機能でもない。「リーダーシップを持った提案者」であり、「企業家」が求められているのである。MLBのセリグ・コミッショナーしかり、あるいはNBAのデービッド・スターンしかり。無論、Jリーグの川淵さんもそういう人材であり、機能を果たしてきたのである−と述べている。
lhttp://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/04season/column/200409/at00002463.htm

また、オリックス球団のエグゼクティブアドバイザーで、今回のオリックス・近鉄合併劇でも球団の相談役となっているマリヨン・ロバートソン氏も、球界の舵取り役としてのコミッショナーの重要性を説いている。

−そもそも、MLB”Major League Baseball”とは、ブランドネームで、正式には”Office of Baseball Commissioner”。つまりコミッショナーが持っているリーグなのです。そのコミッショナーはリーグのCEOとしてプロフィットシェア(利益配分)やラグジュアリータックスを導入し、マーケットの小さな弱小球団にもチャンスを与え。MLBという「興行」を成立させる制度を導入しています。−0410月刊「バーサス」創刊号P77

根来コミッショナーは、辞意の説明を行った21日、選手会のストライキに対し、「合併反対ということに関しては、労働条件につながる可能性もありストが合法という見方もあるが、新規参入うんぬんでストを打つことは違法だろう」と述べている。この発言は、根来氏が、選手会のストは違法ストで損害賠償を請求できると経営者側に説明し、これが経営者側を強きにさせ、かえって選手会の反発を招きストが強行され、根来氏はコミッショナーを辞める羽目になったという話があるが、それを裏付けるものである。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040922/spo/08012300_sph_00000034.html

また、根来氏は、経営者側と選手会側が、ストライキ回避に向け、必至に協議を行っている最中、何をしていたのかと言えば、
−根来コミッショナーは、当初の交渉期限となった17日午後5時、東京・内幸町にあるコミッショナー事務局にいなかった。直線距離で約3キロ離れた東京・六番町の主婦会館プラザエフで、初代会長に就任した「消費者機構日本」の設立総会と、総会後の記者会見に出席していた。「消費者機構日本」は悪質商法や不当な契約による消費者被害の拡大を防ぐため、日本生活協同組合連合会など消費者団体が中心となって旗揚げしたもの。http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040922-0009.html

それでは、プロ野球の「悪質商法や不当な契約による」被害からファンや選手を誰がいったい守ってくれるのか。

阪神星野SDの21日の発言、9月22日夕刊フジの記事から−
・・9月いっぱいでの辞任を表明した根来コミッショナーに「事態解決のためのキーマンになれる」と『最後のご奉公』を要求した。スト突入を避けられなかった怒りと無力感から球界に見切りをつけ、職を辞そうとするコミッショナーを「逃げ出そうとしている」と非難する星野SD。せめて最後ぐらいは力を示してほしいと、こうリクエストした。

「コミッショナーがおやめになるんなら、最後に『合併凍結』と言ったら救世主になれるんじゃないか。それでも、近鉄がどうしても球団経営をやる気がないというのなら、新規参入に引き取ってもらえば宮内さんのところ(オリックス)もまるく収まる。ファンからそっぽも向かれない。それができないなら新規参入を早くやってあげる。それがプロ野球にとって一番早く円滑に収まることになると思うよ」
http://news.goo.ne.jp/news/fuji/sports/20040922/20040922-f-42.html

最後に9月18日アサヒコム記事から、根来コミッショナーの言い訳を一つ、−
長年、法曹界を歩んできただけに、「私は理屈の世界にいたから、こういう感情の世界はわからないが、理屈の通らない話は不愉快でかなわない」。

私も不愉快だ。根来コミッショナーさん。

※ その後、根来コミッショナーは、オーナー会議で慰留され、後任が見つかるまでということで、辞任しておりません。何もしない奴に退職金を払うのはもったいないし、どうせ何もしないなら、それはそれでコミッショナーの目的は果たしているということで、慰留になったのかな?(2004/10/24)
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377(2004/09/12) 新規参入

パ・リーグ村田繁事務局長「私見ですが」と前置きした上で、「監督やコーチ、選手が誰か決まっていて、球団の形がなされていなければ申請は通らないのでは。シダックスのようにすでにチームがあり、草薙球場を本拠地にしてというような構想があれば加入を検討されると思いますが」と話したという。巨人桃井球団社長も、「(申請があった段階で)当然、聞くんじゃないですか。『選手はどうするんですか』と」と語ったとのこと。※野球協約では、参加資格を取得するのは「球団」と表現されている(日刊スポーツ)。http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040912-0003.html

パ・リーグは、そもそも、リーグ運営の責任を負っているわけで、参加球団が奇数になればリーグ運営がうまくいかなくなることは明白なはずだ。協約上も、合併や破産・脱退する球団があったら、その球団の選手をリーグがいったん預かり、リーグ会長が買収先を探すことになっている。その義務を放棄し、合併という言葉で1球団の消滅を許し、会長自らダイエーにロッテとの合併を働き掛けるという言語同断のことを行ったのがパ・リーグである。

消滅しようとしている球団に、選手がいるではないか。パ・リーグ会長は、協約57条でダイエーに脅しをかけたが、本来、57条で近鉄の選手をリーグで保有し、新規加入を求める球団に譲渡しなければならないはずなのだ。パ・リーグ自ら、57条を守らず、球団が消滅するにも関わらず、選手を独占し、新規参入希望球団に選手を譲渡しないこと、それに加えて、そうしておきながら新規参入希望球団に選手がいないから参入資格がないと断ることは、まさに、公正な取引の妨害でしかない。

シダックスのような社会人チームが、そのまま、新規参入を希望してきた場合、選手たちは、元プロ野球出身者を除けば、オール新人ということになる。すると、新人選手は、ドラフト指名を受けなければ球団と契約することは協約上できないはずだから、逆にいえば、こちらの方が協約上問題となる。こういうことがあるから、MLBでは、球団数を拡大するとき、既存選手のエキスパンション・ドラフトを行う。新規参入球団にこういったフォローがあるため、MLBでは、新規参入に対する加盟料が存在している。
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376(2004/09/12) 笑った話と雇用という言葉のミスマッチ

今朝のサンデープロジェクト(テレビ朝日)で、プロ野球について議論していた。登場人物は、野村克也氏、小林至氏、坂井氏、伊藤顧問、江本氏であったが、10日の合意事項で、加盟料60億円、参加料30億円の撤廃といった参入障壁の撤廃が焦点になると坂井氏などは述べていた。CM時間、チャンネルをかえると、オリックスの宮内オーナーが映っていた。宮内氏は、政府の規制改革・民間開放推進会議の議長をしており、官製市場の民間開放について話をしていた。「笑った」。

宮内オーナーは、9月8日のオーナー会議後の記者会見で「(各球団に)一番協力していただいたのが(合併によって)選手を路頭に迷わすことはしないということ。全選手を全チームがピックアップして雇用を維持するということを、一番最初に決めました。それについて、選手会が統合を反対するというのは、労働組合としては
非常に不思議なストライキだな、と。何を要求するのか」「パ・リーグは徐々に観客動員が増えているが経費、とくに選手の参稼料(年俸)が急騰して経営が苦しくなっている。(合併を)1年延期するということは、1チーム数十億円の赤字が発生するんです。それを選手が負担してくれるのか。代案のない一方的な申し入れです。労働条件についてはいくらでも話をさせていただく。ぜんぜん違うところでストライキといわれて戸惑っている。一番迷惑をこうむるのはファンではないのか」と述べている。

そもそも、特殊技能者であるプロ野球選手の雇用は、一般の雇用とは意味が異なる。特殊技能者の雇用は、その特殊技能を発揮する場の雇用でなければ意味を持たない。特殊技能を発揮できなければ、特殊技能の対価としての報酬を得ることができない。選手会側が主張しているのは、特殊技能を発揮できる場の確保である。球団数が減れば、1軍で試合ができる選手は、その分減ることになる。「1球団の保有選手を増やし、全選手を雇用しましたよ」といっても意味がない。

プロ野球の選手は、1軍で実績を残してなんぼの世界であり、逆に、1軍で実績を残せなければ契約を打ち切られる。実際、プロの世界では、そうでなければならない。1軍の活躍できる見込みのない選手を何年も雇用できる余裕など今のプロ野球にはないはずだ。1年たてば、多くの選手が実績が残せず、球界を去ることになる。なぜなら、実績を残そうにも残す場が減ってしまっているのだから。「全選手を全チームがピックアップして雇用を維持する」という雇用は、選手にとってあまり意味がない。1年契約が延長さらたに過ぎない。こんな雇用話に反対するストライキは、不思議でも何でもない。特殊技能者として、歴とした雇用を守るためのストライキなのだ。

次に、「(合併を)1年延期するということは、1チーム数十億円の赤字が発生する」という発言だが、近鉄球団をなにもそのまま、近鉄が経営しなくてもよく、残った11球団で管理会社を作り、球団経営を行えばいい。その方が、11球団制よりデメリットは少ないはずだ。必ず1球団が余る奇数球団制は、あまりにもデメリットが大きい。それなら、管理会社を作って残った球団でその赤字分を分けた方が、11球団制より損失は少なくなるはずだ。そもそも、近鉄買収を求め、それができなければ新球団での参加を求めているライブドアに近鉄球団を売却し、2リーグ・交流戦を推し進めた方がよいは明らかなのだが。このライブドアが信用できないのであれば、1年間この管理会社の運営をライブドアに委託すればいいのだ。


あと、「とくに選手の参稼料(年俸)が急騰して経営が苦しくなっている」という話は、経営者の責任を選手側に押しつけている。そもそも、選手年俸の高騰を招いたのは、1993年のFAとドラフト逆指名の導入からだ。これは経営者側が決めたことであり、その推進役となったひとりが、西武の堤オーナーではないか。今回、選手会側は、自ら、選手年俸の抑制策の一つであるぜいたく税の導入と年俸減額幅の拡大を提唱している。本来、これは経営者側が行うべきものであり、まさに経営者側の怠慢行為なのである。
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375(2004/09/12) ちょっと、振り返る

1リーグ制を企図する西武の堤オーナーが先に期待していたのは、近鉄よりも、むしろダイエーのようだった。ダイエー本社は、再建途上にあり、昨年は福岡事業(福岡ドーム)の売却と絡めて球団売却の話がでていた。堤オーナーに借りのある巨人の渡辺オーナー(当時)は、福岡ドームと合わせて外資に球団を売却しないよう、ダイエー側に圧力を掛けた。その結果、福岡ドームは外資に売却されたが、球団はダイエー本社に残った。このことが逆に、ダイエー本社を追いつめ、外資に売却された福岡ドームとダイエー側が不利になる不平等条約を、両者の間で結ばざるを得なくなり、ダイエー球団の売却を困難にさせた。また、ダイエー球団の優勝セールによりダイエー本社の再建目標をクリアーしたことから、ダイエー本社が球団を手放す機会を失っていた。

当初、ダイエーの福岡事業が、産業再生機構の支援第1号といわれ、ダイエー本社の再建においても再生機構利用の話がでていた。結局、自主再建を図るダイエー本社側は、再生機構の支援を拒否した。「他チームから押される形で」ダイエーとの合併を目論むロッテは、ダイエー本社の再生機構入りを利用して合併を図ろうとしたが、自主再建を図るダイエー本社が再生機構入りを拒否したため暗礁に乗り上げる。

6月の近鉄・オリックスの合併話は、ダイエーにロッテとの合併を促すためだともいわれた。オリ近の合併話は、今年1月末におきた近鉄球団名売却事件に始まる。近鉄の永井球団社長(当時)は、「パの首脳」に二つの話をした。「一つはネーミングライツが既に37億円で遊技業界のある社に買い手がついていたこと、そしてさらに一つは場合によっては球団の解散まで考えているということ」。

結局、近鉄の球団名売却案は、巨人渡辺オーナー、西武堤オーナーによって拒否され、近鉄側は1週間も持たず撤回することとなった。その後、財界に顔の利くオリックスの宮内オーナーが、「近鉄の意を受けて売却先を探し、IT企業など数社に声をかけ」「ライブドアを含めて欲しがっている企業があった」(週刊朝日7/16号p23)という。また、日刊ゲンダイ8月4日号によれば、近鉄が証券会社を通じて家電や住宅などの大手メーカーなどに買収を持ちかけ、難色を示す企業が多い中唯一「花王」が興味を示し、社内に特別委員会まで設置して球団買収を検討していたという。

ところが、突然、オリックスの宮内オーナーからオリックスとの合併話が近鉄側にもたらされ、球団売却の方針から、一転、球団合併へと走り出すことになる。決め手は「巨人との合意」であった。この、オリックス宮内オーナーの変質をどうみるか。渡辺・堤の旧勢力の軍門にくだったのか。球団合併と1リーグ制により、球団の体力を高め、プロ野球改革を推し進めようとしたのか。オリックスの価値を高めてから売却を図ろうとしたのか。いろいろな疑問が残る。
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374(2004/09/12)  分かったことは、球団を手放したいのは近鉄だけ

9月6日の実行委員会でオリ近の統合(合併)が承認され、8日のオーナー会議でも、引き続き承認された。親会社に依存するカイシャフランチャイズ制をとっていない広島だけが棄権した(オーナー会議では当事者のオリ近は、辞退)。選手会はこれに対し、9月中の土日ストを構え、経営者側と9日、10日団体交渉を行い、経営者側の提案を受け入れ、ストを1週間延期した。

また、7月7日のオーナー会議で西武の堤オーナーが表明した「もう一つの合併」は、出てこなかった。8日の堤オーナーの説明によれば、もう一つの合併とは、噂通りロッテとダイエーであった。堤オーナーは、一度はまとまりかけたと述べていますが、ロッテの重光オーナー代行は、「他チームから押される形で」で合併を、ダイエーに申し入れ、ダイエー本社の土谷常務(球団担当)は「ロッテ側から一度だけ合併の打診を受けたが、すぐに断った。ダイエーにとって合併は何のメリットもない。今後も単独で継続保有する」と述べている。

つまり、近鉄以外は、球団を手放したくないということだ。現に西武とロッテの合併は、双方のエゴがでて成立しなかった。もともと、球団合併というのは、体裁のいい球団消滅策に過ぎない。親会社の宣伝媒体で成り立っているのに、西武とロッテが合併しても、球団名枠は一つだけなのだ。「西武ロッテ」と名乗っても「西ロ」と略されたら全く意味をなさない。オリックスと近鉄の合併の話でも、オリ近と略されており、対等合併であったら名称問題だけでも成立しなかっただろう。オリ近合併は、実は近鉄球団消滅のカモフラージュで、球団名も「オリックス」を名乗るため、問題はなかった。案の定3年後には、近鉄本社は、新オリックス球団から去ることを明らかにしている。

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373(2004/09/03) 今度こそ消えたかな?ロッテ・ホークスの線、

ダイエー本社と主力三行が、再生機構と民間ファンド双方の資産査定実施で合意したことにより、こんどこそ、福岡ダイエー・ホークスとロッテ・マリーンズの合併話は、消えたと思います。関係筋によると資産査定には「1カ月以上かかる」ということですから、9月8日のオーナー会議までには、ダイエー本社の再建話も決まらないということになり、球団合併には間に合わないということになります。ただし、依然、売却の可能性が消えたわけではありません。

[東京 3日 ロイター] ダイエー<8263.T>とUFJ銀行など主力3行は3日午後、同社の再建策について高木邦夫ダイエー社長と3行の担当役員らが協議した結果、産業再生機構と民間ファンド双方の資産査定を行うことで合意した。再生機構と民間ファンドのどちらをスポンサーにするかは、それぞれの資産査定終了後にあらためて協議することを確認した。関係筋が明らかにした。 きょうの協議でも、主力行は再生機構の活用を、ダイエーはゴールドマン・サックスやドイツ証券などの民間ファンドを活用した独自再建策の採用を主張。その結果、ダイエーと主力行は、再生機構と民間ファンド双方の資産査定を受けた上で、それぞれが提案する再建策を検討し、結論を出すことにした。 関係筋によると、ダイエーなどは資産査定に1カ月以上かかるとみており、ダイエー再建策の取りまとめは10月にずれ込む可能性も出てきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040903-00000130-reu-bus_all

とすると、もう一つの合併が有り得るとしたら、西武とどこかの球団ということになります。いまのところ、西武がみなとみらい地区に新球場をつくることをダシに横浜に合併を迫り、横浜がこれを断った、という話が漏れてきています。西武と横浜の合併話の可能性については、352で指摘したとおりになりました。ただし、横浜球団が、オリ近球団のドラフト参加に反対しているところをみると、西武と横浜の合併はないと思います。

仮に、西武と横浜が合併して、西横球団となった場合、セに残れば、セ6球団、パ4球団となり、その後、巨人がパに移って、5・5になるなどすると結局、西武と巨人は、別々のリーグとなります。逆に西横球団がパに残れば、セ5球団、パ5球団となり、結局、この場合も、西武は巨人と別々のリーグとなります。ちょっとブラックですね。

これに、371の「あららら」で指摘したように、西武が自爆テロまでしてパを4球団にしても、ライブドアとシダックスが新規加盟したら、西武の堤義明さんの苦労も徒労に終わることになります。これも、ちょっとブラックですね。
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372(2004/09/02) 強気と弱気

強 気
「ダイエー再建」今日にも大詰め
福岡ダイエーホークスの親会社であるダイエー本社の経営再建問題が、
早ければ今日2日から大詰めを迎えそうだ。ダイエー本社の高木邦夫社長(60)は1日、主力取引銀行との次期再建計画をめぐる協議について「今度はそれぞれの(主力)銀行の役員と会い、話をすることになるだろう」と話した。日刊スポーツ[2004/9/2/06:54 紙面から]
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040902-0006.html

弱 気
再生機構活用でなお平行線 3行個別にダイエー説得で
大手スーパー、ダイエーの経営再建で、同社に産業再生機構の活用を迫る主力3銀行のうち三井住友銀行の永田武全副頭取が2日、高木邦夫同社社長と会い、再生機構の活用を受け入れるよう重ねて促した。高木社長は自主再建の考えをあらためて強調、会談は平行線だったもようだ。 
2日は当初、3行役員と高木社長が会う見通しだったが、見送られた。(共同通信) - 9月2日19時20分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040902-00000170-kyodo-bus_all

弱 気 
経営改善につながれば=新2リーグ制検討に前向き−パ臨時理事会
「何が何でも1リーグ制での球界再編」と強硬姿勢だったパ・リーグだが、対応に変化が出てきた。2日に行われた臨時理事会後、ロッテの瀬戸山代表は「そう言っていた時期もあったが、柔軟に考えなければいけないということになった」と、この日の会議の模様をうかがわせる発言。
オリックスと近鉄に続くもう1組の合併話が具体化せず、セ側から「1リーグとするには時間切れ」と反発を招いている。加えて、8日のオーナー会議で根来コミッショナーから交流試合などを含む2リーグ制維持への新提案があるという。その提案が球団経営の改善につながるものなら、1リーグにこだわる必要はないとの判断に至ったものとみられる。強く1リーグ制を主張していた西武の星野代表も、この日は「球界全体の発展のため発言してきた。1リーグにこだわるとかどうかではなく、みんなで話し合っていくこと」と語るにとどまった。(時事通信) - 9月2日20時31分更新 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040902-00020310-jij-spo

強 気
8日にパが具体案提示へ 2組目の合併目指す
8日に開かれるプロ野球の臨時オーナー会議で、
パ・リーグ側から合併を軸に、パを4球団とする具体案が提示されることが濃厚になった。パは2日、東京・銀座の連盟事務所で緊急理事会を開き、再編の期限とされる8日までオリックスと近鉄に次ぐ、新たな球団合併の実現に向けて全力を尽くすことを確認した。小池唯夫パ・リーグ会長は「もう1つの合併は最終局面に差し掛かった。各オーナーの英断を待ちたい」と話した。その一方、これまで10球団による1リーグ制移行で意思統一していた主張を改め、2リーグ制も視野に入れて議論することも了解された。その場合には、根来泰周コミッショナーから出される予定の2リーグ制維持を含めたいくつかの提案に沿い、セ・リーグ側と協議することになる。 (共同通信) - 9月2日20時34分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040902-00000185-kyodo-spo

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371(2004/09/01) あららら

あららら、西武の堤オーナーが
新ペア“本命”は西武!堤オーナー自ら動く…球団売却も
球界再編問題が急展開だ。合併のもうひとつのペアリングは西武を中心に行われる可能性が高いことが8月31日、明らかになった。有力視されていたロッテ、ダイエーの合併が進展しない中、西武が横浜に合併を打診。横浜はこれを拒否したもようだが、西武が新たな合併に動き出しているのは確実だ。同日、西武・堤義明オーナー(70)も9月8日の臨時オーナー会議への出席を明言するなど、タイムリミット寸前で電撃発表される公算が強まった。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200408/bt2004090101.html

あららら、不祥事で辞任したはずの前オーナーが

巨人渡辺前オーナー「何らかの進展があるのかもしらんね」
巨人の渡辺恒雄前オーナーは31日、東京都内のホテルで球界再編問題について「ロッテ・ホークス? まだだねえ。間に合わないかもしらんね」と語り、有力とされるパ・リーグのもう1つの合併が遅れていることを明らかにした。ただ堤オーナーが臨時オーナー会議に出席することを伝え聞くと「じゃあ、あるのかもしれないな。何の進展もなしに彼は出てこられないだろう。出てくるということは何らかの進展があるのかもしらんね」と語った。 また
「もう1ペアがあっても2リーグだと、こう言ってるんだから、おれは。ただ多少、組み合わせは違ってくるからな」と、自ら推進してきたことを明らかにした5球団ずつでの2リーグ制という持論を展開した。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040831-0043.html

あららら、ライブドアが
ライブドアに追い風 ヤクルトが新規参入を容認
ヤクルトの多菊善和球団社長(68)は31日、もう1つの合併について「来年からというのは厳しいし、もう1年継続して議論することになるんじゃないか」と見通しを述べた上で、こう続けた。「ライブドアのように新しくやりたいというところがあれば、受け入れるべきではないか。ちゃんと何年もできるなら、競争の世界だし、受け入れればいい。
1つ球団が減れば、1つ補充するという考えをしなければいけないhttp://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/spn/20040901/spo/06042800_spn_00000000.html

あららら、シダックスが
シダックス パ・リーグ参入も
社会人野球、シダックスがプロ野球界に新規参入する可能性があることが31日、分かった。野村克也監督からパ・リーグ参入を促され、これまで否定的だった志太勤会長が「(開催中の都市対抗で)優勝したらいろいろ変わってくるのでは」と初めて参入に前向きな考えを明かした。野村監督は
「10億円ぐらいの赤字なら宣伝費と思えばいい。やり方次第によってはもうかる」と引き続き志太会長に参入を促しているという。順調に勝ち進めば決勝はくしくも実行委員会と同じ9月6日。社会人チームがプロ参入を希望すれば野球界にまた新たな再編の動きが出てくる。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20040901-00000008-spnavi_ot-spo.html

あららら、公正取引委員会事務総長が

プロ野球参入、独禁法上の是非、判断も
プロ野球の大阪近鉄バファローズの買収に「ライブドア」が名乗りを上げている問題で、公正取引委員会の上杉事務総長は1日の定例会見で「具体的な申告、相談などがあれば、(プロ野球加盟への条件の是非についての)考え方を示すことになる」と述べ、独占禁止法に抵触するかの調査に入る可能性があるとの認識を示した。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/mai/20040901/spo/20451200_mai_00000098.htm


あららら、千葉県に住んでいるダイエー本社高木社長が
ダイエー高木社長ついに白旗?産業再生入り決断へ
経営再建中の大手スーパー、
ダイエーが1日までに産業再生機構の活用に向け、検討に入ったもようだ。UFJ銀行など主力取引3行に債権放棄を求めるダイエーと、機構活用を強く推す主力3行のバトルが展開されていたが、銀行団が債権放棄を拒否した場合、法的整理の可能性も出てきたため、柔軟な姿勢に転じたとみられる。機構活用となれば、注目のホークスは本拠地はそのままに売却される見通し。高木邦夫社長の孤軍奮闘もむなしく敗北、白旗を掲げる公算が強まった。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/daiei.html?d=01fuji43348&cat=7

あららら、結局何球団になるの?
では、計算してみましょう!!
@ 盟主西武がロッテと合併して、消滅した場合(堤玉砕説)

  12球団−近鉄−西武+ライブドア+シダックス=12球団
A ダイエーがロッテと合併して、ダイエーが消滅した場合(国家陰謀説)
  12球団−近鉄−ダイエー+ライブドア+シダックス=12球団
 よって もう一つの合併で消滅するのが西武であっても、ダイエーであっても、答えは、12球団になる。
 堤さんと重光さんと宮内さんのとろとろ徒労


あららら、ダイエー本社常務が
「合併も身売りもない」=ダイエー・土谷常務
ダイエーの土谷忠彦常務は1日、福岡市内のダイエー球団事務所で球団幹部と話し合った後、福岡ドームで報道陣の取材に応じ、
「ダイエーホークスの合併も身売りもない。継続して単独保有することを確認した」と語った。 ダイエー本社が産業再生機構の支援を要請した場合、球団存続が危ぶまれるとの指摘には、「本社は再生機構を前提に考えていない。球団と本業の関係は深い」と述べた。http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/jij/20040901/spo/17304000_jij_00020825.html

あらららら・・・・・
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370(2004/08/31) あらら 

あらら、不祥事で辞任したはずの前オーナーが
「ダイエーとロッテ」もう一組の合併明かす
渡辺(読売巨人軍)前オーナーはこの日(8月28日)、パ・リーグで近鉄・オリックスに続いて進行中といわれているもう一組の合併球団についても言及した。「まだ
ロッテ、ホークスの話が進んでいないから分からん」と、具体的な球団名を初めて明らかにした。ダイエー本社は現在、経営再建問題で、主力銀行から産業再生機構の活用を求められている。これについて同オーナーは「再生機構を通すのが一番いい。クリアになるし透明性が出るから。(再生機構を)通せば資産、査定など、どこをどう売ればいいか、国民にとっても一番分かりやすい」と話した。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040828/spo/11303300_sph_00000045.html

あらら、ダイエーの主力三行に金融庁が
大手5行に特別検査、金融庁一斉着手
金融庁は30日、
UFJ銀行三井住友銀行など大手5行に対し、経営不振に陥っている大口融資先の債務者区分が適正かどうかを検証する特別検査に一斉に着手した。再建計画を持つ融資先については、計画の実効性を重点的にチェックし、各行に不良債権処理の徹底を迫る。「来年3月末までの不良債権比率半減」という政府目標の達成を確実にするのが狙いだ。同日に立ち入り検査を開始したのは、2行のほか、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、りそな銀行。他の大手行にも順次入る。同庁の五味広文長官は「問題先送りにならないように、再建計画の妥当性を検証することが特に重要」と指摘しており、見直しが大詰めを迎えている大手スーパー、ダイエーなどの計画の実効性が検査の焦点になるとみられる。 2004/08/31
http://www.zakzak.co.jp/top/2004_08/t2004083123.html

あらら、千葉県に住んでいるダイエーの高木社長が
ダイエー、再生機構活用で軟化の兆し・主力行首脳指摘(8/31)
ダイエーの再建案を巡る同社と主力行の交渉が大詰めを迎えている。主力取引銀行首脳は30日夜、
「高木邦夫社長の産業再生機構に対する理解が変わってきた」と指摘。主力行が主張する再生機構活用案へのダイエーの態度が軟化してきたとの見方を示した。ただ、高木社長は再生機構を使わない独自案にもこだわりを見せており、関係各行はさらに説得を続ける。
http://www.nikkei.co.jp/sp2/nt46/20040830NN002Y58330082004.html

あらら、球団の保有も認めるとか言っていた産業再生機構が
ホークス球団の保有認めず=ダイエーの再生機構活用で−金子担当相

金子一義産業再生担当相は31日の閣議後の記者会見で、経営再建中のダイエーが産業再生機構を活用する場合のプロ野球球団「福岡ダイエーホークス」の取り扱いについて、「
『再生機構ホークス』だけはやらない。それだけは絶対駄目だと機構には言ってある」と述べ、再生機構が支援する際にはダイエーによる球団の保有は認めない考えを初めて明らかにした。現在、再生機構の活用に反対し、再建をめぐる主力銀行との協議が平行線のままになっているダイエーは、販売促進効果が期待できるなどとして、球団の保有を継続したい考え。このため同相の発言は、今後のダイエーと銀行との協議にも微妙な影響を与えそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040831-00000196-jij-pol

あらら、西武の堤オーナーが
西武堤氏9・8臨時オーナー会議出席へ
西武堤義明オーナーが9月8日に行われるプロ野球の臨時オーナー会議に出席することを明らかにした。同オ
ナーは31日、都内のホテルで行われた横綱朝青龍の結婚披露宴に出席。オーナー会議への出欠を問われ「(出席)しますよ」と語った。堤オーナーは26年ぶりに出席した7月7日のオーナー会議でオリックスと近鉄に次いで、もう1つの合併がパ・リーグで進んでいることを明らかにした。新たな合併案はその後の12球団代表者会議、実行委員会でも具体的な球団名が出ていないが、最終期限とされる臨時オーナー会議に堤オーナーが出席することで、何らかの新しい動きが出るものとみられる。同オーナーはもう1つの合併などを含めた球界再編問題ついては「きょうはこういう日なので、その話はしません」と口を閉ざした。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040831-0034.html

あららら・・・・・up


369(2004/08/29) 「君たちの迷信が1つあるんだよ」

読売巨人軍前オーナー渡辺恒雄氏「君たちの迷信が1つあるんだよ。ナベツネは1リーグ制である(ということ)。1リーグ制というのは確かに、急に6(球団)が4になったら1リーグ制でもしなきゃと考えたことはあるけど、7月の段階で、オレは2リーグ制を各方面に説いている」
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040828/spo/11303300_sph_00000045.html

読売巨人軍にとって、どうしても1リーグ制しなければならない、と言う訳はありません。あるとすれば、「現在の視聴者の巨人離れに対応するため、新鮮な対戦カードを求めて」ということはあると思います。1リーグ制にすれば、北海道から九州まで1年中試合ができるわけですから、読売新聞の販売促進のためにもメリットがあります。

そうはいっても、それはインターリーグができれば済む話ですから、どうしても1リーグでなければダメという事ではありません。渡辺さんにしてみれば、堤さんには、1リーグ制の借りがあるので、1リーグ化を熱望している堤さんに協力したのが真相だと思います。

次はAERA(04.8.2)の記事です。

ドラフト制度を撤廃し、FA制度が導入されなければ、日本野球機構を脱退して新リーグを結成する−渡辺氏が西武の堤義明オーナーと手を結んで進めたプランで、93年に具体化しかけた。後に渡辺氏が著書「天運転職」で明らかにした顛末はこうだ。提案者は堤氏。新リーグは6球団で構成。巨人と西武の他、既存のプロ野球2球団が加盟し、松下電気とサントリーのような大企業に働きかけて新たに2球団をつくる。ところが新リーグ構想が明らかになるや、中日、広島、ダイエーの当時のオーナーが次々と同調意志を伝えてきて、想定していた2球団を上回った。阪神の久万オーナーも、<わざわざ、東京に参加すると言ってきた>結局、渡辺・堤同盟の「脅し」が功を奏し、ドラフト制度の変更とFA制度の導入が実現した。

このとき、渡辺氏は「ドラフト制度の変更とFA制度の導入」という実をとりましたが、西武の堤オーナーの目的である1リーグ制は実現しませんでした。この1リーグ制という点では、渡辺氏は、西武の堤オーナーに借りあった訳です。

では、なぜ、西武の堤義明オーナーは、1リーグ制を熱望するのでしょうか。それは、パ・リーグで優勝し、日本シリーズを制覇しても、巨人人気の壁を崩すことができなかったからです。負けても人気が衰えない巨人、対して、勝っても人気がでない西武、業を煮やした堤オーナーは、常勝森監督(当時)に対し「(来年も監督を)やりたければどうぞ」といったのはあまりにも有名です。
up

西武黄金時代
    1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996
監督 広岡 広岡 東尾 東尾
パ・リーグ順位 3 1 1 1 1 3 1 1 1 1 1 3 3
日本シリーズ              
観客(万人) 131 140 166 180 189 194 191 198 190 162 168 166 129

368(2004/08/25) 1リーグ制の意味
※ 2004/08/29差替 

※ 368をもとにぼーる通信の2004/08/27号に書き込んだものの方ができがいいので、ぼーる通信版に差し替えました。

BS朝日が9月5日午後9時から放送する「田原総一朗の熱論90分スペシャル−ライブフォーラム−」「プロ野球が元気になれば、ニッポンが元気になる!?」の収録が8月23日行われ、そこでゲストとして出席した竹中金融・経済財政担当相が「インターリーグの数が増えていったときに、結果的にそれは1リーグと同じじゃないか」という発言をしたそうです。これは、当日参加された当「ぼーる通信」編集長のMBさんから伺った話です。

そもそも、プロ野球をはじめとする、チーム・ボールゲームの興行方式は、リーグ戦が基本となります。総当たり戦のリーグ戦は、試合数が事前に確保され、優勝の機会も均等なため、あらかじめ選手に多額の投資が可能になります。勝ち抜き戦のノックアウト方式では、初戦で負けてしまえば次の試合はなくなり、選手への報酬を賄うことが出来きません。プロスポーツを長期に渡って運営していくためには、リーグ戦により長期に安定した収入を確保することが不可欠となります。

ところが、このリーグ戦には、消化試合という欠点があります。リーグ戦は総当たり戦ですから、優勝や順位が決まっても、リーグ戦は継続されます。消化試合は、リーグ戦という商品価値がないので、集客力が低下します。それでは、このリーグ戦が持っている消化試合という欠点をいかに克服したらよいのでしょうか。その方法には二つあります。一つは戦力の均衡化であり、一つは競争の多元化です。

戦力が一部の球団に偏っていると、消化試合が増えます。そこで、この戦力の偏りをなくす方法が戦力の均衡化です。直接的な戦力の均衡化に、ドラフト制があります。間接的に戦力を均衡させる方法としては球団の選手年俸総額を規制するサラリーキャップ制と球団の収益を均衡化することにより対選手投資額を均衡化するレベニュー・シェアリングがあります。また、レベニュー・シェアリングの手法を使って、球団の選手年俸総額の均衡を図るものものとしてMLBで採用されているラグジュアリー・タックス(ぜいたく税)があります。

日本のプロ野球界では、この戦力の均衡化策は不十分であり、唯一採用されているドラフト制も自由枠によって骨抜きにされています。次に競争の多元化を見てみましょう。

リーグ戦を飽きさせず最後まで盛り上げるには、リーグ戦の中にいろいろな競争があればいいのではないか、ということで米国4大スポーツにしろ、欧州サッカーにしろ、リーグ戦といっても一つの競争ではなく、そこには多元的な競争が展開しています。

競争の多元化の中で、代表的なものが、二分対立という2リーグ間競争です。これは、アメリカ4大スポーツや日本のプロ野球のようなクローズドなリーグで見られるものです(ただし、NFL、NBA、NHLでは、2リーグではなく、2カンファレンス制です)。サッカー欧州リーグのようなオープンなリーグでは、1リーグといっても、入れ替え制や多国間競争があります。入れ替え制や多国間競争のないクローズドなリーグでは、2リーグ制という人為的な対立軸を構築することが不可欠となります。

日本のプロ野球は、この2リーグ制をとっており、リーグ対決となる日本シリーズとオールスターゲームは盛り上がりを見せます。また、優勝争いも、2つのリーグ内競争(公式戦)と1つのリーグ間競争(日本シリーズ)の計3つになります。これに対し、リーグ対決のないJリーグのオールスター戦と2ステージの優勝決定戦は、イマイチ、盛り上がりが欠けます。

ところが、1リーグ制では、この2リーグ制の二分対立のメリットがありません。さらに、クローズドな1リーグ制では、優勝争いが1つだけになってしまい、消化試合というリーグ戦の欠点がもろにでてきます。1リーグ10球団や8球団になると、優勝できる確率も、6分の1から10分の1、8分の1に低下することになります。

二分対立という対決軸を包含している2リーグ・インターリーグと、それを持たない1リーグ制とでは、全く別次元のものなのです。競争の多元化に反する単純な1リーグ制は、リーグ戦の欠点である消化試合を今より増やすだけです。

戦力の均衡化どころか、逆に戦力の不均衡化が進む日本のプロ野球において、もう一つの消化試合解消策である競争の多元化(2リーグ制)を止め、競争の単純化(1リーグ制)を目指すことは、まさに、日本プロ野球の自殺行為です。

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367(2004/08/18) ダイエーの球団売却話はひとまず消えた!! 

もう一組の合併候補として上げれてきた福岡ダイエー・ホークスですが、wind351で書いたように、当初からその可能性は低いと見ていました。
../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind4.htm#351

唯一、気がかりだったのが親会社であるダイエー本社の主力行であるUFJの動向でした。それを取り上げたのが358、361・362・363、365でした。もう一組の合併は、具体的にロッテ側がダイエー側に球団の合併を申し込み断られるという事態にまで進んでいました。ダイエー側は、あくまでも、解体につながりかねない産業再生機構の活用を拒否し、主力三行が勧める球団の売却についても断固拒否しています。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040810-0002.html

しかし、ダイエーの本業が振るわず、ダイエーの拒否姿勢にも関わらず、再生機構入りと球団売却が確実視されていました。ところが、再生機構側が、「ダイエーの支援方法として、プロ野球・福岡ダイエーホークス、クレジットカード会社のオーエムシー(OMC)カードは手放さず、引き続きダイエーに保有させる案を検討していることが13日明らかに」なりました。これは、「球団などの保有にもこだわっている」ダイエーに対し、「再生機構としてダイエーが受け入れやすい再建計画を準備し、機構の活用を促す狙い」があるからとみられています。これにより産業再生機構側から球団売却を持ち出す可能性が少なくなってきました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040813-00000178-kyodo-bus_all

再生機構側が必ずしも、球団売却を考えていないことは、次の話からも推測できます。次は、13日の毎日新聞の記事です。

BS朝日が9月5日午後9時から放送する「田原総一朗の熱論90分スペシャル−ライブフォーラム−」は、「プロ野球が元気になれば、ニッポンが元気になる!?」がテーマ。27日開幕の第75回都市対抗野球大会(東京ドーム)に出場するシダックスの野村克也監督=写真右=と、阪神ファンの竹中平蔵金融・経済財政担当相をゲストに迎え、田原氏の司会でプロ野球の球団経営や再編問題を中心に討論する。会場の一般参加者300人も討論に加わる。
http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/tv/news/20040813dde012200010000c.html

9月5日といえば、1リーグ制の最終リミットといわれる9月8日のオーナー会議のわずか3日前です。こんな時期に再生機構の旗振り役である竹中金融・経済財政担当相が「プロ野球の球団経営や再編問題を中心に討論する」番組にでてくるということは、再生機構絡みでは、球界再編はないことを意味していると思います。1リーグ制の張本人が2リーグ維持派の阪神ファンのゲストじゃ、悪い冗談になってしまいますからね。

ところで「竹中(金融相)と(読売巨人軍の)渡辺オーナーの極秘会談」はなんだったのでしょうか。討論会の記事が出た13日の金曜日といえば、極秘会談のもう一方の渡辺氏が突然、読売巨人軍のオーナーを辞任した日ですね。

ところで、16日の共同通信によれば、同日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「著名投資家ジョージ・ソロス氏と関連を持つ日本の投資会社キアコン(東京、沢田貴司社長)が、経営再建を目指すダイエーのスポンサー候補として浮上してきた、と報じた」と報じています。キアコンは、あの「ユニクロ」で知られるファーストリテイリングの副社長だった沢田氏が率いる小売・流通事業再生会社で、「同紙は、キアコンや他の投資家の参加は、主力行が目指すダイエーの産業再生機構を活用した再建の撤回と、自主再建に道を開く可能性がある、と指摘」しています。もし、これが本当であれば、ダイエーの自主再建の芽もでてきたわけで、球団売却話はこれでひとまず消えたことになります。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040816-00000073-kyodo-bus_all

※ 19日には、あのウォルマートがダイエー支援に名乗り上げたことが明らかになっています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040819-00000004-yom-bus_all

とすると残るカードはパ・リーグ内であれば西武とロッテという組み合わせだけとなりました。ロッテは、「合併」をやる気になってしまっています。西武はもう一組の合併の言い出しっぺです。矛は収まるのでしょうか。

ロッテ瀬戸山代表「もう1つの合併については、9月8日のオーナー会議までには、具体的な話をしなければと思ってます。徐々に説明をしなければと思います」(17日日刊スポーツ)
西武星野代表「(合併の)形を見せればいい。8日に間に合わないといけないんで、今粛々とやっている」(18日日刊スポーツ)
渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長「(球界再編について)おれはもうオーナーではない。情報もないし、知らない」

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366(2004/08/16) 不良債権 

ぼーる通信(2004/08/14) ベースボール・ビジネス29 「不良債権」  

私がプロ野球と日本経済というレポートを書いたのが 2001年3月。あれから3年が過ぎ、今まさに、プロ野球 が日本経済の中に不良債権として呑み込まれていくかのよう です。

4大メガバンクの中で唯一巨額の赤字を出したUFJは、不良債権比率が6月の段階で10%を超え、来年(17年) 3月末までに不良債権比率を大手銀行平均で4%にするとい う政府目標の足かせになりかねないとして、金融庁から不良債権処理の加速度的な処理を執拗に迫られています。

UFJの不良債権の象徴がダイエーの不良債権だと言われ ています。UFJ本体だけでなく関連会社を含めると 5000億円の不良債権があると見られ、これはダイエーの 有利子負債の約半分を占めています。このUFJをはじめ三 井住友とみずほコーポレートの主力3行は、ダイエー再建に産業再生機構の活用と本業であるスーパー事業以外の球団を 含めた事業売却を求めています。

これに対しダイエーは、いまのところ、あくまでも自主再 建を唱え、優勝セールで約400億円の売り上げをもたらし た球団売却は考えていないとしていますが、ダイエー再建の ためには、主力3行の支援は不可欠であり、余談を許さない 状況になっています。

これが単なる球団売却の話ならいいのですが、現在、オリ ックス・近鉄の合併のほか、もう一つの合併話(西武ライオ ンズ・堤オーナー)が進んでいると言われています。このも う一つの合併の対象になりかねない状況に福岡ダイエーホー クスが置かれています。実際、ダイエーと同じUFJをメイ ンバンクとするロッテから合併の申し出があり、これをダイ エー側が断ったという話が伝えられています。

ロッテ球団とダイエー球団が合併するとパ・リーグは4球 団になり、1リーグ制の動きが決定的になりかねません。1 リーグ制になった場合、読売以外のセ・リーグ5球団は、10億円を超える減収となることが予想され、このため、パ 球団の親会社に比べ資本力の劣るセ球団の親会社等は、これ に耐えきれず球団を手放す可能性が高くなります。

1リーグ10球団制は、数年のうちに1リーグ8球団とな るおそれがあります。12球団から8球団に減っても、残っ た球団の人気が増すわけではなく、プロ野球がいなくなっ た空白域のJリーグ人気が高まるだけです。プロ野球空白域 である新潟・仙台のJリーグ人気をみれば分かると思います。 プロ・スポーツの構造改革が、一気に進みそうです。
report 2001 目次


※ このメルマガの原稿は、8月12日に書いたものです。その後、「産業再生機構が、経営再建中のスーパー、ダイエーの支援方法として、プロ野球・福岡ダイエーホークス、クレジットカード会社のオーエムシー(OMC)カードは手放さず、引
き続きダイエーに保有させる案を検討していることが13日明らかになった」という記事がでました。
up


365(2004/08/13) 旧盆の13日の金曜日は「スト権確立とナベツネ退任」

お盆の13日の金曜日。アテネオリンピックの開幕で日本中が騒がしくなってきているなか、日本プロ野球選手会のスト権が98%で確立したというニュースが朝刊を飾りました。古田会長と会談した連合の笹森会長は「ストは最終手段」と前置きした上で「実行委員会は選手会との話し合いに応じていない。団体交渉の要求を拒否することは不当労働行為。スト権の対象です。やるなら今シーズンでしょう」と話しています。

選手はスト賛成98%、NPBに権利通告(日刊スポーツ)http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040813-0015.html

球団合併問題などで、労組プロ野球選手会(ヤクルト古田敦也会長=39)は12日、賛成98%の高率でストライキ権を確立したことを明らかにした。この日、選手会の松原徹事務局長が都内のコミッショナー事務局を訪れ、日本プロフェッショナル野球組織(NPB)の伊藤修実行委員会選手会担当顧問にスト権確立を通告。同日、NPBを通じ12球団に伝えられた。また、古田会長は連合の都内の本部を訪れ、笹森清会長(63)と会談。今後のアドバイスなどを求めた。

性急な球界再編に異を唱える選手会が、ほぼ一枚岩に固まった。選手会は7月下旬、全組合員752人を対象にスト実施の賛否を問う投票用紙を配布、無記名投票を行った。一部にまだ回収しきれていない選手も存在するが、この日までに回収された661人の回答のうち、648人が賛成票を投じた。実に98%の高率で、残りの内訳はスト反対が7人、その他意見が6人。未回収の91人についても、順次回収作業を進めているという。

NPBにスト権確立の通告を行った松原事務局長は「最終的な決定はオリンピック選手が帰国してから決める。その間、16日、23日の12球団代表者会議などが行われるので、これに向けてスト権を確立したとの考えを示した。真摯(しんし)な対応を期待する」と話した。その上で、NPB側と協議交渉委員会など話し合いの機会を持ちたい意向を示した。

この選手会のスト権確立に対し、阪神のクマさんが吠えました。

阪神・久万オーナー「ストやってもらって結構」(スポーツ報知)
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/aug/o20040812_15.htm

阪神・久万俊二郎オーナー(83)=電鉄本社相談役=が12日、神戸市内で取材に応じた。プロ野球選手会が賛成98%の高率で、スト権を確立したことに関して「やるんやったら、やってもらって結構です。どうなるのか(選手会は)分かっていない。日割り計算で給料が減るんですよ」と、挑発した。

経営者の論理から、ストライキという最終手段を使ってまでも2リーグ制を維持しようとする行動が許せなかった。「つぶれかかっている球団があるから、そのための手段として合併がある。(選手会には)説明せんと分からんのと違いますか」と、ばっさり切り捨てた。

とどまることを知らない久万節は、巨人の渡辺オーナーにも向かった。「渡辺さんは(1リーグ制でも2リーグ制でも)どっちでもいいんです。堤(オーナー)さんにだまされてるんです。西武が大事か、阪神が大事なんか言ってもらいたいですな」と、最後まで過激な持論を展開した。

そうしたら「巨人の渡辺オーナー」は、辞めるんだって。

巨人・渡辺オーナーが退任(スポナビ) 
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20040813-00000026-spnavi-spo.html
プロ野球の巨人が13日、取締役会で渡辺恒雄オーナーの退任を発表した。後任には、読売新聞東京本社代表取締役社長の滝鼻卓雄氏が就任する。また土井誠球団社長、三山秀昭代表ら球団幹部4人の解任を決定した。

巨人の発表によると、渡辺氏の退任理由は、スカウト活動にルール違反があったため道義的責任を取ったとしている。今秋のドラフト自由枠で獲得を目指していた明大・一場靖弘投手に対して、スカウト担当部長が数回にわたり、現金計200万円を手渡していたという。一場投手はすでに全額、返金している。

渡辺氏は、「野球界はフェアなスポーツマンシップに意図していることを承知している。自ら公表することで襟を正したい」とコメント。今後、プロ野球界の組織内に発言することはなく、9月に予定されているオーナー会議には、新任の滝鼻氏が出席する。

渡辺氏は、1996年12月にオーナーに就任。ドラフトの自由枠制度やFA制度の導入などに強い影響力を発揮し、現在はオーナー会議の議長を務めている。近鉄とオリックスの合併問題に端を発した球界再編の中心的人物とされており、その言動が注目を集めていた。この辞任によって、今後、球界再編の動向に大きな影響を与えそうだ。

でもね。もともと今年、オーナーを辞めるつもりだったんだよ。

2003年6月10日、巨人・渡辺恒雄オーナー(77)=読売新聞グループ本社社長=が9日、都内で1年以内にオーナー職を退き、堀川吉則球団社長(68)に譲る意向を明らかにした(サンスポ)。「もう巨人の一部門のスカウトまで責任をもってられん。これから巨人のことは堀川に聞いてくれ」と全権委任する意向だった(日刊スポーツ)。http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200306/bt2003061003.html
http://www.hazama.nu/t2o2/archives/000606.htm

2004年1月23日
巨人渡辺オーナー、アテネ五輪後勇退へ(デイリースポーツ)

http://www.daily.co.jp/baseball/2004/01/23/113354.shtml

日本テレビ会長で、巨人の相談役も務める氏家斉一郎氏(77)が22日、渡辺恒雄オーナー(77)のアテネ五輪後の退任と、後任オーナーに内山斉読売新聞グループ本社社長(68)が就任する見通しを語った。

この日、都内のホテルで行われた記者懇親会の席で、氏家会長が注目発言を行った。そろそろオーナー交代か?との質問に「そうだね」と肯定した上で、時期についても具体的に言及。「オリンピックが終わってじゃないか」と8月中旬から始まるアテネ五輪を区切りとして挙げた。

昨年6月に渡辺オーナーは自ら「オレは1年以内にオーナーを辞めて堀川(吉則・当時は球団社長、現球団会長)を次のオーナーにする」と突然の退任予告を行った。しかし、その後、堀川会長の体調問題もあり、後任に内山氏を指名した経緯があった。氏家会長はその点も踏まえて「堀川君を育てていたが、体を壊したからね。内山君がなるんじゃないか」とオーナー交代の背景を説明した。

今月9日には読売新聞グループ本社などの臨時株主総会が行われ、渡辺オーナーのグループ本社社長から会長への就任、内山氏のグループ本社取締役統括から社長就任の人事も発表済み。今季中に、巨人が新体制となる可能性が高まってきた。

それでは、

疑問1 なぜ、最初から健康上の理由でオーナーを辞めるつもりだったのに、「スカウト活動の責任」をとって辞任することになったのか。それも球団の経営陣が総退陣です。それに、責任をとっての辞任では、辞任後のプロ野球への発言力は、大きく低下します。

疑問2 なぜ、後任のオーナーが、後継と目された内山読売グループ本社社長ではなく、読売新聞東京本社の滝鼻社長になったのか。球団の経営陣には、後任の社長に桃井・読売新聞東京本社総務局長が、代表には清武・読売新聞東京本社運動部長が決まった。読売新聞東京本社出身者で占められている。

疑問3 
なぜ、読売新聞130周年記念事業としてスポンサーになったオリンピックやプロ野球再編の運命を決めると言われる9月8日のオーナー会議後ではなく、今の時期に辞任するのか。
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364(2004/08/08) プロ野球は誰のもの

野球は、その誕生のときから観客が付き物でした。カートライトが野球のルールを作ったのは、自分の消防団の親睦を図るためでした。やる人だけでなく、見る人も楽しめるように野球は創られています。

「野球には観客が付き物だった」ぼーる通信(2002/05/09)ベースボール・ビジネス2
../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/ballcom.html#2

選手は、観客がいて初めてプロフェッショナルになります。選手と観客は、プロ野球発展の両輪です。プロ野球の発展は、野球技術の自律的発展という選手側の要請と、より愉しく、より面白くという観客側の要請に応えるものです。

windbP(2002/01/22)「選手は,観客がいて初めてプロフェッショナル」../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind1.html#bP

プロ野球の興業は、プロ野球というサービス財(商品)が野球場で生産され、消費者であるプロ野球ファンがお金を払って観戦するという財の交換によって成立するビジネスです。

wind111(2002/08/07)「くたびれてるんやろなあ〜,プロ野球が」
../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind2.html#111

選手がいて、観客いて、初めてプロ野球が成立します。どちらが欠けても、プロ野球は成立しません。そして、この選手と観客を結びつける装置がソフトとしての球団なのです。プロ野球にとって、選手と観客が主人公であり、球団は単なる脇役です。

up


363(2004/08/06) 球界も再生機構を活用したら(やけ)!?

AERA(2004年02月09日号)(2004年05月31日号)
http://www.asahi.com/money/aera/TKY200402100243.html
http://www.asahi.com/money/aera/TKY200406030220.html

金融庁は、UFJには、ダイエー本体に4000億円弱、関連企業を含めると5000億円を超える不良債権があり、「ずるずる処理が先送りされている典型」がダイエーで、これを片づければ、不良債権処理が最終段階に近づいたことを印象づけられるとみている。

竹中平蔵金融相は、米国はじめ世界に「不良債権の処理」を約束しており、構造改革の遅れを象徴するダイエーの再建は、日本の改革をアピールできるとみている。金融庁は密かに産業再生機構と話を進めていた。鳴り物入りでスタートした産業再生機構だが、持ち込まれる案件は少なく、金融庁幹部も「願わくばダイエーを再生機構に」と打ち明ける。

4月中旬、金融庁によるUFJに対する検査が山場を迎えていた。不良債権の追及以上に厳しかったのが、「管理体制」への調査だった。「検査を免れようと書類隠しなど意図的な操作があった。銀行法24条に違反する可能性が高い」と金融庁は問題視した。不良融資を組織的に隠蔽した疑いがあると、「法令遵守違反」にメスが入った。粉飾決算を問われかねない展開であったが、「法令違反」への指摘はなかった。「後日、改めて指摘する」と金融庁は通告した。

「UFJは狙い撃ちされた」金融界からそんな声が漏れる。みずほグループや三井住友銀行グループにも隠れた不良債権はあるだろうが、UFJほど厳しい検査は受けていないとも言われる。「どこの銀行も問題を抱えているが、一度にすべてやるほど金融庁に力はない。手が届くところから一つずつやって行くのが竹中金融庁の手法」と関係者はいう。

昨年5月はりそな銀行グループがやり玉に挙がり、11月は足利銀行。そして今回のUFJ。まさに一つずつ。強力な検査チームを編成し不良債権の闇に切り込み、経営を一新するという手法だ。UFJは一件落着ではない、本番はこれから」と金融庁幹部は言う。次の課題は「大口融資先の処理」とされる。どうなるダイエー。

以下は、夕刊フジ 2004年8月6日18時0分の記事から(一部編集してあります)。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/business/daiei.html?d=06fuji42122&cat=7&typ=t

経営再建中の大手スーパー、ダイエーの産業再生機構入りが着々と進みつつある。主力3銀行が機構活用で合意し、週明けにもダイエーに通告する。UFJ、三井住友、みずほコーポレート銀行の主力3銀行は、ダイエーの再生機構送りで一致した。中でも9月末までに大口先の不良債権1兆7000億円を処理しなくてはいけないUFJにとっては、ダイエー処理は是が非でも決着をつけなければいけない案件だった。

それを後押ししてきたのが、ほかでもない銀行の「目付け役」、金融庁だ。7月に入ると、竹中金融相が「(ダイエーの再建計画は)先送り型でないことが重要だ」などと発言。これは単なる金融支援で負債を減らすだけでなく、再生機構送りを含めた抜本処理を示唆したものと受け取られた。

一方、「ダイエー企業再建ファンド」を通じ100億円以上を出資する政府系金融機関の日本政策投資銀行や産業界の「目付け役」である経済産業省は、ダイエーの再生機構送りに抵抗していたが、「すでに金融庁にゲタを預けたようだ」(永田町筋)。経産省は、抜本処理で大胆な人員削減を断行すれば雇用不安が台頭しかねないことを危惧するものの、再生機構送りに断固抵抗していたかつてほどの勢いはない。ダイエーの高木邦夫社長がいかに再生機構送りに抵抗しようとも、もはや覆りそうにないのだ。

ダイエーが再生機構に“落ちた”後はどうなるのか。ダイエーは食品のみに特化し、衣料・住居用品から撤退。さらにクレジットカードや外食などを分離し、これらを3000億円規模で外部に売却するとともに、再生機構が不動産を3000億円規模で別会社を設立し買い取る方針だ。

「いわばバラバラに解体されるということですね」。こう指摘するのは大手民間信用調査機関の幹部氏である。「再生機構が面倒をみるのは不動産と黒字の店舗になる。不動産は当然、時価で買い取るでしょう。再生機構の資金はもともと国民の税金だから、不採算店を買うような大胆なことはできない。その辺はシビアですよ」

ダイエーのスポンサーとしては、売上高30兆円を誇る世界一の流通ウォルマートや国内スーパー大手のイオン、大手商社の丸紅、外資などが入り乱れての争奪戦となりそうだ。イオンが8月中に実施する1000億円規模の増資は、実のところ、「ダイエーの店舗を買う資金を調達するため」(関係者)と業界では受け取られている。

ダイエー解体での売り物として最も注目が集めるのは福岡ダイエー・ホークスの去就だ。昨5日、永田町である情報が駆け巡った。「数日前に、竹中(金融相)と(読売巨人軍の)渡辺オーナーが極秘会談したようだ」(永田町筋)というのだ。

そこで話された内容は何だったのか。永田町有力筋が明かす。「渡辺オーナーということからみて、球界の話なのは明らかで、竹中大臣と関連することを探ればホークスしかない。竹中大臣としては、ダイエーの売却先を球界再編のキーマンに相談したということではないか。渡辺オーナーとしては、竹中大臣を味方につければ、念願の1リーグの強力な助っ人になる」

ダイエーが再生機構に送られることで、瀕死のUFJの不良債権処理が進む。赤字体質の球界が1リーグへと大きく動き、流通業界の再編が一段と進む。それぞれの利害が同時進行しながら、Xデーは刻一刻と迫っているようだ。

以上、AERAと夕刊フジの記事を一部、編集して載せてみました。
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362(2004/08/04) 球界再編の鍵は、竹藪の中に

8月3日ロイターによれば、竹中金融相は、閣議後の会見で、UFJとの経営統合をめぐり、三菱東京フィナンシャル・グループ(FG)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)が競合している問題で、「お互い責任があるので、しっかり話し合ってもらいたい」と述べるとともに、「交渉が長引くことで金融システムに影響を与えるとは考えていない」と語っています。
http://news.goo.ne.jp/news/reuters/keizai/20040803/JAPAN-153181.html

8月4日付け(3日発行)の日刊ゲンダイによれば、竹中金融相は、「UFJ国有化」「住信・UFJ信合併」のシナリオを描いていた。そのため三菱東京がUFJの統合に乗り出したことに激怒したという。三井住友FGの西川社長は、その竹中担当相の意をくみ、UFJと三菱東京FGの統合交渉に横槍を入れたということです。

西川社長と竹中金融相は、家族ぐるみの付き合いで、先の参院選でも住友関連の票がかなり流れたと言われているそうです。参院選といえば、UFJグループの大口融資先であるミサワホームホールディングスの子会社幹部らが竹中金融相のポスター張りなどの支援をしていたことが7月12日明らかになっています。そのUFJは、今期中に1兆6500億円の不良債権を処理する計画で、金融庁はその履行を強く迫り、9月からの特別検査で資産検査をより厳格化して締め上げてくる、ということです。

3日付のロイターはつづけて、7月31日に報道されたダイエー本社の再建計画に対し、一般論としながらも「先送り型のものは何ら解決にならず、むしろ問題を大きくする」として、抜本的な再建計画を作るべきとの考えを強調。さらに再建計画は「透明性の高いものにすべきだ」と述べ、金融庁としても「再建計画検証チームでしっかり検証していく」との方針を示した。ダイエー本社の再建策をめぐっては、一部で政策投資銀行などの政府系金融機関が先送り型再建策を狙っているとの指摘があるが、竹中金融相は「政府の銀行が先送り方を誘導することはあってはならないこと」と厳しく批判した、ということです。

これまた、8月4日の日刊ゲンダイによれば、ダイエー本社の新再建計画を陰で糸を引いているのが「ダイエー企業再建ファンド」を通じ100億円以上を出資する政府系金融機関の日本政策投資銀行らしいそうです。

政策投資銀行がダイエーにこだわる理由の一つは、「郵便局の民営化もからんで、郵政マネーを政府系金融機関がそれほど扱わなくなってきており、いわば、政策投資銀行の存在意義そのものが危うくなってきたというものです。そんな時に、ダイエーを再生機構にさらわれたら命とりになりかねない」(金融関係者)からだということです。

これに対し、再生機構側は、カネボウに続く大型案件としてダイエー(本社)が欲しくて欲しくて仕方がないはずということです。イオンの1000億円を超える公募増資は、ダイエー店舗の買収が狙いだといい、そのイオンが再生機構を巻き込んでダイエー獲得を有利に進めるか、それとも、自力再建したいダイエーや「機構入りを避けたい立場」と言われる三井住友、みずほと協力チームを結成して乗り切るか。政府系金融機関同士が繰り広げるバトル。その行方にダイエーの運命がかかっている、と記事は結んでいます。

8月4日のスポーツ報知は、3日の竹中金融相の記者会見について、「ダイエーは追加金融支援を柱とする新再建計画を検討しているが、竹中金融相は産業再生機構の活用も含めたより抜本的な再建策の検討が必要との認識を示唆したとみられる。」と報じ、さらに「竹中発言を受けたダイエー本社の高木邦夫社長(58)はこの日夜、千葉県内の自宅前で「まだ(再建計画案は)策定中ですから」とひと言。また、球団に関して今後も単独で保有するのかと問われると「継続保有ということ。これに変わりはない」とだけ話し、水面下で進行していると見られるロッテとの合併について否定も肯定もしなかった。」と記しています。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040804/spo/08011000_sph_00000005.html

そして、8月4日付の毎日新聞朝刊では、ダイエーの主力銀行3行が、産業再生機構に支援を要請する方向で最終調整に入ったとという記事を報じると、8月4日ロイターによれば、ダイエー本社は、産業再生機構に支援要請する予定はない、とのコメントを発表しています。また、2005年3月にスタートする次期中期経営計画を策定中だが、具体的な内容は決まっていない、としています。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/20040804k0000m020181000c.html
http://news.goo.ne.jp/news/reuters/keizai/20040804/JAPAN-153269.html

金融界では、UFJとの経営統合をめぐり、三菱東京FGと三井住友FGがバトルし、小売業界では、ダイエーの再建策を巡って、政府投資銀行と再生機構がバトルし、そのどちらにも暗躍してるのが、竹中金融相で、竹中金融相は、UFJとダイエーのどちらも解体を望んでいるようです。

では、球界ではどうでしょうか、7月6日の閣議後記者会見で、竹中金融相は、プロ野球の球団再編問題について「特定の球団に偏りがあるので、球団の数を減らして1リーグ制にするというのは考えられる1つのチョイス(選択)だ」と語っています。「ただ、もっと工夫があってもいい。米大リーグに対する競争力をつけるためにやるのだから、ファンがわくわくするような改革をしてほしい」と注文をつけています。
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/shakai/20040706/20040706a4970.html

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361(2004/08/01) 野球と銀行は、再編でモ〜大変です。

UFJ、三菱東京との経営統合差し止め

7月28日の読売新聞の記事です。「UFJ信託銀行との経営統合を白紙撤回された住友信託銀行が、UFJホールディングス(HD)と三菱東京フィナンシャル・グループ(FG)との経営統合のうち、UFJ信託に関する交渉の差し止めを求めた仮処分申請について、東京地裁(鬼沢友直裁判長)は27日、住友信託の請求通り、交渉差し止めを命じる決定を行った。」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20040728mh14.htm

三菱東京とUFJとの統合交渉が差し止めになりました。つまり、読売グループ本社会長の渡辺読売巨人軍オーナーが、仮に、勝手に新リーグを造ったり、パ・リーグに加盟しようとしたら、東京地裁に差し止めの仮処分申請をすれば、認められる公算が強いということですね。統一契約書の内容からしても、選手が訴えることもできると思います。

それに、住友信託の「今回の決定は、自由主義経済を支える契約順守の重要性を確認した点で、公正かつ適切な判断」というコメントは、興味深いですね。契約順守が、渡辺オーナーが好きな「自由主義」経済を支えるものだということを覚えておきましょう。

ロッテ、ダイエーに合併打診

そうしたら、「ロッテがダイエーに対し、球団の吸収合併を打診していることが、明らかになった」というニュースが7月29日球界を駆けめぐりました。
http://news.goo.ne.jp/news/fuji/sports/20040729/20040729-f-41.html

ところが、この新聞報道に対し、千葉ロッテ・マリーンズの浜本球団社長は「(ロッテから)そういうことはない」とロッテ側から打診したという報道を全面否定し、ダイエーも佐々木球団会長が「高木社長は合併は難しいな、という言い方をしていた」とコメント。

また、スポーツ報知によれば、ダイエー本社のホークス管掌役員、土谷忠彦常務は、不良債権の抜本的処理を迫られている主力取引銀行のUFJ銀行との関連について「銀行からダイエーの合併を打診されたことはない、と本社の窓口の人間に確認した」と、球団を手放す要請はないことを断言した、ということです。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040730/spo/08005900_sph_00000028.html

ことの真相は、ZAKZAKによれば、「実際にロッテへダイエー買収の打診をしたのは両球団のメーンバンクのUFJ(ある球界関係者)」で、「UFJの提示した金額が200億円。ロッテサイドはそんなに払えないと突っぱねた」そうですが、それが、「再建を図るための東京三菱銀との経営統合が、東京地裁から交渉差し止めの仮処分が下り」「先に統合を破談されていた住友信託銀に多額な違約金を支払うハメになりそう」ということで、「UFJも独自に再建しているとアピールしなくちゃいけない。今回の話(報道)もUFJがやっているようだ」(あるセ関係者)だそうです。
http://www.zakzak.co.jp/spo/2004_07/s2004073010.html

ダイエー本社は、球団の継続保有の方針

7月31日なるとダイエー、3000億円金融支援要請のニュースが報道されます。以下は産経新聞の記事です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040731-00000029-san-bus_all

主力銀行団に新再建案

 経営再建中の大手スーパー、ダイエーが、主力取引銀行団に合計三千億円規模の金融支援を要請することや、民間の投資ファンドから一千億円程度を調達することなどを柱にした来年度から三カ年の経営再建計画を示し、協議に入ったことが三十一日わかった。今年二月末で一兆七百五十一億円あった連結有利子負債は半分程度に削減。ファンドからの調達資金で新規出店などを積極化させ、営業力を強化する。

 有利子負債の削減では金融支援、本業の収益、保有資産の売却益をあてにしている。全国にある不動産は精査し、順次売却する。地方によっては、店舗を地元の有力小売業などに売却することも想定しているもようだ。

 民間投資ファンドからの資金は第三者割当増資などで調達し、集客力の高い新型店舗の開発などにあてる。ただ、プロ野球のホークス球団は継続保有する方針。優勝セールなどの営業効果や、社員の士気を高めるためにも貢献度が大きいためだ。

 現在進行中の再建計画で、ダイエーは売上高や利益目標をほぼ達成している。今期中に保有するリクルート株を売却し、来年二月末には連結有利子負債も九千百五十億円に削減できる見通し。

 こうした計画の進捗(しんちよく)状況には、UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行の主力取引銀行も一定の評価をしているとされるものの、再建のスピードアップを求める声は根強かった。このため、ダイエーは金融支援を得て加速する構えだが、UFJを軸にした金融機関の統合問題もあり、先行きは不透明だ。(産経新聞)

../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind3.htm#233
ちょうど今から1年前、2003年7月14日発行され、7月18日233で照会したのが「野球と銀行」という本です。著者は、竹中平蔵金融経財相のお仲間で元金融庁金融分野緊急対応戦略プロジェクトチームメンバーである木村剛氏とスポーツ・ジャーナリストの二宮清純氏です。「野球と銀行」の副題は「なぜ、日本は失敗したか」というもので、「野球と銀行という2つのジャンルは、近年最も、日本が失敗してきた分野である」と指摘しています。

1年後、銀行と野球は、合併と再編という同じ言葉で揺れています。「近年最も、日本が失敗してきた2つ分野」が、「日本という国の病」と戦っているように思えます(ホンマカイナ?)。それにしても、野球の方が病が重いですね。「はじめに1リーグ制ありきの合併」など、どうみても「日本という国の病」に侵された末期的症状のように思えてなりません。

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360(2004/07/31) 「はじめに1リーグ制ありき!!」の合併

パ・リーグが5球団になると「経営的には壊滅的なものがある」(ロッテ重光オーナー代行)

オリックスと近鉄が合併し、パ・リーグが5球団になると、リーグ運営は厳しいものになります。奇数球団というのは、試合をやると必ず1球団は休みとなり、リーグ戦興行体としては致命的なものです。「相手チームが5から4になることで、経営的には壊滅的なものがある。(5チームでは球団運営が)かなり難しい」「単純に(1球団分の)20%減ではなく、かなり影響がある。30〜40%減? そういうような感じ」(ロッテ重光オーナー代行)。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jun/o20040622_10.htm

10球団1リーグ制では、パ・リーグは、赤字が圧縮するか、うまくいけば黒字となるが、巨人以外のセ・リーグの各球団は「下手をしたら減収は10億では済まない」「(財政基盤が弱い)広島は1年でアウトになる」(ある球界関係者)

では、10球団1リーグ制にしたらどうでしょうか。7月11日の産経の記事によれば、1リーグ制になると、セ・リーグの巨人を除く5球団は、巨人戦が半減し「最悪なら年間約10億円の減収になる」。さらに、「球場の年間指定席も確実に減る。巨人との14試合があるから買ってくれていた企業や個人が、7試合になったらどうなるか」(セ球団幹部)。さらに選手の救済義務から、10選手分の年俸が負担として増え、これに3軍制が実現すればさらなる出費を強いられます。

赤字が圧縮する(うまくいけば黒字となる)パ・リーグに比べ、巨人以外の「下手をしたら減収は10億では済まない」セ・リーグの各球団にとっては、10球団1リーグ制は、致命的な打撃となります。 現在でも収支とんとんの「(財政基盤が弱い)広島は1年でアウトとなり、他のセ球団も2、3年で音をあげる。それで合併を促し、8球団にするのだろう」(ある球界関係者)と予測しています。
http://www.sankei.co.jp/reon/yakyu/1998/2004html/0711_009.htm

オリックスと近鉄の合併は、単に2球団だけの問題ではなく、さらにもう1球団の消滅を促し、これがさらに2球団の消滅をもたらす恐れがあるものなのです。合併による1球団の消滅が、これだけ多大な迷惑と影響をもたらすにも関わらず、当初、オリックスと近鉄の関係者は、球団再編は「コミットする問題ではない」と主張します。

当初、球界再編について近鉄本社の山口社長は「それは野球界の問題であって私どもがコミットする問題ではない」。オリックス・小泉隆司球団社長は、「(球界再編については)チームが判断することではなく、リーグとかプロ野球全体が考えることだから、何とも言えない」と、球団合併は、あくまでもオリックスが買手の見つからない近鉄を救済するもので、1リーグという球界再編と関係がないことを装っていました。

ところが 近鉄の買手が名乗り出ると、「我々は新しい球界をつくっていこうと、前向きな努力をしている(オリックス宮内オーナー)」と名乗り出た買手を非難します。1リーグになれば10億円を超える減収となる阪神が2リーグ制維持に動き出すと「(1リーグは)球界の方向だ。その方向の中で前向きに議論していくのが筋道だ(近鉄小林球団社長)」と「1リーグについてオーナー会議では1度も議題にも出ていない話(阪神野崎球団社長)」にもかかわらず、阪神を痛烈に批判します。

近鉄を買収したいというライブドアが現れると、オリックスの宮内オーナーは「我々は新しい球界をつくっていこうと、前向きな努力をしている。たとえばもともとのままでやったとしたら、また経営のしんどい会社が出てきて同じことが起こるわけだから。球界としては、これは受け入れないと思います。せっかく40何年ぶりに再編の機会が訪れているわけで…」と球界再編を前提に反論しています。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040701-0003.html

さらに、もう1組の合併話が西武の堤オーナーから切り出され、1リーグ制への動きが決定的と思われた7月7日のオーナー会議後、この1リーグ制への急激な動きに反発した阪神は、2リーグ制維持の動きに出ますが、これに対し近鉄小林球団社長は7月21日「(1リーグは)球界の方向だと思っている。(7日のオーナー会議で球界の流れが1リーグ制に方向付けされたことを受け)その方向の中で前向きに議論していくのが筋道だ」と阪神を痛烈に非難しています。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040722-0018.html

ところが、阪神の野崎球団社長「1リーグについてオーナー会議では1度も議題にも出ていない話」「いったいどことどこが話し合いをして、1リーグと決めたのか。まったく理解できないし、全然分からない」と激しく反論しているように、7月7日のオーナー会議では、議題として1リーグ制の話は出てきていません。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040722-0001.html

本来なら、1リーグという球界再編とはコミットしないと言っていたオリックスと近鉄の合併話のはずなのですが、いないはずの買手が現れ、2リーグ制維持の話がでてくると、1リーグ制の話が公式にでてもいないにもかかわらず、「(1リーグは)球界の方向だ」と叫ぶ近鉄球団の小林社長の発言。

1球団なくなるということは、これだけ大きな影響と迷惑をもたらしているにも関わらず、

   「ファンが反対署名に立ち上がっても」、
   「新たな買手が現れても」、
   「選手会が自分の年俸を減らしてでもいいといっているのに」、
   「オリックスと近鉄の合併は認めるけれど、1リーグ制は認めない球団があるにもかかわらず」、

オリックスと近鉄は、合併は自分たちの当然の権利であり、合併は1リーグ制という球界再編のためだとばかりに強行しようとしています。オリックスと近鉄の合併は、「はじめに1リーグ制ありき!!」であり、オリックスと近鉄は、確信犯なのです。

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359(2004/07/25) 大阪近鉄の40億円の赤字を考える

今回は、大阪近鉄・オリックスの合併問題の根本問題である、大阪近鉄の40億円と言われる赤字問題を考えてみたいと思います。大阪近鉄バファローズの赤字は、30億円、これに大阪ドームの使用料10億円が加わり、親会社である近畿日本鉄道の赤字は年間40億円になるというのが、今回の近畿日本鉄道側の言い分です。大阪近鉄バファローズの興行は、「箱売り」といって実際には親会社である近畿日本鉄道が行っているからです。

まず、疑問に思うのは、球団名のネーミングライツ問題のとき言われた大阪近鉄バファローズの宣伝効果です。これは144億円から360億円とされていますが、有効に活用されたのでしょうか。また、本拠地の球場は、近鉄沿線に立地していない大阪ドームを何故か、年間10億(大阪ドーム側は6億円と言っていますが)円の使用料等を支払って使用しています。近鉄には、阪神甲子園球場に匹敵する歴史を持つ藤井寺球場を自前で持っています。なぜ、この由緒ある藤井寺球場の有効活用が図ってこなかったのでしょうか。

近鉄球団の再建策として、ドジャースと業務提携し、年間2億円を支払っています。中村ノリとの年俸は4年契約の20億円ということですから年間5億円です。大阪ドームへの支払い10億円、これから藤井寺を使用した場合の経費1億円を引いた額は9億円。球団の宣伝効果として税務上認められるのはおそらく15億円程度だと思われるので、これらを合計すると、31億円。巨人戦の1試合あたり1億2千万円の放映権料を12球団で均等配分すると1球団当たり14億円。これで、45億円、ノリをクビにしなくても済む計算になります。

要は、放映権料の一括管理を機構で行えばそれで済むということです。
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358(2004/07/24)竹中当選で、ダイエー合併話

まずは、7月13日のニュースから

ミサワ幹部らが竹中氏応援 参院選、UFJ大口融資先(共同通信)

参院選比例代表で当選した竹中平蔵金融・経財相の選挙運動に、UFJグループの大口融資先であるミサワホームホールディングスの子会社幹部らがポスター張りなどの支援をしていたことが12日、明らかになった。

ホールディングス執行役員で子会社社長である金融相の実兄が社内に協力を呼び掛けていた。実兄は「あくまで肉親としての支援」としているが、UFJ銀行融資先の再建の成否が焦点となる中、金融当局トップが対象とされる企業から便宜を受けていたことは論議を呼びそうだ。
竹中氏は「実兄が肉親の情で手伝ってくれたと理解している。誤解を招いたとしたら不徳の致すところだ」としている。
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/shakai/20040713/20040713a4280.html

翌7月14日のトップニュースは、

UFJ、三菱東京と統合へ (日経)

UFJグループは13日、三菱東京フィナンシャル・グループと経営統合に向けた交渉に入る方針を固めた。週内にも臨時取締役会を開き、正式に申し入れる。不良債権処理や収益力強化を万全に進めるには単独では難しいと判断。再編で生き残りを目指す。信託を含めた全面統合を前提にしており、同日、住友信託銀行に対しUFJ信託銀行の売却を白紙撤回する意向を伝えた。三菱東京も統合に応じる意向だ。両グループを合わせた総資産は約190兆円とみずほグループを大きく上回る世界トップのメガバンクが誕生。日本は3大金融グループ時代に突入する。

UFJは金融庁にも統合へ向けた交渉に入ることを非公式に伝えた。これとは別に三菱東京もUFJとの統合に関心があるとの意向を金融庁に伝えている。金融庁もメガバンク同士の再々編が金融再生の総仕上げにつながるとして今回の統合を支援する姿勢を示しているもようだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20040714AT1F1301Q13072004.html

そうしたら、7月15日のデイリースポーツには

UFJショックでダイエー合併へ

次は、ダイエーだ―。球界再編の動きが活性化する中、ダイエーのメーンバンク・UFJホールディングスの沖原隆宗頭取らが14日夕、三菱東京フィナンシャル・グループの畔柳信雄社長とのトップ会談で、統合を申し入れ、基本合意する見通しとなった。これによりUFJ側の持つ不良債権処理は一気に加速。大口融資先の一つ、ダイエーにもメスが入ることは確実で、第2の合併に動くパ・リーグの“主役”に躍り出そうだ。

“渡りに船”か、それとも…。オリックスと近鉄との合併が発表されるはるか以前から、ダイエーは球団の売却先を模索していたが、ここまで実現には至らなかった。そこへ降ってわいたような球界再編論議、そしてメーンバンクの統合。

UFJは単独で、不良債権処理を進めながら収益を回復させるのは困難と判断、グループ全体の大型再編に生き残りをかけることにした。

今後、両グループは、経営統合に向けて本格交渉に入るが、UFJ側の大口融資先の不良債権処理の遅れなどの課題も残っている。UFJグループの不良債権比率は約8・5%と、他の大手銀行グループより高くなっているのは、ダイエーや大京といった大口融資先の再建が遅れているためだ。

ダイエーなどの主力銀行であるUFJが三菱東京との経営統合を実現するには、不良債権問題に一定のめどを付けることが不可欠であり、大口融資先の経営実態洗い出しを急ぐことになる。統合となれば、これまで以上に各企業の再建が厳しく求められることになり、そうなれば、ダイエー球団を持つダイエー本社も産業再生機構入りは避けられそうにない。

現在、球界は来季からの1リーグ制実現に向けて「オリックスと近鉄」以外の球団合併を模索しているが、UFJの統合がダイエー球団を軸にしたもう一つの合併を加速させそうだhttp://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20040715-00000001-spnavi_ot-spo.html
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357(2004/07/23)巨人のパ・リーグ移籍はあり得ない

23日のスポニチアネックスに「渡辺オーナー仰天構想 巨人がパ・リーグ移籍へ」という記事がでていました。これは、21日356で既に指摘しておいたものですが、明らかに契約違反になりますから、東スポネタですが、読売ジャイアンツの選手は、読売巨人軍を退団ということになります。そうしないと、読売ジャイアンツの選手が逆に、選手会から訴えられかねません。(ただし、東スポの記事の内容は知りません、ネットで見出しを見ただけなので)

それから、もちろん、協約違反でもあります。まず、問題になるのは、協約38条の保護地域の項目です。連盟とその所属球団などが、具体的に列挙されています。つまり、協約を改正する必要があり、協約を改正する場合は、オーナー会議で4分の3の賛同が必要となります。

さらに、協約の2条で、日本プロ野球組織(NPB)は、セ・リーグ及びその構成球団とパ・リーグ及びその構成球団から成り立つとされています。球団のNPBへの参加資格は、セ・リーグかパ・リーグの構成球団という二段論法でできていますから、読売巨人軍のパ・リーグ移籍は、いったん、セ・リーグから脱退し(これによりNPBの参加資格を喪失)、新たにパ・リーグ加入する(NPBに再度加入)することになります。

これを勝手にやると言うことは、セ・リーグの脱退の時点で、355の「有志連合による新リーグ結成は協約違反」で指摘したように、読売巨人軍は、NPBの参加資格を失い、地域権、選手契約権、保留権を失うことになります。

最後
に、スポニチアネックスの記事には「パ移籍となれば野球協約第17条(審議事項)にあたり、実行委員会で4分の3以上の賛成を得る必要があるが」と当然の指摘をしておりますが、つづけて「『超次元の話だから協約で縛ることはできないはず』という見解もある」とも書かれていたのには驚きました。協約というNPBだけの話で済むと思っているのかもしれませんが、残されたセ5球団と選手・選手会は、被害を被るわけですから、読売巨人軍には法律という壁があります。

up


356(2004/07/21)有志連合による新リーグ結成は契約違反

353にも書いた統一契約書の前文で読売巨人軍の場合です。

株式会社読売巨人軍は、プロフェッショナル球団であって、他の友好球団と提携してセントラル野球連盟を構成し、パシフィック野球連盟およびその構成球団とともに日本プロフェッショナル野球協約およびこれに付随する諸規程に署名調印している。これらの野球協約ないし規程の目的は、球団と選手、球団と球団、球団と連盟の関係を規律して、わが国のプロフェッショナル野球を利益ある産業とするとともに、不朽の国技とすることを契約者双方堅く信奉する。

もし、新リーグを勝手に作ろうとすれば、明らかに、契約違反となります。また、読売巨人軍が、パシフィック野球連盟に加盟しようとしても、勝手にはできません。これにはやはり、オーナー会議で4分の3以上の賛同を得なければならないからです。つまり、やっぱり契約違反、となります。

それでも、(株)読売巨人軍が、それを強行した場合、読売ジャイアンツの選手の動きが心配だったのですが、選手会長である高橋由伸や上原の態度を見ていると安心しました。もし、そのような事態が生じても、読売ジャイアンツの選手たちも、日本プロ野球選手会の一員としての行動をとってくれることでしょう。


7月10日の選手会の臨時大会に出席した上原は「12球団一致団結です」ときっぱり。小久保も「(合併が)1、2カ月で勝手に決まっていいのか。賛成できないということを確認した」と話しています。また、12日には選手会長の高橋由伸が、1、2軍の選手に対し、「選手会が求めている経営者側との話し合いの場がこのまま持てなかったら、最悪の場合はストをするかもしれない。その場合は私に一任してほしい」ときっぱり説明しています。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040711-0025.html
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-040712-0038.html

読売巨人軍の渡辺オーナーが、西武ライオンズの堤オーナーなどと組んで勝手に新リーグを作ってご覧なさい。読売ジャイアンツの選手たちは、オーナーに付いて新リーグにはいかないでしょう。読売巨人軍は、日本プロ野球組織だけでなく、残った球団や選手、選手会から訴訟の嵐となるはずです。
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355(2004/07/20)有志連合による新リーグ結成は協約違反 

日本プロ野球組織は、協約第2条によりセントラル・リーグ及びその構成球団とパシフィック・リーグ及びその構成球団からなりたっています。

読売巨人軍オーナーの困ったときの新リーグ構想。今回も、1リーグ制移行に向けての協約改正が実現できなければ「別の行動を起こすしかしようがないね。新リーグだよ」。これは、6月24日の読売グループ会長である渡辺読売巨人軍オーナーが、一時1リーグ反対の流れが強まったときの発言です。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2004/06/25/02.html

これにより流れは、急速に1リーグ化の流れが強まり、ライブドアによる近鉄買収話がでてきても流れは変わらず、7月7日の七夕オーナー会議まで一気に進みました。

自分の思い通りにことが運ばないと、同様の脅しを使い、いままで、日本プロ野球組織を牛耳ってきました。スポニチによれば、同様の脅しは、江川の巨人入団を認めさせた1978年と、FA・逆指名を認めさせた1993年の過去2回あり、今度が3度目になるそうです。

ところが新リーグを勝手に作るということは、明らかに協約2条に違反します。新リーグを結成するためには、オーナー会議で4分の3以上の承認が必要になります。承認を受けないで新リーグを結成するということは、日本プロ野球組織からの脱退を意味しています。なぜなら、日本プロ野球組織は、セ・パの2リーグから成り立っていますから、その構成球団が、新リーグを結成すると言うことは、このセ・パ2リーグのどちらかから脱退すると言うことであり、それは同時に、日本プロ野球組織を脱退することになるからです。

そして、日本プロ野球組織を脱退するということは、日本プロ野球組織の参加資格を喪失することであり、日本プロ野球組織の参加資格を喪失するということは、協約36条の2により、その球団が持っていた日本プロ野球組織の地域権、選手契約権、保留権を喪失することを意味しています。

読売巨人軍が、新リーグを結成した場合、当然に、読売巨人軍は、日本プロ野球組織の参加資格を喪失し、工藤、清原、桑田、高橋由伸、上原ら選手の契約権とその保留権も喪失します。工藤、清原、桑田、高橋由伸、上原ら選手の契約権・保留権は、応急措置として、セントラル・リーグの保有となり、57条と57条の2が準用されます。

豊蔵セ・リーグ会長は、新たな球団の保有者(買手)を捜し、これらの権利を売り渡すことができます。というより、しなかればならないのですが。もし、新たな買手が見つからないときは、ウェーバーにかけられます。

つまり、読売巨人軍が強引に新リーグを結成しようとすると、選手を失うことなります。上原や高橋由伸との契約の正当性を主張しても、統一契約書の内容からして、読売巨人軍の契約違反は明らかとなります。

そして、これは何も、実際に脱退しなくても、脱退の恐れがある判断されたとき、同様の措置をとることが協約36条により可能なのです。
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind3.htm#256

≪過去の構想≫(スポニチより)
1950年の2リーグ分立以後、新リーグ構想が持ち上がったのは今回が3度目となる。いずれも主役は巨人で最初は78年の江川事件。巨人は野球協約の「空白の1日」をつき江川と電撃契約を交わしたが、実行委員会に却下されたため、ドラフト会議をボイコットし、野球機構脱退、新リーグ設立を模索。金子コミッショナーの強い要望により、ドラフトで江川を1位指名した阪神との交換トレード(小林―江川)で一件落着となった。

2度目は93年。ドラフト撤廃を唱える渡辺オーナーと西武・堤オーナーが6球団による新リーグ設立で合意。「ドラフトなし。FAを認める」という新協約の草案作成にとりかかったが、この動きが圧力となり協約改正〜ドラフト改編が実現したため、新リーグ構想は立ち消えた。この時、中日、広島、阪神、ダイエーが賛同の意向を示したことを渡辺オーナーが後に明らかにしている。

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354(2004/07/19)「社長がアホやから野球がでけへん」

悪口雑言 近畿日本鉄道社長篇
ちなみに、大阪近鉄バファローズのオーナーは、田代さんで、山口さんではありません。
山口さんは、大阪近鉄バファローズの親会社である近畿日本鉄道の社長さんです。

近畿日本鉄道は、JRを除き日本最大の私鉄で、営業キロ573.7qで単体での売り上げは2700億円で大手私鉄15社中東急に次いで第2位。さらに、連結子会社数は、123社、連結決算売り上げは1兆3千億円(ただし、平成15年3月決算)という大企業なのです。(これに対し、阪神タイガースの親会社である阪神電鉄の営業キロ数は45.1qで、近鉄の10分の1以下、単体での売り上げは、740億円で大手私鉄15社中最低、あの南海よりも少ない。連結ベースの売り上げは、2870億円で、15社中第13位で南海を上回る。これには、阪神タイガースの貢献が大きいということです。)

そんな大企業の近畿日本鉄道の社長さんがこんなことを言って世間の笑いものになってしまいました。
http://www.mintetsu.or.jp/sugao/index.html

山口近鉄本社社長、7月5日合併に反対する選手に対し、気に入らないなら、出てくれて構わない」「署名に加わったら? プロテクトされへんよ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040706-00000037-sph-spo

日本プロ野球選手会・古田会長「あまりにひどい」「近鉄も事情があって球団を手放したいんでしょうけど、選手にも家族がいるわけで…。適切じゃないし、悲しい言い方ですね」
日本プロ野球選手会・松原徹事務局長「あきれかえるしかない。野球をバカにしている。選手を商品としてしか扱っていない悲しい発言です。口をすべらせたというより、本音でしょう」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040707-00000038-sph-spo

山口近鉄本社社長、7月8日発売の週刊文春7月15日号で、阪神・星野オーナー付シニアディレクターがIT関連会社ライブドアの買収計画に関係したことを指摘しうまいこといったら金が儲かる。それだけやさらに、古田はそんなに偉いのか」「清原? あんな男に何億も払っているということこそ、糾弾せな
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20040709&a=20040709-00000016-sph-spo
山口近鉄本社社長、同じくなんで中村みたいなアホに5億も払わなあかんの?社会的犯罪ですよ。泥棒や
近鉄・中村紀洋内野手、「面と向かって聞いたわけではないのでね。でも、事実やったら本当に悲しいです」「終わりやね。球界も終わりやね」
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20040709-00000012-spnavi_ot-spo.html

7月7日のオーナー会議で野崎球団社長は近鉄小林球団社長から事前に「失礼なことになりました」と謝罪を受けたということです。
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040710-0005.html

近鉄本社の山口社長が7月9日、週刊誌の記事について釈明。
「なんで中村みたいなアホに5億も払わなアカンの?」と語ったとされているが、同社長は
あんなこと言うてへん。『野球選手の給料が高すぎる、ウチの中村もそうではないかな』という意味のことを言うただけとコメントした。また阪神星野SDに対する発言も(ライブドアの買収話は)『星野さんが持ってきた話や』と言うただけ。『お金もうけですかね?』と聞かれたから『そうかも分からんな』、『知らんわ』と言うたと説明。

記事内で個人名があがった関係者には、この日までに本社、球団から事情説明が行われたということです。

http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040710-0006.html

「ベンチがアホやから野球ができへん」といってプロ野球を辞めた人がいましたが、今回の近鉄・オリックスの合併で、「社長がアホだから野球がでけへん」という状態になってしまったことがつくづくわかります。因みに、近畿日本鉄道は、1兆5000億円を超える有利子負債を抱えて、不採算事業の整理、再編など合理化を進めています(共同通信)。要は、バブル期の不動産投資の失敗によるもので、なかでも、志摩スペイン村の失敗が一番大きいのですが、この志摩スペイン村は今だに営業を続けています。その代わりに犠牲になったのが、OSKであり、近鉄バファローズということです。

http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2004061300012&genre=L1&area=O10
http://www.nikkan-kyusyu.com/cgi-bin/vi/view.cgi?id=1087175627&jl=ts
http://www.kintetsu-museum.com/news/2003/05120.html
http://d.hatena.ne.jp/tetsuto/20040624

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353(2004/07/18) たかが選手

日本プロ野球選手会の選手は、日本プロフェッショナル野球組織に属する連盟を構成する球団と日本プロフェッショナル野球協約で規程する統一様式契約書(統一契約書)により、選手契約を結んでいる。

選手契約の目的は、「選手がプロフェッショナル野球選手として特殊技能による稼働を球団のために行うことを、本契約の目的として球団は選手に申し込み、選手はこの申し込みを承諾する(2条)」とされており、選手が球団と選手契約を結ぶことにより、選手は球団の一員となる。

さらに、統一契約書の前文は、例えば株式会社読売巨人軍の場合は、次のようになっている。

株式会社読売巨人軍は、プロフェッショナル球団であって、他の友好球団と提携してセントラル野球連盟を構成し、パシフィック野球連盟およびその構成球団とともに日本プロフェッショナル野球協約およびこれに付随する諸規程に署名調印している。これらの野球協約ないし規程の目的は、球団と選手、球団と球団、球団と連盟の関係を規律して、わが国のプロフェッショナル野球を利益ある産業とするとともに、不朽の国技とすることを契約者双方堅く信奉する。

「信奉」とは「ある主義や教えを最上のものと信じて従うこと」の意味である。契約者双方とは球団と選手のことである。つまり、契約者である球団と選手は、日本プロフェッショナル野球協約を最上のものと信じて従うこととされている。

選手は、統一契約書に基づき球団と選手契約を結ぶことにより日本プロフェッショナル野球組織に属する連盟を構成する球団の一員となり、日本プロフェッショナル野球組織に属する個人となる。

日本プロフェッショナル野球協約の3条では、この組織の目的が次のように規定され、この組織を構成する団体及び個人が不断の努力を通じてこの目的達成を目指すものと定められている。

(1)わが国の野球を不朽の国技にし、野球が社会の文化的公共財となることによって、野球の権威および技術にたいする国民の信頼を確保する。
(2)わが国におけるプロフェッショナル野球を飛躍的に発展させ、もって世界選手権を争う。
(3)この組織に属する団体及び個人の利益を保護助長する。

即ち、日本プロフェッショナル野球組織に属する個人である選手も、球団の経営者やオーナーと同様に、この組織の目的達成のため不断の努力が義務づけられている。
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352(2004/07/12) もう一つの合併話

堤オーナーが言っていたもう一組の合併話で、西武、日本ハム、ロッテ、ダイエーで模索しているということでしたが、日本ハムは北海道に移転したばかりで除外ということです。ロッテは、親会社が儲かっているので、吸収する側で千葉を動かないと言っています。

ダイエーは、一番親会社の経営状態は悪いのですが、パ・リーグの中では、球団の経営状態はいい球団です。1リーグ制になると一番人気がでそうなのがダイエー球団ですから、合併しないでそのままの状態で1リーグ制にならないかなとダイエー本社側は思っているんじゃないでしょうか。それに、下手に合併するより、ライブドアなどに売った方が儲かるはずです。

ということは、パ・リーグで合併・合併と言っているのは西武だけということになります。そうするとセ・リーグを巻き込んだ合併話になると思います。まず、ヤクルト球団ですが、、ヤクルト本社は本業は儲かっているし、なにせ、ヤクルト球団は全国のヤクルト販売店を結束させるシンボルですから、そう簡単に、合併などしないと思います。

合併といっても、昔のように会社名を二つ並べるわけにいかないでしょう。オリックスと近鉄の場合も、合併後の球団名は近鉄オリックスではなく、オリックス単独で名乗りたいようです。ヤクルト西武やヤクルト・ロッテでは、昔の大映毎日の大毎や大洋松竹の洋松みたいに、ヤク西やヤクロと略されてしまったら、親会社の宣伝効果はまるっきりなくなってしまいます。会社名を名乗るなら会社名は一つでしょう。合併と言っても、会社名を名乗らない方の親会社は、事実上、球界から撤退することと同じです。

危ないのは横浜ベイスターズです。地域名を名乗っているので、西武と合併しても、西武を名乗ればいいわけで、球団名は問題になりません。西武と横浜が合併すれば、強豪チームができますし、西武のエースは横浜高校出身の松坂です。ベイスターズの親会社のTBSにしても、球団を買ってから最下位続きで、誤算だらけですから、西武と横浜が合併すれば、巨人に匹敵できる球団ができるわけで、願ってもないことです。それに、西武の堤オーナーは、ライオンズを買い取る前、横浜ベイスターズの前身の横浜大洋ホエールズの株を所有していました。

TBSとニッポン放送が、横浜球団の株を持つことになったのは、堤氏がライオンズを買ったとき、協約183条に則って、横浜球団の株を手放しからです。

また、10球団1リーグ制が強行された場合、セ・リーグの各球団は、10億円以上の損失が予想され、どうせ、1リーグ制になるのなら、西武と横浜球団が合併しちゃおうということになりはしないか、危惧しています。
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351(2004/07/10) 七夕の夜の笑劇場 第4幕

今年の3月までに、ダイエー本社の福岡3点セットのうち福岡ドームとホテルは外資のコロニー・キャピタル社に売却されました。また、残るホークス球団もデッド・エクイティ・スワップにより、ダイエー本社の球団向け債権約80億円を株式化し、ダイエー本社の持ち株比率は60%から98%に上がり、これまで40%を保有していた中内オーナーの持ち株は2%程度に低下しています。

4月には、ダイエー本社は、実質的に福岡3点セットを仕切ってきた高塚ホークス球団社長を実質的に解任(代表権のないオーナー代行として残留)し、ダイエー本社から高橋新社長が就任し、ダイエー本社によるホークス球団の直営化が進行しています。

このため、今回のオリックス・近鉄合併問題に始まる7月7日のオーナー会議で西武の堤オーナーが発言した「もう一組の合併話」において、問題になるのは中内オーナーの発言ではなく、ダイエー本社や本社出身の佐々木会長・高橋球団社長の発言です。

中内オーナーは、7月3日、「ぼくにもそういう(合併)考えはある」と合併を視野に入れる発言をしたり、7月7日のオーナー会議の議事進行中は、隣席の堤オーナーと密談し、「他のオーナーたちは両オーナーの“蜜月”ぶりに異様な印象を受けた」ということです。

しかし、7日高橋球団社長は「合併は全く想定していない」とし、ダイエー本社のホークス管掌役員、土谷忠彦常務取締役も8日、「単独保有していく考えに変わりはない。合併というのは念頭にない。いずれにしろ、我々は当事者ではありません」と、合併を持ちかけられても応じない姿勢を改めて強調した、ということです。

考えてもみれば、ホークス球団の赤字額は15億円と言われており、近鉄、オリックス、ロッテに比べて負担は半分以下です。それに、2003年度に実際に負担した額は5億円だけです。それに、昨年の優勝セールスでは400億円を突破するなどホークス球団は、ダイエー本社の再建の助けになっています。

さらに、これが1リーグ制になれば、15億円以上の放映権料も見込まれ、ダイエー本社の負担額はゼロ、うまく行けば黒字も可能です。ただで、優勝すれば近鉄レベルでも360億円相当の宣伝広告効果と400億円のぼる売り上げが期待できるわけですからこの上ない高条件になります。合併であれば、ただ同然に球団が乗っ取られてしまうおそれがありますが、売却なら200億円(ライブドア社)にもなります。それに、ホークス球団は、福岡ドームとの間に30年契約がありますから、ダブル・フランチャイズなどというものも球団として受け入れられないはずです。

ダイエー本社とすれば、今はおとなしくして、他球団が合併してくれるのを待っているのが賢明なのではと考えているのではないでしょうか。
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350(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第3幕

プロ野球は90年代以降、FAやドラフトの半自由化、さらにはMLBの影響を受け、日本全体がバブル崩壊で不況のまっただ中にいる中でも、選手の人件費は高騰をつづけています。特に、パ・リーグの球団経営は危機的状況にありました。この中で、球団の売却に、加盟料・参加料という高いハードルをかけられて、プロ野球への参入障壁は高くなってしまい、パ・リーグの球団は動くに動けないになってしまいました。

今回の合併話でも問題になったこの加盟料・参加料について、3年前の横浜ベイスターズのオーナー会社変更の事件のとき、減額・撤廃の話がオーナー会議の議決の対象になるまで具体化したときがありました。当初、撤廃を主張していたのが、なんと、読売ジャイアンツの渡辺オーナーでした。それが盟友の西武ライオンズの堤オーナーが加盟料・参加料の減額や撤廃に強く反対していたので、結局、減額・撤廃反対に回り、それにセの他球団も同調して、加盟料・参加料はそのまま協約に残ることになりました。

加盟料・参加料の減額・撤廃に賛成したのは、近鉄、オリックス、ロッテ、日本ハムの4球団でした。この4球団のうち、日本ハム・ファイターズは、今年から北海道にフランチャイズを移転しています。これは、東京ドームの使用料20億円の負担問題が直接の原因のように言われていましたが、どうやら、この一リーグ化の動きを察知して、東京から脱出したというのが真相のようです。東京に残っていたら、近鉄に続く削減対象の球団になっていたと思われます。

残りの3球団のうち、大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブは、今回合併の対象になっている球団です。大阪近鉄は、親会社の近畿日本鉄道が1兆5千億円を超える有利子負債を抱え、再建途中にあり、球団の大幅な赤字に耐えられなくなっていました。球団名のネーミングライツが生き残りの最後の手段でしたが、それを、読売ジャイアンツの渡辺オーナーや西武ライオンズの堤オーナーの猛反対を受け頓挫し、IT会社などに売却しようものなら、「加盟できないんだよ。おれが知らない人は入るわけにはいかない。」(読売ジャイアンツ渡辺オーナー)となる。そうなると、残された途はやはり解散しかありません。

解散は、会社であれば倒産のことですから、不名誉なことです。名誉ある撤退を可能にしてくれるのが、合併という甘いささやきでした。逆に、この合併は、オリックス・ブルーウェーブからみると、確実に1リーグの下で生き残れることを意味していました。まさか、合併した球団を、また合併しろとか、解散しろとかは言われないでしょうからね。

今回の堤オーナーの合併話も残った4球団の中で、合併を模索するというもので、もし、その中に観客動員と成績が最下位のオリックス・ブルーウェーブが残っていたのなら、真っ先にリストラの対象になっていたはずです。それが「受け入れるようになった」オリックス・宮内オーナーのとった行動だと思います。

ですから、ライブドア社が近鉄の買収申し込みを発表したとき、慌てたのでしょう。宮内オーナー「我々は新しい球界をつくっていこうと、前向きな努力をしている。たとえばもともとのままでやったとしたら、また経営のしんどい会社が出てきて同じことが起こるわけだから。球界としては、これは受け入れないと思います。せっかく40何年ぶりに再編の機会が訪れているわけで…」http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040701-0003.html

そして、最後に残ったのが千葉ロッテ・マリーンズ。相手は、福岡ダイエー・ホークス。無傷なのは、西武ライオンズだけということになるのでしょうか。http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200407/bt2004070802.html
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349(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第2幕

今回の1リーグ制への動きは、直接には、今年1月末におきた近鉄球団名売却事件に始まります。当時の大阪近鉄バファローズの永井充球団社長は、「パの首脳」に二つの話をしたそうです。「一つはネーミングライツが既に37億円で遊技業界のある社に買い手がついていたこと、そしてさらに一つは場合によっては球団の解散まで考えているということ」。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20040707-00000043-kyodo_sp-spo.html

この近鉄の球団名売却に対して、もちろん、読売ジャイアンツの渡辺オーナーは、「明らかな協約違反だ」と反対しましたが、本来なら同じパ・リーグの立場から球団経営の困難さを知っているはずの西武ライオンズの堤オーナーも、「野球協約にふれることが明白」、「発表があまりに唐突であり、理解に苦しむ」と発表の翌日には非難するという手早さでした。その対応は、オーナー会議に26年間出席していなかったオーナーの態度とは思えないものです。

そもそも、「太平洋クラブ」「クラウンライター」など球団名のネーミングライツを実践していた福岡野球株式会社から今の西武ライオンズを買ったのが堤義明氏本人です。この点について当時を知るマーティ・キーナート氏は、「理解に苦しむ」という堤オーナーの言葉に「私には理解できない」と述べています。

これにより、大阪近鉄バファローズの残された途は「解散」しかなかったことになります。この状況に手を差し伸べたのがオリックスの宮内オーナーでした。当初は、財界に顔の利く宮内オーナーが、「近鉄の意を受けて売却先を探し、IT企業など数社に声をかけ」「ライブドアを含めて欲しがっている企業があった」(週刊朝日7/16号p23)そうです。確かに、ライブドア社は、「ある証券会社から近鉄球団買収の打診を受けたのは2月下旬」としています。

ところが、プロ野球は、「加盟できないんだよ。おれが知らない人は入るわけにはいかない。」(読売ジャイアンツ渡辺オーナー)の世界です。それに、「おれ」は、盟友である西武ライオンズの堤オーナーといっしょに自前の「新日本プロ野球機構」を作りたいんだから、売却先が見つかっても、やっぱり、「加盟できないんだよ。おれが知らない人は入るわけにはいかない」。

ところで、オリックスの宮内オーナーは、4月下旬、大阪近鉄の親会社である近畿日本鉄道の山口社長に球団合併の話を持ちかけ、5月上旬には合意したということです。突然のオリックス・宮内オーナーの行動は何を意味しているのでしょうか。そのヒントなるのがまたも、マーティ・キーナート氏のコラムです。

5月24日、宮内オーナーが、東京の外国人記者クラブで、「16年前に球団を買収したとき、私は理想に燃えていた。でも、何年も改革を試みてわかったのだが、この国の球団は親会社の広告塔でしかなく、私も残念ながらそれを受け入れるようになった」と答えています。この時点で、近鉄とオリックスとの間では、球団合併の合意ができていました。http://www.mainichi-msn.co.jp/column/marty/news/20040617org00m070056000c.html

もうひとつ、宮内オーナーの行動を知るヒントが「渡辺オーナーはオリックスを“金貸し球団”などと揶揄(やゆ)しているが、実際は宮内オーナーとの関係はそう悪くない。むしろ、球界をどう再編するかで懇談もしているほどです」(オリックス関係者)http://www.zakzak.co.jp/spo/2004_06/s2004061409.html
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348(2004/07/09) 七夕の夜の笑劇場 第1幕

第1幕は、ぼーる通信第117号(2004/07/09)に掲載したものです。

7月7日七夕の日に行われた日本プロ野球組織のオーナー会議は、中日ドラゴンズの白井オーナーにとっては「衝撃的だった」ようですが、世間的には「笑劇的」だったと思います。「笑劇」とは、辞書を引くと「見物人を笑わせることだけを目的とする、こっけいな劇」とあります。この「笑劇」の主役のひとりは、もちろんオーナー会議の議長でもある読売ジャイアンツの渡辺オーナーでしたが、なんといっても、本当の主役は26年ぶりにオーナー会議に出席した西武ライオンズの堤オーナーでした。

今回のオーナー会議の主要議題であった大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併話はすんなり終わってしまったようですが、堤オーナーが、パ・リーグで新たな合併協議が進行していることを報告すると、「衝撃的だった。皆さんショックを受けているようだった」(中日白井オーナー)。
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200407/bt2004070801.html

会議後に記者会見した堤オーナーは、「現在見ていて、プロといえない試合がいくつかある」「10球団になって密度の濃い球団になった方がファンの興味をひく」「まだ具体的に発表できない。西武、日本ハム、ダイエー、ロッテの中で、どことどこが一緒になるか模索している」と述べるとともに「来季からの10球団1リーグ制を希望している」と語ったということです。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/04season/column/200407/at00001311.html

堤オーナーといえば野球に興味がないことは有名です。公式戦にも滅多に顔を出さず、見に来ると御前試合と話題になるくらいです。趣味はウィンター・スポーツらしく、現在の西武ライオンズ球団社長は昔、アイスホッケーで日本代表監督にもなった星野好夫氏、松坂投手の教育係をやっていたのは、スピードスケートの黒岩彰氏。西武ライオンズは、プロ野球出身者ではなく、ウィンター・スポーツ出身者で固められています。

オーナー会議への出席もなんと26年ぶりそれも、これが2回目です。そんな彼の口から「現在見ていて、プロといえない試合がいくつかある」とは、まさに笑劇的でした。記者会見で、(もう一組の)合併の話が出てきたのは具体的にいつごろから、という質問に、「スタートしたのは、やはり近鉄とオリックスの話が新聞紙上に出たころじゃないでしょうかね」ととぼけて答えているのも笑劇的ですね。

早くから1リーグ制を提唱し、いろいろな仕掛けを作ってきた堤オーナーにとって、今回の合併劇は、やっと巡ってきたチャンスですから、この機会を絶対逃がすわけにはいかなかったはずです。オリックス・近鉄の合併話が明らかになっても、一時、1リーグ化に慎重な動きがありましたが、このとき、盟友である読売の渡辺オーナーは「そうでなければ有志連合でいくしかないのかな。新リーグだよ」と新リーグ結成の話を切り出し、1リーグ化への動きを加速させました。西武ライオンズもこのとき、球団内部に1リーグ制のプロジェクト・チームを作っています。http://www.shinchosha.co.jp/foresight/main/data/frst200009/tokusyu.html
http://www.nikkansports.com/ns/baseball/p-bb-tp0-040625-0015.html

パ・リーグが4球団になれば、セ・リーグの球団も1リーグ化に抵抗しづらくなります。先手を打って、パ・リーグを4球団化し、パ・リーグがセ・リーグに吸収される形で1リーグ化しようというものです。そうしなければ、なぜ、パ・リーグ球団救済のために、球団合併や1リーグ化しなければならないのかという問題がセ・リーグの各球団に出てきて1リーグ化が危うくなってしまうからです。
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347(2004/07/03) 球界を私物化するナベツネ 1

6月16日ヤフーによれば、読売グループの渡辺会長(読売巨人軍オーナー)は
「野球界全体を活性化させて再生しようと思ったら、今まで通りのしきたりでは駄目になる」と語り、変革の必要性を強調した。「おれはセの人間だから、セの利益も考えてあげないといけないが、巨人本位、セ本位では野球界全体が沈没してしまう」と力説した。今回の合併劇で、今後最重要となる課題に選手の雇用問題を挙げ「選手の失業対策を考えないで勝手に(球界)再編だ、1リーグ制だと言っても現実的ではない」と、先行する報道にくぎを刺した。
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20040616&a=20040616-00000248-kyodo-spo

6月19日の夕刊フジのよれば、18日日本プロ野球選手会・古田会長(ヤクルト・スワローズ)が、近鉄・オリックスの合併問題について「球団数を減らすことが球界発展につながるとは思えない。早急に(機構側と)話し合う場を作ってもらわないと」とし、特別委員会の開催を求める意向を示したことに対し、読売グループ渡辺会長(読売巨人軍オーナー)は、 「古田君はバカだと思うよ。球界全体の活性化を考えることに抵抗しているんだから。今、考えているのは選手の救済だ。できれば(80人枠を)撤廃して、選手を全員救いたいんだ」と発言した。
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/fuj/20040619/spo/13042600_ykf_00000015.html

二軍選手というのは、球団にとってコストです。一軍選手の数は決まっており、選手数を70人から80人に増やし、これを更に撤廃すると言うことは、コストが増えることを意味しています。また、逆に、球団が1球団減った場合、パ・リーグの収入減は避けられず、10球団1リーグ制にしたところで「今まで通りのしきたり」「巨人本位」ではプロ野球全体のパイは増える訳でもありません。

現に、横浜ベイスターズの山中専務は、6月21日の実行委員会後、報道陣の取材に、近鉄とオリックスが合併した場合、「最重要なのは選手の雇用問題。どこの球団も雇用には苦慮している。(横浜が)選手を受け入れない場合もある」と話し、選手受け入れ問題に対して、拒否する可能性があることを示唆しています。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jun/o20040621_30.htm

では、「今まで通りのしきたり」「巨人本位」をどう「変革」するのかといえば

6月29日サンスポによれば、日本テレビの氏家会長(読売巨人軍相談役)は、
「放映権については米国のようにコミッショナーがすべて扱うようになるのか、今まで通り各球団任せになるのか。注目している。われわれは今まで通りの方がいいが、かなりの確率でその(米国式の)流れになるんじゃないかな」と発言。渡辺オーナーが「原始共産主義だ」と否定した放映権の分配方式を球界の共存共栄という大義名分の下で正当化した、
のですが
http://www.sanspo.com/baseball/top/bt200406/bt2004062905.html

6月30日産経によれば、読売グループの渡辺会長(読売巨人軍オーナー)は、
現在、各球団が個別にテレビ局などと契約している放送権の形態は、今後も堅持すべきだと強調。米大リーグでは全米放送権は大リーグ機構が一括管理(ローカルは各球団の独自契約)し、収入を全球団で均等分配しているが、「そんなばかなことはできない」と強く反対した。
http://www.sankei.co.jp/reon/yakyu/1998/2004html/0630_010.htm

放映権の一括管理などという「ばかなことはできない」それでは、「今まで通りのしきたり」「巨人本位」「変革」するいうことは、どういうことを言っているのかと言えば、6月18日の報知によれば、それは単に10球団による1リーグ制にするということであり、10球団による1リーグ制は「巨人が一番、犠牲を払う。10球団になったら、巨人は9球団のエースを相手にしなければいけないのだから。今なら5球団でいいんだ」ということで、これが「巨人本位」を「変革」するということになるそうです。改める点といえば、「各球団の支配下選手の人数枠を撤廃する」ということだけであり、これは、逆に球団のコストを増やすだけであり、広島や横浜といった経済規模の小さな球団にとって死活問題となるものです。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jun/o20040618_50.htm

このような自分勝手な論理は、他にも見られます。

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346(2004/06/26) 協約上の合併の解釈

プロ野球における球団とは、野球協約27条で「この組織に参加する球団は・・・株式会社でなければならない」とされています。つまり、球団は、株式会社ですから吸収合併であれ、対等合併であれ、当然に合併は可能です。ところが、球団としては合併はほとんど意味を持ちません。なぜなら、球団の権利である「日本プロ野球組織(NPB)」への参加資格及びその諸権利(地域権、選手契約権、保留権)は、NPBから付与されたものだからです。逆に、36条の2で球団がNPBの参加資格を失うと地域権、選手契約権、保留権を喪失すると明記されています。

協約27条が本来意味しているところは、ひとつの球団=ひとつの株式会社=ひとつの参加資格です。ひとつの株式会社に、ふたつ以上の球団を保有することは認められないし、当然にふたつ以上の参加資格及びその諸権利(地域権、選手契約権、保留権)を保有することも認められません。これは、他球団の株式所有を禁止した183条を持ち出すまでもないことです。

NPBとその参加球団との関係は、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)との関係にあると考えた方がわかりやすいと思います。「球団が、NPBに加盟する」ということは、「本部」であるNPBが、「加盟店」となる球団にNPBの参加資格を与えるということです。そして、晴れて球団が「加盟店」として認められる(=球団がNPBの参加資格を得ると)、「本部」であるNPBから地域権・選手契約権・保留権というフランチャイズ権(独占行使権)を付与されることになります。NPBは、本部として一加盟球団にふたつ以上のフランチャイズ権(独占行使権)=参加資格及び諸権利を認めていません。

具体的には、NPBに加盟している球団(加盟店)が、脱退や破産又はその恐れがあるときは、当該球団の参加資格及び諸権利(フランチャイズ権)は、その所属連盟の一時保有となり、新たな球団の保有者を連盟会長が捜し、斡旋する義務を負っています(協約36条、36条の2、57条、57条の2)。

合併の場合は、被合併球団が参加資格を喪失することは、合併の項である33条や36条(申請の怠慢)、36条の2(連盟の保有)など協約には明記されていませんが、必要により57条(連盟の応急措置)、57条の2(選手の応急措置)を準用するとされています。NPBに加盟している二以上の球団同士(2法人以上)が合併し、加盟球団が一になった場合、協約27条によりNPBから認められる参加資格は一であり、諸権利も一となりますから、被合併球団は参加資格を当然に喪失することになります。

合併の項である33条では、必要により57条(連盟の応急措置)、57条の2(選手の応急措置)を準用するとされていますが、球団数を削減する場合や新たな球団の参加がある場合を除けば当然に必要であり、36条の2と同様に57条及び57条の2は準用しなければならないことになります。

とすれば、5球団ではリーグ運営は難しいことははっきりしている訳であり、当初から球団数の削減を目的に合併したのでなければ、所属連盟であるパ・リーグは、大阪近鉄バファローズかオリックス・ブルーウェーブのどちらかの監督、コーチ、選手を一時保有し、パ・リーグ小池会長は、新たな球団保有者をさがし、斡旋しなければならないはずです。

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345(2004/06/26) 予言的中「5年以内に大きな変化」がおきた

2000年11月当サイトをオープンしました。そのとき最初に作った一つが「プロ野球って何だろう」です。脱稿は、2000年12月23日、21世紀に入る1週間前でした。新しい世紀に向けての序文をプレイバック。
../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/proyakyu1.html

20世紀最後の年、2000年のプロ野球は、東京読売巨人軍長嶋監督の背番号3フィーバーで明け、ON対決を制した長嶋巨人の日本一で幕を閉じました。全国の巨人ファン、長嶋ファンは、狂喜乱舞し、経済評論家は経済効果を囃し立てていました。

 監督長嶋が話題になる一方で、金満巨人に対する風当たりとそれを阻止できなかったプロ野球全体への失望と不満が蔓延していたと思います。選手の話題といえば、去年の新人王巨人軍上原と西武松坂の交通スキャンダル,巨人軍選手のカンチョーの祝福、巨人軍杉山捕手の痴漢行為と低俗なものが多かったのも今年を象徴しています。そして、最後に21世紀の選手たちに対するドラフトの裏金情報です。

 こんな日本プロ野球の世紀末に対し、MLBでは、日本での初の公式戦開催、前横浜ベイスターズ、シアトル・マリナーズ佐々木投手の活躍(同投手はAL新人王に輝きました)、オリックス・ブルーウェーブ、イチロー選手の入札・シアトル入団といった日本にとって21世紀への期待と夢に満ちた20世紀最後の年でした。

 日本のプロ野球にとって21世紀はあるのか、アメリカの二グロ・リーグのように消滅にむかうのか、はたまた日本の、アジアのメジャー・リーグに生まれ変わることができるのか。今、日本のプロ野球は大事な岐路にたっていると思います。プロ野球ファンも、ある種の危機感をもっていると思います。 

第1章はでは、

日本のプロ野球を取り巻く環境は、今後10年で大きく変わろうとしています。早ければ、5年以内に大きな変化が現れると思います。プロ野球がこの変化に対応できるか、現状では、悲観的にならざるをえません。

 日本プロ野球の取り巻く環境といっても、プロ野球も日本社会の一部ですから、日本社会を取り巻く環境変化の中に、位置づけられ、少子高齢化、IT革命、平成不況、ビジネスの国際化といった日本社会の環境変化を受けることになります。しかも,その環境変化は他の社会よりも早くプロ野球に訪れます。親会社依存、巨人依存の今の日本のプロ野球では、この環境変化に自律的に向かっていくことはできないでしょう。

 予言が的中しようとしています。オヨヨ。
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344(2004/06/21) 当サイトは、日本プロ野球選手会の見解と提案を支持します。

労組・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は、6月18日、「大阪近鉄・オリックス合併問題に関する見解と提案」を各報道機関を通じて表明するとともに、プロ野球実行委員会(豊蔵一議長=セ・リーグ会長)に対し、野球協約で定められている特別委員会の招集を申し入れました。 http://www.jpbpa.net/news/release/news00181.htm

報知新聞によれば、近鉄・オリックスの合併合意により球団数が削減されることを、選手会側は「選手の稼働に関する問題にかかわり、削減は球界発展につながらない」(古田会長)と主張し、次の事項を審議するため委員会開催を訴えた。また、合併そのものについても「打てる手があったのではないか。それをしなかったことも問題」(選手会・松原徹事務局長)と疑問視ししている。

1 合併に伴う選手契約の影響について

2 合併(球団消滅)回避に向けての諸施策について

〈1〉大阪近鉄の買収先が現れた場合、協約第36条の6に規定される参加料30億円を免除すべきこと
〈2〉今年2月、近鉄が発表した命名権(ネーミングライツ)売却という資金調達手段を、再度、検討すべきこと、検討できなければその理由
〈3〉赤字球団救済のために、ドラフトの完全ウエーバー制導入、セ、パ交流試合の実現などのプロ野球全体の利益に資するような制度の導入を含めた諸施策

を議題に上げることを主張している。

選手会側は今後、来月5日の野球機構側との団交、同9日の12球団代表・選手会長合同会議などでも、同様に問題点を訴えていく。

 日本プロ野球選手会・古田敦也会長「特別委員会は今まで開催されたことがない? それでも申し立てるべき事態だということです」

これに対し、ナベツネは、「古田君はバカだと思うよ。球界全体の活性化を考えることに抵抗しているんだから。今、考えているのは選手の救済だ。できれば(80人枠を)撤廃して、選手を全員救いたいんだ」「選手会に左右されることはない。オーナー会議で自由にやるよ」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040619-00000015-ykf-spo

また、ヤクルトの多菊球団社長は、20日「選手会を支援? 会社の倒産を社員が『待ってくれ』と言えますか? 言えないでしょう」「普通は倒産すれば社員もいなくなる。球界は(支配下選手枠の)70人を80人にしてフォローするわけだから」と“球団あっての選手”の考えを強調した。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/jun/o20040620_80.htm

今回の合併劇の選手救済策など一時的なものです。80人に支配下選手を増やしても、コストがかかるだけですから、翌年には大リストラです。それも、1リーグ制にするならもう1球団減らさなければなりません。支配下選手の10人増では対応できません。選手救済策など偽善にすぎません。

今の体制のままで、否、ドラフトの廃止など、さらに状況が悪化する中での1リーグ10球団では、経済規模の小さい球団はこれまで以上に経営が苦しくなるだけです。これでは、10球団が8球団に減り、破滅への途を辿りかねません。

今やることは、プロ野球選手会の申し出に耳を傾け

1 パ・リーグ会長は新たな球団の買い手を捜しだすこと。
2 コミッショナーは36条の5及び6の廃止を含め新たな買い手が見つかるように特別措置を講ずること。
3 球団及びセ・リーグはそれに協力すること

―です。

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343(2004/06/18) 罠にかかった牛くんと罠に飛び込んだカエルくん

2003/06/16 メールマガジン「ぼーる通信」

ベースボール・ビジネス 番外編 「球団合併 1」

6月13日大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが今季終了後、合併することで合意したことを近鉄側が発表しました。

大阪近鉄は、1月31日、30億円の赤字解消のためとして球団名売却案を発表しましたが、読売の渡辺オーナーから「協約違反」、西武の堤オーナーから「理解に苦しむ」、根来コミッショナーからは「多勢に無勢」と猛反発をくい、2月5日には撤回を発表しています。(2004/02/06サンスポ)

5月25日親会社の近畿日本鉄道の岩田和弘専務は、球団経営について「聖域を設けずに、いろいろな施策を打っていく」などと述べ、売却も視野に入れた検討を進めていることを明らかにしました。その中で、近鉄の決算上は大阪バファローズへの委託費などを含むため、野球事業が実質40億円近い赤字になっていることが明らかになりました。近畿日本鉄道は、1兆5000億円を超える有利子負債を抱えて、不採算事業の整理、再編など合理化を進めています。(2004/05/25日刊)

これに対し、読売の渡辺オーナーは、「球団の合併というのもあるが、野球協約上まだ不備な点がある。また、勝手な球団売買は許されないから、いい加減な企業には売れない」さらに、「この問題は、7月のオーナー会議で議論することになるだろう」と話したそうです。

近鉄側の発表によれば、4月後半からオリックスの宮内オーナー側から打診があったそうですから、読売の渡辺オーナーは、5月のこの時点で合併話を知っていた可能性もあります。

そもそも、大阪近鉄バファローズは、何年も前から身売りの噂が出ていています。2001年には、アメリカのドジャースとの提携の際、当時ドジャースのオーナーでありFOXグループの総帥であるマードック氏による買収の噂が流れました。(2001/04/01毎日)

2002年9月には、近鉄側は、消費者金融のアイフルに共同出資を提案しています。2003年には、同じく消費者金融会社のアコムと1年間のスポンサー契約を結んでいます。(2002/11/26スポニチ)

後者の消費者金融に対しては、読売の渡辺オーナーは、「そこまで堕落したのか。断じて許せない。そういう球団には出ていってもらうのが一番」「ビジネスの自由もあり、仕方ないが、プロ野球の品位を汚す。そういう球団は滅びる。パ・リーグもつぶれるぞ」(毎日新聞)と批判しています。

マードック氏の件については、記録が残っていませんが、福岡ダイエーの外資売却の件で読売の渡辺オーナーは、「安く買って高く売るというハゲタカ商法に売ったらプロ野球の将来がなくなる。どうしても12球団じゃないと、というのはない。野球協約による57条とかの緊急措置も必要かもしれない。解散することがあっても、1球団の選手枠を増やして、ウエーバーで選手を取っていけば(ダイエーの選手は)全員、救済できる。」(2003/09/10報知)と外資企業の出資や売却に対し猛反対しています。

このように、大阪近鉄バファローズは、外資や消費者金融会社への売却、球団名の売却といった球団再建策がことごとく頓挫し、せっぱ詰まった状態にありました。オリックス・ブルーウェーブもまた、大阪近鉄が破産したら次なる削減の対象となる恐れが高い球団でした。大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併合意は、最後の生き残り策であり、一リーグ論者に対する最後っ屁ではないでしょうか。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~Salvador/Balltsushin/LastBalltsushin.htm
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000088272
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342(2004/06/12) 今そこにある罠 36条の6

ここで少し整理してみると、球団買収の方法には、主に株式譲渡による保有者の変更と参加資格の譲渡による営業譲渡の二つの方法があります。この方法の違いを簡単にいえば、前者の株式譲渡の場合、買収前も買収後も球団の法人格は替らないのに対し、後者の営業譲渡の場合は、別法人だということがあげられます。

それをみると、改正前の36条の6では「この組織に加盟している球団から参加資格を譲り受けた球団は」と明らかに買収前と買収後の球団は異なっており、営業譲渡による球団買収の場合のみが対象になっています。これに対し、改正36条の6では、「この組織に加盟している球団の(略)株主から経営権を譲り受けた法人あるいは個人は」とされ、既存球団の経営権の譲渡のみを対象にしています。経営権の譲渡では、法人格は替らないので、営業譲渡による球団買収は対象にならないことになります。

つまり、球団買収において、協約上30億円というのは、2002年7月8日までは参加資格の譲渡による営業譲渡の場合のみ発生し、株式譲渡による保有者の変更の場合は、発生しない。同年7月9日以降は、逆に、株式譲渡による保有者の変更では、30億円が必要になり、参加資格の譲渡による場合は、30億円は不要だということです。

そうすると振り出しに戻って、株式譲渡では法人格は替らず、株主の権利と義務も当然に承継されるはずですから、株式譲渡によって経営権を譲り受けても、球団は当然に参加資格を有しているため、敢えて、参加料を支払う必然性はないのでないか、と思うのです。

実務上にしても、実際の球団買収では、この参加料を込みで計算されますから、結局は、この30億円は売る側が負担することになります。これは、大坪正則氏が「プロ野球は崩壊する! スポーツビジネス再生のシナリオ」(朝日新聞社)で指摘している点です。球団の買収価格が30億円だとしたら、この30億円は参加料として支払われ、売った側の手取りは”ゼロ”ということになります。これでは、あまり、36条の6というのは、買い取り企業の抑止力にはならず、どちらかというと売る側の抑止力にはなるでしょう。30億円以上で売らないと、逆に持ち出しになってしまいます。

30億円を出して買い取る企業が現れず、親会社の近畿日本鉄道が球団の存続を放棄した場合、株式会社大阪バファローズは破産するか、合併するしかありません。そうしたらパ・リーグ解体の危機となります。

前に書いたように5球団ではリーグ存続が難しくなります。このため、そのような自体を避けるため、球団が破産したり脱退するおそれがあるときは、参加資格を含む当該球団の諸権利は、連盟の一時保有となり、連盟会長は、新たな保有者を捜し、斡旋しなければならないとされています。(36条、36条の2、57条、57条の2)

近畿日本鉄道が、大阪バファローズの経営の存続を望まなかった場合、新たな保有者が見つからなかった場合、パ・リーグは、日本プロ野球組織はどうしなければならないか。そのときは、パ・リーグが、大阪バファローズの諸権利を一時的に保有し、パ・リーグ会長が新たな買い手を、斡旋することが義務付けられています。

ところが、肝心の根来コミッショナーは、「もし売却検討の話が本当にあるのなら、深刻だ。しかし、もし球団を売るとしても、そう簡単にできるのか。買い手のいる話で、球団保有者変更に伴う30億円の参加料やオーナー会議の承認を含め、ハードルは高いと思う。」

近畿日本鉄道が、買い手を見つけることができなければ、新たな買い手を捜す義務は、パ・リーグ会長が負うことになる。30億円の参加料のため、新たな買い手を見つけることができなかったとしたら、パ・リーグは解体の危機を迎える。パ・リーグの解体よりも、30億円の参加料の方が優先されるというのか。協約上は、明確である。「YES」ということが。新たな買い手を捜す義務は、連盟会長にあるがオーナー達にはない。

むしろ、一リーグ論者のオーナー達は、新たな買い手が見つからないように祈るだろうし、協力もしないだろう。逆に、オーナー達は、オーナー会議で新たな買い手を拒否することができる。

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341(2004/06/10) 改正36条の6における経営権とはなにか

では、プロ野球協約改正36条の6でいう経営権とは何を指す用語なのでしょうか。

36条の6の「経営権」という用語ですが、これは結構曖昧な言葉のようです。労働者の権利に対する経営者側の権利の用語として使われたりしますが、ここでは、企業買収などによる株式上の支配権を意味する言葉として使われていると思いますが、どちらにしろ、「経営権」という用語は実法上の概念ではないようです。

ネットで調べると企業買収により経営権の取得について次のような記述がありました。

黒木会計グループの「M&Aを活用しましょう」から
http://www.kuroki-kaikei.com/cgi-bin/see_double4.cgi?id=5#head
株式の所有者、すなわち株主は、株主総会において、取締役と監査役を選任するほか、重要事項の決議を行います。取締役の選任など株主総会におけるほとんどの決議事項は、過半数で可決しますが、定款の変更や会社の組織運営に関する事項などは、特別決議といって、三分の二以上の賛成を必要とします。従って、経営権の取得を目的として株式を取得する場合は、発行済株式の三分の二以上の株式を取得すれば足りるのですが、第三者が少数株主として残る場合は、少数株主の帳簿閲覧権などを通じて経営に干渉される可能性があるほか、株主代表訴訟の問題もあることから、通常は、発行済株式の全部を取得します。

これは、株式譲渡による経営権の取得の説明です。

さらにこんなのもありました。http://tax.tinyforest.jp/saihen01.html
経営権の譲渡とあるのは、株式交換か株式譲渡の場合だけであり、営業譲渡には経営権の譲渡とは書かれていません。これらにもあるように経営権の譲渡は株式の譲渡によるものを一般的に言うのであり、営業譲渡によるものについては言わないのではないか思うのです。プロ野球組織の参加資格の譲渡は後者の営業譲渡に当たると思われるので、経営権の譲渡には、参加資格の譲渡は含まれないことになります。ということは、参加資格の譲渡は、改正36条の6に該当せず、参加料は発生しないということになります。

本当にこれでいいのでしょうか?オヨヨ!!
(つづく)

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340(2004/06/09) 改正36条の6とは

第31条(新たな参加資格の取得、又は譲渡、球団保有者の変更)

新たにこの組織の参加資格を取得しようとする球団は、その球団が参加しようとする年度連盟選手権試合の行われる年の前年の11月30日までに実行委員会およびオーナー会議の承認を得なければならない。既にこの組織に参加している球団が下記の各号のいずれかに該当するときも同様とする。
ただし特別の事情がある場合は、実行委員会はこの期限を延期することができる。
(1)売買、贈与、営業譲渡、合併等その形式を問わず、球団が有する参加資格を他に譲渡しようとするとき。
(2)球団の株主または新たに球団の株主になろうとする者が、逐次的に取得する場合および間接的に取得する場合も含め、球団の発行済み株式総数の49パーセントを超えて株式を所有しようとするとき。
(3)球団の発行済み総数に対する所有比率に関わらず、球団の筆頭株主を変更しようとするとき。
(4)その他、球団呼称の変更の有無及び株式所有名義の如何を問わず、その球団の実際上の保有者を変更しようとするとき。


第32条は(審査)に変更されています。

第36条の6(既存球団の譲り受け又は事実上の球団保有者変更にともなう参加料)

この組織に加盟している球団の株式の過半数を有する株主、又は過半数に達していなくても事実上支配権を有すると見なされる株主から経営権を譲り受けた法人あるいは個人は、参加する連盟選手権試合年度の1月末日までに参加料を支払うものとする。(略)その参加料の金額は30億円とし、当該球団を除く日本野球機構及び同機構に属している他の球団に分配され、各球団への分配金は均等とする。
ただし、次の場合、参加料は免除される。
(1)三親等以内の変更。
(2)法定相続人、遺言で指定された受取人への変更。 

以上、2002年7月9日に変更になっていますが、私が指摘した点が全て書き換えられていました。これにより、協約上は、株式譲渡で30億円の支払わなければいけない根拠ができました。逆にいえば、それまでは、株式譲渡による保有者の変更では、30億円の加盟料はいらなかったことになります。でも、よく読むと参加資格の譲渡の場合がなくなっています。あれれ!!

経営権の譲渡の中に参加資格の譲渡も含めてるのでしょうか。
(つづく)

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339(2004/06/05) 久しぶりに36条の6について考える

プロ野球の球団は、プロ野球協約27条により資本金1億円以上の株式会社とされています。株式会社は、「自然人以外で、法律上の権利義務の主体」である法人であり、株主の有限責任制、株式の自由譲渡性という特徴を持っています。つまり、球団は、一般の企業と何ら代わりがありません。

つまり、球団の買収は、通常の企業買収と同じだということです。では、企業買収には、どのような方法があるかというと主に@株式譲渡とA営業譲渡の二つがあります。@の株式譲渡とは「買い手が代金を払って株式を譲り受ける形態(商法205条)」であり、法人の権利と義務(資産や負債、取引先などの関係)には一切変化を生じず、役員変更以外の対外的な手続きを必要としません。Aの営業譲渡は、会社の営業の全部または一部を他の会社に譲渡すること(商法245条)であり、個々の資産や負債の譲渡とは異なり、一定の営業目的のために組織された権利と義務一切(資産や負債に加えて、経営組織、ノウハウ、取引先との関係など)を一体として譲渡します。移転する資産や負債については、個別的に移転手続が必要とされます。

これをプロ野球協約に当てはめると、@の株式譲渡とは、協約31条に規定されている保有者の変更であり、Aの営業譲渡は同じく参加資格の譲渡ということができると思います。プロ野球組織の参加資格を有する球団は、プロ野球組織から地域権、選手契約権、選手保留権を付与されています。つまり、参加資格の譲渡には、これらの諸権利も含まれることになります。

ところで、株式譲渡の場合は、本来、法人の権利と義務には一切変化は生じませんから、参加資格を始めとする諸権利もまた、一切変化は生じず、保有者の変更手続きのみが必要になるだけのはずです。事実、2002年までのプロ野球協約でもそうなっています。

第31条 (参加球団の変更) この組織に参加する球団は,その参加資格を他に譲渡しようとするとき、または名義の如何を問わずその球団の実際上の保有者を変更しようとするときは、しい球団が参加しようとする年度連盟選手権試合の行われる年の前年の11月30日までに実行委員会の承認を得なければならない。(略)

第32条 (株式の譲渡) この組織に参加する球団は、その総株式の49パーセントを超える株式を他に譲渡しようとするときは、あらかじめ実行委員会の承認を得なければならない。

第36条の6 (譲り受け球団の加盟料) この組織に加盟している球団から参加資格を譲り受けた球団は,参加する連盟選手権試合年度の1月末日までに加盟料を支払うものとする。譲り受け球団の加盟料の金額は30億円とし、日本野球機構及び既に属している他の全球団に分配され、各球団への分配金額は均等とする。


これらの条項を読むと、株式譲渡は、結局、保有者の変更になりますから31条と32条に該当し、実行委員会の承認を必要とすることがわかります。しかし、株式譲渡では、36条の6には該当せず、加盟料の30億円は発生しないはずでした。36条の6は参加資格を譲り受けた球団に対し加盟料30億円が必要とするものであり、参加資格には何ら変更のない株式譲渡の場合は、該当しないはずです。

ところが、横浜ベイスターズの親会社の変更騒動のとき、株式譲渡による保有者の変更であっても加盟料の30億円が発生するという主張がまかり通っていました。もし、この主張の通りだと、おかしなことになります。

36条の6を横浜ベイスターズに当てはめてみると、「この組織に加盟している横浜ベイスターズから参加資格を譲り受けた横浜ベイスターズは,(略)加盟料を支払うものとする」となり、しかも、加盟料を支払うのは既に参加資格を持っている横浜ベイスターズであり、もちろん、分配を受ける球団の中に、横浜ベイスターズも含まれることになります。

こんな馬鹿げた条文はないので、株式譲渡による保有者の変更では36条の6の加盟料は発生しないはずという文書を、横浜ベイスターズ球団に当時送りました。

そうすると2003年の野球協約では、31条、32条、36条の6は次のように改正されていました。
(つづく)
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338(2004/05/29) 神戸牛はいるけど大阪牛はいらないか? 2

★ 5月25日親会社の近畿日本鉄道岩田和弘専務、プロ野球・大阪近鉄バファローズの経営について
「聖域を設けずに、いろいろな施策を打っていく」などと述べ、売却も視野に入れた検討を進めていることを明らかにした。球団運営会社の大阪バファローズ(大阪市)は年間約30億円の赤字状態とされてきたが、岩田専務は、近鉄の決算上は大阪バファローズへの委託費などを含むため、野球事業が実質40億円近い赤字になっていることも明らかにした。http://sports.nifty.com/keyword/buffaloes/baseball_yomiuri_20040525i514.htm

☆ 5月25日根来コミッショナー、朝日新聞の取材に答えて
「2月の球団名売却問題の際にもそんな話は聞いていないし、24日の実行委員会でも近鉄球団からは何の話もなかった。もし売却検討の話が本当にあるのなら、深刻だ。しかし、もし球団を売るとしても、そう簡単にできるのか。買い手のいる話で、球団保有者変更に伴う30億円の参加料やオーナー会議の承認を含め、ハードルは高いと思う。」

★ 5月26日大阪近鉄バファローズの森球団社長室長は近畿日本鉄道の決算発表で球団売却もタブーとしない考えが示されたことに「可能性から排除しないが、売却の優先順位は非常に低い」と説明した。http://www.daily.co.jp/newsflash/2004/05/26/129315.shtml

☆ 5月26日球界のオーナーである渡辺恒雄読売巨人軍オーナーは、案の定
「選手も困るだろうし、ちゃんとした方がいい。選手の生活基盤を安定させるためにも、早く(球団経営から)退陣してもらいたい」「球団の合併というのもあるが、野球協約上まだ不備な点がある。また、勝手な球団売買は許されないから、いい加減な企業には売れない」 さらに、「この問題は、7月のオーナー会議で議論することになるだろう」と話した。

★ 5月26日大阪市の関淳一市長は、読売新聞の取材に対し
近鉄」売却検討で「大阪ドーム」の再建混迷プロ野球・大阪近鉄バファローズの売却検討が浮上したことを受け、大阪市の赤字第三セクターで同球団の本拠地・大阪ドームの運営会社「大阪シティドーム」の再建について、「本拠地でなくなる事態ともなれば、大きな影響がある」と述べた。

本拠地が変われば、再建計画は大きな見直しを迫られるため、金融機関に債権放棄を求める特定調停申請は、当初予定された六月中からずれ込む見通し。近鉄側の動向によっては法的整理の可能性も出てきた。ドーム社は二〇〇二年度決算で累積赤字217億円、債務超過120億円、借入残高518億円に上る。これまで市がドームを購入し、残る借入金の債権放棄を求める案を軸に、再建計画が描かれてきたが、「あくまでプロ野球の本拠地として使うことが前提」(市幹部)のため、先行きの見極めが必要となった。

会見で、関市長は「近鉄は地元に根付いた球団として、ドームをホームグラウンドとしてやってほしい」と述べ、六月中の特定調停申請の方針に「変わりはない」とした。しかし、市幹部は「身売りしないという確約でもないと、予定通りの申請は難しい」としており、ドーム社再建は当分混迷した状態となりそうだ。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20040527p501.htm

☆ 5月28日根来コミッショナー
可能性としては低い。(一部の報道が)過剰反応したんじゃないか」との見解を示した。40億円近くに達した球団の赤字については、「どこにも負債はあるし、決算においては出さないといけない」と語った。http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/jij/20040528/spo/22310800_jij_00020361.html

★ ところで、近鉄と同じ関西圏にある久万阪神タイガース・オーナーは、3月19日次のように話をしている
(事前の質問状に答えて)
「観客数の頭打ち、選手人件費の高騰など日本プロ野球界は非常に厳しい時代を迎えています。(中略)日本プロ野球は、フランチャイズの観点から言えば、北海道から九州まで8〜10球団が適正ということも考えられます」
(追加取材で)
「ファンの数と球団の数のバランスが崩れた。それではあまり長続きしない。12球団は多すぎる?非難を恐れずに言えば、そうです」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040320-00000008-nks-spo

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337(2004/05/27) 神戸牛はいるけど大阪牛はいらないか?

プロ野球「大阪近鉄バファローズ」の親会社、近畿日本鉄道(本社・大阪市)の岩田和弘専務は25日、大阪市内で開いた04年3月期の決算発表会見で、実質赤字が続いている同球団について、「聖域を設けずに、あらゆる施策を検討したい」などと述べ、売却も視野に入れた検討を進めていることを明らかにした。

という記事が、5月26日朝日新聞の朝刊に載っていました。これに対し、根来コミッショナーは「2月の球団名売却問題の際にもそんな話は聞いていないし、24日の実行委員会でも近鉄球団からは何の話もなかった。もし売却検討の話が本当にあるのなら、深刻だ。しかし、もし球団を売るとしても、そう簡単にできるのか。買い手のいる話で、球団保有者変更に伴う30億円の参加料やオーナー会議の承認を含め、ハードルは高いと思う。」と朝日新聞のインタビューに答えています。

だいたい、今頃何を言っているんでしょうか。買い手が見つからず、親会社の近畿日本鉄道が手を引いたら、大阪近鉄バファローズ(大阪牛)は解散か、どこかの球団に吸収です。1球団欠けたら、パ・リーグは存続が危うく、リーグ自体の解散に及びかねません。結局、もう1球団減らして10球団一リーグ制にしようということなるしかないでしょう。

リーグ戦は、奇数では、常に1球団休むことになり非効率極まりありません。7球団で始まったパ・リーグは、高橋ユニオンズという球団を無理やり作ったけれども、結局3季しかもたず、合併に次ぐ合併で、1958年6球団に落ち着いて現在に至っています。一方、セ・リーグも、当初こそ8球団でスタートしたけれど、1季で西日本パイレーツがパ・リーグの西鉄と合併してしまい7球団制を2季強いられ、結局、松竹と大洋が合併して1953年に6球団となり現在に至っています。

それに、西武ライオンズの堤オーナーは「一リーグ論者」なので、この機会を見逃さず、パ・リーグを解散して、一リーグ制に奔走することでしょう。なにしろ、大阪近鉄バファローズの解散は、堤トラップによるものものとなるからです。球団売却の障害になっている36条の6の存続に、一番積極的だったのが西武の堤義明オーナーでした。球団売却がままならない近鉄が行おうとした球団名売却に、パ・リーグで真っ先に反対したのも堤義明オーナーでした。ところが、「日程をずらしてほしかった」と西武球団の営業担当者が訴えているのにも関わらず、西武の堤義明オーナーは、読売新聞社と日本野球機構が主催したメジャーリーグ開幕戦に対し、沈黙していました。

一リーグ論者の堤・ナベツネラインは、この大阪牛の解散を待っていたのであり、削減球団のターゲットとなるのが、堤・ナベツネラインに刃向った、神戸オリックスと、千葉ロッテと北海道日本ハムとなるでしょう。

日本ハムは、北海道に移転したばかりなので、今回はパスかもしれない。もともと、北海道への移転も、東京ドームの使用料が高かったことが原因ではなく、一リーグ制になったとき、東京に本拠をおいておくと除け者にされる恐れがあったからだといいます。

大阪バファローズと神戸オリックスが解散したら、関西に残るのは、阪神タイガース1球団だけとなります。もちろん、大阪府・大阪市も、神戸市も球団を失うことになります。どちらも、地元チームを押しのけて、タイガースの優勝パレードを企てたところですから、地元チームがなくなっても、別に困らないのかもしれませんが。

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336(2004/05/22) きっかけはフジテレビ

<在京民放5社>フジが独り勝ち 3月期決算
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040522-00002074-mai-bus_all
在京の民放キー局5社の04年3月期連結決算が21日出そろった。ドラマ「白い巨塔」「プライド」などのヒットで視聴率首位を維持するフジテレビジョンが、売上高、最終利益ともに過去最高を更新、5社の最終利益額全体の半分近くを1社で稼ぎ出し、独り勝ちが浮き彫りになった。(毎日新聞)

「水10! ワンナイR&R」(2003年8月13日放送)で、福岡ダイエーホークスの王監督を侮辱したコントを行い、日本シリーズの放映権をホークスから拒否されたフジテレビですが、阪神タイガースの優勝のときには、世界柔道の中継を一旦中止し、「緊急生中継阪神18年ぶりのVへ!」で星野監督の胴上げシーンを生中継、視聴率26.9%を記録しています。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/seisyonen/kaitou.html
http://www.videor.co.jp/data/ratedata/03best30.htm

この26.9%という数字は、2003年の視聴率(関東地区)第16位に入るものでプロ野球では第1位の数字です。裏番組は、確か、読売対ベイスターズ戦で、先に試合を終えていた阪神が、読売の負けるのを待っていたはず。フジテレビは、読売とTBSに儲けさせてもらったようなものです。さらに、フジは、阪神V中継から切り替えた世界柔道でも、同じく26.9%を稼ぎ出しています。もちろん、これも年間16位です。読売戦の低視聴率で4冠を逃した日テレとは対称的です。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040329-00000182-kyodo-ent

グループの資本関係、いずれは再検討も=フジテレビ専務
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040521-00000848-jij-biz
フジテレビ の糸山雄二専務は21日の決算発表の席上、投資会社M&Aコンサルティング(村上ファンド)がニッポン放送に対し、フジサンケイグループの資本関係再検討を求めていることについて、「グループの関係は、いずれはいろんな検討に入る時期がくる可能性はあるかもしれない」と述べた。その上で、「持ち株会社化などの具体的な動きはない。これから(議論が)スタートする話だ」と述べ、資本関係再編が前提とはならないとの考えを示した。(時事通信)

横浜ベイスターズの株式の30%を保有するニッポン放送は、フジテレビの筆頭株主ですが、フジテレビ保有株の時価総額がニッポン放送の時価総額を上回るという歪んだ状況となっており、これが市場の批判の対象ともなってきました。フジテレビは、今春、公募増資と株式売り出しによる大規模な資金調達を行いましたが、これは、ニッポン放送の持ち株比率は32%から20%台前半に低下させる狙いがあったとも言われています。

持ち株会社化された場合、フジテレビが現在保有している、ヤクルト球団の20%の株式とニッポン放送が保有している横浜ベイスターズの30%の株式の問題が再び問題になってきます。

(参考)
フジテレビとの統合「選択肢の1つ」 ニッポン放送社長
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20030910ij71.htm
全般軟調相場のきっかけはフジテレビ?大規模ファイナンスの真相
http://japan.cnet.com/column/market/story/0,2000047993,20063702,00.htm
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335(2004/05/18) NEWS WIND

まず、サンスポの記事から「ヤンキース60億円を供出−大リーグ所得分配制度」、所得分配制度というのは、レヴェニュー・シェアリングのことで、実際に払い込みがされたという話です。
http://www.sanspo.com/sokuho/0518sokuho033.html

米大リーグの労使協定に基づく所得分配制度により、ヤンキースは昨季、30球団中トップの5265万ドル(約60億円)を大リーグ機構に支払ったと、AP通信が17日に伝えた。同制度は球団格差是正のため、各球団がローカルテレビの放送権など独自収益の一部を供出し、機構側が財政状況に応じて球団に分配するシステム。財政の豊かな球団ほど供出金が多く、2位はレッドソックスの約3870万ドル(約44億円)でマリナーズ、メッツと続く。逆に最も多く分配金を受け取ったのはエクスポズの約2950万ドル(約34億円)だった。(共同)

次は、例年、選手会がまとめている年俸総額の話し。巨人は40億を超え、二位は、なんとベイスターズだって。記事は、スポーツ報知。「巨人年俸総額40億円超え(スポーツ報知)」

http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/sph/20040518/spo/08054400_sph_00000029.html
日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は17日、今季の選手会加入選手(外国人は西武の張、許の2人)の年俸調査結果を発表した。支配下公示選手751人の平均年俸は、前年の3512万円から293万円増となる過去最高の3805万円。開幕時に1軍にいた選手の平均年俸は6954万円で、球団別でみると1億2525万円の巨人が10年連続でトップになった。推定年俸5億円の佐々木が復帰した横浜が2位で、前年優勝の阪神も3位となっている。また、球団別の年俸総額のトップは巨人の40億2820万円で、3年ぶりに40億円を超えた。年俸1億円を超す選手は、セが48人、パが26人の計74人となり昨年より12人増。チーム別では13人の巨人が1位。阪神が初めて10人を数え2位になった。

三つ目は、2004年5月18日(火) 15時13分、ヤフーから「サッカー競技、アテネ五輪参加禁止の可能性(ISM)」。
http://sports.yahoo.co.jp/soccer/headlines/ism/20040518/spo/15133100_ism_00000022.html

FIFAがWADA(世界反ドーピング機構)との間で、ドーピング検査の統一規定に関して合意に達しない場合、アテネ五輪の競技からサッカーが外される危険性が出てきた。WADAは禁止薬物を使用した選手に対して、一律2年間の出場停止処分を科すとする統一規定を設けているが、サッカー選手に限っては個々の事例ごとに処分を検討するというFIFAの主張を、条件付きで2月に一度受け入れていた。しかしその後、両者の間に処分に対する発言権を巡って衝突が生じたことから、FIFAが現地時間21日のFIFA100周年総会にて行なわれる予定だった統一規定への署名を拒否する可能性が出てきた。IOC(国際オリンピック委員会)は、WADAの統一規定に同意していない競技の五輪参加を認めないとの立場をとっており、FIFAとWADAの間で統一協定に関する合意がなされない場合には、アテネ五輪へのサッカー競技の参加に危険信号がともることになる

四つ目も、オリンピックの話です。「野球など北京では実施 IOC会長がIFに約束 」
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/headlines/etc/20040518-00000000-kyodo_sp-spo.html
【ローザンヌ(スイス)17日共同】国際オリンピック委員会

(IOC)のロゲ会長は17日、当地での夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)との合同会議で、五輪実施競技の変更は早くとも2012年夏季大会からになると約束した。存続が危ぶまれていた野球、ソフトボール、近代五種も08年北京大会では実施されることが確実になった。2年前にIOCプログラム委員会から削減対象に挙げられた3競技は、02年12月のIOC総会では除外を免れた。しかしロゲ会長はその後も、北京五輪での実施競技変更の可能性を否定していなかった。野球はアテネ五輪で米大リーグ一流選手の参加が実現せず、本家の米国が予選で出場権を逃すなど苦境に立たされていた。国際野球連盟のノタリ会長はロゲ会長の発言を歓迎する一方、「12年五輪へ向けてまだ危険はある。北京で大リーグ選手が出場するかが大切だ」と述べた。国際ソフトボール連盟のポーター会長は「これで長期的に競技を発展させるための余裕が生まれる」と話した。IOCはこの日から始まった理事会で、五輪競技の適否を判断するための詳細な評価基準を策定。アテネ五輪後にすべての競技を再評価し、05年のIOC総会で12年五輪の実施競技を検討する計画だ。

最後は「20日に最大規模の暴力団対策会議−プロ野球(時事通信)」
http://sports.yahoo.co.jp/baseball/headlines/jij/20040518/spo/19014700_jij_00020701.html

野球場から暴力団組員や悪質な応援団を排除することを目的とした「第3回プロ野球暴力団等排除対策協議会」は20日、都内のホテルで行われるが、プロ野球機構の長谷川事務局長は18日、「全国レベルで暴力団排除対策に取り組むため、暴力団等排除対策中央協議会を設立する。会長に根来コミッショナー、副会長に豊蔵、小池セ、パ両リーグ会長が就任予定」と話した。会議には熊崎最高検公安部長と内尾東京地検公安部長が出席。「(公安関係の)最高幹部が出席するのは初めて。前例のない大規模な会議となる」と述べた。最近では、昨年10月に巨人の応援団員を名乗り、各地の球場で傷害事件を起こした暴力団幹部らが逮捕される事件があった。

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334(2004/05/17) 白と橙色の巨人達の悩み

歯車の狂ったジダンは悩み、ゴールを襲うのはモハメッド・アリと化したロナウド、ラウルは病気をおして出場し、ベッカム様はピッチ外で忙しい、負けじとロベカルも契約交渉で忙しく、なぜか出場停止が解除されたフィーゴ、白い巨人は悩んでいる。銀河系軍団レアル・マドリードは、今季、スペイン国王杯、チャンピオンズ・リーグ、リーガ・エスパニョーラ、すべての優勝を逃した。

次期監督と噂されるホセ・アントニオ・カマチョ氏のブレーンで、02年ワールドカップ・スペイン代表のフィジカル・コーチをつとめたロレンサーナ氏は指摘する。「アジアツアーのツケが回った」「1年を戦い抜くには、最低5−6週間の基礎固めの期間が必要。時差の大きいアジア遠征を行えば、スペインへ帰国後も1週間以上、満足な練習ができない」と、オフの準備不足が無冠を招いたと分析した。
http://www.zakzak.co.jp/spo/2004_05/s2004051104.html

去年のシーズン・オフ、レアルは、アジア・ツアーを行った。このため、白い巨人達はオフに疲れがとれず、調整も取れなかった。さらに、シーズン中にさえ、南アフリカにまで出稼ぎに出かけている。http://www.zakzak.co.jp/spo/s-2004_01/s2004011606.html

Number Webで鈴井智彦氏は書く
なぜ? なぜって、やっぱりカネに目が眩んだから。無冠で終わった今シーズンでレアル・マドリーが得たものは、莫大なカネだけだった。だが、開幕前に行ったアジア遠征のツケが最後に回ってきたことを選手もファンもわかっていながら、誰も口にはしない。ペレス会長の解雇を求める声は少数派でしかない。いや、ほとんど聞こえてこない。その時点でレアル・マドリーの感覚は狂っている。確かに、タイトルを獲得できなくても、ペレス会長は経営者としては十分な働きをしただろう。
http://number.goo.ne.jp/wsoccer_03_04/column_real/2004.05.17.html

ZAKZAKの記事を続ければ、アジアツアーには「1試合で3−5億円」(スペイン紙)の破格のギャラが用意されており、「プロスポーツでは時に商売が優先されることもある」(バルダーノGM)と計画通りにアジアツアー実施を求める強硬意見もある、とある。

ところで、アジアツアーの1試合の単価は、去年に比べ2倍強の600万ユーロ(約8億円)に値上がったそうだ。これじゃ、やめられないか。

ところで、史上最強打線と自称する橙色の巨人達、西武の清原、ヤクルトのペタジーニ、近鉄のローズ、ダイエーの小久保、広島の江藤、ヤクルトに行きたかった高橋由伸、広島に行くはずだった二岡。投手陣では、ダイエーの工藤、大リーグに行きたかった上原、慶応大学に行くはずだった桑田。最期の橙色のオリジナルは、ピン・ストライプを選んで海を渡った。何の話だったっけ。そうそう、橙色の巨人達・太陽系軍団も悩んでいるという話し。

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333(2004/05/05) 福岡ドーム・ホークス(四)

福岡ドームホークスのとき、ダイエー本社は、単なるスポンサーに過ぎなかった。そして、そのときは、その方がうまくいっていた。プロ野球史上初めて、球場主導ではあるが球団−球場−地域の一体化したプロ野球ビジネスが実現し、そこでは、「観客と選手の一体感が醸成」(大坪正則)されていた。球団と球場が系列を同じくするのは、ホークス球団を除けば、西武と西武ドーム、阪神と甲子園球場の2例だけで、それも、球団と球場は別組織で一体的な経営が行われていた訳ではなかった。

ところが、ドーム球場の売却により、この一体的な経営も、困難となった。巨額の負債を抱えいたダイエー本社は、福岡3点セットのうち、ドーム球場とホテルを外資のコロニーキャピタル社に、ホークス球団の興行権付きで売却した。ドーム球場が興行権を持ち続けることから、福岡ドームにとっては、球場・球団の一体的な経営は可能となった。ところが、ホークス球団は、興行権を持たない単なるチーム運営会社となってしまった。

132で紹介した「メジャー野球の経営学」の著者大坪正則氏は、近著「プロ野球は崩壊する」で次のように指摘している。

チケット収入が球団経営の根幹であるにもかかわらず、ダイエーは毎年、チケットの一括売却金額をドーム球場と交渉しなければならない。その一方で選手からの年俸上昇圧力は高まるばかりだ。選手への支払いを始めとするダイエーの経費増加は歯止めがかからない状況にある。支出が増え続ける中で、ドーム球場側のさじ加減で収入が制約される。これでは早晩、ダイエーの経営が行き詰まることは目に見えている。また、球団の赤字をダイエー本体が気前良く補填できるはずもない。球団買収に興味を持つ企業もこのような条件のもとでは、ダイエーに興味を持つとも思えない。

ここでは、「ダイエー」とは、ホークス球団のことで、「ダイエー本体」とはダイエー本社のこと。

球団は、ドーム球場に興行権だけでなく、放送権も委託するという。つまり、球団は、営業活動を行わず、選手と契約し試合を請け負うチーム運営会社に過ぎないというわけである。つまり、ダイエー本社は、利益を追求できず、赤字だけ負担させられることになっているのである。

興行権全体を売り渡すこと、これは「箱売り」といわれ、プロ野球の世界では広く行われている。「プロ野球は崩壊する」の中で大坪氏が述べているように、巨人のチケットは親会社の読売新聞社が管理・販売している。近鉄の場合は、親会社の近畿日本鉄道がチケットを一括して買い上げている。

ただし、この場合、親会社と子会社の関係で連結会計であれば、誰が売ろうとグループの損益となり、小林至氏が「プロ野球ビジネスのしくみ」で書いているように、「球団の親会社が野球という興行を通して利益を追求している」ことになるのだが、ダイエー本社が保有するホークス球団とコロニー社が保有する福岡ドームとの間には連結会計は適用されず、「球団の親会社が野球という興行を通して利益を追求している」ことにはならない。

つまり、球場のビジネスとしては成り立つかもしれないが、親会社のビジネスとしては成り立たないし、球団のビジネスとしても成り立たないことになる。

参考文献
「プロ野球は崩壊する! スポーツビジネス再生のシナリオ」大坪正則著 朝日新聞社
「プロ野球ビジネスのしくみ」小林至著 宝島社新書

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332(2004/05/01) 福岡ドーム・ホークス(三)

高塚猛氏がダイエーの福岡事業に関わり、福岡ダイエーホークスの球団経営を始めて、2001年から3年連続300万人以上の観客を動員し、1999年から2003年までの5年間にリーグ優勝3回、日本一2回という輝かしい記録を残している。これは、プロ野球経営者として成功したと認めざるを得ない。

グラウンドでの成功は、年俸の高騰をもたらすが、FAやトレードにより高額選手を手放す一方、自由市場で若手の有望選手を次々と獲得し、新陳代謝を図ってきた。このため、人件費の伸びは低めに抑えられている。昨年は、若田部投手をFAで横浜に放出し、今年も、高額年俸の小久保内野手を読売巨人軍に無償トレード、村松外野手をFAでオリックスに放出している。

福岡ダイエーホークスの成功の秘密は、ドーム球場・ホテル・ホークス球団といういわゆる福岡3点セットによる三位一体の経営にある。そもそも、ダイエーの福岡3点セットは、ダイエー本社と子会社という関係にあるが、融資額はダイエー主力行のUFJや三井住友・みずほといった都市銀行よりも地元の福岡・福岡シティ・西日本銀行の方が多く、金融面ではダイエー本社と一線を画していた。また、福岡3点セットの社長を兼務していた中内正オーナーが実権を握っており、経営面でもダイエー本社と独立性が見られた。

このため、福岡ダイエーホークスは、ダイエー本社の子会社ではあったが、福岡ドームと一体となった経営が可能であった。すなわち、同じFDHであっても、福岡ダイエーホークスではなく、福岡ドームホークスとして、ビジネスを展開することが可能であった。

プロ野球にとって球場は、店舗であり舞台である。球団と球場が一体となった経営は、新しいビジネスの展開を可能にした。マーケットは、福岡・九州。高塚氏がとった戦略は、「ドーム球場に来て、会話して、興奮し、盛り上がれば人が人を呼ぶ」「500万福岡県民に1シーズンに1度は球場に来てもらう」というものであった。球場に来てもらえれば色々な形で、収入化を図ることが可能となる。球場が埋まれば、飲食、グッズ、広告看板の売り上げに直結する。ホテルやテナントの利用者も増えることが期待できる。

親会社のダイエーとライバル関係にある岩田屋や福岡三越にチケットを割安で販売したり、球団ロゴのキャラクター使用料も無料にした。代わりに岩田屋や福岡三越は懸垂幕、チラシ、新聞、テレビで「福岡ダイエーホークスを応援します」とメッセージを発信した。商店街にもキャラクター使用を開放し、観客予備軍を生む「勝ったら企画」を実践、協賛店の輪は3万店にも広がった。また、球場・ホテル・球団の三位一体の経営を生かし、空席がある場合は、隣接するホテルの宿泊客を無料で招待した。

これは、福岡ドームホークスだからできたことであった。
参考文献
「プロ野球は崩壊する! スポーツビジネス再生のシナリオ」大坪正則著 朝日新聞社
「プロジェクトH 福岡3点セットの構造改革」竹森健太郎著 朝日新聞社

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331(2004/04/29) 福岡ドーム・ホークス(二)

1999年高塚猛は、ダイエー創業者の中内功会長から頼まれダイエー福岡事業に関わるようになる。ダイエー福岡事業とは、ドーム球場・ホークス球団・ホテルからなり福岡三事業とか福岡3点セットとも呼ばれた。関連会社は、福岡ダイエーホークス、ドーム球場・ホテルを運営する福岡ドーム、ドーム球場・ホテルを所有する福岡リアルエステートの三社。

中内功氏の次男である中内正オーナーが、ホークス球団の40%の株を所有し、福岡ドームと福岡リアルエステートの社長を兼ねていた。高塚氏は、代表取締役副社長として就任する。高塚氏が福岡事業に関わるようになる前の98年、福岡事業は、1443億円の有利子負債を抱え、58億円の経常赤字、20億円の営業赤字を出していた。それが、就任後の2000年には、有利子負債は1393億円に減少し、営業利益は33億円の黒字、経常利益も3億円の赤字にまで減少していた。

高塚氏が関わる前の福岡事業は、3点セットといいながらドーム球場、ホテル、ホークス球団の各事業(カンパニー)に分かれ、それぞれの事業が利益を追求する部門別会計がとられていた。このため、球場と球団、球団とホテル、ホテルと球場との関係は単なる利害関係でしかなかった。そこには相乗効果は期待できず、赤字を垂れ流すだけであった。

高塚氏は、代表取締役副社長に就任すると、このカンパニー制と部門別会計を廃止して、役員や従業員からアルバイト社員に至るまで、3点セットに携わる全員営業の方針に切り替えた。これが、ドーム球場・ホテル・ホークス球団による三位一体の経営の始まりであった。

ホークス球団とドーム球場は、人事も経理も一体化され「野球事業」(福岡ドーム・ホークス)となり、観客動員数の増加と相まって、財務内容は着実に改善していった。もう一つのホテルを中心としたホテル・テナント事業も同様に改善していった。あと2、3年の余裕があれば福岡事業に関する限り、支払利息を支払った後の経常利益でも黒字にできたと言われる。


福岡事業の借入金の支払利息は、通常の2倍の3%だという、もし、これが通常の企業に適用される1.5%であったなら、経常黒字も夢ではなかった。また、2001年頃から営業利益が落ち込むがこれは、ダイエー本社からの広告宣伝費や各種の補填金が減少したことによると思われる。

1999年当時、ダイエー本社は、ホークス球団に対し、広告宣伝費15億円、興行権料の補填金7億円のほか10億円の融資も行っており、合わせて年間32億円を注ぎ込んでいた。2001年頃から、ダイエー本社からの資金援助が減り、2003年には5億円にまで減少していた。

参考文献
「プロ野球は崩壊する! スポーツビジネス再生のシナリオ」大坪正則著 朝日新聞社
「プロジェクトH 福岡3点セットの構造改革」竹森健太郎著 朝日新聞社
「プロ野球ビジネスのしくみ」小林至著 宝島社新書

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330(2004/04/25) 福岡ドーム・ホークス(一)

4月20日、福岡ダイエー・ホークスの高塚猛球団社長が、球団社長を辞任した。代表権のない取締役オーナー代行として球団に残る。球団社長には、副社長の高橋広幸氏が就任する。同16日に高塚氏が出版社のダイヤモンド社の社長に内定したことにともない、ダイエー本社側が、同氏が福岡ドーム・ホテルのコロニー・キャピタルへの売却後の運営会社「ホークスタウン」の社長にも内定していたことから「3社長の兼務は無理」と球団社長の辞任を迫っていた。

これに先立ち、ダイエー本社側は、福岡ドームとホテルをコロニー・キャピタルに売却した3月、残った福岡ダイエー・ホークスの実権を取り戻すため、独走が目立つ高塚社長に対し、ダイエー本社取締役の佐々木博茂氏を球団会長に送り込み、さらに、4月8日には球団副社長の派遣も決め、ダイエー本社出身の高橋広幸氏が副社長に就任していた。


高塚氏がダイヤモンド社長に内定し、球団社長を辞任する間、やはり登場したのが、球界のオーナー(マーティ・キーナート)渡辺恒雄読売グループ社長である。ダイエー本社側が、高塚氏に辞任を迫ると、高越氏は、昨年の10月30日のオーナー会議で交わされた「確認書」を楯に、辞任を否定した。

これに対し、当初、「中内君の立場が変わらない以上、社長がどうなろうと野球機構の問題にならない」と静観していた渡辺氏も、「確認書」の中の「中内オーナー、高塚社長を中心とする球団首脳陣が、ダイエー本社と協議の上で球団の興行、編成を含めた球団経営を行う」という部分に明らかに違反するとして、「外部の企業への売買を含めて、協約上決めていることを平気で破るなら12球団の仲間にするわけにはいかない」と昨年に引き続き、野球協約第57条(連盟の応急措置)を根拠に、ダイエー本社側を非難する。

この批判も、高塚氏の球団社長辞任、オーナー代行継続ということで表面上「確認書」の面子が保たれ終わる。4月20日、高塚氏は福岡ドームとホテルの運営会社「ホークスタウン」の社長に就任する。コロニーキャピタル側は、高塚氏のダイヤモンド社との社長兼務については、支障がないとしている。

そもそも、高塚氏が株式会社福岡ドーム・福岡ダイエーホークスの社長になったとき、盛岡グランドホテル(岩手ホテル&リゾート)の代表取締役だったわけで、盛岡と福岡を行き来していた。「3社長の兼務は無理」というのは理由にはならない。コロニーキャピタル側も、高塚氏が、ダイヤモンド社・ホークスタウン・ホークスの3社長兼務は問題なしとしていた。

福岡事業の足枷がなくなったダイエー本社側が、ダイエー球団の主導権を取り戻すべく、行ったクーデターが高塚解任劇だった。

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329(2004/04/25) 堤義明オーナーと一リーグ制

4月14日西武ライオンズの堤義明オーナーは、西武鉄道の総会屋利益供与事件の責任をとり西武鉄道の会長の職を退くとともに、代表取締役も辞任し「鉄道の経営から身を引く」と述べた。ただし、西武鉄道の大株主であるコクドの会長職は留まるという。

堤氏は事件直後、日本経団連の理事を辞任しただけで社内処分がなく、西武鉄道も「鉄道事業は社長に任せられていたから」などと話すだけで、十分な説明責任を果たさなかった。このため経済界などからは「鉄道事業という公益事業に携わる者として処分が甘い」と批判が出ていた。(日刊スポーツ)

プロ野球西武ライオンズのオーナーは「そこまでしなくても(社会的に)許されると思う」と続ける方針で、日本オリンピック委員会(JOC)名誉会長については「要請があれば辞任することもある」と述べた。(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-040414-0021.html

これに対し、JOCの竹田会長は「堤名誉会長は日本のスポーツ界に功績を残し、発展に寄与していただいている。わたしとしては、これからも日本のスポーツ界にご尽力してもらいたいと思っている」と述べている。
http://www.sankei.co.jp/reon/yakyu/1998/2004html/0415_001.htm

西武ライオンズのオーナーで、西武鉄道グループとJOCの実質的なオーナーであることには代わりがないようです。

ところで、新潮社のフォーサイトのバックナンバーにこんなのが残っていました。
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/main/data/frst200009/tokusyu.html
2000年9月のですが、タイトルは−プロ野球「一リーグ制」への足音 もはや止められない「パ・リーグの崩壊」−です。

その中で、堤義明オーナーが早い時期から「一リーグ制を提唱」していたことを指摘し、崩壊の危機にあるのにまとまりのないパ・リーグの原因に挙げています。

本来、戦力均衡化を目指すはずのドラフトに、93年逆指名制度が導入されたが、その推進役になったのが巨人であるが、その巨人と共同戦線を張ったのが、西武であった。逆指名の導入にあたって巨人は、得意の「脱退・新リーグ結成」という脅しで迫ったのだが、「一リーグ制を提唱」している西武が共同戦線を張るのは当然であろう。

パ・リーグが提唱したインターリーグ構想にしても、「うちはあくまで一リーグ制が希望」(西武関係者)しているのでは、まとまるはずもなく、巨人戦が減少することになるセ・リーグ5球団からも反対にあい、ぽしゃることになる。

こういった中、まとまりを見せたのがシドニー五輪への選手派遣問題だったことになる。ところが「プロ選手派遣を巡ってセ・パが真っ二つに割れた五輪問題は、昨年十一月のオーナー会議がヤマだったが、積極的派遣論の中心たる西武の堤オーナーは結局最後まで姿を見せなかった」となる。

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328(2004/04/18) リコーMLB開幕戦 新聞記事から

新聞記事から2題、まずは、開幕戦が始まる前の2004年3月28日、朝日新聞朝刊の記事です。

テロの危険や、体調管理の難しさにもかかわらず来日した大リーグ。それはど、日本は重要なマーケットなのだ。

ヤンキースのキャッシュマン・ゼネラルマネジャー(GM)は「日本はどの国よりも才能のある素材がいる」と語る。デビルレイズは98年から加入した新参チーム。ピネラ監督は「たくさん(メディアなどに)露出してもらって、日本のいい選手がチームに来て欲しい」とアピールした。

ニューヨーク・タイムズ紙は16日、電通が昨年、大リーグ機構と放映権などの契約を6年2億7500万j(約300億円)で結んだと報じた。機構にとって日本は「お得意さま」だ。さらに、今回の開幕戦では日本のテレビ局から別途、放映権料が支払われる。スポンサーなどからも相当額の「支度金」が入る。大リーグ人気に拍車がかかり、日本で松井のユニホームなどライセンス商品が売れれば、機構の収入につながる。

※大リーグ機構(MLB)は、昨年まで電通と5年間で総額6500万ドル(約78億円)で契約していたから放映権料が3.5倍にも高騰したことになります。これもイチローや松井の活躍によりMLBの日本におけるメディア・ヴァリューが高まったことによるものです。日本人選手のMLB進出は、人材の供給面というだけでなく、マーケットしての日本の価値を高める結果になっています。

大リーグは99年にメキシコでパドレス−ロッキーズの開幕戦を行った。これが北米大陸以外で開かれた初めての開幕戦。00年には日本でメッツ−カブスの開幕戦が開催された。昨年にはマリナーズ−アスレチックス戦が予定されたが、イラク戦争で中止されている。
キャッシュマンGMは「野球を世界に広めるためには我々が海外へ出でいくことがベストのやり方だ。長旅など障害はあるが、ビジネスを大きくするために犠牲はつきものだよ」と話す。

※野球を世界に広めるのなら、オリンピックに理解を示してほしいし、ワールドカップ実現のためもっと積極的になってもらわないとこまるのですが、いみじくも「ビジネスを大きくするために」と後段で発言しているように、日本での公式戦が、MLBビジネスの世界戦略の一環であり、その中で日本が重要なマーケットになっていること明白になっています。

次に、開幕戦が終わって、米国での評価について、2004年4月3日の朝日新聞夕刊の記事から。

歴史的な米大リーグ、ヤンキースの日本開幕戦について、地元ニューヨークの各紙は2日付で総括的な記事を載せ、選手に強い印象を残すと同時に、大リーグの世界的な普及の一環としては成功したとの論調が大半を占めた。

タイムズは、時差が選手を苦しめたとしながらも、ロドリゲス内野手の「(大リーグ)野球の普及という使命を果たすには、ヤンキースが最適なのは明らか」という言葉や、トーリ監督の「日本選手はスピードがあり、基本に忠実。ロスが少ないのには驚いた」という印象も紹介している。

ニューズデーも「価値のある遠征だった」 (リベラ投手)、「今度は行事や試合の日程なしに来たい」(ジーター内野手)との談話を引用し、好意的にまとめている。

逆に、ポストは「本当はお金だよ」の見出しで、友好、普及といった裏にある真の狙いは経済的な面だったと強調。ヘルメットとユニホームの紬に、開幕シリーズのスポンサーだった日本の企業名が付いたのが何よりの証拠としている。

ユニホームに企業名が入ったことには、米国の市民団体コマーシャル・アラートがセリグ・コミッショナーに書簡を送り「大リーグの伝統をけがすもの。これを機に、後々にユニホーム広告が広がっていく恐れがある」と批判したと、タイムズは伝えている。

※確かに、MLBの選手のユニホームの袖とヘルメットに冠スポンサーとなったリコーのロゴが目立っていました。MLBでは、ユニホームにナイキやスポルディングといったメーカーのロゴさえ認めない伝統があります。もともとスペクテイター・スポーツとして始まったアメリカン・スポーツでは、プレイの場では、逆にコマーシャリズムが排除される傾向があります。
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327(2004/04/17) パ・リーグ潰し

メジャー・リーグの日本開幕戦をパ・リーグ潰しとしてコラムに書いたのがスポーツ・ジャーナリストの高田実彦氏。誰が潰そうとしているのかといえば「巨人」とし、その根拠として、ヤンキース・スタインブレナーの「何を好きこのんで17時間もかけて開幕戦をやりに日本に行くものか。巨人の渡辺オーナーの強い要請によるものだ」という言葉をあげている。
http://www.sportsnetwork.co.jp/adv/bn_2/vol193.html

また、3月19日の阪神の久万オーナーの発言を「パ・リーグをなくして一リーグ制」という話の証拠としている。日刊スポーツによれば、同オーナーは、「球団削減=1リーグ制」という見方は否定したそうだが。

「観客数の頭打ち、選手人件費の高騰など日本プロ野球界は非常に厳しい時代を迎えています。(中略)日本プロ野球は、フランチャイズの観点から言えば、北海道から九州まで8〜10球団が適正ということも考えられます」「ファンの数と球団の数のバランスが崩れた。それではあまり長続きしない。12球団は多すぎる? 非難を恐れずに言えば、そうです」(日刊スポーツ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040320-00000008-nks-spo

高田氏のコラムは、「大リーグの試合があること自体もとても結構なことである。しかし、パ・リーグが「何とか生き延びよう」と張り切っている鼻先にわざわざ“松井秀喜のヤンキース”をぶら下げて妨害することはないだろう。巨人のやり方はエゲツなく、また汚い。」と結んでいるが、一リーグ制への陰謀はそう単純ではないのではないか。

メジャーの試合に被害を被った西武ライオンズの堤義明オーナーは、球団売却もままならず、30億円の赤字を出し、親会社からも見放されそうな大阪バファローズが起死回生策としてとった球団名売却案を「理解ができない」と突き放した。

大阪バファローズの球団売却がままならないのは、プロ野球協約36条の6にある譲渡であっても30億円の加盟料がかかるという点にある。30億円もの赤字を抱えるパ・リーグの球団を30億円の加盟料を支払ってまで買おうとする企業は、今の経済情勢では考えにくい。

ベイスターズの株式売却問題のとき、この加盟料の撤廃がオーナー会議の議題に上ったが、撤廃に賛成したのはオリックス、ロッテ、日本ハム、近鉄の4球団のみであった。撤廃に反対したのが、セ・リーグ6球団とパ・リーグの西武・ダイエーの2球団である。球団売却問題にセ・リーグ以上に切実なはずのパ・リーグの西武とダイエーは、撤廃反対に回った。

当初、巨人の渡辺オーナーも撤廃論に傾いていたが、西武の堤オーナーが、撤廃に反対したため、存続論に変ったという。西武の堤氏と読売の渡辺氏とは、既に和合していたが、30億円の加盟料の存続に積極的だったのは渡辺オーナーよりも、むしろ、西武の堤オーナーのほうであった。

ダイエーの中内正オーナーは、親会社のダイエー本社に勝手に売却されてはかなわないので反対したのだろう。だとすれば、西武の堤オーナーの思惑は何か。それは、パ・リーグ潰しも厭わない一リーグ制ではないのか。

球団売却の障害になっている36条の6の存続に、一番積極的だったのが西武の堤義明オーナーであった。そして、球団売却がままならない近鉄が行おうとした球団名売却に、パ・リーグで真っ先に反対したのも堤義明オーナーであった。ところが、パ・リーグの利益が損なわれた今回のメジャーリーグ日本開幕戦では、なんらの発言もない。近鉄の球団名売却問題に対する迅速な対応とは対称的である。

「日程をずらしてほしかった」西武球団の営業担当者と異なり、西武の堤義明オーナーは、読売新聞社と日本野球機構が主催したメジャーリーグ開幕戦を容認していたのではないかと思わざるを得ないのである

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326(2004/04/17) リコーMLB開幕戦

ぼーる通信 2004/04/09号 ベースボール・ビジネス25から

球春到来。プロ野球の開幕です。パ・リーグは、3月27日、セ・リーグよりも1週間早く開幕し、狙いどおり、福岡ドーム4万8千、西武ドーム4万8千、大阪ドーム4万1千と3ドームとも満員という、リーグ最多となる13万7千人の観客動員を記録しました。ところが、翌日の28日は福岡ドームでこそ、前日と同じ4万8千の観衆が集まりましたが、西武ドームと大阪ドームは、それぞれ半減の2万4千と2万3千でした。

同じ日、西武ドームから30q離れた東京ドームでは、タンパベイ・デビルレイズ対阪神タイガース、ニューヨーク・ヤンキース対読売巨人軍のオープン戦が行われていました。3月30日、31日同じ東京ドームで開幕するメジャー・リーグ公式戦に先立ち、巨人、阪神とオープン戦を行っていたのです。

猛虎タイガースは今年も元気で、デビルレイズと7対7の引き分け、ヤンキースの松井は、見事第一打席で本塁打を放ち、凱旋試合を飾りました。本塁打を放った瞬間の視聴率は27.1%、平均でも20.5%を記録しました。

3月28日のパ・リーグ開幕第2戦の西武ドームは、明らかにメジャーに食われた格好です。関係者の不安は的中しました。28日の朝刊記事に「西武ドームでは、28日の指定席が一、三塁側とも売れ残っている。営業担当者は、『できれば日程をずらしてほしかった』と話す。」と不安視されていたのです。

29日には、巨人・阪神とメジャーとのオープン戦が行われ、30日、31日には、ヤンキース対デビルレイズ戦のメジャー・リーグ開幕戦が行われました。いずれも東京ドームです。つまり、パ・リーグの開幕5連戦は、27日の開幕日以外、メジャーの試合と見事に日程が重なっていました。明らかに、メジャーの試合は、パ・リーグが享受できたであろう利益を損ねています。

このメジャー開幕戦の主催者は、メジャーリーグ(MLB)と同選手会、読売新聞、そして日本野球機構(NPB)です。もちろん、読売新聞は、セ・リーグ読売巨人軍の親会社で、NPBの構成員には、セ・パ両リーグとその各球団が含まれます。

確かに東京を保護地域とするパ・リーグの球団はありませんから、プロ野球協約上の地域権の侵害にはあたらないといえばそうでしょう。しかし、パ・リーグの球団も歴としたNPBの構成員です。NPBは、構成員であるパ・リーグの利益を守る義務を負っているはずです。それが自らパ・リーグの利益を侵害したことは、明らかに暴挙といっていいでしょう。

千葉ロッテ・バレンタイン監督「計画の時点から、これは間違いだった」(2004年3月28日朝日新聞朝刊)

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325(2004/04/11) 近鉄球団名売却騒動

西武ライオンズのオーナーで、JOC名誉会長の肩書きを持つ堤義明は、西武鉄道グループの実質的なオーナーである。堤は、西武鉄道会長であり、西武鉄道の大株主であるコクドの会長でもある。その堤は、西武鉄道の総会屋への利益供与事件に対し、一応の責任をとり日本経団連の理事を退いたが、鉄道事業の経営は社長に全面的に任せてあるとして、「堤会長は事件発覚からこの日まで、一度も会見に応じていない」(4月9日共同通信)。多忙を極める堤義明にとって鉄道事業などとるにたりないことなのだろう。

多忙を極める堤義明は、今やプロ野球の最高議決機関となったオーナー会議にも出席せず、ライオンズの試合さえ滅多に見にこない。そんな多忙を極める堤義明が、近鉄の球団名売却騒動では、オーナー連の中で読売巨人軍オーナーで読売新聞グループ社長の渡辺恒雄に次ぐ素早い対応で、近鉄を非難した。

2004年1月30日川島広守のコミッショナー退任が認められ、2月1日に根来泰周が新コミッショナーに就任する「空白の1日」(渡辺恒雄)1月31日に、近鉄は、球団名を基本料年間36億円で売却と発表した。すると、ただちに「協約違反」と読売巨人軍渡辺オーナーが非難し、2月1日には「あまりに唐突で理解に苦しむ」と西武ライオンズ・オーナー堤義明もそれに素早く呼応した。根来コミッショナーは「多勢に無勢」と近鉄を批判し、小池パ・リーグ会長も実現困難の見解を示すに及んで、2月5日、近鉄側が方針撤回を発表し、近鉄の球団名売却騒動は収拾した。

このときの西武・堤義明の「理解に苦しむ」というコメントに対し、「私には理解できない」とマーティ・キーナートは批判している。堤義明は西武ライオンズを中村長芳から買ったのだが、この中村長芳こそ、福岡野球株式会社のとき、球団名をゴルフ・レジャー会社太平洋クラブに売却し、ネーミングライツ・ビジネスを実践した男であった。まさに球団名の命名権を売却した男から球団を買った男こそ、堤義明であった。堤義明が球団名の命名権を知らないはずはなかった。2月1日の堤義明の発言こそ唐突で理解に苦しむものであった。

2月1日の「理解に苦しむ」という堤義明の発言こそ、読売新聞グループ社長渡辺恒雄と西武鉄道グループオーナー堤義明の関係を象徴するものであった。盟友となった二人のゴールは、一リーグ制にある。

(敬称略)
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324(2004/04/11) 長嶋監督のキャンプ巡り

2002年11月のオーナー会議で、アテネ・オリンピックが稼ぎ時の8月に開催されるため、ペナントレースは中断しないこと、選手派遣は各球団2名までということが決められた。

ただし、予選のとき、読売ジャイアンツから4選手が代表に選ばれているので、一球団2名まででは、弱体化は否めない。ショートの松井稼頭央はもはやいない。代表監督長嶋茂雄は、一球団4名までの派遣をセ・パ各球団に求めた。しかし、それは断られる。唯一、JOC名誉会長の西武ライオンズ・堤オーナーだけが、一球団4名枠に対しても理解を示していた。堤義明は、ペナントレースの中断も提唱していた。

一球団2名までなら均等に選ばれるであろうが、一球団4名では、4名選ばれる球団もあれば誰も選ばれない場合もありうることになる。4名も主力選手が抜けたのでは、とてもではないが、ペナントレースを戦うことができない。負ければ観客動員は落ちるし、監督の責任問題にもなる。現に、2000年のシドニーオリンピックのとき、主力選手の派遣に断固反対したのが当時長嶋が監督をしていた読売巨人軍ではなかったのか。

結局、当初の一球団2名に落ち着く。唯一、代表選手がケガをした場合、代替選手を選ぶこともできうるということで決着した。そして、年が明け、2004年のキャンプが始まった。長嶋茂雄がプロ野球のキャンプに帰ってきた。代表選手選考を兼ねたキャンプ巡りである。「野球」が再び長嶋茂雄に託された。長嶋は多忙を極めた。
(敬称略)

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323(2004/04/10) アテネ五輪 出場権獲得

2003年11月上旬、アテネ・オリンピックのアジア予選決勝リーグが、札幌ドームで行われた。予選は、シーズンオフに開かれたため、読売ジャイアンツからは二岡、高橋由、上原、木佐貫の4選手が参加するなどプロ21選手で固められた。このとき、西武の松井稼頭央も参加し、セカンド宮本慎也、サード二岡、ショート松井稼頭央という豪華な内野陣を形成していた。投手陣は上原、松坂、和田とまさに全日本チームであった。ただし、そこには、松井秀喜はいなかった。

日本人メジャーリーガーがいなくても、野球で初めて日本代表にふさわしいチームができた。そして、そのチームを率いたのがミスタープロ野球、長嶋茂雄であった。日本代表は韓国、台湾、中国と決勝リーグを戦い、3戦全勝でオリンピック出場権を獲得する。私も、プロ野球の試合とは異なる緊張感を初めて感じた。

以下は、熱血男松岡修造の熱血レポートである。
http://www.pia.co.jp/info/joc/pickup/040201.html

 試合後のインタビューでも、選手からは圧勝だったチームとは思えないような言葉が発せられた。"野球をするのが怖い"、"もうこんな緊張感の中でプレーするのはいやだ!"、"フィールドから逃げ出したかった"と。

 今回コーチを務められた中畑清さんに長嶋ジャパンの雰囲気をうかがったとき、"こんな空気は初めてだ。誰一人緊張感を乱すことがない。特に長嶋監督、あんなに緊張してそして燃えている長嶋さんを初めて見た。オリンピックの力はすごいね!"といつも陽気な中畑コーチでさえジャパンの重圧に言葉少なだった。

 そして、その言葉はオリンピックを愛する僕の心に響いた。なぜなら畏怖の念さえ感じさせるオリンピックの偉大さを日本野球界がはじめて感じてくれたというのだから。

 思い起こせば2000年のシドニー・オリンピック。僕はほとんどの競技会場に足を運び日本選手を応援させていただいた。しかし、正直なところ応援していて唯一違和感を感じたのが野球だった。ちなみに僕は野球が大好きだ。小さい頃はプロ野球選手も夢に見、始球式も経験したくらいだ。

 その僕が何故心の底から応援することができなかったのか?

 それは日本チームから "絶対に勝ちたい"という懸命さが伝わってこなかったからだった。いま一つ団結力に欠け、中途半端というか、なんとなくプレーしているように僕の目には映ったのだ。

 しかし今回の長嶋ジャパンが魅せた野球は、甲子園高校野球でも日本のプロ野球、メジャーリーグでもなく、まさに"オリンピック野球"だった。

松井稼頭央は、その後、FA宣言し、メジャー入りを宣言する。松井稼頭央は、オリンピック野球ではなくメジャーリーグの野球を選んだ。
(敬称略)
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322(2004/04/03) 日本五輪代表監督就任

日本の野球は、シドニー・オリンピックで、メダルを逃した。パ・リーグだけとはいえ、プロ選手が参加したのに日本はメダルを逃してしまった。残るは、プロのドリーム・チームしかない。

しかし、アテネ・オリンピックの開催は、8月というプロ野球の稼ぎ時に重なるため、ドリーム・チームの実現は難しい。プロ選手の派遣のためには、プロ野球の各球団に顔が利き、世論やマスコミを動かせる力の人物が必要であった。さらに、その人物は、「球界のオーナーである」渡辺恒雄にも一目置かれる人物であることが必要であった。

それが、東京読売巨人軍監督を退いたばかりの長嶋茂雄その人であった。2002年4月23日長嶋は、新設されたアテネ・オリンピックの野球強化本部長に就任する。このとき、渡辺恒雄は、堤義明と和合し、プロ選手のオリンピック派遣に全面協力を打ち出していた。

この当時の記事をみると、長嶋ドリーム・チームの4番には、松井英喜が期待されていた。長嶋茂雄も渡辺恒雄も松井秀喜の4番を期待していた。アテネ・オリンピック代表の4番ということは、松井が日本に残ること、すなわち、FA取得後も、読売巨人軍の選手として残ることを意味していた。メジャー・リーグに行けば、オリンピックには出場できないのだ。

2002年5月30日、長嶋は、全日本アマチュア野球連盟のチーフアドバイザーに就任。同6月12日、日本代表編成委員会の強化部会に初出席し、「プロアマ一体の風を感じました。目標はアテネでのドリームチーム、そして日の丸を揚げたいということ。ベストメンバーで勝ちにいきたい」と発言する。

そして、同年12月2日長嶋は、アテネ・オリンピック日本代表監督に就任する。そのとき、松井は、オリンピックには出ない決心をしていた。

10月17日、JOCとオフィシャル・パートナーシップ契約を結ぶ。
11月1日、松井秀喜FAによるメジャー行きを宣言。
11月16日、読売巨人軍とニューヨーク・ヤンキース業務提携に調印。

読売グループ(渡辺恒雄)は、JOC(堤義明)と正式に手を結び、さらに、ヤンキース(スタインブレナー)とも手を結んでいた。そして、これらが、2004年春のキーワードとなる。

2003年4月3日長嶋茂雄は、JOCエグゼクティブアドバイザーに就任。竹田JOC会長「ここ一番に強かった長嶋さんのスポーツ精神を選手や指導者に伝えてもらうことは、アテネオリンピックに向けて必ずプラスになる。」

(敬称略)
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321(2004/03/29) 渡辺恒雄と堤義明の和合(二)

世界のメガ・スポーツイベントといえば、オリンピックとサッカー・ワールドカップの二つがある。このうちサッカーのワールドカップが2002年、韓国との共催とはいえ日本で開催された。このワールドカップでは、日本は決勝トーナメントに進出するという偉業を成し遂げ、ドイツ対ブラジルの決勝戦は、サッカーの魅力と感動を日本中に振りまいた。サッカー人気は、ワールドカップまでと言っていた渡辺恒雄の目論見は崩れた。

読売のライバルである朝日新聞は、2000年11月、この日韓ワールドカップの国内スポンサー(オフィシャル・サプライヤー)となっていた。さらに、朝日新聞は、2003年には、Jリーグの100年構想パートナー契約(2004年までの2年間)を結んでいる。朝日新聞社は、キラーコンテンツとしてサッカーを位置づけ、サッカー界に接近していたのだ。

この朝日新聞の動きに対抗し、読売新聞は、サッカーのワールドカップと並ぶ世界的なメガ・スポーツイベントであるオリンピックに接近する。読売新聞は、日韓ワールドカップ終了後の2002年10月17日、JOCとオフィシャル・パートナーシップ契約を結び、2004年アテネ・オリンピックのJOC公式スポンサーとなった。2000年のシドニー・オリンピックでは、オリンピックの商業主義を批判し、オリンピックへのプロ参加を拒否していたにもかかわらずである。

これは明らかに、五輪主義の西武堤義明と巨人主義の読売渡辺恒雄との和合を意味している。
(敬称略)

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320(2004/03/28) 渡辺恒雄と堤義明の和合(一)

シドニー・オリンピック後事態は一変する。まず第一に、商業主義の批判を浴びたIOCは、簡素化を名目に2008年の北京オリンピックから野球、ソフトボール、近代五種の三種目をオリンピック種目から外す考えを示した。

野球をワールドスポーツにするため、野球をオリンピック種目にしようという運動がようやくみのり、1992年のバルセロナ・オリンピックから正式種目になっていた。これは、ドジャースの元オーナーであるオマリー父子やその秘書アイク生原、ベースボール・マガジン社の池田郁雄などの尽力によるものだった。

野球のライバルとなったサッカーにはワールドカップというオリンピックと並ぶ国際的なメガ・スポーツイベントがある。さらに、サッカーには、ワールドカップ以外にも、オリンピックやワールド・ユースなど国際イベントが目白押しである。これに対し、野球の国際イベントといえばオリンピックしかなかった。メジャー・リーグは、あくまでも米国の組織である。

現在のメジャーリーグは、オリンピックには熱心ではない。国内のリーグ戦を優先し、メジャーリーガーのオリンピック出場を制限している。このような状況も、IOCにおける野球の立場を弱くしている。メジャーリーガーの出場しない野球は、オリンピックにふさわしくないと思われている。しかし、日本で、唯一の世界の檜舞台であるオリンピックがなくなった場合は、日本選手のメジャーリーグ志向を止める手段は、もはやない。

IOCに働きかける力は、渡辺恒雄にはなかった。公称1千万部という世界最大の新聞社も所詮は胃の中の蛙である。IOCに影響力を持つ日本人はただ一人、JOC名誉会長である西武ライオンズ・オーナー堤義明だけであった。結局、アマもプロも日本球界が頼ったのは堤義明のほうであった。

巨人も、2002年FAの資格をとる松井秀喜がいた。西武には、2003年FAの資格をとる松井稼頭央がいた。そして、二人ともメジャーを目指した。巨人の上原浩治もメジャー志向と言われている。西武のエース松坂も最終目標はメジャーだという。オリンピックは、両松井を引き留めることはできなかったが、上原や松坂らFA前の選手達のメジャー熱を冷ます効果はあるかもしれない。

(敬称略)
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319(2004/03/27) 渡辺恒雄 対 堤義明

1996年のアトランタ・オリンピックで銀メダルをとった日本野球も、2000年のシドニー・オリンピックには、出場も危ぶまれる状態であった。韓国、台湾がプロで固め、アマチュアだけでは、力量不足は明らかだった。強い危機感をいだくアマ側からの要請により、プロ側から西武の松坂、ヤクルトの古田、ロッテの初芝など8選手が参加し、からくも予選を通過した。

ところが、本番となるシドニーでは、東京読売巨人軍の渡辺恒雄オーナーが、オリンピックへのプロ選手派遣に強行に反対し、巨人だけでなくセ・リーグ全球団の選手の参加が見送られた。ただ、例外的に、捕手不足から中日の鈴木が参加した。好機とみたパ・リーグ側からは、西武の松坂、ダイエーの松中、近鉄の中村、ロッテの黒木、日本ハムの田中幸、オリックスの田口らが参加した。ところが、この即席プロ・アマ連合チームは、松坂の力投にもかかわらず、4位に終わりメダルを逃した。

オリンピックに選手を派遣したパ・リーグと選手を派遣しなかったセ・リーグの対立を「堤義明の五輪主義」対「渡辺恒雄の巨人主義」で捉えるコラムをみつけた。巨人の渡辺オーナーは、表向き、オリンピックへのプロ選手派遣反対の理由に、オリンピックの商業主義を挙げたが、内実は、巨人の優勝を最優先とする巨人主義であった。これに対し、西武ライオンズのオーナー堤義明は、JOC元会長であり、名誉会長、IOCにも隠然たる力を持っている。JOCを作り、JOCが今日あるのは、堤オーナーの力によるものであるという。

以下明日香羊氏のコラムを要約すると次のようになる。http://genkina-atelier.com/philosport/sportphilosophia/80.htm

1979年堤義明は西武ライオンズをスタートさせ、読売巨人軍絶対の日本スポーツ界への闘いを挑む。この闘いは80年代終わりには常勝西武という形で達成されたかにみえたが、勝っても負けても巨人人気は、変らなかった。

ところが、日本という枠内で考えれば巨人ありきだが、この枠組みを離れたところから、日本の野球を見ると、そこに日本代表のコンセプトが浮かび上がる。五輪という世界基準で日本のプロ野球を考えたときにその契機がやってくる。

もしパ・リーグのベストプレイヤーによる五輪代表が成立し、シドニーでベストの結果を出したとすれば、日本球界のゴールが五輪代表に集約し、その代表を統括できるのは、渡辺恒雄ではなく、堤義明である。

この堤義明の野望も、松坂が韓国に敗れ、水泡と化す。
(敬称略)

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318(2004/03/27)  読売巨人軍終身名誉監督

1980年、東京読売巨人軍は、3年間リーグ優勝から遠ざかり6年間日本一になれなかった。これは、巨人を新聞の拡販財と考えていた読売グループにとって耐え難いことであった。その年、読売グループは、長嶋茂雄監督を解任する。至宝長嶋茂雄を手放した読売グループは、読売新聞と報知新聞の数十万部ともいわれる解約というしっぺ返しを長嶋ファンから受けることになる。

この年、ONの一方の雄王貞治も、選手生命を終えている。王貞治は、選手引退後、しばらく巨人から離れようと考えていたが、長嶋監督の解任により、巨人に留まり、長嶋の後任となった藤田元司の後を継ぐことになる。

その王貞治も、1988年連覇を逃すと、2位ではあったが、5年間日本一がないことを理由に解任される。しかし,王監督時代の5年間(1984年から1988年)の平均視聴率23.94%であったものが、再登板した藤田監督時代の4年間(1989年から1992年)は20.00%と低迷することになる。このことが長嶋監督復活の原因となる。その後、巨人を去った王貞治は、ダイエーの根本睦夫の三顧の礼により、ホークスの監督に迎え入れられ、二度の日本一に輝く。

その後、東京読売巨人軍の監督に復帰した長嶋茂雄も、2001年、優勝を逃すと、巨人の監督を再び辞めることになる。事実上の解任とも言われる。このとき、前回の轍をふまないよう、読売グループは、長嶋茂雄の身柄の確保を図り、終身名誉監督として、読売グループ内に留めおくことに成功する。

この長嶋茂雄の後継者となったのがやはり若大将原辰徳であった。 80年代、ON不在の巨人を独り黙々と支えたのが、若大将原辰徳であった。監督となった原辰徳は、2002年ぶっちぎりでリーグ優勝、日本シリーズ優勝を果たす。原辰徳は、十連覇を宣言するが、4番松井秀喜が、日本シリーズ優勝直後、FA宣言し、ニューヨークに去ると、翌年優勝を逃す。すると、就任したばかりの三山GMもどきにより事実上の解任に追い込まれる。ところが、読売グループは、長嶋茂雄と同様、原辰徳を、事実上の解任したにも関わらず、球団特別顧問として、ジャイアンツ愛を出汁に読売グループ内に、確保することに成功した。

球界の至宝「長嶋茂雄」をグループ内に留めることに成功した読売グループは、球界の至宝を読売グループの至宝として有効活用する途を企てる。シドニーのとき、強行に反対していたオリンピックへのプロ選手派遣を、アテネでは、一転して賛成に回っただけでなく、オリンピック代表監督に長嶋茂雄を据えたのである。

日本野球は、パ・リーグの選手が一部参加したシドニー・オリンピックでは、プロ選手で固めた韓国に敗れ、メダルを逃していた。さらに、野茂から始まる選手のメジャー流出は、イチロー、佐々木と歯止めはきかなくなっていた。日本国内では、ワールドカップの日韓開催を控えサッカー人気が復活していた。そして、2002年、東京読売巨人軍の4番打者松井秀喜のFAが迫っていた。

読売グループは、オリンピック代表を餌に松井秀喜のFAを阻止しようと企てたが、それも効果がないことが分かると、一転してニューヨーク・ヤンキースと提携し、ヤンキースへのレンタル移籍を企む。これも松井秀喜本人によってあっさり交わされるが、松井本人がヤンキースを選択して、読売グループとヤンキースの提携は結果オーライとなる。この話は、今年のヤンキースの開幕戦日本開催へと続く。
(敬称略)

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317(2004/03/26) 長嶋監督倒れる 経過2

3月11日主治医の内山教授、長嶋茂雄氏の病状について
「一歩一歩良くなっているが、報道に出ているほど驚異的な回復ではない」「短期間で良くなるというよりは、長い目でみることが必要」「(8月のアテネ五輪出場については)これからのリハビリの回復状況を見たい」(スポーツナビ)

3月11日日本代表編成委員会の長船騏郎委員長
(アテネ五輪野球日本代表監督について)「監督交代はない。たとえ病床にあったとしても、電話などで指揮を執ってもらいたい」「アジア予選で見せたチームの一体感は、長嶋監督以外に出せない。監督代行などは置かず、コーチの数も増やさない」
「いろいろな意見は承知しているが、決めるのは私」、(長嶋氏の家族が、辞退を申し出た場合)「受けずに差し戻す。最終的には私が本人に会って話す」(アサヒコム)

3月12日、読売巨人軍の渡辺恒雄オーナー
(過熱気味の復帰問題について)「アテネに行くんだ。行かないんだ。そして誰がどう言ったとか、そういう事を書いてそれが間接的に本人の耳に入ったら治るものも治らない」(共同通信)

3月15日、アテネ五輪野球日本代表のスタッフ会議後、中畑清ヘッド兼打撃コーチ
(注目される監督問題について)「最後まで『長嶋ジャパン』で行く。選手たちもそう思っている。(後任監督を人選する考えは)全くない」(日刊スポーツ)

3月23日、都内のホテルで開かれた巨人軍激励会のあいさつで読売巨人軍の渡辺オーナー
(脳梗塞で入院しているアテネ五輪野球日本代表の長嶋茂雄監督(巨人軍終身名誉監督)に関して)「わたしは五輪のことは申し上げる立場にない」「山本(英一郎)さんや長船(騏郎)さんが考えること」と続け、全日本アマチュア野球連盟や全日本野球会議の要職にある両氏の名を挙げながら「われわれは一刻も早く治ってほしいと念ずるしかない」(時事通信)

3月25日、東京・芝公園の東京プリンスホテルで行われた巨人のオフィシャルスポンサー、伊藤ハム株式会社主催によるパーティー「2004年 読売巨人軍激励・交歓の宴」で、中畑清ヘッド兼打撃コーチ
「今年は五輪の年でもあります。アテネ五輪では長嶋監督が指揮を執ります」「ここだけの話ですが、私にあと2か月で戻ってくると約束してくれました!」
会場に詰め掛けた約1000人のファンは大きくどよめいた。(スポーツ報知)

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316(2004/03/26) 長嶋監督倒れる 経過1

3月5日長男一茂氏、茂雄氏の入院している病院で記者会見
「僕自身の個人的な言葉で言うと無理して欲しくないな、と。プロ野球ファン、国民が一番期待していることだし、父もそれに向かっていろんな準備もしてきているだろうし、もし出ないとなると父にとっては無念なことだと思いますけど、私は無理して欲しくないなと思います」(日刊スポーツ)
「親父も68(歳)だし、北海道の五輪予選からプレッシャーもあり、春のキャンプを回って忙しかったことで、ストレスがあったと思う。本当に良くなってほしい。今は病院の先生方を信じてお祈りするしかない」(スポーツナビ)

同日、東京都内のホテルで報道陣に囲まれて、読売巨人軍オーナー渡辺恒雄氏
「(監督を務めるアテネ)五輪に無理に間に合わせようとすると、治るものも治らなくなる。無理させてはいかん」「僕の経験から言っても見舞客ほど迷惑なものはない。本人にとっても家族にとっても、ほっといてあげるのが一番なんだ」(共同通信)

3月8日野球のアテネ五輪日本代表編成委員会の長船騏郎委員長
「予選でのチームの雰囲気は彼にしかつくり出せない。あくまでもアテネは長嶋監督。後任のことなど考えていないし、考えるつもりもない」「予選リーグまでは不在で、準決勝から指揮を執ってもらう方法もある」(共同通信)
「今のところ長嶋の病状もはっきりとは分からないから、8月末(決勝トーナメント直前)まで待つつもり」。(日刊スポーツ)

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315(2004/03/26) 長嶋監督倒れる でも「監督」ってドッチの

長嶋茂雄氏が3月4日、脳梗塞で倒れ、東京女子医大病院に緊急入院した。2月中旬、長嶋氏が12球団のキャンプ視察のときのニュースだったと思うが、そのときの長嶋氏はひどく老けて見え、「大丈夫かな」という印象だった。だから、長嶋氏が倒れて入院したというニュースを4日の夜、ネットで知ったとき、さして驚きはなかった。

そして、翌日5日の朝、日テレの「ズームイン!!SUPER」で長嶋「監督」緊急入院の報道をしていた。司会の羽鳥アナも、「監督」の容態を心配していたが、彼のいう監督は、アテネ五輪日本代表監督ではなくて読売巨人軍終身名誉監督のことだった。読売グループの一員である日テレにとっては、アテネ五輪日本代表監督ではなく、読売巨人軍終身名誉監督なのか。ミスタープロ野球も、内実、単なる読売グループの一員に過ぎないのか。

長嶋氏は、現在リハビリに励んでいる。

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314(2004/03/11) 球団名とは

プロ野球の商品は、試合というサービスですが、そのサービス(入場券)を購入(選択)する契機が球団名です。いわば、プロ野球にとって球団名とは、商品名ということになります。

商品名は,無数の商品の中からその商品を区別する効果(識別効果)をもっています。消費者は、商品名によって、その商品を知り(知名効果)、商品の中身が何であるかを理解します(理解効果)。商品名が知れわたり、商品名を通じて商品の中身についての理解が消費者の間に浸透すると、商品の存在や中身を知らしめるためのコスト、つまり広告宣伝するためのコストが節約できます。

しかし、商品名には、さらに、商品名それ自体が独特のメッセージを発するようになると、つまり、商品が独特の意味を持ちブランド化した商品(ブランド商品)となれば、コスト節約や投資コスト分に還元できない価値(剰余価値)が生まれます。ブランドが、他のブランドにはないブランド固有の欲望を作り出すことにより剰余価値を持つようになるのです。加えて、固有の欲望を作り出す世界の憧れを生み出します。

「コカ・コーラ」や「シャネル」に代わりうる商品の代替物はないわけではありません。例えば、「ペプシコーラ」や「クリスチャン・ディオール」はその有力な代替物です。しかし、「コカ・コーラ」や「シャネル」に代わりうる意味世界はありません。何ものも代わりにはなりえない創り出された意味世界は、当然ながらひとつの価値です。

「コカ・コーラ」や「シャネル」のマークが入ったTシャツがそれなりの値段で売れる理由は、そうしたブランドが独自の意味世界という価値をもっているからです。そうしたマークが付くことによって高くなった価格分は、その意味世界への入場料ということになります。言い換えると、ブランドがそれに固有の欲望を付着させ独自の意味世界を創造することができれば、それへの入場料の分だけ、市場における他のブランド商品群との競争において差別的な優位を創ったということになります。

商品のブランド化プロセスを、私たちはMLBを通して見ることができます。もともとMLBは、大リーグとして日本のプロ野球とは識別されていましたが、イチロー・松井の加入によって、大リーグ中継が増え、マスコミも連日報道することによって、MLBの名が日本中に知れ渡るようになりました。さらに、MLBやヤンキース、マリナーズのハウツー本がでたり連日の中継やニュースによってMLBへの理解度が増しています。そして、大リーガーの高度なプレーや真摯な態度、天然芝と個性あふれる魅力的な球場は、MLBの意味世界を広げていきます。今、日本ではこうのようにMLBのブランド化が急速に進んでいます。

このように商品名と商品名のブランド化は、商品のマーケティング戦略上、重要なものであることが分かります。このマーケティング上、重要な商品名を、他の商品の広告宣伝に使われているのが日本のプロ野球(NPB)なのです。NPBでは、本来、球団名は球団価値の増大(入場者の増加、メディア・ヴァリューの増加)に貢献すべきところ、他の商品の剰余価値の増加に使われています。つまり、NPBは、他の商品名(親会社名)を名乗ることによって、NPBの価値を喪失していることになります。

プロ野球ファンは、自らを球団や選手に同一化して応援します。つまり、球団や選手にとって、ファンは、単に入場料を支払う顧客という存在ではなく、球団や選手を育てる存在でもあります。そのファンの多くは、球団の地元の都市や地域に住んでいる人たちです。球団が、都市名や地域名、さらに、都市や地域に由来するニックネームを名乗れば、球団名が「球団が地元を代表するチームである」というメッセージを発することにより、球団にとってマーケットである都市や地域における戦略上の優位性を持つことができます。

参考文献 「ブランド 価値の創造」 石井淳蔵著 岩波新書 1999
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313(2004/03/10) プロ野球経営評論家(二)

マーティ・キーナート氏は、今回の球団名売却騒動に対し、就任したばかりの根来コミッショナーの人事とからめてMSNのニュース・コラムで書いています。キーナート氏は、ロッテ・オリオンズのオーナーとなった中村長芳氏が、買収した米国の1A球団ローダイの現地スタッフとして経営に関わったのが最初で、この中村氏のもと、1971年から74年にかけて働いていました。

その間、中村氏は、ライオンズの個人オーナーとなり、球団名をゴルフ・レジャー会社太平洋クラブに売却し、ネーミングライツ・ビジネスを実践しています。結局、ライオンズは、中村氏から西武の堤氏に売却されてしまうわけですが、このまさに命名権を売却した男から球団を買った堤氏が、近鉄の球団名売却案に対し、「理解に苦しむ」とコメントしたことに、「私には理解できない」(キーナート氏)と批判しています。
http://news.msn.co.jp/486496.armx

井箟氏がコミッショナーに対し「積極的に先頭に立ち」と期待しているの対し、キーナート氏は「根来が任期中に、これらの重要かつ有意義な改革を1つも達成できないことは確かだ」、球界のオーナーナベツネ氏に対し、「根来が渡辺を説得する素振りを見せることさえないだろう」と書いています。

「日本のプロ球団のうち少なくとも9チームは(10チームとは言わないまでも)、財政的にかなり厳しい状況に追い込まれている。だからこそ、危機に瀕している近鉄に手を差し伸べることを、みんなで考えるべきではないか。」(キーナート氏)

野球解説者やスポーツジャーナリスト、スポーツビジネスコンサルタントなど多彩な肩書きを持つキーナート氏ですが、決してプロ野球経営評論家という肩書きは名乗らないでしょう。

ところで、この球団名売却問題だけではなく、その他の問題でも、彼らは論評しています。FA問題について、坂井氏は、宮田征典氏の「スポーツスタジアム」で「資金の豊富な球団がFAで選手を獲りに行くのは立派な企業努力であって、むしろFAを積極的に活用しない球団の方が問題である。そういう球団は淘汰されればいい。それがビジネスだ」という意見を述べ、『暴論ではないか』という感想が多く寄せられたそうです。

これに対し、オリックス・広島という「選手を奪われてきた球団」 にいた井箟氏と元広島スカウト・木庭教氏が登場し、「一部球団に有力選手が集中する現状はあまりに問題、プロ野球は運命共同体という意識を持つべきだ」 という共通意見だったそうです。そこで宮田氏は「プロ野球を単純にビジネスとして見た場合、坂井氏の意見は確かに正しいのかもしれないが、資金力に余裕のある球団が一部しかない現状では、井箟氏・木庭氏の言う 『戦力不均衡を正す新しい制度を作るべき』 という意見もやむを得ないだろう」と結んでいます。http://www.ctv.co.jp/sposta/miyata/2003/1210.html

ところが、キーナート氏に言わせれば「これらの改革を、絶大な影響力をふるう渡辺(読売巨人軍オーナー)に根来(コミッショナー)が提言するとは、誰も期待していない」ということになります。

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312(2004/03/10) プロ野球経営評論家(一)

近鉄の球団名売却問題で今更ながら分かったことですが、日本のプロ野球経験者で、プロ野球経営について論評できるのは次の三人だけのようです。一人は、福岡野球株式会社・西武ライオンズ・福岡ダイエーホークスで球団代表をつとめプロ野球経営評論家という肩書きを持つ坂井保之氏。二人目は、オリックス・ブルーウェーブ球団社長を13年間つとめた井箟重慶(いのう よししげ)氏で、現在関西国際大学でスポーツ産業論の教授をしています。そして、三人目が、米国1Aローダイ、福岡野球株式会社で日本の球団経営に関わったアメリカ人マーティー・キーナート氏。

坂井保之氏は、まさにネーミングライツを実践したロッテ・オリオンズ、福岡野球株式会社の経営に携わっていた当人です。坂井氏は、ロッテ・オリオンズのオーナーからライオンズの個人オーナー(福岡野球(株))となり球団名売却を行った中村長芳氏の秘書だった人です。中村氏との縁は、ライオンズが西武の堤氏に売却された時点で切れます。中村氏はこの時点で球界から隠居しますが、坂井氏はそのまま、西武ライオンズの球団代表を続けました。

坂井氏は、今回の近鉄の球団名売却騒動について朝日新聞に寄稿しています。そこで、今回の近鉄の構想は実質的な身売りであり、30億円以上のお金をだす企業が球団運営に口を出さないはずがないとしています。さらに、順位に命名権の年間使用料金にプラスマイナス10億円の幅を持たせたことは、勝負や順位を対象とした球団挙げてのギャンブルだと批判しています。そして、「一軍の球団名売却の例がない」というマスコミ報道に対して実体験をもとに批判を加えるとともに、今回の球団名売却騒動の遠因であり、球団売却の障害となっているプロ野球協約36条の6を批判し、「加盟料廃し球団の解散を防げ」と強く主張しています。

石油業界からオリックスの一般公募に応じ、プロ野球経営者に転じたのが井箟重慶氏です。今回の近鉄の球団名売却騒動に対し、「プロ野球の構造的欠陥について考える時期にきている。放映権の考え方の見直しなどコミッショナーが積極的に先頭に立ち球界全体が前向きになれるよう話し合って欲しい」と話しています。

ところで、オリックスほど球団名の宣伝効果を狙った球団はありませんでした。1988年阪急ブレーブスを買収したときの親会社の会社名はオリエント・リースでした。それが、89年のシーズン、球団名はオリックス・ブレーブスなっていました。その年、オリエント・リースは、オリックスに社名変更しており、球団を買収し新社名の「オリックス」を球団が名乗ったことは、新社名のの知名度アップに大いに貢献しました。親会社の社名変更にともなって球団を買収したのはオリックスが唯一です。
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311(2004/03/07) プロ野球誕生70周年

今年2004年は、プロ野球誕生70周年らしい。NHKのBSでも特集を組んでいるし、デパートでも70周年展を巡回で開催している。1934年に誕生した大日本東京野球倶楽部から数えて今年で70年目だからということだ。大日本東京野球倶楽部は、読売巨人軍の前身で、読売新聞社が招聘した第二回大リーグ選抜との対戦相手として結成された全日本チームが母体になって生まれた。
http://www.nhk.or.jp/baseball/

読売新聞は、1931年に招聘した大リーグ選抜チームの興業で、購読部数を大幅に伸ばし興業的に成功を収めた。ところがその後、文部省によって野球統制令が布かれ、学生チームがプロ・チームと対戦することができなくなった。このため、34年に再び大リーグ選抜の招聘を企図した読売新聞社は、独自に全日本チームをつくり、ベーブ・ルースの大リーグ選抜と対戦させた。この全日本チームを母体に34年12月に結成されたのが大日本東京野球倶楽部であった。

翌年、大日本東京野球倶楽部は、米国遠征を行うが、「大日本東京野球倶楽部」では、米国では通じないということで「TOKYO GIANTS」日本名「東京巨人」と命名された。ちなみに、巨人軍の軍は軍隊の軍ではなくチームという意味である。

そして、この大日本東京野球倶楽部がプロ野球チームの第1号ということで、今年がプロ野球誕生70周年ということになるということであった。ところが、それ以前に、プロ野球チームは存在していた。それが1920年に設立された日本運動協会であった。

日本運動協会は、21年に選手募集しチームが出来上がったが、試合は22年の朝鮮満州遠征のときが初となる。この日本運動協会は、東京の芝浦に球場があったため芝浦協会とも言われた。21年には、奇術師の松旭斎天勝により日本で2番目のプロ球団、天勝野球団が設立され、23年この天勝野球団と日本運動協会との間で、日本初のプロ野球チーム同士による試合が行われた。ところが、その後おきた関東大震災により、日本運動協会は、芝浦球場が使えなくなり、解散する。天勝野球団も、関東大震災の影響により自然消滅となる。

日本運動協会は、24年、関西の小林一三に引き継がれ日本で三番目のプロ球団宝塚野球協会として29年まで存続する。1928年には、大阪毎日新聞社のセミプロ球団「大毎野球団」、実業団チーム「ダイヤモンド倶楽部」「スター倶楽部」とともに関西四チーム野球連盟が発足しリーグ戦を29年の春まで行う。これが、日本最初のプロ・チームが参加したリーグとなる。ところが、29年の春のリーグ終了後、「大毎野球団」が突如解散し、プロ・リーグ誕生は頓挫する。そして、宝塚協会もその年解散した。

このように、この日本運動協会が日本のプロ野球チーム第1号であり、プロ野球誕生70周年どころか、80周年もとっくに過ぎてしまったことになる。つまり、大日本東京野球倶楽部の誕生は、日本のプロ野球の復活に過ぎない。プロ野球復活70周年なら正しいのだが、プロ野球誕生70周年は単なる「読売史観」に過ぎない。大日本東京野球倶楽部結成から2年後の1936年、日本職業野球連盟が誕生し、これが現在の日本プロ野球(NPB)に繋がっていく。

プロ野球は、プロ同士が定期的に対戦するリーグ戦を組織だって行うプロ・リーグが結成されなければ、存続はできない。日本運動協会・宝塚野球協会がプロ野球として頓挫した最大の理由が、このプロ・リーグの結成の失敗であった。

1920年代、30年代という時代、日本は一時的な大衆消費社会の時代を迎えた。この時代、甲子園大会、都市対抗野球、東京六大学が生まれ、野球はスペクテイター・スポーツの時代を迎えていた。この時代、プロ野球をつくろうという動きは、日本運動協会や大日本東京野球倶楽部だけではなく、日本中にあった。生まれては消え、消えては生まれていった。その中で、連綿と続いているのが、大日本東京野球倶楽部からの系譜に過ぎない。そして、この大日本東京野球倶楽部にしても、1球団では今日まで生き残ることはできなかった。

プロ野球の誕生といっても、プロ・チームの誕生なのか、プロ・リーグの誕生なのかといったように、いろいろな意味がある。プロ野球=プロ・リーグということであれば、2006年こそ盛大にプロ野球誕生70周年を祝うべきであろう。プロ野球=プロ・チームのことであれば、70周年はとうの昔に過ぎている。ただ、プロ野球=読売巨人軍という読売史観であれば、2004年が70周年ということで正しいことになってしまうのだが。

参考サイト
http://www.yakyuweb.com/mt/archives/000574.html
日本プロ野球史探訪倶楽部http://www.d7.dion.ne.jp/~xmot/?


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310(2004/03/01) ユニホームの標識

故鈴木武樹氏がプロ野球ラクガキ帖を「週刊ベースボール」に書いていた1968年から69年といえば、今から36年も前のことになりますが、話の内容は今も色あせていないと思います。逆に言えば、それがプロ野球が旧態依然していることを示している訳ですが。

../../www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/4031/wind4.htm#309
プロ野球協約は、当時と現在とでは、だいぶ違うようで、ユニホームの表識の項は322条とでていますが、現在(2003年度版)のそれは167条ですから、だいぶ整理されたようです。

「167条(ユニホームの標識)試合に着用するユニホームには、統一された背番号を用い、胸章および腕章は、所属連盟会長により承認されたもの以外の文字または標識を用いてはならない。」

167条の内容は「表識」が「標識」になったくらいで、当時の322条から変更はありません。変わったのは323条の「制式の表識」が削除されている点です。323条の「制式の表識」では、ホーム用ユニホームには球団のニックネーム、ビジター用には都市名(地域名)をつけることを規定してたものです。

これは、大リーグでは常識ですが、親会社の広告宣伝機関になっている日本のプロ野球にとってはおかしな規定でした。そこを鈴木氏は指摘したわけです。この規定を2002年6月まできっちり守っていたのが東京読売巨人軍でした。2002年7月、球団の法人が「(株)よみうり」から「(株)読売巨人軍」に変わるのに合わせビジター用のユニホームの胸マークを「YOMIURI」に変更されるまで「TOKYO」という都市名が書かれていました。

323条の規定は結構前に削除されていたと思いますが、少なくとも2000年度版には載っていません。協約に規定されていなくても、長い間、ジャイアンツは、「プロ野球の美風」を守ってきたのです。

一方、故鈴木氏が指摘していたのがロッテのユニホームで、ホーム用にも企業名の「LOTTE」をマークとして用いた点です。広島や巨人を除く球団は、ビジター用の胸マークに地域名や都市名ではなく親会社名を用いても、ホーム用には球団のニックネームを用いていました。ところがロッテ・オリオンズは、ホーム用のユニホームの胸マークにも「LOTTE」が用いられ、故鈴木氏「プロ野球の美風よりも一商事会社の利益を優先させた、近頃にない暴挙蛮行」と断罪しています。

また、「ロッテ商事の重光武雄社長はこの問題については再考することをわたしに約束してくれたがその後も今日にいたるまで、ついに訂正ほ行なわれていない」ということでしたが、現在、そのロッテ・オリオンズは千葉ロッテ・マリーンズとなり、ホーム用のユニホームの胸マークには「LOTTE」の文字はなく、代わりにニックネーム「Marines」又はニックネームの頭文字「M」が用いられています。さらに、ビジター用の胸マークにもニックネームが用いられています。

「ニックネームに愛着を持たせようとする姿勢が現れている」(2002年6月4日ヒルマ記者)
http://www.hochi.co.jp/html/column/baseball/2002/0604.htm

故鈴木氏の意志が少し届いたようです。

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309(2004/02/26) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(4)

305、307、308に引き続き故鈴木武樹氏が週刊ベースボールに掲載したプロ野球ラクガキ帳をまとめた同名の本からの抜粋です。これは、鈴木氏が「週刊ベースボール」の1968年8月19日号からあくる1969年の8月4日号まで『プロ野球ラクガキ帖』のタイトルで連載していたものをまとめたものです。

********************************
公式戦はどのようにおこなわれるか

公式試合のユニホームについてであるが、第322条(ユニホームの表識)にはこうある。

試合に着用するユニホームには、統一された背番号を用い、胸および腕の表識としては、所属する連盟の会長によって承認されたもののほかは、用いてはならない。

そのうえ、第323条(制式の表識)によれば、こうである。

ホームゲームに用いるユニホームの胸には、そのクラブのチームのニックネーム、または、そのチームを表象する図形を取りつけ、ロードゲームに用いるユニホームには、そのチームの属するクラブの経営本拠地としてこの協約で承認されている都市の名称を取りつけることを制式とする。(「制式」とは「決まり、規程」という意味だが、これも古めかしい表現である 鈴木・注)

したがって、この二つの項目の主旨からすれば、ジァイアンツ、アトムズ、オリオンズ、フライヤーズは<東京>の文字を、ホエールズは<川崎>または<横浜>(あるいは<神奈川>)を、ドラゴンズは<名古屋>を、タイガース、ブレーブス、ホークス、バファローズは<大阪>あるいは<西宮>、<兵庫>などの文字を、ビジターとして着用するユニホームのどこかに付けなけれほいけないことになるわけだ。

読者も、ひとつ今シーズンは、それがどこに付いているかをとっくり観察してほしい。それからもう一つ、オリオンズは今シーズンからある商事会社と提携して、ホームチームのユニホームの胸にも、ビジターの場合と同じく<L0TTE>のマークを入れた。<Orions>の表識がどこかしらに付いていて、しかも連盟の会長から許可を得てさえいれは、これはかまわないわけだが、しかし、わたしは、この行為はホームゲームのユニホームの胸にはニックネームを付けるという、プロ野球の美風よりも一商事会社の利益を優先させた、近頃にない暴挙蛮行だと思う。

ロッテ商事の重光武雄社長はこの問題については再考することをわたしに約束してくれたがその後も今日にいたるまで、ついに訂正ほ行なわれていない。

もし、この商事会社がほんとうに一流の商社で、たんに自分の社の宣伝ばかりでなく、民衆にたいする奉仕にも心を使っているのであるとしたら、一日も早く、東京球場に<Orions>の胸マークを甦らせて、ファンにたいする優しい配慮のあることを示すべきである。

ついでに、アトムズの松園尚己オーナーにも苦言を呈しておけば、この球団は、全国のヤクルト飲用者の声を聞いて球団名を決定すると言明しているが、これも、自分の会社の利益のみを考えてファンを無視する態度であり、つねづねファン優先を唱える松園氏としては、自己矛盾もはなはだしい。

なぜ、松園氏はアトム・ファンだけの、とは言わぬまでもアトム・ファンおよび、アトムズが本拠地とする東京のプロ野球、それにヤクルト愛飲家の声を聞いて、と言わぬのか? 氏がまだ、プロ野球のなんたるかをじゅうぶんに心得ていない、なによりの証拠である。
 考えてもみるがよい。もしジアイアソツが<巨人>の名称を用いず、<読売>の名称だけ表に出して、毎日の新聞に、「広島2−1読売」 「読売七連敗」 「読売の魅力はONだけ」などとしか載らぬとしたら、はたして、いまのようなこの球団の人気が生じたものかどうか?

ジァイアンツは、「伝統があるから」でも、「強いから」でもなく、「巨人の名ゆえに」人気を確保しているのだ。うそだと思うのなら、あしたからでも「サンケイ・スポーツ」「産経新聞」「夕刊フジ」等々のスポーツ欄その他から、<巨人>の名をいっさい閉めだして、<読売>だけで押しとおしてみたらよい。巨人病患者に総スカンをくうこと必定である。

だから、わたしは、これは昨年の暮、松園氏に直接、言ったことだが、「サンケイ」は、「日本」だの「宇宙」だのと、ばかげたことはいわずに、本拠地の東京を尊重して、「トーキョー」または「東京」と変更したうえで、ニックネームを改めることを進言したい。
 そして、そのニックネームこそ、ヤクルトの愛用家だなどと狭量なことは言わずに、全国のファンから募集すべきである−賞品は、松園氏の会社の乳酸飲料、一生分だ(一本、十円なら、大した額にほなるまい)。

たとえば、わたしなら、「東京ホルスタインズ」あるいは、「トーキョー・カウボーイズ」として、「乳牛」、「牛飼い」のイメージを強くおもてに出すところだが。

第一、そうすれば、NHKでもヤクルト・アトムズならヤクルトは使われないが、それに反して、ホルスタインズあるいはカウボーイズは常にアナウソサーの口から出るではないか。

いっぽう、オリオンズも、こんな″日本英語″とはおもいきり手を切り、提携先のチョコレートやチューインガムの常用者からでも、ニックネームを公募したらどうだろう。<お口の恋人>なのだそうだから、さしづめ、<東京スイートハーツ> (恋人たち)などがわたしの頭に浮かぶ。女性ファンが大勢、集まりますよ。

半面、こんごプロ野球の球団がつぎつぎに業務提携して、「ロッテ、ヤクルト、コカコーラ、ペプシ、ヤンズ、リグレー・・・」と、十二球団のことごとくカタカナでチーム名を名乗るようになったとしたら、この民衆娯楽は女子プロ野球以下に落ちぶれるではないか。宮沢さん、鈴木竜二さん、岡野さん、しっかりしてくださいよ!

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308(2004/02/25) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(3)

305、307に引き続き故鈴木武樹氏が週刊ベースボールに掲載したプロ野球ラクガキ帳をまとめた同名の本からの抜粋です。これは、鈴木氏が「週刊ベースボール」の1968年8月19日号からあくる1969年の8月4日号まで『プロ野球ラクガキ帖』のタイトルで連載していたものをまとめたものです。

1969年 東京オリオンズがロッテ製菓と提携し、ロッテオリオンズを名乗ります。いまでいうネーミングライツ・ビジネスです。また、同年サンケイ・アトムズは、ヤクルトと業務提携し、サンケイは実質的に手を引き、ヤクルトが実権を握ります。

鈴木氏は、紙面の中では「ヤクルト・アトムズ」といっていますが、1969年のシーズンはただの「アトムズ」という表記がただしく、「ヤクルト・アトムズ」を正式に名乗るのは1970年のシーズンからです。

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プロ野球を守れ

(中略)
つまり、昨年の暮からことしにかけて、ヤクルトとロッテがあいついでプロ野球に進出したのを報じるマスコミの態度を見ていると、はたして彼らはプロ野球を愛しているのか、あるいは、プロ野球について理想をいだいているのかどうか、はなはだ疑わしいのである。

というのは、くだくだしいことは抜きにして、単刀直入に書けば、<ロッテ・オリオンズ>と<ヤクルト・アトムズ>の誕生は、プロ野球を国民共通の財産の座から私企業の宣伝媒体の位置にまで引きずりおろしたという意味で、歴史的な事件であるが、スポーツ・ジャーナリズムはこの堕落と屈辱については一言の批評も加えず、プロ野球ととも自分自身も、甘んじて他の企業の下請け機関に成りさがったように思われるからである。

いうまでもなく、プロ野球の経営の原則は、@都市の名を名乗って地元と堅く結びつくこと、A球場を自力で経営すること、Bファーム組織の確立、の三つである。

その原則がいまこうして一つ一つ、無残にも打ち破られていくのを見ると、わたしは心が痛む。だが、それ以上に悲しいのは、プロ野球の経営者、野球機構の関係者、ジャーナリズムが、ロでは<企業としてのプロ野球>を唱えながら、現実にはまったくなんの努力もせずに、ついには完全に他の企業の支配下に組みこまれようとしていることである。

たしかに、これまでも、西鉄、中日、東映など、十二球団の大半は親会社の名を名乗ってきた。しかし、それらは、大洋を除いて、鉄道、新聞、映画など、大衆と結びついた企業の名前であって、大洋を加えて、いずれも商品名ではなかった。

だが、ヤクルトやロッテの側にしてみれば、この論理は詭弁いがいのなにものでもないように思われるだろうから、わたしはこれ以上、言葉を費やさないがやがて、<ヤクルト、ロッテ、ペプシ、森永、コカコーラ・・・・・)というように、十二球団の大半が商品名を名乗れば、日本のプロ野球はもはやセミプロ、あるいは女子プロの域にまで下落したことになる。

アメリカでも、リグレー・チューインガムが球団を持っているが、球場はリグレー・スタジアムでも、球団の名はシカゴ・カブスであり、ドジャースにしても<76>という石油会社とタイアップしているが、その名前は野球場以外には見かけられず、チームはロサンジェルス・ドジャースである。

このように、公共性を重んじ伝統をたっとぶアメリカ人を見ていると、日本人というのは、とくに私利だけを追求する日本の実業家は、三流・四流でしかないと断ぜざるをえない。

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307(2004/02/23) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から(2)

305に引き続き故鈴木武樹氏が週刊ベースボールに掲載したプロ野球ラクガキ帳をまとめた同名の本からの抜粋です。これは、鈴木氏が「週刊ベースボール」の1968年8月19日号からあくる1969年の8月4日号まで『プロ野球ラクガキ帖』のタイトルで連載していたものをまとめたものです。東京オリオンズのワンマン・オーナーだった永田雅一の映画会社大映が、映画の斜陽化とともに経営が傾きはじめ、球団の提携先を模索したいた時期の話です。ロッテ製菓との提携話の前にペプシ・コーラとの提携話があったようです。ペプシの場合は、単なるネーミングライツの売却ではなく、50%の株式を取得するという話でした。

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拝啓・ペプシ社長様

とつぜんお手紙を差しあげる失礼をお許しください。

去る十月九日付の『サンケイスポーツ』に、次のような、あなたの談話が掲載されておりました。

「永田さん(注・東京オリオンズのオーナー)と9月12日に会った。そのとき、オリオンズをいっしょにやらないかと誘われた。条件を聞き、こちらも出した。いまは永田さんからの返事を待っている。わたしのはうは単なるスポンサーでなく、経営に参加し、50パーセントの株を持ちたい、オーナーといっても、100パーセント、球団を買いとるのではない日本のプロ野球はジャイアンツ以外、赤字なので、オリオンズを買いとることは危険だからだ。もしうちがオリオソズをやるとしたら、<ペプシ・オリオンズ>という名称にしたい。宣伝価値としてプロ野球はかなりのものを持っており、条件が折りあえば、ぜひ参加したいものだ」

あなたが日本のプロ野球についてどれだけの知識を持ちあわせておられるか、わたしにはまったく判りませんが、すくなくともこの談話から判断するかぎりでは、はっきりいってあなたの情勢判断には二、三の誤りがあります。

そのうちいちばん大きなものは、<ペプシ・オリオンズ>と改称すれば万事が足りるとする考え方です。

いうまでもなく、日本プロ野球団は現在、東京オリオンズをのぞいて、ほかはすべて親会社の名前を頭にかぶせています。だから、あなたの会社も<ペプシ>をオリオンズの上に載せれば、PR効果は満点だとお考えなのでしょうが、はたしてそうでしょうか?

(中略)

しかし、日本のプロ野球のファン大多数は、<ペプシ>がプロ野球の経営に乗りだすことにたいしては相当の反感をいだくであろうことは、想像するにかたくありません。しかも、その名称を<ペプシ・オリオンズ>とするにおいてをやです。

これまで、ニックネームはべつとして、カタカナを球団を名称としたクラブには戦前の<ライオン>と、戦後の<グレート・リング>、<パシフィック>、<トンボ>そして現存<サンケイ>などがあります。

この中で、ライオン、グレート・リング、パシフィックはそれぞれ英語として通用する意味を持っているので、われわれ日本人の耳にはいくらかしゃれて聞えます。サンケイは<産業経済>の略語ですが、それを知らない日本人にはこの単語の意味はまったく理解できないので、『朝日新聞』をのぞく、ほかの新聞はすべて、<産経>の漢字を当てて、このカタカナの言葉に意味を与ています。つまり、日本人の性質の中には、しゃれた語感を持たないカタカナ名前にたいしては強い拒否反応を示す部分があるのです。

とくにプロ野球の場合、名称はそのクラブの人気を左右します。だから、一都市・一球団の場合は別としてたとえばオリオンズと本拠地を同じくする東京で、弱くても人気を集めたチームといえは、戦前・戦後を通じて、セネタース、イーグルスなど、その名前が耳に快く響くものだけです。

その点、哀れを極めたのは、<高橋ユニオンズ>から<トンボ・ユニオンズ>に改名した、薄命のクラブです。この球団は<高橋>という個人名、あるいは<トンボ>という、だれの目にもすぐそれと判る商品名を頭にかぶせたため、いかにも私的な企業の私有物であるとの印象をファンに与えて、彼らの支持を得られず、わずか四年で姿を消しました。もちろんこの球団の失敗の理由は、<ユニオンズ>という、ほとんど意味をなさないニックネーム、本拠地都市と密接に結びつかなかったことなど、ほかにもありますが。

そういえば、いま現に存在する十二球団の名称は、<読売><中日><サンケイ>など、公共的な性質を新聞社の名前か、<東映>という大衆娯楽をむねとする映画会社のそれか、あるいは<東京><広島>などの都市名か、それとも<南海><阪急><阪神><西鉄><近鉄>など、地元と強い繋がりを持つ電鉄会社の名称かそのいずれかで、<ペプシ>にもっとも近い名前は<大洋>だけです。しかしこれとても、<大きな海>という、商品名からは離れた、れっきとした意味を持つ単語です。

したがって、商品名がそのまま球団名称になる<ペプシ>のような例としては、ただ前記の<トンボ>があるだけです。しかも日本語としてりっはな意味を持つ単語でありながら、カナ書きされた<トンボ>は、あのかわいらしい昆虫よりはむしろ<トンボ鉛筆>を連想させて失敗したのですから、ましてや意味不明の<ペプシ>という商品名を名乗るのでは、この球団の前途には暗澹たるものがあります。

その反対に、球団の名前が人気を煽りたてたもっとも良い例は、あなたが「日本でただ一つ黒字の球団」とおっしゃる<読売ジャイアンツ>です。一般には、ジャイアンツの人気の秘密は、その伝統にあるとか、つねに強いことにあるとか、いろいろ取りざたされていますが、わたしは、それよりもむしろ、このチームがいつでも<巨人>と呼ばれて、けっして<読売>と言われないことにあると考えています。というのはもし<巨人>が<読売>であれば、<サンケイ>の場合と同じく、この新聞の読者しか、ジャイアンツに興味を示さないでしょうし、また<東京>であれは地方のファンをあれほど数多く集めることはできなかったと思われます。その証拠に、「きみはどこのファン?」と訊かれて<読売>あるいは<東京〔読売〕>と答える日本人はひとりとていないでしょう。

言い換えれは、日本のプロ野球ファンの大部分は、<統売> <サンケイ>などの新聞社の名称や、<阪神><近鉄>のような交通機関の名称より、<巨人>という無色透明な名前に引かれるのです。おそらく、ただ一つの例外は、<広島>と<中〔部〕日〔本〕>という、地方色ゆたかな名前だけでしょう。

たとえば、1968年の公式試合の、読売以外のチームの、読売を相手としないホームゲームの入場著数の一統合平均は次のおりです。

@広島・9,600、@中日・9,400、B南海・9,200、C東映・8,400、D阪急・サンケイ・7,100、F近鉄・6,900、G阪神・6,600、H大洋・5,900、I東京・5,400、J西鉄・4、900。(ちなみ読売は32,300です。)

 いかがですか、この数字は、日本でも、本拠地都市の市民の共感を得さえすれば、プロ野球団の経営はかならずしも危険ではないということを暗示してはいないでしょうか。

というわけで、わたしがこの紙面を借りてあなたに申しあげたいのは、<東京オリオンズ>を<ペプシ・オリオンズ>としてこのクラブの、それでなくても少ないファンをさらに減らすという愚を冒すよりも、<東京>の名前はそのまま残して、たとえば、<東京ペプシポトラーズ><東京Pボトラーズ>あるいは<東京ヤンキーズ>とかいった名前を採用したほうが賢明だということです。

もちろん、あなたは、「東京球場に客は集まらなくとも、毎日の新聞は<ペプシ>の名前が乗るだけでよい」と反論なさるでしょう。しかし<ペプシ・オリオンズ>に人気が出なければ、<ペプシ・コーラ>のイメージはかえって損われるということも念頭に置いていただかなくてはなりません。

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カタカナ球団「ダイエー」は300万人の観客を集める人気球団になっています。逆に、オリックスの人気は低迷しています。

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306(2004/02/22) やったろう!関西「NOMOベースボールクラブ」篇 

NOMOベースボールクラブは、ロサンゼルス・ドジャースの大リーガー野茂英雄が、社会人野球の現状(ピーク時の237チーム(1963年)から84チーム(2003年)へと激減)を憂い、今は休部となった古巣の新日鐵堺のグラウンドをホームとして、大阪府堺市につくったクラブチーム。監督は、新日鐵堺時代の野茂の先輩にあたる清水信英氏。公式ホームページはここ。
http://www.nomo-baseball.jp/index.html

昨年から選手を募集し、現在元日本ハムの沼田浩投手ら26選手が所属。今年の1月14日大阪府から特定非営利活動(NPO)法人として認められた。日本野球連盟に加盟し、都市対抗野球への出場を目指す。

野茂英雄は「僕らは野球で育ってきた人間。未来の野球選手、メジャーリーガーを数多く育てて野球界を発展させたい」「将来的には地域密着型で、野球に限らずあらゆるスポーツを行うクラブを全国に広げていきたい」と夢を語る。

野茂の意志に共鳴した電通大阪支社が企画作成したのが「やったろう!関西」のもう1本、「NOMOベースボールクラブ」篇です。
http://www.ad-c.or.jp/campaign/area/2003_5.html

「阪神タイガースの快進撃にわく大阪ですが、社会人野球の世界では、長引く不況のために名門チームが次々廃部に追い込まれています。そんな現状を知って立ち上がったのが、日本人大リーガーの野茂英雄投手。活躍の場を失った選手たちのために、自ら資金を出して、大阪の堺市に「NOMOベースボールクラブ」を設立したのです。この作品では、「やったろう!関西」をスローガンに、苦境の中でも情熱を燃やし続ける選手たちの姿を紹介し、みんなも元気を出そうと呼びかけます。」

これに刺激されたのか、野茂の弟分のエクスポズの大家友和投手が、滋賀県草津市に中学生を対象にした少年野球チーム「草津リトルシニア」を設立しました。昨年社会人入試で合格した立命大経営学部に通う大家は、今月1日結成されたチームのゼネラルマネジャー(GM)に就任。大家は「間違った指導をされている子どもたちが多く、チームを持って長い時間をかけて、正しい野球を教えたい」と設立の趣旨を説明。民間非営利団体(NPO)法人化を申請中で、今後は立命大、草津市と連携して地域スポーツの発展を目指す。これについて、今朝(21日)の朝日新聞にも大家自身が投稿しています。
lhttp://www.nikkansports.com/ns/baseball/mlb/f-bb-tp2-040125-0025.html

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305(2004/02/20) 故鈴木武樹氏のプロ野球ラクガキ帖から (1)

これは,故鈴木武樹氏が週間ベースボールに掲載したプロ野球ラクガキ帳をまとめた同名の本からの引用です。この本が出たのが1977年です。プロ野球がいかに旧態依然なのか分かると思います。http://www.hochi.co.jp/html/column/baseball/2002/0604.htm
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プロ野球はなぜ「企業」ではなくてはならないのか?

『週間ベースボール』3月31日号の「バックスクリーン」で京都市のxxx子さんはわたしにこう書いている。

「球団の名称について,ずいぶんもめているようですが,私にとっては<ふーん,なるほど>という程度です。この<ふーんなるほど>は,<野球キチ>以前の<野球ファン>のナマの声ではないでしょうか。名称なんて,選手がどうこうするわけでもなし,別にもめる必要ないと思うのですが」

このところ<野球キチ>たると<野球ファン>たるとを問わず,はては新聞記者,野球評論家,解説者を問わずこの種の意見を公にする人たちがごく僅かいるので,この考えが間違っていることを,ここに明らかにすると同時に,じつは球団の名称をうんぬんするのは,企業としてのプロ野球を真剣に考えている良識ある球団経営者や評論家,見識を持つスポーツ記者たちであることも,はっきりさせておきたい。

なぜなら,その企業意識こそ”プロ”野球に技術の進歩と,試合内容の内容の向上をもたらすものにほかならないからだ。ではその理由は何か?

まず第一は,野球というゲームは,そもそも発端からしてすでに”プロ”のためのスポーツである。

アメリカでは,二十歳を過ぎて,なお野球を実地にするのはプロフェッショナルだけだ・・・,といって過言ではなく,ベースボールは”見せるスポーツ”としてその技術を発展させてきたのだ。

早い話が,プロ野球にのみ特徴的な記録へのあの強烈な関心さえ,もともと「選手の給与の算定基準を明らかにするため必要に迫られて生まれたものだ」という説があるほどだ。

あるいは,アメリカの球団や各リーグやコミッショナー事務局がその年度の経理を公開するばかりか,公式試合の入場者数を,試合ごとに一桁の数字まで発表するのも,経理の不正を防ぐためばかりでなく,ファンそのものが球団その他の経営状況に関心を寄せているからでもある。

第二に,プロ野球の全体は一つの独占的な企業集合体であるから,傘下の全球団が共同体意識に目覚めて,互いに強い連帯感で結ばれない限り,このスポーツ企業の発展は望み得ないのである。

トレード,ドラフト会議,日本ではまだ実現されていないが,支配下選手の選抜制度,等々は,いずれも,プロ野球機構は運命共同体としてみる発想から生まれたものだ。

たとえば,ジャイアンツあるはタイガースが,この共同体意識を自覚して,桑田,辻佳,辻恭,その他をほかのチームにトレードしたら,それとも,野球機構が彼らを強制的にトレードさせたら,この国のプロ野球レベルは,どれほど上がることか?

第三に,選手は,それぞれ俳優や音楽家と同じく,技術を売って生活する職業人である。だとしたら,技術に欠けるところのある者に即座に減棒その他の処分を加えられるような球団組織の確立が,技術の向上をもたらす大もとである。

また,現在の日本のように,球団が赤字でも選手は高給をとれるとあれば,彼らのだれが,球場に来るファンのことを考えようか?客の入りが悪ければ,経営者と選手のそれぞれが半分ずつ責任を負うのではなく”ファンのためのプロ野球”が実現されるはずがないのだ。


広告収入,放送収入その他を含めて,球団が独自に稼ぐカネだけで,運営されることがプロ野球にとって必須だという理由はここにある。

では,球団が独立採算制に踏み切るための第一歩は何かといえば,それはいま広島東洋カープがそこに向かいつつあるように,球団が親会社から離れて,ニックネームの上に都市名をかぶせることだ。

チームが都市名を名乗れば,新聞には<東京(ジャイアンツ)>,<大阪(ホークス)>といった形でしか名前が載らなくなるから,球団は,親会社のPRの足しには全くならない。従って球団は,親会社の援助も受けられないので,独立した企業として生きのびる方策を真剣に考えるだろう。選手の獲得や給料に,法外なカネをかけることはしなくなるだろう。

それでも,成り立たない会社がでたら,チームを身売りするだけだ。


だから、もし永田雅一氏のプロ野球にたいする愛情が純粋なもので、悪女にたいする妄想に似たたぐいのものでないものでしたら、彼のとるべき道は、チューイングガム会社との提携ではなくて、<東京オリオンズ >のまま引き取ってくれる会社を捜すことだったのだ。(そんな会社のあるなしは、このさい問題ではない)

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304(2004/02/19) やったろう!関西 「東大阪市篇」

がんばろう!神戸」をもじった「やったろう!関西」というキャッチコピーのCMが関西限定かもしれませんが、昨年、流れていたようです。AC公共広告機構がスポンサーとなり、地盤沈下気味で元気のない大阪・関西を元気づけようとして、日頃関西でライバル関係にある電通関西支社と大広大阪本社が協力して企画制作したのがこのキャンペーンです。

CMは、3本ありますが、うち1本は、大阪生まれの西本智実さんが、ロシア・ボリショイ交響楽団’ミレニウム’の首席指揮者に就任したという個人的なものでしたので、これを除く2本のほうが「やったろう!関西」の本領を発揮していたと思います。

1本は大広大阪本社が企画制作した「東大阪篇」です。
http://www.ad-c.or.jp/campaign/area/2002_7.html

東大阪市は、東京都大田区と並び「ものづくり」大国ニッポンを支えてきた中小企業の町であり、世界最先端の技術力をもった中小企業が集積した世界でも類例のないと産業集積地域です。産業集積地域とは、「工場が沢山あって高度な分業を営み、個々の企業が専門化して高い技術を地域全体として保有している」「非常に多くの企業が立地し、集中していることによるメリットがある」として近年注目されている概念です。

90年代以降のアジア諸国の経済成長、なかでも中国の急速な発展は、製造業の海外移転による国内製造業の空洞化を加速化し、東大阪市・大田区といった産業集積地域も受注減、工場閉鎖、事業所数の減少といった逆スパイラルに悩まされています。その中にあって東大阪市の中小企業主たちは、その高度な技術力を生かし、独自の人工衛星「まいど1号」を打ち上げようというのが、このCMの話です。
http://www.sohla.com/top.html

しかも、単に人工衛星を打ち上げるというわけでなく、宇宙産業を地場産業にというもので、量産化できる超小型衛星を開発し、2008年をめどに商業利用できる衛星の打ち上げを目指し、ビジネスとしての市場開拓を狙うそうです。
http://www.c-crews.co.jp/gnext_express/news/back/0310/0301015_13.html

そして、「やったろう!関西」のもう1本が、電通大阪支社が企画制作した「NOMOベースボールクラブ」篇です。
http://www.ad-c.or.jp/campaign/area/2003_5.html

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303(2004/02/11) 福岡ドーム、ホークス、補足

12月2日ホークス球団の会長に本社九州渉外担当の佐々木博茂氏が就任。中内オーナーと高塚球団社長の間に入って、本社側の意向を反映させる狙いがあるものと思われる。「財務体質の改善と合わせて資金面での適切な支援を行う」ということだが、15億円の支援は疑問。ただし、ホークスの優勝セールが本社の売り上げに貢献したのは事実だし、球団を勝手に売却できないし、ということで、福岡ドームという重荷がなくなって、高塚氏に遠慮しなくても良くなったことから、お目付役として佐々木会長が就任したのだろう。

ホークス球団は、福岡ドームと30年の長期契約を結ぶそうだ。福岡ドームの売却選定時、球団がよそに移っちゃうんじゃないかという地元の不安と球団がないとドームの価値が低くなってしまう恐れから、球団とドームが10年の長期契約を結ぶという話がでていた。もし、球団が他都市に移転したら、巨額の違約金が必要になり、球団の引き留めに効果があるということであった。それが、売却先にコロニー社が決まってから、コロニー社と協議した結果、30年の長期契約を結ぶことになった、という。コロニー社は、投資会社だから、いずれ福岡ドームの売却するだろう、そのとき、球団の存在は不可欠だと判断したのだと思う。

bR02でも書いたが、高塚猛氏は、コロニー社への売却後も引き続き福岡ドームの経営を担うそうだ。高塚氏は、当面はホテル、ドーム、球団の三位一体の経営を続けていくことになる。毎年50億円の返済を実行している高塚氏の実績があるからだろう。しかし、福岡ドームとホークス球団は完全に別会社になるわけだから、これまでのような一体的な経営は、難しいのではないか、と思う。利害が相反する場合もでてくるだろう。こうなると、三位一体の経営は、高塚氏という一個人に委ねられることになる。

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302(2004/02/11) 福岡ドーム、3月売却へ

今朝(2月11日)の朝日新聞によると、10日ダイエー福岡事業の債権者会議で、金融機関35社から再建計画への同意をとりつけ、(株)福岡ドームなどダイエー子会社2社の私的整理が成立した。これで米投資会社コロニー・キャピタルへの事業売却が正式に決まり、3月末にはコロニー社への譲渡が完了する。

ダイエー本社の高木邦夫社長によれば、福岡ダイエーホークス優勝セールによる売り上げ増もあり、新3カ年計画の2年目の目標はおおむね達成できるという。連結有利負債は1150億円減らし、2月末に1兆900億円にする計画だそうだ。債権者会議の後、新聞記者に答えている。

また、同日、福岡ドームを3月買収するコロニー社の増井利夫駐日代表は、ドームの命名権売却について「事業計画に織り込んでおらず、球場名の変更は一切考えていない」と否定した。(ここまで2月11日朝日新聞)

近鉄が球団名売却案を白紙撤回した翌日の2月6日(株)福岡ドームの社長を兼ねるホークスの高塚猛球団社長が、福岡ドームの命名権の売却を検討していることを発表していた。日本アイ・ビー・エム、アリコジャパン、タマホームなど5社が名乗りを上げているという話であった。

コロニー社の同意のとりつけが必要という話しであったが、(株)福岡ドームがコロニー社に売却されたら、社長を続けられるか分からない高塚氏が、会社(福岡ドーム)の将来のこと(2005年)を決められるのかそもそも疑問であった。福岡ドーム社長ではなく、球団社長としての発言であったのなら、球場名は福岡ドームの権利なのだから、そもそもおかしな話である。その後、ネットを検索すると、高塚氏は、コロニー社へ売却後も、引き続き福岡ドームの経営にあたることになっていることが分かった。そうするとそれ故の行動(福岡ドームの命名権売却)とみることができるが、ちょっと勇み足だったと思う。

なお、球団社長としての高塚氏の話によれば、ホークス球団は、従来から福岡ドームに興行権(チケット販売権)を譲渡していたが、コロニー社側から昨年までより6億円上乗せした38億円で購入してくれる確約を得たそうだ。「1試合あたり6000万円近くで、今どきそんなに高く買ってくれるところはない。実質的な支援です。(2月7日スポーツ報知)」と高塚氏。

高塚氏によれば、球団の黒字経営には、チケット代や、テレビ放映権料やグッズ収入の他に約15億円が必要ということだったが、昨年までより「6億円も上乗せしたチケット代を得ると、残りの約9億円をダイエー本社から宣伝費(昨年は5億円)として得れば収支とんとんになる。(2月7日スポーツ報知)」とのこと。

ダイエー本社は、昨年10月31日のオーナー会議で、確認書を交わし「本社の経営力の許す限り、球団への支援を」約束している。球団側は、球団経営には、本社から15億円の支援が不可欠と主張していたが、本社側は、15億円は無理、9億円ぐらいならという記事が確かでていたような気がする。そうするとつじつまが合う。
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301(2004/02/08) NPBの球団ネーミングライツ・ビジネス

だが1軍で、親会社以外が名前を付けるのは初めてだ。(2004/01/31 asahiコム)

1軍の球団名の売却は過去に例はない。(2004/02/01スポニチ)

マスコミはいい加減なもので、近鉄が球団名を売却すると発表したとき、「1軍のネーミングライツの売却の例はない」と記事にしていたが、実際には、次のような例がある。

1937年から1940年 大東京が、ライオン歯磨((株)小林商店)と業務提携し「ライオン軍」と名乗った。大東京の親会社国民新聞社と名古屋軍の親会社新愛知新聞は同系列で、職業球団を2球団維持することは困難であった。ライオン歯磨をスポンサーとするも、国民新聞社は球団を手放し、田村駒次郎に経営権が替わる。
http://www.lion.co.jp/museum/theme04a.htm

ライオン歯磨はこの頃、愛用者を映画や観劇に招待する催しを盛んに行っており、通天閣のスポンサーにもなっている。ライオン歯磨の支援金は毎月800円。田村駒に経営が移っても、田村駒次郎はタイガースに対抗する「ライオン」という名称が気に入り、提携関係が続いていた。が、41年、戦時体制協力のため「朝日軍」に改名し、提携関係は消滅する。

1955年 高橋ユニオンズがトンボ鉛筆と業務提携し、トンボ・ユニオンズを名乗った。翌年には解消し、高橋ユニオンズに戻る。高橋ユニオンズは、パ・リーグの数あわせのために54年にできた球団で、高橋龍太郎の個人会社で弱く経営も苦しかった。このため、大映の永田雅一がトンボ鉛筆の創業者小川春之助に仲介し、スポンサーとなるも、最下位は変わらず、1年で終わる。その後、高橋ユニオンズは、57年その永田雅一がオーナーとなった大映スターズと合併し大映ユニオンズとなる。
http://www.tombow.com/com/seirei10.html

大映スターズの前身は、金星スターズで、金星スターズは、戦前の朝日軍の主力選手がつくった球団。また、大映ユニオンズは、58年に毎日オリオンズとさらに合併し、大映毎日(大毎)オリオンズとなる。64年には、毎日が球団経営から手を引き、東京オリオンズとなる。

1969年から1971年 永田雅一がオーナーをしていたその東京オリオンズがロッテ製菓と業務提携し、ロッテ・オリオンズを名乗った。テレビの普及で映画会社は斜陽となり、永田雅一の大映も経営が苦しくなっていたのだ。72年には、永田が経営から手を引き、ロッテ製菓が直接、経営を行うことになった。オーナーは、岸元首相の秘書だった中村長芳。永田に、ロッテ製菓を仲介したのが縁で、オリオンズの副オーナーをしていた。毎日新聞撤退後、大映を名乗らず「東京」を名乗ったのは、球団の身売りを容易にするためとも言われる。

1973年から1976年 ライオンズを西鉄から引き継いだ福岡野球株式会社がゴルフ場会員権販売の太平洋クラブをスポンサーとし太平洋クラブ・ライオンズを名乗った。福岡野球株式会社は、ロッテのオーナーとなっていた中村長芳が、私財を投じて設立した個人会社で、経営基盤は乏しかった。このため、スポンサー企業が不可欠であり、太平洋クラブとの契約が切れると77年・78年は、クラウンライターと業務提携し、クラウンライター・ライオンズを名乗った。個人会社では、パ・リーグの球団経営は苦しく、78年を最後にライオンズは西武に売却され、フランチャイズが福岡県から埼玉県に移転した。

このようにみると、球団名をスポンサー企業に売却していた球団、今風にいえば、ネーミングライツ・ビジネスを行っていた球団は、個人経営の会社であったという共通点を持っていた。東京オリオンズは親会社は大映であったが、大映自体が永田雅一のワンマン企業で、62年には私財を投じて東京スタヂアムを作り、毎日撤退後は大映を名乗らず敢えて、東京を名乗っていた。ライオンの場合も、国民新聞社は既に手を引く寸前であり、ライオン歯磨のスポンサーを見つけたのは、大東京の共同経営者となっていた大橋松雄であった。

新聞社や鉄道会社、映画会社といった親会社は、球団が親会社の名前を名乗ることにより、ネーミングライツを内部化し利益を享受することができた。ところが、個人には球団名を名乗る宣伝効果はなく、利益もなかった。このため、個人経営の会社は、球団名のネーミングライツを外部化することにより、スポンサー企業から利益を得る途を選んだ。
(敬称略)
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