「 何度でも、に落ちる。」

















「お前はあの女子と付き合っていたんではないのか」
どういうことだ、と非難めいた瞳が俺を射抜く。
「――……、試したかったんだ」
俺がお前を本当に好きか、確かめたかったんだ。 と呟けば射るような目は更に鋭く俺を捕らえた。
「……俺を疑ったのか?」
「すまない、……ッ」
背中が痛い、と思ったときには何時の間にか、冷たい壁に押しつけられていて、 目の前には少し怒ったような、それでいて途方に暮れた黒耀石のように真っ黒な 瞳。
そこには俺だけが映し出されている。瞬いたそれは案外に長く濃い睫毛で。厚く、キスをして知った、柔らかな感触、口内は熱い。
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ。
何度言えば満たされるんだろうか。
例え、他の女子に何度、好きだと告げられてもこの心は動きはしなかった。 満たされは、しなかった。だからどれだけ期間を持とうが、恋に落ちるはずがない。

俺はこの男の視線に弱い。
見つめられすぎて、勝手に頬の熱が上がっていく気がする。いや、本当に赤くなっているのかもしれない。そう思うと堪らなく恥ずかしくて弦一郎の肩に額をつける。
「蓮二――、」
顔を伏せたと同時に弦一郎が俺の名を呼んで。吐息が頬にかかる。肌が期待にざわめく。そして、吹き込まれる言葉。
ただ、何も知らないように。
それだけしか知らないように。

「 好きだ 」

あぁ、
そのたった一回で、
俺は。



――何度でも、恋に落ちるんだろう。









どうか、終わりのない恋がしたい。