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【ギャンブラー】

1 名前:名無しさん 投稿日:05/01/27(木) 00:12:06

昼休みの始まるチャイムが鳴ると、桃子は周りに人を集めてカバンからトランプを取り出す。
彼女は大のギャンブル好きなのだ。なんでも家で貰えるおこづかいが少ないらしくそれによって
小金を稼いでいるとの事。種目はなんでもいいのだが、特にポーカーが得意らしい。
これについては委員長の佐紀も桃子から金を受け取っているので黙認だ。

(ギャンブル好きだなんて将来ロクな女にならないだろうな〜、まぁ俺にゃカンケーないけど)
そんな事を考えながら、ゲームに興じている彼女たちを傍から眺めていた。

ある日、例によって彼女がこづかい稼ぎをしている時、突然俺に声をかけてきた。
「○○君もやる、ポーカー?楽しいよ。」
(みているだけでもよかったんだけど… まぁ、いいかな)
断る理由もないので参加する事にした。
ゲームを続けていると俺の財布はみるみるうちに痩せていった。
(こいつ、ちょっと強すぎるな… どうなってんだ?舞波とつるんでカードのすり替えをやっているとか?
それに桃子にとっちゃ嘘の表情を作る事だってワケないだろうし…)
いい加減イヤになってきてそろそろ終わりにしようと言いかけた時、
「○○君の懐も寒くなってきたみたいだし、次で終わりにしよっか〜」
彼女がニヤニヤしながら言った。
「あぁ、そうしよう。」
と言ってうなづく俺。

ラストゲームのカードを配り始める桃子。
何か考え事でもしているのだろうか?カードを配る手が途中で止まった。
「あのさぁ… ○○君からっきし弱いしぃ〜、お金賭けてもつまらないじゃない?
このゲームで負けた人は好きな子に告白するってのどう?ゲームおりるのはナシで。」
(おいおい、なんて突拍子もない提案をするんだコイツは、キケンすぎる!おまえ絶対長生きできね〜よ!)
「ねぇ、ど〜すんの〜?」
と催促する彼女に
「上等だよ!その方がよっぽどゲームが面白くなるじゃん!」
強気で答える俺。

結果はというと… やっぱり負けてしまった。
「んじゃ、約束通り告白してもらいましょか〜。え〜と、好きな子誰だっけ、雅ちゃん?」
言い返す言葉もなく肩を落としながら自分の席へ戻る。
しばらくしてカードを片付け終えた彼女が机へ突っ伏している俺のところへきた。
「あたしはあんたがうまくいく方へ賭けるよ、それまでこのお金はあんたに預けておくね。」
そう言って俺からまきあげた金を全て返し、自分の席へ戻っていった。
(は?じゃあ、今やったゲームはなんだったの?何考えているんだ、あいつは…)

その日の夜、電話に向かい悩んでいる俺
(勢いで賭けにのってしまったとはいえなかなかふんぎりが… でも、桃子の言ってたように
告白してうまくいくいかないってのもギャンブルと似た物と思えば… そう考えると少しは気が楽かも)
なんとなく決心がついたようで電話をとり、夏焼の家へかける。ちょうど雅がでた。
「あっ、あのっ、前から好きでしたっ!できれば僕と…」
俺が言い終わらないうちに
「ごめんなさい… 他に好きな人がいるんで…」
「あっ、あぁそうなんだ。ありがと、バイバイ!!」
慌てて電話を切ってしまった。その日はもう何もする気がなく
脱力感の残るまま布団へ入った。

翌日、あいかわらず昼休になると桃子はいつものように賭けを始める。
「○○君もまた勝負しようよ〜。今度はあんた用にもっと面白い罰ゲーム考えてきたんだ〜。」
嬉々として桃子は俺を誘ったがもうのる気もなく、
「もういいよ… それより今日一緒に帰らないか?二人で話がしたいんだ。」
俺が真顔で言うと、彼女はなんとなく察してくれたらしくOKしてくれた。

放課後になり、二人で帰路に着いている途中
「もしかしてふられちゃった?余計な事しちゃったかな?くだらない遊びにつきあわせてゴメンね〜。」
冗談っぽく彼女は言う。
「あぁ、ふられた。でもおまえのおかげで告白できたようなものだし感謝してるよ。」
照れくさそうにうつむいて言う俺。
「ど〜いたしまして♪」
嬉しそうに答える彼女。

「ただ… 告白もギャンブルと似た物だと自分を納得させてやってみたものの…
疲れるよなぁ… もう告白なんてやめようかなぁ… 俺、ギャンブル向いてない性格みたいだし…」
という具合にすっぱいブドウをやっていると余計に胸が苦しくなり、大粒の涙があふれてきた。
それをみて呆然と立ち尽くす桃子。かっこ悪いなァ、俺… 何やってんだ…?

「 バ ッ シ ィ ィ ィ ン ! ! ! 」

突然、背中に激痛が走った。桃子の方を見る。
「くよくよするなよ!!勝負は一度で終わりじゃないでしょ。今度はあたしに賭けてみるなんてどお?
他の子より配当高いと思うよ〜。」
あやや並みの自信で俺に言い放つ。
(慰めてんだか、からかってんだかわからないけど…)
「いいヤツだなぁ、おまえ…」
「あたり前じゃん♪ちょっとは気をとりなおした?んで、今度はさ〜何やろっか?
麻雀なんてどう?あたしが教えてあげるよ、もちろん有料で。」
(やっぱいい性格してるわ、ほんと。 あはは…)

   でも、今はこんな桃子が大好きです。                   
                               〜fin〜