愛い、あかい。





 隣に並んだ顰め面の男は降り止まない雨を降らせる空を睨み付けていて、横に並んだ俺には目もくれない。
 ……はっきり言うとここ何日か、避けられている。
 それは確信であり、データにも表れている。
 特に何もした憶えはなかったが、弦一郎は視線が合うと途端に逸らすのだから、本当に嘘や偽りが下手な男だな、と笑いさえこみあげてきた。

 とん、と。手を上げようとした一瞬に手が触れた。
 途端、ばっと振り払われる。
 弦一郎は振り払ってしまったことに眉を寄せて僅かに目を見開いたが、やはり視線を合わそうとはしなかった。
 ――正直、ここまでされると居た堪れない。
 いくら俺に不満や嫌悪があろうが、今のはないんじゃないか?
 そう口に乗せようとしたまさにその一瞬だ。
 俺は気付いてしまった。
 笑いがこみあげる。

「弦一郎、耳が、」
「言うな!」 

 ふ、と笑った俺に気付いた弦一郎が視線を強くする。久しぶりに目を合わせた。鋭い視線は何者でも射抜くように。俺はもう一度笑った。唇に音を乗せる。弦一郎、耳が。弦一郎が遮るように蓮二!と怒鳴った。
 俺は今度こそ、目を見つめて言った。


 ――耳が、真っ赤だ。





 弦一郎がかよ!
 みたいな…ですね、はい。
 どうやら真田の方が初々しかったようですね!…ね!(笑顔)