猫。



*** G



蓮二は猫のようだ。



猫のようにしなるその身体。

甘く名前を呼べば、するりと巻き付く白い腕がある。

濡れた漆黒の髪に鼻を寄せれば、するりと首筋を撫でゆく白い指がある。

薄く、仄かに色づいた唇に自分のそれを寄せれば、やんわりと歯をたてられた。

それと同時に白く黒い肢体は何の未練もなく俺からするりと離れていった。

微かに振り返ったその顔は、悪戯をたくらむ猫のようだった。





濡れた三日月、猫はにんまりと笑んで逃げていった。





*** R



絡みつくその腕からするりと逃げ出して。

触れた唇にやんわりと噛みついて。

気まぐれにお前を置き去りにした。

だってそう簡単に許してしまったらつまらないだろう?

たまには自分から欲しがってみればいい。

欲しいのなら欲しいと言えばいい。

後10秒だ。

間違いない、

―5、4、3、2、1・・・

ほら、座り込んだ床の隣の扉が勢いよく開く。

飛び出してきた顔は酷くマヌケ。

目が合ってにんまりとほくそ笑んだ。


「弦一郎が飛び出してくる確率は―100%。」




そして

お前は俺が欲しいと言うだろう。






△逃げるなら追えばいい。
それぞれの視点で。