心地よい春の日差
た。



よく晴れた初春。今日は日差しも何もかも、暖かかった。
こんな日は絶好の布団干し日和なのだろう、斜め向かいの家に行くまでのほんの2・3軒、どの庭にも布団が日に当たっていた。 干したての暖かな布団で寝るのはさぞや気持ちよかろう。と思いながら、目的の家に入ればそこも。
例に漏れず、広くとった縁側に真っ白な布団が並んでいた。 ああ、そこで寝たらばとても気持ちよさそうだ。

――それにしても静かだ。
尋ね人はどこにいるのか。(そもそもつい先ほど俺を呼び出したのもそいつだ)
きょろきょろと一頻りあたりを見回してから、先の真っ白な布団に投げ出された長い腕が見えた。近づけば案の定、蓮二だった。
「……蓮二、」
小さく揺すれば気だるげに目蓋を持ち上げた。そのとろん、とした仕草が一瞬行為の後を思い出させて、なんとなくだが気まずくなり目を逸らした。
蓮二はそんな俺に構うことなく殊更のんびりと何事かを呟いている。
「……布団を干していたんだが、気持ち良さそうだったから…つい寝てしまった」
すまないな、と謝られていや、と小さく頭を振った。 こんな日だ。誰だってそうしたくもなるだろう。現に俺も、その誘惑に勝てそうになかったのだから。
「弦一郎も……寝たらどうだ、」
気持ちがいいぞ、と暖かな日差しに負けないくらい柔らかな微笑みを浮かべてこちらを見遣る。
__この誘惑に、勝てるはずもない。
くいくいと腕を引かれるまま、蓮二と同じように布団の上に身体を投げ出して顔を埋めると陽の匂いがした。 あたたかい。
「………おやすみ…、」
すでに微睡んだ瞳を向けたまま、口の中でもごもごと言う。 それを機に蓮二は再び微かな寝息をたて、寝入ってしまった。 陽の光をうけ漆黒の髪が一層柔らかく流れる。 用はなんだったのだろう。 一瞬頭の端を掠めたソレもすぐに飲まれていった。
(案外、昼寝をしよう、といったことだったのかもな)
否定はできない、蓮二のことだから。 そして暖かな陽に次第、うつらうつらとする意識に身を任せるべく、俺もまた繰り返す。

「……お休み。蓮二」

眠る頬に触れるだけのキスをして、柔らかく心地よい春の日差しにゆるり、瞳を閉じる。 降り注ぐ陽、つないだ手、顔を埋めた、布団。
どれもこれも、





あぁ 春の匂いがする。








ほのぼの。春は眠りの力を持っています。